2017年08月10日

クジラタケ。整然と並ぶ管孔が魅力的なキノコです。

クジラタケとは変わった名前を持ったキノコだなと、このキノコの名前を聞くと思う人が多いと思いますが、珍しい菌ではなく年間を通して見ることができるキノコです。若い幼菌の白さは驚くほど綺麗に見えます。傘には不明瞭な環紋があり、傘の色には白っぽいもの、灰白色、褐色とバリエーションにとんでいます。普通に見かけることができる普通種なだけに、写真のストックが少なかったことに自分でも驚いてしまいました。クジラタケの魅力は傘の裏の管孔(傘の裏側)にあります。傘の表面は灰褐色や褐色と白さが目立たなくなっても管孔面は白く、綺麗な間隔で開いている管孔は美しく感じます。クジラタケはシイタケのホダギからも出ることがあるそうで、シイタケ栽培家などにとっては迷惑なキノコとなってしまいます。興味のある方は、林や林縁の広葉樹の枯れ木や倒木、切株を探すと見つけることができます。通年見ることができるうえ、傘の表情が違って見えるので探してみると面白いキノコです。なぜにクジラタケと名前が付いたのかは不明です。キノコにはムジナ、キツネ、カワウソ、ウズラ、カニ、スッポンなど動物由来の名前も付いているものがあるので、不思議に思っても深く考えない方が良いと思います。クジラタケはサルノコシカケ科、タマチョレイタケ科、タコウキン科のいずれかの科になっています。まだ正式な科の分類が決まっていない菌類になります。小さな小型の菌でウズラタケがあります。当ブログ「ウズラタケ、ヒメシロアミタケ。白っぽい幼菌が似ています」で紹介しているウズラタケもタマチョレイタケ科やタコウキン科、サルノコシカケ科のいずれかになる菌なので、クジラタケとウズラタケは少しあいまいな立ち位置にいる菌と言えます。今後の科の分類は専門家の研究者の方の見解を待つのみです。クジラタケを調べてみました。
★クジラタケ タコウキン科(タマチョレイタケ科とすることもあります)食毒不明。通例不食。クジラタケの科は正式な科の分類がされていないので、広い意味あいでタコウキン科にするのか、暫定的にサルノコシカケ科とするのかなど、見解がまちまちになっています。このうちのどれかにいずれ決まるだろうぐらいの見解で今のところは良いようです。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。発生は通年で、広葉樹の枯れ木や倒木に発生します。幼菌時は厚みがあり丸みを帯びて白く盛り上がって見えます。傘はほぼ無毛で成長とともに広がっていきます。通例、傘の縁には厚みが残ります。傘は4〜と20センチほどになります。傘の背面は灰白色から淡褐色。成長すると環紋が見えますが、環紋は不明瞭なことが多いです。傘の色には個性がありますが、表面が褐色になっても管孔側は白く、管孔は小さく丸い整った形をしていて綺麗に整った間隔で開いています。肉質はコルク質で乾くと硬くなります。
クジラタケ幼菌.JPGクジラタケ幼菌管孔側.JPGクジラタケ管孔側.JPG
クジラタケです。上、幼菌は丸味があり肉厚で綺麗な白色をしています。ウメの立ち枯れに出ていました。クジラタケの幼菌の発生時はオオミノコフキタケの幼菌にも似て見えますが、白さが際立っています。幼菌の傘の外縁は厚く丸みが強いです。中、上の幼菌を下から見た所です。下、やや成長した別の幼菌を下から見た所です。幼菌のクジラタケは白くて厚みがあり可愛く見えるので大好きです。
クジラタケ環紋.JPGクジラタケ管孔.JPG
クジラタケの傘の表面の感じには色彩や環紋の濃さなどの個体差があります。決め手となるのは管孔を見ることです。このクジラタケは灰白色の傘の色をしています。この色の感じのものを多く見ます。下は同じクジラタケの管孔面です。
クジラタケ傘2.JPG
上は傘の色が褐色の色をしたタイプのクジラタケです。当方観察エリア(神奈川県)では、灰色や灰褐色のタイプを多く見ます。
白色が強いタイプの傘も綺麗です。見つけたら追加する予定です。
posted by クラマ at 01:26| Comment(4) | キノコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
庭に古い紅葉の木があったのですが、3年ほど前に枯れ枝が多くなったと思ったら、その後あっという間に枯死してしまいました。時を同じくしてその木の幹枝に直径5pほどの白っぽいキノコ状のものが付いたのですが、木が枯れると急激に大きくなり、今や15pほどになりました。どうやらクジラタケかと思われます。紅葉の木はけっこう太いので、すぐに切ることができません。クジラタケをこのまま放置して、他に害をなすことは無いか心配です。アドバイスいただければ幸いです。
Posted by もり きくみ at 2019年09月12日 19:00
もりきくみ様、お返事が遅くなって申し訳ありませんでした。暫く確認していなかったのでコメントに気が付きませんでした。すみませんでした。大抵は樹に菌糸が入ってしまった状態ですと、駆除は難しくなります。他に胞子が飛んで広がらないようにキノコ(子実体)ができたら取り去ることしかできないと思います。枯れ木や生きた樹にも(弱っている樹や枯れ木の部分がある樹)できるので、注意が必要になると思います。ナラタケ菌とは違い、胞子が飛ばないと広がらないと思います。枯れ木によくできるキノコなので、近くの枯れ枝や切株があったら確認して、キノコができていないことを確かめて、もしできていたら小さなうちにできるだけ根元から取り除く方が良いと思います。何より胞子を飛ばさないことが良いのですが、返事が遅くなってしまったことをお詫びいたします。他の大切な樹木に被害が出ないことをお祈りいたします。
Posted by クラマ at 2019年09月24日 20:01
追加です。キノコは胞子が飛ばないようにビニール袋に入れて取り除いたり、密閉して捨てることが良いと思います。害のあるキノコではなく食べられるキノコだったらまだよかったですね(感染力も弱いので)。民家様の庭で、可食のアラゲキクラゲ、ヤナギマツタケ、ヒラタケが生えている所を見たことがあります。最近ではオオミノコフキタケやベッコウタケなどの感染力の高い生きた樹に生えるキノコが増えているようです。駆除が難しい菌なので、この2種は樹を守るためには根っこから廃棄が良いのですが、実際は難しいですね。キノコができたら胞子が飛ばないようにビニール袋等にいれてキノコを廃棄をすると良いと思います。どこから胞子が飛んでくるのか分からないので、樹を見守るしかないですね。クジラタケはそうそう元気な樹には生えていない(生えにくい)ので、オオミノコフキタケやベッコウタケよりは感染力はかなり弱いと思います。残念ながら感染してしまったら、キノコを取り除くしかないと思います。弱った枝や感染部分を切り落として薬剤を塗って、助かる樹もありますが、クジラタケの場合はどの程度なのか当方は分かりません。オオミノコフキタケなどは、削り取っても翌年また生えてきます。削った場所を消毒する程度では駆除できません。キノコの感染は、よく考えて見ると樹にとっては大変怖い病気ですね。キノコの種類で感染しやすい樹があるので、樹の病気で調べるとある程度は他の樹えの感染の不安が解消されるかも知れません。あまりお力になれないで申し訳ありませんでした。
Posted by クラマ at 2019年09月24日 20:27
ご丁寧な回答をありがとうございました。私の方こそ確認が遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。
やはり放置しては良くないようですね。自然に発生したものなので、できれば温存したい気持ちはあったのですが‥
周辺に弱ってきている木が何本かあるので、できるだけ胞子を飛ばさないように処理する方法を考えます。ありがとうございました。
Posted by もりきくみ at 2019年11月28日 18:15
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