2017年05月13日

ミカドトックリバチ(トックリバチ)とドロバチヤドリニクバエ。

ミカドトックリバチ(別名トックリバチ)が葉の上で、捕らえてきたイモムシを巣に運ぶための態勢を整えている所を発見しました。止まっていたすぐそばの石垣の隙間に巣が作ってありました。巣の中に餌のイモムシ(ガの幼虫)を運ぶ観察ができる幸運に巡り合うことができました。観察しているとトックリバチなどドロバチ類のストーカー、ドロバチヤドリニクバエがミカドトックリバチを追いかけてきた所を発見しました。このニクバエ科のハエはスズバチ、オオフタオビドロバチ、などドロバチ類の巣に侵入してウジ(1齢幼虫)を産み落とすそうです。様子を見ているとドロバチヤドリニクバエが異常に巣に接近して巣に入り込もうとしました。寄生ニクバエと分かっていたので、ハチに刺されないようにハエを追い払いました。ハエは諦めないで巣の近くから逃げませんでした。ミカドトックリバチはよほど良い狩場を近くに見つけたのか3〜4分ぐらいで戻ってきます。トックリバチは驚く速さで麻痺してビロンと伸びた動かないイモムシを巣の中に頭から押し込んでいきます。ミカドトックリバチがイモムシを運び込むたびに、ドロバチヤドリニクバエは巣の近くまで寄っていきます。ミカドトックリバチのトックリ状の巣は、まだ詰め込む餌のイモムシ等が満たされていないので、まだ蓋がされていない状態です。ドロバチヤドリニクバエはミカドトックリバチが離れたすきに巣の中に侵入してウジを産み付ける卵胎生で、その機会を狙っています。ここでもドロバチヤドリニクバエの侵入は防いであげました。巣を発見してから3匹のイモムシ(同1種に見えます)を詰め込んだ後、口元に茶色い球状の塊を運んできました。巣の中が餌のイモムシで満たされると卵を産んで蓋をします。蓋も泥で塞がれます。蓋をするための泥を運んできたのは2回です。何とこの蓋は2回運んだ分量の泥で塞がれました。このことから蓋は2〜3回運ばれる泥で塞がれることが予測できました。
★ミカドトックリバチ スズメバチ科ドロバチ亜科。日本特産の普通種で良く見かける種類になります。単独行動をする狩蜂です。別名トックリ状の泥の巣を作ることから、トックリバチと呼ばれています。総称的に似た仲間をトックリバチと呼んでいることもあるので、トックリバチの方が呼び名として有名です。体長10〜15ミリ。特徴は黒い体に黄色い斑紋がありますが、この黄色紋には変異があります。腹部には2本の黄色い縞が見えます。雄雌はほぼ同じに見えますが、雄の頭盾は全体が黄色くなっています。巣の形状は泥でツボやトックリに見える巣を作ります。出現は5〜10月(春型は5〜7月、夏型は7〜10月)の年2化。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地まで広く生息しています。成虫は多くの種類の花の蜜などを餌にします。日当たりの良い草原の花などの花に訪れています。攻撃性のない大人しいハチです。幼虫の餌となるイモムシはガの幼虫です。巣の中には卵が1個産み付けられます。巣の中で麻酔をかけられたガ類のイモムシは、生きながら幼虫の餌にされてしまいます成虫になると巣から脱出していきます。巣の入り口が開いていたら成虫が脱出したことが分かります。巣の大きさには大小があり、巣の大きさは餌の量に比例するようです。大きな巣からは雌が、小さな巣からは雄が出てくるそうです。越冬は巣の中で前繭で越冬します。
出現が7〜9月と言われていましたが、春にも居ることが不思議でしたが、年2化で春型と夏型がいることが分かってきました。このことを発見した昆虫研究者の大きな成果です。季節型の違いは、春型のミカドトックリバチは黄色い斑紋が小さく、夏型のミカドトックリバチの斑紋は大きく黄色がはっきりと見えることです。このことから詳しく分かるまでは季節型が別種とされていたことがありました。それにしても黒い地色に黄色の紋や筋がある種は多くいるので、この仲間を見つけたら写真を撮って調べないと分からなくなってしまいます。
ミカドトックリバチ.JPG
上、ミカドトックリバチの雌。葉の上で巣にいれる前にイモムシの体制を整えているようです。この獲物はシャクトリムシと呼ばれるガの幼虫のようです。撮影は5月で、黄色い紋が小さい春型のミカドトックリバチになります。
ミカドトックリバチ巣2.JPGミカドトックリバチ巣1.JPGミカドトックリバチ巣3.JPG
上、スムーズにイモムシを頭から巣の中に突っ込みます。巣の位置が悪く、ピントを合わせている間に獲物は巣の中に押し込まれてしまいます。見事な早業です。ミカドトックリバチは巣に獲物を素早く入れることに集中していて、近くに天敵のドロバチヤドリニクバエがいても気にしていないようです。すぐ次の獲物を捕らえて運び込むために飛んで行ってしまいました。写真、中と下は泥で作られた巣の様子です。中、巣の入り口まで獲物が詰め込まれているのが見えています。この状態になると後は入り口を塞ぐだけです。下、巣の中が餌で満たされると、最後の仕上げに外敵の侵入を防ぐため、口に咥えてきた茶色い団子状の泥で入り口は泥で完全に塞がれてしまいます。茶色く見えていたのは水分を含んでいるためです。乾燥するとすと巣と同じ色になります。入り口を塞いだ後は、次の巣を作るために飛んでいきました。
ドロバチヤドリニクバエ(ニクバエ科).JPG
上、ドロバチヤドリニクバエです。ドロバチヤドリニクバエは卵胎生のニクバエ科で体長3〜7ミリ。トックリバチや オオフタオビドロバチなどの巣の中にウジを産み落とすそうです。ニクバエ科の特徴として胸背部に不明瞭ですが3本の縦条が見えます。その他詳しくは分かりません。このドロバチヤドリニクバエの大きさは体長7ミリ位でした。寄生バエの行動を見たことが無かったので大変貴重な観察をすることができました。観察場所、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。

posted by クラマ at 18:12| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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