2019年06月22日

虫こぶ(ゴール)4種類。ナラメリンゴフシ、クワハミャクコブフシ、ブドウハケフシ、クロマツメテングスフシ

虫こぶ(ゴール)4種類の紹介です。今回はナラメリンゴフシ、クワハミャクコブフシ、ブドウハケフシ、クロマツメテングスフシです。クロマツメテングスフシの紹介は2回目です。前回は樹のコブで紹介しましたが、ここでは虫こぶとして紹介します。ナラメリンゴフシを作るナラメリンゴタマバチはナラネタマフシという虫こぶ(ゴール)も作ります。ブドウハケフシを作るブドウハモグリダニは、栽培品のブドウにも発生するので、害虫として嫌われています。ブドウハケフシは葉にできるゴールで、どちらかと言うと控えめで目立たないゴールです。野外では山野に自生するエビズルなどで見つけることができます。ブドウ科の植物に発生するゴールは他にもあります。ノブドウの実にできるゴールでノブドウミフクレフシもあります。こちらは当ブログ「キズタ、アオキ、ノブドウ、イヌツゲにできる虫こぶ4種類」でも紹介しています。 クワハミャクコブフシはヤマグワがあると簡単に見つけることができました。虫こぶ(ゴール)としては極普通種のようです。マツにできるクロマツメテングスフシはマツボックリにも似ているので、気が付きにくいと思います。環境の良くないマツで見ることがあるので、弱ったマツにできやすいものと思います。虫こぶは探すと身近な植物で見つけることができます。可愛い形のものもあるので、散歩のついでに探すのも面白いと思います。ナラメリンゴフシ、クワハミャクコブフシ、ブドウハケフシ、クロマツメテングスフシを調べてみることにしました。
★ナラメリンゴフシ タマバチ科のナラメリンゴタマバチが作る虫こぶ(ゴール)です。4〜6月に発生するリンゴの形に似たゴールです。日の当たる場所に作られたものは赤味を帯びて、日陰に作られる物は黄色味や薄い緑色を帯びた白色に見えます。コナラ、カシワ、ミズナラなどの枝先にできるので、木の実だと思う方が多いと思います。リンゴ型の可愛い虫こぶです。春にコナラの新芽に産み付けられた卵が成長して、この可愛いリンゴ型の虫こぶが作られます。ナラメリンゴフシの中には多数の幼虫が入っています。ナラメリンゴフシは1本の樹に沢山付くこともあるようです。5〜6月に羽化した成虫(両性世代)はコナラの根に産卵してナラネタマフシを作ります。ナラメリンゴタマバチは何と地中の根に産卵するという離れ業を行います。12月になると翅の無い成虫(雌)が羽化して翌春に新芽に産卵するそうです。ナラメリンゴタマバチの分布は北海道、本州、四国、九州のようです。ナラメリンゴタマバチは2種類の虫こぶを同じ種類の昆虫が作るという面白い特徴を持っています。
ナラメリンゴフシ1.JPGナラメリンゴフシ2.JPG
上、 ナラメリンゴフシです。4個が集まっています。同じ物を角度を変えて見ています。日の当たらない小枝にできていたので、赤くありません。まあ、青りんごというものもあるので、十分に名前負けはしていないと思います。1見、食べられそうにも見える樹の実に見えます。探せばもっと多く見つけることができそうですが、林内は基本的には立ち入り禁止なので、当方観察エリアではあまり見ることができなません。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★クワハミャクコブフシ クワハコブタマバエによって作られる虫こぶ(ゴール)です。野生のクワ、ヤマグワの葉の裏にできるクワハミャクコブフシは、葉裏の葉脈に単体または2〜3個が隣り合ってできています。色は緑白色〜黄緑色で袋状に膨れて繋がってできているか、単体で球形になって付いています。繋がってできているクワハミャクコブフシの場合、クワハミャクコブフシは長細い形になっています。表面には白い毛が密生しています。作成者のクワハコブタマバエは年1化で、クワハミャクコブフシの中には幼虫が1匹入っています。幼虫は7月頃に3齢になると脱出し地面に落下するそうです。地面に落ちた幼虫は土中に潜り蛹になります。蛹で越冬します。クワハコブタマバエの分布は北海道、本州、四国、九州。クワハミャクコブフシは大きなヤマグワでは葉の様子が見えないので、どの程度できているのかは分かりませんが、若い背の低いヤマグワの葉裏を探すと意外と簡単に見つけることができます。球形のクワハミャクコブフシはポンポンに見えて可愛いです。
クワハミャクコブフシ1.JPGクワハミャクコブフシ2葉表.JPGクワハミャクコブフシ3.JPG
クワハミャクコブフシです。上、長い短毛が密生していて可愛く見えます。中、葉の表面側から見ると、繋がってできている場所の裏はやや凹凸して見えます。下、繋がってできていると虫っぽく見えますね。繋がっている場合ですと、できる場所によって葉の縮れ具合も違って見えます。葉の基部に近い場所にできると葉が強くねじれて見えます。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★ブドウハケフシ フシダニ科のブドウハモグリダニによって作られる虫こぶ(ゴール)です。ヤマブドウ、エビズル、栽培品種のブドウの葉にできる虫こぶ(ゴール)です。5月と7月の年2回発生するようです。ブドウハモグリダニに吸汁されてできるブドウハケフシは盛り上がっています。部位の葉の表側はイボ状に盛り上がっていて、沢山あるとは全体がボツボツに見えます。このイボに見える部位がブドウハケフシと呼ばれます。葉の裏の部分は凹んでいて、白く長い毛で塞がれたように見えています。少し離れて見ると淡黄色や白い斑点の様に見えます。この白くて長い毛は、のちに褐色に変色していきます。この窪みには沢山のブドウハモグリダニが増殖しますが、体長が0・2ミリと極めて小さいために肉眼では確認することはできません。ブドウハモグリダニが作る ブドウハケフシは栽培品のブドウなどに被害を与えるほどではないものの、栽培品のブドウに対して他の病気を誘発する原因になってしまうので、注意が必要になってきます。春の新芽の時期に大発生した場合はブドウの樹が枯れることもあるようで、葉にブドウハケフシができたら取り除くことが予防になるようです。ブドウハモグリダニは成虫で越冬します。分布は北海道、本州。ブドウは沖縄でも栽培できるのですが、ブドウハケフシができるかどうかは分かりません。
ブドウハケフシ.JPGブドウハケフシ拡大.JPGブドウハケフシ裏拡大.JPG
ブドウハケフシ。上、葉の表面に幾つもできています。中、拡大したものです。下、葉の裏側から見たところです。葉の毛に隠れて見えにくくなっています。撮影地。神奈川県海老名市。
★クロマツメテングスフシ 別名、芽状テング巣病。多芽病。旧名は芽状テング巣病と呼ばれていましたが今は別名として呼ばれています。フシダニ類がマツ類に作る虫こぶ(ゴール)です。ただフシダニ類によるものと言われているものの、いまだ原因は分からないともされていて、今後専門家によって解明されていくものと思います。マツ類にでき、通例マツ類の枝先の芽ができる部位に発生します。球形に丸くなったり、球形に近い形で、冬芽が沢山集まって密生した状態になっています。よく見ると細くて短い新芽からできていることが見て取れます。よく見ないと古くなった丸い形のマツボックリにも見えてしまいます。樹幹にできるタイプよりも小さく葉の陰に隠れて見えにくかったりするので、目立つ方ではありませんが、クロマツメテングスフシが付いている樹には沢山出来ていたりします。良く行く自然公園のマツでは全く見つけることができませんでした。寄生する率はそれほど高くないように思えました。クロマツの分布は本州(東北以南)、四国、九州で、 クロマツメテングスフシを見ることができます。当方は見たことがありませんが、アカマツやリュウキュウマツにもできるようです。
クロマツメテングスフシ新.JPG
クロマツメテングスフシです。以前当ブログで紹介した写真と同じ日に撮影(8月)したものです。枝と同じ地味な色をしています。マツボックリも可愛い形ですが、球形のクロマツメテングスフシも可愛い形をしています。撮影地。神奈川県横浜市。虫こぶは、ご覧の様に個性的な形をしているので、興味の湧いた方は探してみると楽しめると思います。
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2019年05月06日

セリの葉のゴール(虫こぶ)。不明の虫こぶです。

今年で見かけてから3年になるのですが、カビなどの雑菌によるものと思っていたのですが、念のために写真を撮ってみると立派な脱出孔がありました。セリの葉にできたゴール(虫こぶ)だったようです。本年は発生が少ないようでした。鮮やかな山吹色に見えるので、発生はすぐに分かったのですが、ゴール(虫こぶ)とは思っていませんでした。思い込みでカビと思っていたことで気が付きませんでした。今後は手に取って観察する必要がありますね。セリの葉にできる虫こぶは思い当たらないので、不明の虫こぶ(ゴール)として紹介します。部位は葉の裏、葉縁、茎にできています。葉裏には盛り上がった小丘があり、葉の表面側はほぼ平坦です(肉眼では分からない位に僅かに凹んでいるようです。脱出孔は8〜10個程あるので複数の作成者の幼虫がこの塊に集まって生活しているようです。脱出前のゴールではいくつかの小部屋ができていて1塊になっていることが分かります。セリの葉にできていた正体不明の虫こぶを観察してみました。
セリのゴール葉表.JPGセリのゴール葉裏・脱出孔.JPG
同じ虫こぶの葉の表側と葉の裏側です。上は表側、下が裏側です。裏側の写真では脱出した跡が見えます。
セリのゴール部位1.JPGセリのゴール部位2.JPGセリのゴール茎.JPG
上2枚は沢山出来ている様子です。寄生する部位はあまり関係ないようです。下、茎にできているものです。まだ中に幼虫がいるのでしょう。小さな塊が集まっていることが見て取れます。セリの葉と比較しても分かるように、中にいるのはかなり小さな昆虫です。
セリ自体が春先だと小さいので、分かりににくいのですが、目につく黄色なので発生していると分かりやすいと思います。このセリは林縁の小さな小川の脇の土手に生えていました。土手の上は草の広場になっています。撮影地、神奈川県横浜市、こども自然公園。撮影は4月17日です。5月4日に行ったら、もう見つけられませんでした。来年は中に幼虫がいるかどうか確実に確認することにします。
セリ.JPG
上、まだ伸び切っていないセリです。春先のセリは地面に広がって生えているように見えます。この状態だとスーパー等で売っているセリとは雰囲気が違って見えます。野菜としても出回っているので、ご存知とは思いましたがストックしてあった写真を載せました。野生では田んぼや小川の脇、湿地などに自生しています。山菜狩りの対象にもなっている有名な草です。
posted by クラマ at 18:06| Comment(0) | 虫こぶ(ゴール) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月08日

ウコギとウコギの葉柄にできるゴール(虫こぶ)ウコギハグキツトフシを見つけました。

単にウコギと呼ばれる場合は総称的な呼び名になっていて、ヤマウコギ、ヒメウコギ、エゾウコギ、オカウコギ、ウラジロウコギ、ミヤマウコギなど数種があります。ウコギ科のウコギは食べることもできます。山菜として1般的に利用される種類はヤマウコギ、ヒメウコギ(園芸種で山菜として栽培されたものが野生化しています。高さは1〜2メートル。雌雄異株ですが日本にあるのは雌株のみになります)になるようです。ただしウコギはクセのある山菜としても知られています。食用とする場合はアクの少ないヒメウコギが多く利用されるようです。同じく山菜として利用される似た植物にコシアブラ(ウコギ科)があります。ヤマウコギの鋸歯は単鋸歯。ヤマウコギに非常によく似ているオカウコギ(別名マルバウコギ)の分布は本州(福島県以西)、四国、九州。オカウコギ(別名マルバウコギ)の鋸歯は重鋸歯になっています。オカウコギは日本固有種とされています。特徴は葉痕や葉柄の下に鋭い棘があり、葉の裏の脈の上に立毛(毛状突起)があります。数は少ない種類になります。非常に良く似ているため細かい所を見ないとヤマウコギと判別ができないオカウコギも山菜として食べられるようです。間違っても味等は大差のないものなのかもしれません。ただし、口に入れるものだけに正しい知識(判別)はできた方が良いと思います。
当方はウコギは食べたことがありません。周りにも食べたことがある人がいないので、1度挑戦してみようと思っています。食用には春の新芽を使い、テンプラなどにするようです。テンプラ以外はアクが強いため、1度、2〜3分ほど塩茹でしてから冷水でアクを抜くようです。ウコギはアクが強い(苦味が強い)ことで有名な山菜なので、好き嫌いが出る味なのかも知れません。
・ここで食べられることを紹介しましたが、当ブログは食べることを勧めるためのブログではありません。間違って他の種類の植物と誤食して具合が悪く成ったり、病院に行くはめになっても当方は1切の責任は持ちません。食べてみようと思った方は、あくまでも自己責任でチャレンジして見てください。山菜等、自信のないものは口にしない方が良いです。
ヤマウコギの樹の葉の付け根にコブができているのを見つけました。調べてみるとヤマウコギにできるゴール(虫こぶ)の ウコギハグキツトフシであることが分かりました。ウコギトガリキジラミと言うキジラミの1種により葉の付け根の茎(葉柄)が変形した物です。成虫で越冬するようなのですが、12月5日に虫こぶを割ってみると中にウコギトガリキジラミの幼虫が入っていました。幼虫は綿のような白い物をまとっていました。観察していると寒くなったのか、身を隠すためなのか、カッターで半分にしたウコギハグキツトフシの幼虫の部屋に潜り込んでしまいました。見つけたウコギの樹には沢山の ウコギハグキツトフシができていました。ほとんどが割れていない状態(脱出痕の無い状態)のものでした。ウコギハグキツトフシの中に、この時期でもまだ幼虫が入っていることになります。地域的な事も関係するのか、発見地の神奈川県横浜市では、幼虫の状態で ウコギハグキツトフシの中で越冬するものもいるように思います。また、この樹の様子を見に行って、落ちた(落葉した)ウコギハグキツトフシの様子を観察する予定です。神奈川県では成虫、幼虫で越冬するのかと思います。 ウコギハグキツトフシの形には個性があります。大きさも大きい塊から小さな塊などばらつきが見えました。この大きさの違いは中に入っている幼虫の数の違い(幼虫のいる部屋の数)だと推測することができます。
ヤマウコギとヤマウコギのゴール、 ウコギハグキツトフシを調べてみました。
★ヤマウコギ(別名オニウコギ、ウコギ) ウコギ科。普通種で高さは2〜4メートルの雌雄異株の落葉低木。日本固有種として紹介されたり、外来種とされるなど正確には良く分かりません。分布は本州(岩手県以南)、四国(高知県)。山地や丘陵地に自生します。葉は互生。5枚の小葉(5小葉)が出ています。葉の形には変異があるようです。葉柄は長く3〜7センチ。ヤマウコギの特徴は、樹皮はヒビ割れていて鋭い棘が生えています。うっかり触ると痛い目にあってしまいます。丈夫で耐寒性があり、日陰にも強い性質があります。人家の垣根として使われています。花期は5〜6月。甘い香りが強いようです。ヤマウコギは山菜としても利用できます。よく似ているオカウコギ(マルバウコギ)は葉が小さく、ヤマウコギの半分位の大きさになるようです。ヤマウコギにはオカウコギの葉裏にある立毛(毛状突起)はありません。特徴をあげてみたものの、この2種はよく似ているので混同されていてもおかしくありません。ヤマウコギには ウコギハグキツトフシという虫こぶ(ゴール)が作られます。作られる部位は葉の葉柄や小葉の基部で、大きく膨らんだ形をしています。
ウコギの葉.JPGウコギの枝.JPG
上、ウコギの葉です。新芽の写真を追加する予定です。下、ウコギの小枝に生えている刺です。とても鋭く太さもある棘です。
★ウコギハグキツトフシ キジラミ科のウコギトガリキジラミが作るゴール(虫こぶ)です。葉の葉柄や小葉の基部で、大きく膨らんだ形をしています。葉の葉柄が膨れているものを多く見ます。ウコギハグキツトフシは中にいる幼虫が羽化して脱出するまでは完全に密封した状態で出口がありません。9〜10月にウコギハグキツトフシから幼虫が脱出します。ウコギハグキツトフシは幼虫の部屋が沢山ある構造になっています。脱出した跡は縦に深く裂けた状態になっています。ウコギトガリキジラミは成虫で越冬して翌年の3月に産卵が行われます。
ウコギハグキツトフシ1.JPGウコギハグキツトフシ2.JPGウコギハグキツトフシ3.JPG
ウコギハグキツトフシです。形やできる場所に若干の差があります。
ウコギハグキツトフシ脱出痕1.JPGウコギハグキツトフシ脱出痕2.JPG
ウコギハグキツトフシの中の幼虫が脱出した脱出痕が見えているものです。厚い外皮が見事に縦に裂けていることが分かります。幼虫が脱出するときにこのように見事な裂け目ができるとは、虫こぶの仕組みに驚かされてしまいます。
ウコギトガリキジラミ幼虫1.JPGウコギトガリキジラミ幼虫2.JPG
ウコギハグキツトフシの中に入っていたウコギトガリキジラミの幼虫。幼虫の体には白い綿状のものが付いています。産卵期の3月に成虫の写真が取れたら追加したいです。体表のワタの様な物質が剥がれると翅の形が見えます。終齢のように見えます。12月に入っているので終齢でこのまま春を待って(越冬して)から脱出するのだと推測します。ウコギハグキツトフシを見つけた場所は神奈川県横浜市、こども自然公園。大部分の葉が黄色くなって散っていました。
posted by クラマ at 00:31| Comment(0) | 虫こぶ(ゴール) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする