ブドウトラカミキリもアオカミキリも神奈川県では見つけにくい珍しい種類になります。カミキリムシの幼虫は木の材を食べるので、飼育が難しい昆虫になります。簡単に飼育ができれば飼育して見たくなるような綺麗な種類も多くいます。カミキリムシ類を最近見ることが少なくなってきていることが残念です。カミキリムシは害虫として嫌われることも多い昆虫なので、好き嫌いが分かれてしまうと思います。ブドウトラカミキリ、アオカミキリと両種に似たカミキリムシを調べてみました。
★ブドウトラカミキリ カミキリムシ科トラカミキリ属。体長は9〜20ミリ(13ミリぐらいの個体が多いようです)栄養状態が良いと大きな個体になります。全体的には黒い色をしています。最大の特徴として、前胸背板(胸背部)は丸みがある縦長をしていて赤い色をしています。上翅(鞘翅)には太く白いX字に見えたり、Cを2個つなげたような形に見える黄白色〜白色に見える斑紋があります。触角が短いカミキリムシです。幼虫が寄生するとブドウの樹を枯らすことがありブドウの重要害虫として農家から嫌われています。出現期は7〜10月。成虫の発生は年1回で8月頃の発生が1番多くなります。分布は本州、四国、九州。ブドウ、ヤマブドウ、エビズルなどブドウ科の植物に寄生します。栽培品のブドウを好むので、ブドウに被害を与える有名な害虫になっています。越冬は幼虫越冬になります。若齢幼虫でブドウの節のあたりに潜みます。綺麗なカミキリムシなのですが、子供の頃庭にあったブドウにいたのを思い出します。被害にあうと若い蔓が萎れて枯れてしまいます。上翅(鞘翅)には2本の白い帯が見えます。日本のレッドデーター 長崎県では絶滅危惧T類。東京都では絶滅危惧U類。神奈川県では準絶滅危惧になっていて、やや珍しい種類のカミキリムシになります。山野で餌となるヤマブドウ、エビズルなどが減っていることによるようです。また、害虫としての殺虫方法も分かっていて、発生が抑えられていることもあり、現在ではかなり少なくなったようです。大変良く似た種にクビアカトラカミキリがいます。見比べてみないと間違いそうな位に良く似ています。
・クビアカトラカミキリとブドウトラカミキリの見分け方。
ブドウトラカミキリの前胸背板(胸背部)は丸みのある形をしていますが、ブドウトラカミキリの方がクビアカトラカミキリよりも幅が狭く縦長に見えます。体つきを比較すると、クビアカトラカミキリの場合は太さがあり、ブドウトラカミキリの方が細く見えます。上翅に見える白いたすき掛けのように見える模様には違いがあるので、見分ける方法に最適です。斑紋はブドウトラカミキリの方が太く幅の広い✖や太いCの文字をつなげたように見えますが上部は目立つ白ではありません。クビアカトラカミキリの場合、白いたすき掛けのように見える模様は小文字の]の様に見え、白い部分(斑紋の太さ)は細くなります。クビアカトラカミキリはクヌギやコナラの伐採した木や倒木に良く集まるそうです。ブドウトラカミキリは7〜10月に出現して、ブドウ、ヤマブドウ、エビズルなどのブドウ科に寄生します。栽培品のブドウを好むので、ブドウに被害を与える害虫になっています。集まる植物にも違いがあるので、両種を判別する手掛かりになります。どちらも体の大きさには個体差が出るようです。
・クビアカトラカミキリもついでに調べてみました。
★クビアカトラカミキリ カミキリムシ科トラカミキリ属。普通種。体長7〜14ミリ。触角が短いカミキリムシで前胸背板(胸背部)は丸みが強く、赤い色をしています。胸背部も胴も太めです。上翅には小文字の]の様に見える、黄白色〜白色に見える斑紋があります。斑紋の太さは細く見えます。斑紋には若干の個体差があります。出現期は5〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。生息は局所的になるようです。最大の特徴は前胸背板(胸背部)は丸みがあり赤い色をしていて、。前縁(首の近い部分)には黒い縁取りがあります。普通種ですが数が減ってきているようです。クビアカトラカミキリの成虫はガマズミ、ヤブガラシ、シシウドなど多くの花の蜜を餌にします。幼虫ははクヌギ、コナラ、アキニレ、イヌシデ、カエデ類など幅広く広葉樹の倒木、伐採木の材を餌にします。普通種の割に見ることが少なく、個体数はあまり多くないようです。広葉樹の伐採木、倒木に産卵します。越冬は幼虫で材中で越冬します。
上2枚、同1個体のブドウトラカミキリです。エビズルがすぐ脇にありました。撮影は9月です。上翅の上部の白く見える帯は太く見え、赤く見える前胸背板の前縁には黒い縁取りがありません。小型のカミキリムシですが綺麗な種類だと思います。比較するためにもクビアカトラカミキリを見つけてみたくなります。撮影地。神奈川県海老名市。
★アオカミキリ カミキリムシ科カミキリ亜科。体長21〜30ミリ。アオカミキリの特徴は全体が綺麗な金属光沢をしています。頭部、胸部、腹面はツヤのある強い金属光沢で、上翅(鞘翅)は緑色でざらざらした質感のある金属光沢をしています。上翅の色は角度とか光の関係で色が違って見えます。アオカミキリの色彩には変異がありますが、基本の色は緑色になります。身体的特徴として、前胸背の前側角は、はっきりとした出っ張りがあります。またアオカミキリの触角の第1節の端は丸みがあるので、オオアオカミキリとの判別は触角を比較して見ると分かります。アオカミキリの触角の長さは翅端を超えませんが、オオアオカミキリの触角は長く体よりもはるかに長くなっています。出現は6〜8月。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地の雑木林や林縁に生息しています。幼虫はカエデ類を餌にすることからカエデのある公園でも発生することがあるそうです。幼虫はイタヤカエデ、イロハモミジ、クリなどの生きた木の材を餌にするので、害虫としても扱われます。成虫は昼行性でクリ、アカメガシワ、ノリウツギなどの花に飛来して、これらの花を餌にします。翅の下は紫色で強い金属光沢があります。腹部にも強い金属光沢があります。アオカミキリの個体数はあまり多くないようで、当方のフィールドではなかなか見ることができません。日本のレッドデーターによると、東京都では絶滅危惧T類。埼玉県、高知県では準絶滅危惧種になっています。
アオカミキリと似ているオオアオカミキリ、ミドリカミキリの違い。
・オオアオカミキリは触角の第1節の端に尖った部位がありますが、アオカミキリの触角の第1節の端は丸みがあります。オオアオカミキリの触角は体長よりも長くなっています。
・オオアオカミキリの小楯板はツヤが弱く、アオカミキリの小楯板には強い光沢があります。
・ミドリカミキリは明らかに体長が小さく、符節の第1節が非常に長い特徴があります。脚が細くて長くなります。
ミドリカミキリは珍しい種類です。気になったので調べてみました。
★ミドリカミキリ カミキリムシ科カミキリ亜科。体長15〜19ミリ。体は細長くスリムな体形をしている、緑色でキラキラと光って見える金属光沢のある美しいカミキリムシです。ミドリカミキリの特徴は触角も長いのですが脚がとても長いカミキリムシで、特に後脚の長さが際立っています。胸部の側面には棘状の突起が出ています。赤紫色、緑色、青紫色など色彩には個体変異があるそうです。出現は5〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地の雑木林や林縁に生息しています。クリ、ミズキ、ガマズミ、ウツギの花を餌として集まります。クリ、コナラ、ミズナラ、クヌギ、アカマツの伐採木や材木に産卵のために集まります。幼虫は枯れた樹木や弱った樹木、伐採された樹の材内にいて餌とします。ミドリカミキリは飛翔性が強く、すぐに飛んで逃げようとします。幼虫は材内で越冬します。東京都では絶滅危惧T類。熊本県、福岡県、長崎県では絶滅危惧U類。神奈川県、宮崎県では準絶滅危惧種。になっています。神奈川県では見つけることが難しいようですが、見てみたい種類です。
上、アオカミキリです。綺麗なカミキリムシなので見つけると嬉しくなります。見つけた歩道の脇にシイ類、エノキ、アカメガシワ、ミズキの樹がありました。すぐに飛んで逃げる種類なので持ち帰って撮影することにしました。3枚目は裏返して撮影しました。腹面はツヤの強い金属光沢をしています。発見場所。神奈川県横浜市。
上、アオカミキリの触角の第1節の拡大です。下、胸背部側縁と小楯板が見える様に拡大しました。小楯板にも金属光沢が見えています。
ここで紹介した似たカミキリムシの写真が撮れましたら追加したいと思っています。

