2017年09月12日

シロコブゾウムシ、トホシオサゾウムシ、アシナガオニゾウムシ、ケブカクチブトゾウムシ、ヤサイゾウムシ、アオヒゲナガゾウムシ、ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)。ゾウムシ科の昆虫7種類。

ゾウムシの仲間は愛嬌があり、種類も多く形も個性的で実に面白い昆虫です。単にゾウムシと言うとゾウムシ科の昆虫の総省になり、その種類も大変多く日本に600種類以上もいるそうです。ゾウムシ科の昆虫は口と触角に特徴があります。ゾウムシの口は口吻と呼ばれ、長く伸びた吻の先に口(口器)があります。触角も独特な形をしています。ゾウムシの名前の由来は頭部から突き出た長い口吻が、動物のゾウの鼻に似て見えることからついたようです。観察すると個性のある体形をした種類が多いので面白いです。ゾウムシは小型のものが多く、2〜3ミリのものから大きくても3センチ程しかありません。ゾウムシ科のシロコブゾウムシ、トホシオサゾウムシ、アシナガオニゾウムシ、ケブカクチブトゾウムシ、ヤサイゾウムシ、アオヒゲナガゾウムシ、ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)の7種類のゾウムシを調べてみました。
★シロコブゾウムシ ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。個体数の多い普通種になるようです。雌雄異形で大型のゾウムシです。体長は15〜17ミリ。雌の方が大きく、雄の特徴は灰褐色をした上翅後端に1対の付きだした太い棘状のコブのあるゾウムシです。全体的にゴツゴツとした感じで、葉の上にいると白っぽく見えます。地色や斑紋にはわずかに個体差があります。シロコブゾウムシは危険を感じると全身の力を抜いて動かなくなるなどの擬死(死んだふり)が得意です。雌雄の判別は雄のコブ状の突起は付きだして見え、雌の突起は丸味があります。出現は4〜9月。分布は本州、四国、九州、沖縄。平地から山地の林や林縁に生息しています。マメ科植物のクズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどの葉を餌にします。幼虫は土中にいてクズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどの根を食べるようです。シロコブゾウムシは後翅が退化していて飛ぶことができないので、歩いて移動します。越冬は成虫で越冬するようです。シロコブゾウムシは丈夫な種類で、与える餌はクズの葉で済みます。餌に新鮮なクズの葉を与えると長期飼育が可能で、当方は1か月ほど飼育して野に返しました。丈夫なので飼育は楽でした。
シロコブゾウムシ1.JPGシロコブゾウムシ2.JPGシロコブゾウムシ顔面.JPGシロコブゾウムシ腹部.JPG
上、シロコブゾウムシの雄です。角のように突き出た突起が強そうに見えます。個性的な容姿に魅力を感じるゾウムシです。個体数の多い普通種のようですが、当方の観察エリアではなかなか見つけることができいないでいます。いる所にはいるという種類なのでしょう。1番上の写真に写っている葉はクワの葉で、餌ではありません。クワの葉の上で見つけたので、持ち帰るためのクッションとして使ったものです。
★トホシオサゾウムシ オサゾウムシ科。普通種。体長6〜8ミリでやや細長く見えます。体色が濃赤色や赤褐色をした小型のゾウムシです。赤味の強い個体は小さくても綺麗に見えます。トホシオサゾウムシは名前にあるように体に10個の黒い黒斑がありますが、斑紋の数には変異があるようです。特に上翅に見える大きな1対の黒斑が目立ちます。出現は5〜7月。分布は本州、四国、九州。平地から山地の林縁や公園など広く生息しています。トホシオサゾウムシはツユクサの茎に穴を開けて産卵します。幼虫はツユクサを食べて育ちます。成虫はクヌギの樹にいることが多いようで、樹液に集まるようです。他に花の蜜も餌にするようです。飛翔性の強いオサゾウムシです。地味な配色の多いゾウムシ類の中では目立つ色をしていて、黒い斑紋も可愛く見えます。小さなことが残念に思える昆虫です。越冬は幼虫で越冬します。トホシオサゾウムシは雑草のツユクサを産卵場所や餌に利用することから都市近郊でも見ることができる種類になっています。色も形も面白いゾウムシなのですが、いかんせん小さくて気が付かれないのだと思います。
トホシオサゾウムシ1.JPGトホシオサゾウムシ2.JPG
トホシオサゾウムシです。ツユクサの生えている近くの草で見つけました。恐らく卵を産みに来た雌のトホシオサゾウムシだと思います。小さくても綺麗な赤系の色をしていて、やや細長い変わった形をしています。写真では光の関係で色が違って見えますが同1個体です。上、手の上にのせて撮影しました。小さいことが良く分かると思います。
★アシナガオニゾウムシ ゾウムシ科クチカクシゾウムシ亜科。体長5〜9ミリ。アシナガオニゾウムシの雄と雌の違いは前脚の長さで判別できます。雄では前脚がとても長いことが特徴になっています。雌は普通に見るゾウムシのように見えます。体色は白と黒の2色に見える配色のゾウムシです。危険を感じると全身の力を抜いて動かなくなる擬死(死んだふり)が得意です。アシナガオニゾウムシの体形には若干変異があるようです。出現は6〜9月。分布は本州、四国、九州。広葉樹の林縁や雑木林に生息しています。成虫はエノキの枯れ木にいて成虫も幼虫もエノキの枯れ木を餌にします。アシナガオニゾウムシは灯火にも集まります。越冬は成虫で越冬します。成虫で越冬して目覚めた後、6月までどのように行動しているのか不思議に思います。発生しているエノキを見つけて観察してみたいです。アシナガオニゾウムシの白と黒の配色はクズに生息しているオジロアシナガゾウムシに似ていますが、体形はオジロアシナガゾウムシの方がズングリとしていて丸みがあります。この黒と白のツートンカラーは鳥の糞の擬態になっているようです。アシナガオニゾウムシは灯火にも飛来するようです。
アシナガオニゾウムシ雌1.JPGアシナガオニゾウムシ雌2.JPG
上アシナガオニゾウムシの雌です。細長いピーナッツの殻のようにも見えます。アシナガオニゾウムシは変わった形のゾウムシですが普通種です。雄の写真が撮れたら追加する予定です。
★ケブカクチブトゾウムシ ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。体長は5〜7リ。特徴はやや太めな体形でありながら、似た種類よりも細長く見える体形をしていて、上翅(鞘翅)には褐色の紋が見えます。この斑状の紋は灰白色をした鱗片があることにより見えるものです。ケブカクチブトゾウムシの特徴に触角の形状があります。触角の基節が強く湾曲しています。名前にケブカと付いていますが、肉眼では良く分かりません。確かに鞘翅には毛が生えていますが、長い毛がもモサモサ生えている訳ではなく鱗片と針状のように見える短毛になります。前胸背板は小楯板に向かって直線的になっています。小さくても形が整って見えるゾウムシです。出現は5〜6月。分布は本州、四国、九州。主にクヌギ、シイ等につき、成虫は広葉樹の若い葉や芽を食べるようです。越冬は成虫で越冬するようです。ケブカクチブトゾウムシにはカシワクチブトゾウムシ、コカシワクチブトゾウムシなど似た種類がいます。よく似たカシワクチブトゾウムシとは上翅の毛と斑紋に違いがあります。カシワクチブトゾウムシの場合、毛はほとんど目立ちません。前胸背板の形状はカシワクチブトゾウムシの場合、小楯板に向かって湾曲しています。触角の基節もケブカクチブトゾウムシのように強く湾曲していません。
似ているカシワクチブトゾウムシも調べてみました。写真はありません。
★カシワクチブトゾウムシはゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。カシワクチブトゾウムシは個体数の多い普通種です。クチブトゾウムシの仲間なので口吻は幅があり長くありません。灰白色の微毛が生えていて、灰褐色から淡褐色に見えますが色彩には変異があります。よく似た他種との違いは、比較して見ないと分かりにくいのですが、カシワクチブトゾウムシの前胸背板後縁の中央部は小楯板に向かって張り出すことです(張り出して見えるとはいえ、ものすごく張り出しているというほどではありません)。当方もこの違いは後から知りました。以前カシワクチブトゾウムシだとみていた種類は他種だったものがいたと思います。体長5ミリ。出現は5〜10月(越冬成虫は4〜6月。新成虫は7〜10月)。分布は北海道、本州、四国、九州。ブナ科のカシワ、コナラ、クヌギ、ハンノキの葉を食べます。サクラの葉も食べるようです。幼虫は地中にいて広葉樹の根を食べます。似たものが数種類います。コカシワクチブトゾウムシには口の周り(口器)に鱗片が生えていますがカシワクチブトゾウムシの口の周りには鱗片はありません。とは言え鱗片はとれてしまうことがあるので、決め手とするには注意が必要です。です。コカシワクチブトゾウムシの分布は本州、四国、九州になります。コカシワクチブトゾウムシの前胸背板後縁の中央部は小楯板に向かって直線的になっているので、張り出しては見えません。
ケブカクチブトゾウムシ.JPG
上、ケブカクチブトゾウムシです。似た種類の多い種類です。クヌギとコナラの生えている樹下にいました。
★ヤサイゾウムシ ゾウムシ科。亜科の分類は不明。体長7〜9ミリ。ヤサイゾウムシは日本では雌しか発見されていないゾウムシで、単為生殖で増える厄介な害虫ゾウムシです。ヤサイゾウムシはブラジル原産の外来種のゾウムシです。成虫は夜行性で灯火にも集まります。日本では1942年に岡山県で発見されました。ヤサイゾウムシの特徴は赤褐色や灰褐色の体色をしていて、上翅(鞘翅)は鱗片と短毛に覆われています。上翅の後端には白いV字形の斑紋が見えます。口吻は太く、上翅はやや細長く見えます。越冬は主に幼虫越冬ですが成虫でも越冬します。秋に孵化した幼虫は非休眠で越冬します。さらに春に産卵されて孵化した幼虫は5月頃土中に潜り蛹になって6月には羽化するそうです。夏場は休眠します。後翅は退化していて飛べないものの歩行能力が強い特徴があります。畑地、農耕作地以外の野外ではキク科のアレチノギク、オオアレチノギク、ヒメジョオンなどを餌にします。出現3〜6月。9〜翌年の3月(夏場は休眠します)。分布は本州、四国、九州、沖縄。草地、畑地、空き地などに生息しています。害虫としては広食性が強くアブラナ科、キク科、ナス科、セリ科など極めて多くの野菜を餌にします。成虫は葉を、幼虫は花芽や花を食べるようです。繁殖力の強いヤサイゾウムシは心配された大繁殖にいたらなかったことで、農業的な大被害は受けなくて澄んだため、心配されたほど有名な害虫にはなりませんでした。普通種なのですが個体数は少ない方になります。侵入当初は被害が大きかったようですが、現在では農薬による駆除のため激減したようです。上翅(鞘翅)に見える斑紋や体色には個体により、若干の違いが見られます。
ヤサイゾウムシ.JPGヤサイゾウムシ2.JPG
ヤサイゾウムシです。上翅(鞘翅)の後端に見える白いV字形の斑紋が特徴になります。下の写真は10月に菜園の脇で見つけた別の個体です。写真を追加しました。若干、斑紋の感じが違って見えます。この個体は白く見えるV字の斑紋が短く、灰白色の部分が全体的に広く見えます。
★アオヒゲナガクチブトゾウム 別名アオヒゲナガゾウムシ。ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。体長よりも長い触角をもっている金属光沢のある明るい緑色をした美しいゾウムシです。体長5〜7ミリ。分布は本州、四国、九州。カシワの葉を餌とします。初見のゾウムシです。生態等はまだ良く分かっていないようです。
アオヒゲナガゾウムシ.JPG
アオヒゲナガゾウムシです。緑色が綺麗な小型のゾウムシです。 
★ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)と リンゴヒゲナガゾウムシ。
ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)にはよく似たリンゴヒゲナガゾウムシがいます。ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシには色彩に変異があることや、似た種類のものがいることからから、当方には判別がとても難しい種類になります。
・ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシの別名リンゴコフキゾウムシ。ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科で旧姓はリンゴコフキゾウムシ。新しい名前では特長が名前に付いていますが実に覚えにくい名前になってしまいました。しかし名前を憶えてしまえば特徴がつかみやすい名前ではあります。緑色で金属光沢のあるゾウムシですが、脚の色には個体差があるものの黒色やグリーンの金属光沢になるようです。上翅の色にも個体差が多く、色彩が豊富な種類になるようです。体に生えている鱗毛が取れると黒っぽい体色に見えてくるようです。前脚には棘状に突起が出ています。体長は8〜8.5ミリ。出現は5〜7月。分布は本州、四国、九州。幼虫は土中で生活しています。成虫はリンゴなどの葉を食べます。成虫の腹部には太さがあり尾端に向けて細くなるようです。
・リンゴヒゲナガゾウムシ 金緑色で脚の色は茶褐色。脚のコブのような部分には太さがあるようです。前脚には棘状に突起が出ています。分布は北海道、本州(中部以北)。体長は7.5〜10ミリ。出現は6〜8月。広葉樹につきます。リンゴヒゲナガゾウムシの腹部は横幅が薄く尾端まで直線的に見えるようです。
つまりは両種がダブって生息している地域では、捕まえて腹部を見ないと性格には分からないと思います。写真からの判断は慣れ等が必要になるのかと思いました。
ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ).JPG
上、ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)です。脚の色に黒い部分があり、グリーンの金属光沢も見えているので、写真で判断でケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)としました。腹部の形状は確認していません。リンゴヒゲナガゾウムシの方が綺麗なようですが、この種も十分に綺麗だと思います。撮影地。神奈川県横浜市。
ゾウムシは小さくても魅力的な昆虫です。ゾウムシを探すのは面白いです。
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2017年08月24日

ヨツモンカメノコハムシ。平たい体をした日本最大のカメノコハムシです。

ヨツモンカメノコハムシは日本最大のカメノコハムシで現在分布域を北に広げている昆虫になります。ヨツモンカメノコハムシの特徴は4個の黒い斑紋があることで、カメノコハムシの中では大型種になります。アサガオや芋の葉の上で、脚と触角を傘やカメの甲に見える体の下に引っ込めてとまっています。元は沖縄以南に生息していた南方系の昆虫ですが、温暖化を利用して急速に分布を北上させています。現在も北上中です。普段は大人しく葉の上でじっとしている昆虫です。初めて見つけた時はカメノコハムシかジンガサハムシの1種だと見た目の容姿からは想像できたのですが、大きな体をしていて見たことが無い種類でした。調べて見ると、これが初見になるヨツモンカメノコハムシでした。生息域を北上中とのことで、神奈川県の県央に位置する海老名市で見つけることができました。はるばる沖縄から関東地方のどのあたりまで生息範囲を広げたのでしょうか。ヨツモンカメノコハムシはヒルガオ科の植物を餌にします。特にサツマイモの葉をこのんで餌にすることから、サツマイモの農業害虫として知られることも、そう遠くないのかも知れません。ヨツモンカメノコハムシは葉の表面に脚と触角を引っ込めて張り付いています。刺激しない限り大人しくしたままでいます。初めて見る昆虫、ヨツモンカメノコハムシを調べてみました。詳しくは神奈川県ホームページ。病害虫発生予察特殊報(第4号)に詳しく書かれています。このページを参考にヨツモンカメノコハムシと確認しました。今後、害虫として神奈川県でも発生が広がるかも知れない害虫です。サツマイモだけでなく、セイヨウアサガオや雑草化しているマルバルコウソウでも成虫と幼虫の発生を確認しています。
・ヨツモンカメノコハムシを観察していて分かったこと。
サツマイモ畑で採取した個体を飼育して見ました。餌に対して適応能力があるかどうかの疑問があったからです。発生が成虫、幼虫共に多かったのがサツマイモです。次にノアサガオ(園芸品種)、その次がマルバルコウソウです。(発生はこの3種類の植物で確認しています)与える餌をサツマイモからノアサガオに変えても成虫は餌とすることができました。幼虫3匹(幼虫は3匹のみ捕獲して飼育)は餌を食べないで死んでしまいました。幼虫に関しては、調べた個体が少なすぎるのですが、餌の変更はできないのかも知れません。1方、餌をノアサガオに変えてもすぐに餌として食べたので、成虫の適応能力は強いと思われます。成虫は飛翔することから、餌が足りなくなると初めに食べていた餌とは別の種類になっても、餌にできるヒルガオ科の植物であれば繁殖ができると予想します。越冬についてはまだ不明です。今後調べることができたら調べてみる予定です。
★ヨツモンカメノコハムシ ハムシ科カメノコハムシ亜科。ヨツモンカメノコハムシは体長7・5〜9ミリの日本最大の大きさのカメノコハムシの仲間です。扁平な体で体色は黄褐色〜淡褐色をしています。名前にあるように4個の大きな黒紋と後端に1個の黒紋がある大型のカメノコハムシです。半透明に見える部分は黄褐色をしています。出現は4〜11月(年3〜4化)。分布は本州、四国、九州、沖縄。もとは沖縄本当以南に生息していた南方系の昆虫ですが、温暖化により分布を本州にまで広げてきました。本州や九州ではサツマイモの害虫になっています。サツマイモ、アサガオ、セイヨウアサガオ(ソライロアサガオ)、ノアサガオ、ヒルガオ、ハマヒルガオなどのヒルガオ科の植物を餌にします。当方はマルバルコウソウでの繁殖も確認しました。アサガオとヒルガオにつくことは少なく、サツマイモやセイヨウアサガオ、ノアサガオに多く発生している種類になります。越冬は成虫で越冬するようです。神奈川県での越冬の仕方はまだ分かっていません。南方に生息するヨツモンカメノコハムシと同じような越冬になるのでしょうかまだ疑問が残っているようです。雪の降る神奈川県で見つけたことから、ヨツモンカメノコハムシは南方系の昆虫にしては耐寒性があるようです。北限がどこになるのかなど興味のあるところです。
ヨツモンカメノコハムシ1.JPGヨツモンカメノコハムシ2.JPGヨツモンカメノコハムシ3.JPGヨツモンカメノコハムシ白っぽい個体.JPG
ヨツモンカメノコハムシです。同じセイヨウアサガオの株にいた個体でも黒紋の形状には個体差がありました。どうやら紋の形の個体差が大きい種類になるようです。表面には点刻があり体表面には弱いツヤがあります。上4枚の成虫は別個体で、黒く見える斑紋の部分に違いが見受けられます。上2枚の個体では黒い部分が少なく下2枚目の個体では明瞭な黒紋が見えます。見つけた場所は畑が裏にある家屋の道路側に植えられていたノアサガオです。後日、建物の裏の菜園のサツマイモ畑で、成虫と幼虫が多数発生していることを確認しました。葉は穴だらけになっていました。成虫は葉を裏返して探していると飛んで逃げていきます。遠くに飛んでいくことはないのですが、見た目と違い飛翔性がある種類なのかも知れません。1番下はマルバルコウソウで発生していたヨツモンカメノコハムシです。幼虫もいたので繁殖していることが分かりました。体色の薄い個体が1匹いたので追加して見ました。ヒルガオ科のマルバルコウソウでも繁殖しているかも、と探してみたら見つけることができました。前年ではこの場所にヨツモンカメノコハムシはいませんでした。害虫なので増えても困ると思いますが、神奈川県でも珍しい昆虫ではなくなるかも知れません。
ヨツモンカメノコハムシ4.JPGヨツモンカメノコハムシ5.JPG
上、刺激したら動き出しました。動く時には腹側に格納していた触角を出します。ヨツモンカメノコハムシの触角の先端は黒褐色をしています。平たく見える体表面(上部)は半透明であることが写真からも見てわかると思います。下はヨツモンカメノコハムシの腹側側です。腹側側にも黒紋が入っています。ご覧のように体の下に脚と触角が収納される仕組みになっています。本当にカメのようで面白い構造になっています。上から見ると見えないヨツモンカメノコハムシの顔つきは意外と可愛く見えます。
ヨツモンカメノコハムシ2齢比較.JPGヨツモンカメノコハムシ2齢.JPGヨツモンカメノコハムシ幼虫.JPGヨツモンカメノコハムシの幼虫腹面.JPGヨツモンカメノコハムシ終齢(終齢幼虫).JPGヨツモンカメノコハムシ終齢(前蛹).JPGヨツモンカメノコハムシ蛹・甲羅ナシ.JPG
ヨツモンカメノコハムシの幼虫です。実に変わった体をしています。体の外縁には独特の形状をした棘状の突起が数多く出ていて、ツルッとした感じの体表面を持つ成虫に比べて、体の外縁からは棘状突起が突き出ています。その刺も1本の単純な棘ではなく、粗いノコギリ状の両刃なっています。体色も黒く形状も成虫とは感じが大きく違っています。背中に見える黒褐色の物体は体の1部ではなく、脱皮後の殻や糞を背負っているそうです。他の害虫や動物の糞にでも擬態しているのでしょうか。ヨツモンカメノコハムシの幼虫はまるで別種のように見えて面白いです。ヨツモンカメノコハムシの幼虫の成長の過程を見て見ることにしました。1、2枚目は大きさから恐らく2齢あたりと思われます。2枚目は1円玉の1部との比較です。とても小さいことが分かります。3枚目、この大きさになると葉の上で見ることが容易になります。終齢に近いものと終齢はこのように見えます。4枚目、上の幼虫を裏返して見た所です。腹部は黄橙色をしています。トゲだらけで腹部側から見ても大変奇妙な容姿に見えます。5枚目、終齢幼虫です。6枚目、前蛹に近い個体です。この後、体を固定させて蛹になります。頭は写真の上側になります。どちらが頭か分からない姿をしています。7枚目、蛹です。見やすくするために、体の上にある傘状になった殻は取り除いてあります。頭は左側です。蛹になると体側の棘は扁平に広がっています。最も分かりやすい蛹の特徴は、頭の部分が扁平に広がることです。撮影地。神奈川県海老名市。羽化したばかりの成虫は黄色から黄橙色をしていて、黒い斑紋は見えません。外殻が硬くなるにつれて黒い斑紋が現れてきます。餌とする植物の1つと知られるノアサガオをも調べてみました。
★ノアサガオ ヒルガオ科サツマイモ属。毒成分を含む毒草です。別名 宿根アサガオ、リュウキュウアサガオ、イリオモテアサガオ。沖縄、東南アジア、オーストラリア原産のツル性の多年草。大きな葉が茂り、昼間でも大型の花が咲いています。耐寒性もあるので関東以西でも生育が可能です。花期は6〜11月。花の蕾は複数が付いています。花径は80〜100ミリ。花の咲き始めは青紫色ですが午後からは色が薄くなって淡紫色になり、夕方頃にはピンク色に近い色に変わっていきます。葉は心系(ハート形)や心形で3裂しています。葉の大きさは10〜15センチ。ノアサガオには種ができません。その代わりノアサガオは挿し木で簡単に増やすことができるそうです。関東地方では冬季に落葉しても、冬場に葉を落としても翌春に芽を出します。分布は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄。野生種、園芸用として生息しています。ツルが10メートル近く伸びることから、緑のカーテンとしても利用されています。ノアサガオには園芸品種も作られています。日中に花が咲くことなどから人気が出てきました。
ノアサガオと食跡.JPG
ノアサガオとして記載していましたが、10〜11月にも花が咲いていたことと大きな花の形から、どうやらセイヨウアサガオ(ソライロアサガオ)のようです。セイヨウアサガオは熱帯アメリカ原産の植物です。園芸品種も多くありますので、詳しい名前は分かりません。正確にはセイヨウアサガオかその園芸品種になります。花は葉の陰に隠れていて1輪に見えています。通例、花は2〜3個付きます。葉は丸くて幅のある形をしていて、ハート形に見えます。分かりにくいと思うのですが葉には円形の穴が開いて見えています。食痕は丸く穴を開けたように見える特徴があります。食べられた葉には円形や楕円形の穴があけられていて、成虫が沢山いると穴だらけになった葉も見えます。丸く穴だらけの葉があったら食痕の可能性があり、ヨツモンカメノコハムシの仕業かも知れません。
ヨツモンカメノコハムシを見つけて見ようと思われた方は、許可なくサツマイモ畑に立ち入るわけにはいかないので、ノアサガオを見つけるのも良いと思います。ノアサガオの仲間は園芸品種を含めると分布域は広くなっています。かといって実際にはどこにでもあるというほど多くは無いようです。園芸品種ではないノアサガオは部分的な発生になっているようです。植え込みや雑草化していることもある園芸品種を含めたノアサガオやセイヨウアサガオ(ソライロアサガオ)、マルバルコウソウなどを見つけて探すと見つかるかも知れません。

posted by クラマ at 17:50| Comment(1) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月22日

ヤブニッケイの葉にできたコブ状の虫こぶ(ゴール)、 ニッケイハミャクイボフシとヤブニッケイを調べてみました。

ニッケイはクスノキ科クスノキ属の常緑樹です。ニッケイ、ヤブニッケイ、マルバニッケイ(マルバニッケイの分布は九州、沖縄)などがありますが、よく見かけることができるのはヤブニッケイです。ヤブニッケイとニッケイは大変良く似ています。植え込みにあったヤブニッケイ(クロダモ)の樹で、ニッケイの葉にできる虫こぶ(ゴール)の、ニッケイハミャクイボフシを見つけました。名前にあるように葉の脈に沿って作られるゴールです。同じクスノキ科のクスノキにできるクスノキハクボミフシとよく似ています。ニッケイ(肉桂)と言うと聞きなれない植物の名前になるようですが、ニッキとかシナモンと呼ぶと聞いたことがある植物の名前になると思います。ニッキとはニッケイ(肉桂)の樹の細根を乾燥させたもので、お菓子の材料などの香辛料として使われています。日本産のニッケイよりも中国原産種やベトナム原産種の方が芳香が強く、現在では食材等の原料には中国原産種のシナニッケイやベトナム産、セイロンニッケイが使われているようです。グレードとしてはベトナム山地産のニッケイが最高級とされています。そのニッケイとそっくりなのがヤブニッケイです。ヤブニッケイの根はニッキとして使うことができません。ニッキは根を使うことから、樹の数が減ってしまったようです。沖縄(沖縄本島、徳之島、久米島)には日本原産とされるオキナワニッケイがあります。本州のニッケイは原料を採るために栽培された栽培品が野生化したものなどになるようです。ヤブニッケイやニッケイの葉は香辛料に使うことができます。ゲッケイジュ(ローリエ)の代わりに使うことがあるようです。ヤブニッケイの葉をシナモンリーフと言って(商品名)ハーブティーとして使うこともできるようです。植物体で葉に含まれる含有量が1番少ない部位になります。味等、まったく試したことが無いので、どのようなものかは分かりませんが、肉や魚料理の匂い消しや香り付けには有効かもしれませんね。
・当ブログは食材等にするために勧めているわけではありません。店で購入すれば間違いはないと思いますが、野外で間違って他の植物を採取して使われて体調を崩しても、当方は1切の責任は負いません。また芳香や味の差などは記載によるもので、ニッキやシナモンと1般的に言う食材としての製品を、当方は産地を比較して食したことなどもありませんので、あくまでも参考までにしてみてください。実際にどの程度の差があるのかという興味は湧いてくるところです。昔は乾燥させたシナモンの根や樹皮が簡単に手に入ったのですが、最近では専門店にいかないと目にすることは少ないと思います。
ヤブニッケイと ニッケイハミャクイボフシを調べてみました。
ニッケイとヤブニッケイの違いは葉に現れます。葉の違いを比較して見ることにします。
・ニッケイの葉は葉先が長く尖っています。葉の形は長楕円形で、葉は細長く見えます。特徴的な葉の3行脈がはっきりと見えます。葉の側脈が先端まで達しています。葉裏の色は粉のように見える白色で微毛が生えています。高さは3〜9メートル。
・ヤブニッケイの葉はニッケイよりも丸みがあります。葉先の他がった部分は少ないです。特徴的な葉の3行脈はニッケイと比べるとはっきりしていません。葉の側脈が先端まで達していません。葉裏の色は淡い緑色で無毛。高さ15〜20メートル。ヤブニッケイには虫こぶ(ゴール)の ニッケイハミャクイボフシができます。ニッケイには付きにくいそうです。
★ヤブニッケイ 別名クロダモ。クスノキ科。高さ15〜20メートルの雌雄異株の常緑高木。分布は本州(福島県以南、福島県浜通り、富岡町が北限)、四国、九州、沖縄。北限の福島県では準絶滅危惧種になっています。山地に自生していますが、耐潮性もある丈夫な性質から植樹されていて公園などでも見ることができます。庭木や風よけ(防風)の目的でも植えられているようです。特徴的な葉の3行脈がはっきりと見えるニッケイ属の植物です。葉は対生ですが、わずかにずれがあります(擬似対生)葉の表面(表側)には光沢があり、裏側は灰白色をしています。葉の形は狭卵形や長楕円形で葉の長さは6〜12センチ。葉には独特の匂いがあります。花期は6月で、雌株にできる実は11〜12月に黒く熟す楕円形の実がつきます。幹の色は暗褐色をしています。
★ニッケイハミャクイボフシ ニッケイトガリキジラミがニッケイ、ヤブニッケイの葉に作る虫こぶ(ゴール)です。ヤブニッケイに多く見ることができます。ニッケイハミャクイボフシは葉脈上や葉脈に沿って作られます。数個が葉につくものや沢山のニッケイハミャクイボフシができている葉などがあります。ほとんどが単独(1個)ではなく、ほぼ複数で葉にできています。ニッケイハミャクイボフシ はクスノキ科のクスノキの葉にできるクスノキハクボミフシとそっくりなゴールです。こちらの虫こぶ(ゴール)はクストガリキジラミにより葉の上に作られるという違いがあります。ニッケイトガリキジラミ(トガリキジラミ科)は2齢幼虫で越冬して、翌年の3〜4月に羽化します。羽化した成虫は新葉に産卵します。孵化した幼虫は葉裏の窪みの部分に生息しています。葉の裏側にある1つの窪みに1匹の幼虫がいます。分布は本州、四国、九州。ニッケイトガリキジラミの写真が撮れたら追加したいと思っています。
ヤブニッケイ葉.JPG
上、ヤブニッケイの葉です。この樹の近くにはもう少し葉の細いヤブニッケイの樹もありました。クスの樹の葉の脈にはダニ室がありますが、ヤブニッケイの葉にはダニ室はありません。
ニッケイハミャクイボフシ1.JPGニッケイハミャクイボフシ2.JPGニッケイハミャクイボフシ裏側.JPG
ニッケイハミャクイボフシです。ビルの脇の植え込みに植栽されていたヤブニッケイで見つけました。葉にボツボツのイボ状の瘤ができます。上は数が少ないですが、中の写真では多くが脈に沿ってできています。黄色く見える部分が綺麗です。下は中の写真と同じ葉の裏側です。撮影地。神奈川県横浜市、みなとみらい。
植物にできるゴールを面白いと見るのか、気持ち悪いと見るのかには個人差が大きいと思います。多くは気持ち悪く感じるのでしょうが、ゴールに興味が出てくると見つけると嬉しくなってしまいます。
posted by クラマ at 16:50| Comment(0) | 虫こぶ(ゴール) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする