2013年10月06日

ハナアブ(ナミハナアブ、アシブトハナアブ、キゴシハナアブ、ミナミヒメヒラタアブ、ホソツヤヒラタアブ)はハチに似たハエの仲間です。

花によくとまっているハチに似た可愛い昆虫、ハナアブを調べてみたら、ハナアブとはハエ目ハナアブ科に属する昆虫の総称でした。紛らわしいのは、その中の1種をハナアブと呼んでいたことでした。しかし、そうなると総称を指しているのか、その中の1種を指しているのか分からなくなるので、ハナアブをナミハナアブと呼ぶようになったようです。総称のハナアブとして調べると、ハナアブ科の体長は4ミリ〜25ミリの小型種から大形種まで日本国内でも89属400種がいるそうです。さらにアブと名前が付いていてもアブの仲間ではなくハエの仲間になる昆虫でした。生態は成虫が花の蜜や花粉を餌にするものが多く、幼虫は水中で育つもの、朽木で育つもの、捕食性、植食性のものなどその生態は非常に多様なものです。ハナアブはハチによく似ていて、特にミツバチ類と間違われることが良くあります。ハナアブはハチに似せた配色で擬態をして身を守る選択をした昆虫になります。毒を持っていたり、危害を与える武器を持っていたりする危険種に擬態して身を守るタイプの擬態の種類はベイツ型擬態と呼ばれています。ハナアブの場合、危険種に似た体色を利用して敵を欺いて身を守るという方法です。ハナアブはミツバチと同じように花に集まりますが、ミツバチのようにせっかちに動き回らない種類が多いので、その様子を観察して見るとハチとの行動に違いを見ることができます。ハナアブはおとなしい種類の昆虫で危険はありません。注意点はハチと間違わないことです。アブと名前に付いていますが、ハナアブ科の場合、ハエの仲間なので人を毒針で刺すようなことはありません。ハエの仲間でも花の蜜や花粉、樹液を餌にしているので、ハエのように汚いものにたかることもありません。しかし幼虫は気持ち悪がられることが多いようです。ハナアブの幼虫は水中に住んでいるものも多く、空気を吸うための長い呼吸器官をもっているので、その姿からオナガウジと俗称として呼ばれています。呼吸管は体長の1〜3倍ほどの長さがあり、ウジ型の体に長い糸状の管が付いているように見えます。とても気持ちの良い形とは言えません。
ハナアブの仲間には似たものが多いです。ハナアブ科の5種類としてナミハナアブ、アシブトハナアブ、キゴシハナアブ、ミナミヒメヒラタアブ、ホソツヤヒラタアブを紹介します。ツヤヒラタアブはホソツヤヒラタアブと酷似するので区別が難しいです。腹部の斑紋に違いがあることで判別しますが、斑紋に変異があったらかなり判別が難しくなってしまいます。比較して見ると同じように見えるハナアブにも違いがあることが分かります。今までミナミヒメヒラタアブに大変良く似た種にキタヒメヒラタアブがいましたが、日本にいる種類はミナミヒメヒラタアブであることが分かりました。斑紋に個体差があることから別種として2種類いることになっていたようです。このことから現在では旧名としてキタヒメヒラタアブと呼ばれることが適切になったようですね。ミナミヒメヒラタアブと大変紛らわしい種類は1回り小さなホソヒメヒラタアブとなります。両種の正確な判別には交接器の確認が必要になるようです(外見的には体の大きさを見るしかないようで、正確さには欠けてしまいます)
★ナミハナアブ ハエ目ハナアブ科。ナミハナアブは1見するとミツバチなどのハチに似ていますがハエの仲間です。普通種で数が多い種類になります。体長は14〜16ミリ。出現期は4〜12月。暖かい日ですと冬でも見ることができます。昼行性で動きは活発です。夏には高所に移動する性質があるため、暑い夏の期間は姿を消したように見えます。分布は、北海道、本州、四国、九州、南西諸島。平地から山地。市街地にも多く見られます。越冬は成虫で越冬します。落ち葉などの下で単独で越冬します。ナミハナアブは冬でも暖かい日には動きだすので見つけることがあります。幼虫は水の中に生息していて、空気を吸うために長い管(呼吸器官)を使っていることから、その容姿からオナガウジと呼ばれています。この呼び名はハナアブ科の幼虫の総称としてオナガウジと呼ばれているものです。成虫は花の蜜や花粉、幼虫は水中の腐植物を餌にします。成虫は良く花の蜜を吸うので、優れた花粉の媒介者となっています。雌雄は複眼で区別できます。複眼が接しているのが雄、離れているのが雌です。普通に花にとまった姿を見ることができます。ナミハナアブのオレンジ色に見える部分は綺麗です。この配色からナミハナアブはセイヨウミツバチなどハチ類と間違われることもあるようですが、ハチのように刺されることはありません。花の蜜が好きな実におとなしい昆虫です。
ナミハナアブ2.jpgナミハナアブ雌.jpgナミハナアブ雌・過去.JPG
上、花の蜜を吸うナミハナアブの雌です。9月下旬にもかかわらず小さなひまわりの花が咲いていました。ナミハナアブはとても性格のおとなしい昆虫です。撮影していてもカメラに驚くことなく花の蜜を吸っていました。今回調べてみて、このハチに見えるナミハナアブが、ハチでもなく、アブでもないことには驚いてしまいました。良く似た仲間にシマハナアブがいますが、ナミハナアブの翅の中央付近は薄い褐色をしていることや、シマハナアブの腹部に白い線が見えることで区別します。
★アシブトハナアブ ハエ目ハナアブ科。体長12〜14ミリ。分布は北海道、本州、四国、九州、対馬。出現期は3〜11月。昼行性で平地から山地に生息していて、河原、湿地、水田、林縁、畑地、草原、公園など開けた場所を好みます。都市部にも多く生息している普通種で数も多い種類になります。アシブトハナアブの特徴は胸背に2本の黄色い縦筋があり、腹部には黄色く3角形に見える斑があります。後脚の腿節(太ももにあたる部分)は太く黒い色をしていて、脛節(すねにあたる部分)は湾曲していることです。雄と雌の違いは、雄は眼の間隔が狭く、脚が太く腹部の黄色い3角斑は雌より幅が広く大きくなります。雌は眼の間隔が広くなります。成虫の餌は花の蜜や花粉を食べます。幼虫は水中に生息していて、汚れた流れの無い水でも育ちます。幼虫は水中の不食物を餌にします。長い管を持っていて呼吸をしています。総称でハナアブの幼虫はオナガウジと呼ばれてます。越冬は成虫で枯葉の下などに潜んで単独で越冬します。アシブトハナアブはどこでも良く見かけることができる種類になり、体格がしっかりしていてハチによく似ています。分かりやすい特徴として、名前に付いているように太い後ろ脚がこの種を判別する方法になります。
アシブトハナアブ雌.JPGアシブトハナアブ雄.JPG
アシブトハナアブです。この雌はコンクリートの壁に卵を産み付けていました。腹部の下に見える白いものが卵です。何を勘違いしたのか、我慢できなかったのか、この産卵の行動は不明です。雄と雌の違いの眼の間の間隔で雌雄を区別することができます。名前の通り脚が太いことが分かります。
★キゴシハナアブ ハエ目ハナアブ科。体長9〜13ミリ。分布は本州、四国、九州、沖縄。出現期は4〜11月。秋に個体数が増えるようです。普通種ですが数は少ないようです。平地から山地にかけて生息しています。林縁、水辺、湿地、水田、キゴシハナアブは公園などの開けた場所を好みます。成虫の特徴はゴマを振ったような複雑な模様をした大きな目が特徴です。胸背には明瞭な黄色い3本の縦筋とその両脇にも黄色い縦筋が各1本(体側に)あります。体には光沢があります。普通種なのですが数は少ないようです。雄は頭がほぼ眼です。雄の複眼はくっついて見えます。雌の複眼は離れています。キゴシハナアブは昼行性で活発に動いています。花の蜜や花粉を餌にします。ハチに似て見える姿をしているので、ハチと間違われることがありますが、ハチのように刺されることはありません。幼虫は水生で腐植質の多い池、排水溝、下水溝などに住んでいて、長い管状の呼吸器官をもっています。幼虫はオナガウジと呼ばれています。越冬は単独で成虫で越冬します。暖かい日ですと冬でも飛ぶことがあります。キゴシハナアブの雄の複眼は非常に大きくて驚いてしまいます。頭部が眼でできているように見えてしまいます。
キゴシハナアブ雄.JPGキゴシハナアブ雌.JPG
上、キゴシハナアブです。雄と雌の判別は目の間隔に違いが現れます。上が雄、下が雌です。雄の複眼は大きくて可愛いです。雄の複眼は大きすぎて左右の目がくっつい見えます。頭部のほとんどが眼でできているように見えます。また、キゴシハナアブの眼は細かい斑模様(ゴマフリ模様)に見えることも特徴になっています。
★ミナミヒメヒラタアブ ハエ目ハナアブ科。旧名キタヒメヒラタアブ。小型のハナアブで体長8〜9ミリ。分布は本州、四国、九州、対馬、壱岐。平地から丘陵地の林縁の草地、河川敷の草地に生息しています。出現期は4〜10月。ミナミヒメヒラタアブは腹部が細長く、腹部の地色は黄色。脚の色も黄色をしています。小楯板(胸部の後方にある楕円を半分にしたように見える部分)も黄色い色をしていて目立ちます。腹部には茶褐色のはっきりとした縞模様がありますが、腹部の縞模様には個体差があり、不明瞭になっている個体もいます。雄と雌の違いは、雄の複眼の間隔は狭く、くっついて見えます。腹部の幅は狭くなっています。雌は複眼が離れていて、腹部は雄よりも幅があります。成虫は昼行性で花に集まります。花の蜜や花粉を餌にします。幼虫は植物に付いています。肉食で小昆虫を捕らえて食べます。越冬は成虫で越冬します。ミナミヒメヒラタアブは小型で華奢な体格をしていますが、黄色っぽく見える体色が綺麗です。大変良く似た種類にホソヒメヒラタアブがいます。斑紋等に個体差があることから、正確には交接器の比較が必要になります。
ミナミヒメヒラタアブ雄1.JPGミナミヒメヒラタアブ雄2.JPG
ミナミヒラタアブの雄です(同1個体)腹部の縞模様が綺麗で可愛いです。小さくて細長い体形のハナアブです。小さなハナアブなので撮影には苦労します。
ミナミヒメヒラタアブ雌B.JPG
上、ミナミヒメヒラタアブの雌です。複眼(目)が離れているので雌と分かります。腹部も雄より太くなっていることが分かります。
上から見ただけだと判別が難しいツヤヒラタアブとホソツヤヒラタアブを簡単に調べてみました。
★ツヤヒラタアブ ハエ目ハナアブ科。胸部の金属光沢が目立ちます。似た種類が多いようで、正確な種類の分別は難しいようです。体長は7〜8ミリと小型です。成虫は花の蜜や花粉を餌にします。成虫は花の蜜や花粉を餌にします。出現は4月から出現します。分布は本州。よく似た種類にホソツヤヒラタアブがいます。とても良く似ているので判別が難しいです。ツヤヒラタアブの方が金属光沢が強く見えます。小型種であることと似ていることから、肉眼での判別はできないので写真等により腹部の斑紋を確認する必要があります。両種の判別は超難解になります。
★ホソツヤヒラタアブ ハエ目ハナアブ科。細長くて小型で胸部の金属光沢が目立ちます。体長は7〜8ミリ。出現は4月から出現します。腹部背板第2節にある黄斑紋は側縁を超えない(第2節の黄斑紋は小さく見える)特徴があります。成虫は花の蜜や花粉を餌にします。分布は本州。
ツヤヒラタアブ雌.JPG
ホソツヤヒラタアブの雌です。(詳しくは斑紋に変異があることからツヤヒラタアブの可能性もあります)シャガの花にとまていました。容姿の判別が難しい種類なのですが、他のアングルの違う写真(腹部側面)から判断して、ツヤヒラタアブからホソツヤヒラタアブの方が可能性が高くなったので、ホソツヤヒラタアブに訂正しました。ツヤヒラタアブとホソツヤヒラタアブの判別は難しいです。上から見ただけだと同じに見えてしまいます。基本的な斑紋の特徴といっても、個体差がある種類なので、さらに判別が困難になってしまいます。ハナアブの仲間はアブ(ハエ科)というよりもミツバチなどのハチに見えてしまいます。おとなしい性格のうえ毒針は持っていないのですが、判別ができなかったら触ろうとしたり捕まえようとしない方が良いです。間違って刺されたら痛い目に合うこと間違いなしです。



posted by クラマ at 01:57| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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