2018年06月11日

クロメンガタスズメ。ドクロガの別名を持つドクロに見える模様のあるガです。

クロメンガタスズメを初めて見つけました。名前の由来は胸背に見えるドクロや人面に見える斑紋を「面型」となぞらえてついた名前になるようです。このドクロや人面にも見える斑紋があることから、髑髏蛾の別名も持っています。このドクロのように見えるスズメガ科のメンガタスズメ属は3種類いて、うち2種類は日本に生息しています。見つけたのは灯火に飛来したもので、日付は6月6日。発見したのはクロメンガタスズメの方です。このガの容姿はアブラゼミに似て見えるので、いくら何でもアブラゼミの発生には早すぎると思い近づいてみると、胸背部分にドクロに似た斑紋が見えました。大きいうえにドクロや人面に見える斑紋があるガは、日本にはメンガタスズメとクロメンガタスズメの2種類がいます。ヨーロッパにはヨーロッパメンガタスズメと言うのがいます。この3種はどれも良く似ています。1度も見たことが無かったガなので見たかった種類になります。日本にいるメンガタスズメとクロメンガタスズメは非常に良く似た種類なので、ちょっと見ただけでは分かりません。しかしすごい迫力です。大きさとドクロや人面のように見える斑紋のインパクトは強いです。映画「羊たちの沈黙」を見てから、見て見たいなと思っていたガです。もちろん、映画に出ていたガは日本産ではなく、ヨーロッパ産のヨーロッパメンガタスズメになります。映画のポスターのガの背面に見えるドクロに見える白い斑紋の部分は、映画用に加工してあって不気味さを増しています。実際に見て見ると、日本産もなかなかのものです。黒く見える体色にドクロ模様、大きさも迫力のあるスズメガ科の大型のガです。クロメンガタスズメはもとは南方系のガで、本来九州以南に生息していた種類なのですが、温暖化に伴い北上してきた種類です。千葉県や神奈川県での発見例があり、やっと見ることができたガになります。個体数は少なく、大発生の事例は無いようです。ただし、幼虫は120ミリに達する大型になることから、1匹でも餌として食べる量が多い大食漢なので、野菜などに発生すると被害がでるようです。このクロメンガタスズメの幼虫は食性が広く、かなりの種類の植物を餌として繁殖することができます。さらに飛翔力もスズメガ科のガなので、その飛翔能力も高いようです。それゆえ繁殖した地域からさらに移動して行くことが考えられます。数は少ない種類なのですが、現在では福島県や新潟県でも確認されています。この確認された個体が本州北部にも達しようとしていることは、食性(餌とする植物)の広さと飛翔性の高さ(移動距離)、温暖化に伴う繁殖可能な地域が広がっていると言う事からなのでしょう。個体数が少ない種類ながら、今後は目にすることが多くなる種類になっていきそうです。クロメンガタスズメの幼虫が餌とする種類は、ナス科、マメ科、ゴマ科、アサ科、キク科、モクセイ科など幅広く食べるようです。ナス、ピーマン、トマト、ジャガイモ、ゴマ、タバコなど農業に被害を与える害虫としても知られてきています。ノウゼンカツラ、ヒマワリ、キダチチョウセンアサガオ(エンゼル・トランペット)、チョウセンアサガオ(ダチュラ)など花壇等の園芸植物も被害にあいます。チョウセンアサガオだけではなく、キダチチョウセンアサガオも「エンゼル・トランペット」と呼ばれるナス科の強毒を持つ毒草としても有名ですが、クロメンガタスズメの幼虫には毒が効かないようです。害虫としては幼虫だけでなく成虫は餌として、養蜂場のミツバチの蜂蜜を盗むことも知られています。クロメンガタスズメは神奈川県にも生息している種類なのですが、こちらは見たことがありません。比較して見て見たい種類です。両種の違いは分かりにくく調べてみたら、ドクロに見える斑紋の部分と後翅の斑紋、腹部背面に出るようです。後翅の斑紋と腹部背面を調べるには捕獲して見ないと難しいです。胸部背面の模様では個体差が出ることから不確実になるので、見慣れている方は別としても正確な判別は難しいです。ヨーロッパメンガタスズメは不幸を呼ぶガとして、不吉なガとして嫌われているようですが、日本では話題になっていませんでした。これからは成虫の容姿よりも、幼虫の太くて巨大なイモムシを見る機会が増えることで、有名になるかも知れません。映画を見た人も、映画「羊たちの沈黙」の中で、口の中に突っ込んであった奴と言うと、トラウマになっていて見たくないという人もいるかもしれません。成虫、幼虫共にインパクトの強い昆虫です。
ドクロガの別名を持つ、ドクロやお化けのような顔に見える不気味な斑紋が特徴的なガ、クロメンガタスズメを調べてみました。
判別方として良く似たクロメンガタスズメとメンガタスズメの外見上の違いを比較してみました。
・クロメンガタスズメ ドクロに見える斑紋の下方に赤くW字に見える斑紋があり、この赤い斑紋(細い筋状になっています)の下には青白い筋状の紋があります。腹部背面の縦長の青く見る部分(藍色)が広くなっています。黒い帯はメンガタスズメよりも太くなっています。前翅の先端部は明るい色をしています。クロメンガタスズメでは後翅の2本の黒条が発達しています。後翅後面は橙黄色の地色をしています。ドクロに見える斑紋は灰色を帯びていることが多いようです。
・メンガタスズメ ドクロに見える斑紋の下方に赤くW字に見える斑紋がありません。薄い黄色に見える部分の下に青白い筋状の紋があります。腹部背面の縦長の青く見る部分(藍色)が狭く(細く)なっています。後翅の2本の黒条の幅は狭くなっています。
幼虫はどちらの種類も色に個体差があり、緑色型、褐色型、黄色型の色彩の変異があります。色での判別はできません。幼虫の違いはお尻の先にある突起(尻角)を見比べます。
・クロメンガタスズメの幼虫の尾部のある突起(尻角)の先端は強く丸まっています。 尻角全体に棘状突起が生えているそうです。
・メンガタスズメの幼虫の尾部のある突起(尻角)の先端は緩やかに曲がっているそうです。
★クロメンガタスズメ スズメガ科。開帳100〜125ミリ。大きくてがっしりとしています。翅をたたんでとまっていると色からしてもアブラゼミに似て見える容姿をしています。翅の面積があるので、大きさはアブラゼミよりもはるかに大きいです。複眼が大きなガです。出現は6〜11月。年1化と思われます。幼虫は8月まで被害を与える害虫になります。特徴的なドクロや人面に見える部分には個体差が現れるようです。分布は本州(関東地方では繁殖しています)、四国、九州、沖縄。元は九州以南にいた種類ですが、飛翔性の高さと温暖化に伴い、現在北上している種類になります。北方での確認は遠い距離を飛翔した個体もいることが考えられます。幼虫はナス科の植物を好む様ですが、食性は広食性でノウゼンカツラ(ノウゼンカツラ科)、ヒマワリ(キク科)、チョウセンアサガオ(ナス科)などの花を楽しむ植物の他、ナス科のナス、ピーマン、トマト、ミニトマト、ジャガイモ、タバコ等やゴマ科のゴマなどの農作物やクコ(ナス科)、クワ(クワ科)、キリ(キリ科)等の樹の葉も餌にするようです。毒性の強い植物も餌にするほど丈夫なようです。幼虫は同じスズメガ科の幼虫と非常に良く似ていますが、尻尾に見える突起(尾角)の先端は丸まっています。体の色には 緑色型、褐色型、黄色型の色彩の変異があることから、 尾角を確認しないと間違ってしまいます。幼虫は単独で行動しています。成虫は樹液、ミツバチの蜂蜜(盗蜜します)を食べます。成虫は「チイ、チイ・・・」と言うクリック音を発します。幼虫も危険を感じると音を出すようです。クロメンガタスズメは土に潜って蛹になります。越冬は蛹で越冬します。ただし飼育下では休眠性はないので、温度が適正だと冬場でも羽化するようです。
クロメンガタスズメ1.JPGクロメンガタスズメ2.JPGクロメンガタスズメ3.JPGクロメンガタスズメ4裏面.JPGクロメンガタスズメ5.JPGクロメンガタスズメ6腹部.JPG
クロメンガタスズメです。3種類の中では、このクロメンガタスズメが1番好きです。胸背部に見えるドクロ顔、ガなのに声(音)を出して鳴くこと、腹部背面の青(藍色)く見える部分、不気味さがあってなかなかのものです。日本産の2種は日本では嫌われていませんが、ヨーロッパでは不幸が訪れると言われていて、嫌われているガです。上から見ると黒っぽくて地味な色をしています。
2枚目、クロメンガタスズメの腹背のドクロに見える部分の写真です。クロメンガタスズメの特徴として、赤褐色の毛が多いことがあげられます。またメンガタスズメよりもドクロに見える部分が灰色をしていることも特徴になります。この部分に見える赤色のW字に見える斑紋や眼に見える部分に個体差が現れるようです。
3枚目、前翅の先端部分は明るい色彩をしています。4枚目、裏側から見ると翅の模様と色の違いが全く違っています。腹部も翅も黄褐色の地色に黒く見える斑紋がはっきりとしています。かなり弱っていたので手の上にのせて撮影できました。5枚目、腹部の横側から見たところです。黄褐色と黒い斑紋が目立ちます。この個体は雌なのでしょうか?腹部には太さがあります。とても厚みのある体をしていることが分かると思います。脚には鋭い棘が生えています。6枚目、翅を広げて撮影しました。クロメンガタスズメの鱗粉はしっかりと翅に付いています。柔らかく手で翅を広げても鱗粉は手につきませんでした。他のガの多くは鱗粉が取れて、模様が良く分からなくなるものが多いのですが、クロメンガタスズメの場合、とても剥がれにくいことに驚きました。力強く翅をバタつかせても鱗粉が飛び散ることが無いです。発見場所は神奈川県横浜市旭区。照明に飛来したものです。飛翔性の強いスズメガの仲間なので明かりを目指して飛んできたようです。
ガは嫌われてしまう昆虫になるのですが、斑紋には個体差があるので探してみると面白そうです。個性があるので、違った顔に見える模様のクロメンガタスズメも見つけてみたくなります。現在、北上して生息域を広げているので、今までは九州以北では珍しい種類とされていましたが、今後は見つける機会が増えてくる種類になるようです。できれば良く似たメンガタスズメと比較して見たいです。当方はまだメンガタスズメも実物は見たことがありません。こちらの種類も興味の湧いてくるガです。ぜひ見つけて撮影したいです。

posted by クラマ at 17:24| Comment(0) | 蝶・蛾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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