2015年12月25日

ハコネイボゴケ。岩の上に生える緑色の地衣類です。

ハコネイボゴケは緑色をした石の上に生えるコケに見えます。イボゴケ科の地衣類になります。地衣類はコケと違い、菌類と藻類が共生して地衣体という特殊な体を作っています。菌類は水分を吸収することで水分を供給し、藻類は光合成によって栄養を作り出すことによって、お互いに助け合って共生しています。ハコネイボゴケの地衣体は柔らかめの石の上を好んで発生し、岩や石などに固着して岩や石と1体化している痂状地衣になります。地衣体の色は(表面に見える色)灰白色〜暗緑色をしています。水分を含むと藻類が共生していることから緑色に色が変わっていきます。乾燥している時には目立たなかった灰白色の色をしていたハコネイボゴケも目立つようになります。試薬での種の確定はしていないのですが、ここではハコネイボゴケとして紹介させていただきます。地衣体が緑色で子器が黒いということがハコネイボゴケの特徴になっています。簡単な特徴は、緑色を帯びていて岩に張り付いて生えているイボのある地衣類です。観察していると、子器は平たい盤状のものから盛り上がって行くようです。地衣体が緑色で、子器が黒く盛り上がってイボのようになっていると、見つけやすいです。乾燥時から緑色をしているものもありますが、色だけでは他の地衣類と間違えてしまうと思います。地衣類には似た物が多く、種類を特定するには正確には試薬を使わないと難しいことは言うまでもありません。ハコネイボゴケを調べてみました。
★ハコネイボゴケ イボゴケ科(BACIDIA属)の痂状地衣。分類は子嚢地衣類。岩上に生えます。石の表面に固着して石と1体化しています。地衣体の色は灰白色、灰緑色、暗緑色で、湿潤時、水分を含むと緑色が強くなって見えます。地衣体表面は細かい顆粒があります。子器の形はレキデア型で盤の色は茶黒色〜黒色で平坦〜凸面をしています。径は0・5〜1・5ミリ。果殻は炭質。分布は本州(仙台以南)四国、九州。温暖な地域の柔らかい質の岩や石、石垣などの岩上に生えています。ヘリトリゴケが硬い岩上を好み、日向にも見られることに対して、ハコネイボゴケは日陰のやや湿った場所の柔らかい岩上を好むようです。ハコネイボゴケの学名が BACIDIA HAKONENSIS というので箱根で発見されたのかも知れません。ハコネイボゴケは名前の感じから、箱根に限定されているのかな?と思いがちですが普通種になります。大気汚染に強い種類のようで都市部にも見られるようです。
ハコネイボゴケ1.jpgハコネイボゴケ2.jpg
地衣体です。どちらも緑色系の地衣体です。どちらも乾燥時の写真になります。
ハコネイボゴケ乾燥時1.jpgハコネイボゴケ乾燥時2藤棚.jpgハコネイボゴケ乾燥時3.jpg
乾燥時の写真です。1、2枚目、湿り気や水分を含んでいないと灰色系のものですと目立ちません。小さい子器は平たいことが見てとれます。盤は成長すると盛り上がっていくようです。灰白色のハコネイボゴケを少し離れたところから見つけると、ヘリトリゴケに1番似て見えるかと思います。子器がイボ状になって岩についているものも良く見つけます。3枚目、やや拡大した写真です。3枚目では、平たい盤上の子器と盛り上がった子器が見られます。子器の形はレキデア型になります。地衣体は灰色の強い個体です。
ハコネイボゴケ湿潤時.jpgハコネイボゴケ比較.JPG
上、湿潤時のハコネイボゴケです。くすんだ緑がかっていた地衣体が強い緑色に変わってしまいます。下、湿気を帯びているハコネイボゴケの子器を100円玉と比較してみました。この個体の子器は大きく見えました。上の個体とは別のハコネイボゴケです。黄色っぽく見えているのはロウソクゴケモドキです。試薬を使わない視認でハコネイボゴケとして、紹介させていただきました。素人ゆえ、間違っていましたらご容赦願います。
posted by クラマ at 12:29| Comment(0) | 地衣類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月23日

ネズミモチ、トウネズミモチ。秋から冬に黒豆のような実をつける植物です。

ネズミモチ、トウネズミモチ。どちらも同じモクセイ科イボタノキ属のよく似た植物です。秋から冬に黒っぽい実を房状につける植物です。でも良く観察すると両種には違いがあるので、どちらの木なのか判断ができます。大まかには実の大きさ、実の付き方、葉の厚さで判別ができます。ネズミモチは日本在来種で、トウネズミモチは中国原産の外来種になります。中国中南部原産なので、トウ(唐)が付いたのでしょう。どちらも漢方薬として使える植物のようです。漢方としては本来はトウネズミモチの方が使われるようです。どちらの成分も同じものが含まれているそうです。詳しい薬用と使用法が分からなければ、むやみに使用しない方が良いかも知れません。ネズミモチの名前の由来は非常に残念なもので、どちらの実も黒っぽく、ネズミの糞に似ていることと、葉がモチノキに似ていることから付いた名前のようです。トウネズミモチの実は濃く紫色で表面は粉を吹いたように見えます。形は球形をした楕円形で実はブドウの房のように沢山付きます。ネズミモチの実はぼやけたような黒紫色で(黒い実なのですが、真っ黒ではありません)トウネズミモチの様に粉は吹いていません。長細い楕円形で実の数は多くはつきません。果実の大きさはネズミモチの方が大きく、細長い形をした楕円形をしているので、1度果実を見比べると判別することができるようになります。それにしても、ネズミモチの名前の由来が、このどちらの実もネズミの糞に似ていると言えばそのように思えることは否定できませんね。名前の最初にこのイメージからネズミがついて、モチの方はモチノキの葉に似ていることから来ているようです。ネズミの糞に似た実の付くモチノキの葉に似ている植物から、ネズミモチになったようで実に気の毒な名前の由来です。現在ではネズミの糞を見ることの方が、ネズミモチやトウネズミモチの実を見るよりも難しいので、ネズミの糞と言われてもピンとくる方は少ないと思います。トウネズミモチは生薬として使われていて、トウネズミモチの実(果実)の生薬を「女貞子」(ジョテイシ)と呼ばれています。トウネズミモチの別名として「女貞」が使われます。読み方が分からないと女、貞子(サダコ)と読んでしまい、何、この名前?と思ってしまうかも知れませんね。完全に日本ではネズミモチよりも貞子(サダコ)の方が知名度は高いと個人的には思っています。葉の違いは葉に厚みがあり、先の細く尖らない楕円形をしている方がネズミモチで、葉が薄く日にかざすと葉脈が見えて、葉先が徐々に細まりたがっている方がトウネズミモチになります。実がついている細い枝(果序)の色にも違いがあって、ネズミモチは白っぽく、トウネズミモチは赤茶色をしています。どちらか迷った時に、これらの違いを思い出せば、実の無い時期でしたら葉を手掛かりに、果実期には実を手掛かりに判別することができます。どっちが貞子(トウネズミモチ)か観察して見ると面白いと思います。最近ではトウネズミモチの方が優勢で数は多くなっています。繁殖力が強いので要注意外来生物リストに入ってしまいました。大気汚染に強く、耐暑性、耐潮性にも強いので好んで街路樹や公園樹に多く利用されました。繁殖力が強く増えすぎたら(種によって)突然嫌われ者になるなど、残念なことが多い植物になってしまいました。ネズミモチ、トウネズミモチを調べてみました。
★ネズミモチ モクセイ科イボタノキ属。別名タマツバキ。注意しなければならないことに、この別名は他の植物にも使われています。名前の由来は実がネズミの糞に似ていて、葉がモチノキの葉に似ていることからネズミ+モチノキでネズミモチになったようです。モクセイ科イボタノキ属。常緑小高木。雌雄同株。高さは2〰5メートル。分布は本州(関東地方以西)四国、九州、沖縄。低地〜低山地の暖地の日向に自生していますが日陰にも強いです。日本原産の在来種になります。公園などに好んで植えられています。樹皮は灰褐色で粒状の皮目があります。葉は対生で葉の形は楕円形。無毛で鋸歯はありません。葉には厚みがあり革質をしています。葉の長さは4〜8センチ。花期は6月。良い匂いのする白い小さな花を咲かせます。花序は円錐形で枝先に出ます。花序の色は白っぽい色で長さ5〜12センチで花を沢山付けます。実は緑色で表面には粉を吹いたようになっています。11月に黒っぽく熟していきます。果実は8〜10ミリの棒状に近い楕円形で熟すと黒紫色になります。表面にシワの無い実になります。黒色や黒紫色の果実に混ざって青いままの果実がついていることがありますが、これはタマバエの幼虫が果実に入り込んでいる果実になります。ネズミモチは大気汚染に強く、刈込にも強い植物です。塩害にも強く(耐潮性)耐暑性もあり、日向を好みますが日陰にも強い(耐陰性)丈夫な種類なので、街路樹や公園樹に適しているため多く使われています。ネズミモチは草木染にも使える植物になっています。出来上がりは黄色から焦げ茶色まで、媒染により色を出すことができるようです。
★トウネズミモチ モクセイ科イボタノキ属。別名トウネズ、女貞(ジョテイ)。中国中南部原産の帰化植物。要注意外来生物。園芸品として明治初期に渡来。常緑亜高木。雌雄同株。高さ10メートル。街路樹、公園樹として使われています。トウネズミモチは都市部を中心に日本各地で平がり始めています。これは植樹と鳥による種の拡散によるもので、鳥に運ばれた種の発芽率は高いようで、平地では普通に見られるようになっているようです。分布は本州(北限は宮城県、福島県になるようです)四国、九州、沖縄。トウネズミモチの果実は液果でヒヨドリ、ツグミ、ムクドリ、メジロなど果実を食べる鳥の餌になっています。トウネズミモチは日当たりの良い環境を好みかすが、乾燥した河原から湿り気のある場所まで生育しており、大気汚染にも強く、耐潮性(塩害にも強い)耐陰性、耐暑性、刈込にも強く丈夫です。繁殖力が強いことが分かって、要注意外来生物のリストに入れられました。トウネズミモチは草木染にも使える植物になっています。出来上がりは黄色から焦げ茶色まで、媒染により色を出すことができるようです。樹皮は灰褐色。葉は対生で長さは6〜12センチ。幅は3〜5センチ。卵状楕円形をしていて無毛。鋸歯は無く葉の先は徐々に細くなり尖っています。葉は日にかざすと葉脈が見えます。ネズミモチの葉は日にかざしても葉脈が見えません。花期は6〜7月。ネズミモチよりも遅れて開花します。良い匂いのする白い小さな花を沢山咲かせます。果実期は10〜12月(翌年2月頃まで残っていることもあるようです)に黒紫色に熟します。実は液果で5〜10ミリ。(5〜6ミリほどの大きさのものが多くみられます)球形〜楕円形(丸みを帯びた楕円形)でネズミモチよりも丸く小さく見えます。ネズミモチの実もトウネズミモチの実も生薬として使えることから、ひっくるめて女貞と呼ばれることがあり、混同されている可能性がありますが、女貞はトウネズミモチのことになります。
花が比較的に少ない6月に咲くことから、ネズミモチもトウネズミモチも養蜂家には大事な蜜源となる植物になっているそうです。草木染は良く分らないのですが、草木染にネズミモチ、トウネズミモチが使えるようです。工程は、まず葉や枝を30分煮出して染め液を作るそうで、かき混ぜながら煮出すことが必要なようです。出来上がった液に今度は90分程付け込んで作るそうです。小学生の頃に輪ゴムなどで止めて作った記憶がありますが、工夫を凝らせば複雑な模様も作れるようです。色付けの工程として媒染がありますが、薬剤として色々な種類があるようですが、ミョウバンが手軽なようです。この媒染で色合いが違ってくるのですが、何色が出るのかは、植物と薬剤によって異なってくるようです。確か小学生の授業ではミョウバンを使ったと記憶しています。媒染は色を固定させる色付けの工程になります。
ネズミモチ実.jpgネズミモチ葉.jpgネズミモチ葉・裏.jpg
ネズミモチです。1番上がネズミモチの実です。ネズミの糞と似ている言われた実です。2枚目は葉の表、3枚目は葉の裏になります。
トウネズミモチ実.jpgトウネズミモチ葉.jpg
トウネズミモチです。上はトウネズミモチの実です。下は葉の表です。トウネズミモチは公園や街路樹として良く見かけることができます。
ここで、ネズミモチ、トウネズミモチの両種の違いを比較をしてみることにします。見分けるには葉と果実を比較します。
・ネズミモチは、実の付いている枝(果序)の色は白っぽいこと。果実は黒紫色で色が濃く粒が長細くて大きいこと(棒状の楕円形)。実(果実)はまばらに付きます。葉は厚く革質で先端がとがります。葉の中央部の丸みが強いです。葉は無毛で鋸歯はありません。日にかざして見ても葉脈は透けて見えません。
・トウネズミモチは、果実の付いている枝(果序)の色は赤茶色をしています。果実(実)は黒っぽく表面は粉を吹いたように白く見えます。果実は球形に近い楕円形をしていて、果実は1見ブドウの房のように沢山付きます。葉は薄く、葉の先端は徐々に長細く尖っています。葉は無毛で鋸歯はありません。日にかざして見ると葉脈が透けて見えます。葉の中央部よりも基部側(柄に近い方)が膨らんでいます。
写真で比較して見ると分かりやすいですね。樹形はどちらもよく似ているので、葉と実(果実)で判断すると良いでしょう。実を比べて見ると違って見えるのですが、どちらかというと在来種のネズミモチの果実の方がネズミの糞に似ているように見えてしまいます。
ネズミモチの花.JPGトウネズミモチ花.JPG
ネズミモチとトウネズミモチの花です。どちらもよく似ています。上はネズミモチの花です。小さな白い花が沢山集まって咲いています。下、トウネズミモチの花です。追加しました。トウネズミモチは実が沢山付くだけあって、ネズミモチよりも花の大きさが小さく、花が数多く付いています。花はトウネズミモチの方が遅く咲き始めます。
本来は生薬(漢方薬)としてトウネズミモチが使われるのですが、ネズミモチ、トウネズミモチのどちらも「女貞子」として使われています。成分は同じで、両種とも同様に使われています。成分はオレアノール酸、ウルソール酸、マンニトール、ルペオール、マンニットなどで効能は滋養強壮、強精作用があるようですが、漢方薬としての効き目には個人差があるようです。さらに下痢などの症状が出ることもあるそうです。素人が漢方として使用するには注意が必要になります。当ブログでは飲用などを勧める目的はありません。試しに飲用などして体調を壊すなどの害が発生しても当方は1切の責任は負いません。
posted by クラマ at 18:43| Comment(0) | 自然観察・植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月19日

センリョウ、マンリョウ、ナンテン、クロガネモチ、ソヨゴ、サルトリイバラ。秋から冬に赤い実をつける植物6種類。

秋から冬に赤い鮮やかな実をつける植物は沢山あります。赤い美味しそうな実をつけることで鳥の目を引きつけて、鳥に食べられることで種を運ぶ方法をとっています。緑の少なくなった季節には、赤い色をした実は良く目立ってきます。鳥たちは美味しい種類の実から食べ始めるようです。赤色の綺麗な実をつけたセンリョウ(千両)、マンリョウ(万両)、ナンテン(南天)、クロガネモチ、ソヨゴ、サルトリイバラの写真が撮れました。センリョウとマンリョウの名前は有名ですが、植物と名前がすぐに浮かばなくて、どちらも似たような名前で似たような植物になることから、どっちがセンリョウ?こっちがマンリョウ?と思われる方もいると思います。センリョウもマンリョウも縁起の良い植物として、お正月になると花材や縁起物として使われることで良く知られています。どちらも赤い可愛い実をつける植物ですが、センリョウの実の色には赤色、朱赤色、黄色の実が付くものがあります。黄色の実が付く種類はキミノセンリョウと呼ばれています。マンリョウにも赤色の他に、栽培品種の白い実の付くシロミノマンリョウがあります。実の色が黄色い種類もあるようです。実の色の違いの他は区別することができないので、実の色を見て確かめることになります。クロガネモチとソヨゴも似ています。身近の街路樹や公園で見かけることがあります。この中ではナンテン(南天)が1番有名な植物になると思います。庭木にも多く普通に見ることができるので、ナンテンをご存じのお方は多いと思います。サルトリイバラは山野の林縁などで見かける蔓性落葉植物で、この中では1番馴染みのない種類になると思います。西日本にお住まいの方は、サルトリイバラの葉でモチをくるむなど、カシワの葉のように使われることから知名度は高いかと思いますが、東日本では使われることがなく、この植物を知っている方は少なくなると思います。蔓性で木に巻き毛で立ち上がっていく性質からも、赤い実がつかないとサルトリイバラが生えていることに気が付かないということもあるかと思います。ご飯などを包むために使う木の葉には、サルトリイバラの他に、カシワ、ホオノキがあります。葉の大きさはサルトリイバラ、カシワ、ホオノキの順に大きくなっていきます。カシワモチのカシワは本来はホオノキの葉を使っていたようですが、大きすぎるので、適度な大きさのカシワに変わっていったようです。ホオノキの葉は、ホウバ味噌という地方料理にも使われていますね。枯れたホウノキの葉が燃えにくいこと、葉が大きいことから最適だったのでしょう。ナンテン(南天)の葉もおこわや赤飯に添えられて飾りとして使われていますが、ナンテンは毒を含む毒性を持った植物です。1番毒性の弱い部分が葉になります。この葉に含まれる毒(アルカロイド)をうまく利用して、防腐剤としての効果を利用したものです。ナンテンの葉に含まれる毒は、葉を意図的に大量に食べない限り、心配ない程度の毒になります。最もナンテンの葉を食べる人はいないので、マメ知識として知っておくと良いかも知れません。
同じ様な時期に赤い実をつける植物には、当ブログで過去に紹介したイイギリ、アオキ、サネカズラ、シロダモなどもあります。ヒイラギもクリスマスの飾りとして良く知られていますね。シロダモはシロダモの葉にできる虫こぶ(ゴール)のシロダモハコブフシができる木として紹介しています。花期も果実期も同じで10〜11月に赤い実と花を見ることができる変わった植物です。アオキの虫こぶは実に作られダルマ型のような形の実になります。緑が少なくなる頃に赤い実を見つけると、季節の変わり目や変化を感じることができます。寒い時期の葉を落として緑の少なくなった山野では赤い実がより目につきやすくなっています。センリョウ、マンリョウ、ナンテン、クロガネモチ、ソヨゴ、サルトリイバラの6種類の植物を調べてみました。
★センリョウ(千両)センリョウ科。別名クササンゴ。高さ50〜100センチ。常緑小低木で直立した樹形をしています。分布は本州(東海地方以西)、四国、九州、沖縄。暖地の林内、林床に生育しています。神奈川県では絶滅危惧種になっています。栽培品の種が鳥によって林内に運ばれているため、純粋な自生種との区別が難しくなっています。自生種はかなり少ないといわれています。センリョウは半日陰を好み、霜などの寒さには弱い種類になります。正月飾りに縁起物として喜んで使われていて、花材、鉢植えとしても人気があります。センリョウは庭木、鉢植えとしても好まれていて、増やす場合には3〜4月に種まきや挿し木、ひこばえ(脇から出てくる株)で増やすことができます。葉は対生。長さ10〜15センチ。幅は4〜6センチ。長楕円形〜卵状楕円形。葉先が尖っていて葉の縁には鋸歯(ギザギザ)があります。葉の表面には光沢があり綺麗です。花期は6〜7月。風媒花なので、花の時期に長雨があると実が付きにくくなることがあります。果実期は12月から翌年3月で径は5〜7ミリ、核果になります。赤、朱赤色似なります。黄色い実のセンリョウはキミノセンリョウという種類になります。実には毒はありませんが食用価値はありません。試しに噛んで見ると実に味はありませんが、ハーブティーのような香りがあります。毒がなくても食べるということがない実であることが分りました。実には果肉部分がほとんどないほど小さいのですが鳥にしてみたらごちそうになるようで、マンリョウの実より先に食べつくしてしまいます。マンリョウとの区別は実の付き方で見分けます。センリョウの実は枝先に上向きに付きます。マンリョウの実は葉の下に、下向きに垂れ下がります。センリョウの実はヒヨドリ、ツグミ、ムクドリなどが良く食べにくるようです。鳥に人気があるのはセンリョウで、先に食べてしまう事からセンリョウの方が美味しい実になるようです。マンリョウにはヒヨドリが実を食べに来ますが、他の鳥たちはほとんど来ないようです。
★マンリョウ(万両)ヤブコウジ科。別名アカギ、タチバナ、イソタチバナ、コウジ。高さ30〜100センチの常緑小低木。直立して育ちます。分布は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄。半日陰を好みシイ、カシの樹林帯に普通に自生しています。種は鳥によって運ばれるために、林縁、人家の庭にも生えていることがあります。葉は互生。波状の鋸歯(ギザギザ)があります。鋸歯には丸みがあります。実は葉の付け根から伸びた小枝にややぶら下がって付きます。花は白く花期は7〜8月。果実期は10月から翌年2月。実は液果。実の形は球形で房状に付き径は7〜8ミリ。冬に熟すと綺麗な良く目立つ赤い実をかたまって付けます。実には毒がないようですが、通例不食です。実に毒がないということから実を齧ってみると果肉部が極めて薄く、初めはほんのりと甘さを感じますが、すぐに口の中に生臭さが広がってきます。生ごみのイメージが湧いてきます。しかも嫌な生臭さが口に残るので、食べる価値が全くないことが良く分りました。鳥にもこの不快な味が分かるのか、好んでは食べられていないようです。空腹を満たす非常食のような食料となっているのでしょう。センリョウと並び正月の飾りにも使われ、縁起の良い植物として好まれています。庭木としても人気のある植物になります。増やす場合には果肉を取り除いた種を蒔くことで、増やすことができます。マンリョウの実にはヒヨドリが食べに来ますが、他の鳥はほとんど来ないようです。実の色の白い栽培品種にシロミノマンリョウがあります。他に黄色の実を付ける種類もあるようです。実がつかないうちはどちらの種類か見分けることができません。
センリョウ.jpgマンリョウ葉と実.jpg マンリョウ樹形.jpgシロミノマンリョウ実.jpg
1枚目センリョウです。黄色い実の種類(キミノセンリョウ)の写真が撮や、鮮やかな赤い実の写真が撮れましたら追加したいと思っています。2、3枚目マンリョウです。林縁でよく見かけることができます。もっと大きな株になると実は葉の下に付くので上から見ると隠れてしまいます。3枚目はマンリョウの樹形です。直立した樹形になります。小さいものでも実と葉のバランスが良く、マンリョウの実の付き方の特徴である葉の下にぶら下がる赤い実は綺麗です。4枚目、シロミノマンリョウの実です。公園の植え込みで見つけました。実が白い色をしている種類で、違いは実の色の違いだけです。3、4枚目を追加しました。
★ナンテン(南天)メギ科。中国原産の帰化植物で野生化したものです。分布は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄。庭木や公園などにも良く植えられています。常緑低木。高さは1〜2メートル。毒の成分を持つ毒植物です。イソコリジン、ドメスチン、プロトピン、ナンテニン、ナンジニンなどのアルカロイドを含みます。実にも毒が有るので食べてはいけません。1番毒性の弱い部分(含まれる毒は微量)が葉になります。昔の人は、この葉に含まれる毒(アルカロイド)をうまく利用して、おこわ、赤飯などに添えて防腐剤として利用しました。葉を食べなければ人体には影響がありません。葉は互生。葉は革質で3回奇数羽状複葉。葉先は尖っており、小葉は3〜7センチ。幅は1〜2・5センチ。難(ナン)を転(テン)ずるで、縁起物とされています。緑色の葉と房状に赤くたわわに実った実が人気で、庭木として好まれています。花期は5〜7月で白い小さな花を咲かせます。果実は液果で径は6〜7ミリ。果実は11〜12月に赤くなります。実の色には赤、白、黄色、橙色があります。白いナンテンはシロミノナンテンと呼ばれています。ナンテンの実も鳥が食べに来ますが、実には毒成分のアルカロイドが含まれているので、鳥が食べているから大丈夫と思ってはいけません。ナンテンにはヒヨドリが良く来るようです。増やす場合には種まき、株分け、挿し木ができます。1番簡単なのは株分けになります。時期は3〜7月と9〜10月が適しているようです。
南天.jpg南天の実.jpg
上2枚がナンテンです。分かりにくくなるのですが、葉の様子もお分かりいただけるかと思います。説明するよりも見た方が早い複雑な形をした葉になっています。
★クロガネモチ モチノキ科。雌雄異株の常緑高木。高さは10〜20メートル。灰色をした幹には皮目があります。雌株には赤い実が沢山付きます。庭、公園、街路樹に多く植えられています。分布は関東以西(茨城県、福井県以西)、四国、九州、沖縄。日向から半日陰で育ち、耐寒性、耐暑性があり、乾燥にも強く刈込にも強い丈夫な種類なので街路樹に多く見られます。似た植物にソヨゴがあります。クロガネモチの葉には特長があり、葉の特徴をつかむと覚えやすい植物になります。クロガネモチの葉の付き方は互生。葉には光沢があり革質で楕円形をしています。葉は主脈に沿って内側に向いた舟形をしていて、葉の先が尖っています(葉の両端が尖って見えます)長さは6〜10センチ。幅は3〜4センチ。葉柄や若い枝は紫色を帯びています。葉の縁には明るい色の線が見えます。また葉を火であぶると少し時間をおいてから黒変する特徴があります。葉には鋸歯はありませんが幼木の葉の場合には葉に鋸歯があります。花期は5〜6月。白色〜淡紫色の花を咲かせます。果実は液果で11〜12月に赤くなります。果実は10月から翌年2月までと長く楽しめる木になります。雌木でも雄木がないと実をつけることがありません。常緑植物なのですがクロガネモチは1斉に葉を落として衣替えをします。
★ソヨゴ モチノキ科。別名フクラシバ、フクラシ。ソヨゴ(冬青)の名前の由来は風に吹かれた葉がかすれ合う時に特徴的な音を出すことからソヨゴとされています。風にそよいでそよそよと音を出すことからともいわれています。また火で熱すると葉が膨れて破裂する特徴があります。そのことから別名のフクラシ、フクラシバと呼ばれるようです。雌雄異株の常緑小高木。高さ3〜10メートル。根が浅くあまり高くなると倒れてしまう特徴があります。分布は本州(新潟県、宮城県が北限)四国、九州。葉は互生。卵状楕円形。やや革質で弱い光沢があります。はの裏はやや薄い色になっています。鋸歯はありません。葉の縁はなめらかですが波打っています。柄は長く1〜2センチ。樹皮は灰褐色で枝は灰色。1年目の枝は帯青敗色。花期は5〜6月で花は白色。果実は10〜11月に赤くなります。果実の柄は長く5〜6センチあります。実は径が7〜8ミリで、赤い実がぶら下がって付きます。実はまばらについています。
クロガネモチ.jpgソヨゴ実.jpgソヨゴ.jpg
1枚目クロガネモチ。このように葉の下に見える赤い実がビッシリとついた木は鮮やかで見ごたえがあります。2、3枚目はソヨゴです。2枚目の写真で実の付いている柄がとても長いことが分ります。似ているクロガネモチは実が沢山付きますが、ソヨゴの実は付き方がまばらになります。実の数も少ないです。この実の特徴と付き方でも両種の判別ができます。クロガネモチとソヨゴの葉の表のつやの違いも見て分ると思います。ソヨゴの葉には、ぼやけたような光沢があります。
★サルトリイバラ ユリ科。別名サンキライ(山帰来)と呼ばれています。蔓性落葉低木。雌雄異株。サルトリイバラには地方的な変異があります。名前の由来はサルがサルトリイバラのトゲに引っかかって捕獲されるということからのようですが、罠にサルトリイバラの蔓を使ったのでしょうか。またサルトリイバラの実をサルが食べる事からともいわれてるようです。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄。海岸から山地の林縁、林内に普通に自生しています。茎には所々に硬くて鋭いトゲがあり、茎はジグザグ状に伸びています。赤く実が熟さないと目立たない植物で、巻き毛で他の植物に掴まり立ち上がっていきます。葉は互生。サルトリイバラの葉は西日本ではカシワの葉(カシワの葉のように)の代わりに、ご飯やモチなどをくるむために使われています。葉は卵形や楕円形をしていて、葉の基部は丸い形をしており、3〜5脈で光沢があります。花期は4〜5月。実は液果で径は7〜9ミリの球形で10〜11月に赤くなります。
サルトリイバラ.jpg
サルトリイバラです。サルトリイバラは蔓性なので山野で見つけると分かりやすいかも知れません。蔓性とはいえ、他の植物に巻き付くような成長の仕方はしません。巻きひげで他の植物に掴まって立ち上がっていきます。茎にある硬く鋭いトゲがあり、服などに引っかかりやすくなっています。皮膚に刺さると痛いので注意が必要です。
秋から冬にかけては赤い実が目立つようになり、赤い実のなる植物が見つけやすくなります。場所を覚えておくと見つけた植物の花の色や時期など、気が付かなかった植物の観察が楽しくなってきます。
posted by クラマ at 18:35| Comment(0) | 自然観察・植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする