★ウシカメムシ カメムシ科。体長は8〜9ミリ。ウシカメムシの特徴は前胸背側角の角や牙の様に見える突き出た見事な突起です。普通のカメムシのイメージを超えた姿をしています。この見事な側角を牛の角に例えて付いた名前のようです。黄白色の地に黒い斑紋をまばらに付けたように見えます。上翅(鞘翅)には黄白色の斑紋が1対あります。普通種ながら個体数は少ないようで当方もまだ2回しか見たことがありません。驚くとすぐに葉の上などから落下(擬死)する見た目と違い臆病なカメムシです。樹上性のカメムシで出現は4〜11月。分布は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄。アセビ、シキミ、ウバメガシ、サクラなどに寄生します。越冬は成虫で越冬します。このウシカメムシは主に植物の汁を餌にしますが、植物を餌にするだけでなく、セミやガの卵を餌にしてしまう雑食性の1面も持っているようです。実際に他の昆虫の卵を餌にしている所を観察してみたいです。幼虫は特徴的な模様をしています。幼虫にも成虫の様に角に見える突起がありますが、この突起には小さな歯が並んでいて鋸の歯の様に見えます。色彩も地味な配色の成虫と違いカラフルな模様をしています。特にお面の様に見える黒い斑紋と白い斑紋が目立ちます。腹部背面の横筋は暗紫色をしていて、何とも不思議な模様になっています。
上、ウシカメムシです。角と形容される突起が見事です。角は体のサイズから見てもかなりの大きさがあります。下の写真は正面から見た所です。個人的に大好きなカメムシの1種です。ウバメガシの樹の脇のシャリンバイで見つけました。この個性的で迫力のある姿は1見の価値があります。大好きなカメムシの1種ですが見つけることが難しいカメムシです。なぜにサイズが小さいのかと残念に思ってしまいます。落ち着きがなく動き回っていて撮影の難しい種類です。この特徴的な姿は樹の棘を擬態したものか、自己の危険度をアピールするものなのか分かりません。もちろんカメムシなので臭い匂いも武器にしています。驚くとすぐに地面に落ちる(擬死する)ことも踏まえると、ウシカメムシは見た目と違い、かなり気の弱い昆虫のようです。繁殖している樹を見つけて観察したいカメムシです。
★イチモンジカメムシ カメムシ科。体長は9〜11ミリ。全体的に緑色をしたカメムシです。胸背に見える横筋の色は雌雄で違います。雄の横筋の部分は橙色っぽい色をしていて、雌はこの横筋は白色をしています。イチモンジカメムシの特徴は胸背部後端に見える横1文字に見える横筋です。この特徴が名前の由来になったようです。イチモンジカメムシは豆類を餌にします。エダマメ、サヤインゲン、サヤエンドウ、ダイズ、アズキの実の汁を吸うので、農業害虫として嫌われています。ダイズに大きな被害を与えるダイズの害虫として知られています。出現は5〜10月。年1〜2回の発生をします。分布は本州、四国、九州、沖縄。成虫で越冬します。
イチモンジカメムシの雄です。イチモンジカメムシは緑色をした見た目は可愛いカメムシなのですが、農作物を荒らす立派な害虫です。
★ハサミツノカメムシ ツノカメムシ科。体長は雄17〜19ミリ。雌18ミリ。ハサミツノカメムシは樹上性で、地色は光沢のある鮮やかな緑色をしています。特徴は雌雄共に前胸背側角が朱赤色をしていて、翅の膜膝部は暗褐色から茶褐色に見えます。雄の尾端には朱赤色に見えるハサミ状の突起があり、このハサミ状の突起(尾状突起)は平行に見えます。出現は年1化で4〜10月。新成虫は8月に出現します。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地の林縁や広葉樹林に生息していて、ヤナギ類、ツタウルシ、ヤマウルシ、ミズキ、クマノミズキ、イヌザンショウ等の果実などの汁を吸います。ハサミツノカメムシは普通種ですが個体数は多くないようです。越冬は成虫で越冬します。よく似た種類にヒメハサミツノカメムシがいます。ヒメハサミツノカメムシの雄の場合はハサミ状の突起が離れていることで(ハの字型に離れています)ハサミツノカメムシと判別ができます。前胸背側角の色は、ほぼ緑色をしています。大変良く似た種類には新種のイシハラハサミツノカメムシがいます。新種なので詳しくは分かりませんが、外見が非常に良く似ていて判別は難しいです。イシハラハサミツノカメムシの触角は黒っぽく見えることが特徴のようです。体色も茶色から黒味がかかって見えるようです。正確な雌の判別をするには、交接器を確認することも必要になってくると思います。
上、ハサミツノカメムシの雌です。朱赤色やオレンジ色に見える前胸背側角と地色の緑色が綺麗なカメムシです。この雌はサクラの樹の樹幹にいました。写真は横位置にしてあります。ハサミツノカメムシは樹上性のカメムシなので見つけにくいです。雄の方が立派なハサミもあり派手に見えるので、雄のハサミツノカメムシの写真も撮りたいです。撮影できたら追加したいと思っています。
ヒメヘリカメムシ科のカメムシは、どれもよく似ていて判別が大変難しいです。
★アカヒメヘリカメムシ ヒメヘリカメムシ科。体長は6〜9ミリ程。アカヒメヘリカメムシは赤色の強い褐色、薄い橙褐色、黄褐色に見えるなど赤味のある体色をした普通種の小型のカメムシです。体には短毛が生えています。翅脈の上には小さな黒斑がまばらに散らばって見えます。上翅は膜質で透けています。触角の先端は赤っぽく見えます。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。低地から山地の草原、空き地などの草地に生息していて、草の上にいる草上性のカメムシです。成虫、幼虫共にイネ科、キク科、マメ科、タデ科などの汁を餌にする広食性で、イネの穂について汁を吸うため農業害虫にもなっています。 アカヒメヘリカメムシに吸われたイネは斑点米になってしまうので、斑点米カメムシとして嫌われています。
アカヒメヘリカメムシは名前にある様に赤っぽく見える特徴があります。茶系統の種類が多い中、明るい色彩に見えます。
★ケブカヒメヘリカメムシ ヒメヘリカメムシ科。茶褐色をした体長は6〜8ミリ程のカメムシです。体全体に短毛が生えていて、腹部両端には白い縞模様が見えます。出現は4〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州。山地の草原や河原などにいます。成虫、幼虫共にイネ科、タデ科、キク科の植物の汁を餌にします。アカヒメヘリカメムシに似ていますが、ケブカヒメヘリカメムシは腹部両端に見える縞模様と体色が茶褐色をしているので見分けることができます。
ケブカヒメヘリカメムシです。拡大して見ると、体には短毛が生えていて毛深いことが分かります。判別にはデジカメが役に立ちます。
★ブチヒメヘリカメムシ 別名ブチヒゲヘリカメムシ。ヒメヘリカメムシ科。淡褐色の小型のカメムシですが、色彩には変異があります。上翅は透明で腹部が透けて見えています。体長6〜8ミリ程。出現は4〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。草上性で草原のイネ科、キク科、成虫、幼虫共にタデ科などの汁を餌にする広食性です。公園、畑地、荒れ地などにいます。成虫で越冬します。ブチヒメヘリカメムシは当ブログ2度目の登場です。ヒメヘリカメムシ科はどれもよく似ているので、比較して見てください。腹部上面に見える模様から判別できるので、比較の写真が撮れましたら追加する予定です。小型のカメムシなので、肉眼での他種との比較は難しいです。
ブチヒメヘリカメムシです。下は別個体を横から見た所です。他種との判別は難しいです。他種との判別には腹部背面の模様を比較することになります。写真だと翅の下(腹部背面)が見えにくいので、やはりデジカメ等で何枚か撮影して腹部背面の模様を確認することが判別の決め手になります。腹部の比較の写真がないので、写真を追加する予定です。
★ブチヒゲクロカスミカメムシ カスミカメムシ科。体長は7〜9ミリ程です。体色は黒から黒褐色で、すが、色彩に変異の多い種類のようで、黄褐色、茶褐色の個体もいるようです。腹部後方の(革質部)両端に白い斑紋が1対見えます。触角には白い横帯が見えます。黒くて小さいのであまり目立ちません。出現は4〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州。林縁の草地や草原などにいます。広食性でヨモギ類に多いとされているようです。普通種で数も多いようですが、小さいためか当方はあまりお目にかかれないでいます。
上、ブチヒゲクロカスミカメムシ。畑地の脇の土手にいました。マメ科やイネ科、キク科など広食性のカメムシですが、農作物に大きな被害を与えるほどではないようです。