2017年09月21日

ブドウトラカミキリ、アオカミキリ。どちらも綺麗なカミキリムシです。

ブドウトラカミキリはブドウ類を餌とする害虫になっています。トラカミキリと名前に付いているのですが、名前から受けるイメージはありません。全体的には黒い色をしていて、胸背部の綺麗な赤色が目立つカミキリムシです。よく似た種類にクビアカトラカミキリがいます。1見した体格の違いはブドウトラカミキリの方が細めでクビアカトラカミキリの方が太く見えることです。ブドウトラカミキリはブドウの害虫カミキリムシとして有名ですが、胸背部の赤色が綺麗なカミキリムシです。アオカミキリは綺麗な色彩のカミキリムシです。他にも色彩の似た綺麗な種類のカミキリムシがいます。
ブドウトラカミキリもアオカミキリも神奈川県では見つけにくい珍しい種類になります。カミキリムシの幼虫は木の材を食べるので、飼育が難しい昆虫になります。簡単に飼育ができれば飼育して見たくなるような綺麗な種類も多くいます。カミキリムシ類を最近見ることが少なくなってきていることが残念です。カミキリムシは害虫として嫌われることも多い昆虫なので、好き嫌いが分かれてしまうと思います。ブドウトラカミキリ、アオカミキリと両種に似たカミキリムシを調べてみました。
★ブドウトラカミキリ カミキリムシ科トラカミキリ属。体長は9〜20ミリ(13ミリぐらいの個体が多いようです)栄養状態が良いと大きな個体になります。全体的には黒い色をしています。最大の特徴として、前胸背板(胸背部)は丸みがある縦長をしていて赤い色をしています。上翅(鞘翅)には太く白いX字に見えたり、Cを2個つなげたような形に見える黄白色〜白色に見える斑紋があります。触角が短いカミキリムシです。幼虫が寄生するとブドウの樹を枯らすことがありブドウの重要害虫として農家から嫌われています。出現期は7〜10月。成虫の発生は年1回で8月頃の発生が1番多くなります。分布は本州、四国、九州。ブドウ、ヤマブドウ、エビズルなどブドウ科の植物に寄生します。栽培品のブドウを好むので、ブドウに被害を与える有名な害虫になっています。越冬は幼虫越冬になります。若齢幼虫でブドウの節のあたりに潜みます。綺麗なカミキリムシなのですが、子供の頃庭にあったブドウにいたのを思い出します。被害にあうと若い蔓が萎れて枯れてしまいます。上翅(鞘翅)には2本の白い帯が見えます。日本のレッドデーター  長崎県では絶滅危惧T類。東京都では絶滅危惧U類。神奈川県では準絶滅危惧になっていて、やや珍しい種類のカミキリムシになります。山野で餌となるヤマブドウ、エビズルなどが減っていることによるようです。また、害虫としての殺虫方法も分かっていて、発生が抑えられていることもあり、現在ではかなり少なくなったようです。大変良く似た種にクビアカトラカミキリがいます。見比べてみないと間違いそうな位に良く似ています。
・クビアカトラカミキリとブドウトラカミキリの見分け方。 
ブドウトラカミキリの前胸背板(胸背部)は丸みのある形をしていますが、ブドウトラカミキリの方がクビアカトラカミキリよりも幅が狭く縦長に見えます。体つきを比較すると、クビアカトラカミキリの場合は太さがあり、ブドウトラカミキリの方が細く見えます。上翅に見える白いたすき掛けのように見える模様には違いがあるので、見分ける方法に最適です。斑紋はブドウトラカミキリの方が太く幅の広い✖や太いCの文字をつなげたように見えますが上部は目立つ白ではありません。クビアカトラカミキリの場合、白いたすき掛けのように見える模様は小文字の]の様に見え、白い部分(斑紋の太さ)は細くなります。クビアカトラカミキリはクヌギやコナラの伐採した木や倒木に良く集まるそうです。ブドウトラカミキリは7〜10月に出現して、ブドウ、ヤマブドウ、エビズルなどのブドウ科に寄生します。栽培品のブドウを好むので、ブドウに被害を与える害虫になっています。集まる植物にも違いがあるので、両種を判別する手掛かりになります。どちらも体の大きさには個体差が出るようです。
・クビアカトラカミキリもついでに調べてみました。
★クビアカトラカミキリ カミキリムシ科トラカミキリ属。普通種。体長7〜14ミリ。触角が短いカミキリムシで前胸背板(胸背部)は丸みが強く、赤い色をしています。胸背部も胴も太めです。上翅には小文字の]の様に見える、黄白色〜白色に見える斑紋があります。斑紋の太さは細く見えます。斑紋には若干の個体差があります。出現期は5〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。生息は局所的になるようです。最大の特徴は前胸背板(胸背部)は丸みがあり赤い色をしていて、。前縁(首の近い部分)には黒い縁取りがあります。普通種ですが数が減ってきているようです。クビアカトラカミキリの成虫はガマズミ、ヤブガラシ、シシウドなど多くの花の蜜を餌にします。幼虫ははクヌギ、コナラ、アキニレ、イヌシデ、カエデ類など幅広く広葉樹の倒木、伐採木の材を餌にします。普通種の割に見ることが少なく、個体数はあまり多くないようです。広葉樹の伐採木、倒木に産卵します。越冬は幼虫で材中で越冬します。
ブドウトラカミキリ1.JPGブドウトラカミキリ2.JPG
上2枚、同1個体のブドウトラカミキリです。エビズルがすぐ脇にありました。撮影は9月です。上翅の上部の白く見える帯は太く見え、赤く見える前胸背板の前縁には黒い縁取りがありません。小型のカミキリムシですが綺麗な種類だと思います。比較するためにもクビアカトラカミキリを見つけてみたくなります。撮影地。神奈川県海老名市。
★アオカミキリ カミキリムシ科カミキリ亜科。体長21〜30ミリ。アオカミキリの特徴は全体が綺麗な金属光沢をしています。頭部、胸部、腹面はツヤのある強い金属光沢で、上翅(鞘翅)は緑色でざらざらした質感のある金属光沢をしています。上翅の色は角度とか光の関係で色が違って見えます。アオカミキリの色彩には変異がありますが、基本の色は緑色になります。身体的特徴として、前胸背の前側角は、はっきりとした出っ張りがあります。またアオカミキリの触角の第1節の端は丸みがあるので、オオアオカミキリとの判別は触角を比較して見ると分かります。アオカミキリの触角の長さは翅端を超えませんが、オオアオカミキリの触角は長く体よりもはるかに長くなっています。出現は6〜8月。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地の雑木林や林縁に生息しています。幼虫はカエデ類を餌にすることからカエデのある公園でも発生することがあるそうです。幼虫はイタヤカエデ、イロハモミジ、クリなどの生きた木の材を餌にするので、害虫としても扱われます。成虫は昼行性でクリ、アカメガシワ、ノリウツギなどの花に飛来して、これらの花を餌にします。翅の下は紫色で強い金属光沢があります。腹部にも強い金属光沢があります。アオカミキリの個体数はあまり多くないようで、当方のフィールドではなかなか見ることができません。日本のレッドデーターによると、東京都では絶滅危惧T類。埼玉県、高知県では準絶滅危惧種になっています。
アオカミキリと似ているオオアオカミキリ、ミドリカミキリの違い。
・オオアオカミキリは触角の第1節の端に尖った部位がありますが、アオカミキリの触角の第1節の端は丸みがあります。オオアオカミキリの触角は体長よりも長くなっています。
・オオアオカミキリの小楯板はツヤが弱く、アオカミキリの小楯板には強い光沢があります。
・ミドリカミキリは明らかに体長が小さく、符節の第1節が非常に長い特徴があります。脚が細くて長くなります。
ミドリカミキリは珍しい種類です。気になったので調べてみました。
★ミドリカミキリ カミキリムシ科カミキリ亜科。体長15〜19ミリ。体は細長くスリムな体形をしている、緑色でキラキラと光って見える金属光沢のある美しいカミキリムシです。ミドリカミキリの特徴は触角も長いのですが脚がとても長いカミキリムシで、特に後脚の長さが際立っています。胸部の側面には棘状の突起が出ています。赤紫色、緑色、青紫色など色彩には個体変異があるそうです。出現は5〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地の雑木林や林縁に生息しています。クリ、ミズキ、ガマズミ、ウツギの花を餌として集まります。クリ、コナラ、ミズナラ、クヌギ、アカマツの伐採木や材木に産卵のために集まります。幼虫は枯れた樹木や弱った樹木、伐採された樹の材内にいて餌とします。ミドリカミキリは飛翔性が強く、すぐに飛んで逃げようとします。幼虫は材内で越冬します。東京都では絶滅危惧T類。熊本県、福岡県、長崎県では絶滅危惧U類。神奈川県、宮崎県では準絶滅危惧種。になっています。神奈川県では見つけることが難しいようですが、見てみたい種類です。
アオカミキリ1.JPGアオカミキリ2.JPGアオカミキリ3腹部.JPGアオカミキリ4.JPG
上、アオカミキリです。綺麗なカミキリムシなので見つけると嬉しくなります。見つけた歩道の脇にシイ類、エノキ、アカメガシワ、ミズキの樹がありました。すぐに飛んで逃げる種類なので持ち帰って撮影することにしました。3枚目は裏返して撮影しました。腹面はツヤの強い金属光沢をしています。発見場所。神奈川県横浜市。
アオカミキリ触角第1節.JPGアオカミキリ前胸背前側角と小楯板.JPG
上、アオカミキリの触角の第1節の拡大です。下、胸背部側縁と小楯板が見える様に拡大しました。小楯板にも金属光沢が見えています。
ここで紹介した似たカミキリムシの写真が撮れましたら追加したいと思っています。
posted by クラマ at 12:46| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

シロコブゾウムシ、トホシオサゾウムシ、アシナガオニゾウムシ、ケブカクチブトゾウムシ、ヤサイゾウムシ、アオヒゲナガゾウムシ、ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)。ゾウムシ科の昆虫7種類。

ゾウムシの仲間は愛嬌があり、種類も多く形も個性的で実に面白い昆虫です。単にゾウムシと言うとゾウムシ科の昆虫の総省になり、その種類も大変多く日本に600種類以上もいるそうです。ゾウムシ科の昆虫は口と触角に特徴があります。ゾウムシの口は口吻と呼ばれ、長く伸びた吻の先に口(口器)があります。触角も独特な形をしています。ゾウムシの名前の由来は頭部から突き出た長い口吻が、動物のゾウの鼻に似て見えることからついたようです。観察すると個性のある体形をした種類が多いので面白いです。ゾウムシは小型のものが多く、2〜3ミリのものから大きくても3センチ程しかありません。ゾウムシ科のシロコブゾウムシ、トホシオサゾウムシ、アシナガオニゾウムシ、ケブカクチブトゾウムシ、ヤサイゾウムシ、アオヒゲナガゾウムシ、ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)の7種類のゾウムシを調べてみました。
★シロコブゾウムシ ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。個体数の多い普通種になるようです。雌雄異形で大型のゾウムシです。体長は15〜17ミリ。雌の方が大きく、雄の特徴は灰褐色をした上翅後端に1対の付きだした太い棘状のコブのあるゾウムシです。全体的にゴツゴツとした感じで、葉の上にいると白っぽく見えます。地色や斑紋にはわずかに個体差があります。シロコブゾウムシは危険を感じると全身の力を抜いて動かなくなるなどの擬死(死んだふり)が得意です。雌雄の判別は雄のコブ状の突起は付きだして見え、雌の突起は丸味があります。出現は4〜9月。分布は本州、四国、九州、沖縄。平地から山地の林や林縁に生息しています。マメ科植物のクズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどの葉を餌にします。幼虫は土中にいてクズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどの根を食べるようです。シロコブゾウムシは後翅が退化していて飛ぶことができないので、歩いて移動します。越冬は成虫で越冬するようです。シロコブゾウムシは丈夫な種類で、与える餌はクズの葉で済みます。餌に新鮮なクズの葉を与えると長期飼育が可能で、当方は1か月ほど飼育して野に返しました。丈夫なので飼育は楽でした。
シロコブゾウムシ1.JPGシロコブゾウムシ2.JPGシロコブゾウムシ顔面.JPGシロコブゾウムシ腹部.JPG
上、シロコブゾウムシの雄です。角のように突き出た突起が強そうに見えます。個性的な容姿に魅力を感じるゾウムシです。個体数の多い普通種のようですが、当方の観察エリアではなかなか見つけることができいないでいます。いる所にはいるという種類なのでしょう。1番上の写真に写っている葉はクワの葉で、餌ではありません。クワの葉の上で見つけたので、持ち帰るためのクッションとして使ったものです。
★トホシオサゾウムシ オサゾウムシ科。普通種。体長6〜8ミリでやや細長く見えます。体色が濃赤色や赤褐色をした小型のゾウムシです。赤味の強い個体は小さくても綺麗に見えます。トホシオサゾウムシは名前にあるように体に10個の黒い黒斑がありますが、斑紋の数には変異があるようです。特に上翅に見える大きな1対の黒斑が目立ちます。出現は5〜7月。分布は本州、四国、九州。平地から山地の林縁や公園など広く生息しています。トホシオサゾウムシはツユクサの茎に穴を開けて産卵します。幼虫はツユクサを食べて育ちます。成虫はクヌギの樹にいることが多いようで、樹液に集まるようです。他に花の蜜も餌にするようです。飛翔性の強いオサゾウムシです。地味な配色の多いゾウムシ類の中では目立つ色をしていて、黒い斑紋も可愛く見えます。小さなことが残念に思える昆虫です。越冬は幼虫で越冬します。トホシオサゾウムシは雑草のツユクサを産卵場所や餌に利用することから都市近郊でも見ることができる種類になっています。色も形も面白いゾウムシなのですが、いかんせん小さくて気が付かれないのだと思います。
トホシオサゾウムシ1.JPGトホシオサゾウムシ2.JPG
トホシオサゾウムシです。ツユクサの生えている近くの草で見つけました。恐らく卵を産みに来た雌のトホシオサゾウムシだと思います。小さくても綺麗な赤系の色をしていて、やや細長い変わった形をしています。写真では光の関係で色が違って見えますが同1個体です。上、手の上にのせて撮影しました。小さいことが良く分かると思います。
★アシナガオニゾウムシ ゾウムシ科クチカクシゾウムシ亜科。体長5〜9ミリ。アシナガオニゾウムシの雄と雌の違いは前脚の長さで判別できます。雄では前脚がとても長いことが特徴になっています。雌は普通に見るゾウムシのように見えます。体色は白と黒の2色に見える配色のゾウムシです。危険を感じると全身の力を抜いて動かなくなる擬死(死んだふり)が得意です。アシナガオニゾウムシの体形には若干変異があるようです。出現は6〜9月。分布は本州、四国、九州。広葉樹の林縁や雑木林に生息しています。成虫はエノキの枯れ木にいて成虫も幼虫もエノキの枯れ木を餌にします。アシナガオニゾウムシは灯火にも集まります。越冬は成虫で越冬します。成虫で越冬して目覚めた後、6月までどのように行動しているのか不思議に思います。発生しているエノキを見つけて観察してみたいです。アシナガオニゾウムシの白と黒の配色はクズに生息しているオジロアシナガゾウムシに似ていますが、体形はオジロアシナガゾウムシの方がズングリとしていて丸みがあります。この黒と白のツートンカラーは鳥の糞の擬態になっているようです。アシナガオニゾウムシは灯火にも飛来するようです。
アシナガオニゾウムシ雌1.JPGアシナガオニゾウムシ雌2.JPG
上アシナガオニゾウムシの雌です。細長いピーナッツの殻のようにも見えます。アシナガオニゾウムシは変わった形のゾウムシですが普通種です。雄の写真が撮れたら追加する予定です。
★ケブカクチブトゾウムシ ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。体長は5〜7リ。特徴はやや太めな体形でありながら、似た種類よりも細長く見える体形をしていて、上翅(鞘翅)には褐色の紋が見えます。この斑状の紋は灰白色をした鱗片があることにより見えるものです。ケブカクチブトゾウムシの特徴に触角の形状があります。触角の基節が強く湾曲しています。名前にケブカと付いていますが、肉眼では良く分かりません。確かに鞘翅には毛が生えていますが、長い毛がもモサモサ生えている訳ではなく鱗片と針状のように見える短毛になります。前胸背板は小楯板に向かって直線的になっています。小さくても形が整って見えるゾウムシです。出現は5〜6月。分布は本州、四国、九州。主にクヌギ、シイ等につき、成虫は広葉樹の若い葉や芽を食べるようです。越冬は成虫で越冬するようです。ケブカクチブトゾウムシにはカシワクチブトゾウムシ、コカシワクチブトゾウムシなど似た種類がいます。よく似たカシワクチブトゾウムシとは上翅の毛と斑紋に違いがあります。カシワクチブトゾウムシの場合、毛はほとんど目立ちません。前胸背板の形状はカシワクチブトゾウムシの場合、小楯板に向かって湾曲しています。触角の基節もケブカクチブトゾウムシのように強く湾曲していません。
似ているカシワクチブトゾウムシも調べてみました。写真はありません。
★カシワクチブトゾウムシはゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。カシワクチブトゾウムシは個体数の多い普通種です。クチブトゾウムシの仲間なので口吻は幅があり長くありません。灰白色の微毛が生えていて、灰褐色から淡褐色に見えますが色彩には変異があります。よく似た他種との違いは、比較して見ないと分かりにくいのですが、カシワクチブトゾウムシの前胸背板後縁の中央部は小楯板に向かって張り出すことです(張り出して見えるとはいえ、ものすごく張り出しているというほどではありません)。当方もこの違いは後から知りました。以前カシワクチブトゾウムシだとみていた種類は他種だったものがいたと思います。体長5ミリ。出現は5〜10月(越冬成虫は4〜6月。新成虫は7〜10月)。分布は北海道、本州、四国、九州。ブナ科のカシワ、コナラ、クヌギ、ハンノキの葉を食べます。サクラの葉も食べるようです。幼虫は地中にいて広葉樹の根を食べます。似たものが数種類います。コカシワクチブトゾウムシには口の周り(口器)に鱗片が生えていますがカシワクチブトゾウムシの口の周りには鱗片はありません。とは言え鱗片はとれてしまうことがあるので、決め手とするには注意が必要です。です。コカシワクチブトゾウムシの分布は本州、四国、九州になります。コカシワクチブトゾウムシの前胸背板後縁の中央部は小楯板に向かって直線的になっているので、張り出しては見えません。
ケブカクチブトゾウムシ.JPG
上、ケブカクチブトゾウムシです。似た種類の多い種類です。クヌギとコナラの生えている樹下にいました。
★ヤサイゾウムシ ゾウムシ科。亜科の分類は不明。体長7〜9ミリ。ヤサイゾウムシは日本では雌しか発見されていないゾウムシで、単為生殖で増える厄介な害虫ゾウムシです。夜行性でブラジル原産の外来種のゾウムシです。1942年に岡山県で発見されました。特徴は赤褐色の体色をしていて、上翅(鞘翅)は鱗片と短毛に覆われています。上翅の後端には白いV字形の斑紋が見えます。越冬は主に幼虫越冬ですが成虫でも越冬します。秋に孵化した幼虫は非休眠で越冬します。さらに春に産卵されて孵化した幼虫は5月頃土中に潜り蛹になって6月には羽化するそうです。夏場は休眠します。後翅は退化していて飛べないものの歩行能力が強い特徴があります。畑地、農耕作地以外の野外ではキク科のアレチノギク、オオアレチノギク、ヒメジョオンなどを餌にします。出現3〜6月。9〜翌年の3月(夏場は休眠)。分布は本州、四国、九州、沖縄。草地、畑地、空き地などに生息しています。広食性が強くアブラナ科、キク科、ナス科、セリ科など極めて多くの野菜を餌にします。心配された大繁殖にいたらなかったことで、農業的な大被害は受けなくて澄んだため、有名な害虫にはなりませんでした。普通種なのですが個体数は少ない方になります。侵入当初は被害が大きかったようですが、現在では農薬による駆除のため激減したようです。
ヤサイゾウムシ.JPG
ヤサイゾウムシです。上翅(鞘翅)の後端に見える白いV字形の斑紋が特徴になります。
★アオヒゲナガクチブトゾウム 別名アオヒゲナガゾウムシ。ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科。体長よりも長い触角をもっている金属光沢のある明るい緑色をした美しいゾウムシです。体長5〜7ミリ。分布は本州、四国、九州。カシワの葉を餌とします。初見のゾウムシです。生態等はまだ良く分かっていないようです。
アオヒゲナガゾウムシ.JPG
アオヒゲナガゾウムシです。緑色が綺麗な小型のゾウムシです。 
★ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)と リンゴヒゲナガゾウムシ。
ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)にはよく似たリンゴヒゲナガゾウムシがいます。ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシには色彩に変異があることや、似た種類のものがいることからから、当方には判別がとても難しい種類になります。
・ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシの別名リンゴコフキゾウムシ。ゾウムシ科クチブトゾウムシ亜科で旧姓はリンゴコフキゾウムシ。新しい名前では特長が名前に付いていますが実に覚えにくい名前になってしまいました。しかし名前を憶えてしまえば特徴がつかみやすい名前ではあります。緑色で金属光沢のあるゾウムシですが、脚の色には個体差があるものの黒色やグリーンの金属光沢になるようです。上翅の色にも個体差が多く、色彩が豊富な種類になるようです。体に生えている鱗毛が取れると黒っぽい体色に見えてくるようです。前脚には棘状に突起が出ています。体長は8〜8.5ミリ。出現は5〜7月。分布は本州、四国、九州。幼虫は土中で生活しています。成虫はリンゴなどの葉を食べます。成虫の腹部には太さがあり尾端に向けて細くなるようです。
・リンゴヒゲナガゾウムシ 金緑色で脚の色は茶褐色。脚のコブのような部分には太さがあるようです。前脚には棘状に突起が出ています。分布は北海道、本州(中部以北)。体長は7.5〜10ミリ。出現は6〜8月。広葉樹につきます。リンゴヒゲナガゾウムシの腹部は横幅が薄く尾端まで直線的に見えるようです。
つまりは両種がダブって生息している地域では、捕まえて腹部を見ないと性格には分からないと思います。写真からの判断は慣れ等が必要になるのかと思いました。
ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ).JPG
上、ケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)です。脚の色に黒い部分があり、グリーンの金属光沢も見えているので、写真で判断でケブカトゲアシヒゲボソゾウムシ(リンゴコフキゾウムシ)としました。腹部の形状は確認していません。リンゴヒゲナガゾウムシの方が綺麗なようですが、この種も十分に綺麗だと思います。撮影地。神奈川県横浜市。
ゾウムシは小さくても魅力的な昆虫です。ゾウムシを探すのは面白いです。
posted by クラマ at 17:00| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月24日

ヨツモンカメノコハムシ。平たい体をした日本最大のカメノコハムシです。

ヨツモンカメノコハムシは日本最大のカメノコハムシで現在分布域を北に広げている昆虫になります。ヨツモンカメノコハムシの特徴は4個の黒い斑紋があることで、カメノコハムシの中では大型種になります。アサガオや芋の葉の上で、脚と触角を傘やカメの甲に見える体の下に引っ込めてとまっています。元は沖縄以南に生息していた南方系の昆虫ですが、温暖化を利用して急速に分布を北上させています。現在も北上中です。普段は大人しく葉の上でじっとしている昆虫です。初めて見つけた時はカメノコハムシかジンガサハムシの1種だと見た目の容姿からは想像できたのですが、大きな体をしていて見たことが無い種類でした。調べて見ると、これが初見になるヨツモンカメノコハムシでした。生息域を北上中とのことで、神奈川県の県央に位置する海老名市で見つけることができました。はるばる沖縄から関東地方のどのあたりまで生息範囲を広げたのでしょうか。ヨツモンカメノコハムシはヒルガオ科の植物を餌にします。特にサツマイモの葉をこのんで餌にすることから、サツマイモの農業害虫として知られることも、そう遠くないのかも知れません。ヨツモンカメノコハムシは葉の表面に脚と触角を引っ込めて張り付いています。刺激しない限り大人しくしたままでいます。初めて見る昆虫、ヨツモンカメノコハムシを調べてみました。詳しくは神奈川県ホームページ。病害虫発生予察特殊報(第4号)に詳しく書かれています。このページを参考にヨツモンカメノコハムシと確認しました。今後、害虫として神奈川県でも発生が広がるかも知れない害虫です。サツマイモだけでなく、ノアサガオや雑草化しているマルバルコウソウでも発生を確認しています。
★ヨツモンカメノコハムシ ハムシ科カメノコハムシ亜科。ヨツモンカメノコハムシは体長7・5〜9ミリの日本最大の大きさのカメノコハムシの仲間です。扁平な体で体色は黄褐色〜淡褐色をしています。名前にあるように4個の大きな黒紋と後端に1個の黒紋がある大型のカメノコハムシです。半透明に見える部分は黄褐色をしています。出現は4〜11月(年3〜4化)。分布は本州、四国、九州、沖縄。もとは沖縄本当以南に生息していた南方系の昆虫ですが、温暖化により分布を本州にまで広げてきました。本州や九州ではサツマイモの害虫になっています。サツマイモ、アサガオ、ノアサガオ、ヒルガオ、ハマヒルガオなどのヒルガオ科の植物を餌にします。当方はマルバルコウソウでの繁殖も確認しました。アサガオとヒルガオにつくことは少なく、サツマイモやノアサガオに多く発生している種類になります。越冬は成虫で越冬するようです。神奈川県での越冬の仕方はまだ分かっていません。南方に生息するヨツモンカメノコハムシと同じような越冬になるのでしょうかまだ疑問が残っているようです。雪の降る神奈川県で見つけたことから、ヨツモンカメノコハムシは南方系の昆虫にしては耐寒性があるようです。北限がどこになるのかなど興味のあるところです。
ヨツモンカメノコハムシ1.JPGヨツモンカメノコハムシ2.JPGヨツモンカメノコハムシ3.JPGヨツモンカメノコハムシ白っぽい個体.JPG
ヨツモンカメノコハムシです。同じノアサガオの株にいた個体でも黒紋の形状には個体差がありました。どうやら紋の形の個体差が大きい種類になるようです。表面には点刻があり体表面には弱いツヤがあります。上4枚の成虫は別個体で、黒く見える斑紋の部分に違いが見受けられます。上2枚の個体では黒い部分が少なく下2枚目の個体では明瞭な黒紋が見えます。見つけた場所は畑が裏にある家屋の道路側に植えられていたノアサガオです。後日、建物の裏の菜園のサツマイモ畑で、成虫と幼虫が多数発生していることを確認しました。葉は穴だらけになっていました。成虫は葉を裏返して探していると飛んで逃げていきます。遠くに飛んでいくことはないのですが、見た目と違い飛翔性がある種類なのかも知れません。1番下はマルバルコウソウで発生していたヨツモンカメノコハムシです。幼虫もいたので繁殖していることが分かりました。体色の薄い個体が1匹いたので追加して見ました。ヒルガオ科のマルバルコウソウでも繁殖しているかも、と探してみたら見つけることができました。前年ではこの場所にヨツモンカメノコハムシはいませんでした。害虫なので増えても困ると思いますが、神奈川県でも珍しい昆虫ではなくなるかも知れません。
ヨツモンカメノコハムシ4.JPGヨツモンカメノコハムシ5.JPG
上、刺激したら動き出しました。動く時には腹側に格納していた触角を出します。ヨツモンカメノコハムシの触角の先端は黒褐色をしています。平たく見える体表面(上部)は半透明であることが写真からも見てわかると思います。下はヨツモンカメノコハムシの腹側側です。腹側側にも黒紋が入っています。ご覧のように体の下に脚と触角が収納される仕組みになっています。本当にカメのようで面白い構造になっています。上から見ると見えないヨツモンカメノコハムシの顔つきは意外と可愛く見えます。
ヨツモンカメノコハムシ幼虫.JPGヨツモンカメノコハムシの幼虫腹面.JPG
ヨツモンカメノコハムシの幼虫です。実に変わった体をしています。体の外縁には独特の形状をした棘状の突起が数多く出ていて、ツルッとした感じの体表面を持つ成虫に比べて、体の外縁からは棘状突起が突き出ています。その刺も1本の単純な棘ではなく、粗いノコギリ状の両刃なっています。体色も黒く形状も成虫とは感じが大きく違っています。背中に見える黒褐色の物体は体の1部ではなく、脱皮後の殻や糞を背負っているそうです。他の害虫や動物の糞にでも擬態しているのでしょうか。ヨツモンカメノコハムシの幼虫はまるで別種のように見えて面白いです。下、幼虫を裏返してみました。腹部は黄橙色をしています。トゲだらけで腹部側から見ても大変奇妙な容姿に見えます。撮影地。神奈川県海老名市。8月23日。ノアサガオをも調べてみました。
★ノアサガオ ヒルガオ科サツマイモ属。毒成分を含む毒草です。別名 宿根アサガオ、リュウキュウアサガオ、イリオモテアサガオ。沖縄、東南アジア、オーストラリア原産のツル性の多年草。大きな葉が茂り、昼間でも大型の花が咲いています。耐寒性もあるので関東以西でも生育が可能です。花期は6〜11月。花の蕾は複数が付いています。花径は80〜100ミリ。花の咲き始めは青紫色ですが午後からは色が薄くなって淡紫色になり、夕方頃にはピンク色に近い色に変わっていきます。葉は心系(ハート形)や心形で3裂しています。葉の大きさは10〜15センチ。ノアサガオには種ができません。その代わりノアサガオは挿し木で簡単に増やすことができるそうです。関東地方では冬季に落葉しても、冬場に葉を落としても翌春に芽を出します。分布は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄。野生種、園芸用として生息しています。ツルが10メートル近く伸びることから、緑のカーテンとしても利用されています。ノアサガオには園芸品種も作られています。日中に花が咲くことなどから人気があるのか、最近よく見る植物になりました。
ノアサガオと食跡.JPG
ノアサガオです。園芸品種だと思います。花は葉の陰に隠れていて1輪に見えています。分かりにくいと思うのですが葉には穴があけられていて食痕だと思います。
ヨツモンカメノコハムシを見つけて見ようと思われた方は、サツマイモ畑に立ち入るわけにはいかないので、ノアサガオを見つけると良いです。全国的に見ても発生は広く部分的になっているようですが、植え込みや雑草化していることもあるノアサガオなどを見つけて探すと見つかるかも知れません。
posted by クラマ at 17:50| Comment(1) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする