★キタキチョウ シロチョウ科。 開帳35〜45ミリ。出現は3〜11月(3〜4月に見られるものは越冬した個体です)。キタキチョウは普通種で発生は年4〜5回。分布は本州(秋田県、岩手県以南)、四国、九州、沖縄。平地から低山地まで広く生息しています。林縁、河原、草原、自然公園など。雄の翅色は雌よりも鮮やかになります。ペアでいた場合、翅の色が鮮やかな方が雄になります。翅裏には小さな黒点が見られます。成虫は様々な花の蜜。幼虫はマメ科のハギ類(ナツハギ、ミヤギノハギ、メドハギ、マルバハギなど)、ハリエンジュ(ニセアカシア)、アカシア、ネムノキの葉を食べます。キタキチョウには夏型と秋型がいます。夏型は翅の外側縁が黒く縁どられています。秋型の翅の色は黄色をしています。時期により夏型と秋型の中間的な中間型もいます。前翅、後翅とも外縁は黒く縁どられていますが、秋型では縁に少し残るかほとんどなくなります。発生する時期により少しづつ黄色い翅の色に違いがあるわけです。キタキチョウ は集団で湿地やどいう物の糞から水分を吸っている所を見ることがあります。飛び方はやや弱く見え、フワフワと飛ぶ感じに見えます。高い所は好まず地面の低い所を飛んでいる所をよく見ます。キタキチョウは低い草や木の葉の裏に止まることが多く、目立つ黄色い翅をしていても見過ごしてしまうことがあります。
越冬は成虫で越冬します。越冬するのは秋型の個体になります。冬でも暖かい日は飛ぶことがあり、時季外れのチョウに驚かされることがあります。キタキチョウの秋型は数が多くなります。恐らく寒冷地では冬を乗り切れないで死んでしまう越冬固体も多いことから、個体数を増やす仕組みが備わっているものと思われます。
キタキチョウによく似たチョウにツマグロキチョウ、モンキチョウがいます。ツマグロキチョウはカワラケツメイ、アレチケツメイの葉を食べます。食草が限られていて、翅の表面の縁には黒色の帯と、後翅には不明瞭な暗褐色、茶褐色の線条(筋)が見えます。秋型では前翅の先端が尖る特徴があります。ツマグロキチョウはキタキチョウよりも小型になります。ツマグロキチョウは残念ながら神奈川県では絶滅してしまいました。全国的にカワラケツメイの減少などにより、激減、または絶滅が進んでいる珍しい種類になっています。キタキチョウとミナミキチョウ(キチョウ)は大変良く似ていて、外見的な判別は難しいです。見分け方は前翅の縁毛の色を見ます。キタキチョウの縁毛の色は黄色をしています。もっとも神奈川県ではキタキチョウしかいないので、判別に苦労することはありません。モンキチョウには翅に丸い紋があることで見分けることができます。他によく似た黄色いチョウに、タイワンキチョウがいます。キタキチョウ、ミナミキチョウと大変良く似ていますが、沖縄(八重山諸島の石垣島と西表島)にいる種類なので神奈川県にはいません。間違える心配は有りません。3種が生息している地域での判別は困難を極めると思います。違いは縁毛に違いが出るようです。キタキチョウの縁毛は黄色。ミナミキチョウの縁毛は褐色をしていますが、タイワンキチョウの縁毛は黒褐色をしているようです。しかし古い個体などでは、毛が取れている場合もあります。野外において肉眼で確認することは実際にはほぼ不可能なことになります。野外での縁毛の確認は難しいので、デジカメ等で撮影して確認する方法が良いと思います。
キタキチョウとミナミキチョウには細菌が共生していることが知られています。
・キタキチョウと体内共生細菌ボルバキア(Wolbachia)の関係。
キタキチョウ、ミナミキチョウには体内共生細菌ボルバキア(Wolbachia)がいます。ボルバキアは雄を雌に性転換させることで子孫を残していきます。雄が感染した場合には雌に性転換してしまう、感染した雄が死んでしまう、単為生殖するという生殖の異常を起こしてしまいます。つまり、性別の決定が知らないうちに体内の最近にコントロールされているのです。ボルバキアは母性遺伝する細菌です。母性遺伝とは精細胞の関与は受けないで卵細胞だけで遺伝する仕組みのことです。母親の(雌性生殖細胞)の遺伝によるものだけの繁殖をしているのです。関東以南のキタキチョウには1種類。種子島、沖縄本島に生息しているキタキチョウには性操作をする2種類のボルバキアが寄生していることから90%が雌化してしまうようです。知らないうちに寄生されているチョウにしてみたら、性別などどうでもよいことなのかも知れませんが、少し気の毒な気がしてきます。チョウに限らづボルバキア(Wolbachia)は他の昆虫にも寄生しているものが多いようです。
モンキチョウも調べてみました。
★モンキチョウ シロチョウ科。開帳40〜50ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。土手、河原、草原、牧草地、畑地、公園などの開けた場所に生息しています。出現は3〜11月。発生は年2〜6回で寒冷地でも2回発生します。モンキチョウの特徴は黒い縁取りの有る白い紋がある。黄色い翅に斑紋の有るチョウです。翅の黄色はキタキチョウのように鮮やかではなく淡い黄色をしています。雄の翅の地色は黄色。雌には黄色と白色の2型があります。非休眠幼虫で越冬します。幼虫の主食はマメ科のシロツメクサ、アカツメクサ。他にミヤコグサ、レンゲ、クサフジなどのマメ科の植物を餌にします。春型と夏型の2タイプがあります。
キタキチョウです。上(1枚目)黄色の色が強く出ています。黒い細かい黒点、黒斑もあるので雄のキタキチョウで良いと思います。撮影地、神奈川県大和市、憩いの森。2枚目、雌のキタキチョウ。後翅の第3翅脈端付近で角度がついて見えます。3枚目、2枚目と同じ個体の翅の縁の拡大です。縁毛が黄色い色をしていることが分かります。この縁毛の色がキタキチョウの特徴になります。撮影地、神奈川県横浜市。4枚目(1番下)の写真の個体では、普通は後翅を見ると後ろ側で尖って見えるのですが、角度が浅く丸みを帯びています。どうやら後翅(第3翅脈端付近で角が出る部分)の角度の浅いタイプがいるようです。この個体はキタキチョウの翅の形の個体変異のようです。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。キタキチョウの雄と雌の違いや、季節型による違いからくる微妙な色の具合が面白いです。同じ黄色でもそれぞれに美しさを感じることができます。・比較のためにもモンキチョウの写真が撮れましたら追加する予定です。

