2017年10月14日

クヌギにできる虫こぶ(ゴール)5種類。クヌギエダイガフシ、クヌギハケタマフシ、クヌギハケツボタマフシ、クヌギハヒメツボタマフシ、クヌギハマルタマフシ。

クヌギには面白い形をした虫こぶ(ゴール)ができます。クヌギハケタマフシ、クヌギハケツボタマフシ、クヌギエダイガフシ、クヌギハヒメツボタマフシの4種類のゴールは同じクヌギの樹にできていました。クヌギは虫こぶ(ゴール)ができやすい樹木と言えるようです。虫こぶはダニ、タマバエ、アブラムシなどの昆虫が植物に作る奇形で、虫えいや英名のゴールとも呼ばれています。多くはコブ状になることが知られています。様々な木に様々な形をした虫こぶ(ゴール)を作ります。クヌギはゴールができやすい植物でゴールの種類も多いです。ゴールを見つけたい、見てみたいと思われたら、クヌギの樹を見つけて観察して見ると良いと思います。今回紹介する種類とは別の種類のゴールもクヌギで見つけることができる思います。植物に奇形を起こしてできることから、気持ちが悪いと思う方もいると思いますが、虫が作る不思議な形の造形物を観察するのも面白いものです。クヌギとクヌギエダイガフシ、クヌギハケタマフシ、クヌギハケツボタマフシ、クヌギハヒメツボタマフシ、クヌギハマルタマフシの5種類を調べてみました。クヌギハケタマフシには大変良く似たクヌギオオケタマフシがあります。形状がやや違うようですが、分布が重なる地域だと判別は難しそうです。形状等を比較して見たいです。虫こぶ(ゴール)は似たものもあるので正確な分類は難しいです。
クヌギを調べてみました。
★クヌギ ブナ科。高さ15〜メートルになる落葉高木。雌雄同株。樹皮は灰褐色〜灰黒色で不規則にひび割れています。分布は本州(岩手県、山形県以南)、四国、九州、沖縄。里山や雑木林に生育している樹木ですが、コナラなどよりもはるかに少ない種類になります。花期は4〜5月。ドングリは球形をしていて直径は約20ミリ。実は2年かけて9〜10月に黒く熟します。葉は互生。葉の形は長楕円形で長細く、葉の長さは8〜15センチ。幅は2〜4センチ程になります。葉の葉柄は短く、葉脈の先端(鋸歯の先)は針状に尖って飛び出ています。この針状に尖った部分は白っぽく見えます(葉緑素を欠くため白っぽく見えています)。よく似た樹にアベマキとクリがあります。ドングリを見ないと区別しにくいのですが、よく似ている葉にも違いがあります。丸っこくて美味しそうに見えるクヌギのドングリは渋くて通例は食用としませんが、水に何度もさらすなどの手間をかけることで、渋を取り除けば食用として使えるそうです。樹の葉や樹は、アベマキやクリと大変良く似ていますが、判別方法を知っていると見分けることができます。
クヌギ、アベマキ、クリの違い(葉とドングリで区別する方法)。
・クヌギ クリの葉とよく似ていますが鋸歯の先にある棘状の部分は、クヌギでは白っぽく見えます。葉が成長すると葉の裏にあった微毛は抜け落ち、葉の裏側は緑色に見える様になります。クヌギのドングリは綺麗な球形に近い形に見えます。クリよりもはるかに柄が短くなっています。 
・アベマキ 葉裏に大きな比較になる特徴があります。アベマキの葉裏は毛深くて白っぽく(灰白色に)見えます。この微毛は星条毛と呼ばれています。鋸歯の先にある棘状の部分は白っぽく見えます。葉柄はクリよりもはるかに柄が短くなっています。アベマキとクヌギはドングリも似ていますが、アベマキのドングリはクヌギのドングリよりも縦長になっています。 
・クリ 葉の表面には光沢があります。クリの葉の葉裏の脈上には微毛が生えています。鋸歯の先の針状の部分まで緑色に見えます。クリの葉の葉柄は長く、比較するとアベマキの葉柄は極めて短く見えます。食用として流通している皆様お馴染みのクリのドングリは、トゲトゲの海に生息しているウニの様なイガに包まれています。
クヌギの若いドングリ.JPGクヌギの若い実2.JPG
上はクヌギの若い実(未成熟のドングリ)です。落下して来るクヌギのドングリはよく見ることがあると思いますが、若いドングリの実は実が見えていない状態だと、トゲトゲの塊やイガ状に見える花の形に見えます。クヌギの実(ドングリ)は2年かけて立派なドングリになるのです。下はまだ青い(緑色をした)ドングリがが見えています。この状態だとクヌギのドングリだと分かります。
★クヌギエダイガフシ クヌギエダイガタマバチが作る(作成者)ゴール(虫こぶ)です。若いクヌギの枝につくられる、樹の実によく似たゴールです。クヌギエダイガフシは球形に近い形をしていて可愛い形の樹の実にも見えます。似ている形と言うと、クリの樹の若いイガや毛玉の様にも見えます。よく見ると全体を包むようにできているイガ状の突起は反り返っていて、突起には軟毛が密生しています。枝先の茎にできているので、クヌギの若い未成熟な実だと思ってしまいそうです。単独でできている場合と群生している場合がありますが、多くは群生していて繋がって見えるものが多いです。クヌギエダイガフシは単性世代のゴール(虫こぶ)で夏に形成されます。クヌギエダイガフシの中から羽化して出てくるクヌギエダイガタマバチは雌で雄は出てきません。両性世代のゴールは冬芽に形成されクヌギハナコツヤタマフシと呼ばれます。両性世代のゴールになるので、クヌギハナコツヤタマフシの中からは雄と雌が出てきます。クヌギエダイガタマバチは10月に羽化して産卵は秋から春にかけて行われるようです。越冬はクヌギエダイガフシの中で羽化して成虫越冬します。
クヌギエダイガフシ1.JPGクヌギエダイガフシ2.JPG
上、クヌギエダイガフシです。上の写真は1個ですが、下の写真のように数個が固まっているものを良く見かけます。下では大きさを1円玉と比較してあります。良く昆虫がこの様な形のものを作り上げたのかと、感心してしまいます。
★クヌギハケツボタマフシ タマバチ科のクヌギハケツボタマバチがクヌギやアベマキの葉の表面に作るゴールです。クヌギハケツボタマフシは全体的には茶褐色の色をしていて、長い毛で覆われていて、扁平な球状や扁平な壺の様な形をしています。中央部は凹んでいて中央部は白くリング状に見えています。この特徴から、目玉模様や茶色い色をしたウニの様にも見えて面白いです。外縁には白い棘状の長い毛があります。クヌギハケツボタマフシの中には、クヌギハケツボタマバチの幼虫が1匹入っています。越冬はこの中で蛹で越冬するようです。単性世代のゴールになります。大きさは直径2〜3ミリ程。
クヌギハケツボタマフシ2.JPGクヌギハケツボタマフシ3.JPGクヌギハケツボタマフシ1.JPGクヌギハケツボタマフシ4裏.JPG
上、クヌギハケツボタマフシ。大きさは2・5ミリ程のものが多かったです。単独で葉の上にできているものやくっついてできているものがあります。フジツボの様な形に見える明るい茶色の毛で覆われた虫こぶ(ゴール)です。1番下は葉の裏側から見た所です。葉の裏には大きな変化は見られません。
★クヌギハヒメツボタマフシ タマバチ科のクヌギハヒメツボタマバチがクヌギやアベマキの葉の表面に作るゴールです。直径2・5〜3ミリと小型。秋に葉から落下します。 クヌギハケツボタマフシに似ていますが、クヌギハヒメツボタマフシの方が小さいです。良く見ないと間違えてしまいそうです。
クヌギハヒメツボタマフシ1.JPGクヌギハヒメツボタマフシ2.JPG
上、クヌギハヒメツボタマフシです。小さくてクヌギハケツボタマフシにも似ているので、良く見ないと見間違えそうです。個体数が少ないのでしょうか。クヌギハケツボタマフシはすぐに見つかるのですが、クヌギハヒメツボタマフシはなかなか見つかりませんでした。成熟すると綺麗な色をしています。
★クヌギハケタマフシ 7〜9月に見られるタマバチ科のクヌギハマルタマバチがクヌギやアベマキの葉の裏側に作るゴールです。クヌギハケタマフシは葉の側脈に沿って作られ白色の細かい毛で覆われています。クヌギハマルタマフシの色は黄白色から赤色で、先端部に向けてやや細まった形をしています。海の岩場に生息するフジツボの様な形を連想させます。先端の頂部は凹んでいます。中の幼虫が育つとクヌギハケタマフシは葉から落下します。クヌギハケタマフシは単性世代で両性世代のゴールは3月にクヌギハケタマフシから脱出した雌がクヌギやアベマキの花芽に産卵して両性世代となるクヌギハナカイメンフシが形成されます。越冬は成虫越冬。 クヌギハケタマフシの中で越冬します。分布は本州(関東以北)。大きさは直径5〜8ミリ。球形に近い形をしている特徴があります。
クヌギハケタマフシ1.JPGクヌギハケタマフシ2.JPGクヌギハケタマフシ3.JPGクヌギハケタマフシ4.JPGクヌギハケタマフシ拡大5.JPGクヌギハケタマフシ表.JPG
クヌギハケタマフシ。上、直径は6ミリ。葉の裏に作られます。銀白色に見えますが、成熟してくるとワイン色のように色が変わってきます。私的には可愛い形で色も綺麗だと思います。見つけたクヌギでは3・5〜6・5ミリの大きさでした。1番上はまだ丸くなる前の未熟なクヌギハケタマフシです。台形の様な形をしています。2枚目、葉の裏に群生しています。3枚目、成長して来ると丸みが出てきます。銀白色に見える短毛も綺麗です。4、5枚目、成熟してくると赤味が出てきます。ワイン色に見えなかなか綺麗です。よく似たものにクヌギハオオケタマフシがあります。クヌギハケタマフシは球形に近い形をしている様なので、クヌギハケタマフシで良いと思いますが、どちらの種も存在する地域なので迷ってしまいます。当方は形状から判断しているので、成熟しないと判別ができないと思いました。下、葉の表側から見t所です。クヌギハケタマフシのある表側の中心部は黄色い色をしていて、やや盛り上がって見えます。間違っているかもしれないので、クヌギハオオケタマフシも調べてみました。
★クヌギハオオケタマフシ タマバチ科のクヌギハオオケタマバチがクヌギやアベマキの葉の裏側に作るゴールで中には幼虫が1匹入っています。クヌギハオオケタマフシは単性世代で両性世代のゴールは3月にクヌギハオオケタマフシから脱出した雌がクヌギやアベマキの花芽に産卵して両性世代となるクヌギハナワタフシが形成されます。越冬は成虫越冬。11月に成虫は羽化してクヌギハオオケタマフシから脱出して越冬に入りますが、遅いものはそのまま中に留まり越冬します。3月頃から羽化するようです。分布は本州(関東以南)、四国、九州。大きさは直径5〜8ミリ。クヌギハオオケタマフシの形はクヌギハケタマフシが球形に近い形になるのに対して、丸みが少ないよいうです。比較して見て見たいです。
★クヌギハマルタマフシ クヌギハマルタマフシの形は球状で色は黄白色〜赤色。成熟すると赤くなるようです。クヌギ、アベマキの葉の葉脈に沿って作られます。単性世代のゴールで、大きさは4〜6ミリ程と大きさに差があります。秋に羽化して脱出して来るのは、すべて雌のクヌギハマルタマバチになります。タマバチ科のクヌギハマルタマバチが葉の表側に作るゴールです。分布は本州、四国、九州。クヌギハマルタマフシの中には幼虫が1匹入っているそうです。雌は冬にクヌギの花芽に産卵します。ここで生まれた幼虫が春にクヌギハナケタマフシと言う両性世代のゴールを作ります。冬に産卵することから越冬は卵になるのでしょうか。それとも産卵後でも成虫は生きているのでしょうか。詳しくは分かりませんでした。
クヌギハマルタマフシ.JPG
クヌギハマルタマフシです。クヌギの葉で見つけました。赤くなると小さくても見つけやすくなります。赤い色をした丸い球が葉の上についていると可愛く見えます。
昆虫が作るゴールには気持ちの悪い形のものも多いのですが、クヌギにできるゴールは可愛い形のものが多いので、観察すると楽しいと思います。
posted by クラマ at 14:43| Comment(0) | 虫こぶ(ゴール) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月26日

ヒグラシ。早朝と夕方に鳴くセミです。

ヒグラシの出現は早く、ニイニイゼミが鳴く少し前に鳴き声を聞くことができます。もうセミが鳴き始めたのかと、セミの出現時期を知らせてくれる存在です。姿を消すのも遅く、まだセミが鳴いているのか。と思うこともあります。しかしこのヒグラシは少し変わっていて、とのセミが日中に世話しなく鳴いている時には大人しく木にとまって、暗くなるのを待っています。日が暮れかかって暗さが増してくると、どこからか寂しげにも聞こえる独特な鳴き声が聞こえだしてきます。1匹鳴きだすとあちらこちらから聞こえだしてきます。ヒグラシは開けた空き地や街路樹にはいません。スギやヒノキのある薄暗い林や林縁に多く生息していて、人目につきにくいセミになります。そのため姿を見つけにくい種類と言うことができます。鳴き声は有名ですが、姿はあまり知られていない昆虫です。独特の鳴き声は「カナカナカナ・・・」と連続的に鳴く鳴き方で、声量のある澄んだ響きを持っています。この鳴き方も人によって聞こえ方が変わって聞こえるようです。複雑な鳴き方ではないのに不思議な現象です。複雑な鳴き方とフレーズを持っているツクツクボウシも人により鳴き声の表現が違っています。鳴き声を発する昆虫の中でもセミという昆虫程、鳴き方の印象や聞こえ方が人によって違うという昆虫は珍しいと思います。元気で騒がしいツクツクボウシともの静かな響きを奏でるヒグラシ。どちらも面白いセミと言えます。ヒグラシは他のセミの鳴き声の音量が凄いので、昼間の競合を避けて早朝と夕方に鳴くようにしたのかもしれません。ヒグラシは目立たないセミなので、その姿を良く知らないとツクツクボウシと区別がつきにくいかも知れません。胸背の斑紋は目立たなく、色も地味な方がツクツクボウシで、ヒグラシの方が明るい茶色や赤褐色に見えます。ヒグラシには個体変異が出ることが知られてい、色彩が違うものがいることが知られています。淡い色合いが多い傾向のあるヒグラシにも、体色に黒い色が強くでる個体もあります。セミの仲間は胸背の斑紋(模様)の違いが種類を見分ける方法になります。胸背の斑紋の特徴を覚えておくと区別がしやすくなります。ヒグラシを調べてみました。
★ヒグラシ セミ科。全長(翅端までの長さ)は40〜50ミリで中型のセミです。体長は雄28〜38ミリ。雌21〜25ミリ。雌雄の区別は腹部を見ると分かります。雄の腹部は長さがあり大きく見えます。この大きな腹部は空洞になっています。ヒグラシの発生は早く、初夏(早いと6月に鳴き声を聞くことができます)から鳴き始めますが9月初め頃にも鳴き声を聞くことができます。セミの鳴き声もヒグラシの鳴き声を夏の終わりに聞くと、夏の厚さも和らぎ、秋に向かってゆくのだなと思わせてくれます。ヒグラシの鳴く時間は夜明けと夕方になります。日中の暑い時間には鳴いていません。薄暗い杉林の傍などに多くいるため、ヒグラシの姿を見る機会は他のセミよりも見つける確率が減ってしまいます。夕方に鳴き声を頼りに探しても、姿が良く見えないこともあり、ヒグラシの姿を知っている人は少なく成ると思います。ヒグラシの鳴き声は「寂しく聞こえる」と言う人が多いと思います。姿より「カナカナカナ…」と特徴のある鳴き方で良く知られているセミです。ヒグラシの体の特徴は、体色は淡い茶色に緑色と黒が混ざった配色で、淡く明るい色合いに見えることです。といっても体色には茶色多く見える個体や緑色が多く見えるなどの個大差があります。ツクツクボウシにも似ているのですが、明らかにヒグラシの方が明るい色彩に見えます。胸背には赤褐色の斑紋があります。翅は透明で綺麗です。分布は北海道、本州、四国、九州、沖縄(北海道や沖縄諸島では数が少なくなります)ヒグラシは南方系のセミですが、北海道にも生息しています。ヒグラシは温暖化で北上しているようです。平地から低山地のスギ林、ヒノキ林などスギやヒノキのある林縁に多く生息していて、緑の多い自然が豊富な公園だと都市近郊の公園でも声を聞くことができます。成虫は樹の汁、針葉樹を好む傾向があります。幼虫は地中にいて植物の根から汁を吸います。ヒグラシの卵は年内に孵化するので、孵化した幼虫は地中に移動して幼虫で越冬します。
ヒグラシ胸背部拡大.JPGツクツクボウシB胸背(比較).JPG
上、ヒグラシの胸背部の拡大です。ヒグラシの色彩には個体変異があります。胸背の斑紋の様子はヒグラシと比べると違って見えます。下、ツクツクボウシの胸背部の拡大です。近くで見ると斑紋(模様)の違いが分かります。胸背の模様などを覚えておくと、似たような色の似た種類の個体がいても見分け安くなると思います。
posted by クラマ at 14:29| Comment(0) | 昆虫・セミ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

ミンミンゼミとツクツクボウシ。夏を代表する鳴き声が個性的なセミです。

ミンミンゼミもツクツクボウシも鳴き方に特徴があって、実に面白いセミです。ミンミンゼミは名前の通りに「ミーン、ミーン」と大きな音量で鳴きます。大型のセミで色も綺麗です。ミンミンゼミを観察していると個体により体色が違っていることが分かります。緑色が強いもの、水色が強いもの、黒い色が強いもの、黒化型などがいます。稀に黒色がほとんど見えないミカド型とかミカドミンミンと呼ばれるミンミンゼミも現れることが知られています。ミンミンゼミには綺麗な青や緑をベースにした複雑な斑紋が胸背部に見えています。翅は透明で美しく、体に対して大きな翅をもっています。都市化が進む中、都市部の街路樹にも多く発生しているセミです。ツクツクボウシは小型〜中型で長細く見える体形をしたセミです。小さくても鳴き声の音量はかなりのもので「オーシイツクツク、オーシイツクツク…」と変わった鳴き方をします。特に「オーシイツクツク、オーシイツクツク…」の後に聞こえる鳴き方は、人によって違って聞こえるようです。人により鳴き声の表現が非常に異なっているのです。ツクツクボウシのように音の幅や鳴き方が大きく変化する昆虫はいないと思います。警戒心が強く、人が近づくと逃げ出すことが多いセミなので、大胆なミンミンゼミよりも見る機会は減ると思います。ミンミンゼミは街路樹などで見つける時は、人間の背の高さ位にいることも多く、慌てて逃げ出すことも少ないセミです。特に午前中は木の低い所で見ることが多いです。ツクツクボウシの配色は、関東地方では若干、ヒグラシに似て見えます。はっきりとした色彩を持たないセミで、決して綺麗なセミとは言えないくすんだ緑色をして見えます。先にふれたように、ツクツクボウシは変わった鳴き声を楽しめるセミです。セミと言うとセミの抜け殻の方が見る機会が多いと思います。セミは地中にいる幼虫が羽化のために地上に出てきて、幼虫の背中の正中部分にできる裂けめから脱出して(脱皮)成虫になります。ニイニイゼミは泥まみれの抜け殻をしていますが、他のセミの場合、多くは綺麗な抜け殻をしています。セミの幼虫の形はどれも似たものが多いのですが、ツクツクボウシの幼虫は小さくて細長いことと、抜け殻の色が淡い肌色に見えるのですぐに分かります。ミンミンゼミの幼虫の抜け殻は、クマゼミ、アブラゼミ、ヒグラシの幼虫の抜け殻と似ています。種の違いは触角にでるので、触角の部分を見比べると判別することができます。ミンミンゼミの幼虫の特徴は、触角が先端に向けて徐々に細くなっていくように見えることです(当ブログ内でセミの幼虫の見分け方を紹介しています)この特徴を覚えておくと、ミンミンゼミの幼虫やミンミンゼミの抜け殻を特定することができます。暑苦しいと感じる人がいるかもしれませんが、セミの鳴き声を聞くと夏を感じることができます。個人的には、セミの鳴き声としてはミンミンゼミの鳴き声が夏らしくて1番好きです。次がツクツクボウシの鳴き声です。滑稽に聞こえる鳴き声には個体によって上手下手があって、なかなか面白いセミです。これには鳴き方の複雑さの要素もあるように思います。また全力を振り絞って鳴いているように聞こえる必死さも笑えます。必死に相手を見つけていることには間違いないのですが、思わず「突っ込み」を入れてみたくなってしまいます。当方は耳に残るツクツクボウシの鳴き声を聞かないと、夏も終わらないと思える存在のセミになっています。セミは男性の場合、あまり気にしないことが多い昆虫なのですが、女性の場合、嫌いな昆虫の上位に挙げられるようです。男女で好き嫌いの分かれる昆虫も珍しいと思います。夏を代表する昆虫と言えるミンミンゼミとツクツクボウシを調べてみました。
★ミンミンゼミ セミ科。雄雌ともに翅を含めた全長は57〜63ミリ程。体長は雄35〜37ミリ。雌33〜35ミリ。ミンミンゼミの特徴は翅が非常に長く体形は丸味のある寸詰まりに見えます。翅の色は透明です。胸背部には黒い地色に水色や緑色に見える模様(斑紋)があります。体色に黒い色がほとんどない体色をしたミンミンゼミをミカド型やミカドミンミンと呼ぶようです。稀に出る珍しいミンミンゼミと言えます。水色や緑色の濃い個体はとても綺麗です。黒色が強い個体や黒化型などがいて色彩には個体変異が多いです。ミカド型と通常型の中間型もいます。寒い地域のミンミンゼミでは黒色が強く出るようです。当方は、ミンミンゼミの色によるタイプの線引きが良く分かりません。しかし、この個体差により斑紋や色彩がばらけることがミンミンゼミの魅力だと思っています。出現は7〜9月。分布は北海道、本州、四国、九州。北海道での発生は局所的になるようです。北限は北海道の屈斜路湖の近辺になるようです。関東地方では平地から低山地まで広く生息していて数も多く普通に見ることができます。東京都、神奈川県では都市部に進出して来ていて、都市部の街路樹でも見つけることができます。関東以南になると山地に多くなる種類になるようです。昼行性で日中の暑い時間は樹の上の方にいることが多いです。成虫は主に広葉樹の樹の汁、幼虫は土中に似て植物の根から汁を吸います。越冬は初年は卵で越冬します。その後は幼虫で土中で越冬します。
ミンミンゼミ1.JPGミンミンゼミ2中間型.JPGミンミンゼミ3中間型.JPGミンミンゼミ4通常型.JPGミンミンゼミ5通常型.JPG
1枚目、ミンミンゼミの全体の形が分かる写真です。この個体は淡い黒地に緑色の個体です。2、3枚目(同1個体)、上の個体に似た配色ですが、さらに黒い色が弱く薄くなっています。ミカド型と通常型の中間型のミンミンゼミで良いようです。通常の黒色に見える部分の色が薄く、わずかにぼかした墨のような黒い色は見えるのですが、斑紋は黒と言うよりは淡い茶色に見えます。色彩が羽化して間もないミンミンゼミにも似て見える個体です。黒い部分が少ない中間型の個体です。4枚目、通常型で黒地と水色が見える個体です。神奈川県の当方観察エリアで1番多く目にする配色です。5枚目、通常型で黒地と青色(濃い水色)が見える個体です。ミンミンゼミの色彩には変異があって実に面白いです。ミンミンゼミは大きく分けてミカド型、緑色型、通常型、黒化型に分けられるようです。黒い色を欠いたミカド型のミンミンゼミ(ミカドミンミンン)も見て見たいのですが、ミカド型が出る地域には偏りがあって、地域的な変異の要素があると言えます。普通このタイプはめったに出現することがありません。ミカド型は暑い地域で出る確率が高くなるようです。さらに、これらの中間のタイプもいるので、色彩の違いを観察すると面白いです。
★ツクツクボウシ セミ科。雄雌ともに翅を含めた全長は40〜47ミリ程。体長は26〜33ミリ程。雌の腹部先端には産卵管が突き出て見えます。体色は淡い緑色やくすんだ緑色に見え、黒色の斑紋があります。ツクツクボウシは小型から中型のセミで、鳴き声に大きな特徴があるセミです。単調な鳴き方をする昆虫が多い中で、鳴き方が変わっていく不思議なフレーズを持っていて、とても昆虫とは思えないその複雑な鳴き方には驚かされます。人によって聞こえ方が変わるという不思議な鳴き方で、その鳴き方には1定の音楽的要素が備わっていることに驚かざるを得ません(めちゃくちゃに鳴いているわけではないのです)。ツクツクボウシは細い体つきをしていて、色彩にはほとんど変異がなく汚れた緑色をして見えます。翅は透明で腹部は黒く見えます。出現は7〜10月。夏の終わりごろに個体数が増えてきます。分布は北海道、本州、四国、九州。平地から低山地まで広く生息していて数も多く普通に見ることができます。北海道ではかなり個体数が少ないようです。札幌市では確認されているようですが、ツクツクボウシは関東から南に多い南方系のセミなので、北海道では珍しいセミになるようです。午前中よりも午後から活発に鳴き始めます。樹の高い所にいることが多く、地味な体色をしているので見つけにくいセミです。警戒心が強く臆病な性格で、低い所にいても人が近づくと飛んで逃げ出すことが多いです。成虫は主に広葉樹の樹の汁、幼虫は地中に生息していて植物の根から汁を吸います。幼虫の抜け殻には大きさにバラケがあって、小さなサイズから比較的に大きく見えるものまで見つけることができます。越冬は初年は卵で越冬します。その後は幼虫で土中で越冬します。ツクツクボウシはヒグラシやハルゼミに似ています。ツクツクボウシの幼虫には、セミ類から発生する冬虫夏草のツクツクボウシタケが寄生しやすいです。
ツクツクボウシ雄B1.JPGツクツクボウシ雄B2.JPGツクツクボウシ2.JPG
ツクツクボウシです。地味で目立たない色彩をしています。上2枚は別個体で写真を横位置にして比較して見ました。若干の斑紋等の違いは見受けられるものの、ツクツクボウシの場合は、ほぼ同じに見えます。下、胸背の部分の拡大です。ご覧の通り特徴のない地味な配色になっています。
posted by クラマ at 14:00| Comment(0) | 昆虫・セミ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする