★キアシドクガ ドクガ科。開帳は50〜57ミリ。普通種で数も多く出現は5〜6月。発生は年1回。分布は北海道、本州、四国、九州。普通種のドクガです。名前にある様に脚が黄橙色をしていますが、色の濃さ等に個体差があります。発生は年1回。終齢の大きさは35〜40ミリ。幼虫の地色は黒で背面には黄色い斑紋が並んでいます。個体によってこの黄色が薄い個体もいます。幼虫はミズキ科のミズキ、クマノミズキの葉を餌にします。当観察地ではミズキ、クマノミズキで普通に見ることができます。大発生が数年に渡り続くと木が枯れてしまうこともあるそうです。蛹は黄色や薄いクリーム色で黒い斑紋や筋が入っています。蛹は寄生する樹の周りで見つけることができます。蛹になる場所は植樹の他、他の植物や建物の壁周り、杭などあまり場所は選ばないようです。キアシドクガは昼行性で群れを成してチョウの様に食樹の周りを飛び周ります。成虫は灯火にも飛来します。成虫には口吻が無く餌を食べることができないので、成虫としての寿命は短く数日で死んでしまいます。雌雄の区別は触角で分かります。雄の触角は大きくて立派です。鳥の翅の形にも似た櫛歯状です。雌の触角も櫛歯状ですが雄の触角よりもはるかに幅が狭く細く見えます。また、雄のキアシドクガの場合、前翅前縁と翅脈が黒ずんで見えます。キアシドクガが群れて飛んでいると、純白な色をしたチョウの様でとても美しいです。ガの汚いイメージが変わる存在のガです。樹(ミズキやクマノミズキ)の高い所をチョウの様にヒラヒラと飛ぶことが特徴です。翅は柔らかく飛ぶ力が弱いので、同じ白っぽい色のモンシロチョウよりも弱々しく思えます。越冬は卵で越冬します。
キアシドクガの雄です。上、羽化したばかりで蛹にぶら下がっています。下、林縁でキアシドクガが飛んでいるのを見ていたら、樹の上から落下してきました。弱っていてほとんど動けません。発生は当方観察地では5月下旬が数が多いです。
上、キアシドクガの雌です。同じ個体です。撮影のため弱っていたところを持ち帰ったのですが、戻す前に動かなくなってしまいました。ストックしてあった写真を使いました。
上はキアシドクガの蛹です。葉の裏や杭や柵などで蛹になっています。場所にはあまりこだわらないようです。見比べても分かるように模様等が微妙に違っています。上、人工物の杭で蛹になっていました。写真は横位置にしました。中、木の杭の手すりの下面に作ってありました。下、葉の裏に作ってあった蛹です。場所は寄生する樹の近くの植物なら何でもよいようです。
キアシドクガの終齢幼虫です。写真は横位置にしてあります。普通はもう少し背部の黄色味が強い個体が多いです。トイレの壁で見つけました。蛹になる場所を探しているようです。成虫、蛹、幼虫を見つけた場所は神奈川県横浜市、こども自然公園。ドクガ科と言っても毒の無い種類の方が多いです。キアシドクガの乱舞は見事で毎年楽しみにしています。ガが苦手でなかったら、蛹の模様の個体差も面白いので観察することが楽しくなる種類だと思います。