2019年05月23日

カベアナタカラダニ。クモやアリに見える赤い小さなダニです。

カベアナタカラダニは赤い極小のクモのように見える体色をした赤いケダニの仲間です。昆虫とは違い足は4本見えますが、極めて小さいのでデジカメや虫メガネ等を使って拡大しないと脚の数までは確認できません。動きは早く、ちょこまかと忙しそうに動き回ります。ダニの仲間というと人に害のある恐ろしいイメージのマダニがいますが、このダニは人の血を吸ったりすることはありません。普通の人は赤いアリとか赤い小さなクモと間違っている人が多いようです。春先に地表や石や岩の上、草上にいる所をよく見ます。動きが早く落ち着きがない1ミリ程の生き物です。良く似ているアカケダニは体長3ミリクラスになる、ダニとしては大型の種類もいます。どちらも体色が赤いので、怖い危険なダニかと思ってしまいますが、人には無害なので興味が湧いたら観察すると面白いと思います。観察の際は小さな生物なので、虫メガネやデジカメで撮影するなど、拡大して見れるものが必要になります。拡大できると似た種類との判別もできます。アカケダニはナミケダニ科のダニで、ナミケダニとも呼ばれています。ナミケダニ科は100種ほどいるようで、正確な判別が難しい種類になっています。低地の林床や落ち葉の下に多いアカケダニはカベアナタカラダニよりも大きさが大きいのですが、どちらにせよ小さいので肉眼で体の特徴を見ることができません。カベアナタカラダニは人家付近のコンクリートやコンクリート構造物に多く発生することから、見つけやすい種類になります。カベアナタカラダニは群れを成して動き回っていることも多く、体色が目立つ赤色をしていることから、近年では不快害虫として知られてきたようです。ダニ類の詳しい生態はまだ分かっていないようです。今回このダニを調べるきっかけは「赤いアリみたいのがいるけど、何かな?」と聞かれたことからです。動きが早いので当方のコンパクトデジカメでは撮影の難しい種類になります。なおさら、林縁や林内の草の上などで見つける赤いダニはアカケダニかも知れませんが、動き回っていることが多いので、撮影してもブレてしまうので判別できないでいます。この赤い色のダニの仲間で最も見つけやすいのは、カベアナタカラダニとアカケダニだと思います。両種を調べてみました。
・似た種類との大まかな判別の仕方。
似た種類には他にタキケダニがいます。タキケダニは腹部背面に4本の溝が見えます。カベアナタカラダニなどのタカラダニ類は頭部と胴体部が1体化して見えます(タカラダニ類は前体部と胴体部がはっきりと分かれていません)。アカケダニなどナミケダニ類の特徴は、眼が飛び出しているようです。前体部と胴体部がはっきりと分かれていて、前体部に眼があります。
カベアナタカラダニと アカケダニを調べてみました。
★カベアナタカラダニ タカラダニ科アナタカラダニ属。普通種。体長約1ミリ。小さくても動きが素早いです。人を刺すことはありませんが、体液が長時間皮膚に付いた場合、皮疹を起こすことがあるようです。雑食性で花粉や微小昆虫を食べます。出現は3〜7月。5月に最も多く発生するようです。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。コンクリートの表面や石垣の岩の上などに生息しています。建物周辺、壁、コンクリート壁などに多い種類になります。不快害虫としてベランダやビルの屋上などコンクリート構造物に多く発生します。タカラダニ類は前体部と胴体部がはっきりと分かれていません。タカラダニの幼虫と成虫は花の花粉を食べるようです。カベアナタカラダニは単為生殖しているという報告もあるようです。越冬は卵で越冬します。地衣類やコケに産卵したり、死んだ成虫の体内で卵が越冬するようです。このことは島野智之氏のブログ、「やっぱりダニが好き!」第11話で偶然見つけました。詳しくはこちらをご覧になられてください。専門家のブログです。カベアナタカラダニはタカラダニと呼ばれることも多いのですが、正確には属が違っています。カベアナタカラダニはアナタカラダニ属で幼虫、成虫共に花粉を餌にするようです。タカラダニ科は幼虫は他の昆虫に外部寄生していて、成虫になると節足動物の卵や線虫などの土中に生息している生物を捕食するようです。
カベアナタカラダニ.JPGカベアナタカラダニ ・タカラダニ科.JPGカベアナタカラダニ、不明?.JPG
カベアナタカラダニです。普通に見ることができる小型のダニです。1ミリ程でとても小さいです。動きが早く小さな赤い点が動き回っているように見えます。見つけたのは菜園の境界の低い石積です。地衣類のハナゴケの傍に多くいました。公園の石やベンチに腰掛ける時にこのダニがいて、うっかり座ってしまうと体液で赤いしみができてしまいます。5月前後には数がふえるので特に気を付けた方が良いようです。拡大して見ると体に短毛が生えていることが分かります。下、カベアナタカラダニの群れていた岩にありました。周りを他のカベアナタカラダニが動き回っていたので、何か関係があると思いますが、これの正体は不明です。色が似ていることもあり、関係があるものかと思い撮影して見ました。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
タカラダニの1種1.JPGタカラダニの1種2.JPG
上、タカラダニの1種です。動きの速い赤い小さなダニを見つけました。林縁の草の上にいたものを移動させて撮影しました。頭部と胴体が1体化しているので、不明種ですがタカラダニ類で良いと思います。体が丸っこい体形をしています。見つけた場所は神奈川県横浜市、こども自然公園です。写真は同1個体です。大きさはカベアナタカラダニの写真の個体よも少し小さいです。
★アカケダニ ナミケダニ科。別名ナミケダニとも呼ばれています。普通種。体長は2〜3ミリ。体はビロード状の短毛に覆われていて脚は4対あります。名前の通り、赤い色をしたダニです。小さくても赤いことから、その存在に気が付く人も多いようです。体の大きさの割には移動速度が速く、撮影には苦労します。出現期は3〜12月。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。林床の落ち葉、地表、石垣などに生息。幼虫は他の昆虫(セミ等)やクモ類に外部寄生して体液を吸います。成虫は自分の体よりも小さな落ち葉や土中に住む土壌生物を食べる昆虫の卵や自分よりも小さな昆虫等を食べる肉食性です。 
アカケダニの写真はありませんが、撮影できたら追加する予定でいます。林内や草地の草上で赤い小さなダニを見ることがあります。とにかく動きが早くて小さいので、ブレた写真ばかりになってしまいます。当然、撮影したダニがアカケダニであるかどうかも判別できていません。大変撮影が難しいです。観察していると、ワカバグモやセミなどに寄生している赤いダニを見ることがあります。ナミケダニ科の1種には違いありません。アカケダニの幼体はクモ類に寄生している事が多いようですが、写真では判断できないので、見つけても種類までは特定が難しいです。
タカラダニ類の1種.JPG
上、ワカバグモに寄生しているダニ。体色の赤いダニが寄生していますが、写真から寄生しているダニの種類は分かりません。赤い体をしているのでワカバグモに寄生していると目立ちます。このようにクモ類や昆虫類に複数が寄生している個体も見ることが多いです。
posted by クラマ at 15:47| Comment(0) | ダニ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月06日

ハジマヨトウ。幼虫(イモムシ)はタケノコを食べるガです。

ハジマヨトウはヤガ科キリガ亜科のタケノコを食べる害虫になります。タケノコの中にいるタケノコを食べる害虫といっても、最も多く流通しているモウソウのタケノコから虫が出てくるということは聞いたことがありません。当然、出荷時に確認されているので、タケノコの中にいて驚くような目には合わないと思います。当方観察地ではモウソウチクのタケノコで見ることは少なく、野生のメダケに多く寄生しています。ヤダケでも確認しています。ササダケとして有名なチシマザサ(ネマガリダケ)にも多いようですが、チシマザサ(ネマガリダケ)を食べる幼虫はサッポロチャイロヨトウの幼虫が多いようです。研究者の発見によりサッポロチャイロヨトウの幼虫の餌はネマガリダケ(チシマザサ)になるようです。サッポロチャイロヨトウの幼虫は白っぽい体色をしているようです。タケノコを餌にする幼虫は大きくなるとタケノコの表面に穴ができていることで、中にいることが分かります。ハジマヨトウは当方の観察地ではモウソウチクのタケノコで見ることができませんでした。やはり外皮の部分が薄く、脱出しやすいササ類のメダケの方を選ぶのではないのかと推測しています。野外でヤダケやメダケの細いタイプのタケノコに穴が開いている物を目にすることは多いです。調べてみるとタケノコを食べる種類は他にもいます。餌がタケノコなので、どの種類も年1化であるものと思われます。幼虫はまだ十分に伸び切る前の地表にでた若く小さなタケノコに潜り込んで成長して行くようです。タケノコを食べるちょっと変わったガ、ハジマヨトウを調べてみました。名前にヨトウと付いているのでヨトウガ亜科に属すると思いきや、キリガ亜科に属するガになるようです。ハジマヨトウの成虫にはなかなか出会えないことと、すぐに逃げられてしまうことから残念ながら撮影には成功していません。幼虫を観察しようと思った場合は、寄生しているタケノコを見つけないと見ることができないので、よほど興味がない人以外は見ることがないイモムシになると思います。
★ハジマヨトウ ヤガ科キリガ亜科。ハジマヨトウの終齢は 幼虫は体長35ミリ程。ハジマヨトウの分布は本州、四国、九州、沖縄。成虫の出現は6〜8月。年1化。灯火に集まるようです。幼虫は体長35ミリ程。幼虫はタケノコから出て土の中で蛹になります。越冬は卵で越冬します。幼虫はササやタケの芽(タケノコ)を餌にするガです。神奈川県の観察地では6月に出現しています。成虫には地色に個体差があります。イネ科のハチク、モウソウ、マダケ、ホテイチク、メダケ、カンザンチク(中国原産のササ類の中で最大の種類)、ヤダケ(ササ類ヤダケ属)など食用タケノコの中に潜り込んで餌とします。成虫は地味な茶色で翅には3角形の斑紋があります。地色には個体差があるようです。個体差がある種類だと違いの判る成虫の写真を撮ってみたくなります。
ハジマヨトウ(ヤガ科キリガ亜科).JPG
上のハジマヨトウの幼虫はメダケのタケノコの中にいました。黒い地色に白い筋が見えます。食用タケノコ等を餌にするガの幼虫です。モウソクチクやマダケではあまり見ません。メダケのような細いタケノコに多く発生しているようです。タケノコの表面に穴もしくは中から何か塊状の物が出て見えます。が開いているものを探して中を探すと見つけることができます。成虫は地味な茶色ですぐに飛んで逃げてしまうので、撮影ができないままになっています。
タケノコを食べる他の種類には次の3種類がいます。
・サッポロチャイロヨトウはチシマザサ(ネマガリダケ)を食べるガになります。分布は北海道、本州、四国、九州。年1化で成虫の出現は7〜9月。幼虫の地色は白っぽく見えるようです。
・カバマダラヨトウはメダケを餌にします。分布は本州、四国、九州。成虫の出現は8月で年1化。
・ミヤケジマヨトウは日本固有種でカンザンチク、リュキュウチョク、メダケなどササのタケノコを食べるようです。分布は本州(千葉県以南)、四国、九州。年1化で成虫の出現は6〜7月。
ハジマヨトウは繁殖場所がササ藪や竹林になることと、幼虫の餌がタケノコの中身なので、さらに成虫幼虫共に見る機会の少ないガになります。成虫の色も地味なので、タケノコを食べるガというと興味も出てくる種類になるのかも知れませんが、ほとんど知られることが無い地味な昆虫になると思います。
観察地のメダケが全て刈り取られてしまいました。地上に1本もありません。もともと少なかったのですが、根元からの伐採なのでもう生えないかも知れません。ただでさえ成虫の捕獲は難しかったので、成虫の写真と合わせて追加して投稿しようと思っていたのですが、難しくなってしまいました。幼虫の紹介にすることに変更することにしました。写真が少ないので追加する予定です。
posted by クラマ at 18:19| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

セリの葉のゴール(虫こぶ)。不明の虫こぶです。

今年で見かけてから3年になるのですが、カビなどの雑菌によるものと思っていたのですが、念のために写真を撮ってみると立派な脱出孔がありました。セリの葉にできたゴール(虫こぶ)だったようです。本年は発生が少ないようでした。鮮やかな山吹色に見えるので、発生はすぐに分かったのですが、ゴール(虫こぶ)とは思っていませんでした。思い込みでカビと思っていたことで気が付きませんでした。今後は手に取って観察する必要がありますね。セリの葉にできる虫こぶは思い当たらないので、不明の虫こぶ(ゴール)として紹介します。部位は葉の裏、葉縁、茎にできています。葉裏には盛り上がった小丘があり、葉の表面側はほぼ平坦です(肉眼では分からない位に僅かに凹んでいるようです。脱出孔は8〜10個程あるので複数の作成者の幼虫がこの塊に集まって生活しているようです。脱出前のゴールではいくつかの小部屋ができていて1塊になっていることが分かります。セリの葉にできていた正体不明の虫こぶを観察してみました。
セリのゴール葉表.JPGセリのゴール葉裏・脱出孔.JPG
同じ虫こぶの葉の表側と葉の裏側です。上は表側、下が裏側です。裏側の写真では脱出した跡が見えます。
セリのゴール部位1.JPGセリのゴール部位2.JPGセリのゴール茎.JPG
上2枚は沢山出来ている様子です。寄生する部位はあまり関係ないようです。下、茎にできているものです。まだ中に幼虫がいるのでしょう。小さな塊が集まっていることが見て取れます。セリの葉と比較しても分かるように、中にいるのはかなり小さな昆虫です。
セリ自体が春先だと小さいので、分かりににくいのですが、目につく黄色なので発生していると分かりやすいと思います。このセリは林縁の小さな小川の脇の土手に生えていました。土手の上は草の広場になっています。撮影地、神奈川県横浜市、こども自然公園。撮影は4月17日です。5月4日に行ったら、もう見つけられませんでした。来年は中に幼虫がいるかどうか確実に確認することにします。
セリ.JPG
上、まだ伸び切っていないセリです。春先のセリは地面に広がって生えているように見えます。この状態だとスーパー等で売っているセリとは雰囲気が違って見えます。野菜としても出回っているので、ご存知とは思いましたがストックしてあった写真を載せました。野生では田んぼや小川の脇、湿地などに自生しています。山菜狩りの対象にもなっている有名な草です。
posted by クラマ at 18:06| Comment(0) | 虫こぶ(ゴール) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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