2017年07月27日

トラマルハナバチ、コマルハナバチ。ミツバチ科のマルハナバチの仲間です。

トラマルハナバチ、コマルハナバチはマルハナバチの仲間でミツバチ科のハチになります。配色はミツバチに似ていますが、ニホンミツバチやセイヨウミツバチなどのミツバチよりも大きく毛深く、ずんぐりとした丸味のある体形をしています。巣は地中に作られます。ノネズミやモグラの廃巣なを利用して作られることが知られています。マルハナバチの仲間は性格のおとなしい種類が多く刺されることはあまり無いようなのですが、トラマルハナバチには刺されることがあるようです。おとなしい種類のハチだといってもハチであることには変わりありません。マルハナバチの仲間の毒性は弱いとのことですが、危険は避けた方が良いです。ハチは巣を守ろうとするので、トラマルハナバチの地中に作られる巣を見つけても刺激しないようにした方が良いです。本来、巣を作る場所がノネズミやモグラの廃巣などを利用することから、巣の場所は見つけにくくなります。今回、運よくトラマルハナバチの巣を見つけることができたので、トラマルハナバチの巣作りも観察することができました。まじかで観察することができラッキーでした。花の蜜を集めている時も忙しそうにしている活発なハチなのですが、巣を作っている時もせわしなく動き回っていました。トラマルハナバチと同じミツバチ科のコマルハナバチの雄は、全身が淡い黄色のフワフワの毛に包まれていてとても可愛く見える綺麗なハチです。コマルハナバチの雄は別名、ライポンと呼ばれているようです。性格が大人しい雄のコマルハナバチは人を刺すことがありません。正確には雄は毒針を持っていないから刺せないのです。雌は雄と違い黒いフワフワした毛で覆われているので、体色は黒く見え同じ種類のハチとは思えません。雌のハチは捕まえようとすると毒針を持っているので、刺されるので注意が必要です。コマルハナバチには似たものが多くいて、よく見ないと種類が分からなくなってしまいます。
マルハナバチの仲間は優れた花粉の媒介者としても知られていて、在来種のクロマルハナバチがハウス農家の花粉の受粉に使われています。以前はヨーロッパ原産の外来種セイヨウオオマルハナバチが使われていましたが、逃げ出した場合、在来種のマルハナバチが駆逐されてしまうことが分かりました。そのため環境省がセイヨウオオマルハナバチを2006年に特定外来生物に指定しました。日本の侵略的外来種ワースト100にも指定されています。現在、農業用に持ち込まれたセイヨウオオマルハナバチは北海道のほぼ全土で野生化して定着しています。セイヨウオオマルハナバチの分布は北海道、本州。人為的に持ち込まれ逃げ出したものが野生化して在来種を駆逐することが確認されています。北海道では在来種のクロマルハナバチも同じように国内外来種になる危険性があると思われていることから、北海道ではハウスから逃げ出さないように注意しているようです。クロマルハナバチは東京都、神奈川県では絶滅。福岡県では絶滅危惧T類。千葉県、群馬県、三重県、兵庫県では絶滅危惧U類。長野県、滋賀県では準絶滅危惧種に指定されています(日本のレッドデーターより)。分布は本州、四国、九州。野生のクロマルハナバチは数を減らしている個体数が少ない種類になります。  
トラマルハナバチとコマルハナバチの2種類のマルハナバチを調べてみました。似た種類のマルハナバチも調べてみました。トラマルハナバチは2度目の登場になります。
★トラマルハナバチ ミツバチ科。体長は雄16〜19ミリ。女王蜂20〜26ミリ。働き蜂10〜18ミリ。トラマルハナバチは大型のハナバチです。特徴はマルハナバチの中で1番長い口吻を持っていることと、体に密生している長い毛が黄褐色〜オレンジ色に見え、丸味のある体形をしていることです。腹部は黄褐色と黒の縞模様のように見えます。尾部先端部には黒い毛が生えています。マルハナバチの中では最も普通に見られる普通種で数も多いのですが、近年数を減らしてきている種類になるようです。全身に長い毛が密生しているため、体に花の花粉が付きやすいことから、優れた花粉媒介者としても知られています。フワフワの黄褐色(オレンジ色)の毛で覆われたとても可愛いく見えるハチです。マルハナバチ類は攻撃性の弱いハチが多いようですが、トラマルハナバチは大人しいと言われる中では1番攻撃性が強いようです。でも変に刺激しなければめったに刺されることはありません。出現は4〜11月と活動期が長いです。分布は本州、四国、九州。平地から低山地の各種樹林と林縁に多く生息しています。人家付近よりは林縁などに多い種類になります。成虫は様々な花の花粉や蜜を餌にします。後脚に花ダンゴを付けて巣に運びます。幼虫の餌は花粉(花ダンゴ)と蜜を食べます。巣は地下にあり、ネズミやモグラの廃巣に作られます。巣の規模は10〜20匹程で構成されるようです。越冬するのは女王蜂だけで、越冬は巣を捨てて地中に潜り雌(女王蜂)が越冬します。トラマルハナバチは京都府では準絶滅危惧種に指定されています。巣にネズミやモグラの廃巣を利用することから、ネズミやモグラが減るとトラマルハナバチも減少してしまう可能性があります。また活動期が長いので、餌となる花も咲いていることも重要になってくると思われます。普通種といえど、数が減ってきていることは容易に察することができます。トラマルハナバチは密を吸っている場合は、花に頭を突っ込むようにして蜜を吸うことと、すぐに花から次の花に移動するので、とても撮影しにくいハチになります。
トラマルハナバチ巣1.JPG
上、巣を作るために集まっていたトラマルハナバチです。半径60センチほどの範囲を忙しく動き回っています。コンデジは4最短で15センチ程近づいています。じっとしているとカメラの存在を気にしないようですが、巣を刺激すると攻撃されてしまいます。働き蜂の集団は地下の穴に潜んでいるものがいるとは思いますが、常時8匹ほどが巣の周りで確認できました。穴からでたり入ったりを繰り返しています。背中のフワフワ、モコモコした毛が黄褐色〜オレンジ色に見える可愛いハチです。この巣を作る場所に選ばれたのはノネズミの巣のようです。7月4日。
トラマルハナバチ巣2.JPGトラマルハナバチ巣作り3.JPGトラマルハナバチ巣作り4.JPGトラマルハナバチ巣作り5.JPG
上(1枚目)偶然に巣を作る様子を観察することができました。背の低い20〜30センチほどの笹が生えている場所に、やや盛り上がった土の塊がありました。モグラの巣よりは土の盛り上がりが少なく、周辺に2か所ほどしか盛り上がった土の部分はなかったのでノネズミの巣だと思われます。地面とその周辺に数匹が飛び回っていました。後日、撮影のため様子を見て見ると、巣は坑道を利用して作られようとしているようです。塹壕のような道ができていました。そこを通て地中に出入りしています。初めて見つけた時にはなかった塹壕のような溝は、地中に隠れていた空洞だったのでしょう。この溝を使って移動して正式に巣を構える場所を探している最中のようです。7月4日。2枚目、地表にいるトラマルハナバチはどれも土か枯れた草をかじっているように見えます。7月6日。3枚目、巣を作る場所が決定したようです。散らばって地表を歩き回っていた範囲が少なく成っています。地表を歩き回っているトラマルハナバチの行動範囲は巣穴から40センチ程になっています。塹壕に見えた溝は土で埋まっていました。7月8日。4枚目(下)さらに周辺に僅かに見えていた溝は無くなって、出入り口は整った丸い形の穴になっていました。地下に本格的な巣が作られ始めたようです。地表を歩き回るトラマルハナバチほとんど見られません。小さなササをどけないと巣の場所も良く分からなくなっています。この状態では巣を見つけることは難しかったと思います。7月13日。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★コマルハナバチ ミツバチ科。体長は雄8〜16ミリ。雌(女王)20〜22ミリ。働き蜂10〜16ミリ程になります。マルハナバチの仲間はズングリした丸みのある体形をしています。出現期3〜6月(エゾコマルハナバチでは8月中旬まで)。分布は北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島。北海道に産する コマルハナバチ は別亜種とさ特徴は胸と腹部に黄色い色が入ります。北海道のコマルハナバチはエゾコマルハナバチとして区別されています。コマルハナバチはマルハナバチの中では1番暑さに強い種類になります。南では対馬、屋久島まで生息していますが、対馬 のコマルハナバチも別亜種になります。東北地方では本州の個体と北海道の個体(エゾコマルハナバチ)の中間的な外見を持つ個体もいるそうです。対馬の個体では本州の個体とは毛の色が違っているそうです。コマルハナバチは雄と雌で体色が違うミツバチ科のハチになります。
コマルハナバチの雌雄の特徴は、雄と雌とでは体色が違っていることです。雄は淡黄褐色や黄色で綺麗なフワフワに見える毛に覆われています。腹端部にはオレンジ色に見える毛が生えています。雄には毒針が無く刺されることはありません。コマルハナバチの雄は別名ライポンと呼ばれていて、とても大人しく攻撃性のない温厚な性質をしています。雌のコマルハナバチは黒く見えます。フワフワに見える柔らかそうな黒い毛に覆われていて、復端にはオレンジ色の毛が生えていて腹部先端がオレンジ色に見えます。雌のコマルハナバチは刺すので注意が必要です。成虫の餌は花の蜜や花粉で盗蜜行動もします。幼虫は花粉ダンゴを食べます。活動時期は早く、雌は3月から活動しています。コマルハナバチは6月に女王バチ(新しい個体)と雄が現れます。活動時期は3月からと早いのですが、休眠する時期も早く、早いものでは6月下旬ごろから土中の巣で休眠に入りそのまま越冬します。夏の暑さに弱い種類になります。 巣は地中のネズミの廃巣などを利用して作られます。コマルハナバチに似ているハチにはオオマルハナバチ、クロマルハナバチがいます。似たハチとの判別のための違いを挙げてみました。
・コマルハナバチには似ているオオマルハナバチがいます。雌のコマルハナバチと雌のオオマルハナバチがよく似ています。オオマルハナバチは3色の配色(毛の色)になります。オオマルハナバチの体長は雌(女王)23ミリ。働き蜂13〜20ミリ程になります。出現は4〜10月頃で秋まで活動しています。オオマルハナバチの腹部第2節には黄白色の帯があります。コマルハナバチには個体変異が多い様なので、オオマルハナバチと紛らわしい個体もいるかもしれません。コマルハナバチの出現期が3〜7月と出現は1番早く姿を消すのも早い種類になります。この出現時期も見分ける手掛かりになります。
コマルハナバチの雌とクロマルハナバチの見分け方。
・コマルハナバチの場合、体毛はふわっとした感じです。毛は腹部の毛でも立ちあがっていて、毛が短く寝て見えるることはありません。頭部は小さく見えます。体長はクロマルハナバチよりも小さくて、お尻のオレンジ色が目立ちます。
・クロマルハナバチの場合、腹部の毛が短く毛は寝て見えます。コマルハナバチの雌はよく似ていますが、クロマルハナバチの方が大型で胸部背面の毛はビロード状で短くなります。体長は雌(女王)21〜23ミリ。雄20ミリ。働き蜂12〜19ミリ程になります。クロマルハナバチの頭部は大きく見えます。クロマルハナバチの出現期は4〜11月になります。
最も頭が小さいとか、毛が寝て見えるという表現は比較して初めてわかることなので、上記を踏まえて参考にしてみてください。私も撮影してはみたものの、花の花弁に隠れて見えない部分があったり、ブレやピントが合っていないなど不確かな映りのものが多いです。
コマルハナバチ雄.JPGコマルハナバチ雌.JPG
上、コマルハナバチの雄。コマルハナバチの雄は黄色いフワフワの毛に包まれています。忙しく花から花に移動してしまうので、撮影の大変難しい種類になります。6月にオオキンケイギクの花に来ていました。毛色には個体差がある種類です。コマルハナバチの雄には黄金色でフワフワに見える長い毛が生えていて可愛いです。ミツバチの仲間にも似て見えます。黄色い毛の生えている(黄色に見える)ニッポンヒゲナガハナバチもいるので写真の角度では似て見えてしまうかも知れません。翅脈は ニッポンヒゲナガハナバチとよく似て見えます。実に似たものが多い種類のハチになります。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。下、雌のコマルハナバチです。ツツジの花で良く見かけます。コマルハナバチは活発に動くのでピンボケばかりになってしまいます。また頭を花に突っ込むので撮影が難しいハチです。残念ですが神奈川県ではよく似たクロマルハナバチは絶滅しているので間違うことはありません。脚が長く見えることもコマルハナバチの特徴です。撮影地。神奈川県海老名市。
posted by クラマ at 14:52| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月15日

アブラムシ(アリマキ)の仲間5種類。ダイコンアブラムシ、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ、キスゲフクレアブラムシ、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ、エノキワタアブラムシ。

アブラムシは別名アリマキとも呼ばれています。アリと共生関係を作っている昆虫としても知られています。アリに守ってもらう代わりにアブラムシが甘い蜜をアリに提供するのです。アリマキとは「アリの牧場」という意味があるそうです。アブラムシ自体は体の作りも弱く、数にものを言わせて生存していかなければならないので、その繁殖力はとても旺盛です。アブラムシは雑多な植物を餌にする種類や、決まった植物を餌にする種類がいます。アブラムシの天敵はテントウムシ類になります。テントウムシは成虫も幼虫もアブラムシ類を餌にするので、テントウムシが多く集まると瞬く間に食べられてしまうことがあります。アブラムシは通例、気持ちが悪いと嫌われる昆虫ですが、個人的には形が面白くて好きな昆虫です。単にアブラムシというとゴキブリもアブラムシと呼ばれることがありますが全くの別物です。ゴキブリはゴキブリ目に属する昆虫の総称になり、別名としてアブラムシとも呼ばれることがあります。単にアブラムシというとこの2種のどちらかということになりそうですね。   
ここで紹介するアブラムシは、植物に寄生するアブラムシ科の昆虫になります。アブラムシ(別名アリマキ)は様々な植物に寄生する種類から、決まった種類の植物に寄生する種類もいます。植物が決まっているアブラムシの場合は、植物を手掛かりにして探すと色々な種類を見つけることができます。アブラムシの仲間でも、エノキワタアブラムシのような白いロウ状物質を体にまとい、フワフワ飛ぶ種類を雪虫と呼ぶことがあります。雪虫とは綿雪が舞っているように見えることから呼ばれた名前のようです。飛ぶのは翅を持つ有翅型のアブラムシで、発生が多いと飛んでいる様子は幻想的に見えます。アブラムシは園芸家や農家に嫌われ者としても有名ですが、樹木や雑草など含め寄生する植物の種類は多く、日本では700種類以上いると言われています。アブラムシ科の昆虫、ダイコンアブラムシ、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ、キスゲフクレアブラムシ、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ、エノキワタアブラムシを調べてみました。
★ダイコンアブラムシ アブラムシ科。体長1・8ミリ。体表はロウ状物質に覆われ灰色に見えます。出現期は4〜11月 。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。無翅型と有翅型がいます。葉の裏や茎、花穂に群生して発生します。ダイコンアブラムシはアブラナ科植物にのみ発生して、成虫、幼虫共にアブラナ科の野菜の汁を吸う害虫として発生します。ダイコンアブラムシは春〜初夏頃の発生が多く、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどの作物に被害を与えます。菜の花(アブラナ、セイヨウアブラナを指すことが多いです)、ナタネ(セイヨウアブラナの別名)、ダイコン、ハボタン、ストック、など幅広く寄生されてしまいます。ハウス栽培ではハウス内の気温が下がらないので、冬の間でも被害が出ます。名前にダイコンと付いていますが、キャベツやナタネでの発生が多いです。有翅型の成虫により被害が広がってしまいます。越冬は卵で行われますが、暖かい地方では成虫で越冬します。同じくアブラナ科の植物にのみ発生する似たアブラムシに、ニセダイコンアブラムシがいます。ニセダイコンアブラムシは汚れた緑色に見えます。ニセダイコンアブラムシは季節に関係なく発生します。
ダイコンアブラムシ.JPG
上、ダイコンアブラムシです。セイヨウアブラナの花穂に発生していました。大きいものから小さなものまで集まって群生していました。小さい幼虫も灰色をしているのでとても汚く見えます。繁殖力が強く、発生すると大小のダイコンアブラムシが集まって群生している所を良く見つけます。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
★セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ アブラムシ科。体長2・5〜4ミリ。名前の通りにヒゲ(触角)が長く、赤い体の色をしたアブラムシです。有翅型と無翅型がいます。北アメリカ原産の外来種で、1980年代に侵入して帰化したとされています。体色は鮮やかな赤色をしたアブラムシで個人的には好きな昆虫です。触角と角状節(お尻の方に見える尖った1対の棘にみえるもの)は黒い色をしています。脚は黒い色をしています。腿節の端から先は黒色、体に近い部分は黄色っぽく見えます。お尻の先に突き出て見える尾片は黄色〜赤色に見えます。寄生する植物はセイタカアワダチソウのみになります。出現は3〜11月。分布は本州、四国、九州。成虫も幼虫もセイタカアワダチソウの茎にいて汁を吸います。幼虫は成虫と同じように見える姿をしていて成虫も幼虫も下向きになって茎にとまっています。幼虫は小さくても成虫と似たような体をしていますが、幼虫は触角も角状節も黒くありません。春と秋に個体数が増える種類です。セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシが群生していると赤い色の塊が見えるので、発生していることがすぐに分かります。天敵はテントウムシで食べられてしまいます。良くナナホシテントウに捕食されています。アブラムシ類は弱っちい昆虫なので数で対抗して種を保存しています。越冬は卵で越冬します。
セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ横.JPGセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ無翅型.JPG
上、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシの無翅型です。小さな虫なのに名前はとんでもなく長いです。赤くて面白い形をしているので好きな昆虫です。撮影中にうっかり指で潰してしまうと、赤い汁がついてしまいます。この赤い色素は染色に使えそうです。寄生しているセイタカアワダチソウも北アメリカ原産の帰化植物です。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★キスゲフクレアブラムシ アブラムシ科。体長4〜5ミリ。ユリ科のゼンテイカ(ニッコウキスゲ)、キスゲ(別名ユウスゲ)、ノカンゾウ、ヤブカンゾウとその園芸品種(ヘメロカリス)に寄生します。野原で見られるノカンゾウ、ヤブカンゾウにはかなりの確率でキスゲフクレアブラムシが発生しています。無翅型の成虫と幼虫はロウ物質で体を覆われているので、白っぽく見えます。脱皮したての幼虫などは黄色く見えます。有翅型の成虫は透明な翅をしていて、体は明るい橙黄色をしています。角状節は先端がくびれています。出現期は6〜9月。分布は北海道、本州。キスゲフクレアブラムシは秋にはゴンズイ、ミツバウツギに移動して有性生殖をします。越冬は卵で越冬します。1次寄生がゴンズイ、ミツバウツギで2次寄生がキスゲ類になります。キスゲフクレアブラムシはゴンズイフクレアブラムシとも呼ばれていましたが、現在はキスゲフクレアブラムシが正式名になりました。ノカンゾウ、ヤブカンゾウの近くにゴンズイやミツバウツギが生えていたら、ほぼ発生します。ユウスゲやカンゾウ類の園芸品種は、ヘメロカリス(別名デイリリー)と呼ばれていて、花壇や庭に植えられていますが、科が同じなのでキスゲフクレアブラムシが発生します。
大変良く似た種類にミツバウツギフクレフシがいます。紛らわしいことに、どちらの種もミツバウツギ、ゴンズイなどのミツバウツギ科に寄生します。キスゲフクレアブラムシの場合は1次寄生になります。判別方法は、ミツバウツギフクレアブラムシは角状節の中央が膨らんでいて、先端はくびれていません。キスゲフクレアブラムシの角状節の中央部分はは膨らんでいません。角状節の先端はくびれています。違いが分かっても、小さい昆虫の小さな器官の差なので、実際は両種の判別は難しいです。ルーペを使うかデジカメ等で撮影して確認するようになってしまいます。キスゲフクレアブラムシの2次寄生としての植物(ノカンゾウ、ヤブカンゾウ等)にいる場合は間違うことはないのですが、ゴンズイやミツバウツギに移動されたら両種の確認が必要になってしまいます。
キスゲフクレアブラムシ幼虫.JPGキスゲフクレアブラムシ有翅型.JPGキスゲフクレアブラムシ3.JPG
キスゲフクレアブラムシです。遠くから見ると、白っぽいカビが生えたようで汚らしく見えるのですが、幼虫と無翅型の成虫は体表にある白く見えるロウ状物質に覆われているので、拡大すると羊っぽくも見える可愛い形をしています。個人的には1番愛嬌のある容姿をしたアブラムシだと思っています。上、ノカンゾウの花に群生している様子です。有翅型の幼虫の体側には翅になる部分が見えています。中、同じくノカンゾウの花にいたキスゲフクレアブラムシの有翅型です。下、体が白いロウ状物資に覆われています。白くてポッチャリした体形が羊っぽく見えるのは私だけでしょうか。脱皮したての幼虫と有翅型は白くありません。上2枚とは別の場所で撮影しました。撮影地。神奈川県横浜市。
★ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ アブラムシ科。体長2・5ミリ。有翅型と無翅型がいます。ヘクソカズラヒゲナガアブラムシはヘクソカズラの葉や茎に付く綺麗な橙赤色(オレンジ色)をした触角の長いアブラムシです。幼虫は体色が薄いだけで成虫と似ています。幼虫期から脚(腿節)や触角、角状管の色は成虫のように黒色に見えます。幼虫は橙黄色をしています。出現は5〜11月。分布は本州、四国、九州。アカネ科のヘクソカズラに寄生するアブラムシです。大きなコロニーはあまり作らないようです。ヘクソカズラは臭い匂いで葉を食べられることを防いでいるそうですが、臭い植物として知られるヘクソカズラの汁を餌として吸っているこのアブラムシは、体液も臭いそうです。うっかり潰さないようにした方が良いようです。餌とする植物を最大限に利用している逞しいアブラムシです。ヘクソカズラアブラムシの越冬は卵で行われます。
ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ1.JPGヘクソカズラヒゲナガアブラムシ2.JPG
上、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシです。ヘクソカズラの葉の上にいました。襲われることが少ないのか、葉の表でのんびりしていました。普通種になるのですが、個人的には見つけにくい種類になっています。下はまだ小さな幼虫です。成長に従って体の色は濃くなるようです。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
★エノキワタアブラムシ アブラムシ科。体長1・5〜2ミリ程。エノキワタアブラムシは全身フワフワモコモコの白く見えるアブラムシです。フワフワのワタのような塊を入れたり、飛んでいる個体は大きく見えます。繁殖力が強く大発生することがあり、集団を作るので白いカビが生えたように樹が汚く見えます。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。繁殖力が強く林縁や道路の脇などのエノキの幼木で普通に見ることができます。ニレ科のエノキ、ムクノキに発生して成虫、幼虫ともに葉の裏や若い茎(枝先)にいて葉から汁を吸います。圧倒的にエノキに依存していてエノキで普通に発生しています。無翅型、有翅型ともにワタのような白い毛で覆われていますが、孵化したての若齢幼虫には白い綿毛はありません。徐々に綿のようなロウ状物質に覆われて行きます。触角には黒い環紋があり縞模様に見えます。有翅型の翅は良く見ると透明で翅脈に沿って黒い筋模様が見えます。エノキワタアブラムシが発生しているエノキは2メートル以下の背の低い若い樹に発生しています。体が小さく風の抵抗も強そうなので、飛ばされないように低い樹や枝を選んでいるようです。無翅型は白いワタの塊に見えますが、よく見ると触角が突き出ているので、頭のある部分は分かります。  
繁殖力が強く、発生が多いと有翅型がエノキの周りをフワフワと飛び回っています。これが意外と不思議な美しさがあります。綿雪のような白い塊が、フワフワと飛ぶと言うよりも舞って見えます。撮影していると驚いて飛んで逃げ出したエノキワタアブラムシも、すぐに葉にたかるために遠くには逃げないで戻ってきます。葉に集っているとカビのようで汚く見えるエノキワタアブラムシも、群れて飛んでいる様は幻想的で大好きです。ホストとなるエノキは丈夫な樹木で、アスファルトの隙間や舗装泥の脇にも生えているものがあります。そのエノキに発生しているエノキワタアブラムシは逞しい昆虫です。アスファルトの隙間や舗装道路の脇のエノキで普通に見ることができることから、エノキさえあれば都市部での繁殖も容易なはずです。寄生する樹がエノキなので大きな問題になっていないのでしょう。有翅型は秋には雄と雌の両方が現れて越冬は卵で越冬します。温暖な地方では胎生雌や卵で越冬するようです。
エノキワタアブラムシ有翅型1.JPGエノキワタアブラムシ有翅型2.JPGエノキワタアブラムシ無翅型.JPG
エノキワタアブラムシです。綿アメのようなアブラムシです。上2枚は有翅型で飛ぶことができます。飛び方はフワフワと風に舞うような弱々しい飛び方ですが、群れで飛んでいると粉雪が舞うような不思議な美しさに見えます。雪虫の別名がうなずけます。上、触角に黒い輪紋が見えます。翅には翅脈に沿って黒い筋が見えています。中、上から見て翅が良く見えないと、有翅型か無翅型のどちらかなと思うほど、どちらも綿のようなロウに包まれています。下、無翅型のエノキワタアブラムシです。触角が見えないと頭がどこにあるのか分からなくなりそうです。孵化したての若齢幼虫には綿毛のようなロウ状物質はありません。成長につれてモコモコになっていきます。撮影地。神奈川県横浜市。
ナミテントウ捕食.JPG
上はナミテントウがエノキワタアブラムシを食べていたところです。すでに残りわずかです。テントウムシの口元に綿アメの食べ残しのようなものが付いています。まるで綿アメを食べていたように見えます。体にはモコモコがあるのでテントウムシに食べられにくそうな体をしていますが、完食されてしまいました。この綿アメのような体表は身を守るためには役に立たないようです。
posted by クラマ at 14:43| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月08日

ナシアシブトハバチ。黄色い大型のイモムシの正体はハバチの幼虫です。

ナシアシブトハバチは変わった昆虫です。成虫は凶暴なスズメバチに似ていますが、ハバチなので毒針は持っていません。スズメバチに擬態して身を守っているようです。幼虫は芋虫型で終齢に近づくと50〜60ミリ程の大きさで色は黄色〜橙黄色をした太いイモムシのように見えます。日中は黄色い大きなカタツムリのように見える形に丸まって葉に付いています。ナシアシブトハバチは夜行性なので、昼間は丸まって葉に付いて休んでいるのです。ハバチの幼虫はある特定の植物の葉を餌にします。ナシアシブトハバチはサクラ、ボケ、ナシの葉を食べます。観察地にはナシはないのですが、サクラとボケで見つけています。幼虫は大発生ということはなく、樹を枯らしたり、弱らせるようなことはありません。ハバチは普通にイメージするハチとは違って、巣をつくりません。幼虫はガやチョウの幼虫のように植物の葉を餌にして育ちます。幼虫はチョウやガの幼虫によく似ていて紛らわしいのですが、簡単に判別する方法があります。
・ハバチの幼虫の判別方法。チョウとガの幼虫との違いです。
ハバチもガもチョウも胸脚の脚の数は皆6本(3対)で同じです。違いは腹部の脚(腹脚)の数に違いが現れます。ハバチの場合は5対以上と種類により数が違いますが、脚の数が多いです。ガやチョウの幼虫の場合は腹脚は4対になっています。
ハバチの場合、頭(顔の部分)がどの種も大きく、目は単眼になっているので、顔には大きめの1対の目(単眼)が見えます。丸い頭(顔)に人のように2個の目がある様に見えます。チョウやガの幼虫では頭が小さく、顔が良く見えない種類もいます。顔が見えなくても横から腹部の下の脚(腹脚)を確認することが1番分かりやすいです。ナシアシブトハバチを調べてみました。また、チョウやガとの違いを比較するための写真も載せてみました。個人的には昔はガやチョウの幼虫は大の苦手でした。ガの幼虫にはすさまじい姿形の種類もいて、まだ克服したとはいかないものの昆虫を観察をしているうちにだいぶ平気になってきました。イモムシ系の幼虫に抵抗のある人は多いと思いますので、以下に幼虫の写真が出てくるので、苦手な人はスルーしてください。
★ナシアシブトハバチ コンボウハバチ科。体長22〜30ミリ程。分布は本州、四国。ナシアシブトハバチの分布域は広いものの個体数は少ないようで棲息は局所的になり、珍しい種類になるようです。三重県では絶滅危惧T類に指定されています(日本レッドデーターより)。出現は4〜6月。成虫はオオスズメバチに似ています。ハバチなので人を刺すことはありません。成虫の触角は棍棒状に先端が膨らんでいます。この形状がコンボウハバチ科の特徴になっています。幼虫は植物の葉を食べます。食樹はサクラ、ナシ、ボケ。幼虫は終齢幼虫は60ミリに達する太くて黄色〜橙黄色をした鮮やかなイモムシ型です。背部には頭から尾端まで、幅のある黒い条が見えます。若齢幼虫と終齢では色や斑紋が違います。夜行性なので幼虫は日中は丸まって葉の裏に付いています。ナシアシブトハバチの幼虫は黄色い色をしたカタツムリのように見えることが特徴です。観察地の公園では、数年前はボケで繁殖していました。個体数が少ないのか1本の樹に1〜2匹程度でした。以前見つけていたボケは公園内のため数度の刈込があるので、繁殖が立たれたのか、この数年見ることが無くなっていましたが、生息していることが分かりました。新しく見つけた場所で、来年は若齢から観察したいと思っています。成虫は見つけるも撮影に失敗してしまいました。産卵等に来ないと撮影は難しいのかも知れません。越冬は落ち葉の下の繭内で越冬するようです。成虫で見つけることは難しいのですが、幼虫、特に終齢に近づくと黄色から橙黄色になる幼虫の体色は目立つので、葉裏に付いていても生息していれば見つけやすくなります。
ナシアシブトハバチ幼虫。.JPG
上、ナシアシブトハバチの幼虫。オオシマザクラの樹にいました。丸くて黄色い大きな頭が右上にあります。ご覧の通り、とぐろを巻いた状態でいきなり葉の下から見つかると驚いてしまう迫力のある太さをしています。枝を引っ張って探すも、見つけられたのは2匹だけでした。来年は大丈夫かな?と、少し心配になりました。成虫と若齢幼虫の写真を追加していきたいと思っています。撮影地、神奈川県横浜市、こども自然公園。
チョウとガの比較のために比較的に綺麗に見える幼虫の写真を使いました。
シモツケマルハバチ幼虫・比較用.JPGアヤモクメキリガ幼虫・比較用.JPG
上がハバチ科のシモツケマルハバチの幼虫です。頭が右側です。下がヤガ科のアヤモクメキリガ(アヤモクメ)の幼虫です。頭は左側です。ハバチの仲間の腹部にある脚の数(腹脚)は5対以上と数が多く、ガやチョウでは4対です。アヤモクメキリガの幼虫は体長60ミリ前後と、ご覧の通り長細くて大きい方なのですが、脚の数は4対あることが見て取れると思います。種類により体が大きくても小さくても4対(4本)に変わりがありません。シモツケマルハバチの幼虫は半透明な体をしていて、食べたものが透けて見える面白い特徴があるため、シモツケの花を食べたこの幼虫の体には花の色が透けて見えています。青い若い葉だと淡い緑色、成長した葉を食べると緑色の濃い体の色に見えます。グラデーションになっている幼虫も多くいて、なかなか面白いです。アヤモクメキリガの幼虫の体側には白く見える3個の斑が並んで見えます。写真では分からないのですが、外縁が白くハート形に見える斑が面白いガの幼虫です。
posted by クラマ at 15:41| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする