★ヒナノハイゴケ(クチベニゴケ) ヒナノハイゴケ科。雌雄同株。コケとしては分かりやすい種類になります。ヒナノハイゴケの特徴は凾フ帽が取れると先端部に赤色が見えることです。この特徴からヒナノハイゴケの別名としてクチベニゴケと呼ばれることがあります。凾フ先端が赤く見えることが別名のクチベニゴケの名前の由来となっていて、別名の方が覚えやすいかも知れません。茎は密に分枝して這うように広がっていきます。樹幹に大きな群落をつくることもあります。葉は背葉と腹葉があり、背葉は卵形をしています。葉は乾いても縮みません。葉の色は淡緑色〜暗緑色で葉先は尖っていて中肋はありません。乾燥している時は色は薄く見えます。凾ヘ卵形で長さは0・9〜1・8ミリで多数の凾付けることが多いです。剿Xが取れると橙色の蓋(ふた)があります。蓋が取れると見える口環は赤色から赤褐色をしています。凾ノは剋浮ェあります。剳ソは極めて短く葉に隠れて見えません。凾ヘ小さいのですが赤味を帯びて見えることから、凾多数つけている時期には樹幹にコケガ生えていることに気が付くことがあります。分布は本州、四国、九州。普通はヒナノハイゴケは低地の樹上に生えていますが、岩上にも生育しています。普通は樹上に多く生育している種類ですが、茎には仮根もあるので岩上や表面の粗いコンクリート上でも生育している所を見ることができます。ヒナノハイゴケは他のコケ類よりも乾燥に強く日の当たる場所でも生育できるので、日当たりの良い樹幹にも生育している丈夫なコケです。
ヒナノハイゴケ(クチベニゴケ)。サクラやケヤキの樹幹で見つけることができます。大気汚染にも強い種類なので、都市部の街路樹でも見つけることができます。凾ェ橙色をして見える特徴があるコケで、別名クチベニゴケの名前があります。淡い色の蓋のヒナハイゴケも見つけました。個体差があるようです。上、凾フ様子です。周りに見える黄色い色は地衣類のロウソクゴケです。下、葉が開いた状態です。葉は形が2通りあります。背葉は卵形をしています。
★サヤゴケ ヒナノハイゴケ科。サヤゴケは市街地でも普通に見られる、低地〜山地の樹木の樹皮に着生している小型のコケで低地に多いようです。小さな盛り上がった塊で、しっかりとして見えます。サクラの古木に多く見られます。高さは5〜20ミリ。茎(植物体)が立ち上がったように見えます。葉は2ミリ程と小さい披針形です。乾燥時には葉は茎に接してしまいますが、葉は縮れません。深緑色で樹幹に塊を作って張り付いています。分布は北海道、本州、四国、九州。街路樹や公園のサクラなどの樹幹に塊を作って張り付いています。サヤゴケは日当たりの良い樹幹に群生して大きな塊に見えることもあります。大気汚染には強くないので、都市部の汚染の進んだ環境では生育できません。この性質から大気汚染の指標植物とされています。サヤゴケの凾フ部分は成長の過程で見え方が変わります。帽がついていると凾フ先端が尖って見えます。帽が取れると花の蕾の様に見えます。小さいので拡大して見ないと分からないのですが、剋浮ヘ1列で16本あるようです。剋浮ニは凾フ上部、胞子がでる出口の外縁に見える小さな花びらのように見える部分です。剳ソは長さ1・5〜3ミリ。サヤゴケの特徴は凾覆う雌苞葉が鞘状に柄を包んでいることです。この特徴が名前の由来にもなっているようです。
サヤゴケです。上は湿潤時のサヤゴケです。こんもりとして見えます。サクラの樹幹にあったもので、小さくてもしっかりとした塊を作っています。サヤゴケの周りに見えているのはレプラゴケです。サヤゴケとレプラゴケが何とも言えない美しさを見せてくれています。凾ヘまだ帽を付けている状態の写真になります。中、びっしりと付いたサヤゴケの凵Bウメの樹にタチヒダゴケと競って生えていました。下、サヤゴケの凵B先端の黄色い色が可愛いです。
★タチヒダゴケ 別名コダマゴケ。タチヒダゴケ科。タチヒダゴケは樹木の樹皮に着生して生育する雌雄同株のコケです。乾燥した状態では葉を閉じていて目立ちませんが、雨が降ると1気に緑色の葉を広げます。乾燥時の葉は縮れないで茎に対して閉じてます。乾燥した状態でも凾ヘ良く見えています。タチヒダゴケの凾ヘ卵型(楕円形)をしていて、凾ノは8本の縦縞があります。剳ソは極めて短いです。外剋浮ヘ8本あります。鋭く尖った先端をした帽をかぶっています。剿Xには深い縦筋が入っています。茎は10ミリ前後と小さなコケですが、凾ェ良く目立つという特徴があります。 分布は本州、四国、九州。低地から山地の樹幹上に小さな塊になって着生しています。
稀に岩上にも生育するようです。タチヒダゴケは乾燥に強く、日当たりのよい広葉樹の樹幹で見ることが多いです(針葉樹ではまだ見たことはありません)小型ですが探すと見つかる種類です。
上、タチヒダゴケです。上は若い凾ナ帽をかぶっています。可愛い卵に似た楕円形の凾ヘ刃よりも大きく存在感があります。ウメの樹にありました。下、帽が取れた状態です。サクラの樹幹にありました。剋浮ヘ8本あります。拡大すると可愛い凾ェ魅力的なコケです。
★コゴメゴケ コゴメゴケ科。コゴメゴケは小型のコケで乾燥や大気汚染にとても強く、剳ソも10ミリ以下で小さな凾付けます。枝葉の長さも1ミリ以下の小さなコケです。市街地などの街路樹に多いコケです。分布は北海道、本州、四国、九州。サクラやケヤキなどの街路樹で厚みの少ない大きな塊を作っていることが多く、街路樹を探すと見つけることができます。サクラ、ケヤキ、クスで見ることが多いですが、針葉樹にも付くことがあります。山地には少ないようです。コゴメゴケは都市部に適応した乾燥と汚染に強いコケなので街路樹や都市部の公園でも探すと見つかりやすいです。
コゴメゴケです。駅前に近いバス通りの街路樹(ケヤキ)にありました。街路樹、自然公園などではケヤキ、サクラに多いです。冬場でも雨上がりには樹幹に緑色になったコゴメゴケが見られます。
★カラヤスデゴケ ヤスデゴケ科。雌雄異株。カラヤスデゴケは乾燥にも強い最も普通に見られるヤスデゴケで、茎は樹幹や石の表面を不規則に分枝して這います。植物体は、やや光沢のある紫褐色や赤褐色、暗褐色に見えます。乾燥時は黒っぽく見え、湿り気を帯びると緑色を帯びて見えます。背片は卵形で重なり連なって長く伸びて見えます。複葉の葉先は2裂していて切れ込みは1/3程になります。ヤスデの様にも見えなくもないコケ類とは1見思えない不思議な形をしたコケです。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。低地の常緑樹や落葉樹の樹幹、岩上にも生育するようです。大気汚染にも強い種類のコケと共に確認できるので、大気汚染にも強いようです。生育する樹種は多いようで、色等、変異のある種類になるようです。良く似たミドリヤスデゴケは緑色から赤褐色をしています。ミドリヤスデゴケの腹葉の切れ込みは浅くなります。
カラヤスデゴケです。海藻やゴカイやイソメの様な海の生物にも似て見える、実に不思議な姿のコケです。上、周りのピンクっぽい色等は地衣類の色です。下、ケヤキで見つけました。地衣類と競って生育していました。カラヤスデゴケは樹幹に張り付いたように枝を伸ばす、面白い形のコケです。変わった形だけでなく、乾燥時の色は干したヒジキの様にも見える色をしています。緑色をしていないコケなので、コケの仲間というよりも地衣類かと思ってしまうコケです。
コケは植物体は似たものが多いので、見分けるのは難しくなります。凾付けている時期に凾フ特徴を調べると種類が分かるものもあります。コケの凾ヘ形が個性的なものもあるので、拡大してみると面白いです。冬や春先など、まだ他の植物が活動を始める前でも観察することができるのでお勧めです。今回紹介した種類は普通種なので、公園や街路樹を探すと見つけることができると思います。観察には凾ェ付く頃が面白いです。