★ナラメリンゴフシ タマバチ科のナラメリンゴタマバチが作る虫こぶ(ゴール)です。4〜6月に発生するリンゴの形に似たゴールです。日の当たる場所に作られたものは赤味を帯びて、日陰に作られる物は黄色味や薄い緑色を帯びた白色に見えます。コナラ、カシワ、ミズナラなどの枝先にできるので、木の実だと思う方が多いと思います。リンゴ型の可愛い虫こぶです。春にコナラの新芽に産み付けられた卵が成長して、この可愛いリンゴ型の虫こぶが作られます。ナラメリンゴフシの中には多数の幼虫が入っています。ナラメリンゴフシは1本の樹に沢山付くこともあるようです。5〜6月に羽化した成虫(両性世代)はコナラの根に産卵してナラネタマフシを作ります。ナラメリンゴタマバチは何と地中の根に産卵するという離れ業を行います。12月になると翅の無い成虫(雌)が羽化して翌春に新芽に産卵するそうです。ナラメリンゴタマバチの分布は北海道、本州、四国、九州のようです。ナラメリンゴタマバチは2種類の虫こぶを同じ種類の昆虫が作るという面白い特徴を持っています。
上、 ナラメリンゴフシです。4個が集まっています。同じ物を角度を変えて見ています。日の当たらない小枝にできていたので、赤くありません。まあ、青りんごというものもあるので、十分に名前負けはしていないと思います。1見、食べられそうにも見える樹の実に見えます。探せばもっと多く見つけることができそうですが、林内は基本的には立ち入り禁止なので、当方観察エリアではあまり見ることができなません。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★クワハミャクコブフシ クワハコブタマバエによって作られる虫こぶ(ゴール)です。野生のクワ、ヤマグワの葉の裏にできるクワハミャクコブフシは、葉裏の葉脈に単体または2〜3個が隣り合ってできています。色は緑白色〜黄緑色で袋状に膨れて繋がってできているか、単体で球形になって付いています。繋がってできているクワハミャクコブフシの場合、クワハミャクコブフシは長細い形になっています。表面には白い毛が密生しています。作成者のクワハコブタマバエは年1化で、クワハミャクコブフシの中には幼虫が1匹入っています。幼虫は7月頃に3齢になると脱出し地面に落下するそうです。地面に落ちた幼虫は土中に潜り蛹になります。蛹で越冬します。クワハコブタマバエの分布は北海道、本州、四国、九州。クワハミャクコブフシは大きなヤマグワでは葉の様子が見えないので、どの程度できているのかは分かりませんが、若い背の低いヤマグワの葉裏を探すと意外と簡単に見つけることができます。球形のクワハミャクコブフシはポンポンに見えて可愛いです。
クワハミャクコブフシです。上、長い短毛が密生していて可愛く見えます。中、葉の表面側から見ると、繋がってできている場所の裏はやや凹凸して見えます。下、繋がってできていると虫っぽく見えますね。繋がっている場合ですと、できる場所によって葉の縮れ具合も違って見えます。葉の基部に近い場所にできると葉が強くねじれて見えます。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★ブドウハケフシ フシダニ科のブドウハモグリダニによって作られる虫こぶ(ゴール)です。ヤマブドウ、エビズル、栽培品種のブドウの葉にできる虫こぶ(ゴール)です。5月と7月の年2回発生するようです。ブドウハモグリダニに吸汁されてできるブドウハケフシは盛り上がっています。部位の葉の表側はイボ状に盛り上がっていて、沢山あるとは全体がボツボツに見えます。このイボに見える部位がブドウハケフシと呼ばれます。葉の裏の部分は凹んでいて、白く長い毛で塞がれたように見えています。少し離れて見ると淡黄色や白い斑点の様に見えます。この白くて長い毛は、のちに褐色に変色していきます。この窪みには沢山のブドウハモグリダニが増殖しますが、体長が0・2ミリと極めて小さいために肉眼では確認することはできません。ブドウハモグリダニが作る ブドウハケフシは栽培品のブドウなどに被害を与えるほどではないものの、栽培品のブドウに対して他の病気を誘発する原因になってしまうので、注意が必要になってきます。春の新芽の時期に大発生した場合はブドウの樹が枯れることもあるようで、葉にブドウハケフシができたら取り除くことが予防になるようです。ブドウハモグリダニは成虫で越冬します。分布は北海道、本州。ブドウは沖縄でも栽培できるのですが、ブドウハケフシができるかどうかは分かりません。
ブドウハケフシ。上、葉の表面に幾つもできています。中、拡大したものです。下、葉の裏側から見たところです。葉の毛に隠れて見えにくくなっています。撮影地。神奈川県海老名市。
★クロマツメテングスフシ 別名、芽状テング巣病。多芽病。旧名は芽状テング巣病と呼ばれていましたが今は別名として呼ばれています。フシダニ類がマツ類に作る虫こぶ(ゴール)です。ただフシダニ類によるものと言われているものの、いまだ原因は分からないともされていて、今後専門家によって解明されていくものと思います。マツ類にでき、通例マツ類の枝先の芽ができる部位に発生します。球形に丸くなったり、球形に近い形で、冬芽が沢山集まって密生した状態になっています。よく見ると細くて短い新芽からできていることが見て取れます。よく見ないと古くなった丸い形のマツボックリにも見えてしまいます。樹幹にできるタイプよりも小さく葉の陰に隠れて見えにくかったりするので、目立つ方ではありませんが、クロマツメテングスフシが付いている樹には沢山出来ていたりします。良く行く自然公園のマツでは全く見つけることができませんでした。寄生する率はそれほど高くないように思えました。クロマツの分布は本州(東北以南)、四国、九州で、 クロマツメテングスフシを見ることができます。当方は見たことがありませんが、アカマツやリュウキュウマツにもできるようです。
クロマツメテングスフシです。以前当ブログで紹介した写真と同じ日に撮影(8月)したものです。枝と同じ地味な色をしています。マツボックリも可愛い形ですが、球形のクロマツメテングスフシも可愛い形をしています。撮影地。神奈川県横浜市。虫こぶは、ご覧の様に個性的な形をしているので、興味の湧いた方は探してみると楽しめると思います。