2015年11月07日

ブドウトリバ、コブドウトリバ、ヒルガオトリバ、トキンソウトリバ。大きな蚊のように見える変わった形のトリバガ科のガです。

ブドウトリバ、コブドウトリバ、ヒルガオトリバ、トキンソウトリバの4種類を見つけました。どれもとてもガとは思えない変わった形をしています。ブドウトリバとコブドウトリバは大きな蚊に見えますし、ヒルガオトリバは1見ガガンボによく似ています。ガとは思えないグライダーの翼のような横に張り出した細長い翅をしています。後翅はその下にあります。胴体と横に張り出した翅の形から、アルファベットのTの字に似た形にも見えます。この1風変わった形がトリバの特徴になっています。このトリバ達はガのイメージとはかけ離れた形をしています。蚊やガガンボに似ていて、恐らく擬態しているのではないのでしょうか。毒のある昆虫や危険な昆虫に擬態すなら効果は大きいと思われますが、蚊やガガンボではどのような効果を期待したものか良く分りません。ヒルガオトガリバはトリバの中でも大型になります。ブドウトリバは中ぐらいで、コブドウトリバは小さくて、大きな蚊か何かに見えてしまいます。ブドウトリバ、コブドウトリバはどちらもよく似ていますが、大きさに違いがあります。翅の模様も若干違っています。コブドウトリバは南方系のガで、温暖化により北上してきた可能性が高いです。今回見つけたのは神奈川県横浜市なので、かなり北上してきたと言えるようです。本来はまだ神奈川県にはいない種類のようですが、コブドウトリバで良いものと思います。トリバはどれもよく似ていて間違っているかも知れませんが、特徴からコブドウトリバとして紹介させていただきます。ブドウトリバ、コブドウトリバは同じヤブガラシの花の蜜を吸っていました。初めは同じブドウトリバだと思っていましたが、大きさの違いと翅の模様の感じが違うので写真に撮って比べて見てみました。地色にはどちらにも濃淡があるようです。トリバをガだと思っていない人は多いと思います。またこの変わった形から珍しい昆虫だと思われるかも知れませんが、ブドウトリバは意外と数が多いので、見たいと思われた方はヤブガラシなどのブドウ科の植物の花の咲く頃に探して見ると、出会うことができるかと思います。成虫はヤブガラシなどの花の蜜を吸っています。ブドウトリバには非常によく似たイッシキブドウトリバがいて、外見上は判断できないようです。ここではブドウトリバとして紹介させていただきます。トキンソウトリバの詳しい生態は分かりません。発見したのは(写真のトキンソウトリバ)11月で16時44分。暗くなる前でぎりぎりフラッシュを使わない時間での撮影でした。名前の分からなかったトリバで、翅の特徴からトキンソウトリバとしました。トキンソウを幼虫が餌にすることから名前が付いたようです。トリバガ科の4種類、ブドウトリバ、コブドウトリバ、ヒルガオトリバ、トキンソウトリバを調べてみました。
★ブドウトリバ トリバガ科。開帳は15〜18ミリ。分布は本州、四国、九州、対馬。各種樹林やその林縁、農地、果樹園、公園などに生息しています。平地から低山地、市街地に生息している普通種で数も多いようです。夕方の明るいうちから活動しているようです。出現期は6〜10月で、年2回の発生をします。成虫はヒメジョオンやヨメナ、ヤブガラシなどの花の蜜を吸います。幼虫はブドウ科のエビヅル、ノブドウ、ヤマブドウ、ヤブガラシの花、葉、蔓の先を餌にします。幼虫はブドウ農家の害虫です。前翅に隠れた後翅は鳥の羽を思わせる形をしていて、羽状に分かれています。T字型に見える姿をしていて、脚には長いトゲが生えています。越冬は成虫で越冬します。よく似た物にイッシキブドウトリバがいます。外見では判断できない位によく似ているそうです。ブドウトリバには腹部の境界に明るい部分があるそうです。
★コブドウトリバ トリバガ科。開帳は10ミリで小さくて赤味の強い体色をしています。分布は本州、九州。出現期は7〜10月。餌はヤブガラシで、幼虫はヤブガラシの花や蕾を食べます。成虫はヤブガラシの花の蜜を吸っています。ブドウトリバによく似ていますが、ブドウトリバと比べると、はるかに小型になります。コブドウトリバは小さいうえ、飛び方も弱々しく、姿も蚊に似ているので、ガと思う方は少ないと思います。拡大して見ないと良く分りませんが、脚には長いトゲが生えています。
★ヒルガオトリバ トリバガ科。開帳は22〜25ミリ。トリバの仲間では大きくて、とまっていると横には張り出した翅と腹部がアルファベットのTの字に見えます。分布は北海道、本州、四国、九州、対馬。出現期は4〜10月。1見、大型の蚊かガガンボに似て見えます。特徴は大きく横に張り出した前翅にあります。また、脚にはトゲがある変わった形をしています。灰色〜灰褐色をしていて、翅色には色の濃淡など変異があります。翅にはやや赤みを帯びます。昼行性で灯火にも飛来します。成虫で越冬します。成虫は花の蜜を吸います。幼虫はヒルガオ科のハマヒルガオ、ヒルガオ、サツマイモなどの植物を餌にします。サツマイモの害虫になっています。ヒルガオトリバは個体数も多いようです。大きいので目につくだけかもしれませんが、トリバの仲間では良く見かける種類になります。
ブドウトリバ1.jpgブドウトリバ2.jpgブドウトリバ3.jpg
上3枚、ブドウトリバです。腹部が白く分れているので、ブドウトリバとして紹介させていただきます。非常によく似たイッシキブドウトリバの可能性もあります。間違っていてもご勘弁願います。体の色には個体差で濃淡があるようです。
コブドウトリバ1.jpgコブドウトリバ2.jpgコブドウトリバ3.jpg
上3枚、コブドウトリバです。上のブドウトリバとの1円玉の比較でもわかるように、大きさがまるで違っています。翅の模様にも違いが見てとれます。神奈川県まで北上してきたのかと疑いましたが、特徴が似ているのでコブドウトリバで良いのだと思いますが、間違っていましたらご勘弁願います。とにかく小さいです。脚のトゲはなぜにこのように長いのかは疑問です。
ヒルガオトリバ1.jpgヒルガオトリバ2.jpgヒルガオトリバ3.jpg
上3枚、ヒルガオトリバです。大きく見えます。飛行に適したグライダーのような翅をしています。ブドウトリバやコブドウトリバに比べると飛翔力は強いです。ヒルガオトリバ位の大きさになると見つけやすいです。写真では分かりにくくなっていますが、脚には鋭いトゲがあります。脚にあるトゲはブドウトリバやコブドウトリバより短いです。わずかな風があってもピントがずれてしまい、うまく撮影できなかったので家に連れてきて撮影しました。翌日、同じ場所に逃がしてきました。撮影地はいずれも神奈川県横浜市。
★トキンソウトリバ トリバガ科。開帳14ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。幼虫はキク科のトキンソウを餌にします。特徴は前翅前縁の中ほどに不鮮明な三角形の紋があり、外縁には白っぽい帯が見えることです。越冬は他のトリバガ科のブドウトリバ、ヒルガオトリバが成虫で越冬することと、11月に見つけたことから成虫越冬するのかも知れません。越冬に関して正確には分かりませんでした。出現期は9〜11月(この時期も正確には分かりませんでしたが、11月に成虫をみつけているので11月までとさせてもらいます)餌となるトキンソウはキク科の1年草で、水田、休耕田、畑、湿った道端や空き地、庭などに生えている普通種になりますが群生はしません。湿り気を好む植物です。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。花期は7〜10月。目立たない花を咲かせます。枝は分枝して地上を這い、長さは5〜20センチで葉は互生します。
トキンソウトリバ.jpg
トキンソウトリバです。翅の模様から判断しました。名前が分からなかったのですがトキンソウトリバで良いようです。撮影場所、神奈川県横浜市こども自然公園。トキンソウの写真が撮れましたら追加します。トキンソウは普通に見られる雑草になります。
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2015年09月24日

クロコノマチョウ。北上している南方系のチョウです。

クロコノマチョウはタテハチョウ科ジャノメチョウ亜科の地味な色をしたチョウです。ジャノメチョウの仲間になるのですが、ジャノメチョウから連想される蛇の目の目玉模様は目立ちません。翅の裏に目玉模様の紋もない個体もいます。変異が多くて色合いや模様には個体差、地域差があるようです。また夏型と秋型とで形に違いも出てきます(夏型と秋型の中間的な個体も現れます)雄と雌の区別は個体の色などに変異も多いことから難しくなります。1般的には雄の体色は黒っぽくなり、雌の体色は褐色になり、雄より明るい色合いになるようですが、明確な決め手にはならないようです。形では雄は翅の突起部があまり尖らず丸みを帯びていて、雌では雄より尖った部分が目立つようです。夏型と秋型の差としては、秋型の形はこの突出部が大きく尖って出ています。特に雌の突出部は大きくなりますが、確実な雄と雌の判断は翅の表の色を見て表翅全体が黒っぽいものが雄、オレンジ色が多く入って紋が目立つものが雌になります。ただ問題なのが、このクロコノマチョウはなかなか翅を広げてくれないことです。この特性が雄と雌の区別を判断することが難しいことの1つでもあります。クロコノマチョウは樹液を餌にしているので、林縁や林の樹液の出ている木を見つけると探すことができるかもしれません。木の周りをバタバタと飛び回っていて、優雅に飛ぶチョウのイメージはありません。目立たない地味で特徴がない色合いをしているので、とまっていると分かりにくいチョウです。夏型はどちらかというと樹皮の色に似ていて、秋型は成虫越冬をすることから、保護色になっているのか、枯葉の色に似ています。クロコノマチョウは南方系のチョウで北限は関東地方になっていますが、温暖化で北上していくものと思われます。ジャノメチョウの仲間なので日陰が好きで、日中は葉などにとまって休んでいることが多く、朝方と夕方に活発に樹液の出ている木の周りを飛び回っています。秋型の個体数が多く、越冬するために数を増やしているのだと思います。そのことから越冬中の時期を除けば春から秋まで見ることができる種類ということができると思います。私がクロコノマチョウを見つけて観察している場所は1か所だけなのですが、餌場にしていた樹液の出ていたコナラの木が切られてしまいました。かなりの種類の昆虫の観察ができた木なので、なくなってしまったことが残念でなりません。クヌギやコナラの林自体が減少していて、さらに樹液を出している木を見つけということはなおさら大変になります。また他の観察ポイントを見つける必要が出てきてしまいました。クロコノマチョウを調べてみました。
★クロコノマチョウ タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。開帳60〜80ミリのジャノメチョウの仲間では大型になります。発生時期は4〜11月。年2〜3回の発生になります。越冬は成虫で越冬します。形には夏型と秋型があります。分布は本州(関東地方以南)四国、九州、沖縄。沖縄では数が少なく、ほとんどいない種類になるようです。日陰を好み林縁、林内などにいます。成虫は樹液、腐った果実を餌にしています。幼虫の餌はススキ、ジュズダマ、ヨシ、トウモロコシ、アワなどイネ科の植物を食べます。夏型は翅の突起は丸みを帯びていますが、秋型になると翅の角が飛び出して見えてきます。特に後翅の突起は長くとんがってくるので、後翅の角の違いが大きく変わってきます。秋型は夏型に比べて大型になり、秋に数が増えてきます。1番わかりやすい雌雄の違いは前翅に現れます。雄の前翅の表は全体に黒っぽく、雌の前翅にはオレンジ色の部位分が多く紋も良く目立ちます。
クロコノマチョウ10月.jpgクロコノマチョウ11月.jpg
クロコノマチョウです。雄は黒っぽく、雌は褐色をしていることが多いようですが、変異も多い種類なのではっきりとした判断は前翅の表を見ないと間違う可能性が大きくなってしまうようです。上が10月に撮影したもの、下が11月に撮影したもの。共に秋型になります。
クロコノマチョウ秋型雌11月.jpgクロコノマチョウ秋型雌11月2.jpg
クロコノマチョウの前翅の表。これも秋型の雌の個体です。雌の翅の特徴になります。鮮やかなオレンジ色やはっきりした紋は雄にはありません。この2枚の写真は同1個体になります。このクロコノマチョウは弱って飛ぶことができないで道路に落ちていたものを保護しました。写真と保護個体はいずれも神奈川県横浜市。
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2015年09月22日

ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメ。目玉模様のあるジャノメチョウです。

ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメ。翅に目玉模様の紋がある可愛い小型のタテハチョウ科のジャノメチョウ亜科になるチョウです。この仲間には似た物が多く、ヒメウラナミジャノメには目玉模様の紋の数が少ないウラナミジャノメが、ヒメジャノメには翅の裏にある白い帯が曲がっているコジャノメがいます。よく見ないとどちらも間違ってしまいそうです。ジャノメチョウの仲間は日当たりのよい所よりも日陰を好むチョウで、林縁や藪、直射日光の当たらない日陰がある草原などに好んで生息しています。成虫は花の蜜よりも腐った果実や樹液を吸って餌にしています。餌の種類からも日陰の方が適しているチョウになるようです。低い所を良く飛び回っていますが飛翔力は強くないようです。写真を撮ろうとするとすぐに逃げられてしまう臆病なチョウになります。ジャノメチョウの仲間の翅にある目玉模様は、敵をだますためのもので、顔がどこにあるのか、あるいは大きな目玉を持った大きな生き物と思わせるための作戦なのか、いずれにせよ敵の目をくらませるための手段として使われるようです。地味な灰褐色の地が多いジャノメチョウの仲間もよく見ると目玉模様が可愛くて面白いです。よく似た種類のウラナミジャノメ、コジャノメも写真が撮れたら追加して紹介したいと思っています。ウラナミジャノメは本州では個体数が少なく、限られた場所に生息しているようで見つけるのは難しいかも知れません。コジャノメとヒメジャノメは同じような場所にいることもあるようです。ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメを調べてみました。
★ヒメウラナミジャノメ タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。開帳30〜40ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州。出現期は4〜9月。年2〜3回の発生。北海道では2回の発生になります。昼行性ですが日陰を好むチョウになります。草原や林、人家付近の開けた場所に生息しています。成虫は色々な花の蜜を吸います。幼虫はチヂミザサ、ススキ、ヒメシバ、チガヤなどのイネ科を餌にします。越冬は幼虫で行います。翅の裏には細かいサザ波のように見える波模様が何本も見られます。後翅には普通5個の目玉模様(蛇の目)が見えますが、この紋や形には変異が多く、5個以上あるものもいて8個あるものまでいるそうです。よく似た種類にウラナミジャノメがいます。ウラナミジャノメは本州では数が少なく、分布も局所的になります。ウラナミジャノメの後翅の目玉模様(蛇の目模様の紋)は3個になります。
★ヒメジャノメ タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科。開帳40〜50ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州。出現期は5〜10月。年2〜3回の発生。北海道では2回の発生になります。昼行性で比較的に明るい所が好きな種類になります。林間、林縁や草原に生息しています。成虫は腐った果実、樹液、動物の糞の汁を吸います。幼虫はススキ、チヂミザサ、ジュズダマ、カサスゲ、ヒメスゲなどを餌にします。越冬は幼虫で行います。ヒメジャノメは翅の裏に白い帯と目玉模様があるジャノメチョウで、この白い帯はまっすぐに伸びています。後翅にある大きな目玉模様(蛇の目模様の紋)の上に小さな蛇の目模様の紋が3個あります。この特徴が非常によく似ているコジャノメとの判別方法似なります。ヒメジャノメとコジャノメの違いは、白い帯が直線的で後翅の裏にある小さい紋が3個なのがヒメジャノメ。白い帯が曲がっていて後翅の裏にある小さい紋が4個なのがコジャノメになります。
ヒメウラナミジャノメ裏.jpgヒメウラナミジャノメ表.jpgヒメジャノメ.jpg
1、2枚目。ヒメウラナミジャノメです。翅の外縁に沿って目玉模様が並んでいます。後翅に8個の蛇の目の紋がある個体を探して見たくなります。2枚目、ヒメウラナミジャノメの表です。表側はいたって地味になりますね。3枚目、ヒメジャノメ。白い帯が直線的に見えます。この白い帯の形と小さな紋の数がコジャノメとの区別に役立ちます。比較のためにコジャノメの写真が撮れましたら追加したいです。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿公園。
posted by クラマ at 18:31| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする