2018年04月02日

コガタルリハムシ。タデ科のギシギシやスイバを食べるハムシ科の昆虫です。

コガタルリハムシはタデ科のギシギシやスイバに発生するハムシです。黒く見えますが光が当たると光沢のある青藍色をしていて、地味な色に見えるもなかなか綺麗です。コガタルリハムシは普通種ですが、ギシギシやスイバがあれば見つけられるという程、多くはない種類になるようです。幼虫が発生すると、成虫も幼虫も葉を食べて育ちます。食欲が旺盛で葉がスカスカになって枯れたようになります。コガタルリハムシは、まだ昆虫類が少ない3月に入ると活動を開始して、春先のギシギシに多くついています。食草のギシギシに多くの個体が集まっていて卵も葉の裏で容易に見つけることができます。観察エリアではギシギシに圧倒的に多く集まっていて、葉の裏に産み付けられる卵も、スイバでは見つけることができませんでした。外来種のエゾノギシギシ(別名ヒロバギシギシ)やアレチギシギシよりも、在来種のギシギシに好んで産卵するようです。この仲間は交雑しやすいようで、ギシギシとナガバギシギシ、エゾノギシギシとアレチギシギシの交雑種も多くなっているようです。エゾノギシギシ(ヒロバギシギシ)は要注意外来生物として繁殖を広げている植物です。在来種のギシギシの方が葉が柔らかいので、食べやすいのでしょうか。暫くするとエゾノギシギシでも簡単に見つけることができます。エゾノギシギシは南下して生息範囲を広げて来た繁殖力の強い植物なので、コガタルリハムシにとっては餌の心配が減って、都合が良い結果となっているようです。餌としての優先順位(好み)はギシギシ。次にナガバギシギシ、エゾノギシギシ、アレチギシギシあたりで、最後はスイバになるようです。コガタルリハムシの活動する期間は短く、夏には夏眠する習性があるので、観察するのは6月頃までになります。3月に現れてすぐに産卵行動に入ります。あちらこちらでペアになったコガタルリハムシを見つけることができます。神奈川県の観察エリアでは3月の下旬には葉の裏に産み付けられた卵を簡単に見つけることができるようになります。卵からかえった新成虫は6月頃に発生して、土中に潜ってしまいます。交尾は冬眠から覚めた3月に行われます。肉眼で雄と雌を見分けるのは難しいので、ザックリと、春先だと黄橙色に見える腹部の大きい方が雌、もしくは体格の大型の方が雌と言う判断もできます。卵がたっぷりとお腹に入っていたら間違うことはありません。ペアでいると体格の大きい雌が下にいて、上にいる小ぶりのコガタルリハムシを雄と見ることもできます。幼虫は特に食欲が旺盛なようで、植物の原型をとどめない位に食べ尽くされたギシギシ類を見ることもできます。
スイバやギシギシは食べられる山野草として、山菜としても利用されますが、蓚酸を多く含んでいる事から、茹でてから水にさらすなどして、食用とすることが多いようです。当方の持っている食べられる山野草の本によると、独特の酸っぱさを好んで、塩に付けた1夜漬けも美味しいと記されています。食用には本来は在来種のギシギシ、スイバが利用されます。スイバはヨーロッパではソレルと呼ばれて栽培種(フレンチソレルと言うらしい)が葉菜として食用に利用にされている植物です。スイバには食べると酸っぱく感じる酸味の強い特徴があります。スイバ(酸葉)とは酸っぱい葉から来た名前のようです。スイバとギシギシの見分け方として、スイバとギシギシは似ているのですが、花茎が立つ前のスイバの葉の基部は矢じり型をしていることで、スイバとギシギシを見分けることができます。またスイバでは、花茎が伸びてくると上部の葉には茎(葉柄)が無いので、葉の基部が茎を抱いています。春先のスイバの容姿はホウレンソウにも似ています。ヨーロッパ原産の外来種のナガバギシギシはギシギシとよく似ていますが、葉の縁が著しく波打つ特徴があります。ギシギシと交雑していて両種の雑種が非常に多いようです。在来種のギシギシはほとんど見かけなくなっているようです。ナガバギシギシを食用とするのかは不明です。また、エゾノギシギシも食用にするとは聞いたことがありません。毒は無いようなのですが(蓚酸は含んでいる)通例不食になっているようです。そのうちに食べられる山野草のプロの方が、安全性を確認して食べ方等の本を出すかもしれませんが、良く分からないうちは食すのはやめておいた方が無難だと思います。
コガタルリハムシは、人間には生で食べすぎると害が出る蓚酸を多く含んでいるギシギシやスイバを食べる昆虫で、変わり者の部類に入る昆虫のようです。それゆえ雑草としても知られるスイバやギシギシ類を餌にすることで、他の昆虫との餌の取り合いになるというデメリットは少なくなるようです。他にギシギシやスイバを餌にする昆虫には、シジミチョウ科のベニシジミがいます。コガタルリハムシはギシギシやスイバを食べつくすほどの食欲により、農薬を使わないで雑草としてのギシギシ類やスイバを防除してくれる昆虫としても注目されているようです。
コガタルリハムシとエゾノギシギシを調べてみました。
★コガタルリハムシ 別名ギシギシハムシ。ハムシ科。体長は5〜6ミリ程。出現は3〜11月の年1化。分布は本州、四国、九州。平地から山地のタデ科の植物がある林縁、草原、牧地、荒れ地などにいます。普通種ですが生息は局地的になると思われています。ギシギシ類、タデ類に発生するハムシです。成虫、幼虫共にギシギシなどタデ類の葉を餌にします。スイバにも発生していますが、名前についているように、主にギシギシを好んで発生するハムシです。タデ科のダイオウにも発生してダイオウの害虫にもなっています。成虫は光沢のある濃い青藍色をしています。前胸背部や上翅(鞘翅)には小さい点刻が沢山(密になっている)あります。この上翅の点刻が特長になっています。体色は光の関係もあるのですが、黒っぽく見える色の濃い個体から瑠璃色に見える個体がいます。神奈川県では3月初めには腹部の大きい雌と雄のペアをギシギシの葉の上で見つけることができます。コガタルリハムシは越冬後、すぐに繁殖行動に移ることができるようです。コガタルリハムシの生息地は局地的と言われています。卵は葉の裏に産卵します。コガタルリハムシは、大きな体で黄褐色に見えるパンパンに膨れ上がった腹部をしている雌と、上に乗っている雄のペアを見つけることができます。上にいる雄の方が体が小さいです。1匹の雌に2匹の雄が乗っかているものも見ることがあります。餌になる植物が限定されてくるので、タデ科のギシギシを探すと見つけることができますが、必ず見つかるという昆虫ではないようです。いないところではギシギシを見つけても見つけることができませんでした。越冬は成虫で土中で越冬します。コガタルリハムシは暑さが苦手で夏眠しますが、成虫はそのまま土中で冬眠にはいり翌春を迎えます。潜り込む深さは思ったよりも深く、3〜10センチ程潜り込むようです。コガタルリハムシは眼覚めが早く、3月初め頃からいち早く活動を始めるハムシです。コガタルリハムシの幼虫は黒い体色をしています。姿はテントウムシの幼虫と似ています。食草が限定されてくるので、名前が分かりやすい種類になります。
コガタルリハムシを見つけた場所には食草であるエゾノギシギシ(ヒロバギシギシ)、アレチギシギシ、ギシギシ、スイバの4種類がありました。エゾノギシギシは在来種のギシギシと交雑も可能で、交配雑種も多いようです。エゾノギシギシ(ヒロバギシギシ)は丸味のある葉で、葉の長さが40センチ、葉脈に赤い色が目立ちます。葉の主脈が赤くなる種類にはエゾノギシギシとアレチギシギシがあります。葉の幅が狭く長細く見えるアレチギシギシにいました。春先には在来種のギシギシで多く見ることができますが、観察地に多いエゾノギシギシに群がっていきます。スイバは株数も少なかったのですが、コガタルリハムシは付いていませんでした。やはりギシギシの仲間が大好物のようです。少し離れた場所(100m程)のエゾノギシギシ、アレチギシギシ、スイバの生えている場所では見つけることが難しいくらい少なかったです。他の観察エリアにしている近くの公園2か所のギシギシ、スイバでは見つけることができませんでした。コガタルリハムシが局地的な発生になると思われている事は、個人的にこのことからも察することができました。生息地は広げていくのでしょうが、爆発的に増えて食草があれば生息数を広げていくという感じでは無い様に思えます。ギシギシを食べるハムシには他にイタドリハムシがいますが、名前についているように、ギシギシよりもイタドリを好んで餌にします。タデ科の植物は、タデ食う虫も好き好きと言いますが、スイバ、ギシギシなどは、蓚酸を含んでいて酸っぱい植物です。食べられる野草として食すこともあるのですが、スイバ、ギシギシ等に含まれている蓚酸は取りすぎると体に良くないので注意して食べる山野草になっています。特にスイバは味が酸っぱいことから、他の動物、昆虫も好んで食べない植物になっています。とても良く似た種類にヨモギハムシ、ハンノキハムシがいますが、食草が違うので判別は簡単です。
コガタルリハムシ雌1.JPGコガタルリハムシ雌2.JPGコガタルリハムシ.JPGコガタルリハムシ雌雄1.JPGコガタルリハムシ雌雄2.JPGコガタルリハムシ卵.JPG
コガタルリハムシです。刺激しないように撮影しました。静かに撮影していれば飛んで逃げ出すことはないのですが、葉の裏に隠れようとします。臆病な性格をしているハムシです。春先から5月までが数が多く見つけやすいです。昼行性で動きは緩慢なのですが、じっとしていないとピントを合わせにくくて苦労します。上2枚は雌です。腹部に卵を持っていて、鞘翅から黄褐色から橙褐色に見える腹部がはみ出ています。3枚目、雄のコガタルリハムシです。ややサイズが小さく見えます。4、5枚目、雄と雌です。雌の腹部が大きいため、雄は真上に乗るよりも落ちそうな格好で雌にしがみついています。5枚目は横から見た所です。2匹の雄が乗っかっています。卵が沢山入っていて、雌の腹部の大きさが良く分かります。下(6枚目)葉の裏に産み付けられたコガタルリハムシの卵です。産み付けられていたのはエゾノギシギシの葉です。卵は黄色くて長細い形をしていて、まとめて産み付けられています。手に触れると手にくっついて取れてしまいます。
コガタルリハムシ幼虫.JPG
コガタルリハムシの幼虫です。真っ黒い色をしたテントウムシの幼虫に似た体をしています。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
最近、特に見かけるようになってきた要注意外来生物にもなっているエゾノギシギシ(ヒロバギシギシ)も調べてみました。
★エゾノギシギシ 別名ヒロバギシギシ。タデ科のヨーロッパ原産の多年草。要注意外来生物に指定されているだけあって、雑草として最強ランクに挙げられています。1909年に北海道で確認された外来植物。他種との交配も多く、繁殖力が強いです。茎は紅紫色で葉の中央脈は赤色や赤色を帯びていることが多く、下部の葉は大きく幅もあり、長さは15〜30センチ程にもなります。葉の基部は浅い心形で丸みがあります。耐寒性が強く、土質もあまり選びません分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。北海道、本州北部から南下して分布を広げてきました。北方系で沖縄には少ない種類になります。根生葉で越冬します。同じタデ科のギシギシやスイバは食べられる山野草として知られていますが、エゾノギシギシがどのような扱いになっているんか分かりません。当方の持っている食べられる山野草に関する本には、エゾノギシギシは名前が載っていないです。草丈は50〜130センチ程。株も成長して行くと、がっしりとしていて大きく見えます。花期は6〜9月。似た仲間と確実に区別する場合は種子を調べる必要が出てきます。
エゾノギシギシとナガバギシギシ.JPG
エゾノギシギシとナガバギシギシの春の姿。左側がエゾノギシギシ。1見して葉の幅が広くて大きいです。まだ立ち上がらない株でも大きく見えます。右側がナガバギシギシ。葉が長く葉の縁が波打っています。ナガバギシギシはヨーロッパ原産の外来種です。
エゾノギシギシはギシギシよりも普通に生えています。毒成分は含んでいないようですが、蓚酸やタンニンの含有量は多いようです。蓚酸を水でさらせば食可能と言うことでしょうか?しかし、ここでは野草を食べるために調べているのではないので、食べることはお勧めしません。間違って他の植物を食べたり、食べすぎたりして体調を壊しても当方は1切の責任は負いません。交配雑種も多く存在するので、不確かなものは食べない方が良いと思います。
posted by クラマ at 10:46| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月02日

カゲロウ類( クサカゲロウ科、ヒメカゲロウ科、ヒメカゲロウ科の14種類)を見つけました。カゲロウは優曇華の花を作る昆虫です。

カゲロウと言うと緑色で弱々しく飛ぶトンボに似た体をしたイメージがあると思います。カゲロウの仲間はクサカゲロウ科、ヒメカゲロウ科などそれぞれに非常に良く似たものが多くいて、正しい種類の判別が難しい昆虫です。特徴の違いは種によってあるにしても、体が小さいのでちょっと見ただけでは判別することができません。単にクサカゲロウと呼ぶとクサカゲロウ科の総称になります。クサカゲロウ科などは普通にいる昆虫で、珍しい種類ではないのですが、調べてみると実に大変多くの種類がいることが分かりました。日本には40種類以上いるそうです。今まで同じ種類だと思っていた緑色の弱々しい体つきをしたカゲロウが、実は別種だった可能性が高かったわけで、見た目の判断から完全に混同してたことになります。過去記事でヤマトクサカゲロウを取り上げていますが、カゲロウの種類を確認するためにも、他の種類のカゲロウ類を写真に撮りためていたので、ここで確認できた種類を紹介したいと思います。できれば成虫、幼虫を対で紹介したかったのですが、いざ探すとなると見つけることが大変でした。分かったものだけ紹介させていただきます。クサカゲロウ科は透き通った翅にレース状の模様(翅脈)が見えることが特徴になっています。カゲロウの仲間は柔らかく弱い体をしている昆虫なのに、成虫越冬するたくましさも持っていて、その生命力には驚かされます。幼虫と成虫のギャップも面白い昆虫です。成虫は弱々しく見えても肉食性の昆虫で、餌としてアブラムシやハダニを食べてくれるので益虫と言うことになります。クサカゲロウ科では成虫が花の蜜や甘露を餌にする種類と成虫、幼虫共にアブラムシなどを食べる肉食性のタイプがいます。口は小さいのですが成虫に餌としてアブラムシを与えると食べるようです。詳しくは分からないのですが、雑食性の面が強いようです。餌の好みは種類によって違いがあるかも知れません。当方は成虫が餌としてアブラムシを食べている所は見たことがありません。機会があったら成虫にアブラムシを与えて食べる所を確認して見ることも必要になるかも知れません。ヒメカゲロウ科もどれもよく似ていて難解です。そのうえ小型になるので、さらに判別が難しくなります。クサカゲロウ科8種類(ヤマトクサカゲロウ、スズキクサカゲロウ、カオマダラクサカゲロウ、ヨツボシクサカゲロウ、クモンクサカゲロウ、アミメクサカゲロウ、クロヒゲフタモンクサカゲロウ、ヒメニセコガタクサカゲロウ)とヒメカゲロウ科5種類(チャバネヒメカゲロウ、ウスチャバネヒメカゲロウ、コチャバネヒメカゲロウ、ホソバヒメカゲロウ、ヤマトヒメカゲロウ)。ヒロバカゲロウ科1種類(キマダラヒロバカゲロウ)を調べてみました。あまり目立たない小さな昆虫ですが、微妙な違いを見比べて見ると面白いです。クサカゲロウの仲間は雄よりも雌の方が若干大きく、体長があります。似た種類が多い昆虫なので、正確には種類や雌雄の判別は交接器を確認しないと難しいです。当方は雌雄の判別や交接器の違いは分かりません。外見上の特長から種名を当てはめてみました。
クサカゲロウ科の8種類。・クサカゲロウの仲間は5〜9月頃に良く見つけることができるようになります。透き通った翅と緑色の体が特徴になっています。飛び方も変わっていて、ヒラヒラと弱々しく飛ぶ姿は独特な飛び方とも言えます。日中は林縁など樹木のある環境にいて、成虫、幼虫共に低木や草の葉の上にいます。成虫は夜は灯火にも集まってきます。成虫は花の蜜や甘露を主に食べるようですがアブラムシも食べることが知られてきました。どの種類がどの程度、肉食性が強いかなどはまだ不確かです。クサカゲロウの仲間の卵は別名、優曇華の花と呼ばれています。変わった形をした卵で、この卵を産んだ親がクサカゲロウ類だと知らないと、ただ奇妙なものにしか見えないと思います。昆虫の卵に不思議な名前がついていることが面白いです。
★ヤマトクサカゲロウ(別名ニッポンクサカゲロウ) クサカゲロウ科。ヤマトクサカゲロウは個体数も多く普通に見つけることができる普通種です。とは言え似た種類が多く、他種との判別は難しくなります。体長は10ミリ前後で、前翅長18〜23ミリ。緑色の美しい体色をしていて、体つきは細長く弱々しく見えます。背中の中央に黄緑色の筋が見える特徴があるカゲロウです。越冬する時期になると体色は黄褐色の体に変色します。この特徴を知らないと色の違いから別種だと思ってしまうほどです。ヤマトクサカゲロウの翅は淡い緑色を帯びて見える半透明で柔らかい翅をしています。翅脈は体色と同じ緑色で、翅は細かい小室が集まって網目状に見えています。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から低山地の野原、草原、庭先などにも生息しています。飛び方はヒラヒラと弱々しくて、ゆっくりと飛ぶ特徴があります。昼間にも見ることができますが、ヤマトクサカゲロウは夜行性が強く灯火に良く集まって来る習性があるので、外灯の下や灯火のある壁で見つけることができます。出現は4月〜11月。越冬は成虫で越冬します。面白いことに活動期の体色は緑色ですが、越冬に入った成虫は体色が黄褐色に変わってしまいます。翅脈の色も体色と同じ色に変わってしまいます。成虫は顎が小さくほとんど餌を食べないようです。餌として食す場合、花の花粉やアブラムシの出す甘露を餌にするようです。幼虫は肉食性で主にアブラムシを捕らえて食べますが、コナジラミ、ハダニも餌とします。クサカゲロウの卵は変わった形で産み付けられています。糸のようなもので葉などにぶら下がってついていて別名「ウドンゲ(優曇華)の花」と呼ばれています。このぶら下がった卵の様子が花の雄しべなどに似ていることから呼ばれたようです。ちなみに優曇華とは実在しない想像上の植物になります。しかも開花は3千年に1度と言われる植物です。なんとも良く分からない名前が付けられたものです。
ヤマトクサカゲロウと非常によく似た種類にスズキクサカゲロウがいます。1見しただけでは区別が難しいです。両種の区別は目の横にある黒斑の模様の違いと口元にあるヒゲは下唇髭(かしんしゅ)と小腮髭(しょうさいしゅ)と呼ばれ、この部位の色の違いを見て識別の手掛かりの1つとすることもできます。ヤマトクサカゲロウは目の横にある黒斑の部分が目についていること(ジグザグ状に見える黒斑が目に接触していること)と、口元にあるヒゲが薄茶色に見えることです。確認する部位が小さく肉眼での確認は難しいので、デジカメ等に撮影して拡大して見たり、ルーペを使わないと判別できません。
・ヤマトクサカゲロウとスズキクサカゲロウの見分け方は、顔の目の脇と口元のヒゲの部分を見比べて区別をします。ヤマトクサカゲロの場合、目の横にある黒斑が目(複眼)についていること(接触している)と、口元にあるヒゲが薄茶色に見えることです。スズキクサカゲロウの場合は、目の横にある黒斑が目についていないこと(離れている)と、口元のヒゲの色は濃い黒(黒褐色)に見えることです。ヨツボシクサカゲロウは顔にある黒斑が2対あって全部で4個見えます。
ヤマトクサカゲロウ.JPGヤマトクサカゲロウ幼虫1.JPG
上、ヤマトクサカゲロウ(別名ニッポンクサカゲロウ)の成虫。ヤマトクサカゲロウは当ブログで紹介しており、2度目の登場になります。下、ヤマトクサカゲロウの幼虫。ゴミを背負わないタイプの幼虫になります。とても長細い体をしています。
クサカゲロウ類の卵.JPG
上、クサカゲロウ科の卵。別名「ウドンゲ(優曇華)の花」と呼ばれているものです。釣り糸の先に卵がぶら下がっているように見えます。この形を花の雄しべに見立てて、想像上の花の「優曇華の花」と表現したようです。想像力を働かせる不思議な形態の卵には違いありません。卵がまとまって産み付けられる特徴から、ヨツボシクサカゲロウの卵が「優曇華の花」と呼ばれるようです。他にもまとまって産み付ける種類がいるかもしれません。これらをまとめて「優曇華の花」として良いようです。この卵は鉄のパイプに産み付けられていました。卵は産みやすい人工物にも産み付けるようです。
★スズキクサカゲロウ クサカゲロウ科。体長10ミリ前後。前翅長13〜16ミリ。出現は4〜11月。分布は本州、四国、九州。緑色の体に背中の中央に黄緑色の筋が見えるカゲロウです。背中の中央に同じように黄緑色の筋が見えるヤマトクサカゲロウに非常に良く似ています。スズキクサカゲロウの場合、目の横にある黒斑が目(複眼)についていないこと(わずかに離れていて接触していません)と、口元にあるヒゲが黒褐色に見えることです。もう少し詳しく説明すると、下唇髭(かしんしゅ)と上に見えるヒゲは小腮髭(しょうさいしゅ)や小顎髭などと呼ばれるヒゲは黒い部分が多く黒褐色に見えます。越冬は成虫で越冬します。スズキクサカゲロウの成虫は気温が下がり冬になっても体色はそのまま(緑色)です。よく似ているヤマトクサカゲロウの越冬個体は体色が黄褐色に変わります。体長はほぼ変わらない大きさなのですが、ヤマトクサカゲロウと比べると若干小さく見える(小型になる)ようです。ただし、大きさでの判断は個体差があることから、顔の斑紋などの特徴の違いを確認する必要があります。
スズキクサカゲロウ(若齢).JPGスズキクサカゲロウ.JPGスズキクサカゲロウ頭部拡大.JPG
上はスズキクサカゲロウの幼虫です。1番上はまだ若齢で体が小さいです。下は顔の部分の拡大です。獲物を捕らえた所です。幼虫の顎には湾曲した長細いハサミがあります。これで挟まれたら体の柔らかいアブラムシは逃げられません。スズキクサカゲロウの成虫はヤマトクサカゲロウとそっくりで、顔(目の横)にある斑紋を見て判別します。
★カオマダラクサカゲロウ クサカゲロウ科。体長11〜13ミリ。前翅長11〜14ミリ。カオマダラクサカゲロウは普通種で、体色は緑色で背中の中央に黄緑色の筋が見え、翅脈は緑色をしています。似たものが多く、顔にある黒い斑紋の形で他種と区別します。カオマダラクサカゲロウの特徴は顔にある黒い斑紋が漢字の「人」のように見える形をしていることです。口元にあるヒゲは下唇髭(かしんしゅ)と呼ばれ褐色に見えます。上に見えるヒゲは小腮髭(しょうさいしゅ)や小顎髭などと呼ばれ黒と白の配色(まだら)になっています。昆虫の器官の部位の読み方等は非常に難しいです。出現は2月〜11月。分布は 本州、四国、九州、沖縄。幼虫はアブラムシや小型のカイガラムシを食べる肉食性です。カオマダラクサカゲロウは柑橘類につくアブラムシ等の天敵になっていて、ミカン農家などでは益虫として知られていて、役に立つ昆虫になっています。幼虫はゴミを背負って葉の上などを歩き回っています。カオマダラクサカゲロウの幼虫のように、ゴミを背負っている幼虫は他にも多くいて、種類の判別は難しいです。成虫は夜行性で灯火にも集まります。越冬は成虫で越冬します。越冬個体の体色は緑色のままです。
カオマダラクサカゲロウ1.JPGカオマダラクサカゲロウ拡大2.JPGカオマダラクサカゲロウ幼虫1.JPGカオマダラクサカゲロウ幼虫2顔.JPG
上2枚はカオマダラクサカゲロウの成虫。下2枚は幼虫です。カオマダラクサカゲロウの特徴は、顔(目の脇)にある「人」の字の形に見える黒い斑紋です。この黒斑は複眼に接していません(離れています)。幼虫はごみを背負っています。頭部に見える斑紋の形等が、他の種類と見分ける手掛かりになります。
★ヨツボシクサカゲロウ クサカゲロウ科。体長13〜15ミリ。前翅長18〜23ミリ。クサカゲロウとしては普通種の大型種になります。このヨツボシクサカゲロウの成虫は臭い匂いを出します。臭い匂いを出す種類は限られています。大きな特徴は、顔に4個の黒い斑紋があることです。体色は緑色で背中の中央に黄白色〜黄緑色の筋が見えます。分布は北海道、本州、四国、九州。出現は4〜8月。6〜9月の年2化。卵はまとまって産み付けられます。夜行性で灯火にも集まります。成虫は昼間は葉の裏などでじっとしています。成虫は甘露や花の蜜、アブラムシを餌にするようです。幼虫も肉食性で主にアブラムシを好んで食べるようです。他にハダニ類も餌とします。越冬は蛹で越冬します。
ヨツボシクサカゲロウ1.JPGヨツボシクサカゲロウ顔.JPG
ヨツボシクサカゲロウです。小さな体のカゲロウ類が多い中にあっては、見つけた時に大きく見えます。体の大きさと顔にある4個の黒い斑紋が特徴になります。ヨツボシクサカゲロウは年2化するカゲロウなので見る機会も多い普通種になります。幼虫は樹木の葉や草の葉などにいます。下は顔の拡大です。大きな飛び出た眼(複眼)の色が赤っぽくて綺麗です。夜行性なので顔に対して複眼が大きいのでしょう。
★クモンクサカゲロウ クサカゲロウ科。体長は11〜15ミリ程。体の大きな普通種で、前翅長16ミリ。クモンクサカゲロウの特徴は、体色は緑色で顔に9個の小さな黒斑があります。名前にあるクモンは9個の紋からきているのでしょう。上から見ると頭に3個の黒斑が目立ちます。前翅前縁の横脈は黒い色をしています。分布は北海道、本州、四国、九州。出現は4〜10月。幼虫は肉食性で主にアブラムシを食べますがハダニ類などの小型の昆虫も餌にします。成虫は甘露や花の蜜、アブラムシなどの小型昆虫を餌にするようです。成虫は灯火にも集まります。成虫で越冬します。分布は広く普通種になるようですが数が少ないのか、なかなか見つけることができません。成虫で越冬します。
クモンクサカゲロウ1.JPGクモンクサカゲロウ拡大横顔.JPGクモンクサカゲロウ頭部拡大.JPG
クモンクサカゲロウです。特徴は顔に9個の斑紋があるので判別しやすい種類になります。林縁で見つけました。クサカゲロウとしては大型種になります。
★アミメクサカゲロウ(別名アミメカゲロウ) クサカゲロウ科。体長16〜19ミリ程。前翅長22〜26ミリ。クサカゲロウ科の中で1番大きな種類になります。大きいといっても緑色の体をしているので、葉の上にとまられると分かりにくいです。アミメクサカゲロウの特徴は大型で翅に幅があり、翅の形が大きく横に広がって見えることです。これはとまるときに翅を横に広げることから、翅の幅がより広く見えるためです。また翅の中央付近には1対の黒い斑紋があります。触角は黄褐色で体長の2倍ほども長さがあります。触角の基節外側には紫褐色の斑紋が見えます。成虫は灯火に飛来します。分布は本州、四国、九州。出現は5〜11月。成虫はアブラムシの出す甘露を餌にするようです。幼虫は白い体で、白い色のワタの様な塵を載せています。幼虫は肉食性でアブラムシなどの小型の昆虫を食べます。幼虫は照葉樹に見られます。成虫で越冬します。アミメクサカゲロウはミドリヒメカゲロウに似ていますがはるかに大型になります。ミドリヒメカゲロウは体長が5〜6ミリで翅も緑色に見えます。
アミメクサカゲロウ幼虫1.JPGアミメクサカゲロウ幼虫2顔拡大.JPG
上はアミメクサカゲロウの幼虫です。アミメクサカゲロウの幼虫は白い綿の塊のように見えます。体も塵も白くて綺麗です。成虫の写真も撮れたら追加したいです。
★クロヒゲフタモンクサカゲロウ クサカゲロウ科。体長は15〜16ミリ。前翅長10〜17ミリ。小型の種類になります。特徴は口ヒゲの部分(先端節)の黒色は濃い黒色になっていて、胸背には黄色い筋が見えないことと、翅の上にある毛が暗い暗褐色〜黒色をしているそうです。顔には目の前に黒い斑紋があって、触角柄節の外側が暗色になっています。似たものが多く正確な判別には翅脈を調べないいけないところなのでしょうが、当方には翅脈までは全く分かりません。分布は本州、四国、九州、沖縄。幼虫はごみを背中に乗せています。幼虫は肉食性で成虫は灯火にも集まります。
クロヒゲフタモンクサカゲロウ.JPG
クロヒゲフタモンクサカゲロウです。顔の特徴と大きさからクロヒゲフタモンクサカゲロウで良いのかと思います。似た種類が多いので判別は難しいです。
★ヒメニセコガタクサカゲロウ クサカゲロウ科。前翅長9〜13ミリ。分布は本州、四国、九州、沖縄。沖縄では普通種。他の地域では数が少ない種類になるようです。幼虫で判別するのはお手上げで、全く自信がありません。「Chrysopidaeクサカゲロウ科」と言うサイトを見つけて開いてみると見ると、幼虫の顔までが紹介されていました。これを参考に似ている種類を当ててみました。詳しくカゲロウ類を知りたい方は、上記サイトをご覧になることをお勧めします。
ヒメニセコガタクサカゲロウ?幼虫1.JPGヒメニセコガタクサカゲロウ?幼虫顔拡大.JPG
上2枚はヒメニセコガタクサカゲロウの幼虫の写真だと思います。幼虫は顔によく似た斑紋を持っているので分かりにくいのですが、幼虫は白い地色でゴミを背負っています。この特徴からヒメニセコガタクサカゲロウが1番似ていたので、カオマダラクサカゲロウの幼虫もよく似ているのですが、ここではヒメニセコガタクサカゲロウとして紹介しておきます。幼虫の判別はとても難しいです。
クサカゲロウ科などカゲロウの仲間は口が小さいので少食だとは思うのですが、クサカゲロウ科の成虫がアブラムシを食べる肉食性なのか(積極的に食べるのか、雑食性的な嗜好なのか)種類を確かめて飼育することもしてみたくなります。実際には餌を用意するのも難しいのですが興味の湧く所です。
・ヒメカゲロウ科の5種類。 チャバネヒメカゲロウや ウスチャバネヒメカゲロウなど似たものが多く判別には大変苦労します。写真で紹介しましたが間違っているかもしれません。ヒメカゲロウ科は体が小さく、茶褐色系の体色をしています。名前の照合に手間取り、暫く紹介を控えていた難解の昆虫です。色も形も同じに見えてしまう種類が多く、正しい判別方法(当方の判別)には課題が残ってしまいます。正確には翅脈の違いなどを確認しなくてはいけなくなります。当ブログで紹介するにあたって特に勇気のいる種類になっています。ヒメカゲロウの仲間は茶色系で透き通った翅をしています。ヒメカゲロウ科も夜行性で灯火に飛来します。大きさの目安に、今度見つけたら前翅長などを測れるようにメジャーを用意することも必要だと思いました。幼虫はアブラムシやハダニ類などを餌にすることから益虫とされています。
★チャバネヒメカゲロウ ヒメカゲロウ科。体長10ミリ程(?)。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。成虫で越冬します。幼虫は肉食性で多種のアブラムシ類の体液を吸って餌にします。農作物に発生するアブラムシを積極的に捕食してくれるので、益虫として注目されています。アブラムシ類の天敵になる存在とは知りませんでした。幼虫は細長い体形で体色は暗褐色で白色の斑紋があります。 よく似た種類にウスチャバネヒメカゲロウがいますが チャバネヒメカゲロウの方が若干大きくなるそうです。成虫は灯火に飛来します。翅の中央付近から後部にかけて翅脈上に階段状の濃い線が見えます。
チャバネヒメカゲロウ2・6月.JPGチャバネヒメカゲロウ翅脈.JPG
★ウスチャバネヒメカゲロウ ヒメカゲロウ科。体長9ミリ。チャバネヒメカゲロウとよく似ていますがチャバネヒメカゲロウよりも小さい体をしているそうです。ウスチャバネヒメカゲロウの開帳は18ミリ。よく似たチャバネヒメカゲロウの開帳は15〜20ミリになるようです。どちらにしても小さいですね。分布は本州、四国、九州、沖縄。(北海道の分布は不明)。幼虫はアブラムシを食べます。翅には翅の中央付近から後部にかけて翅脈上に階段状の濃い線が見えます。成虫は灯火に飛来します。ウスチャバネヒメカゲロウについては詳しくは分かりませんでした。判別等が難しすぎます。
ウスチャバネヒメカゲロウ?5・24.JPGウスチャバネヒメカゲロウ翅脈1.JPG
とりあえずウスチャバネヒメカゲロウとして紹介します。間違っているかも知れません。判別が難しすぎます。
★コチャバネヒメカゲロウ ヒメカゲロウ科。半透明の茶色い翅に2本程の線が明瞭に見えています。この線に見える部分は翅脈にある黒色の部分が明瞭になって見えているものです。コチャバネヒメカゲロウの特長とすることができます。成虫は灯火に飛来します。詳しくは分かりません。
コチャバネヒメカゲロウ?.JPGコチャバネヒメカゲロウ翅脈の1部.JPG
★ホソバヒメカゲロウ ヒメカゲロウ科。 体長は7〜9ミリ程。開帳は16ミリ。小型のヒメカゲロウです。ホソバヒメカゲロウは横から見ると他の似た種類よりも高さが無く、細長く見えます。名前のように翅が細く見える特徴のあるヒメカゲロウで、翅にはまばらに小さな紋が見えます。ホソバヒメカゲロウは特徴のある体形から、ヒメカゲロウの仲間では名前が分かりやすい種類になると思います。出現は3〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。小型のヒメカゲロウなのですが、やはり幼虫はアブラムシを餌にします。成虫で越冬します。
ホソバヒメカゲロウ.JPG
ホソバヒメカゲロウの体は他種よりも細長く見えます。特徴は見ての通り小型で細長い体をしていることです。
★ヤマトヒメカゲロウ ヒメカゲロウ科。数の多い普通種になります。ヤマトヒメカゲロウの翅にはチャバネヒメカゲロウやコチャバネヒメカゲロウの様な翅に見える線状の模様は不明瞭で見えません。透明な翅には灰褐色の紋が多くあります。そのことから翅の色は灰褐色に見えます。出現は4〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。成虫は灯火に飛来します。越冬は成虫で越冬します。開帳が15〜16ミリと言う小型になります。開帳とは翅を広げた時の大きさなので、かなり小さいことが分かります。
ヤマトヒメカゲロウ.JPG
ヤマトヒメカゲロウ。開帳とは翅を広げた時の大きさになります。前翅長を測っておけば良かったです。
上記のヒメカゲロウ科もどれもよく似ていて難解です。どれも同じに見えてきます。間違っている可能性がありますが、あえて名前を当てて紹介して見ました。
・ヒロバカゲロウ科。この仲間は幼虫は水生とされている種類になります。まだよく生態が分かっていない種類になります。幼虫は小型の昆虫を食べる肉食性で、水辺のコケや倒木などを住処にしている半水生になるようです。ヒロバカゲロウ科は水田、沼地などの湿地、流れの緩い水場、流れの弱い小川などに多いようです。成虫もその近辺で発見されるようです。
★キマダラヒロバカゲロウ ヒロバカゲロウ科。前翅長は14〜18ミリ。出現は6〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。幼虫は半水生で肉食性。灯火に飛来します。成虫と幼虫が判明しているのはキマダラヒロバカゲロウだけになります。
キマダラヒロバカゲロウ.JPG
キマダラヒロバカゲロウです。林縁の樹の葉の上にいました。見つけた場所のすぐ近くには、小さな流れのある湿地と小さな流れがある水場があります。前年もこの場所で見つけています。環境からキマダラヒロバカゲロウで良いと思います。
カゲロウの仲間は普通種であっても、興味を持って探さないと見つけにくいかも知れません。またカゲロウの仲間を見つけても似ている種類が多いので、デジカメ等で撮影して特徴を見つけないと種類が分からないことがほとんどだと思います。成虫だけでなく幼虫もとても種類が分かりにくいです。特徴が分かりにくいゴミを背負っているタイプの幼虫だと、名前を調べることはさらに難しくなります。見つけたら写真等で確認できる記録を残しておくと名前が分かるかも知れません。
posted by クラマ at 15:17| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月18日

ヨモギハムシ(ハムシ科)。ヨモギにいる色彩に変異のある綺麗なハムシです。

ヨモギハムシは名前にあるようにヨモギに寄生するハムシです。4月頃から見ることができますが産卵が行われる10〜11月頃になると他の昆虫も少なくなるので見つけやすくなります。ヨモギハムシは形はやや細長く見えるハムシの仲間が多い中、背面は丸みがあり盛り上がっていて、どちらかと言うとコガネムシに似た体形をしています。1見、黒く見えるハムシなのですが、色彩には変異があります。金属光沢があるので光の角度によって体色が美しく見えます。ヨモギハムシは北海道から沖縄までと広い範囲に生息していることと、食草が主にヨモギを食べることから地域的に生活史が異なることが知られています。この昆虫は飛ぶのが苦手で、飛んで逃げるよりも脚をたたんで丸くなって地面に落下して死んだふり(擬死)をします。いざ歩き出すと思ったよりも早く歩いて移動します。ヨモギハムシは昼行性で個体数も多いので、餌のヨモギの株を探すと見つけることができます。秋(9月以降)が産卵期になるのですが、11月半ばでもまだペアを組んでいる個体も多くいます。冬の間に卵を産む地域のヨモギハムシもいます。地域差により産卵期の長さに違いのある昆虫になります。産卵時期の雌は腹部が大きくなるので、雄と雌の区別は簡単になります。ヨモギハムシはヨモギに発生する普通種のハムシなので、ヨモギを探すと思ったよりも見つけることができます。ヨモギハムシを調べてみました。
★ヨモギハムシ ハムシ科。体長7〜8ミリ前後。普通種のヨモギハムシはコガネムシに似た丸味のあるしっかりとした体つきをしています。前胸背板の前縁部は幅があり、両側の前胸背板側縁の先は張り出して見えます。上翅には細かい点刻が見えます。雌は腹部が大きく、体も雄よりも2回り程大きな体つきをしています。黒くて地味なハムシに見えますが、金属光沢が強く小さくても綺麗に見えます。体色には個体変異があり、黒い地色に黄金色、黄銅色、紫藍色、青藍色など変異がある金属光沢が美しいハムシです。腹面にも同様な色の光沢があります。基本的には藍色の系統と銅色の系統の2タイプになります。飛翔性は弱く飛ぶことを得意としません。捕まえても飛んで逃げ出すことよりも歩いて逃げようとします。また危険を感じると脚をひっこめて死んだふり(擬死)をします。ヨモギハムシの出現は4〜11月の年1化。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地のヨモギが生えている草原、道端、空き地や人家付近に生息しています。寄生する植物はキク科のヨモギ、セイタカアワダチソウ、ヤマシロギクなどにつきます。ゴボウやキクも餌にするので害虫としての側面もあります。成虫は昼行性で成虫、幼虫共にヨモギを主な餌として葉などを食べます。幼虫は夜行性で土中で蛹になります。越冬は成虫と卵で越冬します。ヨモギハムシは北海道にも生息しているだけに寒さに強い性質があります。神奈川県では気温が下がって他の昆虫の活動が鈍って来る頃(11月)にも見かけることができます食草とするヨモギを例にすると、ヨモギは九州以南では1年中生えているのですが、中部以北では完全に地上部が枯れてしまうので、地域により越冬方法が変わることになります。当然、生活史も北と南に生息する個体だと差異が生じてきます。
ヨモギハムシに似た種類にはアイヌヨモギハムシ、オオヨモギハムシ、ミヤマヨモギハムシがいます。この似ている3種類を比較して調べて見ました。
・アイヌヨモギハムシ。北海道固有種。食草はキク科の植物を食べます。体長は6〜9ミリ。分布は北海道。光沢が強く体色には銅色、赤紫色など地域変異があるようです。後翅は退化していて飛ぶことはできません。主な食草はフキ類、ヨブスマソウ、エゾゴマナなどのようです。
・オオヨモギハムシ。オオヨモギハムシの仲間は後翅が退化していて飛べないと言う変わった特徴があります。体長は7〜12ミリ。分布は北海道、本州北部(南限は岩手県)。本州では青森県と岩手県のみで確認されています。岩手県では準絶滅危惧種になっています。生息数は少なくヨモギハムシよりも大きくてズングリとした体格に見えるそうです。主な食草はフキ類(アキタブキなど)、ヨブスマソウ、エゾゴマナ、ハンゴンソウなどのようです。特徴は前胸背板の側方に明瞭な縦溝があるそうです。神奈川県にはいない種類なので当方は見たことがありません。オオヨモギハムシも体色に変異があり、黒色、赤紫色、青藍色などの色彩がある様です。
・ミヤマヨモギハムシ。準絶滅危惧種(日本のレッドデーター)。分布は北海道。北海道固有種で数が少ない希少種になります。標高の高い場所に生息しています。体長は7〜8ミリ。
似ているといっても神奈川県ではこの似た3種とは地域的に重なることが無いので、識別は容易です。北海道で見つけたら交接器も調べて確認しないと他種との判別は難しくなりそうですね。
ヨモギハムシ.JPGヨモギハムシ顔.JPGヨモギハムシ点刻.JPGヨモギハムシB.JPG
上、ヨモギハムシの雄と雌です。ヨモギハムシはハムシとしては大きい方になります。雄の方が2回り程小さく見えます。雌は羽化したてだと分かりにくいかもしれませんが、秋になると雌の腹部を見ると翅から腹部がはみ出て見えるので判別は容易になります。左側が雄で右の腹面が見えている方が雌です。2枚目、前方から見た所です。両側の前胸背板側縁の先は張り出して見えます。3枚目、上翅にはまばらに点刻があります。擬死をしている所を撮影しました。捕獲地、神奈川県横浜市、みなとみらい。歩道脇のヨモギにいました。都市部にも見事に適応しているようです。飛翔する個体は少ないのですが、雌の方はケースの中で何度か飛んでいました。下、全体を見るとハムシらしく触角が長いです。ハムシとしては、ずんぐりと丸味のある体形をしていて可愛いです。小さなコガネムシに似て見えます。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
色彩にバリエーションを持つ昆虫は探すと面白いです。色彩の違うヨモギハムシを見つけたら写真を追加する予定です。ヨモギハムシは雑草として生えているヨモギを餌にすることから、飼育しやすい昆虫だと思います。稀にいる黄金色のタイプは綺麗そうなので、見つけたら飼育してみたいです。
posted by クラマ at 17:16| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする