2016年07月06日

カバキコマチグモ、ヤマトコマチグモ。葉にチマキ状の巣を作る猛毒グモです。

カバキコマチグモは日本1毒性の強い毒を持つ生物(毒グモ)です。日本1ということで、当然、よく知られている毒蛇のハブ、マムシ、ヤマカガシよリも毒性は強く、死者も多く出している昆虫、スズメバチの毒よりも強いのです。ただ幸いにもカバキコマチグモの体が小さいことで、注入される毒の量が少ないことから、今のところ死者は出していません。ただ、現在日本国内でも確認されている外来種の毒グモ、セアカゴケグモでは海外で死亡例があることから、毒性がはるかに強いカバキコマチグモの危険性が無い訳ではありません。毒グモというと、報道などにより有名になってしまったため、カバキコマチグモよりもセアカゴケグモの方が危険視されてしまったようです。ヤマトコマチグモもカバキコマチグモと同じフクログモ科のクモで、やはり同じ毒グモになります。どちらもよく似たクモになります。ササやアシ、ススキなどの葉を編んでチマキ状やおにぎり型に糸で貼り付けて作る巣はとても可愛いものです。特にササの葉に作られた巣は、形もよく、チマキや3角おにぎりのように見える形をしていて、とても作った製作者がクモだとは思えない程の出来栄えです。この可愛らしい葉でできた巣を子供が興味から開いてしまって、うっかり噛まれでもしたら大変です。中から出て来るのは危険な毒グモです。子供には野外の危険昆虫として教えてあげることをお勧めします。カバキコマチグモ、ヤマトコマチグモの葉で作る巣には数種類があって、用途により形状が変わります。食べ物を包む形(チマキ状)の巣は、産卵用の産室で、中には母グモと卵が入っています。外敵から卵を守るために葉は糸でしっかりと閉じられています。カバキコマチグモの場合、卵から孵化した子グモは、この葉でできた産室の中で母グモを最初の餌(獲物)として食べてしまいます。11回目の脱皮後に母グモを食べてしまうのです。本能的に母グモが生きたまま自分を餌として与える行動には、すさまじい自然の生存競争の厳しさを感じずにはいられません。密閉された空間の中で確実に飢えることが無い様にと、効率よく子グモに餌を与えることができる訳です。この方法は究極の餌の与え方になりますが、生きながら食べられると思うと恐ろしくなります。産卵のため雄を食べてしまうカマキリの行動も種の存続のためなのですが、これらの方法には昆虫の話とはいえ、背筋が寒くなります。
このチマキ状、おにぎり形の巣の中に閉じこもったカバキコマチグモは卵を守ろうとする習性から、特に凶暴になり好戦的になっています。カバキコマチグモ、ヤマトコマチグモの両種では、明らかにカバキコマチグモの方が好戦的でした。撮影のため地面に置いた時に通りかかったアリに素早く飛びかかり噛み殺しました。やはり普段は大人しいクモでも卵を守るために好戦的になるようです。この時の実験から、綺麗に葉でできた巣を開いて、母グモがその場に残るようにしても、同じ葉で巣を修復していませんでした。巣の作りはヤマトコマチグモの方が上手で、ほとんど差はないものの仕上がりも綺麗で巣の形も若干良く見えました。
カバキコマチグモの毒性は先に触れたように、ハブや毒性がマムシより強いヤマカガシよりも上で、日本の在来種では日本1の猛毒を持っていることになります。ヘビを例にとると、世界1の毒蛇はインランドタイパンという毒ヘビになりますが、カバキコマチグモの毒はこのインランドタイパンの5倍もあるそうです。意外かもしれませんが、毒性から言ったら、カバキコマチグモの毒の強さは世界猛毒生物の中で6位に入っています。堂々の世界ランキング6位です。このような危険な奴があまり知れれていない存在で日本にいたことになります。カバキコマチグモの毒成分はカテコールアミン、セロトニン、ヒスタミンなどで、セロトニンは痛みを感じる毒成分になります。そのため噛まれると激しい痛みを感じてしまいます。噛まれた場合、腫れは2日程で治まるものの、痛みやしびれに至っては2週間程続くようです。人により症状が悪化する場合があり、頭痛、発熱、嘔吐、ショック状態を起こす場合があります。注入される毒の量が少ないことで、今のところ死んだ人はまだいません。他の昆虫の動きを止めて餌とするため、毒の種類は神経毒になります。
毒の強さは半数致死量(LD50)で表されますが、カバキコマチグモの毒性の強さは0・005mg/kgになります。毒グモの比較でいうとセアカゴケグモの毒性は0・88mg/kgになります。健康な人がセアカゴケグモに噛まれても生命の危険は通例ないレベルですが、免疫力の落ちている方や幼児では危険となる可能性も有るかもしれません。体質によりショック症状を起こすことが最も危険になります。セアカゴケグモはヒメグモ科のごく身近にいる種類になります。1995年に日本で発見された原産地がオーストラリアの外来種になります。セアカゴケグモの分布は現在では北海道〜沖縄まで広がったようです。プランター、排水溝の溝、側溝、コンクリートブロックの穴など人工物に生息するクモで、しかし普通は捕まえようとしない限り攻撃を仕掛けてくることはありません。クモも人間を恐れているのです。
カバキコマチグモとヤマトコマチグモを調べてみました。
正確な両種の判別には交接器の確認が必要になりますが、ここでは見た目と特徴からカバキコマチグモ、ヤマトコマチグモとして紹介させていただきます。
★ヤマトコマチグモ フクログモ科。神経毒を持つ毒グモ。夜行性の徘徊性のクモ 。夜葉の上などで他の昆虫を捕らえます。体長は雄、8〜9ミリ。雌、10〜14ミリ。ヤマトコマチグモには大きさと色合いなどに若干の変異があるそうです。第1脚が第4脚よりも長くなっています。腹背部には縦状斑はありません。頭部の先と牙は黒色。頭胸部は赤褐色。脚の色は黄色っぽく白い短毛が生えています。腹部は黄褐色。カバキコマチグモとよく似ています。出現は年1回で6〜9月に現れます。越冬は幼体で越冬します 。北海道、本州、四国、九州、沖縄。水辺のススキ、チガヤ、ヨシ、アシ原などを好んで生息しています。ススキ、チガヤ、ヨシ、アシなどの葉を編んで巣を作ります。巣の形態は休憩用、産室用などがあります。ヤマトコマチグモの葉で作られる産室の巣は綺麗な作りで、チマキ状(チマキ型)、3角おにぎり型をしています。張り合わせも綺麗にしっかりと作られています。このチマキ型や3角おにぎり型に見える葉でできた巣は産卵用の産室で、中に親グモ(雌)が入っています。この産室の中で産卵された卵は、この中で孵化します。カバキコマチグモと違って、子グモが親グモを食べることはありません。母グモは子グモの成長を最後まで見守るそうです。カバキコマチグモとよく似ていて、正確な判別には交接器を確認しないといけないのですが、ヤマトコマチグモにも毒があるので、交接器の確認は難しくなります。
ヤマトコマチグモ巣2.JPGヤマトコマチグモ巣1.JPGヤマトコマチグモ巣3.JPG
上、ヤマトコマチグモのノ巣です。角度を変えて写してある同じ巣です。上手にできています。材料はササの葉です。アシやヨシ、ススキなどが材料だともう少し長細くできているように見えます。1番下は葉をはがして中を開けさせてもらった所です。張り合わせ部分が繊細な作りであることが分かります。
ヤマトコマチグモ1.JPGヤマトコマチグモ2.JPG
ヤマトコマチグモです。上の巣の写真と同じ個体の雌です。上が横から見た様子です。脚は黄色みがあり、脚の毛は白い短毛が生えていて、脚の色が黄色っぽく見えています。葉を開けた巣の中には卵はありませんでした。産卵前の大きな腹部が目立つ雌のヤマトコマチグモです。
★カバキコマチグモ 別名クチグロ。フクログモ科の毒グモ。毒性は神経毒。オレンジ色っぽい体色(淡い黄褐色)をしていることからカバキイロ(茶色お帯びた黄色)をしたクモということで、体の色がカバキコマチグモの名前の由来になったようです。夜行性の徘徊性の普通種のクモ。夜に葉の上などで他の昆虫を捕らえます。カバキとはカバキイロの色が名前の由来になっています。カバキコマチグモは日本1の毒グモです。世界の猛毒生物のランキングで世界で6位に入っている毒グモです。毒の強さでは世界1の毒ヘビのインランドタイパンの5倍の毒を持っている強者です。毒の強さは半数致死量(LD50)で表すと、カバキコマチグモの毒性の強さは0・005mg/kgになります。毒成分はカテコールアミン、セロトニン、ヒスタミンなどになります。噛まれても幸いなことに体が小さいことから、注入される毒の量が少ないことで、今まで死に至る事故は起こっていません。体長は雄、9〜13ミリ。雌、10〜15ミリ。雄は黄色味の強い細い体をしています。別名のクチグロとは、牙の部分が黒いことからついた呼び名です。頭部の先と牙は黒色。脚には黒い短毛が密生していて先が黒くなっています。第1脚が第4脚よりも長くなっています。腹部には縦状斑があります。分布は北海道、本州、四国、九州。出現は年1回で6〜9月に発生します。平地から山地の草原、河原、水田、林縁などに生息しています。カバキコマチグモの特徴にススキ、ササなどの葉を糸で紡いでチマキ状(チマキ型)、3角おむすび型の巣を作ることが知られています。ススキ原に多く生息しているクモになります。この形状の巣は産卵用の巣になり、他に脱皮用など用途により違った形の巣を作ることが知られています。夏(6月頃から)卵を産み始めます。卵の数は100個前後で産み付けられた卵は10日程で孵化します。。葉で囲まれた巣の中には母グモがいて、1回目の脱皮のあと、母グモは子グモに生きたまま食べられてしまいます。数時間から半日以内で食べられてしまうようです。普段は大人しいクモのようですが、産室に閉じこもって卵を守っている時は攻撃性が強くなってきます。クモであっても母性が強いようです。葉でできた可愛い巣を見つけて、興味から開けてしまうことが多い時期に噛まれる事故が多いようです。カバキコマチグモは幼体期は葉でできた巣の中で過ごします。カバキコマチグモの越冬は幼体で越冬します。
観察していると、カバキコマチグモやヤマトコマチグモの巣はある程度の範囲でまとまって見つかる傾向にあります。もちろん、生育範囲が重なる場合もあります。探していて気が付くことに、巣の有る場所には探すとその周りに(近くに)も巣が見つかるということです。巣の作られていない場所には無いという感じで、葉を折りたたんだ巣が作られています。幼体の生育に必要な湿度や風通しなど巣を作る条件や適した環境があるのかも知れません。クモの幼体は巣を破壊されると生きていけないと推測できるので、やたらに巣を破壊して調べることができないのですが、ススキの葉で細長く巻かれて作られた巣も見つけたことから、さらに別の種類のフクログモ科のクモかもしれません。中のクモの種類も確認して見る必要が有ると思いました。
カバキコマチグモ2.JPGカバキコマチグモ1.JPGカバキコマチグモ脚の短毛.JPG
上、カバキコマチグモです。第1脚が第4脚よりもはるかに長いことが、コマチグモ属の特徴になっています。1番下、脚の部分をちょこっと拡大して見ました。脚には黒い短毛が生えています。脚先が黒くなっていることも特徴になっています。この3枚は同1個体です。巣を壊すと卵と1緒に巣の中にいたものです。産卵を終えた後なので、腹部は細くなっています。葉の中には白い卵が嚢胞に包まれて産み付けられていました。
この手のコマチグモ科のクモには毒が有るので要注意です。形と色を覚えておいて損はないと思います。噛まれないに越したことはありません。両種はよく似ているので、正確な判別には交接器の確認が必要になりますが確認していません。判別は見た目と特徴から、判断させていただきました。間違っていてもご容赦ください。撮影地は神奈川県横浜市、こども自然公園。
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2016年05月21日

ヤチグモ(シモフリヤチグモかメガネヤチグモ)、ウヅキコモリグモ。地上を歩くクモです。

ヤチグモ(シモフリヤチグモかメガネヤチグモ)とウヅキコモリグモは非常によく似た種類がいる判別が難しいクモです。ヤチグモ科のクモは特に似た種類が多く、外見で判断することはできないそうです。大まかな種の特徴はあるのですが、斑紋などに個体変異があるために、正確には生殖器を調べて種を判断しないといけないほど、外見や模様がよく似ています。今回紹介のヤチグモは赤っぽい体(赤味の強い体色)とはっきりしない複雑な山形模様の斑紋からシモフリヤチグモだと思いたいのですが、交接器などを調べていないので正確には シモフリヤチグモとメガネヤチグモの判別はできていません。他にヒメヤチグモガいます。大きさからヒメヤチグモではないと思います。ヤチグモ科の シモフリヤチグモとメガネヤチグモのどちらかであるということにしてください。 ウヅキコモリグモにも似た種類がいます。コモリグモの仲間も判別が難しいです。ヤチグモは交接器まで調べていないので、当ブログに紹介するのも迷っていた種類のクモになります。
ウヅキコモリグモ、 シモフリヤチグモ、メガネヤチグモを調べてみました。
★ウヅキコモリグモ コモリグモ科。 コモリグモ科では普通にいる数の多い種類になります。似た種類も多くいて判別の難しい種類になります。ウズキとは4月の卯月のことで、春から良く見られることからついた名前のようです。ウヅキコモリグモは巣を作らないで地面を徘徊する徘徊性のクモです。分布は北海道、本州、四国、九州。山地、草地、裸地、市街地の庭、公園などで1年中見ることができます。頭胸背部の中央にある灰白色の模様は縦長に見え、両脇(両外側)の線は切れ込みの深めのはっきりとした形をして見えます。腹部や脚の色は黄褐色、褐色、黒色が入り交ざって見えます。触肢には黒い膨らみがあります。体長は、雄は6〜8ミリ。雌は7〜10ミリ。雄の体色は黒っぽく、雌は明るい色をしています。越冬は幼体での越冬ですが、冬の間も成長を続けているので決まった越冬態は無いようです。卵嚢の色は白っぽいのですが、色には変異があります。雌は大きな卵嚢を腹部下面に付けています。さらには孵化した子グモを背中に乗せて移動します。コモリグモと呼ばれる由縁になっています。3〜11月まで卵嚢を背負った姿を見ることができるようです。卵嚢ノ中には30〜80個の卵が入っていて、卵嚢内で孵化して2回の脱皮を行い外に出ます。つまり背中に乗っているのは3齢の幼体になります。ウズキコモリグモはとても変わったクモなのです。
ウヅキコモリグモ1.JPGウヅキコモリグモ2.JPG
上、ウヅキコモリグモです。ウヅキコモリグモは直ぐに逃げ出すので撮影が難しいクモです。下の写真では、背中の斑の両脇がやや薄ぼけて見えています。撮影地は上、神奈川県横浜市。下、神奈川県大和市、憩いの森。
★シモフリヤチグモ   ヤチグモ科。体長は雄が8〜13ミリ。雌が12〜15ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州。人家周辺の建造物、神社、寺院の近くに多く生息しています。人工的な環境に適応していて、公園や庭園のトイレ、ベンチの下、コンクリートの隙間や石垣の隙間、壁や塀の隙間、植木鉢の下などにも居ます。巣の構造は管状で巣の入り口には小さな棚網を張ります。網は環状住居(巣)と1体になっています。他の昆虫を餌にします。成体で越冬するようです。都市部では幼体でも越冬しているようです。歩脚は淡黄色で環斑は明瞭。体色は 赤味が強く、胸背部が赤褐色で頭部は赤色。腹部に見える山形斑は不明瞭。斑紋は左右非対称に複雑に乱れて見えます。
★メガネヤチグモ  ヤチグモ科。体長は雄が11〜13ミリ。雌が13〜15ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州。都市型のクモで山地や樹林帯にはほとんどいないそうです。生息場所はシモフリヤチグモと同じで、人家周辺の建造物、神社、寺院の近くに多く生息しています。人工的な環境に適応していて、公園や庭園のトイレ、ベンチの下、コンクリートの隙間や石垣の隙間、壁や塀の隙間、植木鉢の下などにも居ます。他の昆虫を餌にします。成体で越冬するようです。越冬体はほぼ雌になるようです。巣の構造は管状で巣の入り口には小さな棚網を張ります。歩脚は黄褐色で環斑は不明瞭。腹部に見える山形斑は明瞭。この山形の斑紋は左右対称に整って見えます。
シモフリヤチグモとメガネヤチグモは、どちらもよく似ているだけでなく同じような環境に住むため、判別が難しい種類になります。
シモフリヤチグモ?1.JPGシモフリヤチグモ?2.JPG
交接器を見ないでの判断では、歩脚の色は赤褐色です。脚に見える環斑は不明瞭、というか良く見えていません。腹部に見える山形斑は不明瞭です。ということで、どちらとも言い切ることはできません。シモフリヤチグモかメガネヤチグモのどちらかということにしてください。撮影地は神奈川県横浜市、こども自然公園のトイレです。
卵(卵嚢)を付けたコモリグモの写真も撮りたくなりました。色が違う卵嚢も見て見たくなりました。写真が撮れましたら追加する予定です。
posted by クラマ at 15:48| Comment(2) | 蜘蛛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月09日

キシノウエトタテグモ。地面に蓋の付いた巣を作るジグモです。

キシノウエトタテグモは地上を徘徊して移動するクモ(ジグモ)なので、多くの距離を移動することはありません。それゆえ生息場所に偏りができて、生息地が地域的なものになっています。生息地が山地に少ない(いない)ことはこのためだと思います。キシノウエトタテグモは地面に穴を掘って巣を作るジグモの1種で、巣穴は蓋で閉まるようにできています。近くに獲物が通りかかると振動を感じて、蓋を開けて獲物に襲いかかります。平面な地面に巣を作った場合は竪穴で、がけ地などの斜面に作った場合は横穴になります。地面に掘られた巣には蓋を作って分からないようにしてあるので、蓋が閉じられている巣を見つけることは難しいです。ジグモに寄生する菌であるクモタケに寄生されることが多い種類でも有名です。クモタケはクモの体から生えるキノコです。厳密には冬虫夏草とは少し違うバッカク菌になります。クモタケは当ブログ「クモタケ。クモから生えるキノコです。」で紹介させていただいております。こちらもご参考にして見てください。絶滅が危惧される数の少ない希少なクモ、キシノウエトタテグモを調べてみました。
★キシノウエトタテグモ トタテグモ科。歩いて移動するクモなので、あまり遠くには移動できません。そのため環境の変化に弱いという欠点があるので、普通種になるのですが絶滅危惧種にもなっています。現在も開発等の自然破壊により生息地を減らしています。体長は雄9〜12ミリ。雌13〜17ミリ。身体的な特徴として触肢が太く脚にみえることから、脚の数が10本に見えることです。この10本脚に見える特徴は原始的なクモに見られるとく特徴になります。頭胸部には光沢があり丸みを帯びています。色は濃赤褐色、腹部上面には茶褐色の斑紋があります。腹部は褐色〜紫褐色をしています。雄の腹部は細く斑紋も不明瞭になります。分布は本州(福島県以南)四国、九州。キシノウエトタテグモは都市部から平野にかけて局地的に生息していて、低山や低地の歩道脇の赤土の崖や植木の盛り土、石垣の隙間、木の下の根元などの土中に巣を作ります。成体は雌は1年中、雄は9〜10月に地上に雌を求めて現れます。巣穴の深さ(巣の長さ)は4〜7センチで筒状。雨水の当たらない場所で、乾燥の強くない場所を選んで巣を作ります。雨水の流れ込んだり溜まるよな場所には巣は作りません。巣の入り口には蓋があり、近くを通りかかった昆虫の振動を感じ取って蓋を開けて捕えます。獲物はダンゴムシやワラジムシが多いようです。巣の蓋は蝶番のような円形の扉のような構造になっています。蓋を閉じられたら周りと区別がつかなくなってしまいます。巣穴の作り方は地面に対してまっすぐに穴を掘って作ってあるか、斜面に対してやや下向きに作られた構造になっているようです。キシノウエトタテグモ は人家付近にも生息するクモのようですが、絶滅危惧種、準絶滅危惧種にしていされている県が多くあり、簡単には見つからない種類になります。
絶滅危惧T類には千葉県、群馬県、三重県。
絶滅危惧U類には滋賀県。愛知県。
準絶滅危惧種には東京都、埼玉県、茨木県、栃木県、石川県、京都府、大阪府、鳥取県、山口県、広島県、愛媛県、徳島県、福岡県、熊本県、長崎県が指定されています。
キシノウエトタテグモの分布域は広くても生息は局所的です。例え人家付近に生息している特徴があっても、生息する条件や開発等、自然破壊の影響を受けやすいクモになるので、今後もさらに数を減らしていきそうです。幸いなことに神奈川県では数が多くいる種類になっていて、探してみると横浜市内で8カ所(うち公園は3か所で、公園は1カ所として数えています)隣接する大和市、泉の森公園でも生息している場所を見つけました。巣は見つけにくいので大まかな確認になってしまい個体数は把握していませんが、どこも個体数は少ないようです。横浜市内で見つけた3カ所では3〜4個の巣穴しか見つけられませんでした。横浜市こども自然公園内で見つけた3か所のうち2カ所は雨除けになっていた大きな木の伐採により全滅の可能性が濃いです。巣を見つけることができませんでした。市有地の道路沿いにあった生息地も木の伐採でかなり生存は厳しくなってしまいました。雨が当たるようになってしまったのでこの場所でも生存は厳しいと思うので、かろうじて7カ所の棲息場所が残っていることになります(内訳は2017年3月の時点で公園4カ所、市有地の土手1カ所、民家の小さな土手2か所)もっと探せば個体数は少ないかもしれませんが見つけることはできると思います。調べているうちに慣れてくると住処になりそうな場所の雰囲気が分かってきました。
キシノウエトタテグモ1.JPGキシノウエトタテグモ2.JPG
1枚目(上)と2枚目は同じキシノウエトタテグモです。この写真は腹部が大きい特徴から雌のキシノウエトタテグモになります。偶然に見つけることができました。頭胸部にはツヤがあります。2枚目の写真では脚の数が10本に見えています。実に不思議な容姿のクモです。撮影場所、神奈川県横浜市、南本宿公園。キシノウエトタテグモはクモタケに寄生されることで知られています。ジグモには全く感染しないで、ほとんどがキシノウエトタテグモに感染することが分かっています。クモタケはバッカク菌で、厳密には冬虫夏草ではありませんが、クモから発生するので冬虫夏草の仲間として知られています。
トタテグモ巣1.JPGトタテグモ巣2.JPG
キシノウエトタテグモの巣B3.JPG
トタテグモの巣です。撮影は2月。土中に作られる巣は、蓋が閉まっていると地面と見分けがつきません。上2枚は僅かに斜面になっている場所にあった巣です。近くには蓋の径が非常に小さい巣もありました。横浜市内の道路に面した民家の僅かな土の斜面で見つけたものです。中、の写真は枯草の茎で上の巣の蓋を開けてみたところです。ほとんど斜度のない場所に作られていたこの巣は、偶然に周りの土が僅かにどいていたので見つけることができましたが、通常蓋と地面の差がないと地面と同じにしか見えないので、とても見つけにくい状態にあるといえます。下、別の場所の巣で斜面に対して横向きに作られていました(写真には見て分かりやすい巣を使っています)巣の内部は滑らかにできていることが分かります。この写真も枯れ草で蓋を開けて写しました。この巣は民家の垣根にある約20センチほどの土の部分に作られていた巣です。他の場所でも確認済みですが、石垣の石と石の間の僅かな土の部分にも巣を作る性質から、意外な場所でも見つけることができることが分かりました。巣を作るためには、雨水が巣に入らないことが重要になるようです。




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