2017年07月05日

ナガヒラタムシ。凸凹した頭と点刻が上翅に綺麗に並んで見える原始的な昆虫です。

ナガヒラタムシは始原亜目という部類に属する原始的な昆虫です。ナガヒラタムシは日本では1属4種類の小さな科を作っている昆虫で、ペルム紀(2億年前)の地層から化石が見つかっているという変わり種の昆虫です。大昔から姿を変えないで生き続けてきただけあって面白い体をしています。体色は暗褐色〜黒色に見え扁平で細長い体つきをしています。頭部には突起(コブ状)が見えます(凸凹した頭部をしています)目は半球状に両側に飛び出て見え、鞘翅には明瞭な点刻(格子状の点刻)が綺麗に並んでいます。触角は太くて長く、大人しくとまっている時は脚を引っ込めているので、他の昆虫のように脚は見えません。あえて似ている昆虫というと1見カミキリムシに似て見えます。夜行性ということからなのか、なかなか見つけられない昆虫ですが、灯火に集まる習性があり、灯火の下で見つかることがあるようです。ナガヒラタムシの名前の通りに、長くて平たい原始的な昆虫、ナガヒラタムシを調べてみました。
★ナガヒラタムシ ナガヒラタムシ科。体長9〜17ミリ。黒い体色に細長く扁平な体形で、鞘翅に見える格子状の点刻 が印象的です。大きさはばらけるようです。出現は6〜8月。夜行性で灯火にもくるようです。昼間は葉の上などでじっとしているようです。石川県では準絶滅危惧種になっています。分布は北海道、本州、四国、九州。成虫の餌は不明です。幼虫は朽ち木を食べるようです。成虫は脚を引っ込めて擬死します。成虫の出現時期を考えると、越冬は朽ち木内で幼虫で越冬すると推測します。よく似た種類にヤマトナガヒラタムシがいます。ヤマトナガヒラタムシの特徴は複眼がナガヒラタムシよりも小さく、上翅第1列の点刻が50〜53個あるそうです。ナガヒラタムシの場合、点刻が50個以下になります。ヤマトナガヒラタムシの個体数は少ないようです。ヤマトナガヒラタムシを実際に調べたら分布地域の中でもかなり個体数は少ないのかも知れません。ナガヒラタムシを見つけたら、ナガヒラタムシとヤマトナガヒラタムシの違いが点刻の数になるので、両種を見分けるために点刻の数が分かるように写真に残すと良いと思います。珍しいヤマトナガヒラタムシが見つかるかも知れません。
ナガヒラタムシ1.JPGナガヒラタムシ2.JPGナガヒラタムシ腹面.JPG
ナガヒラタムシです。見つけたのはムクゲの葉の上です。ただの平べったい黒い昆虫のように見えますが、実は原始的な姿を今に残している昆虫です。化石の中から見つかっているだけあって、よく見て見ると面白い昆虫です。目は両側に飛び出して見え、背中(鞘翅)には凸凹とした点刻が並んでいます。体の割に触角は太くて長く、脚は体に対して短いです。すぐには何科に属するのか思い浮かばないと思います。頭部、胸背部は凸凹していて、原始的な昆虫であることに納得させられてしまうような形をしています。ナガヒラタムシは中々の面白昆虫です。上、ナガヒラタムシを見つけたときの状態です。葉の上にとまっている時、他の昆虫のように脚を伸ばして葉にしがみついていません。変わったとまり方をしていました。中、ナガヒラタムシの頭と胸背部を拡大して見ました。凸凹した突起のある頭部と、胸部の左右の上端は張り出して尖って見えます。また窪みのある胸背部がより原始的な昆虫と言われる由縁を物語っているように見えます。下、腹側です。地面に落ちたら分からなくなりそうだったので、ビニールの上に落としてみました。体に対して短い脚を実にうまく畳み込んでいます。この状態でじっと動きません。脚を引っ込めて死んだふり(擬死)をしているのです。得意技は擬死のようです。葉にとまっている時から脚は引っ込めていたので、死んだふりをしても見た目に大差はない気もしますが、ナガヒラタムシとしては精1杯の防衛策のようです。葉の上に落としてあげるとすぐに死んだふりは止めましたが、その場でじっと動かなくなりました。写真では色が実際の体色よりも茶色に写ってしまいました。撮影は7月。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
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2017年06月29日

ヒメバチ科(寄生蜂)のハチ。シロスジクチキヒメバチ、シロテントガリヒメバチ、シロヨトウヤドリヒメバチ、エゾオナガバチ。

ヒメバチ科のハチは寄生蜂と呼ばれ、他の昆虫やクモ類、昆虫の幼虫に卵を産み付けます。幼虫はそれを餌に育つ肉食性の寄生蜂になります。ヒメバチ科は似たものが多く名前を探すのが難しいです。単にヒメバチというとヒメバチ科の総称になります。日本にいるヒメバチは1000種類を超えているそうです。ゆえに特徴的なヒメバチ以外は名前を当てることも難しく、似たものでも実は別種ということも十分に考えることができます。正しくはヒメバチ科の1種として紹介することがふさわしいのですが、ここではあえて似た種類の名前で紹介させていただきます。ヒメバチの体は細長く、腹部も細長い体をしています。触角は糸状でとても長いハチです。特徴的なのは雌の産卵管で、体長を優に超えるほど非常に長い物を持つ種類もいます。細長い体にやたらに長い産卵管を持っていたらヒメバチの仲間やコマユバチの仲間である可能性があります。ヒメバチ科とコマユバチ科では翅の翅脈に違いが見られるので、写真に残しておくと良いと思います。ヒメバチ科の中でも特に長い産卵管を持っているハチをオナガバチと呼んでいます。オナガバチの仲間は大型で、産卵管が体長よりも長い産卵管を持っています。ヒメバチ科は種類により寄生する昆虫は変わるのですが、朽ち木や材などの中にいる幼虫に、長い産卵管を使って卵を産み付けるものが多く知られています。材中の昆虫に寄生する場合、どのように材の中などにいる昆虫を探すのか不思議です。寄生される昆虫にしたら、比較的に安全なはずの朽ち木内に身を隠していても探し出されてしまうので、寄生される昆虫からすると災難としか言いようがありません。ヒメバチ科はまだ生体が良く解明されていないものも多く、分からないことも沢山あります。雌の針のように見える器官は産卵管になります。スズメバチ科やミツバチ科の毒針は人を刺すことができ、普段は腹部に収納されていて見えていない事と比べて、ヒメバチ科の産卵管は危険な雰囲気を漂わせていますが、人を刺す様なことはありません。ヒメバチ科の中でも産卵管の短い種類であっても刺されたら痛そうな長い針が突き出ています。オナガバチの仲間に至っては、産卵管があまりに長すぎて、いくらなんでも刺すのには無理があるだろうと誰もが思うほど長いものです。針に見えても産卵管なので雄にはありません。オナガバチは大型種になります。個性的な外観を持ったヒメバチ科のシロスジクチキヒメバチ、シロテントガリヒメバチ、シロヨトウヤドリヒメバチ、エゾオナガバチを調べてみました。
★シロスジクチキヒメバチ ヒメバチ科。体長16〜20ミリ?。分布は北海道、本州、四国。シロスジクチキヒメバチの特徴は触角の中央に白い帯があり、腹部には複数の白い筋状の帯があります。雌は長い産卵管を持っています。雌は長い産卵管を使って朽ち木などの材の中身いる昆虫の幼虫に卵を産み付けます。シロスジトゲヒメバチ、シロテンタガリヒメバチなど大変良く似ている種類がいます。
★シロテントガリヒメバチ ヒメバチ科。 体長10ミリ。黒い体色をしていますが、触角の中ほどには白い帯が入っています。腹部先端は黄白色や白色をしていて、中脚と後ろ足の脛節の基部に白い帯が入っています。出現は良く分かりませんが、私見で4月から9月頃までは活動しているようです。分布は北海道、本州、四国、九州。シロテントガリヒメバチはガの蛹に寄生する寄生蜂です。マツムラトガリヒメバチなど似た種類が多くいます。様々なガに寄生することから、益虫としての側面も持っています。
★シロヨトウヤドリヒメバチ ヒメバチ科。体長18〜20ミリ。体の特徴は、触角が黒色で小楯板は黄色。腹部には2本の黄色い帯があります。脚は黄色い部分が多く見えます。分布は北海道、本州。名前からすると寄生するのはヨトウガになるようです。寄生する種類はシロヨトウという種類なのかも知れません。また寄生するのがヨトウガの幼虫なのか蛹なのかは分かりません。シロヨトウヤドリヒメバチは地味ながら何気に綺麗に見えるヒメバチです。
シロスジクチキヒメバチ1.JPGシロスジクチキヒメバチ2.JPGシロテントガリヒメバチ雄.JPGシロテントガリヒメバチ翅脈.JPGシロヨトウヤドリヒメバチ(ヒメバチ科).JPG
上2枚シロスジクチキヒメバチの雄です。2枚目、腹部後端に白い管状の線が見えます。出現は良く分かりませんが、見間違いが有るかも知れませんが、私見で4月から9月頃までは活動しているようです。3、4枚目シロテントガリヒメバチの雄。産卵管がありません。4枚目は翅の翅脈が分かるようにやや拡大して見ました。です。シロテントガリヒメバチの雄として紹介させていただきます。現は良く分かりませんが、私見で4月から9月頃までは活動しているようです。下、5枚目シロヨトウヤドリヒメバチの雄。撮影は6月。ストックしてあった写真を使いました。見た目で判断したので、正確には似た種類が多いので間違っているかもしれません。産卵管がないのでいずれの種類も雄になります。
★エゾオナガバチ ヒメバチ科、オナガバチ亜科。体長30〜40ミリ。雌は非常に長い産卵管を持っています。あまりの長さに驚いてしまいます。分布は北海道、本州、四国、九州。よく似た種類にオオホシオナガバチがいます。エゾオナガバチとオオホシオナガバチの見分け方は翅を見ます。エゾオナガバチの翅は全体が透明です。オオホシオナガバチの場合は翅の先端近くの外縁に大きな黒い斑紋があります。腹部の黄色い帯はくびれて見えません(斑紋等には変異があるかも知れません)。この2種類は大変良く似ているので、よく見ないとどちらの種類なのか分かりません。どちらも大型で黄色と黒のコントラストが美しいオナガバチです。エゾオナガバチは枯れ木の中にいるキバチ類の幼虫に卵を産み付けます。
エゾオナガバチ(ヒメバチ科).JPGエゾオナガバチ.JPGエゾオナガバチ4月.JPG
エゾオナガバチです。立派な産卵管を持っている雌です。上、黄色が綺麗なハチです。ただでさえ細長い体をしているのですが、触角と産卵管を入れた長さには驚いてしまいます。体にはツヤがあり黄色い模様のある体には迫力を感じます。体長をはるかに超えた産卵管の長さを見ていただきたい種類です。触角はやや見切れています。中、横から見たエゾオナガバチです。下、上から見た所です。エゾオナガバチの翅には黒紋がないので、よく似たオオホシオナガバチと判別することができます。このエゾオナガバチは林縁のシャリンバイの葉の上にいました。風が強い日で風をよけてじっとしていました。エゾオナガバチは初めて見つけたのですが、また見て見たい魅力的なオナガバチです。この写真は4月に撮影しています。他のヒメバチ科のように9〜10月頃まで活動しているのでしょうか?普通種のようですが見る機会が少なそうな気がします。また見つけた場所に足を運んでみることにします。撮影地。神奈川県海老名市。
ヒメバチ科のハチは属が分類されている種とまだ分類されていない種が沢山いるので、この程度の判断では種名が間違っている可能性の方が高いです。紹介するうえであえて名前を当ててみました。参考までにしてみてください。
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2017年06月25日

ムネクリイロボタル。陸生の小型のホタルです。

陸生のホタル、ムネクリイロボタルを見つけました。小さいので良く見ないと見落としてしまいそうです。雌雄の違いは触角にあるのですが肉眼では分かりにくいです。見て見たい種類だったので偶然見つけることができてラッキーでした。1週間後に行ってみたのですが、もう見つけることができませんでした。まさか生息しているとは思えない環境なので、個体数はどう考えても少ないと思います。また来年のお楽しみです。ムネクリイロボタルの姿は小さくてもホタル科らしい体形をしています。上手く時期に当たれば、昼行性なので頑張れば見つけることができます。陸生のホタルの場合、成虫はあまり光を発しません。幼虫の方が光を発します。ムネクリイロボタルの成虫の発光は非常に弱いそうですが、発光の様子も見て見たいものです。ムネクリイロボタルは陸生のホタルの中では最も普通にいる種類になるようです。
陸生のホタルの中でも光るホタル(強い発光をするホタル)にヒメボタルがいます。ヒメボタルは日本固有種になります。ヒメボタル以外の陸生のホタルは昼行性で、光を出さない種類、または発行してもかすかな光しか放ちません。夜間に発行するヘイケボタルやゲンジボタル(ゲンジボタルも日本固有種)のような強いはっきりとした発光はしません。陸生ホタルの発光は幼虫期に行われます。特に発行が強いのはクロマドボタルと呼ばれる種類で、幼虫は夜間に背の低い下草あたりを移動しながら発光するそうです。発行は連続する発光になるそうです。発光時間は長く20〜30秒と長いようです。この発光を手掛かりにして見つけることができるかもしれません。生育環境はやはり湿気のある場所を好むので、条件を満たすような場所を探すと見つかるかも知れません。発光する時間や見つけやすさは、夜行性のゲンジボタルやヘイケボタルのように暗くなる19時半から20時頃が見つけやすいようです。ヒメボタルは地域によって1番光る時間が変わるようです。強い光をだすホタルは幼虫が水の中で育つ水生のゲンジボタルとヘイケボタル。そして陸生のヒメボタルになります。
最も身近にいるホタルの1種、ムネクリイロボタルを調べてみました。
★ムネクリイロボタル ホタル科の普通種。体長は雄7〜8ミリ。雌8〜9ミリ。ムネクリイロボタルの特徴は黒色の体に前胸部は橙褐色(栗色と呼ばれている色)をしている小型のホタルです。体つきは平たくなっていて弱い光沢があります。翅(鞘翅)はザラついた感じになっていて、縦条隆起が見えています。雄と雌の区別は触角で判断することができます。よく見ると雄の触角は櫛状に見えます。ホタルの仲間らしい体つきをしています。出現は5〜7月。分布は本州、四国、九州。低山地の林内や林縁。人家付近の里山、農耕地、草原などのやや湿った場所に生息する昼行性の陸生のホタルです。都市部の自然公園などにも生息していて適応力は強いです。発光器を持っているので、夜間は弱い光を出すそうです。光り方は弱い連続した光になるそうです。蛹、幼虫も発光器を持っていて弱い光を出すそうです。幼虫は落ち葉の下などに生息していて、餌は肉食性で陸生の貝類のウスカワマイマイなどの小型のカタツムリやヒカリギセルなどのキセルガイ科やオカチョウジガイ(オカチョウジガイ科)などの陸生貝。ミミズなどを食べるそうです。ちなみにキセルガイは左巻きで大きさは20ミリ程。オカチョウジガイは右巻きで10ミリ程の大きさです。ホタルの仲間なので乾燥に弱く、落ち葉の重なった適度の湿り化のある場所が住処になるようです。成虫は通例、他のホタル同様餌を食べませんが、稀に花の蜜を吸うそうです。恐らく水分を補給するためと推測します。越冬は幼虫が土中の浅い場所で越冬するようです。普通種とされる理由は都市部の公園にもいる適応力の強さと分布域の広さ、陸生であることによると思います。陸生とは言え乾燥には弱いので、場所にもよりますが数(個体数)は多くはないと思われます。ゲンジボタルやヘイケボタルのように環境の変化、生息地の消滅などの影響は受けにくい種類ですが、やはり数は減らしていくのでしょう。
ムネクリイロボタル雌.JPGムネクリイロボタル雄.JPGムネクリイロボタル雄触角.JPG
ムネクリイロボタルです。見つけた場所から見ても非常に狭い場所で生息しているようです。餌は確実に不足しているように思えるのですが、良く生息しているものだと感心してしまいます。体つきは雌雄同じに見えます。上はムネクリイロボタルの雌です。中、ムネクリイロボタルの雄です。触角を見比べると違いがあることが分かります。下、雄の触角です。拡大して見ました。目視ですと小さいので触角の違いは分かりません。このような場合には愛用のコンパクトデジカメが威力を発揮します。撮影は5月16日。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
posted by クラマ at 03:25| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする