2015年09月25日

ヒメジョウゴゴケ。小さなラッパ型の柄を伸ばす地衣類です。

ヒメジョウゴゴケは名前にコケとついているものの、コケの仲間ではなく地衣類(ライケン)になります。変わった形の物が多い地衣類の中では、形がコケや植物に1番似ている種類だと思います。ヒメジョウゴゴケは石の表面や石垣、コケの生えた地上に生えています。道路脇の石垣や人家の周りなどでも見られる、普通に見られる普通種になります。道路の脇の石垣などでも見ることができることから、大気汚染には強いようです。日の当たる石の表面からも発生しているので、乾燥にも強いようです。ジョウゴゴケとジョウゴとなついているように子柄がラッパ型(漏斗状)をしていることが特徴になります。発生時はコケというよりは、何か別の草花にも見えます。小さいのですが、よく見るとラッパのような形をした子柄がとても可愛いです。似た種類が多くあるようで、細かい判別となると難しいようでが、独特の子柄の形から、ジョウゴゴケの仲間であることは予想をすることができます。ヒメジョウゴゴケはハナゴケ科になります。小さいのでその存在に気が付いてもらえないため、普通に見ることができる種類なのですが、知られていない存在になっています。盆栽の愛好家の間では鉢植えにも使うことがあるらしく、意外にも知られた存在になっているようです。垂直になった石の表面や割目、苔の生えた地上にひっそりと生育しています。ヒメジョウゴゴケを調べてみました。
★ヒメジョウゴゴケ ハナゴケ科の子嚢地衣類。分布は本州、四国、九州。普通に見ることができる普通種になります。平地から低山地の地上、岩上に生育しています。人家付近の日当たりのよい石垣や交通量の多くない道路脇の石垣などでも見ることができる普通種になります。地衣体は鱗片状で長さ1〜5ミリで幅は1〜2ミリの円形に近い形をしています。縁は丸みのある鋸歯状になっています。ラッパのような形(漏斗型)の子柄は単体で直立します。高さは0・5〜20ミリ。直径2〜6ミリのラッパのように見える盃形をしています。その基部は幅がせまくつぼまっていて基部の直径は1ミリ程です。子器は盃縁に付きレキデア型になります。
ヒメジョウゴゴケ1.jpgヒメジョウゴゴケ2.jpg
ヒメジョウゴゴケです。この2枚はすぐ近くに生えていたものです。上、岩の上から発生しています。下はコケの上に生えていたものです。ラッパ状のものが石から生えたように見えます。全く地衣類には不思議なものが多いです。
ヒメジョウゴゴケ3.jpgヒメジョウゴゴケ4.jpg
別の場所で撮影したものです。上の写真の個体群とは色合いが少し違って見えます。この2枚の写真のヒメジョウゴゴケは岩上から発生していました。
ヒメジョウゴゴケ5.jpg
発生の初期の段階のものです。この状態からラッパのような形の子柄を伸ばしていきます。これから葉体も広がっていきます。この状態を見るとコケのようにも見えるし、形が他の植物のようにも見えます。これは道路沿いの民家の石垣の石の表面から発生していました。この写真はまた別の場所で撮影したものです。
不明のハナゴケ科.jpg
上は名前が分からない不明種です。細長い漏斗状の子柄がやたらと長く立ち上がっています。石の表面に生えていました。ハナゴケ科の仲間ではあると思います。
小さくて目立たないヒメジョウゴゴケもこのように拡大して見ると不思議で面白い形をしていることが分ります。地衣類は面白いです。
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2015年09月18日

ウメノキゴケ、キウメノキゴケ、ナミガタウメノキゴケ、ハクテンゴケ。ウメノキゴケ科の地衣類4種類です。

ウメノキゴケ科の地衣類(ライケン)はどれもよく似ています。見た目では判断が難しいものもが多くあります。そのような中でこの4種類は似た種類の多い地衣類の中でも判断しやすい方の種類になると思います。ウメノキゴケの仲間は大気汚染に弱く都市部の環境の悪い場所では生育できません。この性質を利用して環境を図ることができる環境指標生物として知られています。生育に適した環境では樹皮に張り付いて集団を作っていることもあります。見た目に木を弱らせているように見えますが、木の養分を吸い取るようなことはしません。着生しているだけです。沢山木の樹皮に着生していても木を枯らすことはありません。ただ枯れた木にこれら地衣類がついていると、木を枯らしてしまったように見えることから、悪いイメージを与えてしまい誤解を招いているようです。ウメノキゴケ科の葉状地衣類は近くによって確認しないと、どれもよく似ていて同じように見えてしまいます。乾燥が進んでいる時と湿潤時では色が変わることも地衣類の面白い特徴になります。その変化は菌類と藻類が共生していることによります。ウメノキゴケ、キウメノキゴケ、ナミガタウメノキゴケ、ハクテンゴケは、皆この共生関係を持っています。この中ではハクテンゴケが比較的に大気汚染(2酸化硫黄など)に強いようです。ハクテンゴケの地衣体には白い小さな白点が見えることから、特定しやすい種類になっています。身近に大気汚染に弱いウメノキゴケを見つけることができたら、とても良い環境が保たれていると理解して良いと思います。ウメノキゴケ、キウメノキゴケ、ナミガタウメノキゴケ、ハクテンゴケの4種類の地衣類を調べてみました。
★ウメノキゴケ ウメノキゴケ科。ウメノキゴケにはトレブクシアという藻類が入っています。ウメ、サクラの木に多く見ることができます。地衣体は葉状をした子嚢地衣類になります。平地から山地に見られ木の樹皮、樹枝、岩上に見られます。分布は本州、四国、九州、沖縄。地衣体は灰白色〜灰緑色。裂片は幅が5〜20ミリ。中央部に顆粒状〜円筒状の裂芽ができます(細かい突起状のものが多数できています)主に無性生殖を行うために子器は稀でレカノラ型になります。似た物にはキウメノキゴケ、ナミガタウメノキゴケ、ハイイロウメノキゴケ属があります。ウメノキゴケの呼び名は総称的になっているため、似た種類をまとめてウメノキゴケと呼ばれていることも多いようです。詳しく分類するためには試薬での検査が必要になってきます。
見分ける特徴は裂片の端が褐色をしていて、地衣体はシワシワに見えますが表面は平らです。腹面は黒色をしていて黒い擬根を散生しています。形は理想的には円形〜楕円形で大きさは直径25センチに達します。中央部付近にできる裂芽も特徴になります。裂片の先は丸くなっていて裂芽は地衣体の中央付近に密生しています。裂片の先にはシリア(葉状体の縁にあるまつ毛のように見えるもの)はありません。裂片の端は淡黄色〜淡赤褐色をしています。地衣類の中でも大気汚染に弱い種類になります。そのため都市部ではあまり見かけることができない種類になってきます。
★キウメノキゴケ キウメノキゴケ科。分布は北海道、本州、四国、九州。樹幹などの樹皮の上、岩上に見られます。地衣体は葉状をした子嚢地衣類。直径は5〜20センチ。背面が黄緑色〜淡黄色をしています。日陰では灰緑色になります。裂片は幅が5〜13ミリ。裂片の先が丸く表面にはしわがあります。生殖は主に無性生殖を行うので、子器は稀にしか付きません。子器の形はレカノラ型で盤の色は褐色になります。初期は丸い痂状の粉芽(無性生殖器官)が付きます。裂芽はつきません。擬根は黒色をしています。キウメノキゴケが黄色っぽく見えるのはウスニン酸を含んでいることによるらしいです。裂片の表面にはシワがあり裂片の端は褐色をしています。裂片の先にはシリア(葉状体の縁にあるまつ毛のように見える毛のようなもの)はありません。ウメノキゴケと大変よく似ていますが地衣体が黄色っぽく見えることが特徴になっていて、ウメノキゴケと見分ける判断の1つになっています。この色の違いと表面のシワ、裂芽の有無を比較して見分けますが、小さいうちだと迷ってしまいます。特徴があるとはいえ、地衣類の種類の判断は似た物が多いので、見た目の判断では間違える確率は高くなってしまいます。
ウメノキゴケ1.jpgウメノキゴケ4.jpgウメノキゴケ列芽.jpgウメノキゴケ4.jpgウメノキゴケ追加2.jpg
ウメノキゴケです。総称的に見るウメノキゴケと区別して個別に種類を特定するとなると、ウメノキゴケには似た物が多く見分けるのが難しくなります。3枚目は2枚目と同じものの裂芽の部分の拡大です。細かい裂芽が密生することがウメノキゴケの特徴になります。写真を追加しました。     
キウメノキゴケ1.jpgキウメノキゴケ2.jpgキウメノキゴケ乾燥時2月.jpg
キウメノキゴケです。地衣体の中央部分が黄色味を帯びて見えました。写真では分かりにくくなっています。2枚目は1枚目の拡大です。シワが表面にあることが分ります。3枚目は乾燥時(2月)に撮影したものです。写真を差し替えました。乾燥すると地衣体は白っぽくなってしまいます。こうなるとウメノキゴケの灰白色をした種類と見分けにくくなってしまいます。地衣類は似た物が多く、見た目での分類が難しいことが分かる写真の比較になります。ウメの木で生育していました。写真のキウメノキゴケは3枚とも同じ個体です。
★ナミガタウメノキゴケ ウメノキゴケ科。分布は本州、四国、九州。山間部に多く都市部に少ない種類になります。樹幹、樹枝、岩上に見られます。地衣体の大きさは直径3〜10センチ。葉状で中央付近をはじめ全体的に波打って見えます。この波を打ったような形状がナミガタウメノキゴケの名前の由来のようです。裂片はフリル状に上を向いていて裂片の縁に(先端部分に)粉芽を付けます。裂芽はつけません。縁にはシリアもありません。裂片の先端の裏は白く地衣体の腹面は黒色、その周辺部は褐色をしています。地衣体が平べったく木に張り付いて見えるウメノキゴケやキウメノキゴケなどの仲間に比べて、立体感のあるボリュームのある塊に見えることで、少し離れている所からでも見つけやいです。裂片の先端にも厚みがあることから見分けやすい種類になっています。
★ハクテンゴケ ウメノキゴケ科。葉状部の表面に白色の斑点(疑盃点)が散在します。裂片には丸みがあり粉芽(ソラリア)を付けます。粉芽は円形をしています。低地から低山地の樹幹に見られます。分布は温帯域に広く生息しています。地衣体の背面は白色〜褐色をしていて、裂片の間隔は狭くなっています。ウメノキゴケ科の中では大気汚染には比較的に強い方になります。よく似た物にトゲハクテンゴケがあります。
ナミガタウメノキゴケ1.jpgナミガタウメノキゴケ2.jpgナミガタウメノキゴケ3.jpgナミガタウメノキゴケ拡大.jpg
ナミガタウメノキゴケです。4枚目は裂片の先端部分の拡大です。ナミガタウメノキゴケは裂片の先端が立ち上がり、波のようなフリル状になることが特徴です。裂片の先端部分に特徴が現れる種類になり、覚えやすい形の地衣類と言えます。ウメノキゴケよりもしっかりとして(頑丈に)見えます。いくつかの株がかたまって(集まって)大きな塊に見えるものもありました。
ハクテンゴケ1.jpgハクテンゴケ2.jpgハクテンゴケ.jpgハクテンゴケ粉芽.JPG
上3枚、ハクテンゴケです。この写真の物はやや湿っている時のものです。乾燥しているともっと白っぽくなってしまいます。裂片の表面にある疑盃点(白い点に見えるもの)が目立っています。この特徴からハクテンゴケは特定しやすい種類になります。3枚目、湿潤時のハクテンゴケ。たっぷりと水分を吸収すると地衣体は緑色に変化してしまいます。この色の変化が地衣類の面白い特徴になっています。4枚目(追加しました)は、ハクテンゴケの粉芽です。よく似たトゲハクテンゴケは小裂片の裂芽になっていることで区別します。
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2015年09月10日

ヘリトリゴケ。石の表面に張り付いて育つ地衣類です。

ヘリトリゴケは石の表面に生育して育つ岩上生の地衣類(ライケン)です。薄くて平べったくて表面にはボツボツができています。しっかりと石と1体化していて剥がれることはありません。これは強い酸を出して岩を溶かして張り付いているからです。色も灰色や淡青色をしているので石や岩の1部分にも見えてしまいます。地衣類は藻類と菌類の共生体になり、お互いに助け合って共存しています。地衣類の成長速度は遅いものが多く、それ故に寿命の長い種類もいます。ヘリトリゴケは寿命の長い地衣類としても知られていて、地衣体の大きさから寿命を推測することができます。ヘリトリゴケの成長は遅く、年間0・1〜1ミリといわれています。年間1ミリの生育ができるのは最適な環境での場合になるので、成長速度は0・7ミリ以下ともいわれています。和歌山県の古座川沿いにある1枚岩には、日本最大のヘリトリゴケが生育しています。その大きさは1番大きいもので楯1567ミリ。横1845ミリもあるそうです。この大きさは日本最大どころか世界最大ともいわれています。この最大級のヘリトリゴケの年齢は、成長速度を0・1〜1ミリとして900〜9000年と推測されています。この1枚岩には1メートルを超える円形〜楕円形をしたものが12個もるということです。ヘリトリゴケの地衣体の形の理想は円形になります。ヘリトリゴケは種類の判断が難しい地衣類の仲間の中で、特徴的な子器をしているために、判断しやすい種類といわれています。子器の形はレキデア型で、子器の盤を上から見ると盤の周りが黒くなっていて、盤が黒色で縁取られているように見えます。レキデア型とは果托(子器の周りの部分)がないもので、共生藻の無い炭化した黒色をしている果殻で取り囲まれている形をしています。その特徴からヘリトリゴケは判断しやすい種類といわれているのです。地衣体の色の違いは共生している藻類の違いによるらしいです。乾燥時には灰色に見える種類でも、雨などに当たり湿り気を帯びると、薄い青色や緑色を表面に見ることができるようになります。この色の変化から石や岩に張り付いていて、まるで無機質な石の1部にしか見えない薄い体の中にも藻類が共生していることが理解されます。ヘリトリゴケは乾燥にも強く日当たりの良い場所から日陰でも見ることができます。都市部の公園の石垣や岩、石の表面で見ることができるので、二酸化硫黄などの大気汚染には比較的に強い方の種類になるようです。この不思議な生き物、ヘリトリゴケを調べてみました。
★ヘリトリゴケ ヘリトリゴケ科。岩上生で岩や石に固着する疣状地衣。平滑で厚みがなく岩や石と1体化しています。普通に見られ、低地から山地の日当たりの良い石や岩の上に生育しています。ヘリトリゴケは子器の周り(果托)が黒く縁取られることが特徴になり、似た物が多い地衣類の中でも判断しやすい種類になります。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。成長速度は年1ミリ以下と遅くなりますが、非常に寿命の長い種類になります。理想の形は円形になり、円形〜楕円形をしています。他の種類や他の個体とせめぎあって、不定形な形になるものも多くみられます。地衣体の色は灰白色〜淡青色。子器の形はレキデア型で子器の盤は直径0・5〜3ミリになります。盤は平坦もしくは凸面をしています。共生している藻類に違いがあり、その違いが色の違いになります。日本最大の地衣類になります(世界でも最大の種類になるようです)日本の最大種は和歌山県の古座川沿いにある1枚岩に生育しています。
ヘリトリゴケ1.jpgヘリトリゴケ2.jpg
ヘリトリゴケです。上、不規則に広がっています。のびのびと育つことができないと縄張り争いが起きて、入り込んだ地図のような形になってしまいます。下、隣のヘリトリゴケとぶつかってしまいますね。円形に育つことは今後は無理のようです。上のヘリトリゴケの色は暗灰色をしています。石の1部にしか見えませんね。外縁部は黒く縁取られるので地図を描いたようにも見えます。面白い形を作っているものもあり面白いです。
ヘリトリゴケ3乾燥時.jpgヘリトリゴケ4湿潤時.jpg
こちらは同じ個体の乾燥時(上)と湿潤時です。色がこのように変わってしまいます。実に面白い変化です。地衣体の形は理想の円形をしています。地衣体の外縁部が縁取られていることが見てとれます。
ヘリトリゴケ5乾燥時.jpgヘリトリゴケ6湿潤時.jpgヘリトリゴケ7.jpg
ヘリトリゴケの子器を拡大した写真です。上の2枚は同じものです。上が乾燥時、下が湿潤時のものになります。湿り気を含んだ場合には、2枚目の写真のように盤が盛り上がって見えます。そのため縁取りが分かりにくく見えています。3枚目、別のヘリトリゴケの子器です。これが生き物だと思うと不思議で仕方がありません。ヘリトリゴケの子器は地衣体の上に散在しています。ヘリトリゴケも子器の並び方や地衣体の色の違いなどで幾つかに分類がされています。
ヘリトリゴケ・コロニー2.jpg
写真を追加しました。ヘリトリゴケと他の岩上生の地衣類がひしめき合って発生している石の表面を写したものです。この写真に写っているヘリトリゴケを見比べてみると、地衣体の色の違いや盤の大きさ、盤の色の違いが見てとれました。このようにギッチリと込み合っていると、もうこれ以上は大きくなれないと思います。あとは外側にあるものが勢力を広げていくのでしょう。よく見るとモザイク模様のようで面白いです。写真の撮影場所すべて神奈川県横浜市。
posted by クラマ at 12:16| Comment(0) | 地衣類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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