2014年08月05日

凶暴な肉食昆虫ムシヒキアブ。アオメアブ、シオヤアブ、サキグロムシヒキ、マガリケムシヒキ、シロズヒメムシヒキ(もしくはナガトミヒメムシヒキ)の5種類を見つけました。

アオメアブ、サキグロムシヒキ、シオヤアブ、マガリケムシヒキ、シロズヒメムシヒキ(もしくはナガトミヒメムシヒキ)はムシヒキアブ科の昆虫です。これらムシヒキアブ科に属する昆虫の総称としてムシヒキアブと呼んでいます。大型のアオメアブやシオヤアブの顔には長い毛が生えており、とぼけたオッサン顔をしていて、とても愛嬌のある顔をしていますが、ムシヒキアブ科は凶暴な肉食昆虫です。幼虫期は土中や朽木にいてコガネムシ類の幼虫やミミズ、ワラジムシ、ダンゴムシなどの体液を吸い育ちます。幼虫の時期から肉食性の餌を食べる昆虫です。成虫は自分より大きな昆虫を捕えることでも知られています。成虫もコガネムシ類をはじめ多くの種類の昆虫を捕えます。ムシヒキアブの脚の先端には鋭い鍵爪があり、脚には多くの鋭いトゲも生えています。これで捕えた昆虫が逃げられないようにガッチリと押さえつけて、鋭い口吻で捕えた獲物の体液を吸います。口吻は固く、コガネムシのような外骨格の昆虫も餌食にしてしまいます。固い体表も役に立たない点で、コガネムシ類の天敵だといえると思います。時には大型のハチも獲物とすることから、体内には毒を分解する仕組みがあると思われます。空を飛ぶことができることから、昆虫(捕食対象)からするとカマキリ以上の脅威になっているに違いありません。特にアオメアブ、シオヤアブは戦闘機の垂直離着陸機、ホーカー・シドレーハリアーを思わせる形をしています。飛び方も上方に飛び上がったり、下降したりするしぐさを見せるなど、他の昆虫を捕えるための運動能力の高さをうかがうことができます。獲物が通りかかるのを待って、飛んでいる獲物の背後から1撃で仕留める戦法や、空中から葉などにとまっている昆虫を取ったりします。獲物の捕獲に失敗すると続けての捕獲行動はしないそうです。おそらくロックオンが間に合わないためなのでしょう。いずれにせよ捕えた獲物を見てみると背後から抱き付いているものばかりなので、背後からの攻撃には間違いないようです。ムシヒキアブは人を恐れない昆虫で、獲物を捕らえている時など、なおさら逃げることはしないようです。大きなハチにも似ているので怖く感じるかもしれませんが、基本的には人に襲いかかることはありません。時に人に向かって飛んでくることや、まとわりつくことはあるようです。うかつに手で捕えようとすると鋭い口吻で刺されてしまう事があるようなので注意は必要です。数は多くないものの普通種なので、目にする機会は多いと思います。あまり高いところは飛ばないで地表近くを飛んでいることが多いです。マンションの階段にいたマガリケムシヒキの写真を追加しました。マガリケムシヒキは小型のムシヒキアブです。体つきは細身で小さいのですが、やはり獲物に飛びついて捕える肉食性の昆虫です。良く行く公園では水場に近い開けた場所の下草にとまっていることが多いです。シロズヒメムシヒキ(もしくはナガトミヒメムシヒキ)を追加して5種類のムシヒキアブを調べてみました。
★アオメアブ ムシヒキアブ科。体長20〜29ミリ。出現期は6〜9月。分布は本州、四国、九州、沖縄。名前の通り目が青く見えます。越冬は幼虫で行います。幼虫はコガネムシ類の幼虫やミミズ、ワラジムシ、ダンゴムシなどの体液を吸います。成虫はハエ、アブ、カ、コガネムシ、トンボ、チョウなど何でも捕え口吻で体液を吸います。昼行性で日当たりの良い草地に生息しています。普通種で個体は多い種類になります。
★シオヤアブ ムシヒキアブ科。体長23〜30ミリ。出現期は6〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。雄と雌の区別は尾の先が白いものが雄になります。ムシヒキアブの代表といえる種類です。幼虫は土中や朽木にいて、餌は土中や朽木にいるコガネムシ類の幼虫、ミミズ、ダンゴムシ、ワラジムシなどを捕食するようです。成虫はハエ、アブ、カ、コガネムシ、トンボ、チョウ、セミ、ハチなど何でも捕え口吻で体液を吸います。昼行性で日当たりの良い草地や林縁に生息しています。普通種で個体数は多い種類になります。越冬は幼虫で行います。
★サキグロムシヒキ ムシヒキアブ科。体長20〜26ミリ。出現期は6〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。腹部は黄色で尾の先が黒くなっています。気性が荒く、自分よりも大きな昆虫も捕え口吻で体液を吸います。山地の林縁に生息しています。草地より木のある場所を好むようです。他のムシヒキアブと同様に幼虫は土中や朽木にいてコガネムシ類の幼虫、ミミズ、ダンゴムシ、ワラジムシなどを捕食するようです。越冬は幼虫で行います。成虫はハエ、アブ、カ、コガネムシ、チョウなど何でも捕え口吻で体液を吸います。
アオメアブ1.jpgアオメアブ2.jpgシオヤアブ雌1.jpgシオヤアブ雄1.jpgシオヤアブ雄2.jpgサキグロムシヒキ.jpg
上段アオメアブ。コメツキムシ科の昆虫を捕えています。2段目アオメアブ。ハチの仲間と思われる昆虫を捕えています。3段目シオヤアブの雌。ツヤアオカメムシと思われる昆虫を捕えています。カメムシまで捕食とは恐るべしです。この写真は以前に撮ったものです。4段目シオヤアブの雄。尾の先端が白くなっています。5段目シオヤアブの雄。同じ個体です。オッサン顔がとても可愛いです。1番下、サキグロムシヒキ。アブの仲間と思われる昆虫を捕えていました。
★マガリケムシヒキ ムシヒキアブ科。体長15〜20ミリ(25ミリ)出現期は4〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州。昼行性で林縁部に多く、日当たりのよい下草にいることが多いです。小型で細身のムシヒキアブです。特徴は脚の先が黄色いことと、名前の通りに頭の上にある長い毛が90度に曲がっていることです。脚の脛節より先が黄色っぽく、雄の場合は脚の符節まで黄色くなっています。雌の場合は先の方までは黄色くなっていません。雄の場合、黄色い色も雌よりはっきりしています。成虫はハエ、アブ、カ、小型のチョウやガなどを捕え口吻で体液を吸います。マガリケムシヒキはムシヒキアブとしては体が小さいので、狙う獲物も小さいものになっています。幼虫は土中や朽木にいて餌として土中や朽木にいるコガネムシ類の幼虫、ミミズ、ダンゴムシ、ワラジムシなどを捕食するようです。越冬は幼虫で行います。普通種で個体数も多いです。
マガリケムシヒキ雌.jpgマガリケムシヒキ雌。拡大.jpg
上2枚。マガリケムシヒキの雌です(同じ個体)下は頭の上にある毛の部分の拡大です。90度に曲がった毛が生えていることが分ります。この毛の特徴が名前の由来にもなっています。
★シロズヒメムシヒキ ムシヒキアブ科。小型のムシヒキアブで体長17〜20ミリ。名前の由来は頭部に白い毛が生えていることから来たようです。胸背の模様も特徴的です。出現は6〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。草原の葉の上にいることが多いです。マガリケムシヒキヒキとよく似ていますが、脚の色が黒く、腹部が細く先端に白い横帯が見えます。また腹部の各節に白い色が見えています。成虫は肉食性で、他の昆虫を捕らえて体液を吸い取り餌とします。幼虫は地中に住んでいて他の昆虫の幼虫を餌にします。シロズヒメムシヒキとナガトミヒメムシヒキは酷似していて、以前はこの2種は同1のシロズヒメムシヒキとされていました。区別は交接器の違いによります。見た目では判断できないということです。ナガトミヒメムシヒキについては全く分かりません。
シロズヒメムシヒキ(またはナガトミヒメムシヒキ)雌・追加.JPG
上、シロズヒメムシヒキかナガトミヒメムシヒキの雌です。この2種は以前は同じシロズヒメムシヒキとされていました。見た目で判断できれば良いのですが、交接器を確認しないと判別できないそうなので、どちらかの種類になります。当方は交接器の違いもどのような違いなのか分かりません。
その他ムシヒキアブ科にはオオイシアブ、チャイロオオイシアブ、トラフムシヒキ、アシナガムシヒキなどがいます。同定の難しいものも多く、それゆえ総称で呼ばれてしまう事になるようです。最近では開けた草地などの減少で、ムシヒキアブも減少しているようです。近くに行ってもあまり逃げない愛嬌もので、獲物を持っていると重いのか、なおさら遠くには逃げません。子供の頃から見慣れた昆虫なので、数が減ってくると寂しい気がしてきます。やはり昔よりも見かけなくなった感はあります。
posted by クラマ at 04:41| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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