2018年08月07日

タンザワフキバッタ。フキバッタは翅の小さな飛べないバッタです。幼虫のバッタにしか見えないフキバッタを調べてみました。

フキバッタは似たものが多く、総称的にフキバッタと呼ばれています。翅が退化していることから、地域的に種類が分かれています。似た種類が多く分類は大変難しいです。林縁の下草の上で見ることができるバッタ科フキバッタ亜科のバッタで、普通は成虫になると翅ができるのですが、フキバッタの場合、翅が退化している翅の短いことが特徴になるバッタです。翅が短いので成虫になっても幼虫に見える変わった姿をしています。フキバッタを知らないと翅が見えないので、まだ幼虫のバッタだと思ってしまうと思います。珍しいバッタと思われるかも知れませんが、個体数は多く、普通に見ることができる種類です。食草はフキやクズの葉を食べます。フキバッタの仲間は翅が短く移動が難しいため、地域的な特徴をもった個体群に分かれています。外見上では判別できない種類も多いので、総称的にフキバッタと呼ぶにふさわしい種類になっています。多分この種類だろうと推測して名前を当てるような、大変種類を判別することが難しいバッタになります。どの種も同じように目ますが、翅の形や後肢腿節が青白い色をしていたり、赤い色をしているなど、細かな違いはあります。最も腿節に見える色には個体差も多いようです。以前は北海道に住むフキバッタと本州のミヤマフキバッタに分けられていたのですが、細分化されて種類が増えました。特に本州に住むフキバッタの分類(種の区別)が難しいので、自分の地域に生息している種類を把握してからでないと、名前を調べることも困難になってしまうと思います。種類が重なっている地域だとフキバッタの体長には個体差が多いようなので、さらに悩んでしまうことになるのではないのかと思います。大きさはめどにした方が迷いが少なくなりそうな気がします。
神奈川県の低地で見られるフキバッタはタンザワフキバッタとヤマトフキバッタです。ヤマトフキバッタは少なく、タンザワフキバッタが多く生息しているようです。神奈川県の当方の観察エリアの低地にはヤマトフキバッタとタンザワフキバッタがいます。地域的な生息が多く、当方の観察エリアではタンザワフキバッタを見つけることができます。近くの他の地域を探すとヤマトフキバッタも生息しているようです。ヤマトフキバッタも探しに行ってみたいです。この2種を調べてみました。
★タンザワフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。日本特産種 。神奈川県丹沢山近隣に多いフキバッタです。丹沢山地にちなんで付いた名前になるようです。標高の高い所にはいないそうです。低山地の林縁に多い種類です。雄の複眼から伸びる黒条は前胸背板後端まで繋がっています。雌では頭部を超えると黒条は消えてしまうか不明瞭になります。良く似たヤマトフキバッタよりも小型で翅は小さく重なりません。成虫でも翅は極めて小さいです。尾端には尻毛があり、形はやや尖って見えます。メスアカフキバッタの混在する地域では雑種と思われる個体がいる地域があるそうです。体長亜20〜30ミリ程。年1化で出現は7〜11月。卵で越冬します。タンザワフキバッタは神奈川県に多くいます。分布は本州(群馬県南部、埼玉県、東京都西部、神奈川県、静岡県東部から伊豆半島、千葉県南部の房総地方)。
タンザワフキバッタ雄1.JPGタンザワフキバッタ雄2.JPGタンザワフキバッタ雄3背面.JPG
上、タンザワフキバッタの雄です。上、全体的な姿はこのような感じです。中、横から見て見ました。黒条の下(頭胸部側面)が淡い黄色に見えています。後肢腿節は綺麗な赤色が見えています。下、この写真では分かりにくいのですが、先の方が黒く見える尾毛は左右に突出していません。写真は同1個体です。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
タンザワフキバッタ雌.JPGタンザワフキバッタ幼虫.JPG
上、タンザワフキバッタの雌です。神奈川県では緑型が多く、背中が赤く見える背赤型は少ないようです。タンザワフキバッタとヤマトフキバッタの翅の違いがあるので、成虫だと庵別しやすいです。下、幼虫です。当観察エリアではヤマトフキバッタは見たことが無いので、この幼虫はタンザワフキバッタの幼虫で良いと思っています。幼虫から種類を探るとなると、どの種も同じに見えてしまいます。若齢ほど茶褐色に見えます。幼虫の写真は以前に撮ってあったものです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★ヤマトフキバッタ(トガリバネフキバッタ、セトウチフキバッタ) バッタ科フキバッタ亜科。別名トガリバネフキバッタ、セトウチフキバッタと呼ばれていて、名前だけでも複雑で混乱してしまいそうです。日本特産種。翅が退化していて短く、飛ぶことはできません。後肢腿節は青白い色が見えて綺麗ですが、この腿節の色と翅の長さには地域的な変異があるようです。複眼から伸びる黒条は前胸背板後端まで繋がっていたり、不明瞭になるなどがあるようです。体長は22〜38ミリ程。草上性のばバッタで年1化。出現は7〜10月。分布は本州(東北から近畿)、四国、九州。低山地の林縁、湿地などフキやクズの生えている場所に多く生息しています。食草もフキやクズの葉等を餌にしています。越冬は卵で越冬します。翅が茶褐色をしています。山形県では準絶滅危惧種に指定されています。ヤマトフキバッタの特徴としてヤマトフキバッタの場合、成虫の翅が左右で重なります。成虫になるとこの翅の違いでタンザワフキバッタとヤマトフキバッタを区別することができます。写真は取れたら追加する予定です。
・ついでに他のフキバッタも数種類調べてみました。フキバッタの仲間は、写真があっても分かりにくい判別が難しいバッタです。棲み分けている地域も重要になってきます。以下、名前を知る手掛かりになる参考にしてみてください。複眼から繋がる黒条は個体差があるなどで、種類の判別には使えそうにありません。やはり正確な種類の判別には交接器を調べないといけないようです。
★ミヤマフキバッタ(ミカドフキバッタ) バッタ科フキバッタ亜科。別名ミカドフキバッタと呼ばれています。複眼の後方から前胸背板後端まで黒い色の筋(黒条)がつながっています。この黒条には個体差があるようです。後肢の腿節下面は赤い色をしています。体長は22〜35ミリ程。草上性のばったで、年1化。出現は7〜10月。分布は北海道(南部)、本州(東北から近畿)。林縁、湿地など、フキやクズの生えている場所に多く生息しています。主に山地に生息しているフキバッタです。越冬は卵で越冬します。翅が茶褐色をしています。ミヤマフキバッタ(ミカドフキバッタ)の雄の尻毛は先が平らに見えるようです。雄の尾端は太く尾毛は左右に突出しているそうです。若齢幼虫は群生する習性があるようです。
★ハネナガフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。見たことはないのですが、翅の長いフキバッタなので1番わかりやすそうに思えます。草上性ですが樹上にもいるようです。分布は北海道、本州、四国、九州。図鑑を見るとハネナガフキバッタ はイナゴに似て見えます。
★メスアカフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。雌が全体的に赤味をおびることからついた名前のようです。分布域の静岡県、山梨県ではセアカ型(セアカフキバッタと呼ばれています)と分布域東限ではタンザワフキバッタとの交雑ががあるようです。両種の雑種と思われる個体がいるそうです。
★ヒメフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。タンザワフキバッタとメスアカフキバッタに良く似ているそうですが、小型で体長は25〜30ミリ。分布は本州(関東から近畿地方)。日本固有種で数が少ないようです。
★サッポロフキバッタ バッタ科フキバッタ亜科。腿節の下面は茶色をしているようです。サッポロフキバッタ、ハネナガフキバッタ、ミヤマフキバッタ(ミカドフキバッタ)が北海道に生息しています。サッポロフキバッタは北海道のみ生息しているフキバッタなので、見る機会はなさそうです。
以上、似たフキバッタを調べてみましたが、文章だけだとさっぱりわからないと思いますが、参考になれば幸いです。
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2017年08月13日

トノサマバッタ、クルマバッタ、クルマバッタモドキ、ヒナバッタ、イボバッタ。よく似たバッタを調べて見ました。

バッタの識別は難しいです。色彩に変異があることと形が同じに見えることで、どの種類なのか迷ってしまいます。今回は紛らわしいバッタ科の昆虫、トノサマバッタ、クルマバッタ、クルマバッタモドキ、ヒナバッタ、イボバッタの5種類のバッタを調べてみました。これら5種類は同じ場所で見つけることもあるので、特徴を覚えておくと良いかもしれません。当方がトノサマバッタとクルマバッタの違いが良く分からなかったこともあって、似ているバッタを調べて見ることにしました。特徴が良く現れるのは成虫で、幼虫となるとかなりの難解になってしまうので、成虫の見た目での判別になります。中でもクルマバッタモドキは特徴であるX字の白紋があることから判別しやすい種類になりますが、似たバッタで胸背にX字の白紋が見える種類にヒナバッタがいます。ヒナバッタは小型でクルマバッタモドキよりも小さいことで、判別することができます。イボバッタはよく見ると胸背にイボ状の突起が見えることで判別ができるので、イボバッタも特徴をつかんでいれば分かりやすい種類になります。難解なのはトノサマバッタとクルマバッタになります。クルマバッタモドキの緑色型も紛らわしくなるので、この3種類が曲者になります。また体長には個体差があるので、大まかな目安にしてください。雌雄を合わせて、1番大きいのがトノサマバッタ、ほぼ同じ大きさになるようですが、2番目がクルマバッタ。クルマバッタモドキはクルマバッタよりも小型が多くなります。トノサマバッタ、クルマバッタ、クルマバッタモドキ、ヒナバッタ、イボバッタの5種類を調べてみました。これら似たバッタの写真を見比べて比較して見てください。クルマバッタモドキは当ブログ2度目の登場になります。「クルマバッタモドキ、空き地にもいる地味な色をしたバッタです」で紹介しています。今回紹介のバッタは個人的に種類の特定が難しいと思った種類です。どちらかというと苦手な昆虫です。間違っているかも知れませんが参考にしてみてください。注意:トノサマバッタの写真はありません。
★トノサマバッタ 別名ダイミョウバッタ。バッタ科。体長は雄35〜43ミリ。雌45〜65ミリ。飛翔力が強い大型のバッタです。出現は6〜11月で年2化。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。草原、河原、荒れ地の草地に生息しています。幼虫はエノコログサ、ススキなどイネ科の植物の葉を食べます。トノサマバッタの翅は斑模様になっています。卵で越冬します。緑色型と褐色型がいますが体色には変異があります。群れを成して生息している集団は(群生相)は黒褐色〜暗褐色になり、密度の低い状況で育つと(孤独相)普通に見られる緑色や褐色型になるようです。稀に赤色を帯びた個体も出るようです。餌はエノコログサなどのイネ科の植物を食べます。産卵は9月頃で越冬は土中に産み付けられた卵で越冬します。下の写真はトノサマバッタに良く似ているクルマバッタモドキの雌の緑色型です。教えていただきました。トノサマバッタの写真はないので他のサイトを探してみてください。
トノサマバッタ緑i色型.JPGトノサマバッタ緑色型2.JPG
上、クルマバッタモドキの雌の緑色型。トノサマバッタに似ているバッタです。以前にはトノサマバッタとして紹介していました。コメントで緑色型の雌のクルマバッタモドキとのご指摘を受けて顔から顎にかけての特徴と、翅の模様等を再度確認して訂正させていただきました。トノサマバッタは見る機会が減って子供の頃には良くいた種類だったのですが、今では当方の観察エリアにしている公園では見つけることができない種類になってしまいました。変異もあることから、もっとたくさん見て調べたい種類です。写真2枚は同1個体です。トノサマバッタの写真が取れたら並べて比較したいので、写真の場所はこのままにして紹介させていただきます。バッタ類は似た種類が多くストックの写真を見ても大変悩むことが多いです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★クルマバッタ バッタ科。体長は雄35〜45ミリ。雌55〜60ミリ。出現は7〜11月。分布は本州、四国、九州、沖縄。クルマバッタの特徴は背中に現れます。前胸背部の背面はなだらかで途切れなく見えます(凸凹して見えることが無く滑らかです)。前胸背背板のさかいめ(横溝)は浅く目立ちません。クルマバッタの胸背の緑色と翅の背部の色は同じ色になります。よく似た種類にトノサマバッタ、クルマバッタモドキがいます。クルマバッタにはクルマバッタモドキにあるX字に見える白い線はありません。トノサマバッタの前胸背背板のさかいめ(横溝)はクルマバッタよりも深くなっています。クルマバッタの翅には白い斑が見えます。後翅には黒い色の帯があり、クルマバッタが驚いて飛んで逃げる時には後翅にある黒い帯が見えます。クルマバッタモドキの後翅は薄い黒色になります。クルマバッタには緑色型と褐色型がいます。体色には濃淡などの変化が出ます。飛翔力が強いバッタですが、トノサマバッタほどではありません。餌はエノコログサなどのイネ科の植物を食べます。越冬は土中に産み付けられた卵で越冬します。
クルマバッタ褐色型.JPG
褐色型のクルマバッタです。この個体は背中の盛り上がりが弱いような気もしますが、クルマバッタモドキに見られるX字の白紋がないことと、クルマバッタモドキの胸背よりは盛り上がって見えます。クルマバッタも観察エリアにしている公園ではほとんど見つけることができない種類になっています。体型や見た目はトノサマバッタやクルマバッタモドキにそっくりです。胸背部の盛り上がりを見て判断しました。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★クルマバッタモドキ バッタ科。クルマバッタモドキは極普通に見ることができる普通種で、特徴は胸背部に見えるX字型の白紋です。出現は7〜11月。年1化。分布は北海道、本州、四国、九州。日当たりの良い海岸、河原、草地、荒地などの草丈の低い場所に生息しています。草地に踏み込むと慌てて飛んで逃げ出しますが、飛翔距離は短く、あまり遠くまでは飛ぶことができません。孵化は4〜6月とばらつきがあって、この発生の時期のズレが環境状況に対応した適応力(種の繁栄)に繋がっているようです。雌は3〜6回の産卵をします。体長は雄は28〜30ミリ。雌は45〜55ミリ。雄の特徴として、雄の後脛節は赤色をしています。クルマバッタモドキは体色に変異が多い種類になります。大きく分けると緑色型と褐色型がいて、緑色型の発生は少なく良く見かけるのは褐色型の方になります。餌はエノコログサなどのイネ科の植物を食べます。クルマバッタモドキは模様など個体変異が大きい種類になります。越冬は土中に産み付けられた卵で行います。
クルマバッタモドキ胸背.JPGクルマバッタモドキ横.JPGクルマバッタモドキ雄.JPGクルマバッタモドキ背中.JPG
クルマバッタモドキは御馴染みのバッタです。1枚目(上)X字に見える白紋が特徴です。個体数が多い普通種でよく見ることができます。2枚目、褐色型に見えますが、緑色をしている部分も見えるので緑色型と褐色型の中間型になるようです。3枚目、4枚目(下)は同1個体の雄です。雄のクルマバッタモドキの場合、後脛節は赤色になる特徴があります。下の写真で見ると分かるのですが、クルマバッタモドキの胸背の盛り上がりは弱く直線的に見えます。1枚目、2枚目撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。下2枚。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
★ヒナバッタ バッタ科。体長は雄が19〜23ミリ。雌が25〜30ミリ。出現は7〜12月。年2化で2化目の個体が冬まで残ります。分布は北海道、本州、四国、九州。ヒナバッタは普通種で個体数の多い小型のバッタです。寒さに強い種類で、秋が終わり寒くなってからでも見つけることができます。特徴は胸背にある白紋です。クルマバッタモドキにはX字に見える白紋がありますが、ヒナバッタの白紋は細くて、「ク」の字に見えます。紋は細く見えることも似た白紋をもつクルマバッタモドキとの相違点になります。体色は茶褐色や淡い褐色をしています。雄の腹部は赤く見えます。ヒナバッタの体色には個体差が大きく、基本的な色は茶褐色ですが、灰色、黄色、緑色、ピンク、紫色などの色彩が知られています。個性的な体色をしたヒナバッタを見つけるのも面白そうです。クルマバッタモドキよりも華奢な感じで小型のバッタなので、特徴を知っていればクルマバッタモドキとの判別は容易です。餌はエノコログサなどのイネ科の植物を食べます。越冬は土中に産み付けられた卵で越冬します。
ヒナバッタ雌.JPGヒナバッタ雌2.JPGヒナバッタ雄.JPG
ヒナバッタは写真を撮ろうとすると、すぐに飛んで逃げ出す臆病なバッタで撮影には苦労します。ヒナバッタは普通に見ることができる小さくて可愛いバッタです。上、小さいことが分かります。上2枚が雌のようです。下が雄のヒナバッタのようです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★イボバッタ バッタ科。体長は雄は18〜24ミリ。雌は28〜35ミリ。イボバッタの特徴は名前にも付いているイボ状の突起にあります。肉眼では確認しにくいのですが、前胸背部にある2個のイボ状突起が最大の特徴になります。幼虫も成虫も地面の土のような体色をしているので、じっとされるとどこにいるのか分かりません。見事な保護色になっています。体色には色の濃淡がありますが、体表は斑模様があり灰褐色、暗褐色、茶褐色の地味な体色をしています。体の表面には微毛が生えています。近づくと臆病ですぐに跳んで逃げ出します。出現は5〜11月。年1化で5〜6月に幼虫、成虫は7月から見られます。イボバッタは普通種なのですが生息範囲は広くなく、部分的に生息しています。これは日当たりの良い裸地を好む性質によると思われます。分布は本州、四国、九州。地上性で草の生えていない裸地や畑の地面、河川敷、地面の現れている荒地など草の少ない環境に生息しています。乾燥に強い種類なのかと推測します。食草はイネ科になるようですが、その他の草も餌として食べるようです。越冬は土中に産み付けられた卵で越冬します。似ている種類にカワラバッタがいます。
イボバッタ1.JPGイボバッタ2.JPGイボバッタ突起.JPG
イボバッタです。茶褐色の同1個体です。目立たないバッタなので探そうとすると見つけにくいのですが、普通に見つけることができます。下、名前の印象よりは胸背にあるイボ(イボ状の突起)は大きくありませんが、デジカメ等で拡大すると納得がいくネーミングになっています。拡大するとイボバッタの顔面は凸凹していて微毛が生えており、少し怖い顔をしています。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
イボバッタ幼虫.JPG
イボバッタの幼体です。幼体が地面にいるとまず見つけることができない位に、畑や裸地の地表の色に馴染んでしまいます。家庭菜園でよく見る種類になります。菜園の脇の土の上で見つけました。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。同じように見えるバッタも種類が分かると観察のやりがいが出てきます。足元にも注意してバッタを見つけるのも面白いと思います。
posted by クラマ at 17:04| Comment(2) | バッタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月19日

クビキリギス、クサキリ。良く似ているキリギリス科のバッタです。 クビキリギス、クサキリ。良く似ているキリギリス科のバッタです。

クビキリギスは春に鳴くキリギリス科のバッタで、似たものに同じ時期になくシブイロカヤキリがいます。どちらも珍しく成虫越冬するキリギリス科のバッタです。クビキリギスには似たものが多く、クサキリ、カヤキリ、シブイロカヤキリがいます。クビキリギスに似た種類との見分方を上げると、クビキリギスとクサキリの場合、口の周りが赤いのがクビキリギス。赤くないものがクサキリになりますが、クサキリの場合の注意点は緑色型が黄色っぽく、褐色型の口の周りは赤っぽくなることです。頭の先にも違いがあって、大きく尖って突出している方がクビキリギスで、頭の先の突出が弱く、丸っこく見えるのがクサキリです。このように頭部先端と口の周りを見比べることが見分ける方法になります。またクビキリギスが成虫で越冬することに対して、クサキリは卵で越冬します。このことからクビキリギスは春の4月頃から鳴き始めますが、クサキリは8月頃から鳴き始めます。クサキリはクビキリギスよりしっかりとして見えます。クビキリギスと春の同じ時期に鳴くシブイロカヤキリ(旧名シブイロカヤキリモドキ)も似ています。シブイロカヤキリも成虫越冬するキリギリス科のバッタで、鳴き声も似ています。どちらの種類も鳴き声が美しいとは決して言えません。単調な同じ音量で、壊れた目覚ましか何かに思える器械的な音に聞こえます。ただひたす「ジー・・・」と鳴き続けます。春の早い時期に鳴いている「ジー・・・」という大きな鳴き声の正体は、クビキリギスかシブイロカヤキリです。鳴き声が地面の近く(地中)から聞こえていたら、オケラの鳴き声になります。子供の頃は、この鳴き声をミミズが鳴いていると教えられましたが、これは間違いです。ミミズは鳴きません。クビキリギスもシブイロカヤキリも灯火にきますが、昔はさらに越冬したバッタの姿を見つけにくく、正体が分からなかったことからミミズの名が挙がったのでしょう。クビキリギスとシブイロカヤキリは姿を見れば違いが分かります。シブイロカヤキリはド短足な姿をしています。翅もクビキリギスよりも短いです。、灯火にもくるようです。翅が短いので飛翔力は弱くなります。カヤキリとクビキリギスはよく似ていて、両種とも口の周りは赤くなっています。体は緑色をしているのでクビキリギスの緑色型に似ています。クビキリギスの体色には褐色型、緑色型、稀に赤色型(赤色とピンク色)がいます。見分けるには、白い線が体にあるかどうかを調べます。カヤキリの頭部、胸部から上翅の付け根にかけて白い線が入っています。最もカヤキリは珍しい種類になり、絶滅危惧T類や準絶滅危惧種になっている県もあります。今回紹介するのはクビキリギスとクサキリになります。カヤキリとシブイロカヤキリも調べてみました。撮影できたら追加したいと思っています。
★クビキリギス キリギリス科。日本特産種。普通種で成虫越冬するキリギリスです。春に鳴くキリギリスです。幼体も越冬するようです。夜行性ですが日中に動くものもいるようです。分布は北海道南部(本来いませんでしたが、植物について移動したようです)本州(関東地方以西)四国、九州、沖縄。体長は翅端まで57〜65ミリ。体の色には緑色型、褐色型、赤色型がいます。雄では褐色型が70%で緑色型が30パーセント。稀に赤色型が発生します。雌ではほとんどが緑型になるそうです。この体の色を決める要因は湿度にあって、湿度が高い条件下を終齢で羽化すると緑色型に、終齢を乾燥している状態で羽化すると褐色型になるそうです。飼育下では体色をコントロールすることができることになります。面白いですね。雌が緑色型が多いのは雌の生活環境が起因しているのかもしれません。おそらく高温多湿になる草むらで生活していることになるのでしょう。クビキリギスの出現期は3〜5月と8〜11月で、前期は越冬固体になります。5〜6月に交尾しますが、越冬固体は7〜8月まで生きるものがいるようです。飼育下ですと寿命が長いことが知られていて、1〜2年生きる長命な種類になります。食性は雑食性になります。イネ科の植物と昆虫を餌にします。夜行性で灯火にも飛来します。草地で見つけることは難しく灯火の周りを探すと見つけやすいです。飛ぶことが得意な飛翔力の強い種類として知られています。雌には長い産卵管が有るので、雌雄の見分けは簡単です。雌雄共に頭の先が尖っていることと、口の周りが赤いことが特徴になっています。春先に鳴くことも特徴になっています。越冬する種類で丈夫なことから見つけられる機会は多いと思います。
クビキリギスを飼育しようと思われた場合の餌として、イネ科の植物を与えるようにします。動物性の餌としてはカツオブシ、金魚の餌、ドックフードも食べるようです。ただ鳴き声がうるさく、自然化で聞いているならともかく、その音量は雑音、騒音そのものです。同じ音量で鳴き続けます。時間を計ってみたら約13分鳴いていました。驚くべき持久力です。何か器械が壊れたような「ジー・・・」という音(鳴き声)が持続して13分です。呆れてしまいます。鳴き声が止んでも耳の奥に音が残っていました。13キロヘルツの音域でピーク時は14キロヘルツです。かなり高めです。人間が聞こえるレベルが20キロヘルツなので高音(周波数が高い)なのが分かると思います。飼育する部屋と寝室を分けられない場合には、飼育することはお勧めしません。面白い特徴にクビキリギスの雌は単為生殖することができます。雄がいなくても孵化できる卵を産めるということです。増えてしまいそうですが、飼うなら音に悩まされない雌がよさそうです。クビキリギスは気性が荒いので、噛まれないように注意が必要になります。噛まれるとかなり痛いようです。
★クサキリ キリギリス科。雄は体長(翅端まで)40〜55ミリ。雌は47ミリ前後。分布は本州(関東地方以西)四国、九州、対馬、屋久島。山地の林縁、草地や堤防沿い、水田の脇や土手など湿った草原を好んで生息しています。夜行性で食性は草食でイネ科植物の葉を食べます。体色は緑色型と褐色型。出現は8〜10月。卵で越冬します。クビキリギスに似ていますが頭の先がクビキリギスのように尖っていないことと、口の周りの色は、緑色型が黄色っぽく、褐色型の口の周りは赤っぽくなることが特徴です。クビキリギスよりもどっしりとしていて幅のある体格をしているので、見るからに重量感があります。両種の判別に使える頭部の先端は、比べてみるとクサキリの頭の先は丸っこく見えます(尖っていません)越冬方法はクサキリは卵で越冬するので、成虫が鳴く時期は8月頃からになります。他のキリギリス科よりも動きが緩慢です。クサキリの翅端は丸くなっています。後ろ脚の脛節の色は褐色をしています。雌の産卵管は翅端よりも長く突き出ています。
クビキリギス雄.JPGクビキリギス顔.JPGクビキリギス緑型・越冬体.JPG
上3枚はクビキリギスです。1、2枚目はクビキリギスの褐色型の雄です。スーパーの壁にいたものです。冬眠から覚めて灯火に寄ってきたようです。撮影のため持ち帰りました。おそらくスーパーの前のわずかな植え込みあたりを住処にしていたのでしょう。撮影後は戻す予定です。普通種なのですが自然の状態ではなかなかお目にかかれないでいます。1枚目の写真からも分かるように意外と細身でスマートな体をしています。2枚目、口の周りが赤い色をしています。クビキリギスの特徴です。プラケース越しなので、濁って見えていますが、口の周りに赤色が見えます。頭の先も尖がっています。自然に帰すまでの餌に、イネ科のカモジグサを与えてみると、茎の部分をガリガリとかじって食べていました。葉の部分は食べていません。茎の硬い所が好きなようでした。カモジグサは道端など、どこにでも普通に生えている雑草で簡単に手に入ります。餌として他の植物は試していません。3枚目、上から見た緑色型の雄です。体の色が緑色(緑色型)の雄の場合の出現率は約30パーセントです。この写真は5月2日撮影で、越冬した緑色型の雄になります。駅の明かりに誘われて飛んできたのでしょう。駅ビル内の壁にいました。かなり遠くから飛んできたようです。クビキリギスの翅は細長い形をしており、1度に長い距離を飛ぶことはできないと想像しますが、周りに緑があまりない建物の壁などで見つけることがあります。飛翔性が強く飛翔力も強い飛ぶことが得意で、夜間の灯火に集まりやすいという特徴を持っています。クビキリギスは夜行性なので見つけるのが難しいです。日中に自然の中での撮影がなかなかできません。人工物を背景にしてではなく、緑の中で撮影をしてみたいのですが、いつも見つけるのは壁にとまっているものばかりです。
クサキリ雌.jpg
クサキリです。クビキリギスと比べるとがっちりとしていて重量感があります。似ていますが比較して見ると違いが良く分かります。緑色型は綺麗な緑色をしています。
★シブイロカヤキリ キリギリス科。別名は、旧名としてシブイロカヤキリモドキ。分布は本州(関東近郊、東北南部以南)温暖化により分布は北上しているようです。体長は翅端まで40〜52ミリ。クビキリギスと同じ時期、春に鳴く越冬型のキリギリスです。体色は褐色型のみ。口の周りが黒いことが特徴です。身体的特徴としては、シブイロカヤキリは脚の長さが短くド短足です。動きが鈍く翅も短く不格好です。しかし見かけによらず気性が荒く、手で持とうとすると攻撃して来るようです。噛まれないように注意が必要です。成虫で越冬します。出現期は4〜7月と10〜11月になります。脚が短いので飛び跳ねることが苦手で他のキリギリスのように飛び跳ねません。完全な夜行性で灯火にも来るようです。雌の産卵管は短く、翅の間に埋もれています。食性はイネ科植物を食べる草食性ですが、弱いながら肉食性の性質も持っているようです。餌が足りなくなると普段食べないイネ科以外の植物も食べるという適応力が有るようです。シブイロカヤキリの鳴き声は10キロヘルツでクビキリギスの鳴き声と差がありますが、実際は聞き分けることは難しいようです。シブイロカヤキリの鳴き声は濁った鳴き声と表現されています。成虫になってからの寿命は2か月ほどのようです。
★カヤキリ キリギリス科。キリギリス科の最大クラスの大きさを持つ希少種。カヤキリは群馬県、東京都では絶滅危惧T類。新潟県、埼玉県、栃木県、茨木県、和歌山県、奈良県、大阪府、高知県では準絶滅危惧種に指定されています。分布は本州(新潟県、茨木県以南)四国、九州、対馬、屋久島。体長は(翅端まで)63〜68ミリ。緑色型が多いですが褐色型もいます。ススキ、ヨシ、アシ、オギなどの草丈の有るイネ科植物の草むらに生息しています。草食性で餌もススキ、オギ、ヨシ、アシ等のイネ科植物を食べます。立派な翅はあるものの飛翔能力がなく、移動方法は歩いて移動します。長翅型でも飛翔能力は弱いです。このため移動することが苦手で、環境の激変に弱く、開発等の環境破壊の影響を受けやすいため、個体数を減らしているようです。出現期は7〜10月。成虫の寿命は短く、1か月半〜2か月のようです。鳴く時期は7〜9月。体の特徴はカヤキリの口の周りの色は赤色をしていて、緑色型が多いことです。頭部、胸部〜上翅付け根にかけて白い線が見えることです。神奈川県でも生息地は限られていて、三浦半島や、横浜市南部にはいるようです。完全な夜行性で灯火にも来るようです。
フィールドにしている自然公園で、おそらくカヤキリと思われる鳴き声を聞いていますが、撮影できていませんので、まだ未確認です。撮影してみたいのですが、昨年からかなりの面積になる範囲での樹木の伐採、植え込みの撤去等が行われ、キリギリス科の声がしていた低木、ススキ等がなくなってしまいました。適応力の弱いカヤキリですと心配な部分があります。夜行性の昆虫なので、夜の公園をうろつくわけにもいかないので(勇気がないので)撮影して追加したい種類なのですが、さらに発見が難しくなってしまったようです。
posted by クラマ at 15:15| Comment(0) | バッタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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