2018年05月17日

スミレ。スミレ科のタチツボスミレ、ツボスミレ、マルバスミレ、スミレ、ヒゲコスミレ、アメリカスミレサイシンを調べてみました。身近で見ることができるスミレの仲間です。

スミレは種類が多く似たものが多いことと、変異があることで知られる種類であることから、名前を調べるとなると難しい植物になります。スミレの花は5弁花で可憐な花を春先から開花させます。春を感じることができる花になっています。スミレと言うと在来種や外来種、花壇に植えられているパンジー(3色スミレ)の仲間も含めてスミレ科スミレ属の総称として呼ばれることが多いようです。スミレは温帯の植物で日本には50種類以上があります。似ているものが多く詳しい分類は難しいです。スミレの仲間は個体変異がある植物なので、種名の特定はなおさらに難しくなります。スミレの種類を観察する前は、スミレとヒメスミレの葉の違いなど知らなかったので、今まで同じスミレだと思っていました。その他、細かく分類すると他の種類の判別も難しいことが分かりました。春先に可憐に咲くスミレの花は、日本人には小さくても好まれる花になっていると思います。人家付近や里山などでも普通に見ることができるので、春に咲く花として馴染みのある植物にもなっていると思います。身近なところで見つけることができる、タチツボスミレ、ツボスミレ、マルバスミレ、スミレ、ヒゲコスミレ、アメリカスミレサイシンの6種類を調べてみました。このうちアメリカスミレサイシンは外来種の帰化植物になります。アメリカスミレサイシンの品種等、数種類が野生化しているようです。林縁などに野生化している所を見ることが多いです。種で増えるスミレの仲間の面白い特徴に、花を開かないで種を作る閉鎖花をつけることでも知られています。花を開かないで種を作る仕組みです。閉鎖花の場合、100%に近い確率で種を作ることができます。昆虫の媒介を必要としない方法なので、効率的と言うことができます。スミレはこの2つの方法で種を作ることで、繁殖率を高めているのです。スミレは交雑し易い種類で、変種や地域による個体差などが多い種類になっています。今後、園芸品種が逃げだして、さらに野生のスミレと交雑していくことも考えられます。
★タチツボスミレ 別名ヤブスミレ。スミレ科の多年草。草丈は5〜30センチ程。タチツボスミレは名前のように花の咲いた後は、茎を立ち上がらせていきます。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。日当たりの良い低地から山地に生育しています。タチツボスミレは大変丈夫で適応力も強く、林縁、道端、草原、畑地、公園、人家付近などどこでも最も普通に見られる普通種のスミレになります。分布も個体数も多い日本を代表するスミレになっています。タチツボスミレの仲間は非常に多く、似た種類の分類は難しいです。花期は3〜5月。花の色は薄紫色ですが、花色には濃淡の変異が多いことが知られています。色自体にも変異があるようです。花の側弁には突起毛(白い毛のように見えるもの)がありません。花の距は紫色をしています。花の直径は2センチ前後。花は薄紫色で唇弁には紫色の筋が見えます。葉の形は丸味のある心形(ハート形)をしています。春先の花は根元から出ているように見えますが、この後に茎が伸びあがっていきます。非常に良く似ている種類にナガバタチツボスミレと言うのがあって、こちらは葉の葉脈が紫色をしています。
タチツボスミレ.JPGタチツボスミレ花.JPG
上、タチツボスミレです。花が咲いている頃は立ち上がらない姿をしています。下、花の拡大です。タチツボスミレはどこにでも見られる普通種で、最も馴染みのあるスミレになると思います。
★ツボスミレ 別名ニョイスミレ。スミレ科の多年草。草丈は5〜25センチ程で多くは群生しています。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地の湿地の脇や湿り気のある草原や林縁、林内などに生育している普通種です。花は白くて直径1センチ前後と小型で、草原ではあまり目立ちません。花弁の中心部には紫色の筋が見えます。紫色の筋の濃さには個体差があります。ツボスミレは個体差の多い種類になります。花の側弁には白い毛(突起毛)があります。葉の形は丸みのある心形(ハート形)。花期は4〜5月で開花は他のスミレよりも遅くなります。春先の葉は根生ですが茎が伸びてくると茎からも葉が付きます。茎は弱く、垂れ下がっていることが多いです。当方の観察エリアではタチツボスミレの次によく見る種類になります。
ツボスミレ1.JPGツボスミレ葉.JPG
上2枚ツボスミレです。ツボスミレは湿り気を好むスミレで、日当たりの良い草原よりも林縁や湿地の周りを探すと見つかると思います。他のスミレよりも花は小さいので見栄えは劣ってしまいます。ツボスミレの花はは群生して咲いていないとあまり目立ちません。
ツボスミレ花1.JPGツボスミレ花2.JPG
上がツボスミレの花です。下は拡大したものです。
★マルバスミレ スミレ科の多年草。分布は本州、四国、九州。太平洋側の内陸部に多い種類で、西日本には少ない種類になるようです。水はけの良い環境を好むようです。マルバスミレは、日の当たる場所から半日陰の林縁や斜面に多く生えています。マルバスミレは名前にあるように葉の形は丸みが強い特徴があります。花の形も丸みのある輪郭をした花を咲かせます。花期は3月下旬〜5月。花の色は白ですが、稀に個体差で淡い紫や紅色を帯びたものもあるようです。唇弁には薄い紫色の筋が入っています。花が咲いていると、花の直径が2センチ前後と大きいので良く目立ちます。丸く厚みを感じる葉には、表面、裏面ともに微毛が生えています。葉柄は長めでしっかりとしています。花の咲く時期は草丈が2〜4センチほどで低いのですが、花が終わると草丈は8センチ前後程になります。マルバスミレは群生しています。マルバスミレは日本のレッドデータによると山形県、京都府、長崎県で絶滅危惧T類。富山県、福井県で絶滅危惧U類。鹿児島県で準絶滅危惧種になっています。
マルバスミレ.JPGマルバスミレ花.JPG
マルバスミレです。花も植物体もしっかりとして見えます。神奈川県の観察エリアでは桜の花の開花がマルバスミレの花の時期を教えてくれます。林縁に多い種類なので今後数を減らしていくと思われます。観察エリアにしている自然の残ってい2か所の公園で観察ができました。そのうちの1ヵ所、こども自然公園内では2か所で見つけていましたが、沢山群生していた場所では絶滅してしまいました。スミレは単なる雑草の1種の存在のようです。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。ひっそりと生き残っているので、気が付く人は少ないと思います。下、マルバスミレの花は花弁に厚みを感じます。丸味のある白い花は綺麗です。
★スミレ 別名ホンスミレ。総称ではなくスミレ科の1種としての名前です。スミレ科の多年草で草丈は10センチ前後程。無茎種で葉柄に翼があります。よく似たヒメスミレには翼がありません。側弁には毛が見えます。このスミレは総称ではなくこの種類の名前になりますが、スミレの呼び名は総称としても使われています。。1般的にはまとめてスミレと呼ばれていることが多いです。葉柄が長めで葉の形は矢じりを思わせる先の丸い長い披針形をしています。山間部から都市部の道路脇にも生育しています。時にアスファルトの隙間から可憐な鮮やかな紫色の花を咲かせていて、驚かされることがあります。花期は3〜5月。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地に生育していますが、道路脇や庭の隅などで見ることができます。アスファルトの隙間から花を咲かせているものもあります。花の色は濃い紫色で側弁には白い毛(突起毛)が生えています。距も濃い紫色をしています。葉はヘラ型をしていて、葉柄に翼があることで、似ているヒメスミレと見分けることができます。葉柄の違いが分からないとスミレもヒメスミレも同じに見えてしまいます。ヒメスミレの距は白っぽく見えます。個人的には探すのが困難になってきている種類です。以前はアスファルトの隙間などから濃紫色の花を咲かせているものを見ることもありましたが、探すことが難しい種類になってきています。数が減ってきている種類になると思います。
スミレ花と葉.JPGスミレ花1.JPGスミレ花2.JPG
スミレの花です。菫色と呼ばれる花の色には環境によっても濃淡が出るようです。上の花の写真(横向きの花)では蕚の基部が褐色に見えています。葉柄には翼があり、葉の裏は緑色です。通例、蕚は緑色が強く見えるものが多いようです。正確には分からないのですが、蕚の基部の色には若干の個体差があると思います。下、花弁の色の薄い花です。環境等で色の濃淡があるようです。スミレと言っても細かい分類でいうと、写真のスミレは厳密には亜種や変種になるかも知れないです。正直な所、代表的な種類と思われるものでも、正確な判別は難しいです。
ついでによく似ているヒメスミレも調べてみました。
★ヒメスミレ スミレ科の多年草。草丈は4〜8センチ程。無茎種で葉柄に翼が無いことで似た種類と判別することができます。良く似たスミレには翼があることで区別します。分布は本州、四国、九州。人家付近や道端などでも見かけることができるスミレです。花期は3〜4月。濃青紫色の花の直径は10〜15ミリ前後で花弁は細くなりまります。側弁には毛が生えています。葉は3角状披針形をしています。春先の葉には鋸歯が目立ちます。花の後は葉の長さが8センチ程になり、基部には丸みがでます。葉の裏は紫色を帯びます。蕚片は紫色を帯び、距は白っぽく見えます。大きさはスミレよりも小型になります。
写真が取れたら追加する予定です。
★ヒゲコスミレ スミレ科の多年草。草丈は6〜12センチ程。分布は本州、四国、九州。人家付近や低山地に生育していますが変異が多い種類で特定は難しいようです。東日本には少ない種類のスミレになるようです。花期は3〜4月。花の側弁にある突起毛(白い毛)が無いものが多いようですが、突起毛(白い毛)があったり、花の色や葉の形にも変異があるなど、個体差がある難しい種類になります。タチツボスミレの花に似ているものの、花の色は白っぽい花や淡い紅色のものまであるそうです。ヒゲコスミレの下唇弁には紫色のはっきりした筋が見えます。葉には微毛が生えていることが特徴になります。葉裏は紫色を帯びます。ヒゲコスミレとコスミレは非常に良く似ています。花の側弁に白いヒゲ(突起毛)が無い種類がコスミレで側弁に毛が生えていたらヒゲコスミレになるようです。
ヒゲコスミレ.JPGヒゲコスミレ2.JPG
上2枚、ヒゲコスミレです。花の特徴と、葉には微毛が生えていることなどからヒゲコスミレで良いと思います。この個体の花の側弁には白い毛がありました。
★アメリカスミレサイシン 園芸植物として渡来した北アメリカ原産の外来種の多年草で、種類が多いので総称的にアメリカスミレサイシンと呼ばれています。和名の由来はスミレサイシンのようなワサビに似た太い茎をしていることから付いた名前のようです。紹介するのはパピリオナケアと言う種類のようです。無茎種で葉は先のとがった部分のある丸みの強い心形をしていて、葉の表面にはツヤがあります。他にプリケアナと言う種類などがあります。花の色には白や鮮やかな濃青色などがあります。花期は3〜5月。側弁には目立つ毛が生えています。花の直径は2〜3センチ程で花は大きくて綺麗です。花が終わると葉が大きくなり多数つきます。分布は北海道、本州、四国。丈夫な種類で雑草として分布を広げています。観察エリアでは、スミレを餌とするタテハチョウ科のツマグロヒョウモンの幼虫が餌にしている所を見かけます。葉の大きなアメリカスミレサイシンは餌として最適なのでしょう。雑草化して増えているものの、アスファルトや道路脇よりも林縁や明るい草原で見ることが多いです。
アメリカスミレサイシン花1.JPGアメリカスミレサイシン花2.JPGアメリカスミレサイシン葉.JPG
上はアメリカスミレサイシンのパピリオナケアと呼ばれる種類のようです。花は大きくて鮮やかな濃紫色をしています。外国的に言うとバイオレット色と言うことになるのでしょう。日本的にはスミレ色と言う表現になります。花は鮮やかで綺麗です。アメリカスミレサイシンと呼ばれる種類では、種により花の色に違いがあるのですが、当方観察エリアでは、野生化していたこの種類のみ見つけることができました。花壇に植える園芸種として有名なスミレ、パンジーの仲間も逃げ出して道路脇で見ることが多いです。殺風景な道路脇に咲いているスミレの仲間の花は、それなりに華やかさがあって心が和みます。下はアメリカスミレサイシンの葉です。
スミレとヒメスミレは比較する写真があると良いと思いました。スミレは次回の機会に良い写真が取れたら差し替え、もしくは追加したいと思います。

posted by クラマ at 12:21| Comment(0) | 自然観察・植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする