・アカボシゴマダラは関東地方で繁殖を始めたようです。温度による繁殖の制限はあるものの、寒い地域にも進出を果たしたようです。静岡県、神奈川県、東京都、千葉県、山梨県、長野県、群馬県、栃木県で確認されています。まだなじみの薄いチョウなので、初めて見つけた方は見慣れない大きなチョウに驚くと思います。
★アカボシゴマダラ タテハチョウ科アカボシゴマダラ属。外来種で要注意外来生物に指定されています。前翅長40〜53ミリ。開帳75〜100ミリ。分布は本州(関東地方)九州(奄美のものはもともといた種類になります)で年3回の発生。アカボシゴマダラは神奈川県程の生息数ではないものの、静岡県、山梨県、長野県でも確認されていて、関東地方以外にも徐々に分布を広げています。とは言え山梨県や長野県での生育環境はアカボシゴマダラに撮っては厳しいようです。温暖化の影響もあると思いますが、現在でも分布域を広げているようです。関東地方で繁殖したアカオシゴマダラは中国産亜種と言われています。黒と白の大きな網目状に見える翅と、後翅の端に赤い斑紋が並んで見える美しい大型のチョウです。最大の特徴は後翅に並んで見える目立つ赤色の斑紋があることです。出現期は4〜10月。年3回発生します。越冬幼虫は3月から活動を開始します。幼虫の餌はエノキ、リュウキュウエノキ。成虫は花の蜜、樹液、腐った果実を食べます。口吻は長くて黄色い色をしています。アカボシゴマダラには春型と夏型の2タイプがあり、後翅に目立つ赤い斑紋があるのは夏型になります。春型は白化していて赤い斑紋は見えません。幼虫はエノキ、リュウキュウエノキの葉を食べます。緑色の体色で頭部におおきな角状突起を持っています。背中には4対の突起があって、3対目の突起は大きいことが特徴になっています。よく似た幼虫にはゴマダラチョウの幼虫がいます。アカボシゴマダラの越冬は幼虫で行います。エノキの細い枝の分かれ目付近についていて越冬することが多いようです。落ち葉の下で越冬するものもいるようです。
産卵行動等の観察。背の低い若いエノキを選ぶようです。卵は縦線が並んだ球形をしていて、色は緑色をしています。9月〜10月にエノキの葉に産卵している所を見つけています。越冬した幼虫は4〜5月に羽化するので、産卵期は5〜10月になるようです。私が産卵を確認したのは9〜10月でこの時期の産卵が多いと思われます。卵を産み付けるエノキは若木が多く、大木よりも背の低い若木を選ぶようです。大木の方が葉の数が多く、幼虫には有利だと思うのですが理由は分かりません。他のエノキを観察していると背の高いエノキでも170〜180センチほどの高さの枝の葉で産卵していました。この高さは観察したエノキの1番下の枝になります。やはり低い所を選ぶ傾向はあるように感じました。周りには他にエノキはなく、この1本だったのでアカボシゴマダラにしてみたら選択の余地がなかったのかも知れません。



上はすべて夏型のアカボシゴマダラです。1番上、2010年に撮影したものです。ちょっとした違いがあるので載せてみました。撮影地、神奈川県横浜市、こども自然公園。2〜4枚目、撮影地。神奈川県横浜市、南本宿公園。3枚目、樹液を吸っている時は、いかに逃げないチョウなのかが分ると思います。大きさを示指と比べてみてください。4枚目、翅の模様は裏表ほとんど変わりません。胸部背面には2本の縦筋が見えます。樹液を吸うときは驚くほど長くて太い黄色い管を伸ばします。カナブンにもめげない気の強さも持っているチョウです。
上、春型のアカボシゴマダラです。やっと撮影できたので追加しました。赤い星に例えられる斑紋はありません。春型は翅の裏も表も白色が目立ちます。実物を見るともっと白さを感じるチョウです。撮影地、5月17日。こども自然公園。この日は他に数匹見ることができました。アカボシゴマダラの春型の場合、後翅には赤い斑紋が見えないか、赤い色が非常に薄い事が特徴になっています。
アカボシゴマダラの卵。緑色で球形をしています。拡大すると実に面白い形をしています。高さ120センチほどの小さなエノキの樹の葉に1生懸命に卵を産み付けていました。こちらを全く警戒していませんでした。卵は葉の表や裏に、葉をかえて1枚の葉に1個を産み付けていました。この後、この枝に幼虫は確認液ませんでした。
アカボシゴマダラの幼虫とゴマダラチョウの幼虫はよく似ています。アカボシゴマダラの幼虫とゴマダラチョウの幼虫の見分け方の比較を挙げてみました。
・アカボシゴマダラの幼虫のとても長い突起は鹿の角を思わせる形をしています。アカボシゴマダラの幼虫の特徴は、頭に生えている角状突起と背面に見える4対の突起です。さらには3対目の突起は大きくて目立ちます。お尻の先にある突起(尾部突起)はくっついているように見えます。アカボシゴマダラの幼虫の越冬は、樹の枝の分岐部や地表に落下した落ち葉で行われます。
・ゴマダラチョウの幼虫にも角状突起があります。背中の突起は3対で、お尻の先にある突起(尾部突起)は開いて(離れて)見えます。越冬は地面に落ちた落ち葉で越冬します。
アカボシゴマダラの幼虫です。大変面白い容姿をしています。上、この個体は恐らく3齢だと思います。頭には立派な角状突起がついています。中、この個体は恐らく4齢だと思います。下、幼虫の尾端部を拡大して見ました。尾部にある突起は離れていません。このようにくっついて見えることがアカボシゴマダラの特徴でもあります。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。この公園では確実に個体数が増えていて、よく見ることができるチョウになってきました。
奄美産とあったので,迷蝶かと思ったのですが、その後問題のある蝶と知りました。こうして報告することにしました。
2018/09/03,午後2時頃。東京都練馬区です。写真は撮れませんでした。
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