2018年07月27日

アオオビハエトリ、アリグモ、ヤサアリグモ、シラゲハエトリ、マミジロハエトリ、メスジロハエトリ、チャスジハエトリ、ヨダンハエトリ、デーニッツハエトリグモ。ハエトリグモ科のクモ、9種類を見つけました。

ハエトリグモの呼び名はハエトリグモ科の総称になっています。ハエトリグモの仲間は徘徊性でチョロチョロと葉の上などを動き回って餌となる獲物(他の昆虫)を探します。顔の形も見ていると可愛く思えてくる愛嬌を感じるクモです。ハエトリグモは小型のハエ類などを主食にしていますが、自分の体よりも大きなガを捕らえていることもあります。狩の腕前は良いようです。狩の方法は、歩き回り獲物に飛びかかるという奇襲作戦です。英語名はジャンピング・スパイダーと呼ばれているように、獲物にジャンプして飛びかかります。身体能力が高く、種類によって自分の体長の6〜20倍程もジャンプすることができます。中には40〜50倍の距離を飛ぶことができる種類もいるようです。襲われる方としては、予測不可能な状態ではないのでしょうか。クモは昆虫と違い8本の足があることで知られています。ハエトリグモは8本の脚と8個の眼を持っています。特に前列にある2個の眼(主眼)は発達していて大きいことが特徴になっています。この8個の眼でかなりの範囲を見ているのです。ハエトリグモの顔を正面から見ると、2個の大きな主眼が可愛く見えて、この科のクモの特徴にもなっています。ハエトリグモの驚異的なジャンプもこの科のクモの特徴で、助走なしで跳ぶことができる脚力の強さが自慢です。ハエトリグモの仲間は小型種が多く形も似通っているものが多いので、特徴を覚えておくと、このクモはハエトリグモの仲間だろうと推測することができます。当方の観察エリアではネコハエトリが多いのですが、ネコハエトリ以外の野外で見つけたハエトリグモ科の9種類を紹介します。ハエトリグモ科のネコハエトリは当ブログ「ネコハエトリ、ネコハグモ。葉の上にいる小さなクモです。」で紹介しています。興味がありましたらネコハエトリもご覧ください。
・アリグモは良く見ないとアリに見える擬態をしたハエトリグモ科のクモです。特に雌のアリグモ類はアリと良く似ているので見間違えている方もいるかもしれません。アリグモは名前の通り、アリに良く似た姿をしたハエトリグモ科のクモです。幼体だと種類等、他のアリグモの仲間と見分けが付けられません。アリグモの仲間はハエトリグモ科のクモなのでピョンと跳びます。アリは跳ばないので、アリだと思っていても驚くとピョンと跳ぶ特徴から、アリではなくアリグモの仲間だとすぐに分かります。アリグモがアリの擬態をするメリットは、アリを餌とする昆虫が少ないことによるようです。肉食昆虫からすると蟻酸を含んでいる種類のアリは美味しくない食材になるようです。他の昆虫に襲われにくいアリに擬態して難を逃れることが目的のようです。
★アリグモ ハエトリグモ科アリグモ属。普通種。体長は雄が5〜6ミリ、雌が7〜9ミリ。雄には立派な上顎があり、雌では腹部が大きくなります。雌のアリグモはアリにそっくりに見えます。アリの種類のクロオオアリに擬態していると言われています。体色には黒、黒褐色、赤茶色、赤褐色など個体差があるようです。雌の腹部背面にある白い帯の形にも個体差があります。同じハエトリグモ科でもアリグモ属に属する様に、ハエトリグモの中にあっては長細く見える姿がハエトリグモらしくないことが特徴です。アリグモはアリに似ていますが、獲物は主に他の小型の昆虫になります。アリを好んで捕食するからアリグモと言うことではないようです。アリと良く似た姿に擬態しているクモと言う方が適切だと思います。このアリグモは見れば見るほどアリに似ています。第1脚を前に突き出していると6本脚に見えてしまいます。8本脚をアリと同じように6本脚に見える工夫もしているのです。アリグモは大型のクロオオアリや腹部の大きな翅のないハアリ(羽蟻)に似ています。この細長い体形のために、ハエトリグモとしてはジャンプすることが苦手になります。飛びかかって襲うよりも、近づいて襲うという方法で狩りをします。体は細長くても、アリグモを正面から見ると他のハエトリグモに似た顔つきをしています。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。公園、照葉樹などの林縁、庭などの人家付近にいます。アリグモは総称的に使われる呼び名で、アリグモ、ヤサアリグモ、タイリクアリグモ、クワガタアリグモ、ヤガタアリグモなどがいます。巣は繁殖行動の中で作られます。葉に小さな天幕状の簡素な巣を作ります。アリグモは成体、亜成体で越冬します。
アリグモ雄と巣.JPGアリグモ雌.JPG
アリグモです。上、雄の上顎はアンバランスに見える位に大きく立派です。その大きさは頭胸部と同じ位に見えるので、雌とは上顎の大きさですぐに雌雄を区別することができます。この雄は簡単な網を張った巣の中にいました。下、雌のアリグモです。腹部が大きく上顎は小さいです。
★ヤサアリグモ ハエトリグモ科アリグモ属。普通種。体長は雄が4〜5ミリ、雌が5〜6ミリ。雄には立派な上顎があり、雌の方が腹部が大きくなります。雌のヤサアリグモはアリにそっくりに見えます。アリグモと良く似ていますが、ヤサアリグモの方がスリムな形をしていて光沢があります。最も見比べて見ないと、ヤサアリグモの細い体の感じは伝わらないと思います。体色には変異があり、成体では赤味が出てくるヤサアリグモでも、どちらかなと思うような個体もいます。分布は本州、四国、九州。公園、林縁、庭など人家付近にいます。公園のササの葉で見かけることが多いです。越冬は成体、亜成体で越冬します。ヤアアリグモの腹部は細く、ややくびれていることで良く似ているアリグモと見分けがつきます。ヤサアリグモの幼体の雄は黒色と赤褐色の2色の配色になっていて、胸部と腹部前方が赤褐色に見えます。
アリグモ雄1ヤサアリグモ.JPGアリグモ雄2ヤサアリグモ.JPGアリグモ雌ヤサアリグモ.JPG
上、ヤサアリグモです。上の2枚は雄。雄の上顎は太くて立派です。アンバランスなほど大きくて、とても丈夫で強そうな顎をしています。顎までいれると10ミリ近い大きさになります。この特徴から雄はすぐに分かります。雌のヤサアリグモはアリグモよりも細いので、ヤサアリグモの方がよりアリに良く似て見えます。ヤサアリグモの腹部はくびれて見え、体つきもひと回り小さく見えます。見慣れてくると両種の判別はしやすくなってきます。下は雌のヤサアリグモです。ヤサアリグモの特徴は腹部が細くくびれています。
アリグモの仲間はどれも良く似ています。アリグモと良く似た種類にタイリクアリグモとヤガタアリグモがいます。見分けるポイントの1つは体色で、成体のタイリクアリグモとヤガタアリグモは赤っぽい体色をしています。タイリクアリグモの頭部、触角は赤味を帯びていますが、ヤガタアリグモは黒い色をしています。幼体の場合では色や姿が良く似ていて、外見での判別は難しいようです。雄の大顎はとても立派で迫力があります。もっと大きな体をしていたら飼育して見たくなります。アリグモは徘徊性のクモですが、繁殖活動として巣も作ります。アリグモの巣は植物の葉に作られます。網で囲まれた小さな巣です。 
・アリを捕らえるアオオビハエトリはアリに擬態していると言われています。アリグモと1般的なハエトリグモの中間的な姿をしています。
★アオオビハエトリ ハエトリグモ科。普通種。雄は4〜6ミリ。雌は5〜7ミリ程。見た目はアリグモと1般的なハエトリグモの中間のような姿をしています。頭部と腹部にはわずかな金属光沢があり、体には短毛が密生していて、腹部には白と黒の帯状の縞模様があります。黒い地色に青色や緑色を帯びて見える綺麗なハエトリグモです。体色には個体差があります。光によって光沢と色が若干違って見えます。アリグモの様にアリに擬態していると思われますが、アリグモのような完璧な擬態には見えません。第1脚を持ち上げてアリの様に3本の脚に見える姿をしています。持ち上げた第1脚はアリの触角に似せているということです。アオオビハエトリは地上性でアリなどを求めて移動する徘徊性のクモです。雌雄の見分けは、普通のクモと同じく雌の場合は腹部が大きくなります。雌の場合、腹部背面の白い部分が目立ちます。雄は腹部が細く第1脚には飾毛があります。アオオビハエトリは餌として小型の昆虫を捕らえますが、アリを獲物とすることが多いことが知られています。アリには怖い存在で、アリの天敵と言っても良いクモです。アオオビハエトリのアリを狩る方法は慎重で、他のハエトリグモと違い1撃でしとめるということはありません。幾度かに分けて襲い掛かり、弱るのを待ってしとめます。出現は5〜8月。分布は本州、四国、九州。平地に多い種類で、人家付近、庭、公園などに生息しています。時に人家に侵入して家屋内で見ることもあります。人里に多い種類なので、柵や壁などでも良く見かける種類です。越冬は成体で越冬します。樹皮の裏などに作った天幕状の白い巣の中で越冬します。
アオオビハエトリ雄1.JPGアオオビハエトリ雌・脚欠損.JPGアオオビハエトリ雌B2アリ捕食.JPG
上、アオオビハエトリです。上は雄、下2枚が雌です。2枚目の雄は脚が欠損しています。下の雌はアリを捕らえて食べています。アオオビハエトリは歩脚にも青や青紫のグラデーションが見えて綺麗です。カメラを向けると逃げ出してしまいます。普段から落ち着きのない活発なクモです。大型種だったらクモの悪いイメージから離れて人気が出たかもしれないと思います。地味な配色をしているにも関わらづ綺麗で魅力的なクモです。青味の強い個体や青緑色の強い個体を見つけると見とれてしまいます。光によっても見える色が違ってくるので、見た目の色が写真で表せないことが多く、撮影が苦手な種類になっています。 
・以下はハエトリグモらしく見えるハエトリグモの仲間の紹介です。沢山の種類がいて似たものも多く、名前を見つけるのは難しくなってきます。
★シラヒゲハエトリ ハエトリグモ科。普通種。体長は雄は6〜9ミリ。雌は8〜10ミリ。黒と白い毛に全身が覆われていて、眼の下から腹部にかけて白い条線(白帯)が入っています。全身に白い短毛が多く白っぽく見えるクモです。見た目で名前をシラゲハエトリと言い間違ってしまいそうです。歩脚は太く短く、体格もがっしりとして見えます。雌雄は体色がほぼ同じで良く似ていますが、雌は腹部が大きく両脇には黒い条線が目立って見えます。出現は5〜9月。分布は本州、四国、九州、沖縄。シラヒゲハエトリは人家付近に多く生息していて、人家、神社、公園内の建物などの壁や塀など人工物に良くいます。野外では石垣や樹の樹幹などにいて、日の当たる場所を好むようです。餌は住み家とする壁や塀、樹幹を徘徊して昆虫を捕らえる徘徊性のクモです。シラヒゲハエトリは成長が遅く、雌では3年目に成体になるようです。そのことから越冬は幼体、亜成体、成体で越冬することになります。つまり雌は寿命が3年もある長生きのクモになります。幼体は茶褐色をしていて成体になると白っぽいクモに見えてきます。幼体でも白っぽく見える短毛がはえている個体もいるので、幼体では個体差があるようです。シラヒゲハエトリは人家の外壁に多くいるのですが、家屋内にはあまり入ってくることはないようです。身近にいてもあまり知られていない理由になるようです。
シラヒゲハエトリ雌1.JPGシラヒゲハエトリ雌2.JPGシラヒゲハエトリ3.JPG
上、シラヒゲハエトリの雌です。成体になると体の白色の短毛が良く目立ってきて、白いクモに見えてきます。保護色になって白っぽい外壁や壁にいると気が付かないかも知れません。雄の腹部は雌よりも小さく、腹部の両脇には黒い帯がありません。下は雌の亜成体のようです。体もひと回り小さく、まだ白い毛もあまり目立っていません。
★マミジロハエトリ ハエトリグモ科。体長は雄が6〜7ミリ。雌は7〜8ミリの小型になります。出現が5〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州。低地に多く、公園や草原などの背丈の低い草や樹の葉の上にいます。雄の頭胸部は黒く、頭部前縁には白いライン(白帯)が見えます。この特徴からマミジロハエトリの名前が付いた様です。このネーミングは眉白(マユジロ)がマミジロになったと推測できます。丁度、目の上に白いラインがあって眉が白く見える面白い顔をしたハエトリグモです。触手は先端が丸くて色は白く見えます。腹部背面は灰色〜黄土色に見えます。雌は頭胸部後縁に白っぽい毛(灰白色の毛)が環状に見えます。この毛は白っぽく見えないものがいて目立たない個体もいます。腹部背面は灰白色に見え、細い黒い線が入っているように見えます。徘徊性のクモで、小型の昆虫を餌にします。色彩に個体変異が多い種類なので、雌だとネコハエトリの雌などと似た個体もいます。雌には腹部後端に1対の黒斑がある。マミジロハエトリの幼体は雄も雌と同じ柄になるので、良く似たネコハエトリと区別が難しくなります。決め手は腹部後端にある1対の黒斑になります。ネコハエトリも色彩や斑紋に個体変異が多く、マミジロハエトリの腹部後端の黒斑も薄い個体もいるので、良く見比べないと分からないことがあります。雌の場合は頭胸部後端の冠状の毛帯と合わせて確認することが必要です。
マミジロハエトリ雄.JPG
上、マミジロハエトリの成体の雄は個性的で分かりやすいです。均整の取れたかっこよい姿をしています。マミジロハエトリの雄は成体になると間違いにくいクモになります。
★メスジロハエトリ ハエトリグモ科。体長は雄7〜9ミリ。雌8〜10ミリ。雄と雌で違う色をしたハエトリグモです。出現は4〜11月。分布は本州、四国、九州。頭部中央と顔面付近には白い毛が生えています。雄の胸背部は黒い色をしていて、腹背は黒く太い縦条に見えます。その両脇は黄色く見えます。 雌と幼体は白地にゴマダラ模様の可愛いハエトリグモです。雌の成体は白くて美しい色をしています。この特徴がメスジロハエトリの名前の由来になっているようです。成体になるまでは雄と雌は同じ体色をしているので、雌雄の判別は難しいです。白い色の雌と幼体は可愛くて美しく見えます。雌と幼体の場合、他種との判別は容易になります。中木の枝や葉、低木の枝や葉やなど低い場所を徘徊する徘徊性のクモです。餌は他の昆虫を捕らえます。越冬は幼体で越冬します。生息している木などを見つけないと、中々見つけられないので、個体数は少ない方の種類になるのかと思います。
メスジロハエトリ.JPG
メスジロハエトリの雌です。雌は全体的に白く見える何とも言えない綺麗な白色をしています。白い地色に小さな褐色の斑紋があり、斑模様になっています。個体数が多くない種類なのか、当方が見つけることが下手なのか、なかなか見つけることができないでいます。
★チャスジハエトリ ハエトリグモ科。体長は雄は7〜11ミリ。雌は10〜12ミリ。ハエトリグモとしては大型になります。出現は5〜8月。分布は、本州、四国、九州、沖縄。関東地方以南に多い種類になります。人家や人家付近、公園のトイレなどに住んでいることが多いようです。西日本では家の中に侵入して来ることで有名なハエトリグモになっているようです。クモが嫌いな人には不快害虫の何物でもありませんが、家の中にいて小型のハエやダニ、ゴキブリの幼体、カ、チョウバエなどを捕らえてくれる利点もあります。チャスジハエトリの雄では頭胸部と腹部に1対の太い帯状の黒い縦条が明瞭に見えることが特徴的で、中央には白い縦筋が入っていて良く目立ちます。とても存在感のあるアエトリグモです。雌は地味な色合いで、雄の様に白い部分は目立ちません。全体的には淡い褐色に見えます。徘徊性のクモで小型の昆虫を捕らえます。越冬は主に幼体、亜成体で越冬するようです。似た種類にはミスジハエトリがいます。ミスジハエトリは小型になります。またミスジハエトリの雄では頭部(目の上)に赤橙色に見える部分があります。雌のミスジハエトリはチャスジハエトリの雌よりも色が薄く明るく見えます。
チャスジハエトリ雄.JPG
チャスジハエトリの雄です。自然公園のトイレの壁にいました。当方に関してはあまり見ることが無い種類になっていて、家の中では見たこともありません。
★ヨダンハエトリ ハエトリグモ科。普通種。体長は雄が7〜9ミリ。雌8〜10ミリ。出現は5〜7月。分布は北海道、本州、四国、九州。雑木林、林縁の草や落ち葉の上にいます。林のある公園などにも居ます。胸部は黒い色で、腹部には4本の赤橙色の横帯が目立つ、派手な配色のハエトリグモです。名前の由来は腹部に赤橙色の横帯が4本(4段)見えることからついたようです。雄の触肢には白い色の帯が見えますが、雄の触肢の白い帯(白帯)には、白帯のある地域とない地域のヨダンハエトリがいるそうなので、地域変異と思われます。神奈川県にいるヨダンハエトリには白い帯があります。徘徊性のクモで他の昆虫を捕らえます。越冬は亜成体で行います。雄と雌の違いは、雄の方が派手な配色をしていて、雄のヨダンハエトリの触肢には白い帯があり、頭部先端には鮮やかな赤橙色の帯(眉毛の様に見える帯)が見えます。雄の腹部は細くなっています。雌のヨダンハエトリの触肢には白い毛(白帯)が無く、腹部が太く赤橙色の4本の帯が太い帯に見える方が雌になります。雌の頭部には赤橙色の帯はありません。
ヨダンハエトリ.JPG
ヨダンハエトリです。とても美しい柄をしています。接写のためカメラを近づけると、ちょこまかと逃げ出します。もっと接近して撮影したくなる美しい配色をしたハエトリグモです。当方に関しては、なかなか見つけらない種類になっています。
★デーニッツハエトリグモ ハエトリグモ科。普通種。日本に来たドイツ人医師が命名したハエトリグモです。どおりで覚えにくい名前になっている分けです。体長は雄6〜7ミリ。雌8〜9ミリ。出現は3〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州。低地〜山地の林縁、公園の植え込みなどの草の上や低木の葉の上にいます。徘徊性で他の昆虫を捕らえ餌にします。頭胸部背面に黒斑があるハエトリグモで。雌の腹部には茶褐色や赤褐色の1対の切れ込み模様の縦条紋があります。腹部の大きなハエトリグモです。雄の腹部の斑紋は不明瞭な個体も多く、地味な茶褐色をして見えます。斑紋の形や色彩に若干の個体差があります。越冬は幼体、成体で越冬します。雄のデーニッツハエトリグモによく似た種類には、雄のウススジハエトリがいます。ネコハエトリにも似て見えますがサイズはデーニッツハエトリグモの方が大きく見えます。 
デーニッツハエトリ.JPG 
上、雌のデーニッツハエトリグモ 。ツツジの葉の上でムシヒキアブを捕獲しました。普通は小型の昆虫を捕らえるのですが、自分よりも大きな昆虫を良く捕らえたものです。ただ驚くばかりです。
ハエトリグモはクモの仲間の中では1番愛嬌がある種類だと思います。個人的にハエトリグモの仲間は見ていて飽きないので好きです。苦手意識にとらわれないで観察すると面白いと思います。
posted by クラマ at 17:18| Comment(2) | 蜘蛛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月26日

クマゼミ。現在北上中の大型のセミです。

クマゼミは日本に住んでいるセミの中では2番目に大きな体格をしているセミで、地味な色合いをした大型種のセミになります。最大種はヤエヤマクマゼミと言う種類になるようです。クマゼミの鳴き声は「シュワシュワシュワ・・・」「シャアシャアシャア・・・」「ワシワシワシ・・・」など人により違って聞こえます。1般的には上品な鳴き声に感じる人は少ないと思います。音量は大きく、群れて樹に集まり鳴いていると、やかましく感じるほどです。午前中から正午ごろまでが鳴き声のピークになります。観察地の神奈川県横浜市みなとみらいでは午前11時前にはほとんど鳴き声が聞こえなくなってきます。クマゼミの鳴く時間は気温に関係しているのでしょうか。クマゼミは樹幹の低い所にいることもあるので、ミンミンゼミ程ではないのですが、運が良いとその姿を見ることができます。セミとしては体積のある大きな体をしています。大きさ(体長)だけではなく、頭の幅と胸背の高さもある立派な体格をしています。大きくて黒っぽい体をしていることからクマゼミの名前が付いたようです。西日本では普通にいるクマゼミは関東地方ではまだ珍しい種類になると思いますが、近年のような暑い夏が続くようだと、乾燥に強い利点を生かして繁殖できる範囲を広げていくと思います。現在の北限は数は少ないものの、なんと福島県になるようです。クマゼミを調べてみました。
★クマゼミ セミ科。日本特産種の大型のセミです。体長40〜48ミリ(翅端までの長さは60〜70ミリ。)体は光沢があり黒っぽく見えます。黄白色の微毛が生えていますが、個体が古くなると微毛は脱落して、地色の黒色が目立って、より黒い体色に見えてきます。体長ではアブラゼミに近いのですが、頭部はクマゼミの方がはるかに幅があり、全体的にも幅があり大きく見えます。体積のある体つきは他のセミと違って見えます。翅は透き通っていますが、翅の基部は黒色で翅脈の基部では黄緑色をしています。腹部(尾端)よりもはるかに長い翅をもっています。雌は鋭い産卵管を持っていて、電話線などの光ファイバーケーブルが被害を受けることも多い様です。近年、北上をしている種類です。餌は成虫は樹の樹液を吸います。幼虫は地面に潜って樹の根などから樹液を吸います。クマゼミの分布の北上や生息範囲の拡大には、樹木の根にいた幼虫が植樹によって移動したことももあるようです。
出現は7〜9月。ピークは7〜8月になります。鳴き声は人によって聞こえ方は違ってくるのですが、大きな声で「シュワシュワシュワ・・・」と聞こえる鳴き声を出します。分布は本州(北限は東北地方の福島県で確認されています)、四国、九州、沖縄。温暖な地域の平地に多い南方系のセミです。主に広葉樹に発生します。見かける場所は街路樹、自然公園、樹林などに多く、神奈川県ではミンミンゼミと共にクマゼミの都市部への進出が目立ってきています。乾燥した地域や明るく開けた場所も好みます。温暖化や高温に強い種類になっています。クマゼミは枯れ木に産卵する習性があります。幼虫の期間は4〜5年のようです。越冬は卵と幼虫で越冬します。
クマゼミと言うと、昔は大変珍しい種類でしたが、現在は普通にいるセミになりました。神奈川県では多い地域と少ない地域があります。神奈川県海老名市では30年ほど前から鳴き声は聞こえていました。飛翔力が強いともいわれていますが、どの程度の距離を飛ぶのか(移動距離)は分かっていません。クマゼミが繁殖地から飛んできたことによるようです。神奈川県でも温暖な地域(三浦半島や大磯、湘南のような海沿い)でないと繁殖はできなかったようです。最近ではクマゼミの抜け殻が見つかった地域(藤沢市、横浜市、横須賀市、茅ヶ崎市、平塚市、大和市など)は広いようです。
クマゼミ1.JPGクマゼミ2.JPG
クマゼミです。上、横幅がありガッチリとした体格をしたセミです。撮影地は神奈川県横浜市みなとみらいです。今年はアブラゼミが少なく、鳴き声からするとクマゼミが数を増やしています。クマゼミ、ミンミンゼミが増えて、アブラゼミが少なくなったと思います。アブラゼミも乾燥に強い種類なのですが、クマゼミの繁殖力が勝っているのでしょうか。セミは鳴き声を手掛かりに探すと見つけやすいので、クマゼミの場合、午前中、10時頃までが見つけやすい時間帯になります。しかも午前中だと樹の低い場所にとまっていることもあります。鳴き声は午前中はクマゼミ、午後からはアブラゼミが多く鳴きだします。以前、午後に来た時にはクマゼミの声は聞こえなかったので(たまたまかも知れませんが)このようにたくさんのクマゼミがいることに気が付きませんでした。ミンミンゼミも午前中は樹の低い場所にいるので見つけやすいです。下、クマゼミを横位置にして少し拡大した写真です。翅は基部側の黄緑色が綺麗です。黒い迫力のある体色もカッコ良いのですが、まだ新しい微毛の生えている成虫も魅力的です。アブラゼミやミンミンゼミと違い、クマゼミの頭部には横幅があります。他のセミとは体格も違うのですが、この頭の形が特徴になっています。
セミは女性には嫌われがちな昆虫になりますが、夏の風物詩としてのセミの鳴き声も悪くはないと思います。色々な種類のセミの鳴き声を探すことも面白いと思います。
posted by クラマ at 22:00| Comment(0) | 昆虫・セミ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月12日

毒のある毛虫(ガの幼虫)7種類。ドクガ科(カシワマイマイ、モンシロドクガ、ヒメシロモンドクガ)、カレハガ科(タケカレハ)、イラガ科(ヒロヘリアオイラガ)、マダラガ科(ホタルガ)、ヒトリガ科(ヨツボシホソバもしくはウンナンヨツボシホソバ)の幼虫を見つけました。皮膚炎を起こす刺されたら危険なケムシ達です。毒の無いスジモンヒトリ、クワゴマダラヒトリ(ヒトリガ科)も見つけました。

1般的には毒を持っているガをドクガと総称的に呼んでいます。毒を持っている種類のガには通称ケムシと呼ばれる長い毛が生えているものや、イモムシのような体に刺の生えている種類、体内に毒がある種類、成虫(ガ)に毒がある種類 などがいます。毒のある部位は毛や刺に多く、危険回避には全身に毛や棘を生やしたイモムシ、ケムシには触らないようにすることです。幼虫などに毛や刺があることが、毒を持っている種類に多い特徴になるからです。毒のある部位は種類によって違っています。幼虫の毛の先や刺、成虫の毒毛など種類によって違ってきます。毒性の強い種類もいるので、かぶれたり、腫れたりなど、ひどい目にあう前に知っていた方が得だと言えます。もちろん、庭仕事などでうっかり触ってしまったり、風で飛んできた毒毛(毒針毛と呼びます)にやられることもあります。毒性の弱い種類でも、人によって症状が悪化することも知られています。かぶれて痒いのも痛いのも避けられるものなら避けたいものです。撮影できた、刺されたら皮膚炎などを起こす危険なガの幼虫8種類を紹介します。ケムシ、イモムシの画像になるので、ケムシやイモムシ類が苦手な人でも、危険を避けると言う意味で、参考にして見ていただけると良いと思っています。
ドクガによって起こる皮膚の炎症や腫れは、毒蛾皮膚炎と呼ばれます。毒性が強いドクガにはチャドクガ、モンシロドクガが有名です。ドクガ類には毒のある毛(毒針毛)があって、皮膚に刺さると10日近くも激しい痒みが続くこともあります。腫れた場所には赤く小さなブツブツ(丘疹)ができて痒みが強い特徴があります。チャドクガの毒は最悪で、洗濯しても毒毛が服に残っていて、他の場所に新たな皮膚炎を起こすこともあります。危険な昆虫なので知っていた方が良いです。当方は年1〜2回ほど、服に隠れている部位でチャドクガが原因と思われる症状を発症しています。野外で観察していて服に毒毛が刺さっている状態で洗濯したものが肌着について皮膚炎が起こっているようです。1か月程も続く激しい痒みには毎年悩まされているので、直接の被害など考えたくもありません。毒性の弱い種類でも10日程は炎症に悩まされてしまいます。被害にあわないことが何よりです。毒蛾(ドクガ)と単に呼ぶ場合はドクガ科の総称として呼ばれることが多く、症状は、ドクガ科やカレハガ科などの毒針毛による毒の場合は皮膚の痒みが主な症状になり、イラガ科の場合は激しい痛みが症状になります。ヒトリガ科のヨツボシホソバとウンナンヨツボシホソバは交接器を確認しないと外見上では判別できない種類で、従来ヨツボシホソバと呼ばれていた種類が2種に分かれました。
幼虫がいかにも危険に見えるケムクジャラな幼虫、スジモンヒトリ(ヒトリガ科)は見た目と違って無毒なケムシです。必ずしもトゲトゲ、ケムクジャラの幼虫が毒を持っているという訳ではありません。ドクガ科のキアシドクガと言うガも成虫、幼虫共に毒はありません。実際には毒のある種類はそんなに多くはいません。スジモンヒトリの幼虫の様に毛で覆われていたり、棘がある種類がすべて毒を持っているのではないのです。ただ危険な種類と判別ができない場合は、決して触らないことが良いと思います。毒がないと言われる種類でも、体質により皮膚炎を起こすことがあるからです。幼虫に毒がありそうで毒の無いスジモンヒトリも紹介します。スジモンヒトリは当ブログ「キハラゴマダラヒトリ、アカハラゴマダラヒトリ、スジモンヒトリ。大変よく似たで白い翅に黒斑のあるガです。」で紹介しているので、似た成虫との比較の参考にしてみてください。
新しく危険なケムシ(毒のあるガの幼虫)の写真が取れたら追加していく予定です。
・ドクガ科。名前からして危険な種類ですね。ドクガ科はその名の通り、成虫、幼虫共に毒を持った種類がいます。ドクガ科の幼虫は、長い毛を持つ毛虫(ケムシ)が多い特徴があります。ドクガ科としては、幼虫が毒々しく見えても毒を持たない種類が多いです。
★カシワマイマイ ドクガ科。年1回の発生。成虫の出現期は7〜8月で成虫には色彩や斑紋の変異が多い。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。幼虫は様々な広葉樹の葉を食べます。幼虫の頭部と尾部に長い棘のように見えるものがありますが、これは毛の束でできています。この毛の様子が、カシワマイマイの幼虫の特徴になっています。毛束は前(頭部側)に1対(2本)、後ろ(尾部)に3対(6本)が長く飛び出て見えています。越冬は卵で越冬します。幼虫は若齢から若い幼虫はオレンジ色が見えますが、終齢になると地味な灰褐色や灰色になっていきます。体色には個体差があり、雰囲気の違う幼虫も多いです。かぶれたり、腫れたりする原因になる毛に毒があるのはマイマイガ同様、孵化したての1齢幼虫で2齢幼虫からは毒針毛はありません。成虫にも毒はありませんが、皮膚の弱い人ではかぶれたり腫れることがあるかも知れません。毒性は幼虫の見た目よりもはるかに弱く、ドクガ科としては危険度は少ない種類です。カシワマイマイも同じドクガ科のマイマイガと同様に大発生することがあるようです。
カシワマイマイ幼虫ドクガ科.JPG
上、カシワマイマイの幼虫です。尾部の毛束が見えにくくなっています。この写真のよう尾部の毛束が3対に見えないこともあります。幼虫はケムクジャラで見るからに危険そうな容姿をしていますが、見た目よりは危険度は低い種類です。若齢幼虫(1齢)には毒針毛があり、皮膚の弱い方など、人により痒みや腫れたりかぶれたりすることがあります。この写真の幼虫は4齢の幼虫だと思います。
★モンシロドクガ ドクガ科。別名クワノキケムシ。幼虫には2つの型があり、色彩により、黒色型と黄色型に分けられます。餌として食べる樹種により体色に違いが出るようです。発生は年2〜3回で越冬は幼虫で越冬します。毒は繭、卵、幼虫、成虫すべてにある危険な種類です。分布は北海道、本州、四国、九州。神奈川県では黒に橙黄色が目立つ配色(黒色型)の幼虫を見ます。黄色型は関西以南に多くいて、地色が黄色で黒い部分が少ない目立つ配色になっているようです。
落葉広葉樹の葉、花、幼果を食害します。サクラ、ウメ、クリなどの被害が出ます。ヤナギ類やカンバ類に多く発生するようです。成虫は白い色をしていてアメリカシロヒトリに似ていますが、モンシロドクガの胸部や脚には長い毛が密生しています。成虫には黒い斑紋が2個ありますが、個体差により斑紋が無い事もあります。モンシロドクガは危険なドクガです。症状は赤くかぶれて、痒みを伴う腫れがあります。すぐに赤く腫れてくる場合や2日程立ってから腫れてくる場合など、人によって症状や現れ方は違ってきます。ドクガ類の典型的な症状がでます。毒針毛の毒性は強く、ひどい痒みの症状が10日程続くこともあります。
モンシロドクガ幼虫.JPG
上、モンシロドクガの幼虫です。関東にいるモンシロドクガの幼虫はこのように、黒地に橙黄色や橙色の色彩が多いです。北方に行くと体色が黒く見える黒色型になるようです。
★ヒメシロモンドクガ ドクガ科。 別名ツノケムシ。発生は年3回。幼虫は派手な色彩をしていて、黒い体に橙色や黄色の帯が両脇にあります。幼虫の色彩には個体差が多くあります。幼虫は独特な姿をしていて、毛束が角に見えたりと不気味な毒々しいケムシです。北海道では年2回の発生をします。越冬は1〜2齢幼虫と卵で越冬します。分布は北海道、本州、四国、九州。様々な広葉樹の葉を餌にします。幼虫には毒針毛はありませんが、触ると軽い皮膚炎をおこします。毒性は弱いものの皮膚が弱い人は、赤くなるなどのかぶれが出ますが、1時間程で収まるようです。橙色や黄色と黒の配色をしたガですが、幼虫の色彩には個体変異がありますが、ヒメシロモンドクガの幼虫は綺麗な配色をしています。目立つ色をした警戒色になっているようです。頭部におは2本の角のように見える毛束が生えていて、背面にはブラシ上の毛束が4個並んでいます。この毛束の色は白いのですが、終齢になると茶色を帯びてくるものがあります。毒性は極めて弱い種類でも、少し奇妙な姿のケムシなので触ろうと思われる人は少ないと思います。成虫は雄と雌で色が違います。雌は白っぽいです。顔の周りと胸部、脚は長い毛でフサフサしていて可愛く見えるガです。成虫、幼虫ともに毛深いガです。ヒメシロモンドクガの幼虫に似ている種類に、アカモンドクガの幼虫がいます。アカモンドクガの幼虫の橙色の帯の上には白い毛束があることで両種の区別ができるそうです。
ヒメシロモンドクガ.JPGヒメシロモンドクガ2.JPG
モンシロドクガの幼虫です。体色には色彩の変異が多いです。いかにも危険な容姿をしていますが毒針毛はなく、刺さないケムシなのですが、弱毒があるようで軽い発疹やかぶれが起こります。上は黒っぽい地色をしていて、背中の毛束も黒っぽく見えます。下はよく見る配色の幼虫です。もっと派手な配色をした幼虫もいます。モンシロドクガの幼虫は色よりも姿形で覚えておくと良いと思います。
・ドクガ科のマイマイガとヒトリガ科のクワゴマダラヒトリの幼虫は良く似ています。クワゴマダラヒトリは下のヒトリガ科で紹介していますが、マイマイガの幼虫と良く似ています。良く似た種類の違いとして調べてみました。写真はないのですが記しておきます。
★マイマイガ ドクガ科。マイマイガの幼虫は別名ブランコケムシと呼ばれます。マイマイガは大発生することで知られています。マイマイガは約10年を周期に大発生して、その大発生の時期は2〜3年程続きます。成虫、幼虫共に皮膚炎の原因になっています。特に幼虫での被害が知られています。毒針毛があるのは孵化したての1齢幼虫で2齢幼虫からは毒針毛はありません。ドクガとしては毒性が弱いものの、人により成虫でもかぶれることがあります。樹の幹や建物の壁などに好んで産み付けられる卵塊も危険です。手で触らないことが無難です。産み付けられた卵塊には成虫の鱗毛が含まれていてかぶれることがあります。症状はかぶれる、赤く腫れるなどです。成虫の鱗粉でも腫れる人がいます。幼虫は様々な広葉樹の葉を食べます。発生は年1回で、卵塊の中で卵で越冬します。孵化は4月頃で、このころが1番危険な時期になります。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。幼虫の背中には2列に並ぶ丸い斑紋があります。斑紋の色や地色には個体差があります。頭部には八の字に見える黒い斑紋があります。成虫の羽化は7〜8月で雄は日中に良く飛ぶ習性があります。幼虫の写真なし。
・イラガ科。刺された時の症状はどの種でも似ていますが、ヒロヘリアオイラガの場合は繭にも毒があります。他のイラガの仲間の繭には毒がありません。イラガ類は刺のあるタイプの幼虫で、刺されるととても痛く、電気が走ったような痛みと表現される特徴がある危険な種類です。
★ヒロヘリアオイラガ イラガ科。外来種。原産地は南アジア、東南アジア、中国で樹木について侵入したようです。侵入は1921年(発見)のようです。成虫は明るい緑色と茶色の2色をした綺麗なガです。 発生は年2回(4〜6月、8〜10月)。越冬は硬い繭の中で蛹で越冬します。分布は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄。温暖化により分布は北上中です。果樹農園、街路樹、庭木、公園などに発生します。幼虫は様々な樹木やカキ(カキノキ科)やウメ(バラ科)などの果樹にも発生する害虫にもなっています。発生は特にバラ科(バラ、サクラ、ナシ、ウメ等)に多い種類になるようです。幼虫は黄緑色をしていて、全身には鋭い棘が密生しています。若い幼虫は集団(群生)で行動します。終齢幼虫の棘にオレンジ色の部分が見えます。この1対に見えるオレンジ色の棘を持っていることが特徴にもなっています。似た種類にアオイラガがいて、アオイラガに幼虫も成虫も良く似ています。幼虫ではアオイラガの方が背中の中央に見える青い帯が鮮やかではっきりしています。ヒロヘリアオイラガの幼虫ではこの帯の部分は青色が無く、あってもアオイラガの幼虫の様にはっきりとした青い帯になっていないで、青や黒っぽい小さな斑紋が並んで見えます。成虫ではアオイラガの方が緑色の部分が広く茶色の部分は幅が狭いです。ヒロヘリアオイラガの成虫は翅端にある茶色の部分が広いです。ヒロヘリアオイラガの繭は黄の幹の窪みや根際などに作られます。イラガ類に刺されると電気が走ったような激痛があり、腫れてしまうことが特徴です。幼虫の持つ毒は背面に並んでいる刺にあり、毒は注射器のような仕組みで注入される仕組みになっています。尾部の脇に見える黒い部分は毒針毛で、この部位にも毒があります。ヒロヘリアオイラガの成虫には毒毛はないのですが、繭には幼虫の毒針(毒針毛)がついていて、皮膚炎を起こします。繭にも触らないようにしないといけません。ヒロヘリアオイラガの幼虫は他のイラガ類と違い、2種類の毒を持った危険種になるのです。死んだ幼虫では毒液の注入はありません。
ヒロヘリアオイラガ4齢.JPGヒロヘリアオイラガ終齢幼虫イラガ科.JPG
ヒロヘリアオイラガの幼虫です。上は4齢、ヒタが終齢幼虫です。比べて見ると棘の雰囲気が違っています。下はカキの木の下にあった石垣で見つけました。風の強かった翌日に見つけたので、葉っぱごと落ちたのかも知れません。終齢幼虫は全身が緑色で、見事な棘で覆われています。イラガ類の幼虫はどの種も危険なので、似た形の幼虫を見たら注意です。
・カレハガ科。この仲間はオビカレハ以外の幼虫に毒針毛があり毒をもっています。カレハガ科の幼虫は危険なケムシになります。
★タケカレハ カレハガ科。成虫はアカイラガに似ていますが、はるかに大型です。前翅中央に2個の白い斑紋があります。タケカレハの幼虫は名前に付いているようにイネ科のタケ、ササ、ススキ等の葉を餌にします。成虫はあまり見ることがありませんが、幼虫は体長60ミリ程で大きく、普通に見られるので数は多いと思います。幼虫には長い毛が全身に生えています。色彩には黄褐色、褐色、黄色味の強い個体、色彩の混ざって見える場合や、背面に並んでいる斑紋の色にも個体差があり、黒褐色の斑紋が目立つ個体など様々で、多くの個体差があることから色での判別は難しくなります。発生は6〜7月。9〜10月の年2回で、越冬は幼虫で越冬します。分布は北海道、本州、四国、九州。幼虫には多数の毒針毛があり、刺さってしまうと掻いたりした場合、より強い痒みを生じるようです。症状は発赤と小丘疹を起こし、激しい痒みを伴います。繭にも毒針毛が含まれています。症状は5〜10日程続きます。当方、毒針毛に触れてから2時間後位から腫れてきて、発赤部が徐々に広がっていきました。赤く腫れて痒みが強い症状が10日程続きました。刺されてすぐに水道で刺激しないように静かに洗い流して、家に帰ってからテープで刺された場所の近くをはってはがすなどしました。この方法で少しは楽になったのではないのかと思っています(薬は使用しました)。タケカレハの成虫には毒毛はありません。
カレハガ科タケカレハ.JPG
上はタケカレハの幼虫です。幼虫の色彩には変異が多いので、この写真1枚ではあまり参考にならないかも知れません。見た目で危険なガの幼虫として覚えておくと良いと思います。
・マダラガ科。マダラガ科の幼虫は太くて短い形をしていて、軟毛が生えています。毒針毛のある種類と体内(体液)に毒を持った種類がいます。毒針毛のある種類では激しいい痛みと痒みを伴うようです。
★ホタルガ マダラガ科。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。年2回の発生。幼虫の毛には毒がありませんが、幼虫の出す分泌物に毒があり、皮膚炎をおこします。軽い発赤と痒みが2日程続きます。ホタルガは当ブログ「ホタルガ、毒がある赤い顔の蛾です。」でも紹介しています。ホタルガは都市部のツバキ科のヒサカキやサカキなどの植え込みなどにも多いガなので、見る機会は多いと思います。ホタルガの幼虫はツヤのある太くて短いカマボコ型をしていて、黄色いラインが目立っています。ホタルガは昼行性ですが、夜間、灯火にも集まります。飛び方が特徴的でヒラヒラと飛びます。成虫の翅には黒地に白い帯が入っています。良く似た種類にシロシタホタルガがいます。
ホタルガ幼虫.JPG
上、ホタルガの幼虫です。幼虫の出す分泌物に毒があるので、触らなければ大丈夫です。ホタルガの幼虫は個性的なズングリとしたカマボコ型をしています。幼虫の不思議な色合いが魅力的です。
・ヒトリガ科。この仲間の1部の種類にも毒を持った幼虫がいます。
★ヨツボシホソバ ヒトリガ科コケガ亜科。ヨツボシホソバの雌の前翅には4個の黒斑があることが名前の由来になっています。翅を閉じていると黒斑は3個に見えます。姿は扁平でゴキブリを思わせる形をしています。発生は年2回。現在ではヨツボシホソバは2種類(ヨツボシホソバとウンナンヨツボシホソバ)に分けられたようです。ヨツボシホソバとウンナンヨツボシホソバの成虫、幼虫は大変良く似ていて判別は難しく、正確な判別は交接器を見ないと分からないそうです。幼虫は体長30ミリ程です。長い毛が生えていて全体的な色合いは灰褐色に見えますが、黒色、白、赤橙色が混ざっています。幼虫には毒針毛があります。餌は樹皮などに生えた地衣類を食べます。成虫の雄と雌では別種化と思う位に違って見えます。マエグロホソバにも良く似ていて、違いは翅脈を比べて調べないと判別が難しい厄介な種類になります。分布は北海道、本州、四国、九州、屋久島。関東地方ではウンナンヨツボシホソバの方が多いそうです。幼虫の毒針毛による皮膚炎の症状は、激しい痛みと痒みを伴う発赤と丘疹で、症状が7〜10日程続くそうです。
ヨツボシホソバ幼虫(ヒトリガ科).JPG
上、ヨツボシホソバかウンナンヨツボシホソバの幼虫。関東地方にはウンナンヨツボシホソバが多いそうなので、ウンナンヨツボシホソバの方が確率が高いのかも知れません。外見では判別不可能な種類になります。どちらにせよ、皮膚炎を起こすガの幼虫として注意した方が良いです。等ブログでは交接器までは調べないので、ヨツボシホソバかウンナンヨツボシホソバのどちらかと言うことで紹介させていいただきます。
・ヒトリガ科のスジモンヒトリの幼虫とクワゴマダラヒトリの幼虫は、長い毛を密生させていて、見るからに皮膚炎を起こしそうに見える種類なのですが、なんと無毒の種類になります。紛らわしい種類になると思いますので紹介することにしました。
★クワゴマダラヒトリ ヒトリガ科。柑橘類、クリ、カキ、モモ、ナシ、ウメ、クワなどの果樹園で発生する果樹を食害する害虫になっています。名前はクワでの発生が多いことからついた名前のようです。この他幅広い広葉樹で発生します。幼虫は糸を張り、3齢までは集団で行動しています。4齢になると徐々に単独で行動するようになります。発生は年1回で、越冬は幼虫で越冬します。分布は北海道、本州、四国、九州、屋久島。毒性はないものの似た幼虫に毒のあるマイマイガがいます。最も毒があるマイマイガも1齢幼虫に毒があるので、危険度は低いです。
クワゴマダラヒトリ終齢(5齢).JPG
上、クワゴマダラヒトリ(ヒトリガ科)の幼虫で5齢幼虫です。マイマイガの幼虫と良く似ています。違いはクワゴマダラヒトリの幼虫の場合、背中の中央部に白い斑紋が破線状に続いていて、各節には茶色や茶褐色の紋があります。写真の幼虫はコナラの葉にいましたがすぐ脇にクワの樹が生えていました。もっとも食性は広くコナラも餌にします。いかにも危険なケムシに見えますが、毒はありません。
★スジモンヒトリ ヒトリガ科。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。普通種で出現は4〜6月。7〜9月の年2回の発生。越冬はヒトリガ科なので幼虫で越冬するようです。開帳は35〜45ミリで淡い黄色や白い地色に前翅後端に黒い斑紋が並んでいます。この斑紋の形等には個体変異があります。胸背にはフサフサ、モコモコの毛がたくさん生えています。亜種の多いガです。成虫には似たガが多く判別は難しいです。成虫は灯火に良く飛来します。幼虫の食性は広くクワ科を主に、ニレ科、バラ科、マメ科などを餌にします。幼虫はダイズ、インゲンマメの害虫になっています。幼虫の姿は太くてケムクジャラ。体長は40〜50ミリ程もあります。特徴は驚くほど移動速度が速い(脚の早い)ケムシです。地面にいる幼虫は危険を感じると猛ダッシュで逃げ出します。樹の小枝などでつつくと丸まって動かなくなります。幼虫の擬死なのでしょうか。トゲトゲした丸い形になってしまいます。スジモンヒトリの幼虫は体色に変異が多く、茶色や茶褐色、黒褐色の個体が多いのですが、黄色っぽい個体までいます。スジモンヒトリの幼虫は、いかにもケムシと言った代表的な姿をしていて、実に毒々しく危険に見えます。意外なことに姿に反して毒毛は持っていませんので、刺されることはありません。危険な種類に思わせる生存方法なのだと思います。この姿を見て触ろうとしたり、鳥等が危険な種類と思いこみ、食べようとは思わないでしょう。
ヒトリガ科スジモンヒトリ.JPG
上、スジモンヒトリの幼虫です。全身長い毛で覆われていて、迫力のあるいかにも毒のあるケムシに見えますが、スジモンヒトリの幼虫は毒が無いケムシです。普通はこの姿を見たら触る気にはならないと思います。ケムシ1般に言えることですが、興味があっても毒のある似た種類もいることから、判別ができない限り触らない方が無難です。個体差があるので、色が似ている個体のスジモンヒトリの幼虫と、シロヒトリの幼虫はよく似ていて区別が難しいです。
毒性の強いチャドクガの幼虫などの写真が撮れたら追加したいと思っています。
posted by クラマ at 16:57| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする