オオミスジコウガイビルは最大で1メートルにもなる巨大な扁形動物です。苦手な人はスルーしてください。姿は細長いヒモ状の体をしていて、イチョウの葉のような形やイカリを想像させる形をした頭を持っています。サメにもシュモクザメ、別名ハンマーヘッドという種類のものがいますが、これらのイメージを持つ頭の形になります。体色は黄土色で地面にひもが落ちているようにも見えます。細長い体には3本の褐色の縞がはいっていて、これが名前の由来になっているのだと思います。ハッキリ言って、気持ち悪いのですが、こいつは凄すぎるモンスターぶりを発揮する生き物なのです。プラナリアと同じ仲間になります。プラナリアが水生なのに対して、オオミスジコウガイビルは陸生になります。ヒルというイメージから水生と思ってしまうかもしれませんが、数少ない陸上で生活する陸生のプラナリアの仲間という事になります。プラナリアは体を切ると再生して増えてしまう事で知られていますが、その性質、特徴は同じになります。本来日本には生息していない外来種になります。都市部の公園を中心にして増えてきている種類になるようです。蛇のように細長いのですが、動きは鈍いことから、どのようにして生息範囲を広げていったのかは疑問です。日本にいる在来種のコウガイビルの仲間には、クロスジコウガイビル、ミスジコウガイビルがいますがどちらもオオミスジコウガイビルのように大きくありません。同じく在来種のクロイロコウガイビルは10〜20センチ。15センチ以下の個体を多く見ます。ミスジコウガイビルは5センチ位です。姿はミスジコウガイビルとよく似ているようで、子供のオオミスジコウガイビルとの見分けは難しいのではないのかと思います。クロイロコウガイビルは林の倒木の下や石の下に普通にいる種類で日本在来種になります。数は多いようです。外来種のオオミスジコウガイビルはとにかく大きいので目に付きやすいです。長いひものような体が不気味です。オオミスジコウガイビルも湿気のある石や岩の下や石と石との隙間、朽木の中などを住みかにしています。夜行性なので夕方から見ることが多くなります。稀に雨上がりのまだ明るい夕方近くに姿を現していることもあります。餌はナメクジやミミズを捕食するので、ヒルとは違い人間の血を吸ったり、犬猫などの動物の血を吸うことはありませんので、人間に対する脅威はないです。視覚的な脅威だけです。オオミスジコウガイビルは大人が見ても1メート級の長さを持つ大物だと、視覚的に受ける衝撃は細長いとはいえ、かなりのインパクトがあります。小さなこどもの目から見た場合、自分の背に近い大きさになる訳ですから、もしも1メートル級に遭遇してしまったらトラウマになってしまうかもしれません。そのぐらい初めて見ると驚いてしまうと思えます。太さがないのが救いですね。オオミスジコウガイビルに太さがあったらと思うとゾッとしたしまいます。私の行く公園では2か所の生息場所を確認していますが、ナメクジやミミズを見かけない場所では、40センチ位までのものが多いです。餌が十分に捕食できない場所では40センチ以下のものが多いように思います。ナメクジを良く見かける方の場所には1メートル級が住んでいます。このオオミスジコウガイビルはやたらに長い体と動きの遅さから、危険を察知してもすぐに逃げ出すことはできません。そこでこいつのUMAぶりが発揮されるのです。トカゲが危険を感じた場合、尻尾を自ら切断して逃げるように、オオミスジコウガイビルも自切をします。しかもすさまじいことにプラナリアの仲間だけに、例えば2つに体が切れてしまっても、それぞれが再生して2匹になってしまいます。1メートル級の体がブツブツ切れたらと思うとゾッとしてしまいます。オオミスジコウガイビルの実験の中で、体に何本も針を刺して接地面に固定して動けなくしても、自ら針で刺された箇所の穴を広げて逃げ出してしまうという事が書いてありました。自ら開けた穴は再生されて元通りにふさがってしまいます。とんでもない生命力と再生力なのです。生殖方法は切断されたり、自切した場合に自分と同じ物じ個体を生み出してしまう無性生殖と有性生殖を行います。無性生殖により自分のクローンを作れるという訳です。オオミスジコウガイビルは雌雄同体で、環境に適応しなければならない時などには有性生殖を行うようです。頭には目があり飛び出た左右の両脇についています。口と肛門は体の中央にあってここからミミズやナメクジを捕えて食べます。頭には口がないのです。全く1般の常識が通用しない生き物なのです。動きが遅くやたらと長い体であることから察するところ、まだ捕食シーンは見たことがありませんが、自分の遅い動きをカバーするために長い体を使って、獲物であるミミズやナメクジを体の中央に誘導、もしくは逃げられなくして獲物を遠巻きに巻き込んでいって捕食するのだと推測します。獲物は体の中に取り込まれ消化液で溶かされてしまいます。オオミスジコウガイビルの驚くべき再生能力に関しては、切断面では2〜3日で傷口の再生が行われ、全体の再生には14日ほどかかるようですが、普通の動物なら死んでも当たり前の状況なので、恐るべき生命力の持ち主なのです。十分すぎる再生能力です。
他にも外来種の仲間としてワタリコウガイビルという種類もいるようですが、まだ見たことはありません。こちらは東南アジアが原産で、オオミスジコウガイビルの原産地は中国南部が原産地になるようです。在来種のクロイロコウガイビルとオオミスジコウガイビルを調べてみました。
★オオミスジコウガイビル コウガイビル科。中国南部原産のコウガイビル科の外来種。体長は30センチ〜1メートル。体は細長いヒモ状をしています。頭部は横に広がっていてイチョウの葉のような形やイカリを想像させる形をした頭の形をしています。分布は北海道、本州、四国、九州。3〜11月に出現します。夜行性。黄褐色で3本の縦じまの筋が走っていて、腹面には2本の縦じまがあります。口と肛門は腹部の中央にあります。餌はミミズ、ナメクジ、カタツムリなどを捕えます。口のある腹部を広げて獲物を包み込むようにして捕え消化してしまいます。自切も行い、ちぎれても再生してしまいます。湿った石や岩の下、朽木の中などにて夜に餌を求め現れます。雨上がりなどの湿った時には活発に動くようです。都市部の公園などでも見ることができます。雨上がりの湿った夜などに見つける確率は高くなります。
★クロイロコウガイビル コウガイビル科。日本在来種。日本各地に分布しているようです。体長は10〜20センチ。幅は7〜8ミリ。全身は黒色で褐色の個体もいるようです。頭部の色が黒いもの、黒味を帯びた褐色のもの、褐色をしたものなど、個体により頭部や頭部に近い部分の色には変異があるようです。体は細長いヒモ状をしていますがオオミスジコウガイビルのようなひものような細さではありません。頭部は横に広がっていてイチョウの葉のような形やイカリを想像させる形をしています。石の下や生け垣などに生息しています。よく見ないと分かりませんが、クロイロコウガイビルの頭部の縁は小さなギザギザのような形になっていて波打って見えます。この部分を鋸歯状突起と呼ぶようです。口のある腹部を広げて獲物を包み込むようにして捕え消化してしまいます。餌はミミズ、ナメクジ、カタツムリなどを捕えます。



オオミスジコウガイビルです。1枚目(上)このオオミスジコウガイビルは8センチ程の小型のものです。在来種のミスジコウガイビルが体長5センチであることと、30〜40センチのオオミスジコウガイビルが生息している場所での発見なので、オオミスジコウガイビルで良いと思います。1メートル級の巨大な大物でも、写真に撮るとその細い体から、よくわからない写真になってしまうので、この小さなサイズのものの写真で十分だと思ってしまいます。頭部は右側になります。自然光での撮影になります。夕方、まだ明るい時間帯です(撮影時間は16時40分)撮影地、神奈川県横浜市、こども自然公園。2枚目、樹木の植わっているとても広い敷地の住宅のコンクリート壁で見つけました。地面はやや湿っている状態でした。しかしコンクリートは十分に乾いていたので体の水分を奪われたようです。スローモーションな動きはさらに鈍くなっていました。この後、干からびて死んでしまう可能性もあるのではないのかと思いました。撮影時間は16時34分。3枚目、2枚目の写真と同じ個体です。この写真の状態で長さは21センチ程でしたので、伸びた状態では全長25〜26センチにはなるのではないのかと思いました。オオミスジコウガイビルとしては普通の(よく見る)サイズになります。頭の向きは左側になります。2枚目、3枚目は追加しました。撮影地、神奈川県横浜市。


上の2枚、クロイロコウガイビルです。上、やや太めの体形をしているクロイロコウガイビルです。頭の方が黄土色で黒く見える部分は実際は紫がかったような藍色で真っ黒ではありませんでした。頭部の色が黒いもの、黒味を帯びた褐色のもの、褐色をしたものなど、個体により頭部や頭部に近い部分の色には変異があるようです。全身が黒いものがクロイロコウガイビルだと思っていました。この写真はフラッシュ撮影になります。撮影地は神奈川県横浜市、こども自然公園。見ての通り気持ち悪いです。夜行性であることから夜間の観察には行っていませんが、まだ日が落ちる前に見ることがあるので、湿った場所、湿り気のある場所という限定条件はあるものの、この公園では珍しい種類になるという訳ではなさそうです。下、このクロイロコウガイビルは上の写真の個体とは少し色の感じが違っています。住宅街の塀に居たものです。珍しくまだ明るい時間に見つけました。撮影地、神奈川県横浜市。11月24日の15時55分に撮影しました。石の塀には入り込む隙間がないので、どうやら庭から移動してきたようです。たくましく住宅地の中で繁殖しているようです。