2019年07月24日

オオマツヨイグサ、マツヨイグサ、メマツヨイグサ(アレチマツヨイグサ)、コマツヨイグサ。黄色い花が美しいマツヨイグサの仲間を調べてみました。

マツヨイグサの仲間は、ザックリと色の違いで名前を呼び分けられています。黄色い花のマツヨイグサ属(黄花系統)はマツヨイグサ。白い花の白花系統はツキミソウ。赤い色の花、赤味のある花の赤花系統はユウゲショウと呼ばれています。雑草として広がっていた黄色い花の系統だけでなく赤花系のユウゲショウの中間も雑草化していて、路傍で見ることがあるようになりました。マツヨイグサ属はいずれも南アメリカや北アメリカを原産とする帰化植物で、日本には多くの種類が入ってきています。花が綺麗なので観賞用に入ってきた種類が、園芸品種を含めて野生化して雑草として生育しています。マツヨイグサの仲間の間でも、似たような場所に育つ種類出は生存競争が激しく、昔は河川敷などに多かったマツヨイグサからオオマツヨイグサに、最近ではメマツヨイグサが勢力を広げているようです。この3種は1日で枯れてしまう1日花で、夕方から夜に咲く花なので、月見草と総称で呼ばれる事もあることから、白い花を咲かせるツキミソウと混同してしまいそうです。マツヨイグサの中間の花は、どの種類も可愛い綺麗な花を咲かせるので見る価値があります。アカバナ科のマツヨイグサの仲間を調べてみました。マツヨイグサの仲間はすっかり日本に定着した帰化植物です。美しい花を咲かせるのですが、多くは夜に開花する植物なので、良い香りと花の可憐さを知らない方が多いのではないのかと思います。特に大輪の園芸品種として作られたオオマツヨイグサなどは花として見劣りすることは無い逸品です。ただ、残念なことには昔はどこにでも生えていたオオマツヨイグサは、かなりの期間見ていません。大きな河川敷にでも行かないと見ることは難しいのではないのかと思うほどです。最近ではメマツヨイグサは駐車場の脇にもあるほど進出しています。雑草として繁殖力の強いメマツヨイグサが勢力を拡大しているようです。夜に咲くマツヨイグサの仲間は夜行性のスズメガなどによって受粉しています。マツヨイグサ属には在来種がなく、全ての種類が外来種になります。オオマツヨイグサ、メマツヨイグサ(アレチマツヨイグサ)、コマツヨイグサと、他にマツヨイグサ、ヒナマツヨイグサも調べてみました。最後にマツヨイグサ類を餌にするベニスズメ(スズメガ科)の幼虫の写真を載せています。太くて迫力のあるイモムシ型の幼虫です。イモムシが嫌いな方は最後の写真はスルーしてください。
・マツヨイグサの仲間4種類。マツヨイグサ、オオマツヨイグサ、メマツヨイグサ(アレチマツヨイグサ)、コマツヨイグサは花が黄色く夕方から夜に咲く種類です。花は1日で萎む1日花です。
★オオマツヨイグサ 別名ツキミソウ。アカバナ科マツヨイグサ属。草丈は80〜150センチ。花期は7〜9月。花の直径は5〜8センチと大輪でマツヨイグサの仲間では最大です。幅の広い花弁は重なっているので、花弁の間に隙間は見えません。花は夕方から咲き始めて朝には萎みます。オオマツヨイグサは花が大きく黄色い色が綺麗です。花弁は4枚で幅が広く、開花後に花がしぼんでも黄色いままです。茎には赤い斑紋が有り、茎は直立し、茎に生えている毛は硬い(剛毛)です。この剛毛の基部は暗赤色で膨れています。オオマツヨイグサは2年生草本でロゼット状で冬を超えます。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。オオマツヨイグサは日当たりを好みます。路傍、空き地、草地、土手、海辺、河原、河川敷に生育しています。特に海辺や河原に多くみられる種類になっています。オオマツヨイグサは園芸品種としてヨーロッパで作られたようです。最近では大輪の黄色い花が綺麗なオオマツヨイグサよりも、繁殖力の強いメマツヨイグサが勢力を伸ばしています。
オオマツヨイグサ茎.JPGオオマツヨイグサ茎2拡大.JPGオオマツヨイグサ.JPG
駐車場に生えていたオオマツヨイグサです。群生していました。上、オオマツヨイグサの茎です。特徴である赤い部分が見えます。中、茎の剛毛の拡大。拡大しないと分からないのですが、茎におある剛毛の基部は暗赤色をしていて膨れています。下、花は日中には萎れているので、美しい姿を見ることができません。オオマツヨイグサの萎れた花は黄色い色に見え、赤く変色しません。
★コマツヨイグサ アカバナ科マツヨイグサ属。北アメリカ原産。草丈は20〜60センチ。名前の由来は、小さな花のマツヨイグサからコマツヨイグサとなったようです。分布は本州(東北地方以南)、四国、九州。空き地、河川敷、砂地、農耕地などに生育しています。茎は斜上または匍匐します。基部から分枝してマット状に広がっています。花期は5〜10月。直径2〰3センチほどの綺麗な黄色い花を咲かせます。花は1日花で夕方以降の夜に咲きます。曇りの日には幾つかは日中でも咲いている花もあります。花はしぼむと赤味を帯びます。コマツヨイグサはマット状に群生していることもあります。葉は無柄で互生します。コマツヨイグサの葉には個体差があり、変異の大きな種類になります。葉は多形で不規則な鋸歯があったり、浅く波打ったり、羽状に深く切れ込んでいたりします。開花時期が他の種類よりも早い特徴があります。1日花ですが開花期間が長いので、可愛い花を長く楽しむことが出来ます。
コマツヨイグサ花.JPGコマツヨイグサ葉.JPGコマツヨイグサ.JPG
コマツヨイグサです。上、黄色い花は小さくても可憐です。中、葉はこの写真の個体では羽状で深い切れ込みがあります。草丈が低く花が小さいのですが、コンパクトで可愛いです。曇りの日などは、昼間に咲く花もあるので鉢植えにしても映えそうです。下、萎んだ花は薄いくすんだ紅色〜黄赤色になります。
★メマツヨイグサ アカバナ科マツヨイグサ属。別名アレチマツヨイグサ。北アメリカ原産の多年草あるいは越年草。秋に芽生えてロゼット状で年を超えます。メマツヨイグサは外来生物法で要注意外来生物に指定されています。メマツヨイグサの名前の由来はオオマツヨイグサに似ているのですが、花がオオマツヨイグサよりも小さいことから付いた名前になるようです。草丈は50〜150センチ。花期は5〜11月。花の直径は2〰5センチ。花の形には変異があります。メマツヨイグサの花弁は重なりませんが、重なる花の個体群もあります。花弁に間隔があるものをアレチマツヨイグサとしていたこともあるようですが、まとめてメマツヨイグサとしたようです。開花後、花はしぼんでも赤くなりません。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。道端、荒地、空き地、河原、草原などに生育しています。特に荒地に多いことから別名のアレチマツヨイグサの別名があります。オオマツヨイグサよりも花が小さく、花の直径は3センチ。花弁には隙間があることでオオマツヨイグサと見分けることができます。茎には赤い斑紋が有りません。また、茎には上向きの毛が生えています。葉は長楕円披針形で浅い波状の鋸歯があります。葉の先端は尖っています。葉の両面には短毛が生えていて、触るとふわっとした感触があります。
・メマツヨイグサの花の花弁には、間隔があいている花と重なって見える花の2タイプがあります。花弁の離れて見えるタイプの花を付けるものをアレチマツヨイグサと分ける考え方もあるようです。ここではまとめてメマツヨイグサとしました。メマツヨイグサは普通に見ることができるようになったうえ、雑草として生えているので利用しない方が損な気がします。花は夜咲(夕方から朝)なので、切り花として飾ると夕方から可憐な花を楽しむことができます。ほのかな香りも上品です。
メマツヨイグサ花.JPGメマツヨイグサ2.JPGメマツヨイグサ葉.JPG
上、メマツヨイグサの花です。花径(花の直径の1番大きい所)は5センチ。写真の花は、花弁が重なって見えています。花弁が離れて見える花もあります。この場所の花では、開花が進むと間隔が開いて見えるようです。個体差があるようですが、花弁が離れて見える花をつける方が多いようです。花は茎の先端に咲いているように見えますが、先端部にある葉の葉腋から蕾が出て咲きます。この1群は背が高く1番大きいもので草丈は180センチ程ありました。湿地の脇に群生していました。花の匂いを嗅ぐとほんのりと甘い良い匂いがします。中、メマツヨイグサの萎んだ花です。黄色い色をしています。下、葉です。葉や茎に短毛がはえています。茎にある毛は拡大して見ると上向きになっています。
・その他の似た種類(マツヨイグサとヒナマツヨイグサ)も調べてみました。
★マツヨイグサ アカバナ科マツヨイグサ属。南アメリカのチリ、アルゼンチン原産。別名ツキミソウ。観賞用に渡来しました。2年生草本。草丈は30センチ〜1メートル。葉は先端が尖った広線形で、不規則な鋸歯があります。花期は5〜7月。花の直径は3〜5センチで4弁花。綺麗な黄色い花は夕方から朝に咲く1日花です。しぼむと朱赤色になります。茎生葉には柄がありません。葉は互生。葉の形は披針形で葉の中肋は白色になっています。秋に地面にロゼット状に広がって冬を超えます。分布は本州、四国、九州、沖縄。草原、荒地、空き地、河川敷、砂地などに生育しています。マツヨイグサも雑草として繁殖力の強いメマツヨイグサに勢力を奪われてしまいました。
マツヨイグサ.JPG
上、マツヨイグサです。最近では見つけることが難しくなりました。夜に咲くのがもったいない位に可憐な黄色い花を咲かせます。小さな流れのあるガードレール脇に生えていました。
マツヨイグサ花1.JPGマツヨイグサ花2.JPGマツヨイグサ花3.JPG
上、夕方早く咲いていた黄色い花。見た目は4弁花に見えない花を咲かせます。中、萎むと黄色い色は失われて赤っぽくなっていきます。下、花弁は萎れてくると朱赤色に変色していきます。
★ヒナマツヨイグサ アカバナ科マツヨイグサ属。北アメリカ東北部原産の多年草。草丈は15〜30センチ。茎は直立します。茎には白い伏毛が生えています。葉は互生。葉は2〜5センチのヘラ型、または倒披針形で全縁、白い短毛(伏毛)が生えています。花期は6〜8月。ヒナマツヨイグサの花は日中に咲きます。花は直径1・5〜2センチと小さ胃のですが、昼間に咲くので可愛い黄色い花を見ることができます。花は4弁花で葉腋につきます。花弁の長さ5〜10ミリ。花はしぼんでも赤味を帯びません。花托筒は赤色で長さは3〜4ミリ。分布は北海道、本州。日当たりの良いやや湿った土質を好みます。
夜に咲く花は見る機会が少なくなってしまうのですが、紹介したマツヨイグサの仲間の花は綺麗なので、機会があれば見ることをお勧めします。雑草になってしまった植物ですが、花の可憐さに驚かれると思います。上記のそれぞれの特徴を確認すると、よく似た種類のマツヨイグサの仲間も判別することが出来ると思います。それぞれの種類の特徴を参考にして見比べると、同じように見えるマツヨイグサの仲間も見分けることができます。
花瓶に飾っていたメマツヨイグサから糞が落下していることに気が付きました。どこに隠れていたのか気が付かないまま、1週間ほどすると、巨大なイモムシがいました。体長は5センチ近いです。観察していた時はまるで気が付きませんでしたので、急激に成長したようです。本当に驚きました。幼虫はベニスズメの幼虫です。ヘビ柄に見える幼虫は、ヘビに擬態しているようにも思えます。ベニスズメの幼虫はオオマツヨイグサやメマツヨイグサを餌に育つようです。他にカラスウリ、スイカズラも餌にします。蛹にして羽化させる自信はないので、今夜、いた場所(メマツヨイグサを採取した場所)に戻すことにしました。脱皮すると驚くほどに体積を増やすガの幼虫には脅威を感じます。ベニスズメの成虫は美しいので写真に撮りたいのですが、今回は断念します。暫く花を楽しむことができたメマツヨイグサの丈夫さと、スズメガの驚異の成長速度には驚かされました。採集時にはコガネムシの仲間も葉を食べていました。マツヨイグサの仲間は昆虫の良い餌にもなっているようです。
ベニスズメ幼虫1.JPGベニスズメ幼虫2.JPG
上、ベニスズメの幼虫。まさか花瓶のメマツヨイグサでここまで大ききなるとは驚きです。写真は横位置にしました。下、前から見た所です。面構えに迫力があります。大きさも威圧感もスズメガの幼虫にふさわしい風格です。ヘビにも似て見える風貌は身を守るための擬態になっているようです。花瓶に飾ったマツヨイグサ類の下に、黒い丸い糞があったら、まだ小さくて姿を隠している幼虫がいるかもしれませんよ。
posted by クラマ at 17:19| Comment(0) | 自然観察・植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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