2017年05月15日

タマムシ(ヤマトタマムシ)、ヒシモンナガタマムシ、クロナガタマムシ、ムネアカナガタマムシ、シャシャンボナガタマムシ。タマムシ科の昆虫5種類です。

タマムシ(ヤマトタマムシ)は有名で美しい色彩から迷うことが無いのですが、他のタマムシ科の昆虫はどれもよく似たものがいて、種類を特定することが難解です。タマムシ類は飼育が難しい種類です。食べる餌(種によって食べる葉が違います)が分かっていても、餌となる葉を食べてくれないことが多く、餌を食べないで死んでしまいます。神経質で極力、自然に近い状態にしないと餌となる葉を食べてくれないようです。死なせてしまうよりも、美しいタマムシ(ヤマトタマムシ)は自然の中で見ることにする方が良いと思います。小型種が多いナガタマムシ類は似たものが多くいるうえ、色彩に個体変異がある種もいるので、種類を特定することが難しいです。タマムシ類は綺麗な種類も多いので、色々な種類も見て見たいのですが、個人的にはなかなか見つけることができない昆虫になっています。見つけてもすぐに逃げられることが多く撮影にはてこずります。タマムシ(ヤマトタマムシ)、ヒシモンナガタマムシ、クロナガタマムシ、ムネアカナガタマムシ、シャシャンボナガタマムシの5種類を紹介します。(ムネアカナガタマムシの写真を追加しました)
★ヒシモンナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。体長5〜10ミリと小型です。普通種のタマムシで探せば見つかる種類です。。雌の方が大型になります。特徴は上翅に菱形の紋が見えることです。地色は赤胴色で白い微毛が生えています。菱形に見える部分には白い毛が生えていません。分布は北海道、本州、四国、九州、伊豆諸島島、対馬。出現は越冬成虫は4〜7月。新成虫は9〜10月。成虫はケヤキ、ムクノキ、エノキの葉。幼虫はケヤキ、ムクノキ、エノキの枯れ木を食べます。多くのナガタマムシは越冬しませんが、ヒシモンナガタマムシは成虫で越冬します。秋に羽化した個体が樹皮下などで越冬に入ります。
ヒシモンナガタマムシ.JPG
上、ヒシモンナガタマムシ。小型のナガタマムシの仲間は同じように見えますが、ヒシモンナガタマムシの菱形に見える斑紋は特徴的で判別が容易です。接写して見るとそれなりに綺麗な体をしていることが分かります。
★クロナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。成虫はナラ類(クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシ)の葉を食べます。幼虫はそれら枯れ木を食べます。体長10〜15ミリとナガタマムシ科最大の大型種で、大きさが判別の決め手にもなっています。出現は5〜7月。分布は北海道、本州、四国、九州。色彩に個体変異が多く、胸部の色は青紫色、赤銅色、銅色、黒色などがあり、赤銅色の個体はケヤキナガタマムシに似て見えます。上翅後端は丸みがあります。色彩に個体変異、地域変異があるのでムネアカナガタマムシと似た個体もいて紛らわしいです。大きさの比較も重要になってきます。
クロナガタマムシ(赤系)2.JPGクロナガタマムシ(赤系)1.JPG
上、クロナガタマムシの胸部が赤紫色に見えるタイプ。大型で15ミリに近かったので、大きさからクロナガタマムシと判断しました。胸の部分が赤紫で綺麗な色をしていたので、 ムネアカナガタマムシだと思っていましたが、15ミリ程の大型です。個体変異がおおいしゅるいなので、ムネアカナガタマムシに似た クロナガタマムシで良いようです。近くにはコナラが数本とカシ類が数本ありました。樹種からもクロナガタマムシに当てはまります。他のナガタマムシが飛翔性が強く、すぐに逃げ出すのに対して、クロナガタマムシはじっくりと撮影させてくれる種類になります。
★ムネアカナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。体長7〜11ミリ。出現は5〜7月。分布は北海道、本州、四国、九州の低地から低山地。西日本に多い種類です。頭部と上翅は黒い地色をしていて、胸部は赤紫色で金属光沢が強いです。胸部の赤紫色の金属光沢の色彩には若干の個体差があります。幼虫はエノキ、エゾエノキ、ケヤキ、ハルニレなどの枯れ木、倒木を餌にします。成虫はそれらの葉を食べます。集まる樹はエノキが主になります。林縁、都市部の公園でも見ることができます。越冬は幼虫または蛹で越冬するようです。大変良く似た種類にケヤキナガタマムシがいます。ムネアカナガタマムシは神奈川県では少ない種類になりますが、近年では数が増えてきて見つけることができる様になりました。ストックから写真が出てきましたので写真を追加しました。ムネアカナガタマムシにも似ている種類が多くいて、食樹が確認できないと種類が分からなくなってしまいます。
よく似ているムネアカナガタマムシとケヤキナガタマムシの判別方法。
ケヤキナガタマムシと非常によく似ていますが、ムネアカナガタマムシの上翅後端は丸みがあり尖った部分(刺のように見えます)はありません。ケヤキナガタマムシの上翅後端には尖った部分があることで判別します。ケヤキナガタマムシは東日本に多い種類になるようです。体長は8〜11ミリ。体色はムネアカナガタマムシと同じですが、胸部と頭部に赤紫色や赤銅色の金属光沢が見え、上翅には不明瞭な白い微毛が生えている特長があるそうです。大きさもほとんど同じなので、生体のこの両種をじっくりと比較して見たいものです。
ムネアカナガタマムシ1.JPGムネアカナガタマムシ2.JPG
ムネアカナガタマムシです。小さなエノキが生えていて、エノキの葉の上にいたものです。すぐそばにはケヤキも生えています。食性と大きさからムネアカナガタマムシで良いと思います(ストックしてあった写真を探すと見つかりました。撮影場所といた状況が分かりました)胸背の赤紫色が綺麗な色をしています。草の葉の上に飛んで逃げたところを撮影したものです。上、親指の先とムネアカナガタマムシです。下、写真だと大きく見えますが、小さな体をしています。
★シャシャンボナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。小型のナガタマムシです。分布は本州、四国、九州。幼虫はシャシャンボ、シャリンバイの枯れ木(朽ち木部分)を食べると思います。詳しくは分かりません。体長はヒシモンナガタマムシと同じ位だったので、体長5〜10ミリ程と予想します。
シャシャンボナガタマムシ1.JPGシャシャンボナガタマムシ2.JPG
上、シャシャンボナガタマムシ。シャリンバイに数匹いたのでシャシャンボナガタマムシで良いと思います。初めてみる種類で上翅後端よりに小さくV字の白い微毛の塊が見ています。これはシャシャンボナガタマムシの特徴なのでしょうか?小さいことと、今まで探したことが無かった種類なので、初見になる種類です。同じシャリンバイにいたのですが、この2枚の写真でも分かるように雰囲気が違って見えてしまっています。多少の個体差もあると思うのですが、角度により色が変わって見えることが大きいです。このようなことはタマムシの仲間にはよくあることです。このこともこの種類の特定を難しくしてしまいます。
★タマムシ(別名ヤマトタマムシ) タマムシ科タマミウシ亜科。体長30〜40ミリ。タマムシ科の中で日本最大の大きさになります。雌の方が大型になります。タマムシというとすぐに思い浮かべることができる有名な昆虫です。単にタマムシというと総称的にタマムシ科の昆虫の呼び名にもなっています。体形は細長く金属光沢の強い昆虫で、金緑色の光沢のある地に、銅紫色の縦筋が2条あります。タマムシというと法隆寺にある「玉虫厨子」が有名ですね。昆虫類はタマムシのように綺麗な色をしていても、死後に色を失う種類が多くいます。タマムシの色彩は色素などによるものではない構造色になるため、死んでも美しい色が残ります。出現は6〜9月。産卵は8月なので、8月に飛び回っている所を多く見ることができます。分布は本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島。森林、雑木林、里山、自然公園などに生息しています。成虫はエノキの葉を主に食べます。幼虫はエノキ、ケヤキ、サクラ、カシなど広葉樹の枯れた部分(朽ち木)を餌にします。幼虫は2年以上かかって成虫になります。昼行性で飛翔性が強く、高い所を飛んでいる所は見かけることができるのですが、撮影するには見つけることが難しい昆虫です。タマムシは晴天時に良く飛翔しています。大変美しい昆虫ですが、残念なことに開発により個体数を減らしています。写真だと上手く見た目の色が写せないので手を焼いてしまいます。飼育の難しい種類で、成虫の餌が分かっていてもほとんど餌を食べないので、すぐに死んでしまいます。飼育には向いていない昆虫です。タマムシは警戒心が強い性格をしていて、捕まえようとすると脚を引っ込めて落下します。擬死なのでしょうが、すぐに飛び立って逃げ出します。タマムシの派手な金属光沢のある目立った色は、鳥などの格好の的になりそうなのですが、鳥に襲われている所は見たことがありません。昆虫離れしたあの金属光沢が身を守っているようです。日本レッドデーターで調べてみると、
絶滅危惧T類には群馬県。絶滅危惧U類は山形県。準絶滅危惧類には宮城県、茨木県、千葉県、東京都、長野県、高知県、宮崎県、熊本県、長崎県となっています。
タマムシ.JPG
タマムシです。このタマムシは弱ってほとんど死んだ状態でした。タマムシは見た目の色が出ないので撮影が苦手です。しかもたいてい飛んでいて撮影できないことが多いです。大変美しい色彩をしているタマムシですが、最近めったに見ることが無くなってしまったことが残念です。昔はタマムシや地味な色のウバタマムシをよく見たことが懐かしくなります。
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2017年05月13日

ミカドトックリバチ(トックリバチ)とドロバチヤドリニクバエ。

ミカドトックリバチ(別名トックリバチ)が葉の上で、捕らえてきたイモムシを巣に運ぶための態勢を整えている所を発見しました。止まっていたすぐそばの石垣の隙間に巣が作ってありました。巣の中に餌のイモムシ(ガの幼虫)を運ぶ観察ができる幸運に巡り合うことができました。観察しているとトックリバチなどドロバチ類のストーカー、ドロバチヤドリニクバエがミカドトックリバチを追いかけてきた所を発見しました。このニクバエ科のハエはスズバチ、オオフタオビドロバチ、などドロバチ類の巣に侵入してウジ(1齢幼虫)を産み落とすそうです。様子を見ているとドロバチヤドリニクバエが異常に巣に接近して巣に入り込もうとしました。寄生ニクバエと分かっていたので、ハチに刺されないようにハエを追い払いました。ハエは諦めないで巣の近くから逃げませんでした。ミカドトックリバチはよほど良い狩場を近くに見つけたのか3〜4分ぐらいで戻ってきます。トックリバチは驚く速さで麻痺してビロンと伸びた動かないイモムシを巣の中に頭から押し込んでいきます。ミカドトックリバチがイモムシを運び込むたびに、ドロバチヤドリニクバエは巣の近くまで寄っていきます。ミカドトックリバチのトックリ状の巣は、まだ詰め込む餌のイモムシ等が満たされていないので、まだ蓋がされていない状態です。ドロバチヤドリニクバエはミカドトックリバチが離れたすきに巣の中に侵入してウジを産み付ける卵胎生で、その機会を狙っています。ここでもドロバチヤドリニクバエの侵入は防いであげました。巣を発見してから3匹のイモムシ(同1種に見えます)を詰め込んだ後、口元に茶色い球状の塊を運んできました。巣の中が餌のイモムシで満たされると卵を産んで蓋をします。蓋も泥で塞がれます。蓋をするための泥を運んできたのは2回です。何とこの蓋は2回運んだ分量の泥で塞がれました。このことから蓋は2〜3回運ばれる泥で塞がれることが予測できました。
★ミカドトックリバチ スズメバチ科ドロバチ亜科。日本特産の普通種で良く見かける種類になります。単独行動をする狩蜂です。別名トックリ状の泥の巣を作ることから、トックリバチと呼ばれています。総称的に似た仲間をトックリバチと呼んでいることもあるので、トックリバチの方が呼び名として有名です。体長10〜15ミリ。特徴は黒い体に黄色い斑紋がありますが、この黄色紋には変異があります。腹部には2本の黄色い縞が見えます。雄雌はほぼ同じに見えますが、雄の頭盾は全体が黄色くなっています。巣の形状は泥でツボやトックリに見える巣を作ります。出現は5〜10月(春型は5〜7月、夏型は7〜10月)の年2化。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地まで広く生息しています。成虫は多くの種類の花の蜜などを餌にします。日当たりの良い草原の花などの花に訪れています。攻撃性のない大人しいハチです。幼虫の餌となるイモムシはガの幼虫です。巣の中には卵が1個産み付けられます。巣の中で麻酔をかけられたガ類のイモムシは、生きながら幼虫の餌にされてしまいます成虫になると巣から脱出していきます。巣の入り口が開いていたら成虫が脱出したことが分かります。巣の大きさには大小があり、巣の大きさは餌の量に比例するようです。大きな巣からは雌が、小さな巣からは雄が出てくるそうです。越冬は巣の中で前繭で越冬します。
出現が7〜9月と言われていましたが、春にも居ることが不思議でしたが、年2化で春型と夏型がいることが分かってきました。このことを発見した昆虫研究者の大きな成果です。季節型の違いは、春型のミカドトックリバチは黄色い斑紋が小さく、夏型のミカドトックリバチの斑紋は大きく黄色がはっきりと見えることです。このことから詳しく分かるまでは季節型が別種とされていたことがありました。それにしても黒い地色に黄色の紋や筋がある種は多くいるので、この仲間を見つけたら写真を撮って調べないと分からなくなってしまいます。
ミカドトックリバチ.JPG
上、ミカドトックリバチの雌。葉の上で巣にいれる前にイモムシの体制を整えているようです。この獲物はシャクトリムシと呼ばれるガの幼虫のようです。撮影は5月で、黄色い紋が小さい春型のミカドトックリバチになります。
ミカドトックリバチ巣2.JPGミカドトックリバチ巣1.JPGミカドトックリバチ巣3.JPG
上、スムーズにイモムシを頭から巣の中に突っ込みます。巣の位置が悪く、ピントを合わせている間に獲物は巣の中に押し込まれてしまいます。見事な早業です。ミカドトックリバチは巣に獲物を素早く入れることに集中していて、近くに天敵のドロバチヤドリニクバエがいても気にしていないようです。すぐ次の獲物を捕らえて運び込むために飛んで行ってしまいました。写真、中と下は泥で作られた巣の様子です。中、巣の入り口まで獲物が詰め込まれているのが見えています。この状態になると後は入り口を塞ぐだけです。下、巣の中が餌で満たされると、最後の仕上げに外敵の侵入を防ぐため、口に咥えてきた茶色い団子状の泥で入り口は泥で完全に塞がれてしまいます。茶色く見えていたのは水分を含んでいるためです。乾燥するとすと巣と同じ色になります。入り口を塞いだ後は、次の巣を作るために飛んでいきました。
ドロバチヤドリニクバエ(ニクバエ科).JPG
上、ドロバチヤドリニクバエです。ドロバチヤドリニクバエは卵胎生のニクバエ科で体長3〜7ミリ。トックリバチや オオフタオビドロバチなどの巣の中にウジを産み落とすそうです。ニクバエ科の特徴として胸背部に不明瞭ですが3本の縦条が見えます。その他詳しくは分かりません。このドロバチヤドリニクバエの大きさは体長7ミリ位でした。寄生バエの行動を見たことが無かったので大変貴重な観察をすることができました。観察場所、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。

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2017年05月09日

オオイエバエ、オオセアカクロバエ、サシバエ、ハナレメイエバエ。イエバエ科のハエ達です。

ハエ目イエバエ科のハエは日本全国に生息していて、不快害虫、衛生害虫としてあまりに有名です。種類が非常に多く、体色も黄色、黒色、褐色、灰色など様々です。しかも似た種類が多く、種の名前を特定するとなると難しいものが多く、同じように見えるものがとにかく沢山いて非常に困難を極めます。イエバエ科は成長速度が速く卵から成虫まで10日〜2週間程しかかかりません。日本には250種類以上もいて、日中から活発に活動して人家や人家周辺で普通に見ることができます。これほど良く知られている昆虫もいないと思います。種類が多いことから餌とするものも雑多で、花の蜜、他の昆虫、動物の死骸や糞、動物の血液など実に様々ですが、多くが汚い環境で繁殖するため、衛生上汚く病原菌等を伝播して感染症を広めることから大変嫌われています。現在ではすくなくなったものの、食品に混ざることもある昆虫です。幼虫はウジと呼ばれていて、気持ち悪がられています。ハエの特徴として多くは雄の場合、複眼(目)が接近していて、くっついて見えます。雌の場合は複眼が離れているので、外見上では雌雄の区別はつきやすいです。イエバエというとイエバエ科の総称として呼ばれる場合と、イエバエという種類の名で呼ばれる場合がありますが、多くはまとめて総称的にイエバエと呼ばれることが多いようです。イエバエという種類は人家内で見れれることが多い普通種のハエなので付いた名前のようです。昔はゴミ捨て場や畜舎周辺などで大発生していたことがありますが、衛生環境の良くなった現在では昔ほど多くは見ることは無くなってきています。あまり知られていませんが、動物の血を餌としているハエがいます。血を吸うハエがいるなんて、と驚かれるかも知れませんが、サシバエという畜舎に生息する吸血性のハエがいます。血を餌にするハエがいることは、1般的にはあまり知られていないと思います。人を刺すことがあるハエ、しかも血を吸うハエがいることを想像するだけで、寒気がする方もいると思います。サシバエはその食性から畜産農家の困った害虫になっています。幸いなことにサシバエは人を刺すことがあっても、カのように積極的に人の血を吸うような行動はしません。サシバエの仲間は灰色っぽい体をしています。イエバエ科の仲間を調べるにはやはり翅脈を見比べる必要が有ります。オオイエバエとサシバエの場合、翅脈はイエバエ科としては少し違って見えます。大まかな科の判別は翅脈である程度見分けることができますが、さらに詳しい名前を市レベルとなると、僅かな翅脈の違い、毛の配列や生え方等、交接器の形状等を確認しなくてはいけないので、写真撮影だけでは、ほぼ判別は無理というのが本当のところです。当ブログのハエについては、あくまでも見た目の大まかな判別によるものになります。紹介する オオイエバエ、サシバエはよく見て比較しないと同じに見えてしまいます。オオイエバエも総称になっていています。オオイエバエ属の オオセアカクロバエは小楯板が橙褐色をしているので、大きさ等からこの種だと当りを付けることができます。とはいえ、似たものが多いハエが多いので、このような感じに見えるハエがオオイエバエ属になるという参考にしてみてください。中型で眼の離れている体長5〜6ミリのハエを見つけました。この種類はイエバエ科ハナレメイエバエ亜科になるようです。ハナレメイエバエは名前の通り雌雄共に眼(複眼)が離れていて、中型の細長く見えるハエです。眼の間に鋭い毛が生えていて、頭部はよく見ると怖い顔のように見えます。この仲間は調べてみると超難解で手に負えません。名前を割り出すことなど当方には全く不可能です。ハナレメイエバエの仲間として紹介します。イエバエ科のハエ4種類。 オオイエバエ、オオセアカクロバエ、サシバエ、ハナレメイエバエの仲間を調べてみました。
★オオイエバエ イエバエ科オオイエバエ属。普通種。体長7〜9ミリ。胸背部に4本の黒い縦条が見えます。オオイエバエ属としては、小楯板に見える赤褐色が不鮮明な種類もいます。腹部は黒と白の配色になっています。イエバエの場合、腹部に黄色っぽい色が見えます。オオイエバエは高い飛翔力を持っています。オオイエバエの翅脈はサシバエに似ていて、イエバエ科の翅脈と違っています。分布は北海道、本州、四国、九州。出現は3〜11月。オオイエバエは成虫で越冬します。豚舎、鶏舎に多く発生し人家にも侵入することがあるハエになります。人家周辺に多いので、最も目にする機会のある大型のハエになります。林縁や林内にも生息しています。幼虫(ウジ)の餌は動物の糞を餌にするので、衛生上良くなく、病原菌を媒介します。似た種類にサシバエ、イエバエがいます。イエバエとよく似ていますがイエバエよりも大きく腹部の色に違いが出ます。サシバエは黒い口吻を持ち皮膚を突き刺して血液を吸います。腹部は白と黒の市松模様のようになっています。見た目も翅脈の形もオオイエバエとサシバエはよく似ています。                  オオイエバエの仲間にはモモグロオオイエバエ(体長12〜14ミリ程。脚の色が黒い特徴があるようです。)、オオセアカクロバエ(体長10〜12ミリ)などの大型のイエバエもいます。オオイエバエの体長が7〜9ミリだとすると、10ミリを超える似た種類のものは、オオイエバエ属の種類になると思います。オオイエバエと簡単に言っても、このように訳が分からなくなってしまいます。
オオイエバエ1.JPGオオイエバエ2翅脈(イエバエ科).JPG
上、オオイエバエの写真になります。(オオイエバエもしくはオオイエバエ属)見るからに体格の良いハエです。下、上と同じ個体の翅脈です。翅脈にはイエバエ科の特徴を見ることができます。
★オオセアカクロバエ イエバエ科オオイエバエ属。体長10〜12ミリ。よく似たセアカクロバエよりも大きく、小楯板の後端は橙褐色で翅の付け根の部分も橙褐色をしています。オオセアカクロバエは林縁に多く生息していて畑など農作地周辺にも居ます。オオセアカクロバエ は人家ではあまり見かけません。分布は北海道、本州、四国、九州?
オオセアカクロバエ(イエバエ科)1.JPGオオセアカクロバエ2.JPG
オオセアカクロバエ。この個体は規模の大きい家庭菜園の脇の林縁の歩道にいました。小楯板の下端に見える橙褐色が特徴になります。よく似た種類にセアカクロバエがいます。セアカクロバエは同じイエバエ科で体長8〜10ミリ。オオセアカクロバエよりも小さく特徴は似ていて、小楯板の下端は橙褐色をしているそうです。分布は北海道、本州、四国、九州?                               写真はないのです、モモグロオオイエバエとイエバエもついでに調べてみました。            
★モモグロオオイエバエ 普通種のイエバエ科オオイエバエ属で体長は12〜14ミリ。特徴は大型で胸背には4本の黒い縦筋が見えることが挙げられます。名前の通り、脚の色が黒色であることが特徴になるようです。オオイエバエとの比較では、オオイエバエの脚の腿節は褐色になっているそうです。出現は3〜11月。成虫で越冬。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地にいるようです。モモグロオオイエバエの幼虫は金沢大学の赤石大輔先生と中村浩二先生の研究によると、イグチ科やテングタケ科の大型で柔らかいキノコを餌として利用するそうです。肉食性もあり、終齢幼虫は同じキノコにいる他のハエ類の幼虫を捕食するそうです。モモグロオオイエバエは毒キノコのテングタケ類を餌にできるタフなハエなのです。テングタケ科は有名な毒キノコですが、うまみ成分を多く含んでいる毒キノコなので、毒に当たらないモモグロオオイエバエには馳走になるようですね。詳しく調べたかったら、テングタケ科のキノコに湧いているウジを育てると、モモグロオオイエバエの成虫の確率が高いので、観察することができるかも知れません。モモグロオオイエバエと思われる写真が撮れましたら追加する予定です。                            
★イエバエ イエバエ科。体長は6〜8ミリ。雌雄とも複眼は離れています。胸背に4本の黒い縦条線が見えます。腹部の色は黄褐色(腹部第2節、第3節の色)をしています。最大の特徴は前胸側板に毛が生えていることです。腹部の色、模様には個体差や地域差が出るようです。出現は3〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。人家周辺でも発生して人家に侵入することが多いハエになります。人糞、家畜の糞、堆肥、腐った食物、生ごみなどが好きで、幼虫の餌となります。成長が早く、卵から成虫までは約10日程です。成虫で越冬します。イエバエとモモグロオオイエバエの写真が撮れましたら写真を追加したいと思っています。
★サシバエ イエバエ科。体長は雄3〜65ミリ、雌5〜8ミリ。体色は全体敵に灰色をしています。胸背部には4本の黒い縦条が見えます。サシバエの翅脈はオオイエバエの翅脈に似ていて、他のイエバエ科の翅脈と違っています。腹部の模様は市松模様のようになっています。口元から黒い色をした口吻が突き出ています。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。人や家畜などの動物の血液を吸う吸血性のハエです。雄も雌も血液を餌にします。幼虫は堆肥に発生します。畜産農家などで牛などに被害を与える害虫です。牛が吸血によるストレスを受けるそうです。当然、吸血による感染症も引き起こします。人の血も吸う怖いハエなので注意が必要です。サシバエは非常に高い飛翔力をもち長距離の移動も可能です。ハエとしても知られています。似た種類に本州以北に生息するのサシバエがいます。越冬は蛹で行われます。詳しく知りたい方は、兵庫県立農林水産技術総合センターのホームページで、専門技術員の長井秀樹先生がサシバエについて詳しく書かれていました。サシバエの成虫は羽化の翌日から吸血が可能で、特に牛の血が好きで吸血量は朝夕2回、雄は9・45ミリグラム。雌は16・43ミリグラムも吸うそうです。サシバエは涼しい時間帯に吸血するそうです。吸血性のハエは日本国内には6種いるそうです。
サシバエ1.JPGサシバエ・横2.JPG
上、サシバエです。写真では分かりにくいのですが、黒く突出している刺すための口吻があります。サシバエの仲間は、この突き出た口吻が特徴になっていて、この部位を確認できたら分かりやすい種類になります。血を吸うハエが日本にいるなんて信じられないかもしれませんが、サシバエは人の血も吸うことができる吸血性のハエです。写真で見るよりも実物はオオイエバエにそっくりに見えます。比べて見ないと同じハエだと思ってしまうと思います。サシバエは畜産農家のある近くで見つけることができます。
★ハナレメイエバエはイエバエ科ハナレメイエバエ亜科になる小型から体長5〜6ミリ程の中型の大きさのハエです。ハナレメイエバエの仲間には何種類かいて、その総称になっています。種名まではあてずっぽうでも分からない位に難解です。ハエの分類はどれも難しく、皆同じに見えてしまいます。ここでは ハナレメイエバエの仲間としておきます。
ハナレメイエバエ亜科・胸背部.JPGハナレメイエバエ亜科・頭部・胸背部.JPGハナレメイエバエ亜科・体側.JPGハナレメイエバエ亜科・中脚後側の3本の刺.JPG
上の写真はイエバエ科ハナレメイエバエ亜科の1種です。ハナレメイエバエの仲間も種類が多く、種類の名前を当てるのは当方には到底無理です。ハナレメイエバエの仲間は、このようなハエだと思って参考にしてみてください。この個体は捨てられた竹林のタケノコの汁を吸っていました。種類が分からなくて大変苦労したハエなので拡大写真も載せてみました。1番上でイエバエ科の翅脈の特徴が分かります。頭部(複眼の間)は口のように見える割れた頭をしています。3枚目、横から見た拡大です。下、腿節に3本の刺が見えています。脚の色は淡いオレンジ色に見えます。符節部分は黒い色をしています。
イエバエに属するハエは名前が違っていても、みな同じにしか見えないという恐ろしい特徴を持っている、実に特定が難しい種類の昆虫です。素人には判別できないということが実際の所です。これほど見る機会の多い普通の昆虫なのに奥が深すぎます。撮影が難しい種類も多く、カメラを近づけると逃げられてしまうことが多いうえ、ブレたりピントが合わなかったりと、思いのほかてこずってしまいます。ハエの利点は他の昆虫が見つけられない時などには、良い時間つぶしの遊び相手になることです。名前を見つけることも難しい昆虫なのですが、勢いで紹介してきました。ハエは紹介するのに勇気がいる昆虫になります。
posted by クラマ at 20:08| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする