2019年05月28日

テイカカズラ、オオイタビ。テイカカズラは捻じれた花で良い香りがします。オオイタビは花が咲かないで実がなる植物です。

テイカカズラの様な植物に見たことのない実がなっている。と不思議に思っていたら、葉が良く似ているオオイタビとテイカカズラが混ざり合って生えていた事が分かりました。葉が似ていて葉を良く見比べないと間違ってしまいます。調べてみたら日当たりの良い場所ではテイカカズラの葉は大きくなることが分かりました。葉が大きくなったテイカカズラとオオイタビが混ざっていたのでした。簡単な区別は葉の裏を見ることです。両種の葉を見比べると葉の脈に大きな違いがでます。その差は1目瞭然で、オオイタビの場合、葉裏が灰白色で葉脈が明瞭に浮き出ています。テイカカズラの場合、葉は薄く脈は浮き出ることがありません。実の違いはテイカカズラの場合は実がなるのですが、対になった長細い実です。オオイタビの場合は、葉の付け根にイチジクに似た形の実がなります。混在していたので、当方が葉の違いをよく観察しないで不思議がっていただけなのでした。テイカカズラの花は独特な形で可愛い白い小さな花です。花弁が捻じれたプロペラやスクリューような変わった形に見えます。小さな花を沢山つけて、とても良い芳香を放ちます。テイカカズラには園芸品種も数種類あって、庭木には葉の色を楽しむ園芸品種の方が良く植えられています。春先の新しい葉の色は魅力的です。テイカカズラの花は、良く知られているジャスミンにも似て見えます。あまりなじみのないオオイタビはイチジクの仲間で、関東地方であまり見ることのない植物です。調べてみたら自生は千葉県以西ということで、南方系の暖かい地方の植物でした。当方観察地でもめったに見ない種類です。オオイタビの実は小さい時からしっかりとしいます。オオイタビの実はイチジクと同じく、花嚢といって内部に花が咲く仕組みになっています。オオイタビはイチジク科なので仕組みが同じなのです。実の形は球形から倒卵形をしたビワやイチジクを思わせる形をしています。見つけたのは公園の斜面のグランドカバーとして植えられているものです。混在しているので意識的に両種を混ぜて植えたようです。当観察地ではオオイタビは珍しいです。オオイタビを見つけた公園では、ある時期に枝の剪定をするので実が熟す前には無くなってしまいます。余計に分からなかった訳です。オオイタビはイチジク科の植物なので、イチジクと同様に花は着きません。果物のイチジクと同じように実の内部に花が付きます。花が変わっているテイカカズラとオオイタビを調べてみました。
★テイカカズラ キョウチクトウ科テイカカズラ属の常緑蔓性木本。別名はマサキノカズラ。キョウチクトウ科なので、テイカカズラにも毒がある有毒植物になります。分布は本州、四国、九州。温暖な場所を好み暖地では普通種で、林内や岩場などの岩場、崖地に自生しています。蔓性で這い上がる性質を利用して緑のカーテンとして使われたり、庭木や公園などの斜面にも植栽されています。10メートル以上に伸びあがることがあります。植栽される場合、北海道や沖縄でも利用されています。耐暑性があり丈夫です。葉は対生で革質をした光沢のある楕円形や卵状披針形。十分に日の当たる場所では葉が大きくなり、林床では小さくなります。冬には紅葉します。枝先や葉腋から集散花序を出します。花時期は5〜6月で花には甘い香りがします。花は集散花序で白色で後に淡黄色を帯びてきます。中心部に黄色い部分が見えます。花冠は5裂していて2〜3センチ程。花の特徴は花の裂片ががねじれて平らに開きます。花弁の幅には個体差があります。やや幅の広い花や細くて風車を思わせるような花もあります。果実は対になる袋果で長さは15〜25センチの円柱形をしています。実は付きにくく、花は咲いてもほとんど結実しないようです。花弁や葉の形に個体変異がある植物です。テイカカズラは病害虫に強く密生します。12〜1月頃、テイカカズラの葉は赤く紅葉します。緑色の葉も涼しげで綺麗ですが、紅葉した赤い葉も綺麗です。良く似た植物にケテイカカズラがあります。ケテイカカズラの若枝や葉裏には毛が多く生えています。分かりやすい見分け方は花筒を見比べます。違いはケテイカカズラの場合、花の花筒の太い部分と細い部分の長さがほぼ同等になることで判別することができます。園芸品種にはハツユキカズラやオウゴンカズラがあります。庭木ではテイカカズラよりも新芽の頃に、葉に赤や白い斑入りのあるハツユキカズラを多く見ます。ハツユキカズラの別名はフイリテイカカズラと呼ばれています。ハツユキカズラは日本で生まれた品種になります。オウゴンカズラの葉には黄色が入り、これら園芸品種は花だけでなく葉の美しさを楽しむ植物になっています。テイカカズラは空気中の湿気を好む植物で、乾燥が苦手なようです。乾燥が進むと葉が落ちてしまうようですが、夏場の乾燥以外は十分適応できるようです。1日強い日が当たる場所よりも半日向を好む植物です。増やし方は挿し木が1般的なようです。
テイカカズラ花.JPGテイカカズラ6弁.JPG
テイカカズラの花です。白い色に黄色味を帯びた個性的な花で、とても良い香りがします。個体変異がある植物で、樹によって花びらの太さには細いものもありました。花は捻じれていて形がスクリューやプロペラ、風車に似ていると言われます。気を付けなければいけないことは、ジャスミンに花や香りが似ている事です。テイカカズラは有毒植物になります。下、6枚の6弁に見える珍しいテイカカズラの花を見つけました。普通は5弁に見える5裂ですが6裂しています。このように開き始めの花は幅が広く見えますが、徐々に細長い花弁の花に見えていきます。テイカカズラの花の変異は少ないようですが、花の形には株により個体差があるようです。上の写真は細く見える株、下は幅が広く見える株の花です。このように良く探すと珍しい6弁に見える花も見つけることができるかもしれません。
テイカカズラ2葉と蕾.JPGテイカカズラ葉表1.JPGテイカカズラ葉裏2.JPG
上、葉と蕾。中、葉の表。下、葉の裏。葉は日当たりが良いと大きくなります。若い葉では特に光沢が強く綺麗なツヤのある綺麗な色をしています。日当たりの良くない場所では葉が小さくなります。
ハツユキカズラ.JPGハツユキカズラ花.JPG
上、ハツユキカズラです。キョウチクトウ科テイカカズラ属の斑入りの園芸品種です。葉の色を楽しむ種類で、芽吹きの新芽の頃は、白い色やピンク色をした葉が鮮やかに目立ちます。葉の大きさは小さいです。下はハツユキカズラの花です。白い色で花冠は5裂する5裂花です。平らに開く白い花は可愛いです。花は5裂して咲いたあと細く見える様になるようです。裂片は時間がたつと捻じれて細く見える様になっていくようで、花の形が平たく見える花と、細い風車の様に見える花が咲いています。ハツユキカズラはもともと花付きは悪い種類のようで、花を見て楽しむ種類にはむいていません。ハツユキカズラは剪定されていると花が咲かないことが多いので、花を見たい場合はあまり剪定をしない方が良いです。剪定していない場合、花は沢山付きます。ハツユキカズラを増やしたい場合などは、挿し木で増やすことができます。成長速度が遅いので、寄せ植えなどに使われることが多いです。庭樹として植えられているので見ることが多い植物です。
★オオイタビ クワ科イチジク属の常緑蔓性木本。雌雄異株。葉には厚みがあり、長さは5〜10センチ。幅は3〜5センチ程。全緑で革質。葉柄は長く楕円形から広卵形。葉先は丸みがありやや尖っています。側脈は4対。葉の裏面は灰白色で葉の脈が浮き上がっていて良く目立ちます。葉は互生します。葉は幼木の葉と成木の葉とでは形が違っています。幼木の葉の場合、葉は小さく側脈の角度が大きくなっています。成木の側脈の角度は測ったことはありませんが、主脈から30〜40度で分枝するようです。オオイタビはイチジク科なので果実の内部に花が咲きます。葉腋に花嚢が1個付きます。 花嚢は3〜6センチ程になるようで、球形〜倒卵形をしているようです。花嚢は雌花嚢は食べられるのですが、雄花嚢は食べられないようです。イチジクコバチ科の寄生により雄花のある雄株の実(果嚢)は虫こぶ(ゴール)になるようです。紛らわしいのですが、実の場合は果嚢と呼ぶようです、果嚢は11月頃、熟すと暗紫色になります。とは言え雌雄の実の判別は難しいようです。その上、食べられる実が付くのは少ないようです。分布は本州(千葉県以西)、四国、九州、沖縄。暖地に多く、林縁に自生します。オオイタビは耐暑性が強く、病害虫、乾燥にも強く、刈込にも強い丈夫な種類になります。壁面緑化用に多く使われますが、観葉植物としても利用されています。観葉植物としての使われる場合葉斑入りの園芸品種が多く使われます。この園芸品種はフィカス・プミラと呼ばれ斑入りの種類になりますが、オオイタビは同じく別名としてフィカス・プミラやプミラとも呼ばれています。増やす場合は挿し木で簡単に増えるようです。挿し木の時期は5〜6月が最適のようです。
オオイタビ葉表.JPGオオイタビ葉裏.JPGオオイタビ葉の比較.JPG
オオイタビです。公園に植えられていました。オオイタビの葉の表。表側からも脈が分かります。2枚目、葉の裏。こちらは葉の脈が綺麗に浮き上がって良く目立ちます。葉の色も乳白色をしています。葉柄もやや長いです。下、葉の比較です。葉の大きさには驚くほどの差がでます。
オオイタビ実1.JPGオオイタビ実2.JPG
葉の付け根の葉腋には実のできる部分が付いていて、この部分(花嚢)が大きくなっていきます。上、まだ小さな実です。実は短毛に覆われています。毛は伏毛になっています。下、やや大きくなった実です。花嚢は5〜6センチ程になるようです。残念ながら剪定されてしまうので、まだ当方は成熟した実を見たことがありません。実の雌雄は判別が難しいようです。調べてみないと分からない実、というところでしょうか。観察してみたいです。
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2019年05月06日

カラスビシャクとムラサキハンゲ。良く似た仏炎苞の色が違うサトイモ科の有毒植物です。

カラスビシャクとムラサキハンゲは良く似ています。どちらも雌雄同株で花の構造は肉穂(にくすい)花序の上半分に雄花が、下半分に雌花が付くという面白い構造をしています。雌花の部分は仏炎苞に包まれていて、外から見ることはできません。カラスビシャクの仏炎苞は緑色ですが、ムラサキハンゲの場合、仏炎苞は紫色を帯びています。花が咲いていないと(仏炎苞がないと)どちらがどちらか分かりません。ハンゲとはカラスビシャクの別名です。カラスビシャクは当ブログ「ミツバ(三つ葉)、ウマノミツバ、カラスビシャク。山菜狩りの前に、知っておいた方が良い葉の形が似た植物です」で紹介していて、2度目の登場になります。ムラサキハンゲは色の違う品種になります。カラスビシャクとムラサキハンゲが同じ場所に自生していることもあります。共に変異がある種類になりムラサキハンゲの方はやや稀な種類になりますが、カラスビシャクは道端や畑の脇などにも自生していて、普通に見つけることができます。カラスビシャクは古い時代に中国から渡来した帰化植物(史前帰化植物)といわれています。カラスビシャクは小型で全体が緑色なので、他の草と混ざって気が付かないだけで、探すと見つけることができると思います。花を包んでいる仏炎苞の形が気持ち悪いと言う人と、変わった形が面白いと言う人と、好みが分かれる、なかなかの面白植物です。仏炎苞の長さは5〜6センチ程で花序の付属体は糸状に直立して伸びています。当方はこの個性的な形が好きです。ヘビが嫌いな人にとっては、この独特な形の仏炎苞が、鎌首を持ち上げたヘビの頭にも似て見えるので、見たくない植物になるかも知れません。ムラサキハンゲは個体群によって色の濃淡などの変異があるので面白いです。小さくて探しにくいかも知れませんが、変異のある植物なので、探すと面白いです。
★カラスビシャク サトイモ科ハンゲ属。別名ハンゲ。有毒植物。単子葉植物の多年草。雌雄同株で草丈は20〜40センチ。葉は先のとがった長楕円形。葉は形の整った3小葉ですが変異があります。葉柄にムカゴができます。繁殖は塊茎、ムカゴ、種子で増えます。カラスビシャクは目立たないだけで普通種になります。葉は地面に近い所にあるので、伸びあがった仏炎苞が良く目立ちます。花期は5〜7月。カラスビシャクの名前の由来は、仏炎苞が小さなヒシャクに似ている形をしていること、小型でカラスが使うに丁度よい大きさとして例えられたことで、カラスビシャクの名がついたようです。花に見えるのは花を包んでいる苞で、仏炎苞と呼ばれるものです。花茎は直立し伸びあがります。葉より高い位置で上の方に咲きます。仏炎苞の中に花があります。花の構造は肉穂(にくすい)花序の上半分に雄花が、下半分に雌花が付きます。葉は3出複葉(3小葉)で地下に1センチほどのか球状の塊(塊茎)があり、この塊茎から長い茎のある葉を出します。若く未熟な葉の場合、単葉の葉がでますが成長して行きます。葉も変わっていますね。球状の塊(塊茎)の大きさは1〜2センチ程です。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。畑や林縁、道端に自生しています。適応能力は高いのですが、湿り気のある土質を好みます。栽培する場合は、塊茎かムカゴを使うと失敗が少ないようです。
・カラスビシャクの仏炎苞の基部は開いているものと閉じているものがありました。これは成長の違いなのかとも思いましたが、僅かな個体差もあるようです(成長した仏炎苞は開いているものと思います)カラスビシャクは雌雄同株なので、昆虫を閉じ込めなくても受粉に影響がなければ問題はありません。仏炎苞に閉じ込めて受粉させるも良し、脱出させるも良し、無事に受粉できれば良いということのようです。マムシグサの仲間のような雌雄異株と違い、カラスビシャクとムラサキハンゲの場合は仏炎苞の中に入った昆虫の出入りは自由。授粉できれば問題なしになっているようです。
カラスビシャク葉の細いタイプ.JPGカラスビシャク仏炎苞.JPGカラスビシャク花.JPG
上、カラスビシャクです。初めは見つけにくい植物ですが、1度見つけると次から探すことに慣れてきます。とは言え、葉の位置が低いので、仏炎苞が見えないと他の植物に葉が隠れてしまいます。このカラスビシャクの葉は細長いです。周りに見える若い葉は丸みが強い卵形に見えるものもあります。葉の形にも成長の度合いでいくつかのパターンがあります。分かりにくいのですが、右下の右角には仏炎苞の背面も写っています。2枚目、カラスビシャクの仏炎苞です。緑色をしていて花の部分は隠れていて見えないです。見えにくくなるので写真を横位置にしています。3枚目、花が見える様に仏炎苞の1部を除去しました。左側の薄い黄緑色に見える部分が雄花のあった部分で、少し離れた所に見える白い環状の部分が雄花に樽部分です。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿公園。
カラスビシャク花2.JPG
上、付属体も含めた写真です。分かりにくくなるので横位置で載せます。カラスビシャクは仏炎苞も付属体も細長いです。
・紫の仏炎苞はムラサキハンゲと呼ばれる変種になります。
★ムラサキハンゲ サトイモ科ハンゲ属。単子葉植物の多年草。有毒植物です。草丈は20〜40センチ。カラスビシャクよりも少なく稀な種類になるようです。ムラサキハンゲはカラスビシャクと仏炎苞の色が違うことで区別されます。色が違うだけでほとんど同じに見えます。紫色を帯びているカラスビシャクと思ってもよいと思います。名前にある様に仏炎苞は紫(紫褐色)に見えます。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。山地から低地の草地、林縁、畑地などに生育します。適応能力は高いのですが、湿り気のある土質を好みます。花期は5〜8月。仏炎苞が紫褐色なので、カラスビシャクよりも見つけやすいです。ムラサキハンゲの仏炎苞にも個体差がって、色の薄いものや紫色に筋が入っているなどムラサキハンゲの場合、仏炎苞の色合いに個体差がでます。見つけた場所の個体群によって雰囲気が代わります。ムラサキハンゲはとても魅力的で面白いです。このことからも分かるように生育する地域によって変異する確率が高い植物と言えるようです。
ムラサキハンゲこども自然公園.JPGムラサキハンゲ若い仏炎苞.JPGムラサキハンゲ南本宿公園・仏炎苞.JPGムラサキハンゲ1.JPGムラサキハンゲ2.JPGムラサキハンゲ花.JPG
1番上、ムラサキハンゲの仏炎苞と葉です。2枚目、上の個体群の若い仏炎苞です。伸びあがっていく時の花茎は全体に細くなっていますが、すでに先端部分には薄い紫褐色が見えています。3枚目、上2枚とは違う場所のムラサキハンゲです。仏炎苞の色合いが違っています。こちらは全体が紫褐色をしています。仏炎苞の色彩の違いが面白いです。4、5枚目、3枚目の個体群の仏炎苞です。横位置で角度を変えて見て見ました。バックは岩上生の地衣類(ヘリトリゴケ)です。6枚目、上の仏炎苞を花が見える様に1部を除去しました。花の構造はカラスビシャクと同じです。花の構造が面白いです。仏炎苞の基部側を除去してあります。雌花は外部から見ることができません。可愛そうですが雌花を見るために犠牲になってもらいました。雌花の上に離れて見えるのが雄花の部分になります。撮影地。上2枚、神奈川県横浜市こども自然公園。下4枚横位置が、横浜市、南本宿公園。
ムラサキハンゲ花比較2.JPGムラサキハンゲ花比較3.JPG
上、先に写真で紹介した個体とは雰囲気(色合い)が違うムラサキハンゲです。こども自然公園の別の場所で見つけたものです。南本宿公園の個体と比べるとグラデーション等のバリエーションがあることが分かります。ムラサキハンゲの仏炎苞の色彩は自生する場所が違うと微妙に雰囲気が違っています。変異が多い種類と言われる由縁です。この変異がまた面白いのですが、小さい植物なので見落とされてしまっているのかも知れません。南本宿公園での撮影等は管理者の草刈等、作業中に行わせていただきました。両種とも草刈等に強く、丈夫な雑草です。また来年、興味深い花を見ることができます。
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ケキツネノボタン。黄色い花が可愛い毒性の強い有毒植物です。

ケキツネノボタンは毒性の強い有毒植物です。大変良く似たキツネノボタンという種類もあります。共に全草に毒があります。毒といっても命の危険はないものの、どちらもセリやミツバに混ざって湿地等に生えていることがあるので注意が必要です。よく見れば葉の形が違うので間違えることはあまりないように思えますが、食べられる山野草として有名なセリやミツバと同じような場所に生えることもあることから、毒のあるキツネノボタン等と誤食する可能性もあり得ることから、もしも山菜狩りをする場合などには知っておいた方が良い植物になります。どちらかというと、誤食よりもセリや3つ葉に混ざって摘み取ってしまった汁が皮膚について発疹や腫れる等の危険があります。キツネノボタンはキンポウゲ科の植物です。キンポウゲ科の植物には有毒である場合が多いことも知られています。花は4月から咲きだします。黄色い可愛い5弁花になります。花弁にはツヤ(光沢)があり、よく見ると綺麗な花です。花の寿命は2〜3日で、夕方から朝までは閉じてしまいます。花が終わると実を付けますが、キツネノボタンはの実はとんがりが沢山ついている、金平糖の様な形をしていて、実に個性的です。別名にコンペイトウグサという呼び名がある程です。花と実を楽しめる草です。耐寒性があり、繁殖はこの変わった種子で行われます。名前の由来は葉の形が牡丹(ボタン)に似ていることから来たようです。キンポウゲと同じような黄色いツヤのある花は綺麗です。繁殖は種から育てることができます。キツネノボタンとよく似たケキツネノボタンは共に個体変異があるので、どちらなのか迷う個体も多いようです。判別には果実の作りを調べる必要があります。どちらも多年草(2年草)になりまう。低地に多いのはケキツネノボタンで田んぼでは、田の中ではなく田の畦に生える植物になります。畦を探すと見つかると思います。果実の形も面白いので、探してみると良い観察ができると思います。キツネノボタンは山地に多い種類になるので、少し見つけにくい種類になります。
・キツネノボタンもケキツネノボタンも有毒植物なので、もしも山菜狩りをする場合、葉が若いとミツバにも似ているので、可食のミツバ、セリと間違えないようにしなければなりません。毒の症状は口腔内の炎症、胃の炎症、吐き気、下痢、血便を起こします。茎や葉の汁で、かぶれ(皮膚に強い刺激を与えます)を起こします。コンペイトウのような可愛い形の実も採ってはいけません。植物の汁が付いたらかぶれてしまいます。毒成分はラヌンクリンと呼ばれる成分になるようです。
ラヌンクリンは2次的な作用により毒性を発揮します。ラヌンクリンは植物体を摘み取ること、つまり葉がつぶれたり、噛んだりした場合に加水分解が起こりプロトアネモリンに変質することにより危害を与える毒成分となるようです。両種とも同じような環境(場所)で育ちます。昔はよく見た花なのですが、湿地が減ったり、田の畦でも見ることが少なくなってきています。早春に咲く黄色い花はそれなりに綺麗だったので、見る機会が少なくなったことは残念に思います。良く似ていて混同されるキツネノボタンとケキツネノボタンを調べてみました。
★キツネノボタン キンポウゲ科の多年草。別名コンペイトウグサ。全草に毒のある有毒植物です。普通種で湿り気のある場所で普通に見つけることができます。草丈は30〜80センチで茎は直立します。葉は3出複葉で、葉は幅が広く葉先と鋸歯はあまり尖っていません。茎の毛はほとんどないか、わずかな斜上毛があるだけです。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄(沖縄には少ない)山地の湿地など、湿り気のある場所や湿地、田んぼの畦などに生育しています。キツネノボタンは毒性が強いので、葉の形がやや似ているセリとの誤食に注意が必要です。セリが生えている同じような場所に生育していることも多く、林縁や湿り気のある場所(湿地)に生えます。山地に多く見られる種類です。花期は4〜7月で花は光沢のある黄色い5弁花の小さな花を付けます。実は黄緑色で形は球状になります。実は金平糖(コンペイトウ)の形に似た集合果で、突起が多く突き出ています。この痩果(そうか)には縁に稜がありません。棘の先端は鉤状に曲がります。痩果とは厚みがなく硬い果皮に種が1個入っている形態の果実です。
キツネノボタンの仲間の実は、お菓子の金平糖に似た形をしているので覚えやすい植物になると思います。突起の先は鋭く尖ったフック状になっています。キツネノボタンはヤマキツネノボタンの変種とされています。
似た種類にヤエキツネノボタン、ヤマキツネノボタン、ケキツネノボタン、コキツネノボタン、シマキツネノボタンがあります。花が八重咲のキツネノボタンはヤエキツネノボタンと呼ばれています。茎の毛が多いものはヤマキツネノボタンとしていますが、キツネのボタンと同じ植物とする場合もあります。現在ではキツネノボタンがヤマキツネノボタンの変種になっているようです。ケキツネノボタンは小葉の幅が狭く、鋸歯の先が尖っています。葉の切れ込みも深くなっています。ケキツネのボタンの場合、大きな株になります。コキツネのボタンはやや小型で、草丈は30〜60センチ。特徴は集合果は楕円形をしていて、痩果の棘の先端は曲がっていません。葉と葉柄に開出毛があります。コキツネノボタンは珍しい種類になります。絶滅危惧T類、絶滅危惧U類に指定されている県も多いです。シマキツネノボタンは本州西部、四国、九州、沖縄に分布していますが、数は少ないようです。沖縄ではキツネノボタンよりもシマキツネノボタンが多く生育しているようです。
★ケキツネノボタン キンポウゲ科の多年草。草丈は30〜65センチ程で茎は直立します。葉は3出複葉で、葉は狭く葉先と鋸歯はあまり尖っています。茎の毛は多く、毛は葉など全体に生えています。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。田の畦、沼地、湿地など湿気のある場所を好みます。田の畦など低地に多い種類になります。キツネノボタンにも毛の生えているものがあるので、茎の毛では判別できないようです。実の棘は先端が曲がっていません。こ特徴にも個体差があるようです。キツネノボタンとの見分け方は痩果(そうか)には縁に稜があることで(稜は3稜)、実の棘は直線的かやや曲がるものが多いようです。痩果は平面に並んで見え、扁平になっていることが見て分かります。特徴は実が熟すと扁平な面に、リング状の稜が見えることです。花期は4〜7月。花は黄色い5弁花の光沢のある小さな花を付けます。茎は上部でよく分枝します。キツネノボタンと同様に毒草です。湿地等が減っているので昔ほど見る機会は少なくなっています。
ケキツネノボタン花1.JPGケキツネノボタン花2.JPGケキツネノボタン葉.JPGケキツネノボタン果実1.JPGケキツネノボタン果実2.JPG
上2枚、ケキツネノボタンの花です。花はキンポウゲに似た黄色いツヤのある花弁を持っています。小さな花ですが綺麗です。閉じている花と開いている花です。3枚目、葉です。平地に多い種類で葉の形は3小葉で切れ込みが深いので、セロリの葉の様に見えます。セリと同じような場所に生育しますがセリよりも大きくなる葉と幅のある葉なので、良く見ればセリと間違えることはありません。4、5枚目、果実です。痩果の先にはトゲトゲが付いている面白い実です。お菓子の金平糖のように見える形が特徴的です。ケキツネノボタンの場合、金平糖に似た痩果の棘の曲がりが直線的で弱い個体が多いようですが、個体差(変異)もあるようです。
ケキツネノボタン茎、下部.JPGケキツネノボタン茎、上部.JPG
茎の毛の様子です。上は根元に近い部分で毛深いです。下は上部の茎の毛です。下部よりも毛は少なくなります。名前に「毛」が付いているだけに茎や葉には毛が生えています。名前の由来は葉が牡丹に似ていて、茎や葉に毛が多いことから、キツネノボタンの名前にケ(毛)が付き、ケキツネノボタンという名前になったようです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。棘のある金平糖のような果実なので、この特徴が分かっていると名前が分かりやすい種類になるので、探してみると面白い観察ができると思います。
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