家の中に侵入して来るカメムシの種類を紹介します。10月頃からカメムシの中には、人家近くや家などの建物の中に侵入して、越冬するための準備を始める種類がいます。不快害虫として家に入ってくるカメムシは、越冬する種類のカメムシになる訳です。カメムシはスギやヒノキの球果が少ないと、人家の近くや畑などに餌を求めて集まってきます。そしてそのカメムシが寒くなり成虫で越冬する準備を始めます。越冬するために暖かく身を隠せる場所として、人家や建物などの隙間に集まってきます。しかも仲間を集めるフェロモンを出すことで集団を作ってしまう事もあります。カメムシはご存知のように臭い匂いを出すものも多く、家の中で踏みつけたり、誤って触ったりして臭い匂いを出されたらと思うと、ゾッとしてしまいます。カメムシも臭くない種類のものもいるのですが、家の中に入ってくるものには臭いものが多いようです。万が1に備えてどのような昆虫なのか知っていおいて損はないと思います。家の中に入ってきやすいカメムシには、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、アオクサカメムシ、スコットカメムシ、マツヘリカメムシ、オオトビサシガメ、ナカボシカメムシ、キマダラカメムシがいます。他に北上してきているアオクサカメムシそっくりなミナミアオカメムシもいて、この2種、ミナミアオカメムシとアオクサカメムシの雑種も見られるようになってきたようです。これはこの2種がとてもよく似たフェロモンを持っていることによりますので、交雑により紛らわしい個体が、この2種の競合する生息圏で見られるようになるという事です。最近関東などで見られるようになった外来種のマツヘリカメムシも、10月から越冬のため建物の壁についているものを良く見かけるようになりますので、近くに松の木があり、この種が生息していたら越冬のため建物に侵入してきます。マツヘリカメムシも建物が好きなカメムシです。同じく外来種のキマダラカメムシは関東地方にまで北上してきました。キマダラカメムシは九州では知られている侵入カメムシですが、とうとう神奈川県にまで北上してきました。写真が撮れましたので追加して紹介させていただきます。
カメムシが室内に侵入した場合、エアコンの中、タンスの裏などの物陰や入り込める場所(隙間)を探して潜むことが多いようです。侵入したばかりだと、洗濯物やたたんだ衣服に潜っているものもいるようです。踏んだしまったりなどで、家の中で臭い匂いを出されたら大変です。見つけたら刺激しないように何かに掴まらせて外に出すなど、触らないようにすることがベストです。掃除機で吸い取ることは止めましょう。臭いをばらまく結果が目に見えてきます。ホウキで掃き捨てることもだめです。刺激を受けて臭い匂いを出してしまいます。悪臭を利用したテロ攻撃を受けたような悲惨な状況になってしまうでしょう。大人しく扱えば簡単には臭い匂いは出しません。カメムシは小さいのでどこから入られたのか解らない場合もあります。カメムシが家の周りに発生していた場合、完全に侵入を防ぐことは難しいと思います。1度冷静になってから、カメムシを刺激しない方法で排除することをお勧めします。侵入カメムシとして知られる、クサギカメムシ、チャバネアオカメムシ、マルカメムシ、アオクサカメムシ、スコットカメムシ、オオトビサシガメ、マツヘリカメムシ、ナカボシカメムシ、キマダラカメムシを調べてみました。(キマダラカメムシを追加しました)好まれざる客として、人家に不法侵入して来るカメムシの種類の正体が解るかも知れません。参考にしてみてください。
★クサギカメムシ カメムシ科。普通に見られます。体長13〜18ミリ。触角に黄褐色の帯が2本あります。分布は本州、四国、九州、沖縄。出現は4〜11月。成虫で越冬します。昼行性。灯火にも集まります。臭い匂いを出します。雌は雄より1回り大きくなりますが、外見上は区別できません。群れる習性があり、食性は広く農作物の害虫としても有名です。マメ科のダイズ、インゲンをはじめ、カキ、ナシ、モモ、ウメ、リンゴなどの果実やクワ、クサギ、ヒノキなどを餌にします。幼虫は果実には付きません。幼虫はスギ、ヒノキの球果。クサギカメムシは暗褐色に黄褐色が入って見える体をしています。大きさや斑紋の変化の多い種になります。名前のクサギはこの植物の名前から来ています。観察では幼虫はスギ、ヒノキ以外でも見ることが多いので、かなり適応力が強いと思われます。10月頃から建物に侵入することが多くなってきます。侵入してくるカメムシの代表になります。建物での越冬が大好きな種類になります。やたらに臭いカメムシで知られています。クサギカメムシは果物や不快害虫として良く知られています。
★チャバネアオカメムシ カメムシ科。緑色で翅が茶色の普通に見られるカメムシです。チャバネアオカメムシには色彩の変異が知られています。個体の変異で褐色の個体もいるそうです。体長10〜12ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地まで分布していて、多くの種類の植物で見ることができます。成虫で越冬します。チャバネアオカメムシは昼行性のカメムシですが、夕方から活発に動き始め灯火にも集まります。出現は4〜11月。年2〜3回の発生が有るようです。新成虫は6〜7月と8〜9月に出現します。チャバネアオカメムシは普段はスギ、ヒノキの球果を餌としますが、この餌が足りない時に農作物に移動して大きな被害を与えます。カメムシの中で作物に1番大きな被害を出します。常緑広葉樹の落ち葉の下で成虫越冬しますが、家の中に入ることもあるようです。越冬個体は暗褐色、茶褐色に体色が変わります。夏に見られる緑色の綺麗な個体と越冬固体の中間の体色の個体も夏の終わりから秋に見られます。チャバネアオカメムシは120種以上の植物に寄生するなど、適応力、繁殖力ともに強いです。春はサクラ、キリ、クワなどで葉や実の汁を吸い、次にウメ、モモ、ナシ、カキなどの果実に移動後、産卵のためにスギ、ヒノキに移動するというサイクルがあるようです。チャバネアオカメムシは果樹を加害する有名な害虫で、汁を吸われた果実は凸凹になってしまいます(吸われた部分は深く凹んでしまいます)チャバネアオカメムシは集合ホルモンを出すため群れる習性があります。夜灯火に集まる性質と集合ホルモンを出すことから、ライトトラップとフェロモントラップで駆除されます。数が多い種類なので、越冬以外の時期にも家の中に入り込むこともあります。洗濯物に紛れていて、うっかり匂いをつけてしまう被害を聞くことがあります。チャバネアオカメムシは個体数も多く、青いカメムシ(緑色のカメムシ)の代表的な存在になっています。果樹の害虫と家に侵入して来る不快害虫の両方で知られているカメムシになります。非常によく似た種類にヒメチャバネアオカメムシがいます。こちらは1回り小さく、前胸背側縁部も緑色をしています。チャバネアオカメムシの前胸背側縁部には黒い線が見えます。両種が混在して生息している地域もあるので、混同されていると思います。
★マルカメムシ マルカメムシ科。褐色で小さく都心部に多いカメムシで、カメムシというよりは甲虫に見える小型の種類です。体長5〜5・5ミリと小さく目立たない大きさです。分布は本州、四国、九州。集団で成虫越冬します。昼行性ですが灯火にくることもあります。出現は4〜11月。体色には色彩の変化が見られます。光沢のある暗黄褐色で腹部後方が丸くなっています。扁平な体型が多いカメムシの中でも丸っこい形なので、このカメムシを初めて見た時にはカメムシの仲間とは思えませんでした。人家の近くにいて普通に見られる種類になります。餌は主にマメ科のヤマフジ、クズ、ハギ科のヌスビトハギを好み、産卵もヤマフジ、クズで行われます。農作物の被害ではダイズ、アズキ、インゲンなどのマメ科の植物が被害を受けます。成虫はクズの茎や新芽の部分にいることが多いです。通常はかたまって集団でいますが、単独のものも見ることがあります。注意が必要になってくる月は10〜11月で、マルカメムシは都市部で人家に侵入してくることが多い種類になるようです。マルカメムシはマメ科のクズに特に多くつく種類なので、家の近くにクズが生えていたら注意が必要になると思います。クズを探すと簡単に見つけることが出来るカメムシです。
★アオクサカメムシ カメムシ科。体長12〜17ミリ。光沢のない緑色の綺麗なカメムシ。体型は丸みを帯びています。緑色で可愛い体型のカメムシです。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。森林や林縁に多い種類になります。動きは活発です。出現は7〜10月。年2〜3回の発生になります。アオクサカメムシは昼行性ですが灯火にも良く飛来します。アオクサカメムシは成虫で単独で越冬します。落ち葉の下などに潜り込んで越冬します。とてもよく似た種類にミナミアオカメムシ、ツヤアオカメムシがいます。ミナミアオカメムシと同じ生息地のものは交雑が認められ、紛らわしい個体が数タイプあるそうです。遺伝的にも変異がある種類になります。アオクサカメムシも個体数が多い普通種で、青いカメムシと表現される緑色の体色をしたカメムシを代表する種類になると思います。ツヤの無い体の特徴でよく似たツヤアオカメムシと区別ができます。「緑色なのにアオ(青)クサカメムシ?」と、不思議に思われる方がいるかもしれませんが、昔の日本では、青と緑は共にアオと表現されていました。それで現代では別の色で表されている青と緑ですが、過去の表現から混ざって使われているようです。日本語的には許される表現になっています。
よく似た3種類。アオクサカメムシ、ツヤカメムシ、ミナミアオカメムシの見分け方。
・アオクサカメムシ 小楯板に3つの薄い黄色い小斑紋があります。側角はツヤアオカメムシより出っ張っています。触覚の先は白くなっています。
・ツヤアオカメムシ 光沢が強く小楯板には3つの小斑紋はありません。側角はアオクサカメムシより丸まっていて飛び出て見えません。触覚の2か所が黒い帯になっています。
・ミナミアオカメムシ アオクサカメムシより若干細長い体つきで小楯板には3つの薄い小斑紋がある。触覚の先が褐色になっています。
このアオクサカメムシに似た種類も侵入してくると思われます。
★スコットカメムシ カメムシ科。人家に侵入するカメムシとして北海道、東北で有名なようです。まだ見たことはありません。体長9〜11ミリ。出現は4〜10月。分布は北海道、本州。山地に生息するカメムシになります。成虫で越冬します。自然化では樹皮の下で越冬するそうです。
★オオトビサシガメ サシガメ科。臭いはありませんが、サシガメ類は鋭い口吻を持っていて刺されることがあります。幼虫であっても刺されてしまうとかなり痛いようです。肉食性の全身が茶褐色のサシガメで体長20〜27ミリ。体は細身に見えるものの大型のサシガメ類です。出現は4〜11月で年1回の発生。分布は本州、四国、九州。成虫は集団で越冬します。匂いの被害よりも刺されると危険なカメムシになります。オオトビサシガメは刺されると痛いので注意が必要な危険種になります。
★マツヘリカメムシ ヘリカメムシ科。体長15〜20ミリ。全体的に縦長で赤褐色〜褐色の光沢のないやや大型のカメムシ。とんでもなく臭いということはないようです。マツヘリカメムシは臭い種類もいるヘリカメムシ科の中でも臭いは若干弱いようです。マツヘリカメムシは、ここ数年で東京を中心に分布を急速に広げている外来種で、本来の生息地はカナダ、アメリカ、メキシコになります。体の特徴として後ろ足の脛節がオール状で、背中にはひし形の紋が見えます。この紋は個体により不鮮明なものもいます。出現は3〜11月。成虫、幼虫共にマツに寄生して、新芽や球果についています。成虫で越冬します。灯火にも集まります。10月以降、建物の壁などで見かけるようになるので、繁殖数の多い地域では室内に侵入してくる被害が多くなると考えられます。私の良く行くマツヘリカメムシの発生している公園では、10月頃から松林の脇のトイレの壁で見つけることが出来ます。越冬場所を求めてトイレの壁に集まってきます。
撮影ができた種類があれば追加していく予定です。





1番上、クサギカメムシ。クマノミズキにいたものです。2番目、チャバネアオカメムシ。カシの木にいたものです。3番目、マルカメムシ。体の色には個体差があります。クズの葉にいたものです。4番下、ツヤアオカメムシ。クマノミズキにいたものです。1番下、マツヘリカメムシ。越冬のため公園のトイレの壁にいたものです。


上、オオトビサシガメです。写真下、横向きの写真で見えていますが、口にはサシガメ科なので鋭い口吻があります。匂いよりも刺されるとことが怖い危険なカメムシになります。
★ナカボシカメムシ カメムシ科。体長8〜9ミリ。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、対馬。山地性のカメムシで広葉樹のクヌギ、コナラ、ミズナラなどの林縁、林などや自然林の多い森林公園などにも生息していて、餌はクヌギ、コナラ、ミズナラの葉などの汁を吸います。灯火にも飛来するようです。光沢のある体をしていて、表面には多数の点刻があります。ナカボシカメムシの体色には変異が多く、灰緑色〜赤褐色と色には幅ががあります。活動期には淡い赤っぽい赤褐色でも、越冬に向かうと褐色などになっていくようです。ナカボシカメムシを見分ける特徴には、小楯板にある2対の黒紋がありますが、頭側側に見える背部の黒紋には変異が多く、不鮮明に見えるものや黒紋が繋がって見えるなどの違いがあります。ナカボシカメムシの越冬は成虫で、樹皮の裏などで集団で越冬します。その性質から家の中に侵入して来ることもある不快害虫にも含まれてきます。森林性なので都市部ではあまり侵入されることはありません。山地性の種類ということですが、自然の環境が良い低地の都市部の公園にも生息しているので、侵入される可能性はあります。

上、ナカボシカメムシです。体色や斑紋に個体変異がある種類になります。この個体は赤褐色のタイプになります。森林性のカメムシですが、集団で越冬する習性があります。
当ブログ「マツヘリカメムシとオオトビサシガメ。家の中に入ってくる大きなカメムシの種類になります。」でマツヘリカメムシとオオトビサシガメを、マルカメムシは「マルカメムシ、ホオズキカメムシ、ブチヒゲカメムシ。害虫カメムシ3種を見つけました。」でマルカメムシを紹介しています。クサギカメムシも「クサギカメムシ、良く見かける茶色のカメムシです。」で紹介してあります。よろしかったらこちらも参照ください。
★キマダラカメムシ カメムシ科。外来種。1770年に長崎県の出島で発見されたのが最初で、国内では九州と沖縄で生息していた種類ですが、2006年には岡山県、2010年には東京都に進出するまでに北上してきました。現在も北上中していると思われる南方系のカメムシです。キマダラカメムシの本来の原産地は台湾、東南アジアになります。食性が広いこと。温暖化が進んでいること。人為的な植栽(街路樹、公園樹などによる)により、キマダラカメムシは分布を広げています。キマダラカメムシは成虫で越冬することから、九州方面では人家に侵入して来る不快害虫(侵入カメムシ)になっています。キマダラカメムシは日本にいるカメムシ亜科では最大で、体長は20〜25ミリと大型になります。雄と雌はよく似ていて外見での判別は難しく、雌雄の判別には交接器を見る必要が有ります。キマダラカメムシの身体的特徴は、暗褐色の地みな地色に淡黄色〜黄色い色の斑点があることです。よく似たクサギカメムシとの見分け方として頭部中央から小楯板にかけて淡黄色〜黄色をした線(縦条)が入っています。触角の先端部(第1節の下部)と脚には白い白帯があります。よく似た在来種のクサギカメムシと同じように見える厚みのない扁平な体格をしていますが、大きさはキマダラカメムシの方がはるかに大きくなります。分布は本州(現在は神奈川県、東京都、千葉県あたりまで)、四国、九州、沖縄。生息地は自然林よりも市街地、公園、街路樹や庭先に生息しているようです。食樹はサクラ、ウメ、ナシ、カキ、クワ、ヤマモモ、フジ、ニセアカシア、サルスベリ、クスノキ、ナンキンハゼなどと種類も多く、リンゴなどの果実も餌にします。繁殖のための樹種としてソメイヨシノ、シダレザクラが知られています。出現期は4〜11月。成虫で越冬する際にキマダラカメムシは家屋に侵入して来ることが知られています。九州地方で家屋の浸入が多いようです。野外での越冬場所としては、樹皮の裏側、割れ目、樹洞、倒木や積み重なった木などの隙間に潜り込んで越冬するようです。

上、キマダラカメムシです。見つけたのは神奈川県横浜市。見て見たいと思っていた種類です。今回初めて見ました。見つけたときはクサギカメムシかと思いましたが、大きかったのでよく見て見たらキマダラカメムシでした。体長を測ってみると24ミリありました。
紹介する侵入カメムシの名前を調べる際の手助けになると思います。参考にしてみてください。