ドクロガの別名を持つ、ドクロやお化けのような顔に見える不気味な斑紋が特徴的なガ、クロメンガタスズメを調べてみました。
判別方として良く似たクロメンガタスズメとメンガタスズメの外見上の違いを比較してみました。
・クロメンガタスズメ ドクロに見える斑紋の下方に赤くW字に見える斑紋があり、この赤い斑紋(細い筋状になっています)の下には青白い筋状の紋があります。腹部背面の縦長の青く見る部分(藍色)が広くなっています。黒い帯はメンガタスズメよりも太くなっています。前翅の先端部は明るい色をしています。クロメンガタスズメでは後翅の2本の黒条が発達しています。後翅後面は橙黄色の地色をしています。ドクロに見える斑紋は灰色を帯びていることが多いようです。
・メンガタスズメ ドクロに見える斑紋の下方に赤くW字に見える斑紋がありません。薄い黄色に見える部分の下に青白い筋状の紋があります。腹部背面の縦長の青く見る部分(藍色)が狭く(細く)なっています。後翅の2本の黒条の幅は狭くなっています。
幼虫はどちらの種類も色に個体差があり、緑色型、褐色型、黄色型の色彩の変異があります。色での判別はできません。幼虫の違いはお尻の先にある突起(尻角)を見比べます。
・クロメンガタスズメの幼虫の尾部のある突起(尻角)の先端は強く丸まっています。 尻角全体に棘状突起が生えているそうです。
・メンガタスズメの幼虫の尾部のある突起(尻角)の先端は緩やかに曲がっているそうです。
★クロメンガタスズメ スズメガ科。開帳100〜125ミリ。大きくてがっしりとしています。翅をたたんでとまっていると色からしてもアブラゼミに似て見える容姿をしています。翅の面積があるので、大きさはアブラゼミよりもはるかに大きいです。複眼が大きなガです。出現は6〜11月。年1化と思われます。幼虫は8月まで被害を与える害虫になります。特徴的なドクロや人面に見える部分には個体差が現れるようです。分布は本州(関東地方では繁殖しています)、四国、九州、沖縄。元は九州以南にいた種類ですが、飛翔性の高さと温暖化に伴い、現在北上している種類になります。北方での確認は遠い距離を飛翔した個体もいることが考えられます。幼虫はナス科の植物を好む様ですが、食性は広食性でノウゼンカツラ(ノウゼンカツラ科)、ヒマワリ(キク科)、チョウセンアサガオ(ナス科)などの花を楽しむ植物の他、ナス科のナス、ピーマン、トマト、ミニトマト、ジャガイモ、タバコ等やゴマ科のゴマなどの農作物やクコ(ナス科)、クワ(クワ科)、キリ(キリ科)等の樹の葉も餌にするようです。毒性の強い植物も餌にするほど丈夫なようです。幼虫は同じスズメガ科の幼虫と非常に良く似ていますが、尻尾に見える突起(尾角)の先端は丸まっています。体の色には 緑色型、褐色型、黄色型の色彩の変異があることから、 尾角を確認しないと間違ってしまいます。幼虫は単独で行動しています。成虫は樹液、ミツバチの蜂蜜(盗蜜します)を食べます。成虫は「チイ、チイ・・・」と言うクリック音を発します。幼虫も危険を感じると音を出すようです。クロメンガタスズメは土に潜って蛹になります。越冬は蛹で越冬します。ただし飼育下では休眠性はないので、温度が適正だと冬場でも羽化するようです。
クロメンガタスズメです。3種類の中では、このクロメンガタスズメが1番好きです。胸背部に見えるドクロ顔、ガなのに声(音)を出して鳴くこと、腹部背面の青(藍色)く見える部分、不気味さがあってなかなかのものです。日本産の2種は日本では嫌われていませんが、ヨーロッパでは不幸が訪れると言われていて、嫌われているガです。上から見ると黒っぽくて地味な色をしています。
2枚目、クロメンガタスズメの腹背のドクロに見える部分の写真です。クロメンガタスズメの特徴として、赤褐色の毛が多いことがあげられます。またメンガタスズメよりもドクロに見える部分が灰色をしていることも特徴になります。この部分に見える赤色のW字に見える斑紋や眼に見える部分に個体差が現れるようです。
3枚目、前翅の先端部分は明るい色彩をしています。4枚目、裏側から見ると翅の模様と色の違いが全く違っています。腹部も翅も黄褐色の地色に黒く見える斑紋がはっきりとしています。かなり弱っていたので手の上にのせて撮影できました。5枚目、腹部の横側から見たところです。黄褐色と黒い斑紋が目立ちます。この個体は雌なのでしょうか?腹部には太さがあります。とても厚みのある体をしていることが分かると思います。脚には鋭い棘が生えています。6枚目、翅を広げて撮影しました。クロメンガタスズメの鱗粉はしっかりと翅に付いています。柔らかく手で翅を広げても鱗粉は手につきませんでした。他のガの多くは鱗粉が取れて、模様が良く分からなくなるものが多いのですが、クロメンガタスズメの場合、とても剥がれにくいことに驚きました。力強く翅をバタつかせても鱗粉が飛び散ることが無いです。発見場所は神奈川県横浜市旭区。照明に飛来したものです。飛翔性の強いスズメガの仲間なので明かりを目指して飛んできたようです。
ガは嫌われてしまう昆虫になるのですが、斑紋には個体差があるので探してみると面白そうです。個性があるので、違った顔に見える模様のクロメンガタスズメも見つけてみたくなります。現在、北上して生息域を広げているので、今までは九州以北では珍しい種類とされていましたが、今後は見つける機会が増えてくる種類になるようです。できれば良く似たメンガタスズメと比較して見たいです。当方はまだメンガタスズメも実物は見たことがありません。こちらの種類も興味の湧いてくるガです。ぜひ見つけて撮影したいです。

