オオハンゴンソウ、アラゲハンゴンソウ、キクイモは花の色も黄色で似て見えます。食用としての扱い(山菜)を受けるのがキクイモです。キクイモも外来種で要注意外来生物に指定されていますが、食用にする場合は似た他種との判別が必要になってきます。キクイモを山菜として利用する場合は、似た種類にオオハンゴンソウ、アラゲハンゴンソウ、イヌキクイモ、キクイモモドキがあるので違いは知っておいた方が良いでしょう。オオハンゴンソウ、アラゲハンゴンソウはハンゴンソウ属。キクイモはヒマワリ属になりますが、似た黄色い花を咲かせます。似ているとは言え、それぞれの特徴を覚えると判別することが出来る様になると思います。個人的には花の最適な時期に見つけると、観賞用に渡来してきた経緯があるだけに、黄色い花色がとても良く目立ち綺麗なので、好きな花になります。
雑草として特に在来種を脅かすオオハンゴンソウは、雑草として排除することが難しく、根絶がかなり困難な要注意種になります。法律で指定されている種だけに覚えておいた方が良い植物になります。 綺麗だからと持ち帰り、植えたりはしてはいけない植物です。観賞用として多くのオオハンゴンソウ属の園芸品種が作られていて、花壇等にルドベキアの名で(オオハンゴンソウ属の総称としてルドベキアと呼ばれています)植栽されています。花壇にはルドベキアとして多くの品種改良された園芸品種が植えられていることもあり、園芸の好きな方には喜ばれています。どれも綺麗な花を咲かせているので、色々と違った種類を見比べることも楽しくなります。花壇等で見られるルドベキアの園芸品種の写真もいくつか紹介します。
写真の無い種類は見つけたら追加したいと思っています。
★キクイモ キク科ヒマワリ属。別名ブタイモ、カライモ。北アメリカ原産の宿根草。キクイモは食用、家畜飼料、観賞用に渡来した外来種で要注意外来生物です。「キクに似た花を咲かせるイモ」が名前の由来の様です。草丈は1〜3メートル。花期は9〜11月。花色は黄色で直径6〜8センチ。10個〜20個近い花を枝先に咲かせます。結実しにくい特徴があります。キクイモは果実ができにくい特徴があります。管状花は黄色。葉は卵形から長楕円形で分裂(切れ込みがない)していません。葉には粗い鋸歯があり葉は下方では対生、上方は互生しています。葉には毛が生えていて葉柄には翼があります。茎には剛毛が生えていてザラザラしています。肥沃で湿った土質を好みますが、広く適応するようです。分布は北海道、本州、四国、九州。肥沃で湿った土質を好み、河川敷や農耕地、草原に生育しています。キクイモは花が少なくなった遅い時期にも花を咲かせる特徴があり、草丈も高く、綺麗な黄色い花を付けるので目につきます。
キクイモは食べられる野草の仲間としても知られています。昔は栽培もされてようですが現在は野生化したものが繁殖しています。食べる部位は塊茎で、丸みのあるショウガに似たごつごつとした形で、小さなジャガイモ程の大きさです。イモと名前についているのですが、1般的なジャガイモ等とは異なり、キクイモには澱粉が含まれていません。多糖類の1種のイヌリンという人が消化や吸収ができない成分を多く含み、昔はあまり重宝されることはありませんでした。雑草として扱われて板植物ですが、現在は健康食品として流通していることも多くなりました。効能としてダイエットが期待できるそうです。血糖値も上がらないので欧米では糖尿病患者の食事に利用されているらしいです。この2点から健康志向になった現代で利用価値が上がっているようです。食べ方は煮る、炒める、サラダ、漬物(味噌漬、醤油漬等)、テンプラにする様です。知り合いの方は家庭菜園に植えているそうです。今では雑草とされていたキクイモにも利用価値が出てきたようですが、食用として当方は食べたことがないので、どのような味がするのかは分かりません。
・キクイモに似た種類にキクイモモドキとイヌキクイモがあります。判別は難しくなっています。
上、キクイモの花です。黄色が綺麗です。先端に花が1個咲いていたものを横位置にして撮影しました。下、葉の裏側です。裏面は白っぽく見えます。葉柄に翼が付いていることもキクイモの葉の特徴になります。当方観察エリアでは1か所でしか見つけられません。草刈がされてしまう場所にあるので今後が心配です。雑草とは言え綺麗な花を見たいです。
良く似ているキクイモモドキ、イヌキクイモ、オオハンゴンソウ、アラゲハンゴンソウも調べてみました。
★キクイモモドキ キク科キクイモモドキ属。多年草。別名ヒメヒマワリ。ヘリオプシス。北アメリカ原産の帰化植物。草丈は50〜150センチ。開花が7〜10月。花は直径5〜7センチ程で黄色い花や橙黄色の花を咲かせます。花には八重咲きの品種もあります。果実が完熟するまで花弁(舌状花)が残ります。葉は卵形で対生。園芸種として庭や花壇に植えられています。名前の由来は地下に塊茎を作らないことから、モドキが付いたようです。繁殖は種によります。どうしても違いが分からない時は地下にある塊茎があるかないかで、判断することもできます。キクイモとは属が違う別種になりますが、良く似ていて紛らわしい種類になっています。
★イヌキクイモ キク科ヒマワリ属。北アメリカ原産の帰化植物。草丈は1〜3メートル。開花時期は7〜8月。特徴は葉の鋸歯がキクイモよりも小さく茎に毛が少ない事になるようです。地上部はキクイモにそっくりで見分けがつかないようです。違いは塊茎に出ます。イヌキクイモはイヌが付くだけに食用にしません。塊茎は小さく、ほっそりとした形が特徴です。食用になりますが小さい事で食用に適さないことからイヌキクイモと名前が付いたようです。通例不食ですが毒は無く食べることはできますので、キクイモと間違って誤食しても問題は無いです。
★オオハンゴンソウ キク科オオハンゴンソウ属。北アメリカ原産の多年草。別名ルドベキア(オオハンゴンソウ属の総称として)。ルドベキア・ラシニアタ。オオハンゴンソウは環境省の特定外来生物に指定されています。草丈は50センチ〜3メートルに達します。明治中期に日本に観賞用として渡来しました。現在は輸入も流通も禁止されている植物です。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。繁殖力も強いのですが、もともと園芸品種と言うこともあるのか日本全土に進出しました。特に中部地方以北に多く生育しています。オオハンゴンソウは大群落を作ることも知られていて、在来種に与える影響はとても大きいです。根絶が難しく特に湿原での影響が大きいようです。湿った土質を好み、湿原、湿地、畑地、河川敷、路傍、荒地などに生えています。開花期は7〜10月。花の直径は6〜10センチ。花色は黄色。管状花(花の中央にある半球形や円錐形に見える部分)は黄緑色。葉は互生。葉は羽状で深裂していて5〜7裂しています。葉縁には鋸歯があります。茎に毛がありません。あっても短毛がまばらに生えているだけです。神奈川県では箱根で繁殖していますが、今のところ他地域には広がっていないようです。オオハンゴンソウは園芸品種として作られた種類も多く、ルドベキアの総称で呼ばれています。これらは鉢植えや切り花に利用されています。
★アラゲハンゴンソウ キク科オオハンゴンソウ属。別名キヌガサギク。北アメリカ原産。1年草(寿命の短い多年草)とされています。別名キヌガサギク、ルドベキア(オオハンゴンソウ属の総称)。草丈は50〜90センチ程。日本には大正時代に園芸品種として渡来しました。分布は北海道、本州、四国で野生化しています。特に寒冷地に多い種類になります。繁殖力が強く範囲を広げています。山地の路傍、空き地、草地に生育しています。開花期は7〜10月。花の直径は6〜9センチ程。花色は黄色。管状花は紫黒色。葉や茎には毛が生えていてザラザラしています。この特徴が名前の由来になったようです。茎や葉には剛毛が生えています。葉は長楕円形や卵形で鋸歯があります。基部の葉には柄があり、上部の葉は互生して柄がありません。アラゲハンゴンソウは オオハンゴンソウと同じくルドベキアと呼ばれる外来種ですが、 アラゲハンゴンソウは環境省の特定外来生物に指定されていません。しかし繁殖力が強く、雑草化が進んでいます。繁殖は種によります。見ごたえがあるので、アラゲハンゴンソウは主に花壇に植えられています。切り花にもされています。最近ではオレンジ色の花の品種もあるようです。
・ルドベキアの園芸品種は沢山あります。その中のいくつかを紹介します。人家の庭や花壇に咲いていた種類です。
上、ルドベキア・トリロパ よく花壇等で見かける種類です。
上、ルドベキア・トリロバ・タカオ ルドベキア・トリロパから作られた園芸品種。大きな花と淡い緑色の筒状花が特徴で、花径10〜15センチの大輪を付ける品種です。草丈は1メートル。
上、プレーリー・サン ヒルタ種から作られた園芸品種。草丈は60〜80センチ。
上、ルドベキア・カプチーノ ヒルタ種から作られた園芸品種。花が大きく花径10〜15センチの大輪を付ける品種です。草丈は30〜70センチ。
上、名前の分からない種類も多いです。その中の1つです。
まだまだ花壇等で見られる園芸品種は数多くあります。しかし似た種が多く、ネームプレートが無いと品種の名前は分かりません。これだけ種類が多いとは知りませんでした。