神奈川県の低地で見られるフキバッタはタンザワフキバッタとヤマトフキバッタです。ヤマトフキバッタは少なく、タンザワフキバッタが多く生息しているようです。神奈川県の当方の観察エリアの低地にはヤマトフキバッタとタンザワフキバッタがいます。地域的な生息が多く、当方の観察エリアではタンザワフキバッタを見つけることができます。近くの他の地域を探すとヤマトフキバッタも生息しているようです。ヤマトフキバッタも探しに行ってみたいです。この2種を調べてみました。
★タンザワフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。日本特産種 。神奈川県丹沢山近隣に多いフキバッタです。丹沢山地にちなんで付いた名前になるようです。標高の高い所にはいないそうです。低山地の林縁に多い種類です。雄の複眼から伸びる黒条は前胸背板後端まで繋がっています。雌では頭部を超えると黒条は消えてしまうか不明瞭になります。良く似たヤマトフキバッタよりも小型で翅は小さく重なりません。成虫でも翅は極めて小さいです。尾端には尻毛があり、形はやや尖って見えます。メスアカフキバッタの混在する地域では雑種と思われる個体がいる地域があるそうです。体長亜20〜30ミリ程。年1化で出現は7〜11月。卵で越冬します。タンザワフキバッタは神奈川県に多くいます。分布は本州(群馬県南部、埼玉県、東京都西部、神奈川県、静岡県東部から伊豆半島、千葉県南部の房総地方)。
上、タンザワフキバッタの雄です。上、全体的な姿はこのような感じです。中、横から見て見ました。黒条の下(頭胸部側面)が淡い黄色に見えています。後肢腿節は綺麗な赤色が見えています。下、この写真では分かりにくいのですが、先の方が黒く見える尾毛は左右に突出していません。写真は同1個体です。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
上、タンザワフキバッタの雌です。神奈川県では緑型が多く、背中が赤く見える背赤型は少ないようです。タンザワフキバッタとヤマトフキバッタの翅の違いがあるので、成虫だと庵別しやすいです。下、幼虫です。当観察エリアではヤマトフキバッタは見たことが無いので、この幼虫はタンザワフキバッタの幼虫で良いと思っています。幼虫から種類を探るとなると、どの種も同じに見えてしまいます。若齢ほど茶褐色に見えます。幼虫の写真は以前に撮ってあったものです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★ヤマトフキバッタ(トガリバネフキバッタ、セトウチフキバッタ) バッタ科フキバッタ亜科。別名トガリバネフキバッタ、セトウチフキバッタと呼ばれていて、名前だけでも複雑で混乱してしまいそうです。日本特産種。翅が退化していて短く、飛ぶことはできません。後肢腿節は青白い色が見えて綺麗ですが、この腿節の色と翅の長さには地域的な変異があるようです。複眼から伸びる黒条は前胸背板後端まで繋がっていたり、不明瞭になるなどがあるようです。体長は22〜38ミリ程。草上性のばバッタで年1化。出現は7〜10月。分布は本州(東北から近畿)、四国、九州。低山地の林縁、湿地などフキやクズの生えている場所に多く生息しています。食草もフキやクズの葉等を餌にしています。越冬は卵で越冬します。翅が茶褐色をしています。山形県では準絶滅危惧種に指定されています。ヤマトフキバッタの特徴としてヤマトフキバッタの場合、成虫の翅が左右で重なります。成虫になるとこの翅の違いでタンザワフキバッタとヤマトフキバッタを区別することができます。写真は取れたら追加する予定です。
・ついでに他のフキバッタも数種類調べてみました。フキバッタの仲間は、写真があっても分かりにくい判別が難しいバッタです。棲み分けている地域も重要になってきます。以下、名前を知る手掛かりになる参考にしてみてください。複眼から繋がる黒条は個体差があるなどで、種類の判別には使えそうにありません。やはり正確な種類の判別には交接器を調べないといけないようです。
★ミヤマフキバッタ(ミカドフキバッタ) バッタ科フキバッタ亜科。別名ミカドフキバッタと呼ばれています。複眼の後方から前胸背板後端まで黒い色の筋(黒条)がつながっています。この黒条には個体差があるようです。後肢の腿節下面は赤い色をしています。体長は22〜35ミリ程。草上性のばったで、年1化。出現は7〜10月。分布は北海道(南部)、本州(東北から近畿)。林縁、湿地など、フキやクズの生えている場所に多く生息しています。主に山地に生息しているフキバッタです。越冬は卵で越冬します。翅が茶褐色をしています。ミヤマフキバッタ(ミカドフキバッタ)の雄の尻毛は先が平らに見えるようです。雄の尾端は太く尾毛は左右に突出しているそうです。若齢幼虫は群生する習性があるようです。
★ハネナガフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。見たことはないのですが、翅の長いフキバッタなので1番わかりやすそうに思えます。草上性ですが樹上にもいるようです。分布は北海道、本州、四国、九州。図鑑を見るとハネナガフキバッタ はイナゴに似て見えます。
★メスアカフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。雌が全体的に赤味をおびることからついた名前のようです。分布域の静岡県、山梨県ではセアカ型(セアカフキバッタと呼ばれています)と分布域東限ではタンザワフキバッタとの交雑ががあるようです。両種の雑種と思われる個体がいるそうです。
★ヒメフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。タンザワフキバッタとメスアカフキバッタに良く似ているそうですが、小型で体長は25〜30ミリ。分布は本州(関東から近畿地方)。日本固有種で数が少ないようです。
★サッポロフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。腿節の下面は茶色をしているようです。サッポロフキバッタ、ハネナガフキバッタ、ミヤマフキバッタ(ミカドフキバッタ)が北海道に生息しています。サッポロフキバッタは北海道のみ生息しているフキバッタなので、見る機会はなさそうです。
以上、似たフキバッタを調べてみましたが、文章だけだとさっぱりわからないと思いますが、参考になれば幸いです。