2017年11月18日

ヨモギハムシとアカクビナガハムシ(ハムシ科)。ヨモギにいる色彩に変異のある綺麗なハムシと赤い色をしたハムシです。

ヨモギハムシは名前にあるようにヨモギに寄生するハムシです。4月頃から見ることができますが産卵が行われる10〜11月頃になると他の昆虫も少なくなるので見つけやすくなります。ヨモギハムシは形はやや細長く見えるハムシの仲間が多い中、背面は丸みがあり盛り上がっていて、どちらかと言うとコガネムシに似た体形をしています。1見、黒く見えるハムシなのですが、色彩には変異があります。金属光沢があるので光の角度によって体色が美しく見えます。ヨモギハムシは北海道から沖縄までと広い範囲に生息していることと、食草が主にヨモギを食べることから地域的に生活史が異なることが知られています。この昆虫は飛ぶのが苦手で、飛んで逃げるよりも脚をたたんで丸くなって地面に落下して死んだふり(擬死)をします。いざ歩き出すと思ったよりも早く歩いて移動します。ヨモギハムシは昼行性で個体数も多いので、餌のヨモギの株を探すと見つけることができます。秋(9月以降)が産卵期になるのですが、11月半ばでもまだペアを組んでいる個体も多くいます。冬の間に卵を産む地域のヨモギハムシもいます。地域差により産卵期の長さに違いのある昆虫になります。産卵時期の雌は腹部が大きくなるので、雄と雌の区別は簡単になります。ヨモギハムシはヨモギに発生する普通種のハムシなので、ヨモギを探すと思ったよりも見つけることができます。アカクブナガハムシは体色に変異はあるものの、赤い色をした綺麗なハムシです。アカクビナガハムシには良く似たホソクビナガハムシ、キイロクビナガハムシ、ユリクビナガハムシがいて判別は難しいです。ハムシ科の昆虫は以前にも当ブログで紹介しています。今回はヨモギハムシとアカクビナガハムシを調べてみました。
★ヨモギハムシ ハムシ科。体長7〜8ミリ前後。普通種のヨモギハムシはコガネムシに似た丸味のあるしっかりとした体つきをしています。前胸背板の前縁部は幅があり、両側の前胸背板側縁の先は張り出して見えます。上翅には細かい点刻が見えます。雌は腹部が大きく、体も雄よりも2回り程大きな体つきをしています。黒くて地味なハムシに見えますが、金属光沢が強く小さくても綺麗に見えます。体色には個体変異があり、黒い地色に黄金色、黄銅色、紫藍色、青藍色など変異がある金属光沢が美しいハムシです。腹面にも同様な色の光沢があります。基本的には藍色の系統と銅色の系統の2タイプになります。飛翔性は弱く飛ぶことを得意としません。捕まえても飛んで逃げ出すことよりも歩いて逃げようとします。また危険を感じると脚をひっこめて死んだふり(擬死)をします。ヨモギハムシの出現は4〜11月の年1化。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地のヨモギが生えている草原、道端、空き地や人家付近に生息しています。寄生する植物はキク科のヨモギ、セイタカアワダチソウ、ヤマシロギクなどにつきます。ゴボウやキクも餌にするので害虫としての側面もあります。成虫は昼行性で成虫、幼虫共にヨモギを主な餌として葉などを食べます。幼虫は夜行性で土中で蛹になります。越冬は成虫と卵で越冬します。ヨモギハムシは北海道にも生息しているだけに寒さに強い性質があります。神奈川県では気温が下がって他の昆虫の活動が鈍って来る頃(11月)にも見かけることができます食草とするヨモギを例にすると、ヨモギは九州以南では1年中生えているのですが、中部以北では完全に地上部が枯れてしまうので、地域により越冬方法が変わることになります。当然、生活史も北と南に生息する個体だと差異が生じてきます。
ヨモギハムシに似た種類にはアイヌヨモギハムシ、オオヨモギハムシ、ミヤマヨモギハムシがいます。この似ている3種類を比較して調べて見ました。
・アイヌヨモギハムシ。北海道固有種。食草はキク科の植物を食べます。体長は6〜9ミリ。分布は北海道。光沢が強く体色には銅色、赤紫色など地域変異があるようです。後翅は退化していて飛ぶことはできません。主な食草はフキ類、ヨブスマソウ、エゾゴマナなどのようです。
・オオヨモギハムシ。オオヨモギハムシの仲間は後翅が退化していて飛べないと言う変わった特徴があります。体長は7〜12ミリ。分布は北海道、本州北部(南限は岩手県)。本州では青森県と岩手県のみで確認されています。岩手県では準絶滅危惧種になっています。生息数は少なくヨモギハムシよりも大きくてズングリとした体格に見えるそうです。主な食草はフキ類(アキタブキなど)、ヨブスマソウ、エゾゴマナ、ハンゴンソウなどのようです。特徴は前胸背板の側方に明瞭な縦溝があるそうです。神奈川県にはいない種類なので当方は見たことがありません。オオヨモギハムシも体色に変異があり、黒色、赤紫色、青藍色などの色彩がある様です。
・ミヤマヨモギハムシ。準絶滅危惧種(日本のレッドデーター)。分布は北海道。北海道固有種で数が少ない希少種になります。標高の高い場所に生息しています。体長は7〜8ミリ。
似ているといっても神奈川県ではこの似た3種とは地域的に重なることが無いので、識別は容易です。北海道で見つけたら交接器も調べて確認しないと他種との判別は難しくなりそうですね。
ヨモギハムシ.JPGヨモギハムシ顔.JPGヨモギハムシ点刻.JPGヨモギハムシB.JPG
上、ヨモギハムシの雄と雌です。ヨモギハムシはハムシとしては大きい方になります。雄の方が2回り程小さく見えます。雌は羽化したてだと分かりにくいかもしれませんが、秋になると雌の腹部を見ると翅から腹部がはみ出て見えるので判別は容易になります。左側が雄で右の腹面が見えている方が雌です。2枚目、前方から見た所です。両側の前胸背板側縁の先は張り出して見えます。3枚目、上翅にはまばらに点刻があります。擬死をしている所を撮影しました。捕獲地、神奈川県横浜市、みなとみらい。歩道脇のヨモギにいました。都市部にも見事に適応しているようです。飛翔する個体は少ないのですが、雌の方はケースの中で何度か飛んでいました。下、全体を見るとハムシらしく触角が長いです。ハムシとしては、ずんぐりと丸味のある体形をしていて可愛いです。小さなコガネムシに似て見えます。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
色彩にバリエーションを持つ昆虫は探すと面白いです。色彩の違うヨモギハムシを見つけたら写真を追加する予定です。ヨモギハムシは雑草として生えているヨモギを餌にすることから、飼育しやすい昆虫だと思います。稀にいる黄金色のタイプは綺麗そうなので、見つけたら飼育してみたいです。
★アカクビナガハムシ ハムシ科。体長は7〜10ミリ。アカクビナガハムシは光沢のある赤味の強い色をしています。赤味が弱く茶褐色に見える個体もいるので、体色には個体差があると思います。特徴はアカクビナガハムシの腹面は赤い色をしていて、上翅(鞘翅)の点刻が弱い(点刻が浅い)特徴があります。点刻は上翅の胸部側にあります。尾部側には点刻はありません。頭部と脚の色は黒色をしています。朱赤色で光沢のある綺麗なハムシです。良く似ているキイロクビナガハムシの腹面は黒色なので、腹面を確認することと、点刻の状態を比較すると見分けることができます。分布は本州、四国、九州。雑木林や林縁に生息しています。成虫、幼虫共に食草としてサルトリイバラ、シオデを餌にします。林縁などに多いサルトリイバラやあまり目立たないシオデに寄生するハムシなので見つけにくい種類になると思います。
ハムシのは似たものが多く判別は大変です。ハムシ科のアカクビナガハムシ、ホソクビナガハムシ、キイロクビナガハムシ、ユリクビナガハムシはどれも良く似ています。この4種類の見分け方の特徴を調べてみました。
・キイロクビナガハムシの前胸と上翅(鞘翅)にある点刻は粗く(点刻は強くはっきりしています)、綺麗に点刻列が並んで見えます。体色は黄色味を帯びた赤褐色をしていますが、黄色味のある個体も出るなど体色には変異がありますが、黄色と言っても名前にキイロとあるものの、黄色い体色をしているのではないようです。前胸背が褐色をしている個体もいるようです。腹面の色は真っ黒になっています。体長は6〜8ミリ。頭部と脚の色は黒色をしています。
・アカクビナガハムシはツヤのある朱赤色の綺麗な体色をしています。上翅の点刻は弱く見えます。前胸背は上翅の色と同じに見えます。アカクビナガハムシは日本特産種になります。普通種で体長は7〜10ミリ。腹部は赤色をしています。年1回の発生。成虫で越冬します。繭の中で越冬するようです。越冬個体は4〜5月に出現。新成虫は8〜9月に出現するようです。昼行性のハムシ。頭部と脚の色は黒色をしています。
・ホソクビナガハムシの頭部と前胸背は銅黒色をしています。特徴は胸部側縁の中央部が大きくくびれています。雌は1回り大きく、腹部の幅が色くなります。体長は5〜7ミリ。腹面の色は赤褐色。脚は腿節の基部が赤褐色。
・ユリクビナガハムシ  体長は7〜10ミリ。脚に特徴があります。ユリクビナガハムシの脚の腿節と脛節が赤く、頭部も赤い色をしているので、全体的に光沢のある赤色に見えます。腹面も赤く見えます。上翅(鞘翅)にある点刻は粗く点刻は強くはっきりしています。
アカクビナガハムシ.JPGアカクビナガハムシ腹面.JPG
アカクビナガハムシです。この個体は赤味の弱い個体です。体色は茶褐色に見えます。下は腹面の様子です。赤色の強い個体が見つかったら写真を追加したいです。
posted by クラマ at 17:16| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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