★セスジスズメ スズメガ科ホウジャク亜科。普通種。幼虫は大きく体長は80〜85ミリ。セスジスズメの幼虫の特徴は体側にある眼状紋で、この眼状紋(目玉模様)は終齢幼虫で体側に7個あります。セスジスズメの幼虫の最大の特徴は、目玉模様が並んで見えることです。終齢に近づくと、その容姿はヘビにも似て見えます。若齢幼虫では黒い体色に黄色い斑紋が7個並んで見えます。尾部には尾角(長い突起)があり、先端部は白くなっています。幼虫は体色の色彩に変異が多い種類になります。色彩は黒色、褐色、灰褐色、茶褐色などの個体が多く、時に緑色、緑褐色などの色をした幼虫もいるようです。非常に体色に変異の多い種類になります。ズラリと並んでいる大きな眼状紋(目玉模様)の色彩にも変異があり、そのバリエーションは大変面白いです。発生は年2化。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。食草は幅広いので、庭や公園、畑地、草地などで見つけることができます。民家付近でも多く見ることができる普通種なので、見る機会の多い種類になります。幼虫はサトイモ、コンニャク、サツマイモなどの農作物も餌にするので、害虫として嫌われています。セスジスズメの幼虫が発生すると、成長速度が速いうえ、大食漢なので食害が酷く被害も大きくなります。ホウセンカ、カラーにも発生するので、花壇など庭で被害にあうこともあります。野外ではヤブガラシに多く発生しています。他にノブドウ、エビズルにも多く発生します。このように幼虫はかなりの広食性になります。セスジスズメの幼虫の形と眼状紋により、その姿がヘビに似て見えることが特徴で、この模様は天敵の鳥から身を守っている擬態のようです。セスジスズメの幼虫は、体側にもズラリと並んだ大きな眼状紋(目玉模様)があることも特徴です。これは身を守るための手段になっていて、最大限、鳥が目玉模様を嫌う習性を利用したことによると思われます。人間が見てもドッキリしてしまう迫力のある模様は、鳥に対して効果てきめんだと思います。成虫はコスズメと似ています。
セスジスズメの幼虫です。とても太いイモムシ型の幼虫です。色彩に変異があって面白いです。セスジスズメは個体数が多く、幼虫を見る機会が多い種類です。主にヤブガラシにいることが多いです。上、まだ若い幼虫は地色が黒く、黄色い丸い斑紋が7個並んで見えます。小さくても不気味に見えます。まだ斑紋は目玉の様には見えていまえん。2枚目、3枚目、4枚目(下)、終齢のセスジスズメの幼虫です。同じ種類のセスジスズメであっても色彩に変異があって面白いです。眼状紋にも個体差があります。個体差を見比べると実に面白い種類です。1番下の首を縮めている幼虫は、ヘビにも似て見えます。鳥などが見たらヘビそのものに見えてしまうのかもしれませんね。見慣れない人やイモムシ等が嫌いな人には、トラウマになりそうな迫力がある幼虫です。食性も広く個体数が多いので、終齢幼虫が道路などを這っている所を街中でも見ることがあり、個体数が多いことが分かります。
★ベニスズメ スズメガ科ホウジャク亜科。終齢幼虫は体長75〜80ミリ。ベニスズメは食性が広く数も多い普通種です。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地まで広く分布しています。広葉樹林の林縁に多い種類です。アカバナ科(オオマツヨイグサ、メマツヨイグサ、ツキミソウ、ヤナギラン等)、ツリフネソウ科(ツリフネソウ、ホウセンカ、インパチエンス等)、ミソハギ科(ミソハギ、エゾミソハギ)の他、幼虫はブドウ科(ブドウ)、マメ科(シロツメクサ)の植物も餌にするようです。成虫は夜行性で灯火にも集まります。幼虫の前部胸背には眼状紋(目の様に見える斑紋)があります。鳥が目のような模様を怖がることやヘビの頭部に似て見えることからから、この模様は鳥等の他の天敵からから身を守るための手段になっています。人間もは初めてベニスズメの幼虫を見たり、突然その姿を見たら、思わずのけぞると思います。ベニスズメの幼虫の特徴は、4個ある眼状紋です。幼虫の体色には緑色型と褐色型の2タイプがあります。成虫は年2回の発生(4〜5月、8〜9月)で、体には目立つ薄紅色と黄褐色をした美しいスズメガです。成虫は主に樹液を吸います。土中で蛹で越冬するようです。鳥にもベニスズメという名前の種類がいて、ちょっと紛らわしいです。
上、ベニスズメの幼虫(褐色型)です。メマツヨイグサにいた幼虫です。体長5センチ程の幼虫です。これが終齢になると迫力は倍増します。この褐色型の幼虫の方がよりヘビに似て見えて迫力があります。中、前面から見た所です。下、ベニスズメの幼虫の尾角は白い色をしています。やや先端がかぎ状に曲がっています。普通種ですが、縁が無く迫力満点のヘビに似て見える終齢幼虫の写真は持っていません。見つけた場所のメマツヨイグサ群落の半分は刈り取られましたが、探しに行って終齢幼虫の写真を撮りたいです。緑色型の幼虫も見つけたら追加したいです。この色の違いの緑色型の場合は、葉などに身を紛らわすカモフラージュなのでしょう。2つの方法で天敵から身を守る生存方法をとっているものと思われます。写真は同1個体です。
★コスズメ スズメガ科ホウジャク科。 普通種。幼虫は大きく体長は75〜80ミリ。コスズメの幼虫の特徴として、眼状紋(目玉模様)は体側に3個あります。幼虫の色彩には緑色型、褐色型がいます。赤褐色をした幼虫もいます。コスズメの幼虫は幼齢期は緑色型ですが、終齢に近くなると体色に変化のでる個体が出る種類になります。コスズメの尾角は赤褐色をしています。発生は年1化。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地の林縁や草原、自然公園などに生息しています。食草はブドウ、ノブドウ、エビズル、ヤブガラシ、ツタ、オオマツヨイグサなどで、コスズメの幼虫も食性が広いです。成虫はセスジスズメと似ています。
上、コスズメの幼虫です。民家の石壁にいました。コスズメの尾角は体の割に大きいです。
★ホシヒメホウジャク スズメガ科ホウジャク亜科。幼虫の体長は45〜55ミリ。若齢幼虫は鉱物のエンジェライトに似た色や淡い水色をしています。ホシヒメホウジャクの幼虫は面白いことに成長して行くと緑色型、緑色無紋型、紫色型、橙色型など幼虫の色彩は異なっていきます。色彩のタイプは大きくこの4タイプに分けられていますが、さらにそれらの中間的な色合いに見える個体もいるなど、色彩には個体変異が大きい種類になります。幼虫はヘクソカズラの葉を食べます。ホシヒメホウジャクの幼虫の頭部は極めて小さく、尾角がないとどちらが頭なのかな?と迷ってしまいそうなイモムシ型をしています。幼虫の色合いも変わっていますが、ホシヒメホウジャクの成虫も翅が縮れて見える変わった形をしているガです。年2化。分布は北海道、本州、四国、九州。雑草のヘクソカズラに寄生するので、成虫を見つけるよりも幼虫を見つけることは簡単です。翅に特徴のあるホシヒメホウジャクの成虫は、飛んでいると他の似た種類と区別がつきません。
上3枚はホシヒメホウジャクの幼虫です。このように色彩に変異があって、この種も面白いです。
見慣れてくるとスズメガ科の幼虫達は、個体差と見た目の不気味さが魅力になってきます。毒を持たないのでかぶれることもありませんし、尾端にある棘状の突起(尾角)で刺されることもありません。見た目の迫力よりは大人しい昆虫と言うことが言えます。