2016年08月26日

クツワムシ。数が減っているキリギリス科、最大の大きさのバッタです。

クツワムシは在来種のキリギリスの仲間では、日本最大の大きさになります。不格好に見えてしまうほど、体の側面の面積が大きいことが特徴です。大変存在感のある体高(翅の幅)の有る大きなバッタですが、近年、めっきり数を減らしている珍しい種類の昆虫になってきています。準絶滅危惧種や絶滅危惧類に指定されている県も多くあることから、保護を考える必要がある種類になってくると思います。クツワムシというと鳴き方に特徴があり「ガシャガシャガシャ」と表現されることが多いようですが、鳴き声は、私的には「カシャカシャカシャ」と聞こえます。さわやかな虫の声というよりは連続した大音量で、やかましいとさえ思えてしまう鳴き声をしています。さわやかな音色を楽しむ鳴く虫というよりは、迫力のある体に魅力を感じるキリギリス科の大型のバッタです。クツワムシの体色には個体差があり、褐色型、緑色型の2タイプが知られています。この体色の個体差は遺伝的なものではなく、環境によって変わる体色になります。現在クツワムシは個体数を減らしていて、大変珍しい種類になりつつある昆虫です。私の行く観察エリアでもギリギリの生存のようです。それは毎年、草を刈られてしまう場所に生息しているからです。クツワムシは飛ばないバッタなので、草刈が命取りになってしまうのです。難を逃れた数匹が、何とか数を保っているという状況です。いつ絶滅しても不思議ではない状態にあります。クツワムシがいる場所は、クズが点在している小さな土手で、わずかなクズの株を住処にしています。クツワムシが生息している地域でも、局所的な生息になるようです。それだけ自然が無くなってきているということなのでしょう。大きな体が魅力的なキリギリスの仲間のクツワムシを調べてみました。雄と雌(褐色型)を各1枚、追加しました。
★クツワムシ 別名クダマキ。キリギリス科。日本固有種のキリギリス科。肉食性を持つキリギリス科の中では温厚な性格をしています。体表面の面積が広く、日本在来種の中で日本最大の種類になります。クツワムシは大型で体高が高く、がっしりとした重量感のある大きな体をしています。横から見ると、翅の幅がとても広く、体側の面積が非常に大きいことが分かります。この幅が有る体型がクツワムシの特徴になっています。触角は糸の様に細くて長いです。体長は翅端まで50〜60ミリ。大きいと70ミリ近いものもいるようです。成虫の出現時期は8〜10月。発生は年1回(年1化)の発生になります。早いと7月からの出現になります。神奈川県では8月からクツワムシの鳴き声を聞くことができます。クツワムシの鳴き声は大きく、鳴き声、音色を楽しむというよりも、騒々しく感じてしまいます。キリギリス科の鳴き声は大きなものが多く、キリギリスは9KHz、クツワムシで最大、8KHzの音量です。鳴き声を楽しむことが多いスズムシで3・9〜4・5KHzになります。クツワムシは夜行性で暗くなってから鳴きだします。雄は雌を呼ぶために鳴き続けますが、体温が32度付近になると鳴くことをやめるそうです。分布は本州(関東以南)、四国、九州。里山、屋敷林、林縁の下草の有る場所や蔓性植物の茂る開けた場所を好みます。クツワムシの個体数は少なく、現在も減少している種類になります。準絶滅危惧種には、高知県、岡山県、島根県、和歌山県、奈良県、兵庫県。絶滅危惧U類には、富山県、千葉県、茨木県。絶滅危惧T類には、新潟県、群馬県、埼玉県、東京都。が指定されています。神奈川県では要注意種になっていて数を減らしています。開発等により今後も数を減らしていき、珍しいバッタになっていくと思います。クツワムシの体色は個体差が大きく、緑色型と褐色型の2タイプがあります。さらに体の色には濃い個体、薄い(淡い)個体があります。緑色型といっても、全身が緑色ではなく、雄の背面にある発音器付近の色は褐色を帯びています。緑色型でも日照量が少ない日陰や夜間での活動が長くなると、褐色型に変化していくそうです。雄のクツワムシには褐色型の方が多く出るようです。バッタ類にしては珍しく、雌の産卵管は剣状をしています。クツワムシの産卵管は長く、25〜33ミリ程あります。卵は土中に産まれ、越冬は卵で行われます。卵は4〜6月に孵化します。クツワムシの成長は遅い方で、孵化から羽化まで3カ月近くかかるようです。食性は草食性が強く、食草はマメ科の植物を好み、特にクズを主食にしていて、クズの群落に多く生息しています。クズを単食するといっても良いくらいにクズに依存しています。他に餌として昆虫の死骸なども食べる様です。よく似た種類にタイワンクツワムシ、ヤブキリなどがいます。大型で脚の長いクツワムシは脱皮も命がけで、細い脚で重い体重を支えられないで落下してしまう事故も起こすため、死亡率や羽化不全の確率は高くなるようです。
クツワムシは街路灯や照明のない暗い場所を好みます。棲息する場所は林縁の蔓性植物が生育している所が多く、公園などで蔓性植物を広く刈り取った場所では絶滅してしまいます。特にクズ群落はクツワムシの重要な繁殖場所となるため、クズ群落の消失はクツワムシの生存に関して重大な危機となります。クツワムシが飛べない種類(飛翔力の極めて弱い種類)であることと、餌としてのクズの単食性が強いことから、生息地の草刈が絶滅という致命的なダメージにつながるのです。
・飼育しようと思われた場合。
詳しい飼い方は知りませんが、クツワムシは飼育もできるるようです。喧嘩をして傷つかないように単独での飼育が良いようです。温度などの管理が適正ですと、年を越すことができるようです。成体としての寿命として、翌年の1〜2月まで生きる個体もいるそうです。飼育する場合、飼育ケースは十分な大きさが必要になります。その理由は、体も大きく体重も重いうえ、脚が長いクツワムシは、脱皮の際に事故を起こしやすいからです。十分な広さ(高さ)の有るケースを用意する必要が有ります。餌はキャベツなど野菜の他、イヌの餌、ネコの餌、金魚の餌などの乾燥飼料を食べるようです。飼育用の部屋が有れば別ですけど、鳴き声を部屋で聞いたら殺人的な音量に感じるかもしれないので、どちらかというとお勧めはできません。クツワムシは連続して鳴く虫なので、締め切った部屋で鳴かれるとなると、それなりの覚悟が必要になってきます。
クツワムシ雄・褐色型1.JPGクツワムシ雄・褐色型2.JPGクツワムシ褐色型雄3.JPG
クツワムシの雄です。クズの葉にいて鳴いていました。褐色型の雄です。幅がありとても大きく見えます。とても立派な体格をしていますが、体の割には脚は細く体が重いので、跳ぶことは苦手のようです。触角は細くて長いです。3枚は別個体です。わずかな色の濃淡などはありますが、ほとんど同じに見えます。撮影地、神奈川県横浜市。フラッシュで撮影。
クツワムシ雌・緑色型1.JPGクツワムシ褐色型雌.JPG
クツワムシの雌です。上、クツワムシの緑色型の雌です。下、褐色型のクツワムシの雌です。雄と雌の違いは産卵管が見える方が雌です。雄のクツワムシよりも体高(側面の幅)は低く見えます。クツワムシは撮影しやすい、おとなしい性格をしています。この雌はクズの葉を食べていました。撮影地、神奈川県横浜市。フラッシュで撮影。写真の雄と雌は同じクズの株にいたものです。クツワムシの雄と雌は共に大きな体をしていますが、すらりと伸びた産卵管が有る方が雌になるので、お尻の先を見るとすぐに分かります。クツワムシは動作が鈍く他のバッタの様に驚いて逃げ出すことが少ないです。脚も体の割に細いので、跳んで逃げることも苦手です。驚かさなければ近くで観察することができます。近くで見ると迫力のある大きさに見えます。慌てて逃げ出すこともなく、動作は緩慢です。夜行性なので撮影はフラッシュを使って撮影することになります。撮影地、神奈川県横浜市。
雌の褐色型を追加するために同じ撮影スポットに脚を運んで、やっと撮影することができました。しかし、この場所の草を刈られた後に残っていたクズの株に集まっていたクツワムシはいなくなってしまいました。鳴いていた鳴き声が5つ、確認できた雌が2匹居た場所ですが、撮影できた褐色型の雌以外は居なくなってしまいました。草を刈られて容易に捕まえることができる状態になっていたので採集されたようです。自然環境(草の伐採)と採集の危険がクツワムシにとって最大の脅威になっているようです。
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2016年08月23日

ミナミトゲヘリカメムシ、ブチヒメヘリカメムシ、セスジナガカメムシ、ナカボシカメムシ、ツヤマルシラホシカメムシ、シラホシカメムシ。カメムシ6種類を見つけました。

今回紹介するミナミトゲヘリカメムシ、ブチヒメヘリカメムシ、セスジナガカメムシ、ナカボシカメムシ、ツヤマルシラホシカメムシ、シラホシカメムシの6種類は生態や名前などに少し変わったところのあるカメムシ達です(シラホシカメムシを追加しました)。
ミナミトゲヘリカメムシは初めて見つけたカメムシです。北上してきた南方系のカメムシです。神奈川県、横浜市でも見ることができるようになったようです。良く行く公園の池の脇のコブシの樹に実が沢山ついていたので、実を観察している時に見つけました。コブシの実の汁を吸いに来たのでしょう。ミナミトゲヘリカメムシはクスノキ科に付くカメムシです。この公園にもクスノキは多いので、今まで見たことが無かっただけで、すでに定着しているのかも知れません。夕方だったので上手く写真が撮れませんでした。関東地方にも定着してきている種類です、観察地の神奈川県よりもヒートアイランド現象などにより、温度の高くなっている東京の方が多く確認されているようです。セスジナガカメムシは赤と黒の配色が美しいカメムシです。個体数は少ない方で、見つけにくい種類です。ナカボシカメムシは個体変異が多いカメムシで体色や斑紋に個体変異があります。特徴になっている黒い斑紋が良く分からない個体もいます。このカメムシは森林性のカメムシと言われていて、林に住むカメムシです。越冬のため人家に入りこむこともあるカメムシになるようです。ツヤマルシラホシカメムシはムラサキシラホシカメムシとも呼ばれていて、小型の個体数が多い種類ですが、ムラサキシラホシカメムシを別名とした同じ種類としたり、違う種類としても記載されるなど、紛らわしいカメムシになっています。ツヤマルシラホシカメムシとシラホシカメムシはよく似ています。背中に見える白い斑紋の大きさが違っています。大変紛らわしい種類です。ブチヒメヘリカメムシも別名ブチヒゲヘリカメムシと呼ばれていて、名前が覚えにくいです。この「ヒメ」と「ヒゲ」の部分の違いの名前の由来はどこからきているのかと、興味があるところですが、良く分かりませんでした。今回紹介するカメムシ達は姿が似ているものがいて分かりにくい種類と、名前が良く分からないなど、紛らわしい部分がある種類を紹介して見ました。ミナミトゲヘリカメムシ、ブチヒメヘリカメムシ、セスジナガカメムシ、ナカボシカメムシ、ツヤマルシラホシカメムシ、シラホシカメムシの6種類を調べて見ました。
★ミナミトゲヘリカメムシ ヘリカメムシ科。体長16〜23ミリ。出現は4〜12月(本州では10月、暖かい沖縄では12月まで活動しています)。名前にミナミ(南)と付いているように本来は南方系のカメムシの種類で分布を北上させています。特徴は、触角が細長く、触角の第4節の基部が黄色くなっています。脚と体の側縁が緑がかっていて、緑色を帯びた褐色の体をしている大型のカメムシです。体色には個体差があります。分布は、本州(茨木県以西の太平洋側)、四国、九州、沖縄。ミナミトゲヘリカメムシ は本来は南方系のカメムシで、温暖化により北上してきている種類になります。今後も北上して分布を広げていくと思われます。食樹はクスノキ科のクスノキ、タブノキ、シロダモ、シロモジヤブニッケイなど。害虫としてミカン類(早生温州、温州ミカン、ポンカンなど)に被害を与えます。加害時期は他の果樹カメムシ類よりも早く5〜6月に加害します。シークワーサーやカキ、スモモなどの果実に害を与えます。カキやスモモの被害は越冬したミナミトゲヘリカメムシによるものの被害のようです。沖縄ではシークワーサーの主要害虫に指定されています。ミナミトゲヘリカメムシには大変よく似た種類にオオクモヘリカメムシがいます。 この両種の違いは前胸部の側角に違いが見られます。ミナミトゲヘリカメムシの前胸部の側角は鋭く、斜め上方に突出していることで区別できます。とはいえ良く見ないと間違えてしまいそうです。幼虫は4齢幼虫がキバラヘリカメムシの5齢(終齢)幼虫にそっくりな容姿をしているそうです。ミナミトゲヘリカメムシの幼虫は触角が細く脚の色が黒いことで見分けることができるようです。5齢になると体は黒くなってしまいます。どれほど似ているのかミナミトゲヘリカメムシの幼虫を探して見て見たくなります。ミナミトゲヘリカメムシの越冬は成虫で越冬します。北上の傾向が強いので耐寒性はある方の種類になるのかも知れません。
★ブチヒメヘリカメムシ 別名ブチヒゲヘリカメムシ。 ヒメヘリカメムシ科。体長6〜8ミリ。体色は暗褐色〜黄褐色など変異の多い種類になるようで、うっすらと緑色を帯びて見えます。出現は4〜10月。分布は北海道、本州、四国、九州。小型で淡褐色をしたカメムシ。上翅が半透明で腹部背面が透けて見えています。食性は雑多でイネ科、キク科、タデ科などに多く付きます。成虫も幼虫も植物の汁を吸います。ブチヒメヘリカメムシの仲間には似たものが多く判別に困ります。越冬は成虫で越冬します。落ち葉や枯草の根元に潜り込んで越冬します。
ミナミトゲヘリカメムシ.JPGブチヒメヘリカメムシ.JPG
上、ミナミトゲヘリカメムシです。写りが悪いので、良い写真が撮れましたら差し替える予定です。触角と脚がとても長いカメムシです。下、ブチヒメヘリカメムシ。特徴のないカメムシに見えます。似ている種類もあるので名前を特定することが難しい種類です。撮影地はどちらも神奈川県横浜市、こども自然公園。
★セスジナガカメムシ マダラナガカメムシ科。体長8ミリ。出現は4〜11月。分布は本州、四国、九州。低地から山地に生息していて、キンポウゲ科のボタンズルに依存します。触角が黒く、体は鮮やかな朱色と黒の2色の配色で、小型ながらも綺麗なカメムシです。背面に2股に分かれて見える大きな黒い斑紋があります。成虫、幼虫共にボタンズルに付きます。草上性で活動は比較的に緩慢です。個体数は少ない種類です。越冬は成虫で越冬します。セスジナガカメムシには中々お目にかかれないでいます。ボタンズルの有る場所を探してから見つけるようにすると見つける確率が上がるかも知れません。見つけて見たくなる綺麗な種類です。赤と黒の2色のカメムシは他にも居るので、この派手な色の配色はこの種の決定的な判別にはなりません。
★ナカボシカメムシ 体長8〜9ミリ。出現は4〜11月。分布は北海道、本州、四国、九州、対馬。山地性のカメムシで広葉樹のクヌギ、コナラ、ミズナラについています。広葉樹の林縁、林などや自然の状態の良い森林公園などにも生息しています。餌はクヌギ、コナラ、ミズナラの葉などの汁。体には光沢があり多くの点刻があり、体色は淡褐色、灰緑色〜赤褐色などがあります。体色には個体差が有るようですが、この色の違いは季節による影響もあるようです。活動期には淡い赤っぽい赤褐色でも、越冬に向かうと褐色などになっていくようです。調べて見たくなるところです。ナカボシカメムシの特徴として、小楯板には2対の黒紋があります。前方にある(頭側)黒紋には変異があって、目立たないもの、紋が繋がっているものなどがあります。越冬は成虫で越冬します。樹皮の裏などで集団で越冬します。ナカボシカメムシは越冬のため家の中に侵入して来ることもある不快害虫にもなっています。灯火にも飛来するようです。
ナカボシカメムシは体色に変科のある種類なので、違いのある固体を見比べると面白いと思います。私はまだナカボシカメムシをあまり見ていないので、もっと探して体色の変異などが有るのかなどを観察してみたいです。写真を追加して見たくなる種類です。淡い色合いの赤褐色のタイプはなかなか綺麗に見えます。ナカボシカメムシは和歌山県では絶滅危惧U類、富山県では準絶滅危惧種に指定されています。
セスジナガカメムシ.JPGナカボシカメムシ1.JPG
上、セスジナガカメムシ。綺麗な赤(朱赤)と黒のツートンカラーのカメムシです。背面の黒い大きな斑の形が特徴になります。下、ナカボシカメムシです。これは赤褐色のタイプのナカボシカメムシです。個体変異の多いカメムシなので、色の違いなどを比較して見比べて見たくなる種類です。撮影地はどちらも神奈川県海老名市。
★ツヤマルシラホシカメムシ(ムラサキシラホシカメムシ) カメムシ科。ツヤマルシラホシカメムシとムラサキシラホシカメムシは同じものです。体長は5〜6ミリ。小型でツヤの有る銅色をしたカメムシです。体には光沢があり、2個の黄白斑が大きいことです。ツヤマルシラホシカメムシは小さな体をしていても白い斑が良く目立ちます。よく似たマルシラホシカメムシやシラホシカメムシとはこの斑の部分(大きさ等)で見分けます。トゲシラホシカメムシとは側角の棘で見分けます。出現は4〜10月。草原、林縁に普通にいる普通種で、餌とする植物の種類も多く、キク科のタンポポ、ハルジオン、ヒメジョオン、アレチギクなどや、マメ科のカラスノエンドウ、シロツメクサ、アカツメクサなど、イネ科のエノコログサ、カモジグサなどがあり、葉や茎、果実から汁を吸います。小さくてちょこまかと動いています。草の根際などで成虫で越冬します。
・ツヤマルシラホシカメムシ=ムラサキシラホシカメムシ(同1種)としている場合とムラサキシラホシカメムシを別種とする場合があるようです。別種とする場合は、ムラサキシラホシカメムシの体色は黒っぽい紫色をしていて、色の違いからツヤマルシラホシカメムシと分けているようです。恐らく色の違いによるものなので、ツヤマルシラホシカメムシ=ムラサキシラホシカメムシ で良いと思うのですが、非常に紛らわしいです。等ブログでは同じ種類として紹介させていただきます。
★シラホシカメムシ カメムシ科。体長5〜7ミリ。シラホシカメムシは灰色を帯びた茶色をしていて、背部に1対の白斑がありもす。背面には黒い小さな点刻があります。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。イネの害虫で、斑点米発生の原因になっています。特に関東以南で問題になっている種類になります。食性はイネ科、マメ科、キク科の植物につきます。出現は4〜11月。越冬は成虫で越冬します。枯草の多い草地の枯れた草の根際、休耕田、落ち葉の多い草地やその周りの石の下などで越冬します。シラホシカメムシの白斑は小さいです。シラホシカメムシの小楯板が他の種類の似たカメムシ(マルシラホシカメムシなど)よりも短いことも特徴になっています。ツヤマルシラホシカメムシとシラホシカメムシはよく似ていますが、白斑の大きさを見て区別することができます。
ツヤマルシラホシカメムシ.JPGシラホシカメムシ.JPG
上、ツヤマルシラホシカメムシです。普通種で数も多く、良く見るとそれなりに可愛いのですが、体の小さな小型種なので気がつかれないまま、ひっそりと生息しています。撮影地。神奈川県横浜市、こども自然公園。下、シラホシカメムシです。灰色っぽく見える体色をしています。星に例えられる白い斑紋は小さいです。撮影地、神奈川県横浜市。メヒシバにいました。ツヤマルシラホシカメムシとシラホシカメムシの写真を並べて見比べると、似ているカメムシでも違いが良く分かります。
posted by クラマ at 17:05| Comment(0) | 昆虫・カメムシ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月16日

ルリチュウレンジ、アカスジチュウレンジ、シモツケマルハバチ、カブラハバチ 、チャイロハバチ、オスグロハバチ、イヌノフグリハバチ。ハバチの仲間7種類を見つけました。

ハバチの仲間は原始的なハチの仲間になります。黒い体をしているものが多く、似た種類も多く同じように見えてしまいます。ハバチはハチの仲間でも危険な毒針で人を刺すようなことはありません。ハバチの仲間は植物の葉を餌にして育つハチです。幼虫は特定の植物の葉などを食べて育ちます。普通ハチというと幼虫は巣の中に住んでいると思いますが、ハバチは巣を作ることがありません。ガの様にイモムシ型の幼虫が葉を食べて育つので、とてもこのイモムシがハチの幼虫だとは思えないと思います。ハバチの成虫は肉食性の種類が多いようです。毒針は持っていなくても肉食性の種類がいるため、捕まえようとすると噛まれることが有るそうです。噛まれると痛いそうです。ハバチの仲間はどの種類もよく似ています。日本にいるハバチ類は600種類を上回る数がいるそうで、名前を調べる際には似たものが多くわずかな違いで見分けていかなければいけません。ルリチュウレンジは名前の通りに瑠璃色(青藍色)の金属光沢があるハバチで、数も多くこの色の特徴から分かりやすい種類になります。繁殖期には群れを成して飛んでいるので、刺されるのではないのかと怖くなるかもしれませんが、刺されることはないのでご安心ください。黒い体をした種類が多いハバチの中でも、チャイロハバチは全身がオレンジ色をしたとても美しいハチです。このハチも見分けやすいです。名前になぜ茶色(チャイロ)と付いているのかと思ってしまいます。アカスジチュウレンジ、カブラハバチ、イヌノフグリハバチ、オスグロハバチの雌は胸背のオレンジ色の部分が似ているので見分けが難しくなります。シモツケマルハバチやオスグロハバチのような全身が黒い体の色をした種類になると、さらに判別が難しくなってしまいます。ルリチュウレンジ、アカスジチュウレンジ、シモツケマルハバチ、カブラハバチ 、チャイロハバチ、オスグロハバチ、イヌノフグリハバチの7種類を調べてみました。・イヌノフグリハバチを追加しました。シモツケマルハバチの成虫の写真も追加しました。
★ルリチュウレンジ ミフシハバチ科。昼行性で動きが活発な普通種で数も多いハバチの仲間になります。ルリチュウレンジは原始的なハバチです。体長は9〜10ミリ。紺色や暗い青藍色に見える金属光沢のある体色をしています。触角は黒く3節でできています。第1、第2節はとても短く第3節が長くなっています。この特徴が科名の由来になっています。瑠璃色と表現もされる紺色や暗い青藍色の体は、光の角度で体が黒く見えることもあるハバチです。翅は半透明をしています。雄の触角と雌の触角に違いがあって雌雄を見分けることができます。雄の触角は短毛が密生しています。雌の触角には短毛(毛)が生えていません。ルリチュウレンジは毒針は持っていないので刺されることはありません。成虫はハルジオン、ノイバラ、ウツギ、クリなどの花の蜜。幼虫はサツキ、キリツマツツジ、ヤマツツジ、レンゲツツジ、ミツバツツジ、オオヤマツツジ、リュウキュウツツジなどのツツジ類の葉を食べるので、幼虫はツツジ類の葉を食べる害虫として知られています。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。平地から山地、都市部の公園や植え込みでも見ることができます。出現は4〜10月で、年3〜4回発生します。幼虫による加害時期は7〜9月になります。若齢幼虫の頭部は黒または褐色をしていて、体には緑で小さな黒い斑点があります。終齢に近づくと頭部は橙黄色になっていきます。雄は4〜5齢、雌は5〜6齢になるそうです。産卵はツツジの葉に沿って1〜25個ほど、普通は10個以下で産卵されます。ルリチュウレンジは有性生殖と単為生殖で増えるようです。単為生殖で増える場合は、生まれる個体はすべて雄になるそうです。幼虫はイモムシ型で、とてもハチの幼虫とは思えません。ガの幼虫に見えてしまいます。 幼虫は公園のツツジ類に普通に見ることができます。越冬は繭で行われます。土の浅い部分に潜り込んで繭を作り越冬します。
ルリチュウレンジ雄.JPGルリチュウレンジ雌B2.JPG 
上、ルリチュウレンジの雄と雌です。上(1枚目)が雄、下が雌になります。雄の触角には短毛が生えています。雌の触角の表面には短毛はありません。
ルリチュウレンジ・ペア.JPGルリチュウレンジ交尾2.JPG
ルリチュウレンジが群れを成して飛んでいました。交尾のため数匹(3〜5匹)が塊になっている様子も見ることができました。下の写真では複数が塊になっていました。雄と雌のペアに限らないで、このような塊になっている集団もいくつか見ることができました。翅だけでなく体にも瑠璃色(紺色や暗い青藍色)の光沢があるので分かりやすい種類になります。ルリチュウレンジは個体数が多くツツジ類に普通に見られる種類なので、見つけることは比較的に簡単で観察に向いています。繁殖期には群生してツツジ類の周りを飛び回っています。ルリチュウレンジ発生回数が多いので、よく見かけることができる種類になります。
ルリチュウレンジ幼虫1.JPGルリチュウレンジ幼虫2.JPG
ルリチュウレンジの幼虫。上は若齢、下、頭部が橙黄色になっています。老齢の頭部は黄褐色や橙黄色になっていきます。この幼虫は体も大きいので終齢だと思います。撮影地。神奈川県、海老名市。
★アカスジチュウレンジ ミフシハバチ科。普通種。体長9〜12ミリ。ミフシハバチ科の特徴から、触角は黒く3節でできています。第1節、第2節はとても短く、第3節が長くなっています。胸背のオレンジ色の部分の色彩や、胸背に見える黒い部分の形には個体差(色彩変異)が多いようです。脚の色は全体的に黒い特徴があります。幼虫はバラ科に発生します。アカスジチュウレンジはバラの害虫になっています。バラの茎に産卵します。幼虫はノイバラ、テリハノイバラ、ニオイバラ、セイヨウバラ、ハマナスなどの葉などを餌にします。同じようにバラから発生する種類にはアカスジチュウレンジに似ているチュウレンジバチ(別名チュウレンジハバチ)、ニホンチュウレンジがいます。分布は北海道、本州、四国、九州。野生のバラ属での発生は少ないようで、身近な庭、庭園、公園などに多く発生します。卵は若い枝の内部に30〜40個が産み付けられます。出現期は5〜10月で発生は年2〜4回。越冬は土中で繭(前繭)で越冬します。
アカスジチュウレンジもチュウレンジバチも幼虫がバラに付きます。
アカスジチュウレンジとチュウレンジバチの幼虫の違い(見分け方)
・アカスジチュウレンジ 幼虫の頭の色は若齢は黒色。老齢になると頭の色は黄褐色や橙黄色に変わります。若齢の体には黒い黒小点はありません(緑色の体が目立ちます)老齢には黒い点状の黒点が現れます。
・チュウレンジバチ(別名チュウレンジハバチ) 幼虫の頭の色は黒または黒褐色。稀に黄褐色の個体も出るようです。老齢でも頭の色が黒い色をしています。若齢の体には黒小点があり老齢になると黒小点がはっきり目立つようになります。
ニホンチュウレンジとアカスジチュウレンジはよく似ています。ニホンチュウレンジはアカスジチュウレンジやチュウレンジバチ(別名チュウレンジハバチ)と同じく、バラ科の植物を餌にします。ニホンチュウレンジの成虫の胸背の色は黒色で、脚の色が黄褐色であることで区別できます。
アカスジチュウレンジ.JPGカスジチュウレンジ2.JPG
上、アカスジチュウレンジです。下、これもアカスジチュウレンジのようです。胸背部の黒い部分が多く、オレンジ色に見える斑紋が小さいです。アカスジチュウレンジはこのように個体差で斑紋の見え方が違って見えるものも多い様です。シシウドの花にとまって花の蜜を吸っていました。
★シモツケマルハバチ ハバチ科。体長8ミリ。原始的なハチで成虫は黒い色をしていて丸みのあるしっかりとした体に見えます。幼虫はシモツケの花や蕾、葉を餌にするシモツケに依存しているハバチなので、シモツケの害虫として知られています。幼虫は5〜6月に出現します。幼虫の体は半透明なので、食べた葉や花の色が透けて見えます。幼虫の体表面には沢山の白い棘が束になって生えているように見えます。白い尖った部分には1〜3本の棘が付いています。食欲も旺盛で群生する習性があるので、花が無くなるまで食べられてしまうことも良くあります。シモツケマルハバチはオウゴンシモツケなど園芸品種にも発生しています。分布は北海道、本州、四国、九州。公園に植えられているシモツケも食べられて花が無くなっているものも見ることがあります。幼虫は花が大好きで、花が無くなると葉を食べるようです。花を食べている幼虫の体の色は何とも言えない美しさがあります。幼虫は土中で蛹になります。幼虫の出現期を考えると越冬は土中の蛹で行われるか卵での越冬が考えられます。
幼虫の発生前に成虫がシモツケにいるので、個人敵には蛹での越冬が有力ではないのかと思っています。成虫の餌は分かりませんでした。
シモツケマルハバチ1.JPGシモツケマルハバチ2.JPG
シモツケ.JPG
上2枚、シモツケマルハバチです。上のシモツケマルハバチは翅を少し左右に広げています。翅脈と触角が良く見える写真に差し替えと追加をしました。多くのシモツケマルハバチがシモツケに集まっていたので、シモツケマルハバチの成虫で間違いないと思います。小さな幼虫も確認しました。活発に動き回るので、撮影には苦労しました。下、シモツケの花。シモツケには白花もあります。シモツケマルハバチはシモツケを餌にする昆虫になります。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
シモツケマルハバチ幼虫2.JPGシモツケマルハバチ幼虫1.JPG
シモツケマルハバチの幼虫です。幼虫は透き通った体をしているので、花を食べると花の色が透き通って見えます。下は終齢の大きな体になった幼虫です。
★カブラハバチ ハバチ科。別名カブラバチ(成虫)ナノクロムシ(幼虫) 原始的なハチで体長7〜8ミリ。ハチの様に刺すことはありません。カブラハバチと同じく、オレンジ色と黒色の配色を持つニホンカブラハバチ、アカスジチュウレンジ、オスグロハバチの雌に良く似ています。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。発生時期は4〜11月(4〜6月、10〜11月)で年3〜6回の発生。越冬は土中の繭(終齢幼虫)で越冬します。幼虫は黒い体をしているので、ナノクロムシ(菜の黒虫)と呼ばれています。害虫としてカブ、ダイコン、ハクサイ、アブラナ、チンゲンサイ、コマツナ、ミズナ、クレソンなどに発生し葉を集団(または単独)で食べます。特にアブラナ科の植物を好み餌にします。野外ではタネツケバナなどのアブラナ科の植物に付きます。カブラハバチは畑、家庭菜園でアブラナ科を広く食害する有名な害虫です。幼虫は昼間でも活動しています。幼虫(ナノクロムシ)は危険を感じると体を丸めて葉からポロリと落下してしまいます。
特によく似ていて紛らわしい種類にニホンカブラハバチ、イヌノフグリハバチがいます。カブラハバチ、ニホンカブラハバチ、オスグロハバチの違いを比較して見ました。他にもまだ似た種類のハチがいるのですが、以下を参考にしてみてください。
・カブラハバチの前胸部は橙色。前胸部の後部は黒くなっています。この黒い部分の斑紋には個体差が有るようです。腹部は全体が橙色をしています。脚の脛節は末端部のみが黒くなっています。
・ニホンカブラハバチの前胸部は橙色。腹部は橙色。腹部第1節の背面は黒くなっています。脚の脛節は全体が黒い色になっています。
・オスグロハバチの雌の前胸部は橙色。腹部は橙色で腹部下面が黒い。橙色。翅が透明で翅の外縁は暗色を帯びています。脚は黒く脛節は黄褐色(脚の色は全体的に黒く見えます)
・イヌノフグリハバチは小型で、翅が透き通って見えます。オレンジ色と黒の配色は似た種と同じように見えてしまいますが、サイズが小さいことでイヌノフグリハバチであることを疑うことができます。脚の脛節と符節は黒く見えます。
カブラハバチ.JPG
カブラハバチです。公園ではあまり見ることができません。やはり害虫として菜園や畑などに繁殖する方が多いのでしょうか。
★オスグロハバチ ハバチ科。ハバチ科の原始的なハチで体長8〜10ミリで雌の方が若干大きくなります。ハバチなのでハチの様に刺すことはありません。分布は北海道、本州、四国、九州。幼虫はスギナ、イヌスギナを餌にします。オスグロハバチは雄と雌とで色が違っています。オスグロハバチの雄の体は黒いので他の種類と見分けることが難しくなります。雌の前胸部は橙色をしています。翅は透明で腹部中央部は黒い。脚の色は全体的に黒い色をしています。出現期は4〜6月。年1回の発生のようです。成虫の餌は不明。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。
オスグロハバチ.JPG
オスグロハバチの雌です。雄はまだ見たことがありません。
★チャイロハバチ ハバチ科。体長8〜12ミリ。普通種。チャイロハバチは全身が赤褐色〜橙色(オレンジ色)をした美しいハバチで、名前に茶色(チャイロ)と付いていることが不思議です。鮮やかなオレンジ色の体色をしているので、草木にとまっていても良く目立ちます。触角もお洒落で、触角の先端の色は黄色で基部が黒い色をしています。翅には斑紋があります。触角が黒と黄色の2色の配色で、全身がオレンジ色に見えるハバチなので、似ている種類が多いハバチの中にあって分かりやすい種類になります。頭部には目の間に3個の黒点があります。分布は本州、四国、九州。出現は5〜10月。幼虫はヘクソカズラ、ゴマギの葉を食べます。幼虫は頭部が黒く体が黄色い色をしています。成虫、、幼虫ともに目立つ色をしているので、チャイロハバチは地味で間違いにくいハバチが多い中でも、存在感のある美しい種類になります。チャイロハバチは普通種になるようですが、なかなかお目にかかれないでいます。食草のヘクソカズラはどこにでもあっても、チャイロハバチの個体数は意外と少ないのかも知れません。黄色い幼虫もまだ見たことが無いので撮影したくなる昆虫です。
チャイロハバチ.JPG
チャイロハバチです。綺麗な色をしています。なかなか見つけることができない種類なので、個体数は少ない方だと思います。撮影地。神奈川県、横浜市こども自然公園。
こうしてみるとどの種類も似ているので同じように見えてしまいますが、紹介した種類以外も見つけることができたら追加していきたいと思っています。
★イヌノフグリハバチ ハバチ科。餌はイヌノフグリ類を食べます。体長5〜7ミリ。実際は小型のサイズが多い様です。特徴は翅の透明感が強く小型で、胸部、腹部、脚もオレンジ色に見えますが、脛節と符節は黒い色に見えます。分布等は詳しくは分かりません。出現は春と秋の2回になるようなのですが、よく似たニホンカブラハバチと同じで、年2化で出現は5〜7月、9〜10月になるのかと思います。体長はカブラハバチとほぼ同じになっていますが、実際はとても小さいです。さらに言えば、カブラハバチやニホンカブラハバチの方が完全にサイズが大きく、大きいものでは8ミリを超えています。
イヌノフグリハバチ1.JPGイヌノフグリハバチ2.JPG
イヌノフグリハバチです。写真で見ると大きく見えますが小型のハバチです。オレンジ色の部分が体になかったら気が付かないサイズです。撮影地、神奈川県横浜市、南本宿第三公園。
よく似ているニホンカブラハバチも調べてみました。
ニホンカブラハバチはハバチ科になります。特徴は腹部背面の第1節が黒く、中脚、後脚の腿節の先端が黒い色をしています。体長7〜11ミリ。出現5〜7月、9〜10月の年2化。雌は符節が黒い特徴があり、雄は脛節末端から黒くなり付設の黒い部分は少ないそうです。食草はアブラナ科の植物を食べます。
ハバチの仲間は、よく似ている種類が多いので区別するのが難しいです。
posted by クラマ at 16:44| Comment(0) | 昆虫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする