2016年10月27日

ゲッケイジュ(月桂樹)の葉にできた虫こぶ(ゴール)、ゲッケイジュハベリマキフシとトガリキジラミの1種(ゲッケイジュトガリキジラミ)を見つけました。

ゲッケイジュ(月桂樹)の葉にできていた虫こぶ(ゴール)を見つけました。暫くこの植物が何なのか分からなかったので手間取ってしまいました。できていた葉の樹種はゲッケイジュ(月桂樹)と分かりました。今回見つけたゲッケイジュの虫こぶも最近よく見かける様になってきました。名前が分からなかったのですが、Hepota様からゲッケイジュトガリキジラミとゲッケイジュハベリマキフシであると教えていただきました。ゲッケイジュ(月桂樹)はハーブとして利用される有名な植物です。別名が多く、ローリエ、ローレル、ベイ、ベイリーフ、ベイリーブスとも呼ばれています。原産地はヨーロッパの地中海沿岸になります。日本に渡来したのは明治時代になります。植物名は有名なわりに生の葉を見て植物名が分かるということの方が少ない、少し変わった存在の植物になっているような気がします。ゲッケイジュ(月桂樹)はハーブとして乾燥させた葉を、カレーやシチューなどを作る際に香辛料として使われていて、乾燥した葉の状態の方が良く知られています。その他、ピクルスの香辛料や肉料理や魚料理の匂い消しにも使われます。通例、ゲッケイジュの葉は乾燥させることで香辛料として使われるもので、生の葉は使わないそうです。私は生の葉を見たのがこれが初めてになります。ゲッケイジュは総称的な呼び名で、品種改良品されたものも多く出回っているようです。名前の分からなかったキジラミと虫こぶの名前が分かったので、名前を追加して紹介させていただきます。ゲッケイジュにいたゲッケイジュトガリキジラミとゲッケイジュ(月桂樹)を調べてみました。
★ゲッケイジュ(月桂樹)クスノキ科ゲッケイジュ属。別名ローリエ(フランスの呼び名)。ローレル、ベイ、ベイリーフ、ベイリーブス(英語での呼び名)。月桂樹(日本出の呼び名)。ヨーロッパの地中海沿岸が原産地の外来種になります。日本に入ってきたのは明治時代(1906年)で、フランスから渡ってきました。単にゲッケイジュ(月桂樹)というとクスノキ科ゲッケイジュ属 の総称として呼ばれています。雌雄異株。日当たりを好む丈夫な種類で耐暑性、耐陰性、耐湿性、耐潮性があります。刈込にも強い種類になります。耐寒性はやや弱く、移植には弱い種類になります。日本にあるものは挿し木で増えた雄株が多いそうです。高さは10〜30メートルにもなる常緑高木です。ゲッケイジュ(月桂樹)の北限は東北の宮城県になります。宮城県以南では四国、九州、沖縄で栽培ができます。ゲッケイジュは庭木、生垣、公園樹、街路樹に使われています。鉢植えや盆栽にもできるそうです。花期は4〜5月。花の色は淡黄色で小さな花が集まって咲きます。楕円形をした果実は秋(10月)に紫色に熟しますが、雌株が少ないので実を見る機会は少ないと思います。樹皮の色は灰色。新枝は緑色をしていますが、紫褐色を帯びています。葉は互生。長楕円形から細長い楕円形をしています。葉柄の色は赤褐色をしています。葉の長さは7〜10センチ、幅は2〜4センチ。葉は密生して生え、葉の縁は全縁で波打って見えます。ただし、この波状に見える縁は全ての葉に見られる特徴にはなっていません。葉は革質で硬く、葉の表は濃緑色で弱いツヤがあります。裏側は緑色をしています。
ゲッケイジュ にもクスノキ科の特徴としてダニ室がありますが、クスノキの場合、葉の3主脈の集まるところにダニ室がありますが、ゲッケイジュの特徴としては3主脈の合わさる部分以外の葉脈の基部にもダニ室(小さな膨らみに見えます)があります。また葉の裏側の葉脈の基部には毛の塊(毛叢)があります。ゲッケイジュの葉は1見何の特徴もないどこにでもある葉にしか見えませんが、良く観察してみると面白い特徴を持っている葉であることが分かります。
ゲッケイジュ(月桂樹)を育ててハーブとしての利用を考えた場合には、ハーブとして使われる種類はスウィート・ベイという種類になるそうです。他の品種も出回っていますので、庭に植えてハーブとして利用する場合などには確認した方が良いです。増やしたい場合には挿し木で増やすことができるので、知り合いなどが育てていたら挿し木が1番手っ取り早い方法になると思います。挿し木の場合、時期は6〜8月が適しているようです。害虫は丈夫な種類になるのですが、カイガラムシによる被害が出るようです。ゲッケイジュは水はけのよい土質と日当たりを好む植物ですが、日陰でも育つことができます。葉が込み合うとカイガラムシ、ハマキムシなどにやられやすくなるので、枝を選定して風通しを良くすると良いようです。枝の伸びる力が強いので、枝の刈り込は4月の芽吹きの頃と秋(10〜11月)の年2回(枝が込み合う場合3回)行うと良いようです。
葉を香辛料として利用する場合、葉は1年中収穫が可能で、収穫する葉は若葉を除く葉になります。半年以上たったものを使います。もちろん前年の葉でも使うことができます。香辛料として利用される成分はシオネールと呼ばれているものです。ちなみに、生の葉は使えないことはないそうですが、青臭さや苦味が出てしまうそうです。香辛料としての特性を100%生かしたかったら、手間でも乾燥させた方が美味しく利用できると思いますが、この青臭さは、もともとは生の葉を使ったらしいので、人の好みという部分があると思います。ただし長期保存する場合は、乾燥させる必要があります。ゲッケイジュには軽い防虫効果もあるようです。料理以外にも使い道は工夫次第で広がるかも知れません。アイデア次第で利用価値はまだまだ他に有るかも知れません。
ゲッケイジュ葉.JPGゲッケイジュ葉・表.JPGゲッケイジュ葉・裏.JPG
上はゲッケイジュの葉です。ゲッケイジュの葉の特徴が分かると思います。道路に沿って立っている民家の庭に生えていました。柵がなく直接葉を見ることができます。観察していたら、お住まいの方が丁度お帰りになって、葉を1枚いただきました。おかげで種類を判別することができました。上(1枚目)葉の様子です。葉の表面には弱い光沢があります。2枚目、ゲッケイジュの葉の表面(表)クスノキ科なので葉の葉脈の基部にとても小さな膨らみ(ダニ室)があります。よく見ると肉眼で確認できます。3枚目、葉の裏側です。葉脈の基部に毛が生えていることが分かります。2枚目と3枚目は新しい葉の写真です。料理に香辛料として使う場合には1枚目(1番上)の半年以上たった葉を利用します。
★ゲッケイジュの葉にいたトガリキジラミの名前はゲッケイジュトガリキジラミでした。姿はクスノキに発生するクストガリキジラミに似ているのですが、ゲッケイジュの葉にいたゲッケイジュトガリキジラミは褐色の部分が多いです。羽化したての個体は全体が黄色いので、羽化したばかりの個体ですとクストガリキジラミとよく似て見えます。体色は羽化したての個体は色が薄いので、見た目では色の濃淡がある固体に見えてしまうものと思います。
ゲッケイジュトガリキジラミとゲッケイジュハベリマキフシはHepota様より、コメントを頂き名前が分かったキジラミとゴールです。この手は普通の図鑑には載っていないので、図書館で専門書を調べないといけないと思いつつ、時間がたっていたものです。名前が分かったので名前を付けて紹介することができました。
ゲッケイジュの虫こぶ1.JPGゲッケイジュの虫こぶ2.JPG
上2枚、ゲッケイジュの葉にできていた虫こぶ(ゴール)はゲッケイジュハベリマキフシという名前でした。まだあまり知られていないようです。ゲッケイジュハベリマキフシは葉の裏側に葉の縁が巻き込まれた形で細長く袋状になっています。古いものでも(幼虫等が脱出した後も)あまり黒くなっていませんでした。恐らく新しい状態の葉に寄生した形成者によって作成されるものと思われます。まだ袋状の黄緑色に見えるものを開いてみると、幼虫が中に入っています。茶色い部分が見えてきたり、茶色が多くなると羽化して脱出した後になり、幼虫を見ることができなくなります。幼虫はワタのような白いものを体にまとっています。幼虫は複数が袋状に巻かれた葉の中で生活しています。
ゲッケイジュのトガリキジラミSP幼虫2.JPGゲッケイジュのトガリキジラミSP幼虫1.JPGゲッケイジュのトガリキジラミSP1.JPGゲッケイジュのトガリキジラミSP2.JPG
上4枚、ゲッケイジュトガリキジラミです。ゲッケイジュハベリマキフシの形成者となる昆虫です。キジラミの仲間は小さいのでなかなか上手く撮影できません。このキジラミも同じく小さいです。撮影したのは5月下旬から6月初旬になります。虫こぶ(ゴール)の名前はゲッケイジュハベリマキフシと言います。上2枚はゲッケイジュの葉にいたものです。トガリキジラミの幼虫として紹介していたのですが、同種の幼虫とは違うかも知れません。2枚目の個体は終齢になるのだと思います。とても面白い容姿をしています。最初見たときにはハダニかと思いました。ダニに良く似ている体型をしていますが、ダニと違って脚の数が6本です。3枚目と4枚目のゲッケイジュトガリキジラミの成虫は別個体です。成虫と幼虫が葉に沢山ついていました。撮影は神奈川県横浜市。
posted by クラマ at 13:18| Comment(2) | 虫こぶ(ゴール) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
失礼します。
キジラミの方はゲッケイジュトガリキジラミ、虫こぶはゲッケイジュハベリマキフシのようです。2007年に侵入が確認された外来種で、以下の本に記述があります。
薄葉重著「虫こぶ入門増補版」2007年八坂書房
ツイッターの以下のツイート、
https://twitter.com/nanigash/status/871312245157896192
および虫えい同好会掲示板の最近(6月6日)の投稿も参考にどうぞ。
http://gallersclub.coo.net
Posted by Hepota at 2017年06月10日 15:35
Hepota様。ご丁寧に有難うございました。記載されていたサイトを覗いてみると、やはり教えていただいたようにゲッケイジュトガリキジラミとゲッケイジュハベリマキフシで良いと思います。名前が分かり大変助かりました。有難うございました。暫くブログを確認していなかったので、お返事が遅れてしまいました。早速、分かった名前で紹介させていただきました。
Posted by クラマ at 2017年06月13日 16:27
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: