2016年06月14日

ゴフンゴケ、コナイボゴケ(コナチャシブゴケ)、レプラゴケ。針葉樹の樹皮に付いていた地衣類、3種類です。

スギの木の樹皮には、しばしばペンキを塗ったような白い色や、コケが生えたような薄い緑色が見えることがあります。これは地衣類(ライケン)が樹皮に発生して色が付いて見えているものです。湿気の有るスギ林や水辺の近くのスギの樹皮に多く見ることができます。ゴフンゴケの地衣体は白い色をしていて、薄暗いスギ林の中に白く樹皮に浮かび上がって見えるゴフンゴケは目立つ存在になっています。針葉樹の樹皮に生えるゴフンゴケは松にも見ることができますが、特に神奈川県ではスギの木を好んで発生しているように思えます。ゴフンゴケは生きているスギの木やスギの倒木でも見ることができます。樹皮に薄く張り付いて薄い緑色や灰緑色、薄い黄緑色が見える場合はコナイボゴケ(コナチャシブゴケ)やレプラゴケの可能性が強く、近くで地衣体の様子を観察すると両種は見分けることができます。針葉樹の樹皮に付く地衣類は広葉樹に発生する地衣類よりも数は少なくなるようです。レプラゴケは普通に市街地でも見ることができます。レプラゴケの呼び名は総称になっていて、似ている種類が多くありそうです。レプラゴケの詳しい分類はまだされていませんので、正確にはレプラゴケの1種とする方が良いのでしょうが、ここでは総称的にレプラゴケとさせていただきます。レプラゴケは大気汚染に最も強い種類になるので、市街地の街路樹などでも見ることができます。色にはバリエーションがあります。石や石垣、樹皮などに生える子器を作らない不完全菌になります。大きな塊になって木の樹皮に発生していることもあります。コナイボゴケ(コナチャシブゴケ)にも地衣体の色にはバリエーションがあります。小さなレカノラ型の子器を多くつけている物をよく見ます。比較的に小さいことと淡い色合いから、やや目立ちにくい存在になっています。名前の通りに粉っぽく見えるものもあります。コナイボゴケ(コナチャシブゴケ)の特徴は地衣体の表面に小さな子器が多くできていることです。子器ができている場合は分かりやすい種類になります。コナイボゴケの仲間も大気汚染には強い方になるようで、街路樹でも見ることができます。ゴフンゴケ、コナイボゴケ(コナチャシブゴケ)、レプラゴケを調べてみました。レプラゴケは2回目の登場になります。
★ゴフンゴケ キゴケ科。小型で薄い痂状地衣。地衣体は白色で薄く、樹皮にペンキや絵の具を塗ったように薄く張り付いています。地衣体の表面は粉状になっています(ペンキを塗ったように粉状になっていない時期も見られます)日本での分布は不明ですが、神奈川県では普通にスギ林で見ることができます。ゴフンゴケはスギなどの針葉樹の樹皮に薄く密着(固着)しています。まだ研究が進んでいない種類の地衣類で、詳しいことは分かりません。ゴフンゴケの名前の由来は、顔料に使った貝殻をすりつぶした白い色をしている胡粉に似ている所から来たようです。
★コナイボゴケ(コナチャシブゴケ) チャシブゴケ科の痂状地衣。 果托は地衣体と同色でレカノラ型の子器を付けます。子器の直径は0・5ミリ。低地から山地の樹皮上(広葉樹、針葉樹)に固着して発生します。分布は本州(関東地方以西)、四国、九州。子器は密生して隣接することも多く、そのため円盤状の子器は、角ばって亀甲型などに見えることもあります。地衣体は淡黄緑色〜淡黄褐色をしていて小型になります。特徴としてコナイボゴケの子器の盤は淡黄褐色。果托は(子器の周囲の縁の部分)は波打っていて粉芽が付いています。茶褐色の色をした樹皮が多いので、思ったよりは発生していると見つけやすいです。チャシブゴケ属(レカノラ属)には似たものが多いです。多くの種類の樹皮上に痂状に固着しています。コナイボゴケは普通に見ることができます。チャシブゴケ属には似たものが多いです。子器の盤の色に違いがでます。正確には見た目では無く、試薬の検査が必要になることは言うまでもありません。幾つかが融合して大きくなった塊も見ることができます。
★レプラゴケ レプラゴケ属。まだ良く分っていない地衣類でレプラゴケの呼び名は総称になっています。子器を作らない不完全地衣類になり、呼び名は総称になっています。地衣体の色は薄い青灰色や灰緑色、緑色っぽいものまであります。地衣体は粉芽状をしています。乾燥にも強く、2酸化硫黄などの大気汚染に地衣類として最も強い部類の種類になります。このことからレプラゴケは街路樹などで普通に都市部でも見ることができます。樹幹、樹皮に発生している所をよく見ます。樹種は広く、針葉樹にも広葉樹にも発生しています。岩、石や自然石の石垣などでも見ることができる樹上生、岩上生の地衣類になります。乾燥にも強いのですが、どちらかというと湿り気の有る環境を好むようです。雨が降った後など湿気を吸うと地衣体の色は濃くなります。
ゴフンゴケ1.JPGゴフンゴケ2.JPG
上、ゴフンゴケです。通例はいくつかの塊で樹皮に張り付いています。上の写真はその塊の中の1個です。このように白いペンキか絵の具で塗られてように見えるもの(ゴフンゴケの地衣体)が、樹皮上に幾つも見えています。下はゴフンゴケの表面の拡大です。粉っぽい様子が分かると思います。時期により平滑に見える時があります。
コナイボゴケ(コナチャシブゴケ)スギ1.JPGコナイボゴケ(コナチャシブゴケ)スギ2.JPG
コナイボゴケ(コナチャシブゴケ)です。上はスギの樹皮に発生していたものです。最初に見たときはコナイボゴケかと思いました。下、同じ地衣体の拡大写真です。レカノラ型の子器が見えます。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
コナイボゴケ.JPGコナイボゴケ拡大.JPGコナイボゴケ拡大1.JPG
コナイボゴケです。上の2枚はカシ類の樹皮に生えていた同じものです。2枚目は子器を拡大したものです。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿第三公園。3枚目は別のコナイボゴケです。広葉樹に発生しているコナイボゴケは小型で綺麗な円形の地衣体になるものが多いです。隣り合った地衣体とくっついてしまって大きな塊になるものもあります。
レプラゴケ(コナラ).JPGレプラゴケ乾燥時.JPGレプラゴケ湿潤時.JPG
上3枚、レプラゴケです。コナラ(広葉樹)の樹皮に生えていました。2枚目は乾燥時、3枚目(1番下)は湿潤時の同じものです。湿気を帯びると緑色が強く見えてきます。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿公園。
レプラゴケ昆虫の卵?.JPG 
スギの樹皮上に発生していたレプラゴケ。レプラゴケは子器を作らない不完全菌なのですが、赤い子器のようなものがあちらこちらに見える個体が多数確認できました。この写真の赤く見えるものの正体はよく分かりません。場所を違えてこの赤いものが見える個体を沢山見つけています。拡大して見るとツヤの有る球形をしているので、地衣類を餌にしている昆虫の卵かも知れません。
コヤガの1種の繭1.JPGコヤガの1種の繭2.JPGコヤガの繭3.JPG
レプラゴケの近くとレプラゴケで見つけたコヤガの繭。ハクテンゴケの地衣体の表面に繭が作ってあったものも見つけています。このコヤガの繭は数年、正体が不明で分からなかったものです。繭の表面は地衣体を使ってできています。不思議な形をしたコヤガの繭であることが分かりました。抜け出た繭を触ってみると柔らかい手触りがします。レプラゴケの付いている木を探すと見つけることができます。繭の中身のコヤガの種類は分かりません。繭の作りが微妙に違っているものを見るので、種類が違うコヤガの仲間が入っているのでしょう。上(1枚目)サクラの木のコケが生えている部分にありました。コケの脇にはレプラゴケがあります。繭に突起状のものが3本見えています。2枚目、ウメの木にあったコヤガの繭です。このウメの木にはキウメノキゴケとレプラゴケが生えていました。繭は細長く見えます。3枚目、サクラの木で見つけたコヤガの繭です。繭の外皮が破れて中に黒褐色のサナギが見えています。近くにあった繭は2枚目の繭よりも細長くありませんでした。繭の形状の違いがコヤガの種類の違いになるのかは分かりません。微妙に形が違っています。繭の色に関しては、育った場所の地衣体の色によるものになるようです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。地味な地衣類でも観察していくと面白い発見があるものです。
posted by クラマ at 19:23| Comment(0) | 地衣類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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