2016年05月24日

モウソウチク、マダケ、ハチク。日本を代表する竹を調べてみました。

竹というと食べるタケノコ(筍)をすぐ連想してしまいます。食用とするタケノコ(筍)はモウソウチク(孟宗竹)のタケノコが1番多く利用されています。大きくてアク、エグ味がマダケ(真竹)より少ないためです。外来のモウソウチク(孟宗竹)が日本に入ってきた時期は正確には分からないそうです。モウソウチクはイネ科マダケ属の植物になり、アジアの温暖湿潤地域に分布するタケの1種です。名前のモウソウ(孟宗)とは中国の三国時代の呉の孟宗という人の名前からきています。孟宗という人物が母のために寒中筍を掘って取ったという話から、タケの名前がモウソウチク(孟宗竹)となったようです。日本に生えるモウソウチクは最大で高さ25メートル。葉は細長く、葉の長さは4〜8センチ。タケは木ではなくイネ科の植物なので、樹のような年輪はありません。木に見える地上部は稈(かん)と呼ばれ、これは植物の茎の部分にあたります。稈は地下茎でつながっています。タケの成長の過程で、枝が毎年枝分かれすることから、枝の節の数を数えることでタケが成長した年数が分かります。モウソウチクはアジアの温暖湿潤地域が原産なので、日本で生育している場合は、北に行くほどこぶりになってしまいます。北海道でも育つようですが分布は函館以南になります。地下茎から春に出るタケノコは食材に使われます。タケノコノ(筍)の産地は福岡県が34%、鹿児島県が24%、熊本県が9%程のようです。竹藪と竹林の違いを大雑把に分けると、竹藪が管理されていない野生の状態で育っているような場合で、うっそうとしている状態で、竹林は管理されたタケノコを採取するために育てられているような整然とした状態として区別ができるようです。タケノコ農家の竹林の稈と稈との間隔は2メートル開けるようです。タケは(稈)は5年以上たったものを間引くそうです。5年を過ぎるころからタケノコの発生量が減り、質も落ちてくることからのようです。タケの寿命は10〜15年のようですが、ご存知のように春には次から次とタケノコが生えてくる、繁殖力が強く成長速度が早い植物になります。地下茎は1年で8メートルも伸びます。また移植の際は稈に30センチの根があれば根付いてしまう程の生命力があります。タケの根はひげ根で地下にある節からもひげ根が出ています。日本最大のモウソウチクの稈の周囲は61センチにもなるそうです。最大クラスのモウソウチクは稈の太さは20センチ、稈の高さ25メートルとイネ科の植物とは思えない大きさになります。モウソウチクが野生にはびこると根絶が難しくなります。モウソウチクは地下茎で増えることは先に触れましたが、地下茎の深さは通常20〜30センチの深さで広がっていきますが、深いものですと70センチまでの深さになるようです。そのため造園業では根(地下茎)が広がっていかないように深さ1メートルの仕切り板を埋め込んで繁殖が制限されるようにするようです。野生化してしまった状態で根絶する事はかなり無理な話にることは、このことからも察しがつくと思います。完全に伐採するのは難しいです。植物なので光合成をできなくするか、芽(タケノコ)を取り続けることで根絶は可能ですが、野生化した状態ではタケノコを取り続けるということにも無理があります(できないでしょう)もっとも簡単な方法は稈の枝の下の部分、およそ地上2メートルほどの高さで切ってしまい、光合成ができなくすることで理論上は根絶が可能です。徐々に弱らしていくわけですが、誰が野生化した竹藪のタケを切るのかという話になります。モウソウチクに限らず野生化したタケを根絶する難しさがここに有る分けです。タケノコの成長速度は1日に1メートルと言われています。記録では1日に1・2メートルという驚異的なものが有ります。日本の竹藪などではそこまでの成長速度を見ることはありません。1度伸びあがったタケ(成竹)は樹のようにその後は伸びあがり成長することはありません。タケの場合、節と節の間隔が広がって成長していくので、節の数の分までが伸びることのできる高さとなる分けです。タケノコの皮をむくと沢山見える横の筋が節になる部分で、この間隔が広がっていくのです。つまりタケノコの時の節の数と成長したタケ(稈)の節の数は同じになります。モウソウチクの節の数は約60個ほど、最大で70個程あります。間隔の最も広いもので50センチほどにもなります。マダケの場合はモウソウチクより節の数は、やや少なくなりますが、多いもので70個ほどあります。ハチクの場合は45〜47個程になるようです。タケノコは同じ根から出るものはすべてクローンと同じなので、同じ節の数を持っているタケノコになります。日本の竹林や流通しているタケノコにモウソウチクが多いのは、タケノコが美味しいモウソウチクに植え替えられたことによるようです。1番美味しいとされるハチクのタケノコは、細くてボリュームが無いことによるためなのか、1般には出回ることがなく、スーパー等で見ることはありません。
日本には600種類のタケ類があるそうです。食材などで利用される主なタケの種類はモウソウチク、マダケ、ハチクになるようです。別名に唐竹と呼ぶことがありますが、どの種も唐から渡ってきたのでこの別名は総称的な呼び名にもなっています。日本ではモウソウチク、マダケ、ハチクが代表的な竹になります。綺麗に整備された竹林には風情があり、旬のタケノコは日本人が好む食材になっています。モウソウチク、マダケ、ハチクを調べてみました。
★モウソウチク(孟宗竹) 別名は湖南竹、早生竹、孟宗竹。 イネ科マダケ属の常緑竹類。 日本最大のタケになります。中国湖南地方原産でアジアの温暖湿潤地に分布しているタケになります。日本に入ってきた時期は不明(1728年または1736年とも言われています)日本国内になるあタケでは高さ25メートル、太さ(直径)は20センチにもなります。葉は長さは4〜8センチと稈(かん=地上に出ている幹に見える部分で、タケの茎の呼び名です)に対して細く小さいものになります。成長した年数は毎年枝分かれすることから、枝の節の数を数えることで知ることができます。枝は節に2本ずつ生えます。モウソウチクの節の特徴は1輪状になっていることです。モウソウチクの稈は根元の方が太くなります。タケの芽は3〜5月に生えてきます。タケノコとして食用にされます。日本では1番好まれているタケノコです。分布は北海道(函館以南)本州、四国、九州。繁殖力が強いことで知られています。稈は地下茎でつながっていて、地下茎は1年で8メートルも伸びていきます。有性生殖よりも根による繁殖が主になります。花はめったに咲くことがありません。花は両性花の風媒花になり、花期は5月と9月。タケの花が咲くとタケは枯れるといわれています。モウソウチクの花の咲く周期は67年と言われています。無性生殖だけだと環境等の変化などによって種が滅びる危険性があるから、有性生殖も行う必要があり、2種類の生殖方法を取ることで種の保存を図っているのです。モウソウチクのタケノコには黒い斑紋があります。タケノコの産地は福岡県、鹿児島県、熊本県が有名です。モウソウチクは日本の竹の中で最も広く普通に分布しています。流通しているタケノコは、ほぼモウソウチクのタケノコになります。モウソウチクは冷凍保存には向いていません。
★マダケ(真竹) 別名はオトコダケ、オダケ、呉竹、幹竹。イネ科マダケ属の常緑竹類。中国原産と言われてきましたが、日本の本州から第3紀中新世以降に化石が出土していることと、縄文時代、弥生時代の遺跡から稈や竹でできた籠などが出土していることから、もともと日本にあった在来種という説が強くなりました。中国からも渡来してきたものもあると思われます。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。繁殖力が強く野生化しています。稈の直径は14センチ程。高さは20メートル。マダケの節は2輪状になっていて枝は節に2本ずつ生えます。マダケのタケノコの時期は6〜7月で、タケノコの皮には薄い黒斑があり、産毛がほとんどありません。モウソウチクよりエグ味が強いため、スーパーなどで流通しているのはモウソウチクになります。稈(かん)の太さは比較的に均1になっています。マダケは、竹かご、花かご、団扇、玩具等の竹細工に広く利用され、大分県がマダケの産地になっています。尺八はマダケとハチクで作られていますが、多くはマダケで作られるようです。タケノコの皮が綺麗なことと、皮に産毛がないことで、おにぎりなどの食材を包むために使われているのは、このマダケのタケノコの皮になります。タケノコはモウソウチクのタケノコより細く見えます。竹細工には3年以上程たったものが使われます。花はめったに咲くことがなく、マダケの花の咲く周期は120年と言われています。花が咲くと若いタケも古いタケも関係なく、竹林がすべて枯れてしまうそうです。効率が良いとはいえ、無性生殖だけだと環境等の変化などによって、種が滅びる危険性があるからです。有性生殖も行うことで種の保存を図っている訳です。冷凍にして保存する場合はマダケのタケノコが使われます。冷凍しても品質が落ちにくいことが特徴です。
★ハチク 別名淡竹(アワタケ)、唐竹(カラタケ)、オオタケ。イネ科マダケ属の常緑竹類。原産地は中国の黄河流域以南で、日本には平安時代以前に入ってきたようです。化石として国内でハチクの化石が見つかっていることにより、日本に原種としてもともとあった在来種と考えられるようになってきました。渡来したものと在来種の双方により繁殖したものと思います。稈の直径は10センチ程。高さは15メートル。若い稈は白味を帯びて見えます。枝は節に2本ずつ生えます。節は2輪状になっています。分布は北海道南部以南、本州、四国、九州、沖縄。寒さに強い性質があります。枝は日本海側に多く、九州、関西地方に多く繁殖しています。タケノコは5〜6月。エグ味がモウソウチクのタケノコよりも弱く、美味しいタケノコと言われています。ハチクは地下茎が浅くハチクのタケノコはすぐに地表に出てしまいます。タケノコの先はモジャモジャの毛が生えていて、地表に出たタケノコを食べる種類になります。タケノコの色は赤味を帯びた薄い茶色になります。ハチクのタケノコは細長い形になります。最も味が良いとされていますが、ハチクは1般には流通していません。ハチクの開花の周期は60年と言われています。
モウソウチクを観察した場所は神奈川県横浜市、南本宿第三公園。竹林を楽しめる公園です。公園なのでタケノコの採取は原則禁止です。
タケノコ採取禁止立て札.JPGモウソウチク竹林.JPG
採取禁の立て札が立っています。立て札の周りにも大きなタケノコが出ていました。下、遊歩道脇の竹林の1部です。涼しげな竹林は綺麗に整備されています。
モウソウチク1.JPGモウソウチク2.JPGモウソウチク3.JPG
モウソウチクです。地面から出始めたものは先が黄色い色をしています。日が当たると黄色い色は緑色に変わっていきます。食べる目的のタケノコは地面に埋まっている先がまだ黄色いものを掘ると良いようです。モウソウチクのタケノコには産毛が多く生えています。
モウソウチクの根1.JPGモウソウチクの根2.JPGモウソウチクの根3.JPG
タケノコを掘らせていただき根の部分の生え方等を調べることができました。。公園管理者の指定された日で、管理者がいる場合に限り許可をいただき掘ることができます。上、面白いことが分かりました。タケノコの先端が向いている方向、ここでは左側を向いています。すると根から出た芽(タケノコ)は左側の地下茎の節の部分から1つ間隔をあけて発生しているのです。この特徴からタケノコの基部は先端の曲がっている方向、ここでは左側にあることが分かります。中、根の部分の拡大です。手前に古い根が映り込んでしまっていますが、タケノコが生えている根には三角に見える芽が写っています。この芽は節に2個、対になっていました。節から細い根が出ています。下、この写真は稈の横からほぼ地表に近い根から出たタケノコです。タケノコの下部から根が出始めています。タケノコを見ると下部にある赤紫色などをしたブツブツに見える部分が成長したものです。稈の基部の周りには、このように根が四方に広がっていくことが分かります。またモウソウチクの稈は基部に近い部分では節と節の間隔が狭くなっていることも見て取れます。タケノコを掘るのは思ったよりも大変でした。掘ったタケノコはお土産に頂きました。
モウソウチクの枝.JPGモウソウチクの節.JPG
モウソウチクの枝と節です。枝は節から2本出ています。モウソウチクの節は1輪状になっています。この写真は成長したばかりの若竹の節の写真です。
この近辺ではマダケもハチクも見ることがないので、写真が撮れましたら追加したいと思っています。モウソウチクの撮影場所、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
モウソウチク、マダケ、ハチクは日本でタケノコを食べる有名な種類になりますが、外国ではほとんど食べることはないようです。またモウソウチク、マダケ、ハチクの開花の周期は完全には解明されていません。旬のタケノコを食べる習慣は日本人に強いものの様です。タケノコは水に戻したり、料理などで時間がたつと白い粉のようなものが浮かび上がってきます。これはアミノ酸の1種で、チロシンという物質の結晶になります。うまみ成分の1つで食材が腐ったわけではありません。
タケノコは地下茎が深く土の中から出てくる種類では、土の中にある日が当たっていないものが柔らかく美味しいとされています。同じ種類のタケノコでも、土壌の質や環境で味は若干変わって来るようです。また地下茎が浅くすぐに地上に出るハチクのタケノコはエグ味が弱く美味しいようです。タケノコは日に当たると硬くなるというように思われていますが、味は竹の種類による個性になるようです。こだわりの好みのタケノコを探すのも面白いかもしれません。
posted by クラマ at 15:54| Comment(4) | 自然観察・植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
近年ややもするとモウソウチクとハチクは外来種だという口実で竹を伐採し貴重な生態系を破壊する動きがあり竹以外の多彩な生物群をそのエリアから絶滅させた例があり疑問に思っていました。しかも管理自治体なども乗っかっていたりします。名古屋市では多くの竹林が伐採されていると聞きます。やぶ蚊のいない竹林作りだそうです。本欄を読みそんなに単純なものではないということが判りました。願わくば本欄でいわれる諸説の根拠となる文献などお判りの方居られたら教えてください。外来理由によるこれらの行動が拡張すれば日本のかなりの植物を駆除しなければならなくなります。日本原産であるとはっきりしている種はそう多くないのが現状ですから。
Posted by 竹と茸 at 2016年11月27日 18:04
竹と茸さん、こんにちは。特に古い時代に渡来した植物についての駆除となると、その線引きは難しくなりそうですね。本来の駆除の目的が在来種に与える影響の大きさだとは思うのですが、その駆除の理由や種類の選別の基準(侵入した年代など)はどのようになるのか、個人的には分かりません。竹の場合は繁殖力が強いため広範囲に広がっていくことから、近隣とのトラブル、管理に手間がかかることによるのではないのかと思っています。緑を少しでも残していくということで、個人的には竹林がなくなることはさみしく思います。神奈川県の横浜市では竹林を利用して管理している公園を2か所知っています。市が管理して竹林を公園の緑の1部として保全管理していて、旬のタケノコを市民に販売している公園と、竹林を直接観察して、体験できるようにしている公園(当ブログで紹介した南本宿第三公園)です。このような利用方はとても良いと思います。竹林で観察できる植物や茸があるので、広い意味では竹を悪者にしないで保全することも選択肢にあるとは思います。前者の公園では竹林部に白い花の咲くマルバスミレが生息しています。竹林に発生する茸のキヌガサタケ、イチョウタケは見たことが無いので見て見たいです。外来種も在来種と共に共生や生育場所として分布している種も調べると他にも多くあると思います。上手に管理してほしいものです。ちなみに、管理されている竹林では蚊は少ないです。稈にできた穴に溜まった水からボウフラが発生するのですが、管理されていると不健全な竹はほとんど見受けられません。第三公園での蚊の発生源は竹林よりも公園内の下水溝から蚊が発生しています。最も公園よりも広範囲の竹林や竹藪では古い竹などによる蚊の発生が多くあるかも知れません。個人の土地でない限り自然(生態系の保存)を維持することは難しいと最近特に思っています。
Posted by クラマ at 2016年11月27日 22:46
名古屋市内の森林で今いろいろな段階のかなりの数の絶滅危惧種が市の絶滅種になりつつあります。市民が入り込むことによってではなく市民公園化の名のもとに行われており深刻ではあります。キヌガサタケではなく仲間のスッポンタケの成菌、幼菌とその切断面です。キヌガサタケの写真も送らせていただきますのでその方法をお知らせください。
   
Posted by 竹と茸 at 2016年11月28日 01:02
「竹と茸」さん。早々に有難うございます。横浜市の公園でも、各公園の管理者の管理方法により、対応は違うように思います。公園の草刈等で絶滅してしまう希少種、絶滅危惧種は見受けられます。市民による植物の盗掘もあります。市民のボランティアが盛んな公園では、盗掘以外は保全されているようです。スッポンタケは成菌、幼菌、断面等調べたことがあります。グレバの臭さは独特ですね。観察していて大変面白い菌でしたが、残念ながら翌年同じ場所と周辺には発生しませんでした。昆虫に付着した胞子により増えるようですが、発生率が良いのか悪いのか、分からないままになってしまいました。ご親切な対応をしていただきながら、「竹と茸」さんには大変失礼に当たってしまうのですが、こちらのアドレスは記載しない、ご連絡しないという方針で書いています。というのは個人アドレスに当ブログを見られた多くの方から善意のメールやご連絡を頂いたとしても、対応できかねないと思うからです。もしも「竹と茸」さんがホームページを持たれていましたら、是非ともそちらを拝見させていただきたいと思っています。ホームページはお持ちでしょうか?キヌガサタケはレースの広がりが面白いようですね。容姿の美しさに反して臭いキノコで有名ですね。幼菌時の卵から伸びあがって成長して行くところは大変興味深い菌です。
Posted by クラマ at 2016年11月28日 14:13
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