★ハグロハバチ 幼虫はタデ科のスイバ、ギシギシ、イタドリの葉を食べます。出現は5〜11月。成虫の出現は4〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。年4〜5世代と発生も多く、数も多いので普通に見ることができるハバチの幼虫です。葉に穴の開いているスイバ、ギシギシ、イタドリを探せば高い確率で見ることができます。観察地では特にスイバ、ギシギシに多く見られます。イタドリにも発生していますがスイバ、ギシギシ程ではありません。ハグロハバチの成虫は毒針をもたないので、刺されることはありません。幼虫は20ミリ程になるイモムシ型でハチの幼虫には見えません。幼虫は青緑色で腹部下面は黄色味を帯びています。体側には黒い斑紋が並んでいます。頭部は黄色で黒い水玉模様が並んで見える幼虫です。若齢幼虫でも大きくなった幼虫でも、葉裏で丸くヘビがとぐろを巻くような形で丸まっていることが多いです。頭部を下にして尻部を上方に位置した状態にしてまるまっています。とても面白い習性です。若齢だと黄色い頭部と体側に並んだ丸い斑紋が可愛いです。体色には個体差があって青緑色、薄緑色、青緑色などに見える個体がいます。同じ食草の個体群は全部同じ体色をしていることから、食べる餌の違いによるものなのかと思います。終齢に近づくと体色が濃くなり暗青緑色や暗い藍色に見えます。終齢になると頭部の色も黒っぽく変わります。幼虫は土中に潜り蛹になります。越冬は蛹で行います。成虫は4月に羽化します。
ハグロハバチの幼虫です。成虫を見つける方が難しいハチです。幼虫の体側には11〜12個の丸い斑紋が等間隔で並んでいます。この黒い水玉模様に見える斑紋と食草からハグロハバチの幼虫であることが分かります。若齢から終齢まで個体群により色の変異がある種類なので、探してみると色彩に濃淡などの個体差等があるので、実に面白いです。上、スイバにいました。体側の斑紋(黒斑)が12個あります。下、ギシギシの葉にいた別個体です。こちらは11個あります。若い幼虫は色が薄く綺麗に見えます。終齢に近づくほど体色は濃く暗い色になります。
・コンボウハバチ類の幼虫は多くは広葉樹の葉を食べるようです。以下はコンボウハバチ類と思われる幼虫です。種類は分からません。
種類の分からなかったハバチの幼虫です。上、ヤブガラシにいた幼虫。下、トウネズミモチの葉にいた幼虫。
ハバチの幼虫は名前の分からないものも多くいます。日本にはハバチの仲間が800種類ほどいるそうです。探すと見たことのない幼虫が沢山見つかるかも知れません。ポイントは腹脚の数です。5対以上ならハバチで間違いありません。寄生していた植物を記録しておくと、幼虫から種類が分かるものもいると思います。刺される心配のないハチなので、植物と合わせて観察すると面白いと思います。当初は苦手感のあった幼虫ですが、見慣れてくると可愛く見えてくるから不思議です。