2016年09月25日

キタキチョウ。黄色い翅をした綺麗なキチョウです。

キチョウはシロチョウ科キチョウ属の黄色い色の翅をしたチョウです。とても綺麗な黄色い翅の色をしたチョウです。翅の色が黄色いので分かりやすいチョウです。キチョウは現在、ミナミキチョウ(キチョウ)とキタキチョウの2種類に分けられました。キチョウは雄の方が濃い黄色をしています。キタキチョウとミナミキチョウの外見での判断はとても難しいです。神奈川県で見られる黄色いチョウはキタキチョウになります。飛び方はモンシロチョウは高い所も飛んでいますが、どちらかというと低い所を飛んでいます。飛び方はモンシロチョウが直線的に見えることに対して、フワフワと小さく上下に動いて飛んでいるように見えます。本州ではキタキチョウに似ているチョウにはモンキチョウ、ツマグロキチョウがいます。ツマグロキチョウは絶滅している県もあるほど数の少ない珍しいチョウになっています。モンキチョウは名前の通りに翅に紋がある黄色い色をしたチョウです。この翅の紋の特徴により見分けることができます。キタキチョウは普通種になりますが見つけると嬉しくなる綺麗な黄色い色をしているチョウです。キタキチョウを調べてみました。
★キタキチョウ シロチョウ科。 開帳35〜45ミリ。出現は3〜11月(3〜4月に見られるものは越冬した個体です)。キタキチョウは普通種で発生は年4〜5回。分布は本州(秋田県、岩手県以南)、四国、九州、沖縄。平地から低山地まで広く生息しています。林縁、河原、草原、自然公園など。雄の翅色は雌よりも鮮やかになります。ペアでいた場合、翅の色が鮮やかな方が雄になります。翅裏には小さな黒点が見られます。成虫は様々な花の蜜。幼虫はマメ科のハギ類(ナツハギ、ミヤギノハギ、メドハギ、マルバハギなど)、ハリエンジュ(ニセアカシア)、アカシア、ネムノキの葉を食べます。キタキチョウには夏型と秋型がいます。夏型は翅の外側縁が黒く縁どられています。秋型の翅の色は黄色をしています。時期により夏型と秋型の中間的な中間型もいます。前翅、後翅とも外縁は黒く縁どられていますが、秋型では縁に少し残るかほとんどなくなります。発生する時期により少しづつ黄色い翅の色に違いがあるわけです。キタキチョウ は集団で湿地やどいう物の糞から水分を吸っている所を見ることがあります。飛び方はやや弱く見え、フワフワと飛ぶ感じに見えます。高い所は好まず地面の低い所を飛んでいる所をよく見ます。キタキチョウは低い草や木の葉の裏に止まることが多く、目立つ黄色い翅をしていても見過ごしてしまうことがあります。
越冬は成虫で越冬します。越冬するのは秋型の個体になります。冬でも暖かい日は飛ぶことがあり、時季外れのチョウに驚かされることがあります。キタキチョウの秋型は数が多くなります。恐らく寒冷地では冬を乗り切れないで死んでしまう越冬固体も多いことから、個体数を増やす仕組みが備わっているものと思われます。
キタキチョウによく似たチョウにツマグロキチョウ、モンキチョウがいます。ツマグロキチョウはカワラケツメイ、アレチケツメイの葉を食べます。食草が限られていて、翅の表面の縁には黒色の帯と、後翅には不明瞭な暗褐色、茶褐色の線条(筋)が見えます。秋型では前翅の先端が尖る特徴があります。ツマグロキチョウはキタキチョウよりも小型になります。ツマグロキチョウは残念ながら神奈川県では絶滅してしまいました。全国的にカワラケツメイの減少などにより、激減、または絶滅が進んでいる珍しい種類になっています。キタキチョウとミナミキチョウ(キチョウ)は大変良く似ていて、外見的な判別は難しいです。見分け方は前翅の縁毛の色を見ます。キタキチョウの縁毛の色は黄色をしています。もっとも神奈川県ではキタキチョウしかいないので、判別に苦労することはありません。モンキチョウには翅に丸い紋があることで見分けることができます。他によく似た黄色いチョウに、タイワンキチョウがいます。キタキチョウ、ミナミキチョウと大変良く似ていますが、沖縄(八重山諸島の石垣島と西表島)にいる種類なので神奈川県にはいません。間違える心配は有りません。3種が生息している地域での判別は困難を極めると思います。違いは縁毛に違いが出るようです。キタキチョウの縁毛は黄色。ミナミキチョウの縁毛は褐色をしていますが、タイワンキチョウの縁毛は黒褐色をしているようです。しかし古い個体などでは、毛が取れている場合もあります。野外において肉眼で確認することは実際にはほぼ不可能なことになります。野外での縁毛の確認は難しいので、デジカメ等で撮影して確認する方法が良いと思います。
キタキチョウとミナミキチョウには細菌が共生していることが知られています。
・キタキチョウと体内共生細菌ボルバキア(Wolbachia)の関係。
キタキチョウ、ミナミキチョウには体内共生細菌ボルバキア(Wolbachia)がいます。ボルバキアは雄を雌に性転換させることで子孫を残していきます。雄が感染した場合には雌に性転換してしまう、感染した雄が死んでしまう、単為生殖するという生殖の異常を起こしてしまいます。つまり、性別の決定が知らないうちに体内の最近にコントロールされているのです。ボルバキアは母性遺伝する細菌です。母性遺伝とは精細胞の関与は受けないで卵細胞だけで遺伝する仕組みのことです。母親の(雌性生殖細胞)の遺伝によるものだけの繁殖をしているのです。関東以南のキタキチョウには1種類。種子島、沖縄本島に生息しているキタキチョウには性操作をする2種類のボルバキアが寄生していることから90%が雌化してしまうようです。知らないうちに寄生されているチョウにしてみたら、性別などどうでもよいことなのかも知れませんが、少し気の毒な気がしてきます。チョウに限らづボルバキア(Wolbachia)は他の昆虫にも寄生しているものが多いようです。
モンキチョウも調べてみました。
★モンキチョウ シロチョウ科。開帳40〜50ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。土手、河原、草原、牧草地、畑地、公園などの開けた場所に生息しています。出現は3〜11月。発生は年2〜6回で寒冷地でも2回発生します。モンキチョウの特徴は黒い縁取りの有る白い紋がある。黄色い翅に斑紋の有るチョウです。翅の黄色はキタキチョウのように鮮やかではなく淡い黄色をしています。雄の翅の地色は黄色。雌には黄色と白色の2型があります。非休眠幼虫で越冬します。幼虫の主食はマメ科のシロツメクサ、アカツメクサ。他にミヤコグサ、レンゲ、クサフジなどのマメ科の植物を餌にします。春型と夏型の2タイプがあります。
キタキチョウ1.JPGキタキチョウ2.JPGキタキチョウ前翅縁毛3.JPGキタキチョウ4変異タイプ。.JPG
キタキチョウです。上(1枚目)黄色の色が強く出ています。黒い細かい黒点、黒斑もあるので雄のキタキチョウで良いと思います。撮影地、神奈川県大和市、憩いの森。2枚目、雌のキタキチョウ。後翅の第3翅脈端付近で角度がついて見えます。3枚目、2枚目と同じ個体の翅の縁の拡大です。縁毛が黄色い色をしていることが分かります。この縁毛の色がキタキチョウの特徴になります。撮影地、神奈川県横浜市。4枚目(1番下)の写真の個体では、普通は後翅を見ると後ろ側で尖って見えるのですが、角度が浅く丸みを帯びています。どうやら後翅(第3翅脈端付近で角が出る部分)の角度の浅いタイプがいるようです。この個体はキタキチョウの翅の形の個体変異のようです。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。キタキチョウの雄と雌の違いや、季節型による違いからくる微妙な色の具合が面白いです。同じ黄色でもそれぞれに美しさを感じることができます。・比較のためにもモンキチョウの写真が撮れましたら追加する予定です。
posted by クラマ at 23:13| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月11日

ホシオビコケガ。地衣類を食べて育つ白地に黒い斑紋の有るコケガです。

ホシオビコケガ(ヒトリガ科コケガ亜科)は白地に黒いドットの有る地味でも可愛い配色の白と黒の小さなガです。白い色の翅に見える黒い斑紋を星に見立てたことが名前の由来になったようです。ホシオビコケガはコケを食べて育つ変わり者のガで、コケガの仲間の蛾になりす。コケガの仲間は綺麗な配色をしたガも多く、魅力的なガの種類になります。ホシオビコケガも地味な配色ながらも上翅に並んでいる黒い斑紋は可愛いです。コケと言っても正確には地衣類(ライケン)を食べます。どのような種類の地衣類を食べるのかは分かりませんが、私の観察エリアでは、レプラゴケから発生しています。レプラゴケは木の樹皮(樹幹等)や岩、石垣などの表面に発生する樹上生、岩上生の地衣類で、薄く岩や樹皮に張り付いていて、とても餌として利用されるようには見えません。神奈川県では6月下旬から7月初旬に探すと幼虫、蛹、成虫のホシオビコケガを同じ発生場所で見ることができます。ホシオビコケガは年2〜3化するガなので、この時期に観察すると面白いです。1回目に発生する成虫は大型になります。それ以降の個体は小さくなります。ホシオビコケガは灯火にも集まってくるガなので、壁などにとまっているとコケガの仲間には見えないと思います。普通種ですが食性が地衣類になるため、餌の有る場所を探して見つけないと意外と見ることの少ない種類になると思います。湿り気の有る場所に生息していることが多いです。ホシオビコケガには個体差があります。大きな斑紋の変異は無いようですが、見比べると黒い斑状の斑紋(ゴマダラ状に見える黒斑)の大きさに違いが見られる個体もいます。翅の色は白く見える個体が多いのですが、やや茶色を帯びた翅の色をした個体もいます。古くなった個体では斑紋が薄くなって他の種類のガに見えてしまうこともあります。ホシオビコケガを調べてみました。
レプラゴケについては当ブログ「コガネゴケ、レプラゴケ。粉状のカビのように見える地衣類です。」で紹介していますので、レプラゴケに興味があるお方は写真が載っているので、こちらもご覧になってみてください。
★ホシオビコケガ ヒトリガ科コケガ亜科。普通種。白地に黒い斑紋が特徴の小型のガです。ホシオビコケガの名前の由来は、黒い斑紋を星に例えて付けられた名前のようです。開帳20〜28ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島。雄と雌の違いは触角に現れ、雄の触角は繊毛状、雌は糸状になるようです。触角を体の下に隠してとまっていることが多く、見た目での触角による雌雄の確認は難しいです。発生時期は5〜10月(5〜6月。8月、9〜10月)年2〜3化で、2、3化は小型化します。斑紋の変異は小さいのですが、若干の個体差が見受けられます。平地から低地に生息。幼虫は地衣類を餌にします。どの種類の地衣類を食べるのかは分かりませんが、私の観察エリアではレプラゴケを餌としています。コケガの仲間なので、おそらく成虫は餌を食べないと思われます。成虫は灯火に集まります。幼虫は黒と黄色の配色で、体には棘が生えています。若齢のうちは黄色い部分が多く、終齢(13ミリ)になると黄色い部分は少なくなります。蛹は糸で囲まれた中に入っていて、羽化した成虫はこの糸を破って出ていきます。越冬は幼虫で越冬します。
ホシオビコケガ1.JPGホシオビコケガ2.JPG
ホシオビコケガです。「星の帯」、洒落た名前が付いている小型のガです。上、白い色が強く、黒い斑紋がはっきりしているタイプ。下、薄い茶色を帯びていて、斑紋の大きさが小さいタイプ。レプラゴケの上にとまっています。この中間のタイプのホシオビコケガモいます。大きな差ではないのですが比較すると面白いです。
ホシオビコケガ幼虫1.JPGホシオビコケガ幼虫2.JPG
ホシオビコケガの幼虫です。若齢ほど黄色い部分が広く、終齢に近づくと黄色い部分が少なくなって、やや黒っぽく見えてきます。幼虫の体には沢山の棘が生えています。上の幼虫は黄色い部分が多く見えています。レプラゴケの上にいます。下の写真の幼虫は終齢で黒味が強い黒っぽい体になっています。下に見えている地衣類はヘリトリゴケです。岩上生の痂状地衣です。これは餌にすることはできないでしょう。
ホシオビコケガ蛹1.JPGホシオビコケガ蛹2.JPG
ホシオビコケガの蛹です。レプラゴケの表面で蛹になっています。蛹の周りは糸で囲まれた壁で守られています。作りは雑で中が透けて見えます。この糸の壁が破れていないものが、まだ羽化していない蛹になります。
撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。写真はすべて岩上生のレプラゴケの発生している同じ場所で撮影しました。
posted by クラマ at 13:06| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月16日

ベニモンアオリンガ。春と夏で翅の模様が変わる綺麗な色の小型のガです。

ベニモンアオリンガは小さくても綺麗な色をしたガです。私のお気に入りのガの1種になります。春型と夏型の季節型があり、色が違って見えます。春型には名前のように美しい紅色の紋が翅の中央に現れます。淡く美しい紅色がとても魅力的です。夏型は黄色を帯びた緑色や黄緑色をしていて、斑紋が全くない翅をしているものも現れます。大変良く似たガにアカマエアオリンガがいます。夏型では両種の区別が困難になってしまいます。違いは後翅の翅の色で、アカマエアオリンガの後翅はくすんだ灰色をしていて、アカマエアオリンガの後翅は純白です。外見上の判断は難しいのですが、違いはこの後翅の色の違いになり、両種を区別する方法になります。ベニモンアオリンガの体つきはアオバハゴロモに似ていて可愛い形をしています。色も形も可愛いガです。春と夏で見た目が変わるガ、ベニモンアオリンガを調べてみました。
★ベニモンアオリンガ コブガ科リンガ亜科。開帳17〜23ミリ。出現は5〜6月、7〜10月で、年3回発生します。5〜6月に発生する幼虫は新芽を食害して、7〜10月に発生する幼虫は蕾の中に入り込み蕾を食害します。分布北海道、本州、四国、九州、沖縄。普通種のガで数も多いです。公園、果樹園、庭、各種林縁に生息しています。幼虫はツツジ科を餌にします。特にツツジ、サツキ、シャクナゲに付いて芽や蕾などを食べることから、幼虫はツボミムシ、シンクイムシと呼ばれ、庭木のツツジやシャクナゲの害虫になっています。ベニモンアオリンガは夜行性で灯火にも飛来します。季節型の有るガで、春型の前翅中央には名前のように綺麗な紅色の斑紋が現れますが、夏型(2化め)の翅には紅色の斑紋の無い個体や黒い点に見える斑も消えていることが多くなります。夏型(2化め)の体色は全体が黄色、黄緑色、深緑色をしています。大変良く似たガにアカマエアオリンガガいますが、夏型では判別できない位に似たものが出てきます。判別には後翅の色がくすんだ灰色をしていることで区別できます。小枝上に繭を作り蛹で越冬します。ベニモンアオリンガは綺麗なガです。個体差が多く、季節型の違いや翅の色の違いもあるので、見ていて飽きの来ないガになります。観察すると違いがあって実に面白いです。
ベニモンアオリンガH28.JPGベニモンアオリンガH28−2.JPGベニモンアオリンガH28−3.JPG
春型のベニモンアオリンガです。華やかな美しいガです。淡い紅色や濃いピンク色に見える斑紋が綺麗です。上2枚葉角度を変えて見たところです。撮影地、神奈川県横浜市。1番下、神奈川県海老名市。
ベニモンアオリンガ1.jpgベニモンアオリンガ2.jpg
夏型のベニモンアオリンガです。単色ですが個性があって面白いです。斑紋の無いタイプです。撮影地、神奈川県大和市、憩いの森。
ベニモンアオリンガ3.jpgベニモンアオリンガH28横浜.JPG
夏型のベニモンアオリンガです。小さな紅色の斑紋が見えているタイプです。撮影地、神奈川県横浜市。
春型は派手で美しく、夏型は黄緑色系の色が綺麗です。夜行性のガなので昼間は葉の陰などで休んでいます。そのことから普通種で数が多い割には見かけることが少なくなります。住宅街などでは壁にとまっていることがあるので、運良く見つけることがあります。
posted by クラマ at 01:30| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする