ヒメバチというと寄生蜂の総称になります。ヒメバチ科に属する種類は大変多く、似た種類も沢山いて専門家でも判別が難しい種類になっています。生態も良く分かっていない研究が進んでいない種類の昆虫になります。世界にヒメバチ科の昆虫は10万種程いるともされています。昆虫界の中で最大の派閥を持っていることになります。当然、多種多様な個性を持っていて分類も非常に難しい昆虫です。当方は、科が分かれば良いかなと思う種類になっています。今回見つけた2種は、当観察エリアではよく見ることができるのですが、キスジクチキヒメバチやクロヒゲフシオナガヒメバチに似たクチキヒメバチ亜科の1種は名前を当てることができませんでした。よく見るとどちらも綺麗なハチです。この両種(ヒメバチ科)は他の昆虫に卵を産み付ける寄生蜂になります。寄生蜂と言う怖いと思うかも知れませんが、人を攻撃するような危険なハチではありません。人に卵を産み付けたり、多くは刺すような行動はしません。ただカリバチ、ハナバチの仲間は刺すことがあるので、手で捕まえようとしない方が良いです。昆虫を麻痺させたりするなどの毒も含んでいるので、アシナガバチやオオスズメバチのような攻撃性は無くても、刺される危険性は排除できません。やはりハチの仲間として注意した方が良いです。マダラヒメバチとクチキヒメバチ亜科の1種を調べてみました。
★マダラヒメバチ ヒメバチ科。体長は約15ミリ。普通種で綺麗な配色(黒、黄色、橙色)のヒメバチです。黒い体色で小楯板は黄色く、脚は黄色い地色が目立ち、黒と橙色(橙褐色)の斑模様になっています。出現は5〜8月。分布は北海道、本州、四国、九州。マダラヒメバチ は寄生蜂で、アゲハチョウの幼虫に寄生して蛹の中で育ちます。寄生された蛹は黒ずんだ色になり、チョウにはなれないでマダラヒメバチが出てくることになります。他にアゲハ類に寄生するハチもいるのですが、出てきた成虫の体色に黄色い部分が多いのはマダラヒメバチになります。越冬は成虫で越冬します。成虫は土に潜って越冬するようです。葉の上で見ることが多く、人を刺すことが無い大人しい種類です。似た種類が多いヒメバチ科ですが小楯板の黄色い色が特徴になります。個体数は多いようでよく見ることができます。ヒメバチ科は仲間の数が多く、生態等が解明されていない種類が多いそうです。
上、マダラヒメバチです。草地や林縁の草等の葉の上にいる所を見かけます。小さいのですが脚の黄色が目立ちます。ご覧の通り小型のハチですが綺麗な配色をしています。
★ヒメバチ科クチキヒメバチ亜科の1種。キスジクチキヒメバチに似ています。キスジクチキヒメバチの場合は朽ち木の中にいるカミキリムシの幼虫に卵を産み付けます。分布は北海道、本州、四国、九州。詳しい生態は分かっていないようです。クロヒゲフシオナガヒメバチにも似ています。クロヒゲフシオナガヒメバチの場合は、卵は葉を巻くガの幼虫に産み付けます。見つけたクチキヒメバチ亜科の1種は朽ち木の中の幼虫に産卵していました。
上、クチキヒメバチ亜科の1種。産卵管が体長よりも長い特徴があります。見つけた朽ち木の切株の周りには沢山(7匹ほど)集まっていました。似た種類がいて不明です。この種類ははっきり言ってお手上げです。名前が分かりません。産卵管が長くて「こんなもので刺されたら大変!」と思ってしまう迫力がありますが、カメラを近づけると逃げ出してしまう臆病な性格をしています。キスジクチキヒメバチやクロヒゲフシオナガヒメバチに似ていますが、ちょっと違うようです。ハチ類は名前の分からない種類が多いので迷うことが多いです。小型種になればなるほど分からなくなってしまいます。撮影地、神奈川県横浜市、こども自然公園。昨年に見つけていた場所に行ってみたら今年もいました。
ヒメバチ科のハチは種類の多さも知られていて、日本でも2000種類ほど知れれているようですが、まだまだ発見される種類になっているようです。似たものがいても別種という可能性が多い昆虫になっているということです。研究者も少なく、今後も分類が難しいハチのグループになるようです。