★クマゼミ セミ科。日本特産種の大型のセミです。体長40〜48ミリ(翅端までの長さは60〜70ミリ。)体は光沢があり黒っぽく見えます。黄白色の微毛が生えていますが、個体が古くなると微毛は脱落して、地色の黒色が目立って、より黒い体色に見えてきます。体長ではアブラゼミに近いのですが、頭部はクマゼミの方がはるかに幅があり、全体的にも幅があり大きく見えます。体積のある体つきは他のセミと違って見えます。翅は透き通っていますが、翅の基部は黒色で翅脈の基部では黄緑色をしています。腹部(尾端)よりもはるかに長い翅をもっています。雌は鋭い産卵管を持っていて、電話線などの光ファイバーケーブルが被害を受けることも多い様です。近年、北上をしている種類です。餌は成虫は樹の樹液を吸います。幼虫は地面に潜って樹の根などから樹液を吸います。クマゼミの分布の北上や生息範囲の拡大には、樹木の根にいた幼虫が植樹によって移動したことももあるようです。
出現は7〜9月。ピークは7〜8月になります。鳴き声は人によって聞こえ方は違ってくるのですが、大きな声で「シュワシュワシュワ・・・」と聞こえる鳴き声を出します。分布は本州(北限は東北地方の福島県で確認されています)、四国、九州、沖縄。温暖な地域の平地に多い南方系のセミです。主に広葉樹に発生します。見かける場所は街路樹、自然公園、樹林などに多く、神奈川県ではミンミンゼミと共にクマゼミの都市部への進出が目立ってきています。乾燥した地域や明るく開けた場所も好みます。温暖化や高温に強い種類になっています。クマゼミは枯れ木に産卵する習性があります。幼虫の期間は4〜5年のようです。越冬は卵と幼虫で越冬します。
クマゼミと言うと、昔は大変珍しい種類でしたが、現在は普通にいるセミになりました。神奈川県では多い地域と少ない地域があります。神奈川県海老名市では30年ほど前から鳴き声は聞こえていました。飛翔力が強いともいわれていますが、どの程度の距離を飛ぶのか(移動距離)は分かっていません。クマゼミが繁殖地から飛んできたことによるようです。神奈川県でも温暖な地域(三浦半島や大磯、湘南のような海沿い)でないと繁殖はできなかったようです。最近ではクマゼミの抜け殻が見つかった地域(藤沢市、横浜市、横須賀市、茅ヶ崎市、平塚市、大和市など)は広いようです。
クマゼミです。上、横幅がありガッチリとした体格をしたセミです。撮影地は神奈川県横浜市みなとみらいです。今年はアブラゼミが少なく、鳴き声からするとクマゼミが数を増やしています。クマゼミ、ミンミンゼミが増えて、アブラゼミが少なくなったと思います。アブラゼミも乾燥に強い種類なのですが、クマゼミの繁殖力が勝っているのでしょうか。セミは鳴き声を手掛かりに探すと見つけやすいので、クマゼミの場合、午前中、10時頃までが見つけやすい時間帯になります。しかも午前中だと樹の低い場所にとまっていることもあります。鳴き声は午前中はクマゼミ、午後からはアブラゼミが多く鳴きだします。以前、午後に来た時にはクマゼミの声は聞こえなかったので(たまたまかも知れませんが)このようにたくさんのクマゼミがいることに気が付きませんでした。ミンミンゼミも午前中は樹の低い場所にいるので見つけやすいです。下、クマゼミを横位置にして少し拡大した写真です。翅は基部側の黄緑色が綺麗です。黒い迫力のある体色もカッコ良いのですが、まだ新しい微毛の生えている成虫も魅力的です。アブラゼミやミンミンゼミと違い、クマゼミの頭部には横幅があります。他のセミとは体格も違うのですが、この頭の形が特徴になっています。
セミは女性には嫌われがちな昆虫になりますが、夏の風物詩としてのセミの鳴き声も悪くはないと思います。色々な種類のセミの鳴き声を探すことも面白いと思います。