2017年08月08日

ハイイロチョッキリとエゴツルクビオトシブミ。どちらも変わった習性を持つ器用な昆虫です。

ハイイロチョッキリとエゴツルクビオトシブミはどちらも幼虫のために変わった産卵方法を取ります。林縁を歩いているとドングリがついている小枝が沢山落ちている所を見たことのある方もいると思います。この地面に枝ごと落ちているドングリを落とした犯人はハイイロチョッキリという昆虫です。初めて地面に落ちたドングリの付いている沢山の小枝を見た時は、てっきりタイワンリスの仕業かなと思っていました。ドングリが付いていたのでおかしいなとは思ったのですが、いくら細枝と言っても昆虫が切り落とした枝だとは思えなかったからです。しかも切り口は綺麗に切られたように見えます。どのように切り落としたのか見て見たいものです。調べて見たら口吻の先にある口を使ってドングリに穴を開けて産卵をした後、今度はドングリが付いたままの小枝を数時間かけて切り落とすことが分かりました。直接見て見たいものですが、低い樹の枝で観察できないことが残念です。ハイイロチョッキリはシギゾウムシの仲間に似ています。触角を確認しないと他のゾウムシ科のゾウムシと間違えてしまいます。エゴツルクビオトシブミは名前にオトシブミとあることから、葉で揺り籠を作る昆虫だと気が付く人がいると思います。エゴツルクビオトシブミは首の長い変な形をした昆虫です。主にエゴノキにいてエゴノキの葉を巻いて揺り籠を作ります。オトシブミの揺り籠というと切り落とされて地面に落下するものを想像される方も多いと思いますが、エゴツルクビオトシブミの葉でできた揺り籠は切り落とされることなく、樹についたままになります。形は円筒形で細長く見えます。エゴツルクビオトシブミはエゴの樹にいるツルのように長い首をしたオトシブミからついた名前なのだと察することができます。雄と雌で若干見た目が違っていて、雄は名前のように長い首をしていて、雌の場合は雄よりも短くなります。昆虫の世界ではあることなのですが、雄の成長が十分でなく小型化した場合は雄であっても形が変わります。エゴツルクビオトシブミの小型の雄の場合には、首の長さが十分に伸びないで、雌に似た体形になってしまうようです。しかし小さな体の昆虫が葉を巻いて、器用に葉で揺り籠を作るとは驚きです。幼虫のために小枝を切り落とすハイイロチョッキリと揺り籠を作るエゴツルクビオトシブミは、どこでそのような技を身につけたのかと関心させられてしまいます。ハイイロチョッキリとエゴツルクビオトシブミを調べてみました。
★ハイイロチョッキリ チョッキリゾウムシ科。普通種。褐色から黒褐色に見える体色で、灰色や灰黄色をした粗い毛で覆われています。ハイイロチョッキリの容姿は長い口吻があり、体色も容姿もゾウムシ科のシギゾウムシと間違えるほどよく似ていますが、ゾウムシとの違いは触角の形態が違っていることです。ハイイロチョッキリの触角の先端は膨れていて、3個のコブ状に膨れた節が見えます。またハイイロチョッキリの雄には胸部前方(肩にあたる部分)に棘があることが特徴になっていて、この特徴的な棘は雌には無いことから、棘を確認することで雌と判別することができます。体長は7〜9ミリ(体長は口吻の長さは含めない長さになっています)出現は6〜10月。分布は本州、四国、九州。平地から山地のドングリ類の生えている雑木林や林縁に生息しています。餌となる樹がある緑の多い公園にもいます。成虫はコナラ、クヌギの葉を食べます。特定の植物と関係を持つことが多いゾウムシの仲間などの中では、幼虫の餌とする植物の幅(ドングリの種類)は広い昆虫になります。雌は主にクヌギ、コナラ、ミズナラに産卵します。他にカシワ、ナラガシワなど(ナラガシワでの産卵を確認しました)に産卵します。雌はドングリの帽子(殻斗)の上方に口で穴を開けてから産卵します。(殻斗の表面やま殻斗と実の境目)まだ若い緑色をした未熟なドングリに卵は産み付けられます。次に卵を産み付けたドングリは葉の付いた細枝ごと地表に落とされます。地面にドングリと葉が付いた枝先が切り落とされて落ちていたら、ハイイロチョッキリが産卵した後の幼虫のために地面に落としたドングリだと思って良いでしょう。ハイイロチョッキリの名前は枝をチョッキりと切り落とすことから来た名前なのでしょう。見事なまでにハサミで切ったような小枝の切り口は、小さな口を使って2〜3時間かけて切り落としたものになります。ハイイロチョッキリがいる樹の下には、驚くほど切り落とされた小枝が落ちていることがあります。この小枝が多い樹には多くのハイイロチョッキリがいると思って良いでしょう。越冬は、秋にドングリから脱出した終齢幼虫が土中で繭を作り越冬します。幼虫は翌年に蛹化します。ドングリの実には不作の年が訪れることが知られているので、発生する個体数はドングリの実の付き方に左右されてしまう昆虫になるのかと思います。
ゾウムシ科のシギゾウムシ類はドングリを落とすことなく、卵を産み付けます。ハイイロチョッキリは確実に幼虫を育てるために産卵後にドングリを地面に落としてしまうのです。似た昆虫にはゾウムシがいて、コナラにはコナラシギゾウムシ、クヌギにはクヌギシギゾウムシがいますが、コナラの実に産卵するともあるようです。
クハイイロチョッキリ1.JPGハイイロチョッキリ2.JPG
ハイイロチョッキリです。横から見ると面白いです。いびつに見える体形も可愛く思える昆虫です。口吻が長いゾウムシです。上から見ると横から見るより長く見えますね。横から見ると形が可愛く見えます。鳥のキウイにも似て見えるのは私だけでしょうか。数カ所で切り落とされ多枝を見つけることができました。写真は同じ個体です。ハイイロチョッキリは樹の上の方にいることが多いので、樹をゆすって落とさないと姿を見るのは難しいかも知れません。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。
ハイイロチョッキリ産卵後の小枝.JPGハイイロチョッキリ産卵痕1.JPGハイイロチョッキリ産卵痕2.JPGハイイロチョッキリ産卵痕.JPG
ハイイロチョッキリが落とした小枝とドングリです。2枚目と3枚目は産卵のために開けられた穴です。中に卵が産み付けられています。穴を開ける部位は殻斗の半分より上部か殻斗と実の境目に開けられています。下、コナラの実に開けられた穴(実を枝から外して撮影しました)です。ドングリの種類が違っても、穴を開ける部位は同じです。未成熟の緑色のドングリに産卵するので、時間が数時間後には穴が黒く変色していきます。この痕を見つければ産卵されていることが分かります。殻斗に穴があけれれている場合は確認しにくくなってしまいます。ハイイロチョッキリには小枝を切り落とす力があるので、殻斗の上から穴を開けることも難しくない仕事になるのでしょう(写真を追加しました)。殻斗に開けられた穴には、わずかに殻斗のクズが詰まっているようです。よく見ないと穴があけられている場所が分からないものもありましたので、穴を埋め戻す習性があるのか、殻斗に穴を開けるため殻斗のクズが穴に入るものなのか、いずれにせよ実の表面に穴を開けるよりも、卵がある内部の乾燥を防ぐことができるのではないのかと予測することができます。実の表面よりも殻斗に穴を開けて産卵することが結果として理想的なのかもしれません。観察した樹ではドングリの殻斗に穴があけられていることの方が多かったです。また観察地ではクヌギ、ナラガシワの樹は極めて少ないです。ほぼコナラでの繁殖になっています。1番下の写真の左側のドングリは殻斗に開けられた穴の位置を重視したので、穴についていたクズをどけて見やすくしました。
ハイイロチョッキリ産卵痕クヌギ1.JPGハイイロチョッキリ産卵痕クヌギ.JPGハイイロチョッキリ産卵痕2.JPG
上、ハイイロチョッキリに落とされたクヌギの小枝とドングリです。よく見ると中央から右側の上方に穴が開いていることが分かります。この小枝はかなりの太さがありました。クヌギの樹の下に落ちてい小枝は少なかったです。前はもっと多くの小枝が落ちていました。昨年枝を切られているので、このクヌギの樹のある付近のハイイロチョッキリの個体数が少なかったか、樹下の歩道がアスファルトと砂利を敷き詰めた小道になっているので、繁殖が難しくなっているのかも知れません。中、上の写真と同じクヌギの殻斗に開けられた産卵痕です。クヌギの殻斗は厚みがあるものの、未熟な実の殻斗は柔らかいのかも知れません。あけられている穴が大きいです。下、ナラガシワのドングリの殻斗にあけられていた穴(産卵痕)は小さく、殻斗には細かい白い毛が多く生えています。ドングリの種類による穴の大きさについて予測して見ました。殻斗の硬さなどドングリの種類による殻斗の質で、穴の大きさが変わるのかも知れません。クヌギの殻斗は厚みがあるので穴が大きくても内部が乾燥しにくいのかも知れません。
★エゴツルクビオトシブミ オトシブミ科。体長は雄、8〜9・5ミリ。雌、6〜7ミリ。首の長いオトシブミで、黒い体色で光沢があります。雄は首の部分が長く見えます。上翅には粗い点刻があります。エゴツルクビオトシブミは樹上性の普通種で出現は4〜10月(4〜6月は越冬成虫が活動しています。年2化で新成虫は7月から活動します)になります。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から山地に生息しています。自然公園にも生息しています。エゴノキに主に生息していますが、ハクウンボク、フサザクラも餌にするようです。エゴツルクビオトシブミの葉を巻いて作る揺り籠は長細い円筒状で切り離されることが無く、樹の枝についたままになっています。揺り籠は雌が作り、中には卵が1個入っています。孵化した幼虫は内側から葉を食べて育ちます。越冬は揺り籠の中で成虫越冬するようです。
エゴツルクビオトシブミ1.JPGエゴツルクビオトシブミ2.JPG
エゴツルクビオトシブミの雄です。見ての通り長い首をした面白い容姿をしたオトシブミ科の昆虫です。横から見るとさらに変な形をして見えます。これだけ変わった個性的な形をしているので、もっと大きかったら人気が出たかもしれないと思いました。この個体はコナラの葉の上で見つけました。近くにはエゴノキが無かったので、どこかから飛んできたようです。写真は同じ個体です。撮影地。神奈川県横浜市、南本宿公園。
posted by クラマ at 16:38| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サンゴジュハムシ、ニレハムシ、ブタクサハムシ、キボシツツハムシ、カシワツツハムシ、ヤマイモハムシ、アオバネサルハムシ、クロボシツツハムシ、クワハムシ、ヨツモンクロツツハムシ、コフキサルハムシ、イチモンジハムシ、ドウガネツヤハムシ。ハムシ科の13種類を調べてみました。

ハムシ(葉虫)は文字通り、葉につく虫からついた名前だと簡単に想像がつく個性的な小さな昆虫です。ハムシ科の昆虫は小型ですが個性的でよく見ると綺麗な種類が多くいます。ハムシは種類により雑多な植物の葉を食べたり、決まった植物を食べる種類などがいます。それゆえ害虫としても扱われることも多いです。害虫としての被害としては、公園樹や庭木などの樹木の葉を食害したり、農園、菜園などの農作物に被害を与える種類もいるので立派な害虫になってしまいます。小さくても造園業者、農家、家庭菜園などでは嫌われ者になっています。ハムシは多くが体長6ミリ前後と、とても小さな体をしている小型の昆虫なので、よほど注意して見ないと見つけることが難しいかも知れません。小さくて目立たないことから、世間ではあまり知られていない昆虫になると思います。ハムシの仲間は個性的な体色をしているものも多くいて、探してみると面白い昆虫です。単にハムシというとハムシ科の昆虫の総称になります。数で言うと日本にはハムシ科の昆虫は約800種類もいるらしいです。良くこれだけの数がいる種類の昆虫を分類したものと驚いてしまいます。ハムシの多くはやや細長くしたコガネムシや丸味のあるカミキリムシを小さくしたような体形をしています。中には変わった形をした種類のジンガサハムシなどがいます。成虫の形も変わっているのですが、当方は見たことが無いのですが、幼虫も変わっていて芋虫状で3対の脚が生えているそうです。種類が多いだけあって、変わった形や模様のあるハムシもいて面白いです。ハムシ類の多くは成虫で越冬します。ハムシ科のサンゴジュハムシ、ニレハムシ、ブタクサハムシ、キボシツツハムシ、カシワツツハムシ、ヤマイモハムシ、アオバネサルハムシ、クロボシツツハムシ、クワハムシ、ヨツモンクロツツハムシ、コフキサルハムシ、イチモンジハムシ、ドウガネツヤハムシの13種類を調べてみました。(ニレハムシとブタクサハムシを追加しました)
当ブログでは同じハムシ科を別記事「アカガネサルハムシ。虹色をした美しい小さな甲虫です。」「テントウノミハムシ、ヘリグロテントウノミハムシ。テントウムシそっくりなハムシです。」「イチモンジカメノコハムシ。透明なカメの甲羅のような外殻をしています。」「ウリハムシ、クロウリハムシ、ルリマルノミハムシ、バラルリツツハムシ。小さくて可愛いけれど害虫です。」で他のハムシも紹介しています。ハムシの仲間は種類が多い昆虫だけに探すと見つけることができるものです。
★サンゴジュハムシ ハムシ科。体長6〜7ミリ。普通種で数が多く、体色は黄褐色〜灰褐色で微毛が生えています。頭部と胸背部の中央と両側に黒い縦条があるハムシ。黒い縦条は頭部から小楯板までつながっているように見えます。出現は7〜11月(8月は仮眠します)。卵から孵った幼虫は4月から葉を食害したあと地中に潜り蛹になります。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。サンゴジュ、ガマズミ、ミズキなどに寄生します。特にサンゴジュでの発生が多くなります。成虫、幼虫共に葉を食べます。サンゴジュハムシは公園や庭などに植えられているサンゴジュの葉を汚らしく食べ散らかすので、サンゴジュの害虫になっています。大発生すると葉がスカスカに食い尽くされてしまいます。越冬は卵で行います。産卵は茎に開けられた穴に産み付けます。よく似た種類にニレハムシ、ブチヒゲケブカハムシ、イタヤハムシなどがいます。それぞれの特徴を比べてみないと、どの種もよく似ていて同じに見えてしまう昆虫です。ザックリと大まかな違いを挙げてみました。観察エリアではガマズミ、ミズキでの発生は無く、もっぱらサンゴジュが被害にあっています。やはりサンゴジュが1番の好みのようです。
ニレハムシの場合は小楯板が黒い色をしています。厄介なことにニレハムシはサンゴジュにもいます。ニレ属のケヤキ、ハルニレ、アキニレ。ケヤキが主になりますがサンゴジュ、ガマズミにもつきます。ブチヒゲケブカハムシは胸背部の黒い縦条が短く、中央付近〜尾部側にあります。また頭部には中央にある黒斑の他に複眼の後方にも黒斑があります。サンゴジュ、ガマズミに付きます。イタヤハムシの場合は肩幅があり、胸背部に黒斑が3個並んで見えます。主にイタヤカエデにつきます。ブナ、トチノキ、ハンノキなどにもつくようです。植物により絞り込めると良いのですが、完全に分けることができないので大まかになりますが、以上を確認して種類を絞り込んでみてください。
サンゴジュハムシ1.JPGサンゴジュハムシ2.JPG
サンゴジュハムシです。写真は別個体で若干色彩が違っています。サンゴジュハムシには良く似た種類がいるので判別が難しい種類になります。
★ニレハムシ ハムシ科。普通種。体長は6〜7ミリ。ニレハムシの特徴は、褐色の体に黄白色の短毛を密生しています。頭部の中央と胸背の両端と中央には黒い斑紋があります。ケヤキの発生が多く、エノキ、アキニレなどのニレ科に発生します。、ガマズミ、サンゴジュなどにも付くことがあるようです。非常に良く似た種類にサンゴジュハムシがいます。ニレハムシはサンゴジュハムシよりもやや細長い体形になります。サンゴジュハムシとは食性が違い、ケヤキやエノキにつくことはありません。餌とする樹種の違いが両種の大きな見分け方になります。ニレハムシの触角は第3節と第4節が同じ長さになる特徴があるそうです。出現は4〜10月。年2化。4月に現れる成虫は越冬した成虫です。分布は北海道、本州、四国、九州。年1化(本州では2化します)。都市部、市街地の街路樹のケヤキなどでも見られます。都市部の街路樹で多く見るようになったのは、林などにある食樹が少なくなってきていることも関係していると思います。街路樹で発生すると庭にケヤキやエノキがある場合、被害が出ることが予測できます。ニレハムシは成虫、幼虫共に餌はケヤキ、エノキの葉を食べます。幼虫は葉の葉脈を残して葉を食べつくしてしまいます。幼虫は樹から降りてきて地表で繭を作り羽化します。越冬は成虫で越冬します。
ニレハムシ1.JPGニレハムシ2.JPG
上、ニレハムシです(2枚は別個体)サンゴジュハムシと大変良く似ているので間違いそうです。写真が撮れたので追加しました。撮影したのは道路脇の若いケヤキの幼木です。葉は無残に食べられてスカスカになっていました。ニレハムシが道路脇で簡単に見つかるとは思ってもいませんでした。ニレハムシは現在、都市部に進出しているハムシになります。前胸背や頭部の斑紋の形には、わずかに個体差があるようです。撮影地。神奈川県横浜市、みなとみらい。
★ブタクサハムシ ハムシ科。北アメリカ、メキシコ原産の外来種。外来生物法で要注意外来生物に指定されています。日本に侵入したのは1996年。関東(千葉県、神奈川県)で初めて確認されました。その後急速に分布を広げていった帰化昆虫です。ブタクサハムシの特徴は淡褐色の地に黒色の細い縞模様があることです。前胸背部には3条の黒い線が見えます。短毛が密生していてツヤはありません。体長は3・5〜5ミリ。出現期は4〜11月。分布は本州、四国、九州。道端、荒れ地、草地、河原などの食草がある場所。餌とする植物は成虫、幼虫共にブタクサ、オオブタクサ、オナモミ、ヒマワリ、キクイモ。主にブタクサで発生します。主な発生源となるブタクサも北アメリカ原産の帰化植物です。原産地ではブタクサハムシはオオブタクサを餌として利用しません。日本に侵入して餌として利用できるように進化したことが分かりました。これは東京農工大学の研究者の研究で分かったことです。興味のある方は東京農工大学のホームページでブタクサハムシの生態を知ることができます。ブタクサハムシの食欲は旺盛で、発生するとブタクサが食べつくされている株を良く見つけることができます。越冬はオナモミなどの枯葉で成虫越冬します。
ブタクサハムシ1.JPGブタクサハムシ2.JPGブタクサハムシ繭.JPGブタクサハムシ幼虫.JPG
ブタクサハムシです。見つけたブタクサでは成虫、幼虫、繭、卵が同じ株で見ることができました(8月)まさに旺盛な繁殖力を感じます。上、ブタクサハムシのペアです。2枚目、成虫には細い縞模様があります。この縞模様がブタクサハムシの特徴になります。3枚目。ブタクサハムシの繭です。繭は大雑把な作りで中の様子が透けて見えます。下、ブタクサハムシの幼虫です。黒っぽい体色の幼虫もいました。色の濃い個体は終齢幼虫だと思います。ブタクサハムシはブタクサを食べつくしてくれる昆虫なので、花粉症に悩まされる当方には有難く感じる昆虫でもあります。撮影地。神奈川県横浜市、みなとみらい。近くの自然公園ではオオブタクサでの発生は確認できませんでした。見つけるのはブタクサになります。ブタクサがある場合はブタクサを食べるのだと思います。餌に困った場合はオオブタクサを食べるのかも知れません。
★キボシツツハムシ ハムシ科。別名はキボシサルハムシ。体長は3〜4・5ミリ。キボシツツハムシの特徴は上翅にある斑紋です。上翅の地色は黒色で7対の黄斑があります。胸背は淡いオレンジ色で淡い黄斑があります。この黄斑や色彩には個体差が多い種類になるようです。キボシツツハムシは小さくても綺麗なハムシです。出現は5〜7月。分布は本州、四国、九州、沖縄。キボシツツハムシの卵は糞でコーティングされて産み付けられます。この習性は乾燥から卵を守るためなのでしょうか。それとも卵が外敵に食べられないための工夫なのでしょうか。何とも不思議な習性です。キボシツツハムシの他にもハムシの仲間には卵を自分の糞でコーテイングする種類がいます。キボシツツハムシの餌は主にクスノキ、カエデの葉を食べるようですが他の広葉樹の葉も食べるようです。越冬態は不明。
キボシツツハムシ.JPG
キボシツツハムシです。小さくても魅力的な美しい昆虫です。
★カシワツツハムシ ハムシ科。体長3・5〜5ミリ。雌の方が1回り大きいようです。出現は6〜9月。分布は本州、四国、九州。クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシワ、クリなどのブナ科につき葉を食べます。カシワツツハムシの特徴は、地色が橙黄色で、上翅には目立つ黒い1対の太い縦長の帯状の紋があることです。この紋には大きさなどの個体差があるようです。カシワツツハムシには大変良く似たタテスジツツハムシがいます。実際には比較して見ないと分かりにくいのですが、両種は点刻の違いで判断できます。タテスジツツハムシの点刻は深く直線的に並んでいます。カシワツツハムシは灯火にも飛来するようです。越冬は不明。
カシワツツハムシ.JPGカシワツツハムシ点刻の拡大.JPG
カシワツツハムシです。よく似たタテスジツツハムシとは点刻の違いを比べないといけないので、肉眼で判別しにくい種類になります。下の写真は同じ個体の点刻の部分を拡大したものです。タテスジツツハムシの点刻はもっと直線的に並んで見えます。
★ヤマイモハムシ ハムシ科。体長5〜6ミリ程。雌の方が大型になります。出現は5〜8月。新成虫は8〜9月に現れます。普通種で数も多く、名前にヤマイモがついているようにヤマノイモ、オニドコロ、ヤマイモ、ヤマトイモなどヤマノイモ類につくハムシです。分布は本州、四国、九州。ヤマノイモが生えている林縁に生息しています。公園、畑などにも生息しています。ヤマイモハムシの特徴は、頭部、胸部が赤褐色をしていて、上翅には粗い点刻列があり、 光沢のある暗い藍色をしています。1見、赤と黒に見えるハムシですが、藍色を帯びた上翅は意外と綺麗です。ヤマイモハムシは成虫、幼虫共に山芋の葉や芽を餌にします。ヤマイモハムシは野生のヤマノイモだけではなく、農作物としての山芋や家庭菜園の山芋にも発生する害虫になっています。落ち葉や草むらの草の根際、石の下などで成虫越冬します。臆病な性格ですぐに葉の裏に隠れてしまいます。ヤマイモハムシによく似た種類にアカクビホソハムシがいます。アカクビホソハムシは翅端が赤い特徴がありますが、上翅の色に変異もある種類になります。
ヤマイモハムシ.JPG
ヤマイモハムシです。赤褐色をした頭部と胸部は意外と目立ちます。林縁で普通に見つけることができるのですが、何気に綺麗に見えるハムシで見つけると嬉しくなってしまいます。
★アオバネサルハムシ ハムシ科。体長3〜5ミリ。雌がやや大きな体をしているようです。アオバネサルハムシは金属光沢の強い体をしています。肉眼では分からないのですが、上翅には点刻が並んでいます。体色が青、緑、赤、藍色、黒など実に様々な色をしていて、脚は茶褐色や黄褐色をしています。触角の付け根は脚と同じ色をしています。アオバネサルハムシは個性的な色の違う個体を探すことができて面白いです。大きな体をしていたら飼育して見たくなる魅力のある昆虫です。出現は6〜8月で年1回の発生になります。分布は本州、四国、九州。林縁、平地、草地、公園などに生息しています。キク科植物のヨモギ、キクが主とされていますが、ハギも餌にするようです。観察地では草の刈られた土手地の幼木のコナラの葉をスカスカになるまで食べています。思いのほか餌とする対象の植物は多いのかも知れません。農業的にはダイズ、キクの害虫になっています。幼虫は植物の根を餌にします。越冬は土中で幼虫で越冬します。成虫はすぐに飛んで逃げ出したり、葉の裏側に隠れてしまううえ、小さいのでピントが合いにくく、やたら撮影には手を焼いてしまいます。アオバネサルハムシは普通種で数も多い種類になります。
アオバネサルハムシ1.JPGアオバネサルハムシ2.JPGアオバネサルハムシ3.JPG
アオバネサルハムシです。集団で餌の葉を食べていました。食べていたのはコナラの葉です。とても小さくてピントが合わないうえ飛んで逃げてしまうものもいました。チョコマカと動くので撮影には苦労します。金属光沢のある個体差がある色彩は魅力です。上、深緑色が見える個体です。中、暗い黒と緑が見える個体です。下、黒色が強い個体です。
★クロボシツツハムシ ハムシ科。地色が赤で黒い斑紋が6個ある綺麗なハムシです。赤と黒い斑紋はテントウムシに擬態して身を守っていると思われます。クロボシツツハムシはテントウムシに似ているとはいえ、丸味の強いテントウムシよりは縦長に見えます。体長5〜6ミリ。出現は4〜7月で普通種ですが数は少ないようです。分布は本州、四国、九州。雑木林や林縁に多く生息しています。成虫はクヌギ、クリ、ハンノキ、サクラ、ナシなどの葉を食べます。幼虫の餌も成虫と同じになるようです。卵は成虫の糞で覆われた状態で地面に産み落とされるようです。クロボシツツハムシの幼虫は少し変わっていて、自分の糞で作った殻を背負って生活します。越冬は幼虫で越冬するようです。
クロボシツツハムシ.JPG
クロボシツツハムシです。テントウムシを思わせる配色をしたハムシです。可愛い色と形をしています。
★クワハムシ ハムシ科。普通種。体長5〜7ミリ。クワハムシの特徴は胸背部に大きく凹んで見える深い溝があることです。体色は黒っぽく見える光沢のある青藍色。出現は4〜7月で年1回の発生。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から低山地に普通に見られる種類になります。名前にクワと付いていますが食性は広くクワ、コウゾ、エノキ、コナラ、クヌギ、ブドウなどの樹木の葉やヤマノイモ、アマドコロ、ナルコユリの葉などを食べるそうです。幼虫は成虫の植樹の根際に産卵して、幼虫は土中で育ちます。幼虫の餌は食樹となる植物の根になるようです。越冬は終齢幼虫で行いその後、蛹になるようです。クワハムシはクワの葉やブドウの葉を食べることからクワ、ブドウの害虫になっています。
クワハムシ.JPG
クワハムシです。普通種で食性は広いので思ったよりも見つけることができそうなのですが、地味な色のハムシなので目立ちません。
★ヨツモンクロツツハムシ ハムシ科。体長5〜6ミリ。出現は4〜10月。分布は本州、四国、九州。食樹となる樹のある林縁、雑木林、公園などに生息しています。ヨツモンクロツツハムシ 普通種ですが数は少ないようです。特徴は筒形の体形をしていて、光沢のある黒い体色をしています。最大の特徴は上翅にある4個(2対)の黄橙色〜黄色に見える斑紋です。黄色く見える4個の斑紋が美しいハムシです。小さくても黄色が鮮やかなので眼を引きます。上翅には身体の割には大きな点刻が並んでいます。夏ミカンに似た黄橙色をした紋に点刻があるので、この部分だけを見ると夏ミカンの皮に似て見えて面白いです。成虫は樹上性でコナラ、カシワなどのナラ類、ウワミズザクラ(バラ科)の葉を食べます。幼虫は地上性で枯葉を食べるそうです。幼虫で越冬します。
ヨツモンクロツツハムシ(ハムシ科).JPG
ヨツモンクロツツハムシです。黄色く見える4個の斑紋が目立ちます。もっと写真を撮りたい種類なのですが、なかなか見つけることができないでいます。やはり普通種でも個体数は少ない方なのでしょう。
★コフキサルハムシ ハムシ科。別名リンゴコフキサルハムシ。体長6〜7ミリ。コフキサルハムシの地色は黒色で微毛が密生しています。体は白い粉で覆われていて白色や灰白色の昆虫に見えます。厄介なことに、この白い粉は落ちやすく白い粉が落ちると地色の黒が出てきて、他の種類と区別がしにくくなります。出現は5〜8月。分布は本州、四国、九州。里山や林縁で見ることができます。名前にリンゴと付いていますが食性は広く、クヌギ、ケヤキ、オニグルミ、エゴノキ、ウメ、リンゴ、ナシなど各種広葉樹につきます。似ている昆虫にコフキゾウムシがいますがハムシ科とゾウムシ科では触角の作りが違うので区別することができます。ハムシ科の触角は数珠のように節が繋がった糸状に見えます。コフキサルハムシの白い粉が取れてしまった個体は、ケブカサルハムシ属に似てしまうので、分類が厄介なハムシになります。
コフキサルハムシ.JPGコフキサルハムシ触角.JPG
コフキサルハムシです。下は触角の部分の拡大です。1見するとコフキゾウムシに似ていますが、ハムシ類の触角は糸状に伸びあがっています。ゾウムシの場合はカクンと折れ曲がった触角をしているので違いが分かります。
★イチモンジハムシ ハムシ科。体長7〜9ミリ。ズングリとした体形と黒い体色をしています。前胸背は黄色い色をしています。最大の特徴は黄色い前胸背部に4個の黒い斑紋が1列に並んでいることです。出現は4〜11月。分布は本州(関東以西)、四国、九州。南方系のハムシで成虫も幼虫もクワ科イチジク属のイヌビワ、オオイタビ、ヒメイタビなどの葉を食べます。平地から山地の林縁や林に生息しています。普通種ですが数は多くないようで、餌となる樹の関係もあるのかも知れませんが、当方の観察地(神奈川県)ではあまり見ることがありません。成虫で樹皮の下などで越冬するようです。
イチモンジハムシ.JPG
イチモンジハムシです。黄色い胸背に並んだ4個の黒斑が特徴です。
★ドウガネツヤハムシ ハムシ科。体長2〜3ミリ。ドウガネツヤハムシはとても小さいのですが光沢の強い銅金色をしていて、小さくても目立ちます。タラノキに寄生します。とにかく小さく、またタラノキを見つけることが困難になってきました。個人的になかなか見つける機会の少ないハムシです。林縁、雑木林のタラノキに生息します。成虫はタラノキの葉を食べます。出現は3〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州。越冬態は不明。似た種類にウコギ科につくアオグロツヤハムシがいます。アオグロツヤハムシはツヤのある青黒い色をしているそうです。
ドウガネツヤハムシ.JPG
ドウガネツヤハムシです。近くにタラノキがあったので、ドウガネツヤハムシで良いと思います。とにかく小さなハムシで金属光沢が強く、タラノキにいるハムシです。
ハムシは小さくても色彩等が雑多で面白い昆虫です。見落としてしまいそうな小さな昆虫ですが、探してみると面白くなります。
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