2019年06月14日

マルバノキ。葉がハート形に見える変わった習性の多い植物です。

マルバノキは丸味のあるハート形の葉が特徴です。名前の由来はそのままで、丸い形の葉の樹です。庭木としても面白い植物で、マルバノキの別名のベニマンサクと言う名前にある様に、マンサク科の花に似た赤い色(暗紅色)の花を咲かせます。花はマンサクの仲間なので小さくて目立ちません。花は背中合わせに咲きます。変わった植物で、マンサク科の花が春に咲くのとは違い、紅葉の葉が落ちる頃に咲き始めます。実は刮ハでハート形にも見えます。マルバノキの最大の特徴は花の付き方にあります。花は2個が背中合わせに咲きます。この花が背中合わせに咲くことから、実も背中合わせに2個付いてできます。秋には葉が赤く紅葉します。庭木には最適で、1年を通して新緑の鮮やかな緑色から紅葉の赤色まで楽しみことができます。半日陰だと葉は黄色く紅葉します。葉の紅葉の仕方も変わっていて、マルバノキの場合は徐々に部分的に紅葉していくので、緑、黄色、赤が斑状になった所から、濃い赤色に変化していきます。同じ樹で緑色、黄色、赤色の葉が付くこともあります。マルバノキは花を楽しむというよりも葉の紅葉を楽しむ庭木に適しています。春に花を咲かせるマンサクの仲間はマンサ科マンサク属で、マルバノキは マンサク科マルバノキ属 になります。さらにマルバノキは1属1種の日本固有種になります。変わったところが多いことも納得というところです。マルバノキを調べてみました。
★マルバノキ マンサク科マルバノキ属。別名ベニマンサク。1属1種の日本固有種。高さ1〜3メートルの落葉低木。自生地は本州(岐阜県、長野県、広島県、岡山県)、四国(高知県)と自生地は少ない希少種です。あまり群生はしないようです。自生種は現在では数を減らしていて、さらに珍しくなったようです。日本レッドデータによると岡山県、高知県では絶滅危惧T類。広島県では準絶滅危惧種。また広島県では群落地を県の天然記念物に指定しています。植栽が適している地域として本州関東地方南部、四国、九州。神奈川県ではあまり見ることがありません。馴染みの公園に1本ある他、近くでは見ることがありません。探した場合、庭木としての方が見つかると思います。花期は10〜12月。葉が落ちてから花が咲き始めます。花色は暗紅色で花は捻じれた細い花弁をしています。広がってひも状に見える花はヒトデの形やヒドラの触手に似ています。花弁は5枚の両性花です。花自体は美しい形の花とは言えませんが、形が変わっていて面白いです。葉は互生します。葉は丸っぽい形で、ハート形や卵円心形をしています。葉の長さは4〜10センチ。幅は5〜12センチ程。葉には5〜7本の主脈があります。葉の柄が長く、柄は新緑を過ぎると赤く色づきます。日当たりの良い場所に育つと、葉の紅葉の赤色が強くなります。乾燥に強い植物で、湿った場所は向いていません。マルバノキは病害虫に強く、成長が遅い樹なので剪定もしない方が良いです。自然樹形を保つことが良い植物です。
・増やし方。種子や挿し木で増やすことができます。マルバノキは種子の発芽率が良いようで種子でも増やせます。ただ、種まきの場合、低温処理をしないと発芽率は落ちます。乾燥しすぎないようにして低温にさらす必要があり、やや面倒になります。お勧めは成長が遅い特徴があることから、1般的に行われる挿し木で増やすことが良いと思います。鉢植え、地植えができます。根が付けば乾燥には強い方なので手間も掛りません。鉢植えの場合は乾燥のしすぎには注意した方が良いようです。
マルバノキ1新葉.JPGマルバノキ2葉表.JPGマルバノキ3葉裏.JPG
マルバノキの葉です。上、鮮やかなグリーンをした新葉は大きく広がっていき面白いです。中、少し大きくなった葉の表です。後ろに樹皮が見えています。樹皮の色は灰褐色です。葉の形はハナズオウやカツラに似ています。下、葉の裏側です。脈がより目立ちます。
マルバノキ紅葉.JPG
赤くなった葉です。写真を追加しました。紅葉した葉も綺麗です。葉の色に変化があって面白いです。マルバノキは花よりも葉を楽しむ樹木です。9月25日に撮影。
マルバノキの実.JPGマルバノキの実2.JPG
マルバノキの実です。この公園で初めて実が結実したので、取りあげてみました。実を見るのは初めてです。ハート形にも見える実には愛嬌があります。実は2個が背合わせに付きます。
マルバノキ追加.JPG
上はマルバノキの花です。形が変わっている面白い地味な花です。遠くから見たら花が咲いていることが分かりにくいです。マルバノキの品種に斑入り品種の恵那錦、葉縁が黄色い阿寺錦など15種類ほどがあるようです。斑入り品種の恵那錦は民家の玄関先で見たことがあります。葉の美しさから今後、もっと目にする機会が増えていくのでしょう。
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2019年06月11日

オオマムシグサ、ミミガタテンナンショウを見つけました。変異が多いマムシグサの仲間の植物です。

マムシグサの仲間は分類が曖昧で似たものが多く、変異も多い種類なので正確には判別が難しいです。専門家でも分類が難しい程で、素人にはザックリと総称でまとめたいと思ってしまう植物です。ここでは見た目の特徴が似ているものの種名を当てました。観察していると何だかわからない配色の仏炎苞をしている個体もあり、見なかったことにしているものもあります。変異は個性的で面白いのですが、種名を当てるとなると、とんでもなく厄介なことになります。テンナンショウの仲間は調べたことがある方では良くお分かりだと思いますが、調べるほどに訳がわからなくなっていきます。ただ、見ているとこの最初は不気味な印象を受ける不思議な形状の植物に、なぜか愛着が湧いてくるようになります。春、花が咲く時期になると、個性的で面白いテンナンショウ属を探すのが面白くなってきます。ただ、何年か前にもあったものがなくなっていたりと、少しずつ数を減らしてきています。気持ち悪い植物と嫌う人と、個性的で面白いという人がいる変わった植物です。この両極的な感覚を与えるテンナンショウ属は興味深い種類だと思います。マムシグサの仲間(テンナンショウ属)は個体差が大きく、実際には見た目で種名を当てて良いのか、大いに迷ってしまいます。ザックリとマムシグサに似た数種類をまとめてマムシグサとする案も出ているようです。専門家ですら意見が割れている種類になるので、間違っていても不思議でもなく、さらには間違っているのかどうかさえ、遺伝子を調べて分類しなければならないような話になってしまいそうで、素人が紹介する植物ではない気がしますが、よく見かける植物なので独断と偏見で名前を当てて紹介することにしました。まずはオオマムシグサとミミガタテンナンショウを調べてみることにしました。
オオマムシグサは「オオ」と付いているだけに、大型のマムシグサと言う名前の由来があるようです。ただ、大きさには個体差があるので、ただ草丈が大きいと(高い)というだけでは判別できません。個体差がある植物だけに、何点か特徴を見つけることが必要になってきます。オオマムシグサに似ている種類にミミガタナンテンショウとムラサキマムシグサがあります。ここで最低限、この3種の違いを調べる必要が出てきます。ミミガタナンテンショウは珍しい種類になるので、オオマムシグサの方が見つける機会は多くなります。よく似た種類を比較して見ました。
☆似ている3種、オオマムシグサ、ミミガタナンテンショウ、ムラサキマムシグサの特徴の比較。
・オオマムシグサ オオマムシグサの花期は5〜7月。仏炎苞は暗紫色、稀に緑色もある様です。緑色の仏炎苞の場合、カントウマムシグサ(仏炎苞が緑色)と判別しないといけません。カントウマムシグサの紫色の仏炎苞をしたものがムラサキマムシグサと呼ばれます。仏炎苞の先は長く垂れ下がる(ムラサキマムシグサに似ますが、ムラサキマムシグサよりも苞の先が垂れ下がる部分が長くなります)。オオマムシグサの付属体の径は10〜12ミリで付属体は棍棒状で乳白色。
仏炎苞筒部は淡緑色〜白色。舷部(げんぶ)は褐色で白い縦筋が目立ちます。ドーム状に盛り上がっているそうです。舷部(げんぶ)とは花弁の基部が細長くて、先端部が広がっているような花冠の場合、広がった先端部を舷部と呼びます。基部の細い部分は爪と呼ぶそうです。表現が専門的すぎて良く分からなくなってしまいそうです。オオマムシグサの口辺部はやや広く開出(広がって見えます)しています。小葉は楕円形で大きいです。
・ミミガタナンテンショウ ミミガタナンテンショウの花期は4〜5月。仏炎苞は濃紫色〜暗紫色で苞の先は垂れないことが多いようです。ミミガタテンナンショウの最大の特徴は仏炎苞の口辺部が左右に開いたように開出します。平たくと左右に飛び出した様な感じになるようです。典型的なミミガタテンナンショウは仏炎苞の先は垂れ下がりません。ただし個体差がある種類なので、垂れ下がっている個体もあると思います。付属体の先端部は棒状〜棍棒状で丸みを帯びて付属体の径は3〜10ミリとされています。小葉は幅が広い卵形〜楕円形。ただし変異もあります。
・ムラサキマムシグサ ムラサキマムシグサの花期は5〜6月。仏炎苞は暗紫褐色を帯びていて縁はやや広く反り帰っていて、白い縦筋が目立ちます。付属体は暗紫褐色で形は先が頭状に膨らんでいます。付属体の径は6〜7ミリ。舷部は筒部に覆いかぶさるようになったドーム状で、長さは7〜12センチと長めです。緑色の仏炎苞をした種類がカントウマムシグサと呼ばれます。しかし、ムラサキマムシグサとカントウマムシグサの中間的な個体も見られます。
注意点として個体差があることから、これら上記の特徴は当てはまらないこともあります。比較を文章で読んでも良く分からいと思いますが、参考にしてみてください。
ミミガタテンナンショウとオオマムシグサを調べてみました。
ミミガタテンナンショウはマムシグサの仲間のヒガンマムシグサの変種で、ヒガンマムシグサやムラサキマムシグサに似ています。ヒガンマムシグサは葉の中肋に沿って、はしばしば白い白斑が入る場合が多いようです。また仏炎苞の色には変異が多く、紫褐色、黄褐色、淡緑褐色、緑色の強い個体などがあり白い縦筋が入ります。ムラサキマムシグサとは仏炎苞の口辺部の張り出し等に違いがでます。テンナンショウの仲間は変異も多いので、判別は難しい植物になります。
ミミガタテンナンショウは珍しい種類の植物になっていて、日本のレッドデーターによると、絶滅危惧T類は千葉県、兵庫県、高知県。絶滅危惧U類は静岡県、長野県。準絶滅危惧種は岩手県、福島県、愛媛県になっています。当方観察地の神奈川県では、ムラサキマムシグサ、カントウマムシグサ、ミミガタテンナンショウが混在しています。紛らわしいというよりも、判別には苦労するものの、色々見ることができるので運が良いと思っています。苞の色や形はオオマムシグサも似ています。思わず「何でこんなに似た種類ばっかりなの」と言葉が出てくる植物です。
★ミミガタテンナンショウ サトイモ科テンナンショウ属の多年草。ミミガタテンナンショウはヒガンマムシグサの変種になっている日本固有種です。草丈は30〜80センチと大型で雌雄同株の有毒植物です。栄養状態により雌株と雄株に代わる面白い特徴があります。雄株では仏炎苞の基部に穴が開いていて昆虫が花粉を付けて脱出できるようになっています。雌株では仏炎苞の基部に穴が開いていません。中に入った昆虫は雄花の花粉をつけていた場合、出口を探して動き回ります。その必死の抵抗により確実に受粉させることができるという仕組みです。ミミガタテンナンショウの特徴は仏炎苞の縁(口辺部)が左右に張り出して見えることです。この特徴を持ったテンナンショウの1種なので、判別が難しい似た種類の多い仲間の中では、比較的に分かりやすい種類になると思います。仏炎苞は濃紫色〜暗紫色で縦筋が見えます。仏炎苞の大きさは基本種よりも大きく、花期は4〜5月。筒部の大きさは4・5〜8センチ。付属体の先端部は棒状〜棍棒状で丸みを帯びています。付属体の径は3〜10ミリとされています。分布は本州(岩手県〜静岡県の太平洋側)、四国(西南部)、九州(大分県)。関東地方、山梨県の低山地。神奈川県ではたまに見る種類です。低山地の山林や林縁に生育しています。葉は2枚。小葉は卵形〜楕円形で幅が広い特徴がありますが、変異も多いようです。小葉は鳥足状で7〜13枚あります。珍しい種類になるので離れているとどの種も似たものが多い事から、見逃してしまうということもあると思います。近づいて特徴を確認すると見つかるかも知れません。
・判別する方法として、ミミガタテンナンショウは仏炎苞の口辺部は左右に開いたように開出して見えます。カントウマムシグサやムラサキマムシグサでは口辺部の巻き込まれる部分の面積が大きいものはあるのですが、左右には広がりません。個体差でこの巻き込みの部分が少ない個体と大きい個体はある様なのですが、左右に広がり(平らに)がない場合、ムラサキマムシグサとしました(素人なので間違いがある可能性はあります)。この判断は見た感じと変異が大きい種類によることからの判断になります。オオマムシグサとも似ていますが、やはり口辺部は左右に広がりません。またオオマムシグサの場合は仏炎苞が大きく垂れ下がっています。典型的なミミガタテンナンショウの場合、仏炎苞の先は垂れ下がらないようです。もちろん必ずとは言い切れませんが、垂れ下がらない個体が多いようです。観察しているとミミガタテンナンショウの仏炎苞は展開した葉の上の方にあります。
ミミガタテンナンショウ1.JPGミミガタテンナンショウ2.JPGミミガタテンナンショウ3.JPGミミガタテンナンショウ4.JPGミミガタテンナンショウ葉.JPG
上、ミミガタテンナンショウ。角度を変えて見て見ました。1番下は葉の様子です。撮影は5月。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
★オオマムシグサ サトイモ科テンナンショウ属の多年草。日本固有種。草丈は30〜80センチ。雌雄同株の有毒植物です。栄養状態により雌株と雄株に代わる面白い特徴があります。雄株では仏炎苞の基部に穴が開いていて昆虫が花粉を付けて脱出できるようになっています。雌株では仏炎苞の基部に穴が開いていません。中に入った昆虫は雄花の花粉をつけていた場合、出口を探して動き回ります。その必死の抵抗により確実に受粉させることができるという仕組みです。葉は2枚。小葉は鳥足状で7〜13枚あります。葉は楕円形で大きいです。分布は本州、四国、九州。山地、森林、林縁など明るい湿った環境を好むようです。茎の模様は紫褐色が多いが、色の濃淡など模様にも変異が多い。仏炎苞の形は仏炎苞は淡紫褐色。大型で白い縦線が入る。口辺部はやや広く開出して広がっています(張り出しはミミガタナンテンショウよりも小さくなります)。オオマムシグサは葉の形状、仏炎苞の形状に変異が大きい種類なので正確な判別は難しいです。仏炎苞の特徴は幅が広く、長く先が垂れ下がる場合が多い事のようです。付属体は棍棒状で  紫褐色の斑があるものや乳白色をしている様です。花期は5〜6月になります。オオマムシグサは日本のレッドデーターによると秋田県、山形県で絶滅危惧T類。愛知県で絶滅危惧U類になっています。オオマムシグサはカントウマムシグサよりも大きいとされていますが、背丈の低いオオマムシグサもあることから、草丈の大きさだけでは判断できません。
オオマムシグサ3.JPGオオマムシグサ緑型.JPGオオマムシグサ緑型。左右の張り出しが強い.JPG
上、オオマムシグサ。口辺部は広く開出して広がっています。仏炎苞はムラサキマムシグサよりも大型で花期がムラサキマムシグサよりも遅いです。舷部はドーム状に盛り上がる。近くの場所のムラサキマムシグサの仏炎苞が枯れるころに目立ってきます。オオマムシグサとして紹介しました。1番上は普通の紫色系になるようですが、苞には緑色が入っています。下2枚は苞が緑色をしている緑色型のオオマムシグサだと思っています。ここではオオマムシグサとして紹介させていただきます。撮影は5月。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
ムラサキマムシグサ1.JPGムラサキマムシグサ2.JPG
上、ムラサキマムシグサです。比較のためにムラサキマムシグサの写真も見てください。上は口辺部を拡大してみた写真です。苞の特徴の1つに舷部が長く垂れ下がることがあります。仏炎苞の縁は巻き込まれます。仏炎苞は暗紫褐色お帯び 付属体は暗紫褐色で先が頭状に膨らんだ棒状です。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。ムラサキマムシグサは当方、他記事のブログで紹介しています。似たものや変異が多いのですが、写真は張り出しがオオマムシグサとした写真のものより弱いので、ムラサキマムシグサで良いと思っています(間違っている可能性もあります)とにかく難解な植物です。
写真で3種類のテンナンショウ属を紹介しましたが、変異や個体差が大きい植物で正確な判別は難しいです。どれも同じように見えてきてしまいます。数年前から調べていてやっと紹介するに至りました。間違っていても素人ゆえご容赦願います。1番良いのは図鑑に記載されているものと特徴、容姿ができるだけ1致するものを探すことになりそうです。変異のある植物も面白いのですが、テンナンショウ属の場合は、かなり難解になってしまいます。
以前、カントウマムシグサ、ムラサキマムシグサ、ウラシマソウも記事にしました。注意深く見ないと、これら写真だけを見ると間違い探しになってしまいそうになる植物であることが、いともたやすく見て取れます。見慣れてくると、この奇異な形の個性的な植物が魅力的に思えてくるから不思議です。目を背けないで見かけたら観察することをお勧めします。食べることを考える方はいないと思うのですが、テンナンショウ属の植物は有毒植物なので、決して食べようとは思わないでください。残念なことにテンナンショウ属の植物は年々見る機会が減ってきている感があります。本格的な林や低山地以外ではめっきり数が減っているようです。気持ち悪い植物だと思い、抜き取ったり、けり倒すことは裂けていただきたく思います。テンナンショウ属には日本固有種も多く、しかも絶滅危惧種になっている種も多く、大事にしていきたい植物になってきています。以前観察できた別の公園では、ウラシマソウやマムシグサ(カントウマムシグサ、ムラサキマムシグサ)が絶滅してしまいました。見ることができなくなるのは残念なことです。見た目の悪い(気味の悪い)植物でも、なくなってしまうことは自然界の損失になるので大事に保護していきたいものです。
posted by クラマ at 13:22| Comment(0) | 自然観察・植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月28日

テイカカズラ、オオイタビ。テイカカズラは捻じれた花で良い香りがします。オオイタビは花が咲かないで実がなる植物です。

テイカカズラの様な植物に見たことのない実がなっている。と不思議に思っていたら、葉が良く似ているオオイタビとテイカカズラが混ざり合って生えていた事が分かりました。葉が似ていて葉を良く見比べないと間違ってしまいます。調べてみたら日当たりの良い場所ではテイカカズラの葉は大きくなることが分かりました。葉が大きくなったテイカカズラとオオイタビが混ざっていたのでした。簡単な区別は葉の裏を見ることです。両種の葉を見比べると葉の脈に大きな違いがでます。その差は1目瞭然で、オオイタビの場合、葉裏が灰白色で葉脈が明瞭に浮き出ています。テイカカズラの場合、葉は薄く脈は浮き出ることがありません。実の違いはテイカカズラの場合は実がなるのですが、対になった長細い実です。オオイタビの場合は、葉の付け根にイチジクに似た形の実がなります。混在していたので、当方が葉の違いをよく観察しないで不思議がっていただけなのでした。テイカカズラの花は独特な形で可愛い白い小さな花です。花弁が捻じれたプロペラやスクリューような変わった形に見えます。小さな花を沢山つけて、とても良い芳香を放ちます。テイカカズラには園芸品種も数種類あって、庭木には葉の色を楽しむ園芸品種の方が良く植えられています。春先の新しい葉の色は魅力的です。テイカカズラの花は、良く知られているジャスミンにも似て見えます。あまりなじみのないオオイタビはイチジクの仲間で、関東地方であまり見ることのない植物です。調べてみたら自生は千葉県以西ということで、南方系の暖かい地方の植物でした。当方観察地でもめったに見ない種類です。オオイタビの実は小さい時からしっかりとしいます。オオイタビの実はイチジクと同じく、花嚢といって内部に花が咲く仕組みになっています。オオイタビはイチジク科なので仕組みが同じなのです。実の形は球形から倒卵形をしたビワやイチジクを思わせる形をしています。見つけたのは公園の斜面のグランドカバーとして植えられているものです。混在しているので意識的に両種を混ぜて植えたようです。当観察地ではオオイタビは珍しいです。オオイタビを見つけた公園では、ある時期に枝の剪定をするので実が熟す前には無くなってしまいます。余計に分からなかった訳です。オオイタビはイチジク科の植物なので、イチジクと同様に花は着きません。果物のイチジクと同じように実の内部に花が付きます。花が変わっているテイカカズラとオオイタビを調べてみました。
★テイカカズラ キョウチクトウ科テイカカズラ属の常緑蔓性木本。別名はマサキノカズラ。キョウチクトウ科なので、テイカカズラにも毒がある有毒植物になります。分布は本州、四国、九州。温暖な場所を好み暖地では普通種で、林内や岩場などの岩場、崖地に自生しています。蔓性で這い上がる性質を利用して緑のカーテンとして使われたり、庭木や公園などの斜面にも植栽されています。10メートル以上に伸びあがることがあります。植栽される場合、北海道や沖縄でも利用されています。耐暑性があり丈夫です。葉は対生で革質をした光沢のある楕円形や卵状披針形。十分に日の当たる場所では葉が大きくなり、林床では小さくなります。冬には紅葉します。枝先や葉腋から集散花序を出します。花時期は5〜6月で花には甘い香りがします。花は集散花序で白色で後に淡黄色を帯びてきます。中心部に黄色い部分が見えます。花冠は5裂していて2〜3センチ程。花の特徴は花の裂片ががねじれて平らに開きます。花弁の幅には個体差があります。やや幅の広い花や細くて風車を思わせるような花もあります。果実は対になる袋果で長さは15〜25センチの円柱形をしています。実は付きにくく、花は咲いてもほとんど結実しないようです。花弁や葉の形に個体変異がある植物です。テイカカズラは病害虫に強く密生します。12〜1月頃、テイカカズラの葉は赤く紅葉します。緑色の葉も涼しげで綺麗ですが、紅葉した赤い葉も綺麗です。良く似た植物にケテイカカズラがあります。ケテイカカズラの若枝や葉裏には毛が多く生えています。分かりやすい見分け方は花筒を見比べます。違いはケテイカカズラの場合、花の花筒の太い部分と細い部分の長さがほぼ同等になることで判別することができます。園芸品種にはハツユキカズラやオウゴンカズラがあります。庭木ではテイカカズラよりも新芽の頃に、葉に赤や白い斑入りのあるハツユキカズラを多く見ます。ハツユキカズラの別名はフイリテイカカズラと呼ばれています。ハツユキカズラは日本で生まれた品種になります。オウゴンカズラの葉には黄色が入り、これら園芸品種は花だけでなく葉の美しさを楽しむ植物になっています。テイカカズラは空気中の湿気を好む植物で、乾燥が苦手なようです。乾燥が進むと葉が落ちてしまうようですが、夏場の乾燥以外は十分適応できるようです。1日強い日が当たる場所よりも半日向を好む植物です。増やし方は挿し木が1般的なようです。
テイカカズラ花.JPGテイカカズラ6弁.JPG
テイカカズラの花です。白い色に黄色味を帯びた個性的な花で、とても良い香りがします。個体変異がある植物で、樹によって花びらの太さには細いものもありました。花は捻じれていて形がスクリューやプロペラ、風車に似ていると言われます。気を付けなければいけないことは、ジャスミンに花や香りが似ている事です。テイカカズラは有毒植物になります。下、6枚の6弁に見える珍しいテイカカズラの花を見つけました。普通は5弁に見える5裂ですが6裂しています。このように開き始めの花は幅が広く見えますが、徐々に細長い花弁の花に見えていきます。テイカカズラの花の変異は少ないようですが、花の形には株により個体差があるようです。上の写真は細く見える株、下は幅が広く見える株の花です。このように良く探すと珍しい6弁に見える花も見つけることができるかもしれません。
テイカカズラ2葉と蕾.JPGテイカカズラ葉表1.JPGテイカカズラ葉裏2.JPG
上、葉と蕾。中、葉の表。下、葉の裏。葉は日当たりが良いと大きくなります。若い葉では特に光沢が強く綺麗なツヤのある綺麗な色をしています。日当たりの良くない場所では葉が小さくなります。
ハツユキカズラ.JPGハツユキカズラ花.JPG
上、ハツユキカズラです。キョウチクトウ科テイカカズラ属の斑入りの園芸品種です。葉の色を楽しむ種類で、芽吹きの新芽の頃は、白い色やピンク色をした葉が鮮やかに目立ちます。葉の大きさは小さいです。下はハツユキカズラの花です。白い色で花冠は5裂する5裂花です。平らに開く白い花は可愛いです。花は5裂して咲いたあと細く見える様になるようです。裂片は時間がたつと捻じれて細く見える様になっていくようで、花の形が平たく見える花と、細い風車の様に見える花が咲いています。ハツユキカズラはもともと花付きは悪い種類のようで、花を見て楽しむ種類にはむいていません。ハツユキカズラは剪定されていると花が咲かないことが多いので、花を見たい場合はあまり剪定をしない方が良いです。剪定していない場合、花は沢山付きます。ハツユキカズラを増やしたい場合などは、挿し木で増やすことができます。成長速度が遅いので、寄せ植えなどに使われることが多いです。庭樹として植えられているので見ることが多い植物です。
★オオイタビ クワ科イチジク属の常緑蔓性木本。雌雄異株。葉には厚みがあり、長さは5〜10センチ。幅は3〜5センチ程。全緑で革質。葉柄は長く楕円形から広卵形。葉先は丸みがありやや尖っています。側脈は4対。葉の裏面は灰白色で葉の脈が浮き上がっていて良く目立ちます。葉は互生します。葉は幼木の葉と成木の葉とでは形が違っています。幼木の葉の場合、葉は小さく側脈の角度が大きくなっています。成木の側脈の角度は測ったことはありませんが、主脈から30〜40度で分枝するようです。オオイタビはイチジク科なので果実の内部に花が咲きます。葉腋に花嚢が1個付きます。 花嚢は3〜6センチ程になるようで、球形〜倒卵形をしているようです。花嚢は雌花嚢は食べられるのですが、雄花嚢は食べられないようです。イチジクコバチ科の寄生により雄花のある雄株の実(果嚢)は虫こぶ(ゴール)になるようです。紛らわしいのですが、実の場合は果嚢と呼ぶようです、果嚢は11月頃、熟すと暗紫色になります。とは言え雌雄の実の判別は難しいようです。その上、食べられる実が付くのは少ないようです。分布は本州(千葉県以西)、四国、九州、沖縄。暖地に多く、林縁に自生します。オオイタビは耐暑性が強く、病害虫、乾燥にも強く、刈込にも強い丈夫な種類になります。壁面緑化用に多く使われますが、観葉植物としても利用されています。観葉植物としての使われる場合葉斑入りの園芸品種が多く使われます。この園芸品種はフィカス・プミラと呼ばれ斑入りの種類になりますが、オオイタビは同じく別名としてフィカス・プミラやプミラとも呼ばれています。増やす場合は挿し木で簡単に増えるようです。挿し木の時期は5〜6月が最適のようです。
オオイタビ葉表.JPGオオイタビ葉裏.JPGオオイタビ葉の比較.JPG
オオイタビです。公園に植えられていました。オオイタビの葉の表。表側からも脈が分かります。2枚目、葉の裏。こちらは葉の脈が綺麗に浮き上がって良く目立ちます。葉の色も乳白色をしています。葉柄もやや長いです。下、葉の比較です。葉の大きさには驚くほどの差がでます。
オオイタビ実1.JPGオオイタビ実2.JPG
葉の付け根の葉腋には実のできる部分が付いていて、この部分(花嚢)が大きくなっていきます。上、まだ小さな実です。実は短毛に覆われています。毛は伏毛になっています。下、やや大きくなった実です。花嚢は5〜6センチ程になるようです。残念ながら剪定されてしまうので、まだ当方は成熟した実を見たことがありません。実の雌雄は判別が難しいようです。調べてみないと分からない実、というところでしょうか。観察してみたいです。
posted by クラマ at 16:01| Comment(0) | 自然観察・植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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