2018年10月22日

アリジゴク(コウスバカゲロウの幼虫)。地面にすり鉢状の落とし穴を作る昆虫です。

アリジゴクほど成虫よりも幼虫が有名で人気のある昆虫は珍しいと思います。アリジゴクは個性的で本当に面白い昆虫です。アリジゴクとはウスバカゲロウの仲間の幼虫の呼び名です。または地面に作られたすり鉢状の巣を蟻地獄(アリジゴク)と呼んでいます。ウスバカゲロウの仲間の中に、地面にすり鉢状の巣穴を作り、通りかかった昆虫が穴に落ちるという、落とし穴を作る種類がいます。全ての仲間がアリジゴクとして地面にすり鉢状の巣を作る訳ではありません。すり鉢状の巣穴を作らない非営巣性の砂地の表面近くに住む種類や、樹皮や岩に発生した地衣類(レプラゴケ等)に潜む種類もいます。むしろ作らない方が多いです。1般的にはこれら地中に住む種類を総称としてアリジゴクと呼んでいます。地面にすり鉢状の落とし穴のような巣を作る種類はウスバカゲロウ、コウスバカゲロウ、クロコウスバカゲロウ、ハマベウスバカゲロウ、ミナミハマベウスバカゲロウの5種類になるようです。ずんぐりむっくりの楕円形のような形の幼虫に対して成虫は細長く、トンボに似た姿をしています。特にアリジゴクは幼虫期を地面の土や砂の中で生活する変わった昆虫になります。食性は肉食性で、餌の捕り方は乾いた土や砂地に作られる巣穴に落ちた昆虫を捕らえる方法によります。斜度のあるすり鉢のような穴に落ちた昆虫は、必死に脱出を試みるも、這い上がることができないうちに捕らえるというものです。這い上がろうとする足場は崩れやすく、斜度のある斜面になっているのですが、縦穴式の落とし穴の様にいきなり底に落ちることはほとんどないようです。アリジゴクは(幼虫)は落ちてくる砂粒などの振動を感じて、獲物が巣穴に落ちてきたことを察知して、巣の中に脚を踏み入れた(落ちた)獲物となる昆虫に向けて、大顎(おおあご)を使って巣穴の中心部付近にいるアリジゴク(幼虫)が土や砂をすくって投げつけます。これで這い上がるどころではなくなり、すり鉢の中心部に近い所に徐々に落ちていきます。そこで獲物を挟むことができる距離に近づくと、大きなハサミ状の顎で捕らえ地中に引きずり込んでしまいます。またアリジゴクの唾液は猛毒成分を含んでいるそうです。これはアリならともかく、大きめの昆虫が獲物として落ちてきた時の対策にもなっているようです。早く動きを止めるに越したことありません。考えて見ると凄い獲物の捕らえ方です。獲物の昆虫にしてみたら、穴に落ちて大顎で挟まれたあげく毒殺されるという、まさに地獄に引きずりこまれるがごとしです。人間界では抜け出すことが困難な状況や状態を「蟻地獄に落ちる」という表現もあります。怖いですね。しかし、これは成功例の話になります。実際はアリジゴクの巣の中に落ちたアリでも、すり鉢状の穴の外に出ていくアリも観察できます。人為的に巣穴に落としたアリも脱出することも多いです。これは子供の頃にアリジゴクで遊んだ経験があることから確認済みで、観察するとすぐに分かります。観察地の神奈川県では、ウスバカゲロウとコウスバカゲロウの2種類がいて地面にすり鉢状の巣(アリジゴク)を作ります。巣は乾いた砂状の土に作られます。家など建物の軒下や大木の下、橋などの橋脚の下など雨が当たりにくい場所を選んで作ります。アリジゴク(幼虫)の体表には毛が生えていて、巣から取り出すと砂で覆われています。種類を判別するには、頭部の上面と下面の模様を調べて、種類を判定します。取り出したアリジゴクにスポイト等で水滴を落として頭部等の砂を落とします。肉眼での確認は無理なので、コンパクトデジカメや虫メガネを使って調べることになります。スケッチしても構わないのですが、後で調べるには撮影しておくことが便利です。体が乾いたら元の場所に返してあげると、砂に潜る様子も観察できます。お尻から後ろ向きで砂の中に潜っていきます。普通、知らないと頭の方から潜ると思ってしまいますね。ピョコピョコとした動きで潜っていくので見ていると面白いです。円運動を利用して落とし穴(巣穴)を作る様子も観察すると面白いです。すり鉢状の巣の作り方は、大きな外円から徐々に中心に向かって渦巻き状に進んでいくことで作られます。進む方向はお尻からです。後ろ脚を使って後進します。後ろ方向に進む習性も珍しいのですが、これは立派な大顎があるため、前進するよりもお尻から進んでいく方が、スムーズに乾いた土中を進行できるためだと思います。また、土中にいるアリジゴクは呼吸するために地表近くにいます。乾燥した場所を好むのも、砂状の土等が雨等で濡れて呼吸ができなくなることを防ぐためだと推察できます。
ウスバカゲロウとコウスバカゲロウの幼虫の餌はダンゴムシ、ワラジムシ、アリ、クモ等の小型の昆虫です。イモムシやケムシも餌にするようです。ダンゴムシの大きさになると巣穴の中心にダンゴムシの姿が見えています。このサイズから地中に引きずりこむことが困難になるようです。
今回見つけたアリジゴクはコウスバカゲロウの幼虫でした。アリジゴクとして成虫よりも幼虫の方が有名な昆虫になるのではないのでしょうか。人家周辺に多い普通種なので身近にいるかも知れません。見つけたら観察されると面白いと思います。見つけるコツは雨の当りにくい乾いた砂地を探すことです。成虫( コウスバカゲロウ)は夜行性が強く見つけにくいのですが、幼虫(アリジゴク)は見つけやすいです。
・飼育して見ようと思われた方のための、アリジゴクの飼育の方法と考察。
土や砂は見つけた場所のものを使うか、その質に近いものを使います。乾燥ぎみの土質が良いのですが、あまりに乾燥した状態を避けることも必要です。容器は100円ショップの昆虫用のプラケースで十分です。高さもあり、この大きさだと羽化の際にも対応ができます。自然界では巣が隣り合っていることも多いのですが、飼育する数は共食いの危険性を考えると1匹が理想です。アリジゴク(幼虫)は乾燥と空腹に強い性質があるので、飼育は楽な部類の昆虫になります。餌も最大で1か月近く捕れなくても生きていけるようです。自然界では餌にありつけないことが多いと予想することができるので、餌の与えすぎも良くないのかも知れませんが、餌が十分に足りていると大きな体になる事ができます。餌はアリが簡単なのですが、アリは小さく栄養に乏しいのでおやつ程度に考えると良いと思います。ダンゴムシ、ワラジムシが簡単で手に入りやすいと思います。種類にもよるのですが小さな1〜2齢位のイモムシも良いと思います。アリ以外だと餌を与える間隔も空けることもできます。餌は大きすぎなければ良しです。元気の良い餌(昆虫)だと巣穴に落ちても逃げてしまう事もあります。ダンゴムシ、ワラジムシ等を餌としてケースの中に入れておいて巣に落ちていなかったら手助けすることもできます。冬場でも休眠しないことがあるので、餌を食べるかどうかを冬場は確認した方が良いです。死んだ餌には反応しないので、弱った昆虫を巣穴に落としても反応が無かったら巣から出して様子を見てください。餌の昆虫は入れっぱなしにはしない方が良いです。幼虫はやがて泥の繭を作ります。分かりやすいのは巣穴から外に幼虫が出てきている場合ですが、土中に作られる場合は繭を作る時期を知るのが難しいです。繭は地表や土中に作られ、この繭の中で蛹になります。飼育での注意点はこの時点で止まり木になるものを入れておくことです。成虫は翅が長いので、羽化不全を起こさないようにしないといけません。羽化の際には翅が泥の上に付かない事、十分に体を乾かせることができる条件が必要になってきます。止まり木の変わりは割りばしでも木の小枝でも構いません。羽化した種類がウスバカゲロウなのかコウスバカゲロウなのか、羽化してからのお楽しみにするのも面白いと思います。自然界では7〜8月頃が最も多い羽化の時期になりますが、飼育下では多少時期がずれる可能性もあります。昔はアリジゴク捕りは子供の頃の遊びでしたが、神社等でも敷地にコンクリート部分が多くなったので、今は昔ほどアリジゴクがいないことが残念です。羽化までの時期(飼育期間)を短くしたい場合は大きなサイズのアリジゴクを捕らえ飼育する方法もあります。以上、アリジゴクの飼育の参考にしてみてください。
★コウスバカゲロウ ウスバカゲロウ科。コウスバカゲロウはウスバカゲロウと良く似ています。体長は35〜40ミリ。出現は6〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。成虫は夜行性です。幼虫はアリジゴクと呼ばれ、乾いたや砂状の地面にすり鉢状の巣穴を作り、すり鉢状の穴に落ちた昆虫を捕らえて体液を吸います。巣は待ち伏せ式の落とし穴です。総称としてアリジゴクの名で呼ばれています。幼虫は1〜3年かかって成虫になります。幼虫期の長い昆虫になります。この差が何なのかは当方には分かりません。アリジゴクを調べるとコウスバカゲロウが多いです。神奈川県では個体数が多いようです。
