2018年09月21日

セスジスズメ、コスズメ、ベニスズメ、ホシヒメホウジャク。スズメガ科のガの幼虫は、迫力のある巨大なイモムシです。

スズメガ科の幼虫は大きい体をしたものが多く、色や姿には迫力があり、恐怖すら感じてしまいます。目玉のような模様のある種類も多く、模様の異様さのインパクトは大きく、初めて見ると驚樹のあまりすくんでしまうかも知れません。スズメガ科の幼虫の特徴は、尾端に近い部分には尾角と呼ばれる長い突起があることです。この立派な尾角(長い突起)は見ためから、毒があったり刺されたりしたらどうしようと思ってしまうに違いありません。しかし、この1見危険に見える尾角には毒はありません。この棘や針に見える尾角がスズメガ科の幼虫の特徴になります。スズメガ科の幼虫は、太くて大きくてグロテスクなイモムシ型をしていますが、その異様さと恐ろしさとは異なり、毒を持っていません。体色や斑紋には個体差があり、面白い種類になります。ここで、スズメガ科の幼虫4種類を紹介します。見つけたのは セスジスズメ、コスズメ、ベニスズメ、ホシヒメホウジャクです。セスジスズメ、コスズメ 、ベニスズメ、ホシヒメホウジャクはスズメガ科ホウジャク亜科に属します。セスジスズメは最も普通に見ることができるガで市街地にも多く、幼虫が民家脇の道路の上を歩いている所を見ることも少なくありません。せわしなく尻尾を動かしながら歩く巨大なイモムシです。体側には大きな目玉模様の斑紋(眼状紋)が並んでいて、威圧感と迫力は凄まじいです。正直言って、セスジスズメの幼虫の姿を初めて見るとビビるかも知れませんよ。道路で見かけるのは、食草を離れて繭になるための場所を探しているからのようです。ベニスズメの幼虫もセスジスズメの幼虫の様に眼状紋があり、ヘビに似て見えます。ベニスズメの幼虫も食性が広く普通種なので出会う機会は多いと思います。以前は毛虫、イモムシが大の苦手だったので、写真はスルーして来たのですが、ガの成虫の写真のストックが増えてきたので、幼虫の形や色などにも興味が出てきました。興味が湧いてくると、不思議と苦手意識がなくなってきました。セスジスズメ、コスズメ、ベニスズメ、ホシヒメホウジャクの幼虫には色彩に変異があるので、視覚的に無理でなければ見つけて観察すると面白いと思います。スズメガの仲間の幼虫は、見慣れてくると迫力のある巨大な幼虫の姿と個性的な模様があることから、最初は苦手感があっても怖い物見たさの興味が勝ってくると思います。それぞれ模様などに個性のある幼虫なので、観察すると面白い種類です。どうしてもガの幼虫は苦手だという方はスルーしてください。迫力のある4種類のスズメガの幼虫を紹介します。
★セスジスズメ スズメガ科ホウジャク亜科。普通種。幼虫は大きく体長は80〜85ミリ。セスジスズメの幼虫の特徴は体側にある眼状紋で、この眼状紋(目玉模様)は終齢幼虫で体側に7個あります。セスジスズメの幼虫の最大の特徴は、目玉模様が並んで見えることです。終齢に近づくと、その容姿はヘビにも似て見えます。若齢幼虫では黒い体色に黄色い斑紋が7個並んで見えます。尾部には尾角(長い突起)があり、先端部は白くなっています。幼虫は体色の色彩に変異が多い種類になります。色彩は黒色、褐色、灰褐色、茶褐色などの個体が多く、時に緑色、緑褐色などの色をした幼虫もいるようです。非常に体色に変異の多い種類になります。ズラリと並んでいる大きな眼状紋(目玉模様)の色彩にも変異があり、そのバリエーションは大変面白いです。発生は年2化。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。食草は幅広いので、庭や公園、畑地、草地などで見つけることができます。民家付近でも多く見ることができる普通種なので、見る機会の多い種類になります。幼虫はサトイモ、コンニャク、サツマイモなどの農作物も餌にするので、害虫として嫌われています。セスジスズメの幼虫が発生すると、成長速度が速いうえ、大食漢なので食害が酷く被害も大きくなります。ホウセンカ、カラーにも発生するので、花壇など庭で被害にあうこともあります。野外ではヤブガラシに多く発生しています。他にノブドウ、エビズルにも多く発生します。このように幼虫はかなりの広食性になります。セスジスズメの幼虫の形と眼状紋により、その姿がヘビに似て見えることが特徴で、この模様は天敵の鳥から身を守っている擬態のようです。セスジスズメの幼虫は、体側にもズラリと並んだ大きな眼状紋(目玉模様)があることも特徴です。これは身を守るための手段になっていて、最大限、鳥が目玉模様を嫌う習性を利用したことによると思われます。人間が見てもドッキリしてしまう迫力のある模様は、鳥に対して効果てきめんだと思います。成虫はコスズメと似ています。
セスジスズメ若齢期.JPGセスジスズメ終齢2.JPGセスジスズメ終齢1.JPGセスジスズメ3.JPG
セスジスズメの幼虫です。とても太いイモムシ型の幼虫です。色彩に変異があって面白いです。セスジスズメは個体数が多く、幼虫を見る機会が多い種類です。主にヤブガラシにいることが多いです。上、まだ若い幼虫は地色が黒く、黄色い丸い斑紋が7個並んで見えます。小さくても不気味に見えます。まだ斑紋は目玉の様には見えていまえん。2枚目、3枚目、4枚目(下)、終齢のセスジスズメの幼虫です。同じ種類のセスジスズメであっても色彩に変異があって面白いです。眼状紋にも個体差があります。個体差を見比べると実に面白い種類です。1番下の首を縮めている幼虫は、ヘビにも似て見えます。鳥などが見たらヘビそのものに見えてしまうのかもしれませんね。見慣れない人やイモムシ等が嫌いな人には、トラウマになりそうな迫力がある幼虫です。食性も広く個体数が多いので、終齢幼虫が道路などを這っている所を街中でも見ることがあり、個体数が多いことが分かります。
★ベニスズメ スズメガ科ホウジャク亜科。終齢幼虫は体長75〜80ミリ。ベニスズメは食性が広く数も多い普通種です。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地まで広く分布しています。広葉樹林の林縁に多い種類です。アカバナ科(オオマツヨイグサ、メマツヨイグサ、ツキミソウ、ヤナギラン等)、ツリフネソウ科(ツリフネソウ、ホウセンカ、インパチエンス等)、ミソハギ科(ミソハギ、エゾミソハギ)の他、幼虫はブドウ科(ブドウ)、マメ科(シロツメクサ)の植物も餌にするようです。成虫は夜行性で灯火にも集まります。幼虫の前部胸背には眼状紋(目の様に見える斑紋)があります。鳥が目のような模様を怖がることやヘビの頭部に似て見えることからから、この模様は鳥等の他の天敵からから身を守るための手段になっています。人間もは初めてベニスズメの幼虫を見たり、突然その姿を見たら、思わずのけぞると思います。ベニスズメの幼虫の特徴は、4個ある眼状紋です。幼虫の体色には緑色型と褐色型の2タイプがあります。成虫は年2回の発生(4〜5月、8〜9月)で、体には目立つ薄紅色と黄褐色をした美しいスズメガです。成虫は主に樹液を吸います。土中で蛹で越冬するようです。鳥にもベニスズメという名前の種類がいて、ちょっと紛らわしいです。
ベニスズメ1.JPGベニスズメ2.JPGベニスズメ尾角.JPG
上、ベニスズメの幼虫(褐色型)です。メマツヨイグサにいた幼虫です。体長5センチ程の幼虫です。これが終齢になると迫力は倍増します。この褐色型の幼虫の方がよりヘビに似て見えて迫力があります。中、前面から見た所です。下、ベニスズメの幼虫の尾角は白い色をしています。やや先端がかぎ状に曲がっています。普通種ですが、縁が無く迫力満点のヘビに似て見える終齢幼虫の写真は持っていません。見つけた場所のメマツヨイグサ群落の半分は刈り取られましたが、探しに行って終齢幼虫の写真を撮りたいです。緑色型の幼虫も見つけたら追加したいです。この色の違いの緑色型の場合は、葉などに身を紛らわすカモフラージュなのでしょう。2つの方法で天敵から身を守る生存方法をとっているものと思われます。写真は同1個体です。
★コスズメ スズメガ科ホウジャク科。 普通種。幼虫は大きく体長は75〜80ミリ。コスズメの幼虫の特徴として、眼状紋(目玉模様)は体側に3個あります。幼虫の色彩には緑色型、褐色型がいます。赤褐色をした幼虫もいます。コスズメの幼虫は幼齢期は緑色型ですが、終齢に近くなると体色に変化のでる個体が出る種類になります。コスズメの尾角は赤褐色をしています。発生は年1化。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地の林縁や草原、自然公園などに生息しています。食草はブドウ、ノブドウ、エビズル、ヤブガラシ、ツタ、オオマツヨイグサなどで、コスズメの幼虫も食性が広いです。成虫はセスジスズメと似ています。
コスズメ(スズメガ科).JPG
上、コスズメの幼虫です。民家の石壁にいました。コスズメの尾角は体の割に大きいです。
★ホシヒメホウジャク スズメガ科ホウジャク亜科。幼虫の体長は45〜55ミリ。若齢幼虫は鉱物のエンジェライトに似た色や淡い水色をしています。ホシヒメホウジャクの幼虫は面白いことに成長して行くと緑色型、緑色無紋型、紫色型、橙色型など幼虫の色彩は異なっていきます。色彩のタイプは大きくこの4タイプに分けられていますが、さらにそれらの中間的な色合いに見える個体もいるなど、色彩には個体変異が大きい種類になります。幼虫はヘクソカズラの葉を食べます。ホシヒメホウジャクの幼虫の頭部は極めて小さく、尾角がないとどちらが頭なのかな?と迷ってしまいそうなイモムシ型をしています。幼虫の色合いも変わっていますが、ホシヒメホウジャクの成虫も翅が縮れて見える変わった形をしているガです。年2化。分布は北海道、本州、四国、九州。雑草のヘクソカズラに寄生するので、成虫を見つけるよりも幼虫を見つけることは簡単です。翅に特徴のあるホシヒメホウジャクの成虫は、飛んでいると他の似た種類と区別がつきません。
スズメガ科ホシヒメホウジャク幼虫.JPGスズメガ科ホシヒメホウジャク幼虫緑型.JPGスズメガ科ホシヒメホウジャク緑型2.JPG
上3枚はホシヒメホウジャクの幼虫です。このように色彩に変異があって、この種も面白いです。
見慣れてくるとスズメガ科の幼虫達は、個体差と見た目の不気味さが魅力になってきます。毒を持たないのでかぶれることもありませんし、尾端にある棘状の突起(尾角)で刺されることもありません。見た目の迫力よりは大人しい昆虫と言うことが言えます。
posted by クラマ at 14:12| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月12日

毒のある毛虫(ガの幼虫)7種類。ドクガ科(カシワマイマイ、モンシロドクガ、ヒメシロモンドクガ)、カレハガ科(タケカレハ)、イラガ科(ヒロヘリアオイラガ)、マダラガ科(ホタルガ)、ヒトリガ科(ヨツボシホソバもしくはウンナンヨツボシホソバ)の幼虫を見つけました。皮膚炎を起こす刺されたら危険なケムシ達です。毒の無いスジモンヒトリ、クワゴマダラヒトリ(ヒトリガ科)も見つけました。

1般的には毒を持っているガをドクガと総称的に呼んでいます。毒を持っている種類のガには通称ケムシと呼ばれる長い毛が生えているものや、イモムシのような体に刺の生えている種類、体内に毒がある種類、成虫(ガ)に毒がある種類 などがいます。毒のある部位は毛や刺に多く、危険回避には全身に毛や棘を生やしたイモムシ、ケムシには触らないようにすることです。幼虫などに毛や刺があることが、毒を持っている種類に多い特徴になるからです。毒のある部位は種類によって違っています。幼虫の毛の先や刺、成虫の毒毛など種類によって違ってきます。毒性の強い種類もいるので、かぶれたり、腫れたりなど、ひどい目にあう前に知っていた方が得だと言えます。もちろん、庭仕事などでうっかり触ってしまったり、風で飛んできた毒毛(毒針毛と呼びます)にやられることもあります。毒性の弱い種類でも、人によって症状が悪化することも知られています。かぶれて痒いのも痛いのも避けられるものなら避けたいものです。撮影できた、刺されたら皮膚炎などを起こす危険なガの幼虫8種類を紹介します。ケムシ、イモムシの画像になるので、ケムシやイモムシ類が苦手な人でも、危険を避けると言う意味で、参考にして見ていただけると良いと思っています。
ドクガによって起こる皮膚の炎症や腫れは、毒蛾皮膚炎と呼ばれます。毒性が強いドクガにはチャドクガ、モンシロドクガが有名です。ドクガ類には毒のある毛(毒針毛)があって、皮膚に刺さると10日近くも激しい痒みが続くこともあります。腫れた場所には赤く小さなブツブツ(丘疹)ができて痒みが強い特徴があります。チャドクガの毒は最悪で、洗濯しても毒毛が服に残っていて、他の場所に新たな皮膚炎を起こすこともあります。危険な昆虫なので知っていた方が良いです。当方は年1〜2回ほど、服に隠れている部位でチャドクガが原因と思われる症状を発症しています。野外で観察していて服に毒毛が刺さっている状態で洗濯したものが肌着について皮膚炎が起こっているようです。1か月程も続く激しい痒みには毎年悩まされているので、直接の被害など考えたくもありません。毒性の弱い種類でも10日程は炎症に悩まされてしまいます。被害にあわないことが何よりです。毒蛾(ドクガ)と単に呼ぶ場合はドクガ科の総称として呼ばれることが多く、症状は、ドクガ科やカレハガ科などの毒針毛による毒の場合は皮膚の痒みが主な症状になり、イラガ科の場合は激しい痛みが症状になります。ヒトリガ科のヨツボシホソバとウンナンヨツボシホソバは交接器を確認しないと外見上では判別できない種類で、従来ヨツボシホソバと呼ばれていた種類が2種に分かれました。
幼虫がいかにも危険に見えるケムクジャラな幼虫、スジモンヒトリ(ヒトリガ科)は見た目と違って無毒なケムシです。必ずしもトゲトゲ、ケムクジャラの幼虫が毒を持っているという訳ではありません。ドクガ科のキアシドクガと言うガも成虫、幼虫共に毒はありません。実際には毒のある種類はそんなに多くはいません。スジモンヒトリの幼虫の様に毛で覆われていたり、棘がある種類がすべて毒を持っているのではないのです。ただ危険な種類と判別ができない場合は、決して触らないことが良いと思います。毒がないと言われる種類でも、体質により皮膚炎を起こすことがあるからです。幼虫に毒がありそうで毒の無いスジモンヒトリも紹介します。スジモンヒトリは当ブログ「キハラゴマダラヒトリ、アカハラゴマダラヒトリ、スジモンヒトリ。大変よく似たで白い翅に黒斑のあるガです。」で紹介しているので、似た成虫との比較の参考にしてみてください。
新しく危険なケムシ(毒のあるガの幼虫)の写真が取れたら追加していく予定です。
・ドクガ科。名前からして危険な種類ですね。ドクガ科はその名の通り、成虫、幼虫共に毒を持った種類がいます。ドクガ科の幼虫は、長い毛を持つ毛虫(ケムシ)が多い特徴があります。ドクガ科としては、幼虫が毒々しく見えても毒を持たない種類が多いです。
★カシワマイマイ ドクガ科。年1回の発生。成虫の出現期は7〜8月で成虫には色彩や斑紋の変異が多い。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。幼虫は様々な広葉樹の葉を食べます。幼虫の頭部と尾部に長い棘のように見えるものがありますが、これは毛の束でできています。この毛の様子が、カシワマイマイの幼虫の特徴になっています。毛束は前(頭部側)に1対(2本)、後ろ(尾部)に3対(6本)が長く飛び出て見えています。越冬は卵で越冬します。幼虫は若齢から若い幼虫はオレンジ色が見えますが、終齢になると地味な灰褐色や灰色になっていきます。体色には個体差があり、雰囲気の違う幼虫も多いです。かぶれたり、腫れたりする原因になる毛に毒があるのはマイマイガ同様、孵化したての1齢幼虫で2齢幼虫からは毒針毛はありません。成虫にも毒はありませんが、皮膚の弱い人ではかぶれたり腫れることがあるかも知れません。毒性は幼虫の見た目よりもはるかに弱く、ドクガ科としては危険度は少ない種類です。カシワマイマイも同じドクガ科のマイマイガと同様に大発生することがあるようです。
カシワマイマイ幼虫ドクガ科.JPG
上、カシワマイマイの幼虫です。尾部の毛束が見えにくくなっています。この写真のよう尾部の毛束が3対に見えないこともあります。幼虫はケムクジャラで見るからに危険そうな容姿をしていますが、見た目よりは危険度は低い種類です。若齢幼虫(1齢)には毒針毛があり、皮膚の弱い方など、人により痒みや腫れたりかぶれたりすることがあります。この写真の幼虫は4齢の幼虫だと思います。
★モンシロドクガ ドクガ科。別名クワノキケムシ。幼虫には2つの型があり、色彩により、黒色型と黄色型に分けられます。餌として食べる樹種により体色に違いが出るようです。発生は年2〜3回で越冬は幼虫で越冬します。毒は繭、卵、幼虫、成虫すべてにある危険な種類です。分布は北海道、本州、四国、九州。神奈川県では黒に橙黄色が目立つ配色(黒色型)の幼虫を見ます。黄色型は関西以南に多くいて、地色が黄色で黒い部分が少ない目立つ配色になっているようです。
落葉広葉樹の葉、花、幼果を食害します。サクラ、ウメ、クリなどの被害が出ます。ヤナギ類やカンバ類に多く発生するようです。成虫は白い色をしていてアメリカシロヒトリに似ていますが、モンシロドクガの胸部や脚には長い毛が密生しています。成虫には黒い斑紋が2個ありますが、個体差により斑紋が無い事もあります。モンシロドクガは危険なドクガです。症状は赤くかぶれて、痒みを伴う腫れがあります。すぐに赤く腫れてくる場合や2日程立ってから腫れてくる場合など、人によって症状や現れ方は違ってきます。ドクガ類の典型的な症状がでます。毒針毛の毒性は強く、ひどい痒みの症状が10日程続くこともあります。
モンシロドクガ幼虫.JPG
上、モンシロドクガの幼虫です。関東にいるモンシロドクガの幼虫はこのように、黒地に橙黄色や橙色の色彩が多いです。北方に行くと体色が黒く見える黒色型になるようです。
★ヒメシロモンドクガ ドクガ科。 別名ツノケムシ。発生は年3回。幼虫は派手な色彩をしていて、黒い体に橙色や黄色の帯が両脇にあります。幼虫の色彩には個体差が多くあります。幼虫は独特な姿をしていて、毛束が角に見えたりと不気味な毒々しいケムシです。北海道では年2回の発生をします。越冬は1〜2齢幼虫と卵で越冬します。分布は北海道、本州、四国、九州。様々な広葉樹の葉を餌にします。幼虫には毒針毛はありませんが、触ると軽い皮膚炎をおこします。毒性は弱いものの皮膚が弱い人は、赤くなるなどのかぶれが出ますが、1時間程で収まるようです。橙色や黄色と黒の配色をしたガですが、幼虫の色彩には個体変異がありますが、ヒメシロモンドクガの幼虫は綺麗な配色をしています。目立つ色をした警戒色になっているようです。頭部におは2本の角のように見える毛束が生えていて、背面にはブラシ上の毛束が4個並んでいます。この毛束の色は白いのですが、終齢になると茶色を帯びてくるものがあります。毒性は極めて弱い種類でも、少し奇妙な姿のケムシなので触ろうと思われる人は少ないと思います。成虫は雄と雌で色が違います。雌は白っぽいです。顔の周りと胸部、脚は長い毛でフサフサしていて可愛く見えるガです。成虫、幼虫ともに毛深いガです。ヒメシロモンドクガの幼虫に似ている種類に、アカモンドクガの幼虫がいます。アカモンドクガの幼虫の橙色の帯の上には白い毛束があることで両種の区別ができるそうです。
ヒメシロモンドクガ.JPGヒメシロモンドクガ2.JPG
モンシロドクガの幼虫です。体色には色彩の変異が多いです。いかにも危険な容姿をしていますが毒針毛はなく、刺さないケムシなのですが、弱毒があるようで軽い発疹やかぶれが起こります。上は黒っぽい地色をしていて、背中の毛束も黒っぽく見えます。下はよく見る配色の幼虫です。もっと派手な配色をした幼虫もいます。モンシロドクガの幼虫は色よりも姿形で覚えておくと良いと思います。
・ドクガ科のマイマイガとヒトリガ科のクワゴマダラヒトリの幼虫は良く似ています。クワゴマダラヒトリは下のヒトリガ科で紹介していますが、マイマイガの幼虫と良く似ています。良く似た種類の違いとして調べてみました。写真はないのですが記しておきます。
★マイマイガ ドクガ科。マイマイガの幼虫は別名ブランコケムシと呼ばれます。マイマイガは大発生することで知られています。マイマイガは約10年を周期に大発生して、その大発生の時期は2〜3年程続きます。成虫、幼虫共に皮膚炎の原因になっています。特に幼虫での被害が知られています。毒針毛があるのは孵化したての1齢幼虫で2齢幼虫からは毒針毛はありません。ドクガとしては毒性が弱いものの、人により成虫でもかぶれることがあります。樹の幹や建物の壁などに好んで産み付けられる卵塊も危険です。手で触らないことが無難です。産み付けられた卵塊には成虫の鱗毛が含まれていてかぶれることがあります。症状はかぶれる、赤く腫れるなどです。成虫の鱗粉でも腫れる人がいます。幼虫は様々な広葉樹の葉を食べます。発生は年1回で、卵塊の中で卵で越冬します。孵化は4月頃で、このころが1番危険な時期になります。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。幼虫の背中には2列に並ぶ丸い斑紋があります。斑紋の色や地色には個体差があります。頭部には八の字に見える黒い斑紋があります。成虫の羽化は7〜8月で雄は日中に良く飛ぶ習性があります。幼虫の写真なし。
・イラガ科。刺された時の症状はどの種でも似ていますが、ヒロヘリアオイラガの場合は繭にも毒があります。他のイラガの仲間の繭には毒がありません。イラガ類は刺のあるタイプの幼虫で、刺されるととても痛く、電気が走ったような痛みと表現される特徴がある危険な種類です。
★ヒロヘリアオイラガ イラガ科。外来種。原産地は南アジア、東南アジア、中国で樹木について侵入したようです。侵入は1921年(発見)のようです。成虫は明るい緑色と茶色の2色をした綺麗なガです。 発生は年2回(4〜6月、8〜10月)。越冬は硬い繭の中で蛹で越冬します。分布は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄。温暖化により分布は北上中です。果樹農園、街路樹、庭木、公園などに発生します。幼虫は様々な樹木やカキ(カキノキ科)やウメ(バラ科)などの果樹にも発生する害虫にもなっています。発生は特にバラ科(バラ、サクラ、ナシ、ウメ等)に多い種類になるようです。幼虫は黄緑色をしていて、全身には鋭い棘が密生しています。若い幼虫は集団(群生)で行動します。終齢幼虫の棘にオレンジ色の部分が見えます。この1対に見えるオレンジ色の棘を持っていることが特徴にもなっています。似た種類にアオイラガがいて、アオイラガに幼虫も成虫も良く似ています。幼虫ではアオイラガの方が背中の中央に見える青い帯が鮮やかではっきりしています。ヒロヘリアオイラガの幼虫ではこの帯の部分は青色が無く、あってもアオイラガの幼虫の様にはっきりとした青い帯になっていないで、青や黒っぽい小さな斑紋が並んで見えます。成虫ではアオイラガの方が緑色の部分が広く茶色の部分は幅が狭いです。ヒロヘリアオイラガの成虫は翅端にある茶色の部分が広いです。ヒロヘリアオイラガの繭は黄の幹の窪みや根際などに作られます。イラガ類に刺されると電気が走ったような激痛があり、腫れてしまうことが特徴です。幼虫の持つ毒は背面に並んでいる刺にあり、毒は注射器のような仕組みで注入される仕組みになっています。尾部の脇に見える黒い部分は毒針毛で、この部位にも毒があります。ヒロヘリアオイラガの成虫には毒毛はないのですが、繭には幼虫の毒針(毒針毛)がついていて、皮膚炎を起こします。繭にも触らないようにしないといけません。ヒロヘリアオイラガの幼虫は他のイラガ類と違い、2種類の毒を持った危険種になるのです。死んだ幼虫では毒液の注入はありません。
ヒロヘリアオイラガ4齢.JPGヒロヘリアオイラガ終齢幼虫イラガ科.JPG
ヒロヘリアオイラガの幼虫です。上は4齢、ヒタが終齢幼虫です。比べて見ると棘の雰囲気が違っています。下はカキの木の下にあった石垣で見つけました。風の強かった翌日に見つけたので、葉っぱごと落ちたのかも知れません。終齢幼虫は全身が緑色で、見事な棘で覆われています。イラガ類の幼虫はどの種も危険なので、似た形の幼虫を見たら注意です。
・カレハガ科。この仲間はオビカレハ以外の幼虫に毒針毛があり毒をもっています。カレハガ科の幼虫は危険なケムシになります。
★タケカレハ カレハガ科。成虫はアカイラガに似ていますが、はるかに大型です。前翅中央に2個の白い斑紋があります。タケカレハの幼虫は名前に付いているようにイネ科のタケ、ササ、ススキ等の葉を餌にします。成虫はあまり見ることがありませんが、幼虫は体長60ミリ程で大きく、普通に見られるので数は多いと思います。幼虫には長い毛が全身に生えています。色彩には黄褐色、褐色、黄色味の強い個体、色彩の混ざって見える場合や、背面に並んでいる斑紋の色にも個体差があり、黒褐色の斑紋が目立つ個体など様々で、多くの個体差があることから色での判別は難しくなります。発生は6〜7月。9〜10月の年2回で、越冬は幼虫で越冬します。分布は北海道、本州、四国、九州。幼虫には多数の毒針毛があり、刺さってしまうと掻いたりした場合、より強い痒みを生じるようです。症状は発赤と小丘疹を起こし、激しい痒みを伴います。繭にも毒針毛が含まれています。症状は5〜10日程続きます。当方、毒針毛に触れてから2時間後位から腫れてきて、発赤部が徐々に広がっていきました。赤く腫れて痒みが強い症状が10日程続きました。刺されてすぐに水道で刺激しないように静かに洗い流して、家に帰ってからテープで刺された場所の近くをはってはがすなどしました。この方法で少しは楽になったのではないのかと思っています(薬は使用しました)。タケカレハの成虫には毒毛はありません。
カレハガ科タケカレハ.JPG
上はタケカレハの幼虫です。幼虫の色彩には変異が多いので、この写真1枚ではあまり参考にならないかも知れません。見た目で危険なガの幼虫として覚えておくと良いと思います。
・マダラガ科。マダラガ科の幼虫は太くて短い形をしていて、軟毛が生えています。毒針毛のある種類と体内(体液)に毒を持った種類がいます。毒針毛のある種類では激しいい痛みと痒みを伴うようです。
★ホタルガ マダラガ科。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。年2回の発生。幼虫の毛には毒がありませんが、幼虫の出す分泌物に毒があり、皮膚炎をおこします。軽い発赤と痒みが2日程続きます。ホタルガは当ブログ「ホタルガ、毒がある赤い顔の蛾です。」でも紹介しています。ホタルガは都市部のツバキ科のヒサカキやサカキなどの植え込みなどにも多いガなので、見る機会は多いと思います。ホタルガの幼虫はツヤのある太くて短いカマボコ型をしていて、黄色いラインが目立っています。ホタルガは昼行性ですが、夜間、灯火にも集まります。飛び方が特徴的でヒラヒラと飛びます。成虫の翅には黒地に白い帯が入っています。良く似た種類にシロシタホタルガがいます。
ホタルガ幼虫.JPG
上、ホタルガの幼虫です。幼虫の出す分泌物に毒があるので、触らなければ大丈夫です。ホタルガの幼虫は個性的なズングリとしたカマボコ型をしています。幼虫の不思議な色合いが魅力的です。
・ヒトリガ科。この仲間の1部の種類にも毒を持った幼虫がいます。
★ヨツボシホソバ ヒトリガ科コケガ亜科。ヨツボシホソバの雌の前翅には4個の黒斑があることが名前の由来になっています。翅を閉じていると黒斑は3個に見えます。姿は扁平でゴキブリを思わせる形をしています。発生は年2回。現在ではヨツボシホソバは2種類(ヨツボシホソバとウンナンヨツボシホソバ)に分けられたようです。ヨツボシホソバとウンナンヨツボシホソバの成虫、幼虫は大変良く似ていて判別は難しく、正確な判別は交接器を見ないと分からないそうです。幼虫は体長30ミリ程です。長い毛が生えていて全体的な色合いは灰褐色に見えますが、黒色、白、赤橙色が混ざっています。幼虫には毒針毛があります。餌は樹皮などに生えた地衣類を食べます。成虫の雄と雌では別種化と思う位に違って見えます。マエグロホソバにも良く似ていて、違いは翅脈を比べて調べないと判別が難しい厄介な種類になります。分布は北海道、本州、四国、九州、屋久島。関東地方ではウンナンヨツボシホソバの方が多いそうです。幼虫の毒針毛による皮膚炎の症状は、激しい痛みと痒みを伴う発赤と丘疹で、症状が7〜10日程続くそうです。
ヨツボシホソバ幼虫(ヒトリガ科).JPG
上、ヨツボシホソバかウンナンヨツボシホソバの幼虫。関東地方にはウンナンヨツボシホソバが多いそうなので、ウンナンヨツボシホソバの方が確率が高いのかも知れません。外見では判別不可能な種類になります。どちらにせよ、皮膚炎を起こすガの幼虫として注意した方が良いです。等ブログでは交接器までは調べないので、ヨツボシホソバかウンナンヨツボシホソバのどちらかと言うことで紹介させていいただきます。
・ヒトリガ科のスジモンヒトリの幼虫とクワゴマダラヒトリの幼虫は、長い毛を密生させていて、見るからに皮膚炎を起こしそうに見える種類なのですが、なんと無毒の種類になります。紛らわしい種類になると思いますので紹介することにしました。
★クワゴマダラヒトリ ヒトリガ科。柑橘類、クリ、カキ、モモ、ナシ、ウメ、クワなどの果樹園で発生する果樹を食害する害虫になっています。名前はクワでの発生が多いことからついた名前のようです。この他幅広い広葉樹で発生します。幼虫は糸を張り、3齢までは集団で行動しています。4齢になると徐々に単独で行動するようになります。発生は年1回で、越冬は幼虫で越冬します。分布は北海道、本州、四国、九州、屋久島。毒性はないものの似た幼虫に毒のあるマイマイガがいます。最も毒があるマイマイガも1齢幼虫に毒があるので、危険度は低いです。
クワゴマダラヒトリ終齢(5齢).JPG
上、クワゴマダラヒトリ(ヒトリガ科)の幼虫で5齢幼虫です。マイマイガの幼虫と良く似ています。違いはクワゴマダラヒトリの幼虫の場合、背中の中央部に白い斑紋が破線状に続いていて、各節には茶色や茶褐色の紋があります。写真の幼虫はコナラの葉にいましたがすぐ脇にクワの樹が生えていました。もっとも食性は広くコナラも餌にします。いかにも危険なケムシに見えますが、毒はありません。
★スジモンヒトリ ヒトリガ科。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。普通種で出現は4〜6月。7〜9月の年2回の発生。越冬はヒトリガ科なので幼虫で越冬するようです。開帳は35〜45ミリで淡い黄色や白い地色に前翅後端に黒い斑紋が並んでいます。この斑紋の形等には個体変異があります。胸背にはフサフサ、モコモコの毛がたくさん生えています。亜種の多いガです。成虫には似たガが多く判別は難しいです。成虫は灯火に良く飛来します。幼虫の食性は広くクワ科を主に、ニレ科、バラ科、マメ科などを餌にします。幼虫はダイズ、インゲンマメの害虫になっています。幼虫の姿は太くてケムクジャラ。体長は40〜50ミリ程もあります。特徴は驚くほど移動速度が速い(脚の早い)ケムシです。地面にいる幼虫は危険を感じると猛ダッシュで逃げ出します。樹の小枝などでつつくと丸まって動かなくなります。幼虫の擬死なのでしょうか。トゲトゲした丸い形になってしまいます。スジモンヒトリの幼虫は体色に変異が多く、茶色や茶褐色、黒褐色の個体が多いのですが、黄色っぽい個体までいます。スジモンヒトリの幼虫は、いかにもケムシと言った代表的な姿をしていて、実に毒々しく危険に見えます。意外なことに姿に反して毒毛は持っていませんので、刺されることはありません。危険な種類に思わせる生存方法なのだと思います。この姿を見て触ろうとしたり、鳥等が危険な種類と思いこみ、食べようとは思わないでしょう。
ヒトリガ科スジモンヒトリ.JPG
上、スジモンヒトリの幼虫です。全身長い毛で覆われていて、迫力のあるいかにも毒のあるケムシに見えますが、スジモンヒトリの幼虫は毒が無いケムシです。普通はこの姿を見たら触る気にはならないと思います。ケムシ1般に言えることですが、興味があっても毒のある似た種類もいることから、判別ができない限り触らない方が無難です。個体差があるので、色が似ている個体のスジモンヒトリの幼虫と、シロヒトリの幼虫はよく似ていて区別が難しいです。
毒性の強いチャドクガの幼虫などの写真が撮れたら追加したいと思っています。
posted by クラマ at 16:57| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月11日

クロメンガタスズメ。ドクロガの別名を持つドクロに見える模様のあるガです。

クロメンガタスズメを初めて見つけました。名前の由来は胸背に見えるドクロや人面に見える斑紋を「面型」となぞらえてついた名前になるようです。このドクロや人面にも見える斑紋があることから、髑髏蛾の別名も持っています。このドクロのように見えるスズメガ科のメンガタスズメ属は3種類いて、うち2種類は日本に生息しています。見つけたのは灯火に飛来したもので、日付は6月6日。発見したのはクロメンガタスズメの方です。このガの容姿はアブラゼミに似て見えるので、いくら何でもアブラゼミの発生には早すぎると思い近づいてみると、胸背部分にドクロに似た斑紋が見えました。大きいうえにドクロや人面に見える斑紋があるガは、日本にはメンガタスズメとクロメンガタスズメの2種類がいます。ヨーロッパにはヨーロッパメンガタスズメと言うのがいます。この3種はどれも良く似ています。1度も見たことが無かったガなので見たかった種類になります。日本にいるメンガタスズメとクロメンガタスズメは非常に良く似た種類なので、ちょっと見ただけでは分かりません。しかしすごい迫力です。大きさとドクロや人面のように見える斑紋のインパクトは強いです。映画「羊たちの沈黙」を見てから、見て見たいなと思っていたガです。もちろん、映画に出ていたガは日本産ではなく、ヨーロッパ産のヨーロッパメンガタスズメになります。映画のポスターのガの背面に見えるドクロに見える白い斑紋の部分は、映画用に加工してあって不気味さを増しています。実際に見て見ると、日本産もなかなかのものです。黒く見える体色にドクロ模様、大きさも迫力のあるスズメガ科の大型のガです。クロメンガタスズメはもとは南方系のガで、本来九州以南に生息していた種類なのですが、温暖化に伴い北上してきた種類です。千葉県や神奈川県での発見例があり、やっと見ることができたガになります。個体数は少なく、大発生の事例は無いようです。ただし、幼虫は120ミリに達する大型になることから、1匹でも餌として食べる量が多い大食漢なので、野菜などに発生すると被害がでるようです。このクロメンガタスズメの幼虫は食性が広く、かなりの種類の植物を餌として繁殖することができます。さらに飛翔力もスズメガ科のガなので、その飛翔能力も高いようです。それゆえ繁殖した地域からさらに移動して行くことが考えられます。数は少ない種類なのですが、現在では福島県や新潟県でも確認されています。この確認された個体が本州北部にも達しようとしていることは、食性(餌とする植物)の広さと飛翔性の高さ(移動距離)、温暖化に伴う繁殖可能な地域が広がっていると言う事からなのでしょう。個体数が少ない種類ながら、今後は目にすることが多くなる種類になっていきそうです。クロメンガタスズメの幼虫が餌とする種類は、ナス科、マメ科、ゴマ科、アサ科、キク科、モクセイ科など幅広く食べるようです。ナス、ピーマン、トマト、ジャガイモ、ゴマ、タバコなど農業に被害を与える害虫としても知られてきています。ノウゼンカツラ、ヒマワリ、キダチチョウセンアサガオ(エンゼル・トランペット)、チョウセンアサガオ(ダチュラ)など花壇等の園芸植物も被害にあいます。チョウセンアサガオだけではなく、キダチチョウセンアサガオも「エンゼル・トランペット」と呼ばれるナス科の強毒を持つ毒草としても有名ですが、クロメンガタスズメの幼虫には毒が効かないようです。害虫としては幼虫だけでなく成虫は餌として、養蜂場のミツバチの蜂蜜を盗むことも知られています。クロメンガタスズメは神奈川県にも生息している種類なのですが、こちらは見たことがありません。比較して見て見たい種類です。両種の違いは分かりにくく調べてみたら、ドクロに見える斑紋の部分と後翅の斑紋、腹部背面に出るようです。後翅の斑紋と腹部背面を調べるには捕獲して見ないと難しいです。胸部背面の模様では個体差が出ることから不確実になるので、見慣れている方は別としても正確な判別は難しいです。ヨーロッパメンガタスズメは不幸を呼ぶガとして、不吉なガとして嫌われているようですが、日本では話題になっていませんでした。これからは成虫の容姿よりも、幼虫の太くて巨大なイモムシを見る機会が増えることで、有名になるかも知れません。映画を見た人も、映画「羊たちの沈黙」の中で、口の中に突っ込んであった奴と言うと、トラウマになっていて見たくないという人もいるかもしれません。成虫、幼虫共にインパクトの強い昆虫です。
ドクロガの別名を持つ、ドクロやお化けのような顔に見える不気味な斑紋が特徴的なガ、クロメンガタスズメを調べてみました。
判別方として良く似たクロメンガタスズメとメンガタスズメの外見上の違いを比較してみました。
・クロメンガタスズメ ドクロに見える斑紋の下方に赤くW字に見える斑紋があり、この赤い斑紋(細い筋状になっています)の下には青白い筋状の紋があります。腹部背面の縦長の青く見る部分(藍色)が広くなっています。黒い帯はメンガタスズメよりも太くなっています。前翅の先端部は明るい色をしています。クロメンガタスズメでは後翅の2本の黒条が発達しています。後翅後面は橙黄色の地色をしています。ドクロに見える斑紋は灰色を帯びていることが多いようです。
・メンガタスズメ ドクロに見える斑紋の下方に赤くW字に見える斑紋がありません。薄い黄色に見える部分の下に青白い筋状の紋があります。腹部背面の縦長の青く見る部分(藍色)が狭く(細く)なっています。後翅の2本の黒条の幅は狭くなっています。
幼虫はどちらの種類も色に個体差があり、緑色型、褐色型、黄色型の色彩の変異があります。色での判別はできません。幼虫の違いはお尻の先にある突起(尻角)を見比べます。
・クロメンガタスズメの幼虫の尾部のある突起(尻角)の先端は強く丸まっています。 尻角全体に棘状突起が生えているそうです。
・メンガタスズメの幼虫の尾部のある突起(尻角)の先端は緩やかに曲がっているそうです。
★クロメンガタスズメ スズメガ科。開帳100〜125ミリ。大きくてがっしりとしています。翅をたたんでとまっていると色からしてもアブラゼミに似て見える容姿をしています。翅の面積があるので、大きさはアブラゼミよりもはるかに大きいです。複眼が大きなガです。出現は6〜11月。年1化と思われます。幼虫は8月まで被害を与える害虫になります。特徴的なドクロや人面に見える部分には個体差が現れるようです。分布は本州(関東地方では繁殖しています)、四国、九州、沖縄。元は九州以南にいた種類ですが、飛翔性の高さと温暖化に伴い、現在北上している種類になります。北方での確認は遠い距離を飛翔した個体もいることが考えられます。幼虫はナス科の植物を好む様ですが、食性は広食性でノウゼンカツラ(ノウゼンカツラ科)、ヒマワリ(キク科)、チョウセンアサガオ(ナス科)などの花を楽しむ植物の他、ナス科のナス、ピーマン、トマト、ミニトマト、ジャガイモ、タバコ等やゴマ科のゴマなどの農作物やクコ(ナス科)、クワ(クワ科)、キリ(キリ科)等の樹の葉も餌にするようです。毒性の強い植物も餌にするほど丈夫なようです。幼虫は同じスズメガ科の幼虫と非常に良く似ていますが、尻尾に見える突起(尾角)の先端は丸まっています。体の色には 緑色型、褐色型、黄色型の色彩の変異があることから、 尾角を確認しないと間違ってしまいます。幼虫は単独で行動しています。成虫は樹液、ミツバチの蜂蜜(盗蜜します)を食べます。成虫は「チイ、チイ・・・」と言うクリック音を発します。幼虫も危険を感じると音を出すようです。クロメンガタスズメは土に潜って蛹になります。越冬は蛹で越冬します。ただし飼育下では休眠性はないので、温度が適正だと冬場でも羽化するようです。
クロメンガタスズメ1.JPGクロメンガタスズメ2.JPGクロメンガタスズメ3.JPGクロメンガタスズメ4裏面.JPGクロメンガタスズメ5.JPGクロメンガタスズメ6腹部.JPG
クロメンガタスズメです。3種類の中では、このクロメンガタスズメが1番好きです。胸背部に見えるドクロ顔、ガなのに声(音)を出して鳴くこと、腹部背面の青(藍色)く見える部分、不気味さがあってなかなかのものです。日本産の2種は日本では嫌われていませんが、ヨーロッパでは不幸が訪れると言われていて、嫌われているガです。上から見ると黒っぽくて地味な色をしています。
2枚目、クロメンガタスズメの腹背のドクロに見える部分の写真です。クロメンガタスズメの特徴として、赤褐色の毛が多いことがあげられます。またメンガタスズメよりもドクロに見える部分が灰色をしていることも特徴になります。この部分に見える赤色のW字に見える斑紋や眼に見える部分に個体差が現れるようです。
3枚目、前翅の先端部分は明るい色彩をしています。4枚目、裏側から見ると翅の模様と色の違いが全く違っています。腹部も翅も黄褐色の地色に黒く見える斑紋がはっきりとしています。かなり弱っていたので手の上にのせて撮影できました。5枚目、腹部の横側から見たところです。黄褐色と黒い斑紋が目立ちます。この個体は雌なのでしょうか?腹部には太さがあります。とても厚みのある体をしていることが分かると思います。脚には鋭い棘が生えています。6枚目、翅を広げて撮影しました。クロメンガタスズメの鱗粉はしっかりと翅に付いています。柔らかく手で翅を広げても鱗粉は手につきませんでした。他のガの多くは鱗粉が取れて、模様が良く分からなくなるものが多いのですが、クロメンガタスズメの場合、とても剥がれにくいことに驚きました。力強く翅をバタつかせても鱗粉が飛び散ることが無いです。発見場所は神奈川県横浜市旭区。照明に飛来したものです。飛翔性の強いスズメガの仲間なので明かりを目指して飛んできたようです。
ガは嫌われてしまう昆虫になるのですが、斑紋には個体差があるので探してみると面白そうです。個性があるので、違った顔に見える模様のクロメンガタスズメも見つけてみたくなります。現在、北上して生息域を広げているので、今までは九州以北では珍しい種類とされていましたが、今後は見つける機会が増えてくる種類になるようです。できれば良く似たメンガタスズメと比較して見たいです。当方はまだメンガタスズメも実物は見たことがありません。こちらの種類も興味の湧いてくるガです。ぜひ見つけて撮影したいです。

posted by クラマ at 17:24| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする