カイガラムシは樹木、植物の害虫として有名です。カイガラムシは以前に当ブログで「オオワラジカイガラムシとルビーロウカイガラムシ(ルビーロウムシ、ルビーカイガラムシ)、イセリアカイガラムシ(ワタフキカイガラムシ)。カイガラムシは変わった形をしている昆虫です」とヒモワタカイガラムシを「木の枝にある白いリング状の輪の正体は、ヒモワタカイガラムシです」で紹介しています。今回でカイガラムシは3回目になります。カイガラムシは樹木の害虫としてとても有名で、知らない人は少ないと思います。およお昆虫とは思えない容姿をしているので、昆虫と言われても本当なの?と思う方がいると思います。実に昆虫に見えない昆虫なのです。カイガラムシは樹を弱らせたり、他の病気を誘発する原因にもなり、果樹に対して有害な害虫の1種として嫌われています。見た目の悪さによる不快害虫にもなっています。カイガラムシは見た目からは想像できなくても、分類は昆虫なので雄と雌がいます。雄と雌とで容姿も違っている雌雄異形になります。雄のカイガラムシの成虫には翅があります。後翅は退化していて2枚の翅になります。普通、樹の幹や葉で見つけるカイガラムシ類は幼虫と雌になります。雌の成虫葉気に固着しているのですが、幼虫は歩くことができますが、雌には翅が無く、成虫になると体を固着するので動けなくなってしまいます。外見から脚は見えません。カイガラムシの中でも歩くことができる珍しい種類には、雌の成体で動けるカメノコロウカイガラムシ(カメノコロウムシ)もいます。カイガラムシは植物に寄生して樹の汁を餌としています。カイガラムシと呼ぶ場合はカイガラムシ上科に属する仲間の総称になります。その種類は多く、日本には約500種類もいるそうです。ロウムシと呼ばれるカイガラムシは1般的にはロウ状の白い物質に覆われていて、白く見える種類が多くて目立つこともあり、ロウムシ属に属するカイガラムシは良く知られています。カイガラムシの仲間は種類が多く、どれもよく似ていて容姿がよほど個性的でない限り、見た目での判別は難しいです。以下は参考までにしてください。詳しい生態等は分かりません。固着している個体を見ることが多く、虫に見えない不思議な昆虫、ツバキワタカイガラムシ、オキツワタカイガラムシ、サルスベリフクロカイガラムシ、ツノロウカイガラムシ(ツノロウムシ)等を調べて見ました。
★ツバキワタカイガラムシ カタカイガラムシ科。出現は5〜6月。ツバキ、サザンカに寄生します。楕円形に見える扁平な体をしています。体色(殻の色)は暗褐色をしています。やがて体の下から白い卵膿を伸ばしていきます。見た目が同じに見える良く似たオキツワタカイガラムシとは体の色で判別します。雌が成虫で越冬するようです。
上、ツバキワタカイガラムシ。ツバキの葉にいましたが他種かも知れません。自信がないのですが、暫定的にツバキワタカイガラムシとして紹介します。
★オキツワタカイガラムシ カタカイガラムシ科。出現は5〜6月。楕円形に見える扁平な体をしています。体色(殻の色)は淡黄緑色をしています。やがて体の下から白い卵膿を伸ばしていきます。成虫、幼虫共に柑橘類、カラタチ、ツバキ類、ツバキ、サカキ、ヒサカキ、チャなどの葉に寄生します。当方の観察では柑橘類とツバキの葉で見ることが多いです。見た目が同じに見える良く似たツバキワタカイガラムシとは体の色で判別します。
上、オキツワタカイガラムシです。
★サルスベリフクロカイガラムシ フクロカイガラムシ科。白い楕円形をした小型のカイガラムシです。サルスベリの害虫として有名で、サルスベリに多く見られ樹の小枝や幹に群れをなして寄生しています。出現は6月と8月頃で、年2〜3回発生するサルスベリ、ザクロに寄生するカイガラムシです。越冬は主に卵で越冬するようです。灰褐色〜紫褐色をした成虫が白い袋の中にいます。
上、 サルスベリフクロカイガラムシです。サルスベリの樹に寄生する特有のカイガラムシといえます。
★ツノロウカイガラムシ(別名ツノロウムシ)。 カタカイガラムシ科。 体長は6〜9ミリ。ツノロウカイガラムシはツノロウムシとも呼ばれています。ロウ物質に覆われた体の外縁に8個の突起があり、背面に1本の角状突起がありますが、成長すると角はなくなっていき大きく盛り上がっていきます。形(容姿)が変わるので紛らわしい種類とも言えます。出現は幼虫は6〜7月頃で年1回発生します。通年見ることができます。日本では雄はいなくて単為生殖により雌だけで増えていく様です。ミカン、カキ、ナシ、モモ、クチナシ、ツバキ、ソヨゴ等、様々な樹の枝に寄生して樹液を吸います。ツノロウカイガラムシ(ツノロウムシ)は庭木にも普通に発生します。越冬は雌が成虫で越冬します。
似た種類に体の小さなカタカイガラムシ科のカメノコロウカイガラムシ(別名カメノコロウムシ)がいます。カメノコロウカイガラムシの体長は4ミリ程で、形は円形で外縁に8個の小さな窪みがあり、中央は盛り上がっています。カメノコロウカイガラムシの特徴として、雌は成体になっても脚が退化しないので動くことができます。越冬は雌が成虫で越冬します。
上、マユミに寄生していたツノロウカイガラムシで中央背面が溝状に見えている個体です。背面が盛り上がっている個体も多いです。撮影は11月なのでこのまま越冬するものと思います。ツノロウムシとも呼ばれているツノロウカイガラムシは成長すると名前の特徴になる8個の角状突起が目だたなくなり、背面にある角(角状突起)がなくなり丸味を帯びてきます。この容姿から呼び名が2個あることが頷けます。似た種類も多く、分かりにくい形になることもあります。もっと若い背面に突起のある若い個体が撮影できたら追加したいです。
上、不明種。カタカイガラムシ科ロウムシ属と思われる種類。カツラの樹の葉の付け根の細い小枝に寄生していました。5〜9月頃に見ます。暗褐色(アズキ色)で半球形に見える殻をしています。カタカイガラムシに似ている不明のカイガラムシです。発生している樹種により種類が違っていることもあるようなので、この種は不明です。
カイガラムシの仲間は害虫として嫌われる運命にある気の毒な昆虫になるようです。よって昆虫として人気がないと思います。やはり樹木や園芸植物の嫌われ害虫として存在感のある存在といえそうです。害虫として駆除する場合、薬剤を使う場合は若い幼虫期でないと効果は薄くなります。幼虫は小さなものが多く目立ちません。成虫になるとロウ状物質に覆われたり、殻で守られてしまうので、薬剤の効果は期待できません。成虫の場合は樹木に発生していたらヘラやハブラシ等を使って削ぎ落してしまう方法が手っ取り早いです。殻や嚢胞の中に卵がある場合があるので、そぎ落とした成体等は放置しないで捨て去った方が良いです。カイガラムシの場合、越冬体も含め樹木に付いていると分かりやすいので、見つけたら駆除することが被害を少なくするための予防になります。成体では脚が退化していて動けなくなるなど、行動範囲が狭い特徴があるので、隣の樹木や園芸植物などに移動して被害を拡大することはありません。見た目の悪さや植物に対する被害をなくすために、大きな群れになる前に見つけたら排除すると良いと思います。ロウムシ類と呼ばれるルビーロウムシ(ルビーロウカイガラムシ)、ツノロウムシ(ツノロウカイガラムシ)、カメノコロウムシ(カメノコロウカイガラムシ)は都市部でも見ることができます。またこの3種類は柑橘類に被害を与えることで、ミカン農園などの農業関係者には嫌われています。カイガラムシの仲間は種類が多く、様々な植物に寄生します。寄生されると植物の成長を阻害したり、排泄物からスス病を生き起こす可能性もあるので、庭等で見つけた場合も早めに退治することが良いと思います。冬場の落葉樹では見つけることが容易なので、薬剤を使いたくない方は、冬場に退治することもお勧めです。