★ムモントックリバチ(サムライトックリバチ)ドロバチ科。体長10〜15ミリ。黒い体に黄色い線が見えるスマートなハチです。似た種類が多いのですが特徴は胸部背面に黄色い紋がないことです。出現は5〜10月。分布は分布は本州、四国、九州。普通種で公園のトイレの壁や市街地の住宅の壁などでも巣を見つけることがあります。成虫は花の蜜を吸います。幼虫の餌にはシャクガ類の幼虫を餌として利用するそうです。ムモントックリバチは泥で巣を作ります。巣を作る途中でトックリ型になりますが、完成すると凹凸のない盛り上がった高さのない半球状の土の塊に見えます。巣に穴が開いている時は獲物を運んでいる最中になります。巣の中には捕らえた昆虫が数匹蓄えられていて、卵を産み付けると穴は塞がれます。巣の中で幼虫で越冬したのち成虫になってから穴を開けて出ていきます。巣は石垣、石の灯篭、石碑、壁などに段差や石の窪みを利用して作られます。泥で巣を作るのでドロバチとも呼ばれています。窪みを利用するのは泥の量を減らすことができるからなのでしょう。似た種類にミカドトックリバチがいますが、ミカドトックリバチには黄色い紋が1対(2個ある斑紋には大きさ等の変異があります)ありますが、ムモントックリバチにはありません。ただし個体変異もあることから、両種とも非常によく似ているものもいることから判別が難しいものも出てきます。違いは腹部(第2腹節)の丸みが強く見える方がムモントックリバチになるようです。僅かな違いしかないので見ただけでは分からないというのが本当の所です。写真を撮って観察しないと分からないレベルの違いです。1番良いのは巣を確認するかペアになっていると分かりやすいです。
ムモントックリバチです。上は花の蜜を吸いに来たところです。下は民家の塀に巣を作っていたところです。穴を塞いで表面の仕上げに入っていました。巣の表面に見える色の濃い部分は、水分で湿らせている場所で、乾くと表面は同じ色になります。巣は巣の材質である泥を泥団子として運んできて作られます。巣は口に含んだ水を使って造形しやすくして、泥で形を整えながら作り上げていくのです。手順は水を吸ってきて、巣を作りやすい粘度のある泥を選び湿らせます。次に、口で泥を削り取っていきます。そして運びやすいようにダンゴ状(泥団子)にして巣のある場所、または作ろうとする場所に運んでいきます。餌が巣の中に満たされると、巣に蓋をして表面に湿り気を与えて、全体的に滑らかにしたのち完成です。当然、防水性のある状態を保って作られていると思います。営巣場所も巣は石や壁などの直接雨が当たらないような場所を選んで作られます。ムモントックリバチの場合、巣の形と巣を作る場所から、他のドロバチの巣と見分け安くなります。
上はムモントックリバチの巣です。上2枚は巣の入り口が塞がれた巣です。3、4枚目は穴が開いています。4枚目の写真の巣は表面が滑らかになっていませんが、恐らくムモントックリバチの巣で良いのだと思います。ここではムモントックリバチの巣としておきます。1番下は大きな穴が開いています。このような巣をよく見かけます。成虫になって脱出した後の巣です。中から出てくるのは、必ずしもムモントックリバチではありません。巣の穴を塞ぐ前にムモントックリバチに寄生する種類の昆虫に卵を産み付けられていて、巣を壊して出てくるのは中の餌を食べて育った他の昆虫ということもあります。巣の色の違いは材料に使われた泥の種類によります。写真の巣はすべて人工物(壁)に作られていました。
★エントツドロバチ(オオカバフスジドロバチ)ドロバチ科。普通種。体長は18〜20ミリ程の大型のドロバチです。旧名はオオカバフスジドロバチと呼ばれていました。エントツドロバチ(オオカバフスジドロバチ)の特徴は腹部にある2本の横帯です。黄色い帯の中央部には切れ込みがあります。胸背には黄色い筋や斑紋はなく黒い色をしています。日本では雄のエントツドロバチ(オオカバフスジドロバチ)は見つかっていないそうです。単為生殖する単為生殖個体群と考えられているそうです。エントツドロバチの成虫は花の蜜や花粉。幼虫はガの幼虫(メイガ、キバガ、ヤガ、ハマキガ等)を食べる肉食性です。巣は泥で作られ、その巣の入り口の形状が煙突状に伸びることが名前の由来になっているようです。巣が完成すると煙突状の出入り口は取り除いて、外敵の侵入を防ぐために入り口を泥で塞ぎます。巣は再利用されることも多いようです。巣を作る場所は竹筒や建物の隙間、岩の隙間などに巣を作ります。出現期は6〜9月。分布は本州、四国、九州。平地から山地の林縁、公園、人家付近に生息しています。エントツドロバチは性質がおとなしいハチになります。越冬は巣の中で幼虫で越冬します。
エントツドロバチです。大きくて迫力があります。写真は同じ個体です。
泥を集めていたエントツドロバチです。巣の材質にする土は、サラサラした乾燥した土ではなく、粘土質のような硬い土を選び、口で削って丸めて運んでいきます。やはり粘土質に近い土の方が、泥として捏ねやすく造形しやすいのでしょう。手順は水を吸ってきて、土を湿らせます。次に、口で泥を削り取っていきます。そして運びやすいようにダンゴにして巣のある場所、または作ろうとする場所に運んでいきます。巣を作るところは見たことが無いので、観察してみたいものです。

