カワニナは円錐形の黒っぽい色をした淡水生の巻貝です。カワニナというとホタルの幼虫の餌としてよく知られています。比較的に綺麗な水でしか生きられないので、都市化が進んだ地域などでは見ることが少なくなっています。カワニナはホタルと似た環境に住むために、ホタルの減少と共に数を減らしています。外見では同じように見えるので、その判別は難しいのですが、日本のカワニナ属は全国に分布する約19種類3型(21種類)と琵琶湖水系に生息する個体群が確認されています。詳しいカワニナの分類は専門家の間でも見解が分かれているようです。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄で、琵琶湖水系に生息しているものは琵琶湖固有種を含む16種になります。素人的にはどれも同じに見えてしまうので、正確には遺伝子などを調べないと分からないと思います。カワニナはホタルの餌として他地域に運ばれることがあるのですが、適応できない場合も考えられます。餌となるカワニナを沢山巻いてもホタルが増えないと聞いたことがありますが、このことが関係していると推測できます。雑種が出来てしまったりすると、本来の地域に住んでいたカワニナを滅ぼすことにもなりかねないので、餌とする場合は十分考えて放流することも必要だと思います。昔は小川や清水、用水路にはカワニナやシジミなどの貝類がいましたが、今では見る機会がめっきり減ってしまいました。ホタル(ゲンジボタル)のいる場所にはカワニナが住んでいて、ホタル(ゲンジボタル)がいる可能性のある場所であることが分かります。カワニナはホタル(ゲンジボタル)と似た環境に生育しているわけです。どちらの種も環境が悪化すると生きていけないので、綺麗な水質の小川などは大切にしたいものです。カワニナはホタル(ゲンジボタル、ヘイケボタル)の餌になることで有名な貝です。カワニナの他、モノアラガイ、サカマキガイもホタルの餌になっています。主にカワニナ、マルタニシ、モノアラガイ、サカマキガイはヘイケボタルの幼虫の餌、カワニナはゲンジボタルの幼虫の餌になっています。可愛い巻貝、カワニナを調べてみました。意外なことに食用にもすることもできる淡水生の貝ですが、小さくて可食部位は少なく、そのうえ危険な寄生虫がいるので、食べる場合には十分な加熱が必要になります。数も少なくなっていることもあり、食べることはお勧めしませんが、当ブログを読まれて食べてみようと思われても、あくまでも自己責任でお願いします。当方は1切の責任を持ちません。カワニナは見ていて可愛い貝なので、飼育して見たくなるかも知れませんが、水槽で飼うとなると、その飼育は大変難しいようです。カワニナは環境の変化に弱く、水温も25度以下にしないといけないようです。25度を超えだすと死んでしまうそうです。適度な日照も必要で、水槽内には流れも作らないといけません。環境の変化に弱いので、飼育の際には採取した場所に近い状態を作ることがコツのようです。大変そうなので飼育に対する自信が無かったら、自然の中で観察する方が良いと思います。・PCのモニターを破損してしまい長らく更新できませんでした。かといって、自然観察も思いの他できないでいました。
★カワニナ カワニナ科カワニナ属。雌雄異体。殻高は約30〜35ミリ。殻径は約12ミリ。分布は分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。個体変異や地域変異が多い種類になります。螺層は10段になることもあるのですが、多くは殻頂が欠損していることが多いです。丸味を帯びた円錐形で細長い殻をしていて卵形の蓋を持っています。から本体の色は白く、殻の表面はオリーブ色〜淡褐色で、殻が黒く見えるのは鉄分の付着により黒っぽく見えるそうです。また生息地の水質も大きく殻の色に関与するということです。水面から見ると泥などをかぶっていたり、すべっとして見える貝の表面ですが、泥を落としたりすると横縞(横肋)や縦筋(縦肋)が見て取れます。殻の表面は、つるつるではないことが分かります。螺層と螺層の間の溝(縫合)は浅くくびれていません。同じ場所に住むカワニナでも流れの早い場所と流れの遅い場所のカワニナでは殻の形が違ってくるようです。流れの緩やかな場所では細長い形、流れの早い場所ではずんぐりとした形になるようです。このような外見の違いは他の貝でも見ることができます。海に生息しているサザエにも殻の特徴の変化を見ることができます。静かな岩場に生息しているものは、殻が丸っこくなっていて、殻から突き出る棘は鋭くありません。波の粗い場所に生育するサザエでは殻から突き出る棘が発達していて、大きく突き出ています。サザエ程の見た目の殻の変化は少なくても、このように殻に違いが出ることは面白いことです。観察しているとカワニナは種類による違いがあるのかもしれませんが、当方観察地では流れの緩い場所に多くいる傾向は強いと思います。
カワニナは流れの緩い川、用水路、清水の湧き出ている小さな小川、湖沼などの比較的に綺麗な水に生息しています。落ち葉の堆積した流れの緩い場所で見つけることが多いのですが、小川や清水でも流れの早い場所にも生息しているものもいます。餌は落ち葉や珪藻類、魚の死骸等を餌にしています。カワニナは胎生で、春と秋に小さな仔貝を産み落とします。数は種類により違います。現在ではホタルの保護、繁殖のためにカワニナを放流することもある様ですが、地域の違う種類をむやみに入れない方が良いと思います。自然繁殖できている場所なら、その地域のカワニナを餌として繁殖させることが望ましいと思います。
カワニナにはウエステルマン肺吸虫、横川吸虫などが寄生していて、食用になるものの注意が必要です。サワガニ等も危険で人に感染します。カワニナは小型で食べる部位も少なく、食べる目的での捕獲も行われていないことが多いです。ウエステルマン肺吸虫は咳、血痰、胸痛等の肺炎症状を起こします。横川吸虫はカワニナが第1中間宿主になっていて人の小腸に寄生して下痢や腹痛を起こします。少数の寄生の場合は症状が出ない場合もあるそうです。
カワニナにはその他、多くの寄生虫が寄生しているようですが、手で持ったぐらいでは感染しないようです。
カワニナの平均寿命は6年。それ以上生きる貝もいます。仔貝は5月〜10月に順次産み落とされます。産み落とされる仔貝の数はカワニナで年間では800〜2000。チリメンカワニナで100〜350程にもなるようです。カワニナの生存率は低く2年までで3%しか生き残れません。かなりの数が自然に死んでしまうようです。それ以上生きる個体の確率はかなり少なくなります。繁殖場所は水草の茂った場所、流れの弱い浅瀬が適しているようです。胎生で生まれたての稚貝は0・5ミリ程ですが、2か月程で2ミリに育ちます。この頃の稚貝がゲンジボタル、ヘイケボタルの幼虫の丁度良い餌になります。大きくなったカワニナはその他サワガニやコイ、他の動物の餌になります。
上、カワニナ。縦肋は目立ちません。よく見ると螺肋(横筋)が見えます。カワニナは殻がつるりとした感じが特徴なので、見た目からカワニナで良いのだと思います。チリメンカワニナは殻がヒダ状になっている特徴があります。チリメンカワニナにはA型とB型がありますが、見分け方は胎貝の殻の違いで見分けるので外見上は分かりません。昔はどこにでもいた貝なのですが、今後は自然公園などの管理されている場所や、保護のため捕獲ができない場所でしか見ることができなくなるかも知れません。
上、殻の標本を作ってみました。同じ場所でもわずか数メートの違い(水の流れ等)で若干見た目が違う個体がいました。開発のため住宅地になってしまったりと、生息していた場所が無くなっていたり、もうカワニナがいなくなってしまったりと見つけることが難しくなってきました。茹でて中身を出して、殻に付着している汚れを取りました。身は大変小さく、キモの部分を取り除くと食べるには向かないことがすぐに分かりました。身には変な匂いはしませんでした。寄生虫が多いので、食べるには勇気が必要ですね。
上、超大型のカワニナです。先が若干消失していますが、40ミリあった大型です。1体何年生きていたのだろうか?汚れを取らないと黒く見えます。また長年生きた個体は表面の起伏も削れてきます。1番上、標本の個体、下の写真の個体はそれぞれ別の場所のカワニナです。淡水産の巻貝には似たような丸い形をしたタニシがいます。タニシは食用として知られていますが、カワニナは1般的には食べることが知られていません。小さな体と味が良くないからなのでしょうか。美味しかったら郷土料理屋等で、もっと知名度があると思います。食用に適さないようなので、ホタルのために採らないで観察にとどめておいた方が良いと思います。