2016年12月08日

ハナアブ(オオハナアブ、ベッコウハナアブ)とハナバチの仲間のキムネクマバチ(クマバチ)、トラマルハナバチは良く似た花に集まる昆虫です。アブとハチの違いも調べてみました。

オオハナアブ、ベッコウハナアブはクマバチ(キムネクマバチ)やトラマルハナバチなどのハチの仲間に良く似ていることから、ハチと間違われていることが多いようです。ハナアブの仲間は自分より強いハチの容姿を真似ることで身を守る擬態をしています。実際に良くハチと間違われているようで擬態(ベーツ型擬態)の成果は十分に発揮されていると言えます。どちらの種類も普通は近くで見ることが無いので、同じに見えても可笑しくありません。似たようなおとなしい種類のハチでも刺されたら大変です。大まかでもハナアブとハチの違い(両種の違い)は知っておいて損はありません。黄色と黒の配色をしていることから、ミツバチ科のハチやハナアブの仲間は同じように見えてしまいます。オオハナアブ、ベッコウハナアブ、クマバチ(キムネクマバチ、クマンバチ)を調べてみました。
オオハナアブ、ベッコウハナアブはハナアブ科の昆虫なので、姿がハチに似ていても人を刺すことはありません。ハナアブの擬態は、弱い昆虫が毒などを持っている強い昆虫に姿を似せて身を守るベーツ型擬態と呼ばれる方法になります。自分より強い昆虫に成りすまして外敵から身を守っているのです。ずんぐりとした体つきや色合いの感じはコシブトハナバチ科の大型のハナバチであるクマバチ類やミツバチ科のトラマルハナバチにも似ています。容姿はトラマルハナバチの方がベッコウハナアブ に似て見えます。トラマルハナバチは気が粗く人を刺すので注意が必要になります。大型で音量のあるブンブンという羽音のクマバチ(キムネクマバチ)は容姿と羽音に似合わず攻撃性の弱い大人しい性格をしています。太くて体の大きいキムネクマバチは近くで見れば体つきから1般的なハナアブとは違って見えます。キムネクマバチの雄は毒針を持っていないので人を刺しません。刺すのは雌のクマバチになります。クマバチは気性が大人しいので、めったに刺すことはないようですが、いくら大人しい種類と言ってもハチなので、手で捕まえたりしようとは思わない方が良いです。危害を感じると攻撃されてしまいます。キムネクマバチは別名クマンバチ、クマバチとも呼ばれています。またクマバチと呼ぶ場合は総称的な名前(呼び名)になっていることも多いです。キムネクマバチは普通種で見かけることも多く、黒色と黄色の2色の配色をした体に太くてずんぐりとした体形はとても可愛く見えます。重量のある体に対して翅が小さいことも外見上の特徴になります。
・アブとハチの違いをいくつか挙げてみました。
ハチに似ているハナアブの仲間とミツバチ科のハチの簡単な区別としていくつかの違いを挙げることができます。最も分かりやすい見分け方の1つは、胸背部などに目立つ毛が生えているかどうかを確認すると分かりやすいです。ハナアブは短毛は生えているものの、つるりとしていてツヤのある体に見えます。クマバチやマルハナバチなどの花に集まるミツバチの仲間は、体に毛が密生しています。クマバチやトラマルハナバチは「ブンブン」と、とても大きな羽音を立ててやってきます。オオハナアブ、ベッコウハナアブも大きな羽音を出しますが、クマバチ(キムネクマバチ)の出す大きな音とは若干聞こえ方が違います。クマバチ系は重低音というところですかね。この違いは経験するしかありません。小型種が多いハナアブの仲間は花に飛来するときはどちらかというと静かによってきます。顔はハナアブの触角は短く、大きな目(複眼)をしています。つまりハエ目だけにハエのような顔をしていることになります。クマバチなどは体も大きいのでよく見ると違いを見つけることができます。体の構造的な大きな違いは翅の数になります。翅の数の違いは、アブは翅が2枚。ハチの翅は4枚になります。飛び方としてハチがトンボのように翅をヒラヒラとさせて飛ばないのは、前翅と後翅を1つに連結して、1枚の翅のようにして動かして飛んでいることによります。ハチはとまると翅を重ねてしまうので、1見翅の数は2枚に見えてしまうことから、ハチの翅の数を2枚だと思っている人も多いと思います。ハチというと何といっても刺されてしまう危害を受ける可能性のある危険な昆虫であることです。ハチでも雄のハチは刺しません。刺さない種類のハチ、大人しい種類のハチもいるのですが、毒針を持たないアブは人を刺すことはありません。
★ オオハナアブ ハナアブ科。体長14〜16ミリ。普通種で数も多い種類で、体色は黒色で横幅のある大きなハナアブです。はっきりと色が分かれていて、地味な配色ながら綺麗に見えます。名前にオオと付いていますが、ハナアブとしては大型になるのですが、1番大きいい種類ということではありません。大型なハナアブだけに羽音が聞こえます。飛んでいる時ですと、音では他のミツバチなどハチ類と間違えてしまいます。オオハナアブの体の特徴は、黒を基調とした地色に腹部には幅の広い黄橙色の横帯があることです。触角は非常に短いです。雌雄の違いは目の間隔で判別できます。目の間隔が広い方が雌で、雄は眼の間隔が狭く接近しています。この特徴はハエやアブに共通したものになっています。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。林縁、畑地、公園、水田、湿地などに生息しています。幼虫が水生のため、湿地や沼地のある場所に多く生息しています。出現は4〜11月。オオハナアブの成虫の餌は様々な花に訪れて、花の蜜や花粉を食べます。昼行性で虫媒花の昆虫として 色々な花に飛来します。幼虫はオナガウジとよばれていて、水生で餌は水中の腐食物を食べます。幼虫はよどんだ汚水を好みます。越冬は成虫で単独で落ち葉の下などに潜り越冬します。ハチではないので刺されることはありません。
オオハナアブ雌1.JPGオオハナアブ雌2.JPG
上2枚。同じオオハナアブの雌です。目の間隔が広くなっています。良い匂いに誘われてシシウドの花の蜜を吸いに来ました。カメラを気にしないで食事を楽しんでいました。
★ ベッコウハナアブ  ハナアブ科。体長17〜20ミリと大型のハナアブになります。ベッコウハナアブに似た昆虫にはミツバチ科のトラマルハナバチがいます。黄橙色の体に黄橙色の短毛(微毛)が生えています。胸背部の明るい黄橙色が良く目立ちます。雌雄の違いは目の間隔で判別します。目の間隔が広い(離れている)方が雌になります。雄の場合、眼の間隔がとても狭く接近し見えます。この特徴はハエやアブの仲間の特徴になっています。分布は北海道、本州、四国、九州。雑木林の林内、林縁に多く生息します。出現は4〜9月。幼虫は土中のスズメバチの巣に依存して育つという変わった習性を持っています。凶暴なスズメバチに攻撃されないで巣に産卵するとは、驚くべき生態をしているハナアブになります。まずベッコウハナアブはスズメバチの巣の外被に産卵します。スズメバチの巣の下部は餌の食べ残しや幼虫の死骸などの捨て場になっていて、ベッコウハナアブ の幼虫は初めは、このゴミ捨て場に捨てられた幼虫の死骸や蛹を餌にして育っていきます。ベッコウハナアブ の幼虫は肉食性で、餌としてスズメバチの幼虫の食べ残し、幼虫の死骸等を食べるのです。やがて餌(幼虫の死骸等)が不足する時期になると巣の中に侵入して幼虫を食べてしまうようです。毒針を持たないベッコウハナアブが凶暴なスズメバチの巣を餌場として育つとは驚きです。立派なスズメバチの天敵になっているのです。ベッコウハナアブの容姿はマルハナバチ(マルハナバチ科の総称)に似ています。鮮やかな橙黄色を基調とした体に、翅の中央に黒い色の帯があります。腹部は黒色部が多いです。大きくて1見怖そうですが、ハチではないので刺されることはありません。
ベッコウハナハナアブ.JPG
ベッコウハナアブです。綺麗な体の色をしています。ハルジオンの花に飛んできました。なかなか縁がなく、見ることが少ない種類になっています。
★キムネクマバチ 別名クマバチ、クマンバチ。コシブトハナバチ科で単独性の大形のハナバチです。キムネクマバチは日本固有種になります。体長は21〜24ミリとハナバチの仲間では大型になります。雌雄の区別は顔で判別できます。顔の正面から見ると複眼の下の部分に淡黄色の3角(3角紋)が見える方が雄で、雌の顔には3角紋はなく黒く見えます。雄は繁殖期に入ると雌を探す行動として、ホバリングして空中に浮いて見えます。この飛び方をするのは雄のキムネクマバチになります。キムネクマバチの身体的な特徴は、全身が黒く大型で太さがあり、胸部に黄色い粗い毛が密生していることです。クマバチと呼ぶ場合は総称的な呼び名になります。本州に多く見られるクマバチはキムネクマバチになります。キムネクマバチは大型のクマバチで大きな羽音をブンブン立てて花に良く集まってきます。重量のある大きな体に対して翅が小さく理論上は飛べないとされていて、どのような仕組みで飛ぶことができるのか謎でした(最近、解明されたようです)成虫の寿命は約1年になるようです。成虫は盛んに花の蜜や花粉を集めます。植物がクマバチに受粉を助けて貰う受粉の方法はクマバチ媒花と呼ばれていて、力の強いクマバチにより、受粉できる仕組みになっています。クマバチ媒花を行う植物にはフジが有名です。花の根元に穴を開けて蜜だけを吸う、花の受粉に関与しない盗蜜という行動もします。クマバチの名前に付いている「クマ」はクマのように「大きい」や「強い」という意味を含んでいるそうです。見た目も飛んでいる時の迫力のある羽音もすごいですから、名前負けはしていませんね。ずんぐりとした体も見ようによっては愛嬌があって可愛いです。花粉や蜜を餌にしているクマバチの仲間は大きくて怖がられるのですが、ミツバチの巣を襲うスズメバチと違い、気性は温厚な大型のハナバチになります。羽音の迫力にはかなりの凄みを感じてしまいます。凶暴なハチと間違われても仕方がない所です。
分布は北海道、本州、四国、九州。キムネクマバチは平地から山地、林縁や里山、公園、人家付近でも目にすることができる数の多い普通種になります。出現は4〜11月。年1化。フジ、キリ、ツツジ、ウツギ、ニセアカシア、サクラ、キンセンカ、サルビア、キバナコスモスなど様々な花に集まり蜜や花粉を集めます。キムネクマバチは単独生活をするハチなので、巣も大きなものは作りません。枯れ木や枯れた竹筒などに穴を開けて巣を作ります。竹筒に巣を作る場合は卵を1つ産卵するごとに仕切りを作って4〜6個ほどの幼虫の育つ部屋を作っていきます。この作り方は枯れ木などの材に作るときも同じになります。枯れ木に巣を作る場合、硬い枯れ木よりも柔らかめの枯れ木を好むようですが、特に樹種は選びません。巣を作る材の太さは巣ができる適度の太さがあれば問題ないようで枯れ枝にも作ります。巣は材に穴を掘って作られます。巣の出入り口は小さく、綺麗な丸い出入り口があるだけです。巣穴の径は1・5〜2センチほどになります。巣材として人家の柱、丸太、公園の樹の杭なども使われます。太い丸太のような材には幾つかの巣が作られているものもあるようです。部屋には花蜜と花粉を団子状にした餌が入っています。越冬は成虫で越冬します。繁殖期には雄が雌を求める習性から、大きな羽音を立てて近づいてくることがありますが、雄は針がないので刺されることはありません。雌も飛んできて刺すようなことはしません。慌てないで離れれば大丈夫です。クマバチはスズメバチのような強毒を持っていませんが、いくら毒性が弱いと言っても体が大きいので、刺されるとかなり痛いようです。腫れが数日続くようです。怖いのはハチに刺されて起こるアナフィラキシーショックです。ハチ毒にアレルギーのある人が2度目に刺されるとショック症状を引き起こしてしまいます。早いと刺されて10分後くらいから症状が出てくるようです。刺されてから30分以内に手当てが必要なほど危険な場合があります。救急車を呼んで対処することが必要になると思います。安全のため大人しい種類とは言え、捕まえようとしたりしてはいけません。キムネクマバチの羽音は危険を感じてしまうほど大きく、近寄ってくると驚かされることがあります。
クマバチ(キムネクマバチ)5・22B9.JPGクマバチ2.JPGキムネクマバチ雄2.JPG
キムネクマバチです。雄と雌の区別は顔を見ると分かります。雌の顔は黒く、雄の額には3角形をした黄白色の紋があります。雌雄共に体型はかなりガッチリとしています。太くてものすごい迫力があります。上、雌のキムネクマバチです。やたらと大きかったので女王蜂かも知れません。撮影は5月。中、下。キムネクマバチの雄。紫のサルビアの花に来たキムネクマバチ。羽音が迫力満点ですごかったです。顔に白い3角紋があるので雄のキムネクマバチです。胸が黄色で地色が黒という配色と、ずんぐりとした大きな体なので覚えやすい種類になります。攻撃性の少ない大人しい性格のハチなので近くで観察することができました。腹部をよく見ると白い短毛が横縞になっていることが分かりました。シャッターチャンスを窺うも、とにかくせわしなく花から花に移動してしまうので撮影には苦労しました。凶暴に見えるハチですが攻撃性の弱い大人しい性格をしています。
・トラマルハナバチの写真が撮れましたら追加する予定でいます。
posted by クラマ at 16:32| Comment(3) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝読しております。アブの話が出ましたところで、私の疑問をお尋ねしようと思います。ハエやアブの翅の付け根付近に「切れ込み」があって、そこから小さな翅片が立ち上がっているように思われます。ちょうど平均棍の真上の部分になります。これ、なにか名前があるのでしょうか。何か意味がある装置なのでしょうか。ずっとわからずにおります。ご存知でしたらご教示ください。
なお、私のブログ記事でまとめて扱ったものがありますので、よろしかったらご覧ください。お願いします。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-15d5.html
2016年12月22日 (木)「ハエやアブの翅の構造につて」
Posted by かかし at 2017年01月05日 15:33
かかしさんこんにちは。長らく当ブログを見ていなかったのでコメントが遅くなりました(今、開いたところでした)当方、平均棍以外の特徴は特別考えていませんでした。かかしさんの「ハエとアブの翅の構造について」を拝見させていただきました。図の翅の立ち上がりは分かりやすかったです。アブなどを見て見ると、確かにこの立ち上がりが見えるものと見えないものが有ります。図に示した前翅の後端の基部が立ち上がって見える部分は、基覆弁、端覆弁、小翅片という3つの部分(パーツ)がつながっている部位に相当します(胴体側の基部側が基覆弁になります)私も調べてみて3個のパーツから成り立っていることは知りませんでした。どうにかすると折れ曲がって上部に突き出るのかなぐらいにしか思っていませんでした。この部分は連動して折れ曲がって立ち上がる構造をしていることからと、種類による翅の構造(基覆弁、端覆弁、小翅片の形状等)の違いがあるのかなどで、とまった時にこの部位が折れて立ち上がって見える個体や種類があるものと思われます。詳しくは私も良く分かりません。この連動して動く動作は飛行機のフラップのような働きをするものと思われます。そちら方面から調べられると疑問は解決されるかも知れませんね。調べると他の昆虫の翅の部位にも同じように可動する部位が有るかも知れませんね。
Posted by クラマ at 2017年01月12日 22:36
丁寧なお返事をいただき感謝します。「小翅片」ですか。老眼の爺さんが妙に細かいものに気づいてしまいました。
昆虫の飛行の流体力学的な解明はまだ不完全なようですね。人間の作る飛行機とは原理的に違うかもしれない。
空気の粘性を感じながら、乱流とか渦とかを積極的に利用しているのかもしれません。
ひょっとして「小翅片」も渦の生成などに関与しているのかな、などと想像をたくましくしました。
いずれ、少しまとめて記事にしたいと思います。
Posted by かかし at 2017年01月16日 10:40
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