コウスバカゲロウ蟻地獄.JPG
上、コウスバカゲロウの幼虫(アリジゴク)が作った巣です。この巣はかなり深さがあるものです。巣は乾いた土のある場所を見つけて、すり鉢状に作られています。とても細かい砂状の土で崩れやすい構造になっています。この場所は他の昆虫の観察用に作った雨よけの下に巣を構えたアリジゴクです。この巣に潜んでいた幼虫を掘り出して撮影しました。アリジゴク(幼虫)は巣の底の浅い所に潜んでいます。巣の周りには弾き飛ばされた粒の大きい塊が堆積しています。
コウスバカゲロウ1.JPGコウスバカゲロウ2腹部.JPGコウスバカゲロウ3頭部.JPG
上、アリジゴク(コウスバカゲロウの幼虫)上3枚は同1個体です。撮影のため体に付いていた泥は落としてあります。体の表面には棘状に毛が沢山生えていることが分かります。この棘状の毛はセンサーの役目をしていて、獲物が巣穴に落ちてきたことを感じ取ります。振動を感じて捕食行動をするので、餌は生きた昆虫になります。体液を吸って餌とした後の死骸は、大顎を使って巣の外に投げ出します。わずかな乾いた土を入れたプラスチックの容器で観察すると、動きが良く分かります。中、腹面です。頭部の下面に見える斑紋が薄く不鮮明になっている個体です。ひっくり返すとすぐに大顎を使ってピョンと元の姿勢に戻ります。昆虫は裏返しになる事を大変嫌うので、どの種類の昆虫も元の姿勢に戻ろうとしますが、アリジゴクは1瞬でもとの姿勢に戻します。この動作が早いので撮影には1苦労しました。写真からもわかるのですが、後脚が発達しています。これは後ろ向きに進むからなのでしょう。前脚はとても貧弱に見えます。脚の付いている位置も変わっていて面白いです。下、頭部の拡大です。歯の付いた鋭い大顎をしています。種類の判別には頭部の背面と前面の斑紋を調べます。この斑紋の形等が種類により違っているからです。
アリジゴクを観察していると、今まで気にしていなかったウスバカゲリウ類の成虫にも興味が出てくると思います。なかなかの面白い習性を持った昆虫なので、調べてみると好きな昆虫になるかも知れませんよ。成虫の姿を見たくなったら、夜行性が強く灯火に飛来する習性がある昆虫なので、灯火の周りで見つけることができます。
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2018年10月15日

センチコガネ。ウンチ(動物の糞)を食べる綺麗な昆虫です。

センチコガネの体色は黒を基調に銅色、緑色、赤紫、青藍色など地域によって色の変異があります。とても美しく魅力的な昆虫ですが、餌が動物の糞や死骸なので、1般的には敬遠されてしまいます。子供の頃はウンコムシと言っていました。形は小さくしたカブトムシの雌に似ています。センチコガネには良く似たオオセンチコガネという種類もいます。センチコガネよりも美しい金属光沢があるのでコレクターもいるほどです。オオセンチコガネの方がサイズがやや大きく、光沢も色も強いです。色の違いと金属光沢は構造色になります。美しい昆虫なのですが、飼育となると与える餌に糞や死骸が必要なので、かなりハードルが高いと言えそうです。ペットに犬がいれば餌の確保は容易かも知れませんが、よっぽど惚れこまないと飼える昆虫ではない気がします。ただ、この虫を見たら、その美しさには驚かれると思います。人気があるのは瑠璃色のブルー系の個体で、特に奈良県産が人気のようです。クワガタでも外国産のパプアキンイロクワガタでも紫色や瑠璃色のブルー系は人気が高いです。クワガタのペットショップで見ても綺麗です。ニジイロクワガタという種類も金属光沢が美しい昆虫ですが、当方は図鑑でしか見たことが無いのですが、オオセンチコガネの体色も負けない位に美しいです。動物の糞や死骸に集まる昆虫ですが、その美しさからマニアのいる昆虫になっているのです。
センチコガネもオオセンチコガネも普通のコガネムシが葉などを食べる種類が多い中、糞を食べる糞虫(食糞性コガネムシ)なので、糞や死骸が餌となると、運任せの何とも行き当たりばったりの生活のように思えてなりません。成虫は糞の匂い等をかぎつけると飛んできます。上手くいくと丸めた糞を土中に運んでいる所も観察できます。観察地である神奈川県にはセンチコガネとオオセンチコガネがいます。どちらも餌が糞なので牧場に多いよいうです。山林、林縁、林道、林内の小道などで見ることができます。名前からするとオオセンチコガネの方が大きく感じると思いますが、大きさはたいして変わりません。当方観察エリアで見る個体は黒色が強くわずかに赤紫がかかっています。センチコガネと良く似ているオオセンチコガネも調べてみました。本当はオオセンチコガネと比較して紹介したかったのですが、オオセンチコガネをいまだ見つけることができません。オオセンチコガネを見つけられたら写真を追加したいです。
★センチコガネ センチコガネ科。主に昼行性で数が多い普通種。1見黒く見える体は金属光沢(鈍い金属光沢)のある赤紫色をしています。この金属光沢には地域変異があります。糞虫と呼ばれる昆虫で、成虫は動物の糞(シカ、イノシシ、タヌキ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒト等)、死骸、キノコなどを食べる雑食性です。幼虫は糞を餌にして育ちます。体長は14〜20ミリ。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、屋久島、対馬。成虫は糞に集まります。雌は糞の下に穴を掘って糞を運び蓄えます。雌はこの糞に産卵します。越冬は成虫で土中で越冬します。良く似たオオセンチコガネとの見分け方。センチコガネの特徴は、頭楯(頭部)の形にあります。センチコガネの頭楯は短く半円形をしています。前胸愛背板中央にある縦溝(縦筋に見えます)は目立ちません。体色は鈍い金属光沢をしていて、黒っぽく見えます。
センチコガネ.JPGセンチコガネ腹部背面.JPG
上、センチコガネ。紫色に見える個体です。日の暮れ始めた薄暗い自然公園の林内歩道のミミズの死骸にいたものです。いたのは1匹だけでした。下の写真はセンチコガネが飛んで逃げる前の1枚です。翅の下の腹部背面は薄い藍色に見えます。2枚ともフラッシュ撮影です。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
センチコガネ(黒系).JPGセンチコガネ(紫色).JPG
上、黒系統のセンチコガネです。地味な体色です。下、紫色に見えるセンチコガネ。この個体は写真で見る個体よりもはるかに鮮やかで綺麗な色をしていました。頭部に見えるオレンジ褐色の塊はダニです。多くのダニが群れで寄生していました。動き回っていたのでピントがボケてしまいました。この場所に全部で3匹のセンチコガネがいました。餌の動物の糞にいました。この2匹の他に色合いの違う暗緑色の個体もいました。このことからも体色に個体差が多いことが分かります。撮影時間は13時13分。撮影は自然光です。昼間活動している昼行性です。エンマコガネの仲間も1匹居ましたが、種類は分かりませんでした。エンマコガネの仲間も昼行性のようですね。写真を追加しました。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿公園。
★オオセンチコガネ センチコガネ科。主に昼行性。体長は16〜22ミリ。 出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州。体色は地域により地域個体があって、金緑色、金緑色、金紫色などの強い金属光沢をしていて綺麗な昆虫です。良く似たセンチコガネよりも強い金属光沢があり、遥かに鮮やかな体色をしています。頭部はセンチコガネよりも台形に見え少し尖がって見えます。オオセンチコガネの体色では瑠璃型(瑠璃色)、緑型(緑色、金緑色)、赤型(赤紫や赤系の色)が知られていて、大きくこの3色の系統に分けられるようです。普通は赤型が多いそうです。瑠璃色の瑠璃型は和歌山県、奈良県、三重県にいて、緑型は京都県と北海道の1部にいるそうです。奈良県ではルリセンチコガネと呼ばれています。越冬は土中で越冬します。オオセンチコガネは日本のレッドデーターによると長崎県で絶滅危惧U類。千葉県、石川県、高知県、島根県で準絶滅危惧種になっています。神奈川県では野生動物(シカ、イノシシ)の多い丹沢山とその付近に多いようです。低地よりも標高のある山地にいるようです。
センチコガネとの見分け方。オオセンチコガネの特徴は、頭楯は短く台形をしていることです。前胸愛背板中央にある縦溝(縦筋に見えます)は深くて長くなっているそうです。金属光沢が強く鮮やかな体色をしています。センチコガネよりも縦溝が目立つということです。
センチコガネは見ることがあるのですが、オオセンチコガネはまだ見たことがありません。センチコガネよりも森林性になるものか、丘陵地や山地に行かない見つけられないのかも知れません。当方の観察地にはいない種類になるのか、まだ縁がなく見つけることができていません。
posted by クラマ at 21:39| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月29日

オオシオカラトンボ、シオカラトンボ。成虫は雄と雌で色が違う、色違いのトンボです。

トンボはどこにでもいた昆虫でしたが、最近ではめっきり見ることが少なくなった昆虫の1種になることは間違いなさそうです。湿地や池、水田などが減少するなどトンボにとっては生息が難しくなってきていると思います。1番有名なトンボを思い浮かべると、アカトンボとシオカラトンボが1番有名になるかと思います。アカトンボは赤い色をしたトンボの総称になっていて、シオカラトンボも青っぽい(青灰色)トンボの総称的な呼び名になっています。今回はシオカラトンボとオオシオカラトンボを調べてみました。オオシオカラトンボとシオカラトンボは良く似ています。シオカラトンボは自然の少なくなった現在でも、日本全国で見られる普通種の誰でも知っていると思われる有名なトンボの1種です。雄と雌で色合いが違い、雌のシオカラトンボはムギワラトンボと呼ばれて親しまれています。この別名は黄褐色をしていることから麦わら色に見えることから付いた名前のようです。シオカラトンボとしての名前の由来は、雄が青っぽい灰白色の粉を吹く特徴からシオカラトンボの名がついたようです。シオカラトンボは適応能力が強く、公園の池やビオトープなど人工的に作られた水場でも繁殖するため、都会でも普通に見ることができる種類になっています。オオシオカラトンボはシオカラトンボよりも薄暗い所を好みます。シオカラトンボが開けた明るい池や水田、湿地どに多いことに対して、林縁の薄暗い池や沼などに多い種類になっていて、丘陵地に多いとされています。好む環境の違いから、オオシオカラトンボは観察していても林縁の近くの湿地や池に多い種類になるので、シオカラトンボよりも見る機会は少ないと思います。
トンボは種類の判別が難しい昆虫になります。今回紹介するオオシオカラトンボとシオカラトンボは似ていて判別は難しいので、区別ができない方も多くいると思います。でも、違いを覚えておくと判別は簡単です。またシオカラトンボにはコフキトンボと言うよく似た種類がいます。トンボは似た種類が多くいるので、正確な判別となるとむずかしい種類になると思います。似た種類を判別するための違いと、雄と雌の判別方も調べてみました。
シオカラトンボとコフキトンボの判別方。
・シオカラトンボとコフキトンボはとても良く似ています。遠目から見ると判別できないと思います。デジカメ等で撮影して、よく特徴を確認しないと判別が難しい種類になります。シオカラトンボとコフキトンボの違いは腹部第4節に現れます。腹部第4節がスッキリ見えるほうがシオカラトンボで、コフキトンボの腹部第4節の基部側には横線(ヒダ)が見えます。成虫の複眼の色にも違いがでます。シオカラトンボの雄の複眼は青色に見え、雌のシオカラトンボの複眼は緑色に見えます。成熟したコフキトンボでは複眼の色は黒っぽくなります。
★オオシオカラトンボ トンボ科。雄と雌で色が違います。雄の体は青味が強く綺麗な体色(青灰色)をしています。雌の体色は黄色と黒の2色の配色で黄色い部分と黒い部分は鮮明に分かれて見えます。雌は腹部の黄斑が目立ち、腹部先端部(腹部第8節)は太くやや広がって見えます。オオシオカラトンボは翅に特徴があり、オオシオカラトンボの翅の基部は黒色をしています。特に後翅の基部は鮮明に黒色が見えます。翅の先端部は黒くなっています。オオシオカラトンボの複眼は黒褐色をしているので、顔は黒っぽく見えます。シオカラトンボとよく似ていますが、この複眼の色の特徴から、よく似たシオカラトンボと区別することができます。
注意しなければいけないことに、未成熟な雄のオオシオカラトンボは雌と同じような柄と体色をしていることです。成熟することで青みの強い粉をふいた体色になってゆくのです。未成熟な雄の腹部は雌の腹部よりも細くなっています。体長は52〜61ミリ程。出現は5〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。普通種で平地や樹林にあるやや暗い池、沼、湿地などに生息しています。開けた明るい湖沼などよりは林縁など日陰に多い種類になります。
オオシオカラトンボ.JPGオオシオカラトンボ横.JPGオオシオカラトンボ雌.JPGオオシオカラトンボ雌2.JPGオオシオカラトンボ雌雄.JPG
オオシオカラトンボです。上2枚は雄のオオシオカラトンボ(別個体)です。オオシオカラトンボの雄は濃い青味を帯びた魅力的な体色をしています。3、4枚目は雌(別個体)です。下は雌雄(ペアリング)のオオシオカラトンボです。撮影地は上3枚、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。4枚目、神奈川県横浜市、こども自然公園。下、神奈川県大和市、泉の森。
★シオカラトンボ トンボ科。オオシオカラトンボよりも白っぽく見えます。シオカラトンボの雄の眼の色は青色で、雌の眼の色は緑色をしています。雌のシオカラトンボは別名ムギワラトンボと呼ばれています。黄褐色に見えることが雌の特徴ですが、雌の注意点として、雄のような体色をしたシオカラ型と呼ばれる雌がいることです。シオカラトンボの翅の特徴は、翅の基部の透明感が強いことです。面白い特徴として、シオカラトンボは色が変わっていく種類のトンボになります。雌雄でも色が違いますが、紛らわしいことに、まだ未成熟なシオカラトンボの雄と雌は黄褐色をしています。雄は成熟していくと青っぽい灰白色の粉を吹いて青灰色に体の色が変わっていきます。腹部先端部の黒い部分は広く、目立ちます。腹部第8節は膨らんでいません。体長は49〜56ミリ程。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。普通種で数も多い種類です。平地から低山地の沼、池、湿地、水田、水路などの水場の周りにいます。シオカラトンボはビオトープなどに早くに訪れる昆虫としても知られています。平地や都市部にも多いお馴染みの種類です。
シオカラトンボ雄.JPGシオカラトンボ雄の顔.JPGシオカラトンボ雌.JPGシオカラトンボ雌の顔.JPG
シオカラトンボの雄と雌です。上2枚は雄のシオカラトンボです。下2枚は雌のシオカラトンボです。雄と雌で複眼の色が違う可愛い顔をしたトンボです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
オオシオカラトンボとシオカラトンボも似ているので、両種の判別方として違いを比べて見ました。遠目だと、どちらがどちらだかわからないと思いますが、どちらかの特徴を覚えておけば判別ができるようになります。
・オオシオカラトンボとシオカラトンボの判別方。
@体色。雄のオオシオカラトンボの体色は青味の強い色をしています。シオカラトンボの雄の場合、白っぽい青色をして見えます。雄の色が変わるのは白っぽい粉をふくことによります。
A複眼の色。顔の色を比べて見ると、オオシオカラトンボは黒褐色の複眼をしているので、顔が黒っぽく見えます。シオカラトンボの場合、雄と雌で複眼の色が違い、雄は青色をしていて、雌は緑色をしています。複眼の色を確認できると判別が楽になります。
B腹部の特徴。腹部先端に見える黒い部分の面積はシオカラトンボの方が広く、形はスマートに見えます。
C翅の基部。シオカラトンボの場合、翅の基部の透明感が強く、オオシオカラトンボの場合は翅の基部は黒色をしています。翅の色はシオカラトンボでは、全体的に透明感が強いです。
D体格。シオカラトンボはオオシオカラトンボよりも華奢に見えます。
上の5点が判別の決め手になりますが、もっとも簡単な違いの覚え方は、やはり複眼の色で見分けることです。オオシオカラトンボの複眼の色は黒く見え、シオカラトンボの複眼は雄が青色。雌が緑色をしていることです。またオオシオカラトンボの方が青味が強く、サイズもオオシオカラトンボの方が大きく見えます。要点を捕らえると、同じように見える種類でも見分けることができるようになります。
近年、色々なトンボを見る機会が少なくなっています。水質の悪化や池や沼、湿地の減少などから、トンボの仲間は今後も数を減らしていく種類になると思います。最低限の湿地や池に対して、自然の環境を残して保全していただきたいと思っています。
posted by クラマ at 18:08| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする