2017年05月15日

タマムシ(ヤマトタマムシ)、ヒシモンナガタマムシ、クロナガタマムシ、ムネアカナガタマムシ、シャシャンボナガタマムシ。タマムシ科の昆虫5種類です。

タマムシ(ヤマトタマムシ)は有名で美しい色彩から迷うことが無いのですが、他のタマムシ科の昆虫はどれもよく似たものがいて、種類を特定することが難解です。タマムシ類は飼育が難しい種類です。食べる餌(種によって食べる葉が違います)が分かっていても、餌となる葉を食べてくれないことが多く、餌を食べないで死んでしまいます。神経質で極力、自然に近い状態にしないと餌となる葉を食べてくれないようです。死なせてしまうよりも、美しいタマムシ(ヤマトタマムシ)は自然の中で見ることにする方が良いと思います。小型種が多いナガタマムシ類は似たものが多くいるうえ、色彩に個体変異がある種もいるので、種類を特定することが難しいです。タマムシ類は綺麗な種類も多いので、色々な種類も見て見たいのですが、個人的にはなかなか見つけることができない昆虫になっています。見つけてもすぐに逃げられることが多く撮影にはてこずります。タマムシ(ヤマトタマムシ)、ヒシモンナガタマムシ、クロナガタマムシ、ムネアカナガタマムシ、シャシャンボナガタマムシの5種類を紹介します。(ムネアカナガタマムシの写真を追加しました)
★ヒシモンナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。体長5〜10ミリと小型です。普通種のタマムシで探せば見つかる種類です。。雌の方が大型になります。特徴は上翅に菱形の紋が見えることです。地色は赤胴色で白い微毛が生えています。菱形に見える部分には白い毛が生えていません。分布は北海道、本州、四国、九州、伊豆諸島島、対馬。出現は越冬成虫は4〜7月。新成虫は9〜10月。成虫はケヤキ、ムクノキ、エノキの葉。幼虫はケヤキ、ムクノキ、エノキの枯れ木を食べます。多くのナガタマムシは越冬しませんが、ヒシモンナガタマムシは成虫で越冬します。秋に羽化した個体が樹皮下などで越冬に入ります。
ヒシモンナガタマムシ.JPG
上、ヒシモンナガタマムシ。小型のナガタマムシの仲間は同じように見えますが、ヒシモンナガタマムシの菱形に見える斑紋は特徴的で判別が容易です。接写して見るとそれなりに綺麗な体をしていることが分かります。
★クロナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。成虫はナラ類(クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシ)の葉を食べます。幼虫はそれら枯れ木を食べます。体長10〜15ミリとナガタマムシ科最大の大型種で、大きさが判別の決め手にもなっています。出現は5〜7月。分布は北海道、本州、四国、九州。色彩に個体変異が多く、胸部の色は青紫色、赤銅色、銅色、黒色などがあり、赤銅色の個体はケヤキナガタマムシに似て見えます。上翅後端は丸みがあります。色彩に個体変異、地域変異があるのでムネアカナガタマムシと似た個体もいて紛らわしいです。大きさの比較も重要になってきます。
クロナガタマムシ(赤系)2.JPGクロナガタマムシ(赤系)1.JPG
上、クロナガタマムシの胸部が赤紫色に見えるタイプ。大型で15ミリに近かったので、大きさからクロナガタマムシと判断しました。胸の部分が赤紫で綺麗な色をしていたので、 ムネアカナガタマムシだと思っていましたが、15ミリ程の大型です。個体変異がおおいしゅるいなので、ムネアカナガタマムシに似た クロナガタマムシで良いようです。近くにはコナラが数本とカシ類が数本ありました。樹種からもクロナガタマムシに当てはまります。他のナガタマムシが飛翔性が強く、すぐに逃げ出すのに対して、クロナガタマムシはじっくりと撮影させてくれる種類になります。
★ムネアカナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。体長7〜11ミリ。出現は5〜7月。分布は北海道、本州、四国、九州の低地から低山地。西日本に多い種類です。頭部と上翅は黒い地色をしていて、胸部は赤紫色で金属光沢が強いです。胸部の赤紫色の金属光沢の色彩には若干の個体差があります。幼虫はエノキ、エゾエノキ、ケヤキ、ハルニレなどの枯れ木、倒木を餌にします。成虫はそれらの葉を食べます。集まる樹はエノキが主になります。林縁、都市部の公園でも見ることができます。越冬は幼虫または蛹で越冬するようです。大変良く似た種類にケヤキナガタマムシがいます。ムネアカナガタマムシは神奈川県では少ない種類になりますが、近年では数が増えてきて見つけることができる様になりました。ストックから写真が出てきましたので写真を追加しました。ムネアカナガタマムシにも似ている種類が多くいて、食樹が確認できないと種類が分からなくなってしまいます。
よく似ているムネアカナガタマムシとケヤキナガタマムシの判別方法。
ケヤキナガタマムシと非常によく似ていますが、ムネアカナガタマムシの上翅後端は丸みがあり尖った部分(刺のように見えます)はありません。ケヤキナガタマムシの上翅後端には尖った部分があることで判別します。ケヤキナガタマムシは東日本に多い種類になるようです。体長は8〜11ミリ。体色はムネアカナガタマムシと同じですが、胸部と頭部に赤紫色や赤銅色の金属光沢が見え、上翅には不明瞭な白い微毛が生えている特長があるそうです。大きさもほとんど同じなので、生体のこの両種をじっくりと比較して見たいものです。
ムネアカナガタマムシ1.JPGムネアカナガタマムシ2.JPG
ムネアカナガタマムシです。小さなエノキが生えていて、エノキの葉の上にいたものです。すぐそばにはケヤキも生えています。食性と大きさからムネアカナガタマムシで良いと思います(ストックしてあった写真を探すと見つかりました。撮影場所といた状況が分かりました)胸背の赤紫色が綺麗な色をしています。草の葉の上に飛んで逃げたところを撮影したものです。上、親指の先とムネアカナガタマムシです。下、写真だと大きく見えますが、小さな体をしています。
★シャシャンボナガタマムシ タマムシ科ナガタマムシ亜科。小型のナガタマムシです。分布は本州、四国、九州。幼虫はシャシャンボ、シャリンバイの枯れ木(朽ち木部分)を食べると思います。詳しくは分かりません。体長はヒシモンナガタマムシと同じ位だったので、体長5〜10ミリ程と予想します。
シャシャンボナガタマムシ1.JPGシャシャンボナガタマムシ2.JPG
上、シャシャンボナガタマムシ。シャリンバイに数匹いたのでシャシャンボナガタマムシで良いと思います。初めてみる種類で上翅後端よりに小さくV字の白い微毛の塊が見ています。これはシャシャンボナガタマムシの特徴なのでしょうか?小さいことと、今まで探したことが無かった種類なので、初見になる種類です。同じシャリンバイにいたのですが、この2枚の写真でも分かるように雰囲気が違って見えてしまっています。多少の個体差もあると思うのですが、角度により色が変わって見えることが大きいです。このようなことはタマムシの仲間にはよくあることです。このこともこの種類の特定を難しくしてしまいます。
★タマムシ(別名ヤマトタマムシ) タマムシ科タマミウシ亜科。体長30〜40ミリ。タマムシ科の中で日本最大の大きさになります。雌の方が大型になります。タマムシというとすぐに思い浮かべることができる有名な昆虫です。単にタマムシというと総称的にタマムシ科の昆虫の呼び名にもなっています。体形は細長く金属光沢の強い昆虫で、金緑色の光沢のある地に、銅紫色の縦筋が2条あります。タマムシというと法隆寺にある「玉虫厨子」が有名ですね。昆虫類はタマムシのように綺麗な色をしていても、死後に色を失う種類が多くいます。タマムシの色彩は色素などによるものではない構造色になるため、死んでも美しい色が残ります。出現は6〜9月。産卵は8月なので、8月に飛び回っている所を多く見ることができます。分布は本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島。森林、雑木林、里山、自然公園などに生息しています。成虫はエノキの葉を主に食べます。幼虫はエノキ、ケヤキ、サクラ、カシなど広葉樹の枯れた部分(朽ち木)を餌にします。幼虫は2年以上かかって成虫になります。昼行性で飛翔性が強く、高い所を飛んでいる所は見かけることができるのですが、撮影するには見つけることが難しい昆虫です。タマムシは晴天時に良く飛翔しています。大変美しい昆虫ですが、残念なことに開発により個体数を減らしています。写真だと上手く見た目の色が写せないので手を焼いてしまいます。飼育の難しい種類で、成虫の餌が分かっていてもほとんど餌を食べないので、すぐに死んでしまいます。飼育には向いていない昆虫です。タマムシは警戒心が強い性格をしていて、捕まえようとすると脚を引っ込めて落下します。擬死なのでしょうが、すぐに飛び立って逃げ出します。タマムシの派手な金属光沢のある目立った色は、鳥などの格好の的になりそうなのですが、鳥に襲われている所は見たことがありません。昆虫離れしたあの金属光沢が身を守っているようです。日本レッドデーターで調べてみると、
絶滅危惧T類には群馬県。絶滅危惧U類は山形県。準絶滅危惧類には宮城県、茨木県、千葉県、東京都、長野県、高知県、宮崎県、熊本県、長崎県となっています。
タマムシ.JPG
タマムシです。このタマムシは弱ってほとんど死んだ状態でした。タマムシは見た目の色が出ないので撮影が苦手です。しかもたいてい飛んでいて撮影できないことが多いです。大変美しい色彩をしているタマムシですが、最近めったに見ることが無くなってしまったことが残念です。昔はタマムシや地味な色のウバタマムシをよく見たことが懐かしくなります。
posted by クラマ at 16:01| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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